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【発明の名称】 鍛造素材の倒立装置
【発明者】 【氏名】栗原 優介

【氏名】野村 高彦

【要約】 【課題】鍛造素材の倒立を作業性良好に行うことができる簡易な倒立装置を提供する。

【解決手段】シャフト部W1と当該シャフト部W1の一端に熱間鍛造される成形部W2を有する鍛造素材Wの倒立装置であって、基台1と、当該基台1上に軸体32によって垂直面内で回動可能に支持された一端閉鎖の筒状保持部材3とを備え、保持部材3は鍛造素材Wを保持していないときにはその自重によって略水平姿勢に傾倒しているとともに、鍛造素材Wを保持させるとこの時の重心移動によって、鍛造素材Wをその成形部W2が下方に位置する倒立姿勢になるように起立回動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト部と当該シャフト部の一端に熱間鍛造される成形部を有する鍛造素材の倒立装置であって、基台と、当該基台上に軸体によって垂直面内で回動可能に支持された保持部材とを備え、前記保持部材は前記鍛造素材を保持していないときにはその自重によって略水平姿勢に傾倒しているとともに、前記鍛造素材を保持させるとこの時の重心移動によって、前記鍛造素材をその成形部が下方に位置する倒立姿勢になるように起立回動するものである鍛造素材の倒立装置。
【請求項2】
前記保持部材を一端が実質的に閉鎖された筒状に成形し、前記鍛造素材を当該保持部材内に挿入することで保持させるようにした請求項1に記載の鍛造素材の倒立装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は鍛造素材の倒立装置に関し、特に船舶用バルブ等の鍛造素材に好適に使用できる倒立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶用バルブの鍛造素材Wはおよそ図5(1)に示すような外形をしており、長尺のシャフト部W1と、その先端に大径短尺の成形部W2とを備えている。この成形部W2を熱間鍛造でバルブ形状に成形するが、パレットに置かれた際の水平姿勢のままで熱間鍛造を行うと、成形部W2からの熱伝達で加熱され柔軟となったシャフト部W1が下方へ曲がり変形してしまう。そこで、従来はバルブチャージフォークリフトでシャフト部W1を掴んで図5(2)に示すように成形部W2を下方にして一旦床F上に倒立させ、上記フォークリフトでシャフト部W1を掴み直して起立姿勢の状態で下端の成形部W2を熱間鍛造することにより、シャフト部W1の曲がり変形を防止している。
【0003】
なお、特許文献1には、固定アームにリフトシリンダ、水平回転ユニット、垂直回転ユニットを直列に垂設し、垂直回転ユニットに設けたグリッパで長尺木材を掴んでこれを倒立させる装置が示されている。
【特許文献1】特開平2−163297
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記従来の、フォークリフトで鍛造素材を床上に倒立させる方法は、フォークリフトの操作に熟練を要し作業性も悪いという問題があった。また、起立させる際に長尺の鍛造素材が不安定となって横転し易く、フォークリフトの防熱板等を破損するおそれがあるという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、鍛造素材の倒立を作業性良好に行うことができる簡易な鍛造素材の倒立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、シャフト部(W1)と当該シャフト部(W1)の一端に熱間鍛造される成形部(W2)を有する鍛造素材(W)の倒立装置であって、基台(1)と、当該基台(1)上に軸体(32)によって垂直面内で回動可能に支持された保持部材(3)とを備え、保持部材(3)は鍛造素材(W)を保持していないときにはその自重によって略水平姿勢に傾倒しているとともに、鍛造素材(W)を保持させるとこの時の重心移動によって、鍛造素材(W)をその成形部(W2)が下方に位置する倒立姿勢になるように起立回動するものである。
【0007】
本第1発明において、略水平姿勢の保持部材に鍛造素材を保持させると、鍛造素材の重量が加わることによって保持部材全体の重心が移動し、この結果、保持部材が起立回動しする。これにより、保持部材に保持された鍛造素材はその成形部が下方に位置する倒立姿勢に回動させられる。鍛造素材を保持部材に保持させるだけで自動的に倒立姿勢にできるから、従来のようなフォークリフトの熟練操作を必要とせず、安全かつ迅速に作業を行うことができる。また、転倒装置は重心の移動によって作動するから特別な動力や回動機構は必要とせず、簡易かつ安価である。
