トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 鍛造機
【発明者】 【氏名】園原 昭三

【要約】 【課題】鍛造加工時の全数検査を高精度に行うことができるとともに、加工時に繰り返し発生する衝撃や振動に対して十分な耐久性能を有する実用的な荷重計を備える鍛造機を提供する。

【解決手段】基台と、該基台に装着された固定金型と、該基台に対して往復動する可動部と、該可動部に装着され対向する該固定金型との間で鍛造加工を行う可動金型と、該可動部を駆動する駆動部と、を備える鍛造機において、前記基台と前記固定金型との間あるいは前記可動部と前記可動金型との間に嵌着されて鍛造加工時の荷重を受ける受圧部材2と、該受圧部材2に貼設され該荷重を電気的特性の変化として検出する荷重検出素子(歪ゲージ32、33)と、該荷重検出素子(歪ゲージ32、33)を電気的に接続する細帯状の薄膜導体と該薄膜導体を保持する可撓性絶縁層とで形成され該受圧部材2に貼設されるフレキシブル配線部材4と、を有する荷重計1を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、該基台に装着された固定金型と、該基台に対して往復動する可動部と、該可動部に装着され対向する該固定金型との間で鍛造加工を行う可動金型と、該可動部を駆動する駆動部と、を備える鍛造機において、
前記基台と前記固定金型との間あるいは前記可動部と前記可動金型との間に嵌着されて鍛造加工時の荷重を受ける受圧部材と、該受圧部材に貼設され該荷重を電気的特性の変化として検出する荷重検出素子と、該荷重検出素子を電気的に接続する細帯状の薄膜導体と該薄膜導体を保持する可撓性絶縁層とで形成され該受圧部材に貼設されるフレキシブル配線部材と、を有する荷重計を備えることを特徴とする鍛造機。
【請求項2】
前記荷重計の前記荷重検出素子は歪ゲージである請求項1に記載の鍛造機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、固定金型と可動金型とによりワークを鍛造加工する鍛造機に関し、より詳細には加工の際に発生する荷重を計測する荷重計に関する。
【背景技術】
【0002】
圧造機やプレス機などの冷間鍛造機では、ダイスと呼ばれる固定金型と、パンチと呼ばれる可動金型との間でワークが鍛造加工され、所定形状の部品が製造されている。固定金型及び可動金型は、製造する部品形状に合わせて交換可能となっている。そして、ワークを金型間に搬入及び搬出するトランスファー装置や、固定金型からワークを押し出すキックアウト装置が付属され、部品を自動的に製造できるように構成されている場合が多い。
【0003】
このような鍛造機では、まず固定金型及び可動金型を装着した時点で試作を行い、金型の装着位置の調整や、可動部を駆動する駆動部の動作量、動作タイミングの調整を行うことが一般的に行われている。また、金型の装着位置の調整を容易にするため、例えば特許文献1に開示されるように、位置検出装置を搭載することも行われている。特許文献1の位置検出装置およびプレス成形装置は本願出願人の出願による発明であり、可動金型の二次元位置を検出することにより、固定金型との芯合わせの調整作業を容易にしている。
【0004】
調整作業が終了すると部品製造に移るが、多数の部品を製造する途中では随時部品の抜き取り検査を行って鍛造加工の実施状況を確認するのが一般的となっている。そして、寸法不良などの不具合が生じないか監視するとともに、必要に応じて再調整や摩耗した金型の交換を行っている。近年では、可動金型あるいは可動部全体の往復動の変位量を検出して、加工が終了する前死点位置を測定し、鍛造加工の良否を判定することも行われている。さらには、荷重計を組み込んで、加工の際に発生する荷重の大きさを計測し、鍛造加工の実施状況を確認することも行われている。
【特許文献1】特許第3035175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の抜き取り検査による確認方法では、万一鍛造機に不具合の生じたときに、多数の不良部品を製造してしまうおそれがある。また、トランスファー装置などの偶発的な要因により、ワークの掴み落としによる空打ち加工や、2個を重ねた重ね打ち加工、姿勢不良状態での加工などが生じ、不良部品が混入してしまうおそれも皆無とは言えない。さらには、ワーク原材の寸法不良や形状不良に起因する不具合も起こり得る。
【0006】
