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筒状素材の据え込み加工方法 - 特開2008−119734 | j-tokkyo
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【発明の名称】 筒状素材の据え込み加工方法
【発明者】 【氏名】大滝 篤史

【要約】 【課題】筒状素材の座屈を防止する心金を、筒状素材の中空部内に容易に挿入配置することができる筒状素材の据え込み加工方法を提供する。

【解決手段】心金40の第1拘束部41は剛性体製である。心金40の第2拘束部42はゴム弾性体製である。第2拘束部42の直径は、素材1の非加工予定部3の内径よりも小さく設定されている。この心金40を素材1の加工予定部2及び非加工予定部3の中空部内に挿入配置する。次いで、心金40の第2拘束部42をその軸方向に加圧圧縮することにより、素材1の非加工予定部3の内周面3aを心金40の第2拘束部42の周面で拘束する。この状態で、素材1の加工予定部3をその軸方向にパンチ30で加圧しながら、ガイド20をパンチ30の移動方向とは反対方向に移動させることにより、素材1の加工予定部2を、成形凹部12内で肉厚が増加するように外側に膨出させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状素材の加工予定部及び非加工予定部の中空部内に心金を挿入配置することにより、素材の加工予定部及び非加工予定部の内周面を心金の周面で拘束するとともに、
素材の非加工予定部を拘束ダイに設けられた拘束孔内に配置することにより、素材の非加工予定部の外周面を拘束孔の周面で拘束し、
且つ、素材の加工予定部を拘束ダイの端部に設けられた成形凹部内に配置するとともに、
素材の加工予定部をガイドに設けられた挿通孔内に配置することにより、素材の加工予定部の外周面を挿通孔の周面で拘束し、
次いで、素材の加工予定部をその軸方向にパンチで加圧しながら、ガイドをパンチの移動方向とは反対方向に移動させることにより、素材の加工予定部を成形凹部内で肉厚が増加するように外側に膨出させる、筒状素材の据え込み加工方法において、
心金は、素材の加工予定部の内周面を拘束する剛性体製の第1拘束部と、素材の非加工予定部の内周面における少なくとも加工予定部の近傍部分を拘束するゴム弾性体製の第2拘束部と、を有しており、
心金の第1拘束部は、素材の加工予定部の中空部内に適合して挿入配置可能であり、
心金の第2拘束部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されており、
心金を素材の加工予定部及び非加工予定部の中空部内に挿入配置することにより、素材の加工予定部の内周面を心金の第1拘束部の周面で拘束するとともに、
心金の第2拘束部をその軸方向に加圧圧縮することにより、素材の非加工予定部の内周面における少なくとも加工予定部の近傍部分を心金の第2拘束部の周面で拘束し、
この状態で、前記据え込み加工を行うことを特徴とする筒状素材の据え込み加工方法。
【請求項2】
心金の第2拘束部は、素材の非加工予定部の内周面における加工予定部の近傍部分だけを拘束するものであり、
素材の非加工予定部に対して加工予定部とは反対側の端部を素材の軸方向に受ける受け部材に、素材の非加工予定部の中空部内に配置され、心金の第2拘束部をその軸方向に受ける受け突部が一体に設けられており、
受け部材の受け突部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されている請求項1記載の筒状素材の据え込み加工方法。
【請求項3】
心金は、第1拘束部と第2拘束部とに分離可能であり、
心金の第1拘束部の端面に、略球状の連結突部が一体に突設されるとともに、
心金の第2拘束部の端面に、連結突部に対応する連結凹部が設けられ、
連結突部が連結凹部内に嵌合されることにより、心金の第1拘束部と第2拘束部とが互いに分離可能に連結されている請求項1又は2記載の筒状素材の据え込み加工方法。
【請求項4】
筒状素材の加工予定部及び非加工予定部の中空部内に配置され、素材の加工予定部及び非加工予定部の内周面を拘束する心金と、
拘束孔を有するとともに、該拘束孔内に配置された素材の非加工予定部の外周面を拘束孔の周面で拘束する拘束ダイと、
拘束ダイの端部に設けられた成形凹部と、
挿通孔を有するとともに、該挿通孔内に配置された素材の加工予定部の外周面を挿通孔の周面で拘束するガイドと、
素材の加工予定部をその軸方向に加圧するパンチと、を備え、
素材の加工予定部をその軸方向にパンチで加圧しながら、ガイドをパンチの移動方法とは反対方向に移動させることにより、素材の加工予定部を成形凹部内で肉厚が増加するように外側に膨出させるように構成された筒状素材の据え込み加工装置において、
心金は、素材の加工予定部の内周面を拘束する剛性体製の第1拘束部と、素材の非加工予定部の内周面における少なくとも加工予定部の近傍部分を拘束するゴム弾性体製の第2拘束部と、を有しており、
心金の第1拘束部は、素材の加工予定部の中空部内に適合して挿入配置可能であり、
心金の第2拘束部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されており、
心金の第2拘束部をその軸方向に加圧圧縮する心金加圧手段を備えていることを特徴とする筒状素材の据え込み加工装置。
【請求項5】
心金の第2拘束部は、素材の非加工予定部の内周面における加工予定部の近傍部分だけを拘束するものであり、
