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【発明の名称】 自由鍛造プレス機の衝撃抑制システム
【発明者】 【氏名】畠中 幸喜

【氏名】中里 康弘

【要約】 【課題】被鍛造材に上金敷が衝突したときに発生する振動が抑制される自由鍛造プレス機の振動抑制システムを提供する。

【解決手段】自由鍛造プレス機の衝撃抑制システムは、上金敷28の下降速度を変化させる油圧供給装置22と、上金敷28の上下方向位置を検知する位置検知装置32と、被鍛造材26から放射された電磁波を受けて電気信号に変換するカメラ40と、電気信号に基づき被鍛造材26の上端の位置を検知する画像処理装置42と、位置検知装置32により検知された上金敷28の上下方向位置及び画像処理装置42により検知された被鍛造材26の上端の位置に基づき、上金敷28が被鍛造材26に衝突するよりも前に上金敷28の下降速度が規制速度以下になるよう油圧供給装置22を制御する制御装置30とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由鍛造プレス機の下金敷上に載置された被鍛造材と上金敷との衝突により発生する衝撃を抑制する自由鍛造プレス機の衝撃抑制システムであって、
前記上金敷の下降速度を変化させる下降速度可変装置と、
前記上金敷の上下方向位置を検知する位置検知装置と、
前記被鍛造材から放射された電磁波を受けて電気信号に変換するカメラと、
前記電気信号に基づき前記被鍛造材の上端の位置を検知する画像処理装置と、
前記位置検知装置により検知された前記上金敷の上下方向位置及び前記画像処理装置により検知された前記被鍛造材の上端の位置に基づき、前記上金敷が前記被鍛造材に衝突するよりも前に前記上金敷の下降速度が規制速度以下になるよう前記下降速度可変装置を制御する制御装置と
を備えることを特徴とする自由鍛造プレス機の衝撃抑制システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記位置検知装置により検知された前記上金敷の上下方向位置と前記画像処理装置により検知された前記被鍛造材の上端の位置との距離が設定値以下になったとき前記上金敷の下降速度が前記規制速度以下になるよう前記下降速度可変装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の自由鍛造プレス機の衝撃抑制システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自由鍛造プレス機の衝撃抑制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自由鍛造プレス機は、鋼塊を種々の形状に成形するのに用いられ、被鍛造材を上下方向に挟む下金敷及び上金敷を備える。下金敷は、基礎面に据え付けられたベッドに固定されるのに対し、上金敷は上下に移動可能である(例えば特許文献1参照)。
上金敷の下降速度は例えば4段階に可変であり、作業者が手動で自動鍛造プレス機を操作する場合、まず、被鍛造材の上端近傍まで上金敷を最大速度で下降させる。この後、上金敷の下降速度をより低速に切換えてから、上金敷を被鍛造材に押し付け、被鍛造材を圧縮する。
【特許文献1】特開2001-58237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自由鍛造プレス機を作業者が手動で操作する場合、被鍛造材に対して上金敷を最大速度で衝突させてしまい、大きな振動が発生することがある。
本発明は、上述した事情に基づいてなされ、その目的とするところは、被鍛造材に上金敷が衝突したときに発生する振動が抑制される自由鍛造プレス機の振動抑制システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、自由鍛造プレス機の下金敷上に載置された被鍛造材と上金敷との衝突により発生する衝撃を抑制する自由鍛造プレス機の衝撃抑制システムであって、前記上金敷の下降速度を変化させる下降速度可変装置と、前記上金敷の上下方向位置を検知する位置検知装置と、前記被鍛造材から放射された電磁波を受けて電気信号に変換するカメラと、前記電気信号に基づき前記被鍛造材の上端の位置を検知する画像処理装置と、前記位置検知装置により検知された前記上金敷の上下方向位置及び前記画像処理装置により検知された前記被鍛造材の上端の位置に基づき、前記上金敷が前記被鍛造材に衝突するよりも前に前記上金敷の下降速度が規制速度以下になるよう前記下降速度可変装置を制御する制御装置とを備えることを特徴とする自由鍛造プレス機の衝撃抑制システムが提供される(請求項1)。
【0005】
