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【発明の名称】 中空成形体の製造方法
【発明者】 【氏名】岡井 康治

【要約】 【課題】大きな加工量を得ることができると共に、高精度に成形することができる中空成形体の製造方法の提供すること。

【構成】中実素材Aを鍛造加工して、中間部C1が中実で両端部C2,C2が開放する一次成形体Cを形成する。一次成形体Cの中間部C1を中実のまま残しながら絞り加工を行うと同時に中間部C1の中実部分を内外両側より塑性加工して、中間部D1が中実で両端部D2,D2がテーパー部D4,D4を介して中間部D1の外径よりも小径とした筒状を呈する二次成形体Dを形成する。二次成形体Dの両端部D2,D2を中間部D1側に向かって圧縮加工すると同時にその中間部D1の中実部分を内外両側より塑性加工して、中間部E1が中実部分を残しながら外方に大きく膨出し、両端部E2,E2が小径筒状を呈する三次成形体Eを形成する。三次成形体Eの中間部E1の中実部分を打抜加工して、中間部F1と両端部F2,F2とが連通する最終中空成形体Fを形成するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小径の両端部と大径の中間部とを有し、これら両端部と中間部との中心部に貫通孔が形成されてなる中空成形体の製造方法であって、まず、円柱状の中実素材を冷間で鍛造加工して、中間部が中実で両端部が開放する中空状とした同一外径の一次成形体を形成し、次に、一次成形体の中間部を中実のまま残しながら両端部の絞り加工を行い、その絞り加工と同時に中間部における中実部分のボリュームを内外両側より塑性加工して、中間部が中実で両端部がテーパー部を介して中間部の外径よりも小径の開放する中空状とした二次成形体を形成し、その後、二次成形体の両端部を中間部側に向かって圧縮加工すると同時にその中間部の中実部分のボリュームを内外両側より塑性加工して、中間部が中実部分を残しながら外方に大きく膨出して大径となり、両端部が開放する小径筒状となる三次成形体を形成し、さらに、三次成形体における中間部の中実部分を打ち抜き加工して、両端部と中間部とを貫通する貫通孔が形成された最終中空成形体を形成するようにしたことを特徴とする中空成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車構成部品に用いられる中空成形体の鍛造による製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車構成部品に用いられる中空成形体の鍛造による製造方法として、まず、中実素材を冷間で圧造加工して両端部が内径の大きな薄肉部であって、両端部の間に位置する中間部がその薄肉部よりも内径の小さい肉厚部である中空成形体を形成し、その後、両端部の薄肉部のみを冷間鍛造で中空絞り加工してその両端部の内径を小径にし、それにより中間部の内径を両端部の内径と等しく又は小径にするようにしたものが知られている。
【特許文献1】 実公平7−53792号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した製造方法にあっては、中空成形体の両端部の薄肉中空部のみを冷間鍛造で単に中空絞り加工して所望の形状に成形するものであるから、塑性加工する際の加工量の限界値に左右されることになる。そのため、大きな設備が必要とされたり、大きな加工量と共に精度が要求される中空成形体についてははその製造が困難となるといった問題を有していた。
【0004】
そこで、本発明は両端部を中空状に開放し、中間部を中実のまま残した状態にて両端部の絞り加工を行い、その絞り加工と同時に中間部における中実部分のボリュームを内外両側より積極的に塑性加工することにより、大きな加工量を得ることができると共に、高精度に成形することができる中空成形体の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため本発明は、小径の両端部と大径の中間部とを有し、これら両端部と中間部との中心部に貫通孔が形成されてなる中空成形体の製造方法であって、まず、円柱状の中実素材を冷間で鍛造加工して、中間部が中実で両端部が開放する中空状とした同一外径の一次成形体を形成し、次に、一次成形体の中間部を中実のまま残しながら両端部の絞り加工を行い、その絞り加工と同時に中間部における中実部分のボリュームを内外両側より塑性加工して、中間部が中実で両端部がテーパー部を介して中間部の外径よりも小径の開放する中空状とした二次成形体を形成し、その後、二次成形体の両端部を中間部側に向かって圧縮加工すると同時にその中間