【0008】
本第2発明では、上記保持部材(3)を一端が実質的に閉鎖された筒状に成形し、鍛造素材(W)を当該保持部材(3)内に挿入することで保持させる。本第2発明では、鍛造素材を保持部材内へ挿入するだけで、簡易かつ確実に鍛造素材を保持させることができる。
【0009】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の鍛造素材の倒立装置によれば、鍛造素材の倒立を作業性良好に行うことができるとともに、構造簡易かつ安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1には倒立装置の前方斜視図を示し、図2にはその平面図を示す、また、図3には倒立装置の正面図を示す。倒立装置Eは基台1を備えており、この基台1は、フレーム材を平面視で四角形に組み合わせた基部11と、当該基部11上の両側に(図3)フレーム材で組み立てられた支持部12とを備えている。両支持部12には対向方向の内方へ突出する受け部13がそれぞれ形成されて、これら受け部13上の対応位置に軸受け部材2が設けられている。
【0012】
左右の軸受け部材2間には保持部材3が配設してある。当該保持部材3は後端閉鎖の筒状体で、前端開口部31はラッパ状に拡開させてある。保持部材3の筒壁には軸方向の中間位置に外方へ向けて軸体32が突設してあり、これら軸体32が上記軸受け部材2に回転可能に支持されている。これにより、保持部材3は垂直面内で回動可能となっており、筒内に何も挿入されていない状態では保持部材3はその自重による重心位置が軸体32よりも前にあるため、その前端開口部31が下降する方向へ付勢されている。このため、保持部材3の開口部31下縁に設けられたストッパ板33が、基部11上に立設された柱状ストッパ体14(図3)上端の緩衝材15に当接して、保持部材3が略水平姿勢に維持されている。
【0013】
転倒装置Eを使用する場合には、バルブチャージフォークリフトでシャフト部W1を掴んで、略水平姿勢の保持部材3内に、成形部W2を先にして鍛造素材Wを挿入する(図4)。このようにすると、大径の成形部W2の重量が印加するために保持部材3全体の重心位置が、軸体32の前方(図4の右方)から軸体32の後方へ移動する。この結果、保持部材3は前端開口部31が上昇する方向へ回動付勢されて図4の鎖線で示すように起立姿勢へ回動し、保持部材3内に挿入された鍛造素材Wは略水平姿勢からその成形部W2が下方に位置する倒立姿勢へ回動させられる。そこで、保持部材3の前端開口部31から突出するシャフト部W1の基端をフォークリフトで掴んで鍛造素材Wを保持部材3から取り出し、倒立姿勢の状態で成形部W2の熱間鍛造を行う。これにより、シャフト部W1の曲がり変形を生じさせることなく成形部W2の熱間鍛造を行うことができる。
【0014】
このようにして、本実施形態の転倒装置Eによれば、鍛造素材Wを保持部材3内へ挿入するだけで自動的に倒立姿勢にさせられるから、従来のようなフォークリフトの熟練操作を必要とせず、安全かつ迅速に作業を行うことができる。また、転倒装置は重心の移動によって作動するから特別な動力や回動機構は必要とせず、したがって簡易かつ安価である。
【0015】
なお、上記実施形態において、保持部材は後端が完全に閉鎖されている必要はなく、挿入された鍛造素材が保持部材内から脱落しないように実質的に閉鎖されていれば良い。また、保持部材は必ずしも筒状である必要はない。さらに、鍛造素材も上記実施形態で説明した形状には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す、倒立装置の前方斜視図である。
【図2】倒立装置の平面図である。
【図3】倒立装置の正面図である。
【図4】倒立装置の動作を説明する側面図である。
【図5】鍛造素材の側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1…基台、3…保持部材、32…軸体、W…鍛造素材、W1…シャフト部、W2…成形部。
【出願人】 【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
【出願日】 平成19年1月30日(2007.1.30)
【代理人】 【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一


【公開番号】 特開2008−183586(P2008−183586A)
【公開日】 平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願番号】 特願2007−18707(P2007−18707)