不良部品を確実に検出するためには、抜き取り検査ではなく、前死点位置を測定する方法や荷重計による荷重計測などの全数検査が必要である。しかしながら、前死点位置を測定するだけでは、鍛造加工の途中の状況が不明であり、万全な良否判定は難しい。一方、荷重計には歪ゲージが一般的に用いられ、鍛造加工の実施状況を連続的に確認できる点で優れている。しかしながら、歪ゲージは荷重を受ける金型近傍の部材に配設する必要があり、加工時に繰り返し発生する衝撃や振動によって、ゲージとリード線とのはんだ付け接続部に過大な応力が集中して損傷しやすく、実用上使いづらいという問題点がある。
【0007】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、鍛造加工時の全数検査を高精度に行うことができるとともに、加工時に繰り返し発生する衝撃や振動に対して十分な耐久性を有する実用的な荷重計を備える鍛造機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鍛造機は、基台と、該基台に装着された固定金型と、該基台に対して往復動する可動部と、該可動部に装着され対向する該固定金型との間で鍛造加工を行う可動金型と、該可動部を駆動する駆動部と、を備える鍛造機において、前記基台と前記固定金型との間あるいは前記可動部と前記可動金型との間に嵌着されて鍛造加工時の荷重を受ける受圧部材と、該受圧部材に貼設され該荷重を電気的特性の変化として検出する荷重検出素子と、該荷重検出素子を電気的に接続する細帯状の薄膜導体と該薄膜導体を保持する可撓性絶縁層とで形成され該受圧部材に貼設されるフレキシブル配線部材と、を有する荷重計を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、鍛造機に設けた荷重計の荷重検出素子をフレキシブル配線部材で接続し、耐衝撃性、耐振動性を向上して実用性を高めたことを特徴としており、基台、可動部、固定金型、可動金型、駆動部、からなる鍛造機の基本的な構成は従来の構造を踏襲することができる。言うまでもなく、ワークを順次搬送するトランスファー装置や、固定金型からワークを押し出すキックアウト装置などを備えてもよい。
【0010】
荷重計は、受圧部材と、複数個の荷重検出素子と、フレキシブル配線部材と、を有している。受圧部材は、基台と固定金型との間あるいは可動部と可動金型との間に嵌着されて鍛造加工時の荷重を受ける部材である。受圧部材は、固定金型と可動金型との間でワークを鍛造加工する際に発生する荷重を直接的に受けられることが好ましく、例えばどちらかの金型の後方位置に配置することができる。また、受圧部材は、荷重の大きさに対して変形量が直線的に変化することが好ましく、例えば金属製部材を用いることができる。荷重検出素子は受圧部材に貼設され、加えられた荷重を電気的特性の変化として検出するものである。
【0011】
前記荷重計の前記荷重検出素子は歪ゲージであることが好ましい。
【0012】
歪ゲージは百万分の一オーダ程度の伸縮変形を抵抗値変化として検出するものであり、抵抗値変化を測定することにより、加えられた荷重を求めることができる。歪みゲージは、受圧部材の伸縮する面に接着剤などで貼付して固定することができる。歪ゲージの使用数は1個でもよいが、検出感度の向上、安定化を図るために複数個使用することができる。例えば、4個の歪ゲージをブリッジ接続して使用することができる。
【0013】
フレキシブル配線部材は、荷重検出素子を電気的に接続する部材である。フレキシブル配線部材は、細帯状の薄膜導体と、薄膜導体を保持する可撓性絶縁層と、を一体に成形加工して構成することができる。薄膜導体は、荷重検出素子を所定の回路構成に配線接続するものであり、金属製の導電材料で形成することができる。可撓性絶縁層は、薄膜導体を片面から保持あるいは層間に挟み込むことにより、電気的な絶縁を確保するとともに、機械的な外力から保護する機能を有しており、軟質樹脂などで形成することができる。
【0014】
フレキシブル配線部材は、その可撓性により受圧部材の表面に沿わせて密着させることができ、荷重検出素子を巡り渡るように、接着剤などで貼設することができる。そして、薄膜導体の端部を荷重検出素子の端子に、例えばはんだ付けで接続することができる。
【0015】
荷重計は、荷重検出素子の電気的特性の変化を検出するために電源部や検出部を備え、また、検出結果を表示する表示部を備えることができる。荷重検出素子に歪ゲージを用いる場合、ゲージの抵抗値変化を検出するために入力電圧を印加して測定を行うことが必要であり、一般的な市販の荷重計測ユニットを適用することができる。さらに、得られた荷重値を記録し、また基準値と比較して異常の有無を判定するために、マイクロコンピュータを応用したデータ処理装置を設けるようにしてもよい。
【0016】