部の中実部分のボリュームを内外両側より塑性加工して、中間部が中実部分を残しながら外方に大きく膨出して大径となり、両端部が開放する小径筒状となる三次成形体を形成し、さらに、三次成形体における中間部の中実部分を打ち抜き加工して、両端部と中間部とを貫通する貫通孔が形成された最終中空成形体を形成するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、中実素材を鍛造加工して、中間部が中実で両端部が開放する一次成形体を形成し、次いで、一次成形体の中間部を中実のまま残しながら両端部の絞り加工を行うと同時に中間部における中実部分のボリュームを内外両側より積極的に塑性加工して二次成形体を形成するようにしたから、二次成形体において大きな加工量を得ることができると共に、高精度に鍛造することが可能となる。また、同様に二次成形体を二次成形体の両端部を中間部側に向かって圧縮加工すると同時にその中間部の中実部分を内外両側より積極的に塑性加工して、中間部が中実部分を残しながら外方に大きく膨出して大径となり、かつ両端部が小径筒状を呈する三次成形体を形成するようにしたから、三次成形体についても大きな加工量を得ることができると共に、高精度に鍛造することができる。その後、高精度に成形された三次成形体の中間部の中実部分を打抜加工することにより、三次成形体の精度をそのまま維持した状態で両端部と中間部とを貫通する最終中空成形体を高精度に仕上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図は本発明に係る中空成形体の製造方法を示し、中実の金属製丸棒を所定長さに切断し、図1に示す円柱状の中実素材Aを形成する。
【0008】
次に、中実素材Aを多段式の冷間鍛造機で連続的に鍛造する。
【0009】
鍛造機の1段目では、図2及び図3に示すようにダイ10とパンチ11とにより中実素材Aを据え込み加工して、成形体Bを形成する。
【0010】
鍛造機の2段目では、図4及び図5に示すように成形ピン20aをもつダイ20とパンチ21とにより成形体Bの両端面から穴C3,C3を同軸に設け、中間部C1が中実で両端部C2,C2が開放する中空状とした同一外径の円筒状成形体(一次成形体)Cを形成する。
【0011】
鍛造機の3段目では、図6及び図7に示すように成形ピン30aをもつダイ30と筒状成形部31aをもつパンチ31とにより成形体Cにおける中間部C1の中実部分を残しながら両端部C2,C2を絞り加工して、中間部D1が中実で両端部D2,D2がテーパー状部D4,D4を介して中間部D1の外径よりも小径となる内径の穴D3,D3をもつ中空状とした成形体(二次成形体)Dを形成する。
【0012】
鍛造機の4段目では、図8及び図9に示すように成形ピン40aをもつダイ40と筒状成形部41aをもつパンチ41とにより二次成形体Dの両端部D2,D2を中間部D1側に向かって圧縮すると同時にその中間部D1の中実部分を圧縮して、中間部D1が中実部分を残しながら外方に膨出して大径となるように塑性変形させ、中間部E1が大径かつ中実で、両端部E2,E2の外径が中間部E1両端部E2,E2の外径が中間部E1の外径よりも小径となり、かつ穴E3,E3をもつ中空状とした成形体(三次成形体)Eを形成する。
【0013】
鍛造機の5段目(最終段)では、図10及び図11に示すように打抜ピン50aをもつダイ50と筒状の成形部からなる筒状パンチ51とにより、三次成形体Eの中間部E1における中実部分を打ち抜き加工して、中間部F1の内径と両端部F2,F2における中空状部F3,F3の内径とが同径となり、かつ両端部F2,F2と中間部F1とが内側テーパー状部F5,F5を介してを貫通する貫通孔F6が形成された最終中空成形体Fを形成する。なお、打抜ピン50aにより打ち抜かれた打抜カスF7はパンチ51側に設けられた排出通路51aを介して外部に排出される。
【0014】
以上のように、中実素材Aを鍛造加工して、中間部C1が中実で両端部C2,C2が開放する成形体Cを形成し、次いで、成形体Cの中間部C1を中実のまま残しながら両端部C2,C2の絞り加工を行うと同時に中間部C1における中実部分のボリュームを内外両側より積極的に塑性加工して成形体Dを形成するようにしたから、成形体Dにおいて大きな加工量を得ることができると共に、高精度に鍛造することが可能となる。また、同様に成形体Dの両端部D2,D2を中間部D1側に向かって圧縮加工すると同時にその中間部D1の中実部分を内外両側より積極的に塑性加工して、中間部E1が中実部分を残しながら外方に大きく膨出して大径となり、かつ両端部E2,E2が小径筒状を呈する成形体Eを形成するようにしたから、成形体Eについても大きな加工量を得ることができると共に、高精度に鍛造することができる。その後、高精度に成形された成形体Eの中間部E1の中実部分を打抜加工することにより、成形体Eの精度をそのまま維持した状態で両端部F2,F2と中間部F1とが貫通する最終中空成形体Fを高精度に仕上げることができる。