素材の非加工予定部に対して加工予定部とは反対側の端部を素材の軸方向に受ける受け部材に、素材の非加工予定部の中空部内に配置され、心金の第2拘束部をその軸方向に受ける受け突部が一体に設けられており、
受け部材の受け突部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されている請求項4記載の筒状素材の据え込み加工装置。
【請求項6】
心金は、第1拘束部と第2拘束部とに分離可能であり、
心金の第1拘束部の端面に、略球状の連結突部が一体に突設されるとともに、
心金の第2拘束部の端面に、連結突部に対応する連結凹部が設けられ、
連結突部が連結凹部内に嵌合されることにより、心金の第1拘束部と第2拘束部とが互いに分離可能に連結されている請求項4又は5記載の筒状素材の据え込み加工装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状素材の所定部位を肉厚が増加するように外側に膨出させる筒状素材の据え込み加工方法及び筒状素材の据え込み加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、据え込み加工は、棒状の素材の加工予定部をその軸方向に加圧することにより、素材の加工予定部を拡径するものである。この据え込み加工において、加工時に素材の加工予定部が座屈すると、得られる製品(即ち据え込み加工品)は形状不良(しわ、かぶりきず等)となり、製品としての価値が損なわれる。そこで、素材の加工予定部が座屈しないようにするため、従来、次のような据え込み加工方法が知られている。
【0003】
すなわち、素材を固定ダイに固定するとともに、素材の加工予定部をガイドに設けられた挿通孔内に挿通することにより素材の加工予定部を座屈阻止状態に保持する。次いで、素材の加工予定部をその軸方向にパンチで加圧しながら、ガイドをパンチの移動方向とは反対方向に移動させることにより、ガイドの先端部と固定ダイとの間に露出する素材の加工予定部を拡径する方法である(例えば、特許文献1−3参照)。
【0004】
上記の据え込み加工方法は、中実の棒状素材を加工する場合に適用されている。
【0005】
また、素材が中実ではなく筒状である場合、本出願人は次のような据え込み加工方法を提案した。
【0006】
すなわち、筒状素材の加工予定部及び非加工予定部の中空部内に心金を挿入配置することにより、素材の加工予定部及び非加工予定部の内周面を心金の周面で拘束する。また、素材の非加工予定部を拘束ダイに設けられた拘束孔内に配置することにより、素材の非加工予定部の外周面を拘束孔の周面で拘束する。また、素材の加工予定部を拘束ダイの端部に設けられた成形凹部内に配置する。さらに、素材の加工予定部をガイドに設けられた挿通孔内に配置することにより、素材の加工予定部の外周面を挿通孔の周面で拘束する。次いで、素材の加工予定部をその軸方向にパンチで加圧しながら、ガイドをパンチの移動方向とは反対方向に移動させることにより、素材の加工予定部を成形凹部内で肉厚が増加するように外側に膨出させる方法である(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
この据え込み加工方法では、加工時に素材の一部が内側に座屈するのを心金によって防止することができ、もって高品質の筒状据え込み加工品を製造できるという利点がある。
【特許文献1】特開昭48−62646号公報
【特許文献2】特開平9−253782号公報
【特許文献3】特開2003−290862号
【特許文献4】国際公開第2006/080503号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の筒状素材の据え込み加工方法には次の難点があった。
【0009】
すなわち、心金はその周面で素材の加工予定部及び非加工予定部の内周面を拘束できるように、心金の直径は該心金の全長に亘って素材の加工予定部及び非加工予定部の内径と略等しく設定されている。そのため、心金を素材の中空部内に挿入配置する際に、心金の周面に素材の内周面から非常に大きな摩擦力が作用し、その結果、心金を素材の中空部内に挿入するのが困難であった。特に、素材の長さが長い場合には、心金の挿入がとても困難であった。さらに、加工後においては、心金を素材(即ち据え込み加工品)の中空部内から抜出するのが困難であった。
【0010】
この発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、筒状素材の座屈を防止するための心金を、筒状素材の中空部内に容易に挿入配置することができる筒状素材の据え込み加工方法、及び、該据え込み加工方法に好適に用いることができる筒状素材の据え込み加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下の手段を提供する。
【0012】
[1] 筒状素材の加工予定部及び非加工予定部の中空部内に心金を挿入配置することにより、素材の加工予定部及び非加工予定部の内周面を心金の周面で拘束するとともに、
素材の非加工予定部を拘束ダイに設けられた拘束孔内に配置することにより、素材の非加工予定部の外周面を拘束孔の周面で拘束し、
且つ、素材の加工予定部を拘束ダイの端部に設けられた成形凹部内に配置するとともに、
素材の加工予定部をガイドに設けられた挿通孔内に配置することにより、素材の加工予定部の外周面を挿通孔の周面で拘束し、
次いで、素材の加工予定部をその軸方向にパンチで加圧しながら、ガイドをパンチの移動方向とは反対方向に移動させることにより、素材の加工予定部を成形凹部内で肉厚が増加するように外側に膨出させる、筒状素材の据え込み加工方法において、