次に、上述のように構成された本発明の鋳造機の動作、作用について説明する。固定金型及び可動金型が装着、調整されて鍛造機が動き始めると、まず金型間にワークが搬入される。次に、可動金型が後死点から前死点に向けて移動を開始し、移動の途中の鍛造開始点でワークに当接し、以降はワークを固定金型に圧接して鍛造加工をしながら進む。そして、可動金型が前死点に到達した時点で加工作業は終了し、加工されたワークは搬出され、可動金型は後死点に戻って、鍛造加工の1サイクルが終了する。このサイクル中で、可動金型が鍛造開始点から前死点まで進む範囲で、荷重が発生する。
【0017】
発生した荷重は受圧部材に伝わり、受圧部材は荷重の作用する可動金型の往復動の方向に圧縮され、直交する方向は膨張する。したがって、受圧部材の表面に貼設されている荷重検出素子も受圧部材と一体に変形して電気的特性が変化し、歪ゲージの場合には抵抗値が変化する。電気的特性の変化は、検出部で検出されて荷重値に換算される。そして、鍛造加工の各サイクルで得られる荷重値を、例えば設計上の基準値あるいは初回加工時の初期値と比較することにより、鍛造加工が良好に行われているか否かを判定することができる。この判定は作業者が行ってもよく、あるいはデータ処理装置で自動的に行うようにすることもできる。
【0018】
一方、鍛造加工の各サイクルでは衝撃や振動が発生し、受圧部材や荷重検出素子にも伝搬する。このとき、荷重検出素子とフレキシブル配線部材とは受圧部材に貼設されて安定しているため、素子の端子と薄膜導体との間のはんだ付け接続部には過大な応力は発生しない。したがって、繰り返される衝撃や振動に対して荷重計は十分な耐久性を有し、実用性能が高い。
【0019】
なお、上述の説明では固定金型及び可動金型は各1個で単一の鍛造加工を行うものとしたが、本発明は複数組の金型を備えて多段加工を行う鍛造機にも適用することができる。すなわち、金型各組それぞれに上述の荷重計を備えることにより、金型各組の鍛造加工の実施状況を確認することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の鍛造機によれば、荷重検出素子をフレキシブル配線部材で接続した荷重計を備えるので、全数検査を行うことができ、かつ鍛造加工時に繰り返し発生する衝撃や振動に対して十分な耐久性を有する。とりわけ、荷重検出素子に歪ゲージを用い、ブリッジ接続した態様では、高い検出精度での良否判定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図4を参考にして説明する。図1は、鍛造機の一種である圧造機の可動部を説明する側面断面図である。可動部9は、図略の駆動部により図中左方向から右方向に駆動されて、圧造加工を行うようになっている。可動部9の図中右側にはパンチホルダ96が設けられ、パンチホルダ96は符号略の調節機構により図中上下方向及び紙面表裏方向の位置が調節されるようになっている。パンチホルダ96の中央には略円筒状の装着孔が形成されてパンチ93が装着保持され、図中右方向のダイスと軸心を共有して対向するように配置されている。パンチ93は可動金型に相当する部材であり、軸心に所定形状の加工型が形成されて、ダイスとの間でワークを圧造加工するようになっている。
【0022】
パンチホルダ96及びパンチ93の左側には位置調整ライナー98が設けられており、位置調整ライナー98はさらに左側の位置調整部材99と、傾斜したテーパ面で摺接されている。そして、位置調整ライナー98と位置調整部材99とがテーパ面で上下に摺動することにより左右方向の寸法が調整できるようになっている。位置調整ライナー98は、パンチ93の後方に接して配置されており、圧造加工時の荷重を受けるようになっている。
【0023】
本発明では、この位置調整ライナー98を受圧部材として用い、荷重計を構成することができる。図2は、本発明の実施例で、圧造機に備えられた荷重計を説明する図である。荷重計1は、受圧部材2と、4個の歪ゲージ31〜34と、フレキシブル配線部材4と、図示されていない計測表示部と、で構成されている。受圧部材2は、若干形状は異なるが図1の位置調整ライナー98に相当する部材であり、金属製の略円柱状体を原材とし、側面4箇所が平面に切削されて形成されている。受圧部材2の図中右側にはパンチ93と係合するための係合部21が形成され、左側にはテーパ面23が形成され、軸心部分は穿孔されている。さらに、受圧部材2の軸方向中央の外周には周方向の溝部22が形成され、溝部22の軸と直交する断面は略八角形となっている。
【0024】
歪ゲージ31〜34には、直交する2方向にそれぞれ素子をもつ4端子タイプのゲージが用いられている。歪ゲージ31〜34は、受圧部材2の溝部22の八角形断面の底面に一つおきに合計4個、軸長方向及びその直交方向に向きを揃えて貼設されている。
【0025】