好ましくは、前記制御装置は、前記位置検知装置により検知された前記上金敷の上下方向位置と前記画像処理装置により検知された前記被鍛造材の上端の位置との距離が設定値以下になったとき前記上金敷の下降速度が前記規制速度以下になるよう前記下降速度可変装置を制御する(請求項2)。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1の自由鍛造プレス機の衝撃抑制システムでは、制御装置が、位置検知装置により検知された上金敷の上下方向位置及び画像処理装置により検知された被鍛造材の上端の位置に基づき、上金敷が被鍛造材に衝突するよりも前に上金敷の下降速度が規制速度以下になるよう下降速度可変装置を制御する。このため、被鍛造材に対して規制速度を超える下降速度で上金敷が衝突することが防止され、衝突により発生する振動の大きさが抑制される。
【0007】
請求項2の自由鍛造プレス機の衝撃抑制システムでは、制御装置が、上金敷と被鍛造材の上端との距離が設定値以下になると上金敷の下降速度が規制速度以下になるよう下降速度可変装置を制御する。これにより、被鍛造材に対して規制速度を超える下降速度で上金敷が衝突することが確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、自由鍛造プレス機の概略構成を示す。
自由鍛造プレス機は、地盤に据え付けられたベッド10を有し、ベッド10は、互いに平行な2本の支柱12によって貫通されている。支柱12の上端同士は上フレーム14によって連結され、支柱12の下端同士は下フレーム16によって連結されている。ベッド10と下フレーム16との間にはメインシリンダ18及びリフトシリンダ20が配置され、これらのメイン及びリフトシリンダ18,20には油圧供給装置22が接続されている。油圧供給装置22によって油圧の給排を受けることで、メインシリンダ18及びリフトシリンダ20は伸縮し、下フレーム16の押し下げ又は引き上げを実行する。
【0009】
ベッド10の上にはそれぞれの用途に適した下金敷24が載置され、下金敷24の上には被鍛造材26が配置される。一方、上フレーム14の下側には上金敷28が固定され、上金敷28は下金敷24の上方に位置している。上金敷28は、メインシリンダ18及びリフトシリンダ20によって下フレーム16が上下動させられるのに伴って上下動し、下降するときに下金敷24と協働して被鍛造材26を圧縮(鍛造)する。
【0010】
油圧供給装置22には、自由鍛造プレス機の運転を制御する制御装置30が接続されている。制御装置30は、予め設定されたプログラムに基づいて自由鍛造プレス機の運転を自動的に制御することもできるが、制御装置30を手動で操作することにより、作業者が運転を任意に制御することもできる。
上金敷28の下降速度は、制御装置30を介して油圧供給装置22の設定を変更することで可変であり、油圧供給装置22の設定は、例えば高速下降モード、高速加圧モード、低速下降モード及び低速加圧モードの4つのモードから選択される。上金敷28の下降速度は、高速下降モードで最大であり、以下、高速加圧モード、低速下降モード及び低速加圧モードの順である。
【0011】
また、プレス機には、上金敷28の上下方向での位置を検知するための位置検知装置32が設けられており、位置検知装置32は上フレーム14に連結されたラック34を有する。ラック34にはピニオン36が噛み合わされ、ピニオン36の回転は例えばロータリエンコーダ38により検知される。すなわち、この位置検知装置32は、ピニオン36の回転を検知することで、上金敷28の上下方向位置を検知する。位置検知装置32は電気的に制御装置30に連結され、位置検知装置32により検知された上金敷28の上下方向位置は制御装置30に入力される。
【0012】
以下、自由鍛造プレス機に適用された、一実施形態の衝撃抑制システムについて説明する。
衝撃抑制システムは、被鍛造材26の上端を含む領域Aを撮影可能なカメラ(撮影装置)40を備える。例えばカメラ40は、被鍛造材26の斜め前方に配置され、好ましくは、自由鍛造プレス機との間がガラス等で仕切られた制御室内に配置される。カメラ40は、被鍛造材26から放射される電磁波を受けて電気信号に変換する素子を有し、カメラ40によれば、複数の画素からなる領域Aの画像が得られる。
【0013】
カメラ40の素子は、電磁波としての可視光や赤外光の感度を有していればよく、例えばCCD(電荷結合素子)を用いることができる。可視光の場合には、明度測定用カメラ単体又は輝度測定用のカメラと明度測定用のカメラとを併用して用いることができ、赤外光の場合は、サーモグラフィ(温度測定)用のカメラと明度測定用のカメラとを併用して用いることができる。なお、被鍛造材26の表面が黒い場合には、輝度測定用又はサーモグラフィ用のカメラと明度測定用のカメラとを併用して用いるのが好ましい。