【0015】
また、図12及び図13は別の実施の形態を示すもので、先に述べた実施の形態の鍛造機の4段目において、成形ピンをもつダイ(図示せず)と筒状成形部をもつパンチ(図示せず)とにより上記した二次成形体Dの両端部D2,D2を中間部D1側に向かって圧縮すると同時にその中間部D1の中実部分を圧縮して、中間部E′1が中実部分を残しながら外方に膨出して大径となるように塑性変形させる際、これと同時に中間部D1の内側中実部分の壁面に上記テーパー部D4,D4の内面を密着させるように塑性変形させたものである。これにより、図12に示すような中間部E′1が大径かつ中実で、両端部E′2,E′2の外径が中間部E′1の外径よりも小径となり、かつ穴E′3,E′3をもつ中空状とした成形体(三次成形体)E′を形成する。
【0016】
その後、鍛造機の5段目(最終段)において、先に述べた実施の形態の鍛造機の5段目の場合と同様に打抜ピンをもつダイ(図示せず)と筒状の成形部からなる筒状パンチ(図示せず)とにより、三次成形体E′の中間部E′1における中実部分を打ち抜き加工する。これにより、図13に示すような中間部F′1の内径と両端部F′2,F′2における中空状部F′3,F′3の内径とが同径となり、かつ両端部F′2,F′2と中間部F′1とを貫通する貫通孔F′6が形成された最終中空成形体F′を形成したものである。また、打抜ピンにより打ち抜かれた打抜カスはパンチ側に設けられた排出通路を介して外部に排出される。
【0017】
この場合にも先の実施の形態の場合と同様の作用効果が得られる。
【0018】
なお、本発明は、以上の二つ実施の形態に限定されるものではなく、例えば、貫通孔F4の内径を両端部F2,F2における中空状部の内径よりも小さく形成してもよいし、また、自動車部品以外の部品としても使用できることは勿論である。
【0019】
また、以上の実施の形態では、5段の鍛造部をもつ鍛造機により説明したけれども、何ら5段に限定されるものではなく、たとえば中実素材Aを据え込み加工して成形体Bを形成する際に、もう一段据え込み工程を加えてより細かく段階的に据え込み加工をするなど鍛造機の段数を適宜増加するようにしてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本発明の製造方法で用いる中実素材の正面図である。によるり製造される洗口液の携行用フィルム容器の正面図である。
【図2】 同製造方法による鍛造の1段目における成形体の正面図である。
【図3】 同1段目における鍛造状態の説明図である。
【図4】 同製造方法による鍛造の2段目における成形体の正面図である。
【図5】 同2段目における鍛造状態の説明図である。
【図6】 同製造方法による鍛造の3段目における成形体の正面図である。
【図7】 同3段目における鍛造状態の説明図である。
【図8】 同製造方法による鍛造の4段目における成形体の正面図である。
【図9】 同4段目における鍛造状態の説明図である。
【図10】 同製造方法による鍛造の最終段における成形体の正面図である。
【図11】 同最終段における打抜状態の説明図である。
【図12】 別の実施の形態による鍛造の4段目における成形体の正面図である。
【図13】 同実施の形態による最終段における成形体の正面図である。
【符号の説明】
【0021】
A 中実素材
B 成形体
B1 中間部
B2,B2 両端部
C 成形体(一次成形体)
C1 中間部
C2,C2 両端部
D 成形体(二次成形体)
D1 中間部
D2,D2 両端部
D4,D4 テーパー部
E 成形体(三次成形体)
E1 中間部
E2,E2 両端部
F 最終中空成形体
F1 中間部
F2,F2 両端部
F6 貫通孔
E′ 成形体(三次成形体)
E′1 中間部
E′2,E′2 両端部
F′ 最終中空成形体
F′1 中間部
F′2,F′2 両端部
F′6 貫通孔
【出願人】 【識別番号】595098066
【氏名又は名称】株式会社岡井鉄工所
【識別番号】597029435
【氏名又は名称】株式会社阪村テクノロジーセンター
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−68314(P2008−68314A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−278126(P2006−278126)