フレキシブル配線部材4は、4個の歪ゲージ31〜34をブリッジ接続する部材である。図3は、フレキシブル配線部材4を説明する部品図である。図示されるように、フレキシブル配線部材4は、帯状の可撓性絶縁層41を基体とし、4箇所にゲージ配置孔421〜424が形成され、層の中間には複数本の細帯状の薄膜導体43(図中黒の塗りつぶし)が挟持されている。さらに、フレキシブル配線部材4の中央付近には、薄膜導体43を計測表示部に接続するための4個のブリッジ端子441〜444が形成されている。フレキシブル配線部材4は、図2に示されるように、受圧部材2の溝部22の底面を巡り渡って鉢巻き状に配設され、各ゲージ配置孔421〜424内に歪ゲージ31〜34が配置されるように貼付されている。そして、薄膜導体43の端部と各歪ゲージ31〜34の端子とは、はんだ付け接続されている。
【0026】
なお、フレキシブル配線部材4及び歪ゲージ31〜34の外表面には樹脂がマウント硬化されて、耐衝撃性及び耐環境性が向上され、かつ電気絶縁が確実なものとされている。
【0027】
次に、図4を参考にして、歪ゲージ31〜34のブリッジ接続について説明をする。図4は、4個の歪ゲージ31〜34の結線方法を説明する図であり、(A)は計測表示部5を基準とした結線図、(B)はブリッジ回路に書き換えた結線図である。図中で、各歪ゲージ31〜34のもつ2素子のうち軸長方向の素子には矢印を付し、直交方向の素子は無印としてある。
【0028】
図4(A)に示されるように、計測表示部5の2つの電圧入力端子I1、I2は、フレキシブル配線部材4のブリッジ端子441、442に接続されて、入力電圧VIが印加される。計測表示部5の2つの出力端子O1、O2は、ブリッジ端子443、444に接続されて、発生している荷重に応じた出力電圧VOが検出されるようになっている。図4(A)を分かりやすく書き換えたものが(B)であり、図示されるようにブリッジ回路に結線されている。すなわち、歪ゲージ31〜34の4個の軸長方向の素子は、ブリッジ回路の向かい合う二辺に2個ずつ配置され、4個の直交方向の素子は、別の向かい合う二辺に2個ずつ配置されている。
【0029】
上述の実施例の圧造機の荷重計1では、圧造加工時に受圧部材2が圧縮方向の荷重を受けると、軸長方向に圧縮変形し、径方向には膨張変形して外周長は増加する。このため、各歪ゲージ31〜34の軸長方向の素子と直交方向の素子とで、抵抗値は異符号に変化する。すなわち、一方の抵抗値が増加し、他方の抵抗値は減少する。したがって、ブリッジ回路の原理により、抵抗値の変化が高感度に検出され、荷重値は高精度に求められる。
【0030】
実施例の圧造機の荷重計1では、歪ゲージ31〜34は、受圧部材2に貼設されたフレキシブル配線部材4によって電気的に接続されている。したがって、圧造加工時に衝撃や振動が発生しても、通常のリード線の場合と違い、歪ゲージ31〜34と薄膜導体43とのはんだ付け接続点に過大な応力が発生することはなく、十分な耐久性を有している。通常のリード線を用いた場合、衝撃や振動によりリード線が揺動して接続点に応力を発生させるため、繰り返し疲労による損傷を引き起こすおそれがある。実施例の荷重計1の信頼性は従来よりも向上し、実用性は格段に高められている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】鍛造機の一種である圧造機の可動部を説明する側面断面図である。
【図2】本発明の実施例で、圧造機に備えられた荷重計を説明する図である。
【図3】図2の実施例において、フレキシブル配線部材を説明する部品図である。
【図4】図2の実施例において、4個の歪ゲージの結線方法を説明する図であり、(A)は計測表示部を基準とした結線図、(B)はブリッジ回路に書き換えた結線図である。
【符号の説明】
【0032】
1:荷重計
2:受圧部材
21:係合部 22:溝部 23:テーパ面
31〜34:歪ゲージ(荷重検出素子)
4:フレキシブル配線部材
41:可撓性絶縁層 421〜424:ゲージ配置孔
43:薄膜導体 441〜444:ブリッジ端子
5:計測表示部
9:圧造機の可動部
93:パンチ(可動金型) 96:パンチホルダ
98:位置調整ライナー 99:位置調整部材
【出願人】 【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
【出願日】 平成19年1月9日(2007.1.9)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏


【公開番号】 特開2008−168305(P2008−168305A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−1774(P2007−1774)