【0014】
カメラ40は、画像処理装置42に接続され、画像処理装置42は、カメラ40によって得られた電気信号に基づいて、被鍛造材26の上端の位置を検知する。すなわち、画像処理装置42は、カメラ40の画像を二値化処理して、被鍛造材26の上端の位置を検知する。
好ましくは、画像処理装置42は、二値化処理に用いる画素を限定する機能を有し、図2に例示したように、被鍛造材26の幅に対応する一点鎖線区画Bに囲まれた画素によって、被鍛造材26の上端の位置を検知する。
【0015】
画像処理装置42は、制御装置30と電気的に接続され、画像処理装置42により検知された被鍛造材26の上端の位置は、制御装置30に入力される。制御装置30は、作業者が手動でプレス機を運転し、且つ、上金敷28を最大速度、即ち高速下降モードで下降させ材料衝突手前設定位置以下となった時に、作業者の指示とは無関係に、上金敷28が最大速度のまま被鍛造材26に衝突しないように油圧供給装置22を制御する。換言すれば、制御装置30は、上金敷28が被鍛造材26に衝突するよりも前に、上金敷28の下降速度が規制速度以下、例えば0.1m/秒以下になるよう油圧供給装置22を制御する。
【0016】
好ましくは、制御装置30は、位置検知装置32によって検知された上金敷28の上下方向位置と画像処理装置42によって検知された被鍛造材26の上端との距離が設定値以下になったとき、上金敷28の下降速度を高速加圧モードの下降速度以下に減速させる。
上述した衝撃抑制システムによれば、制御装置30が、位置検知装置32により検知された上金敷28の上下方向位置及び画像処理装置42により検知された被鍛造材26の上端の位置に基づき、上金敷28が被鍛造材26に衝突するよりも前に上金敷28の下降速度が規制速度以下になるよう油圧供給装置22(下降速度可変装置)を制御する。このため、被鍛造材26に対して規制速度を超える下降速度で上金敷28が衝突することが防止され、衝突により発生する振動の大きさが抑制される。
【0017】
また、上述した衝撃抑制システムでは、制御装置30が、上金敷28と被鍛造材26の上端との距離が設定値以下になると上金敷28の下降速度が規制速度以下になるよう油圧供給装置22を制御する。これにより、被鍛造材26に対して規制速度を超える下降速度で上金敷28が衝突することが確実に防止される。
なお、設定値の最適な値は、自由鍛造プレス機の周囲の照度、上金敷28の下降速度及び画像処理装置42の識別精度等によって変わるけれども、設定値は、例えば100mm以上300mm以下に設定される。
【0018】
更に、上述した衝撃抑制システムの画像処理装置42では、明度測定用カメラ40の使用により二値化処理に用いる画素を限定することで、被鍛造材26の上端の位置検出精度を向上させ、また、一点鎖線区画Bの範囲を調整することにより、建物内の照明等の外乱の影響を抑えて被鍛造材26の上端の位置を確実に検知することができる。
また更に、上述した衝撃抑制システムの画像処理装置42では、カメラ40が制御室内に配置されることで、カメラ40の損傷が抑制される。
【0019】
本発明は上記した一実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、一実施形態の衝撃抑制システムが適用された自由鍛造プレス機は、ベッド10に対して支柱12も上下動するプルダウン型であったけれども、上フレームが支柱に対して上下動するプッシュダウン型であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態の衝撃抑制システムを適用した自由鍛造プレス機の概略構成を示す図である。
【図2】図1のシステムに用いられたカメラにより撮影された領域Aの画像を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0021】
22 油圧供給装置(下降速度可変装置)
26 被鍛造材
28 上金敷
32 位置検知装置
40 カメラ
42 画像処理装置
【出願人】 【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
【出願日】 平成19年1月9日(2007.1.9)
【代理人】 【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二

【識別番号】100116447
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 純一


【公開番号】 特開2008−168303(P2008−168303A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−1248(P2007−1248)