心金は、素材の加工予定部の内周面を拘束する剛性体製の第1拘束部と、素材の非加工予定部の内周面における少なくとも加工予定部の近傍部分を拘束するゴム弾性体製の第2拘束部と、を有しており、
心金の第1拘束部は、素材の加工予定部の中空部内に適合して挿入配置可能であり、
心金の第2拘束部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されており、
心金を素材の加工予定部及び非加工予定部の中空部内に挿入配置することにより、素材の加工予定部の内周面を心金の第1拘束部の周面で拘束するとともに、
心金の第2拘束部をその軸方向に加圧圧縮することにより、素材の非加工予定部の内周面における少なくとも加工予定部の近傍部分を心金の第2拘束部の周面で拘束し、
この状態で、前記据え込み加工を行うことを特徴とする筒状素材の据え込み加工方法。
【0013】
[2] 心金の第2拘束部は、素材の非加工予定部の内周面における加工予定部の近傍部分だけを拘束するものであり、
素材の非加工予定部に対して加工予定部とは反対側の端部を素材の軸方向に受ける受け部材に、素材の非加工予定部の中空部内に配置され、心金の第2拘束部をその軸方向に受ける受け突部が一体に設けられており、
受け部材の受け突部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されている前項1記載の筒状素材の据え込み加工方法。
【0014】
[3] 心金は、第1拘束部と第2拘束部とに分離可能であり、
心金の第1拘束部の端面に、略球状の連結突部が一体に突設されるとともに、
心金の第2拘束部の端面に、連結突部に対応する連結凹部が設けられ、
連結突部が連結凹部内に嵌合されることにより、心金の第1拘束部と第2拘束部とが互いに分離可能に連結されている前項1又は2記載の筒状素材の据え込み加工方法。
【0015】
[4] 筒状素材の加工予定部及び非加工予定部の中空部内に配置され、素材の加工予定部及び非加工予定部の内周面を拘束する心金と、
拘束孔を有するとともに、該拘束孔内に配置された素材の非加工予定部の外周面を拘束孔の周面で拘束する拘束ダイと、
拘束ダイの端部に設けられた成形凹部と、
挿通孔を有するとともに、該挿通孔内に配置された素材の加工予定部の外周面を挿通孔の周面で拘束するガイドと、
素材の加工予定部をその軸方向に加圧するパンチと、を備え、
素材の加工予定部をその軸方向にパンチで加圧しながら、ガイドをパンチの移動方法とは反対方向に移動させることにより、素材の加工予定部を成形凹部内で肉厚が増加するように外側に膨出させるように構成された筒状素材の据え込み加工装置において、
心金は、素材の加工予定部の内周面を拘束する剛性体製の第1拘束部と、素材の非加工予定部の内周面における少なくとも加工予定部の近傍部分を拘束するゴム弾性体製の第2拘束部と、を有しており、
心金の第1拘束部は、素材の加工予定部の中空部内に適合して挿入配置可能であり、
心金の第2拘束部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されており、
心金の第2拘束部をその軸方向に加圧圧縮する心金加圧手段を備えていることを特徴とする筒状素材の据え込み加工装置。
【0016】
[5] 心金の第2拘束部は、素材の非加工予定部の内周面における加工予定部の近傍部分だけを拘束するものであり、
素材の非加工予定部に対して加工予定部とは反対側の端部を素材の軸方向に受ける受け部材に、素材の非加工予定部の中空部内に配置され、心金の第2拘束部をその軸方向に受ける受け突部が一体に設けられており、
受け部材の受け突部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されている前項4記載の筒状素材の据え込み加工装置。
【0017】
[6] 心金は、第1拘束部と第2拘束部とに分離可能であり、
心金の第1拘束部の端面に、略球状の連結突部が一体に突設されるとともに、
心金の第2拘束部の端面に、連結突部に対応する連結凹部が設けられ、
連結突部が連結凹部内に嵌合されることにより、心金の第1拘束部と第2拘束部とが互いに分離可能に連結されている前項4又は5記載の筒状素材の据え込み加工装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以下の効果を奏する。
【0019】
[1]の発明では、心金の第2拘束部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されているので、心金を素材の中空部内に容易に挿入することができる。さらに、心金の第2拘束部をその軸方向に加圧圧縮することにより、素材の非加工予定部の内周面における少なくとも加工予定部の近傍部分を心金の第2拘束部の周面で拘束するので、加工時に素材の非加工予定部が内側に座屈する不具合を心金の第2拘束部によって阻止することができる。また、加工時に素材の加工予定部が内側に座屈する不具合を心金の第1拘束部によって阻止することができる。その結果、高品質の筒状据え込み加工品を製造することができる。また、加工後に心金の第2拘束部の加圧を解除することにより、心金の第2拘束部の直径が減少するので、心金を素材(即ち据え込み加工品)の中空部内から容易に抜出することができる。
【0020】
[2]の発明では、心金の第2拘束部は、素材の非加工予定部の内周面における加工予定部の近傍部分だけを拘束するものであるから、心金の第2拘束部を加圧圧縮するのに要する荷重を低減することができるし、更に、心金の第2拘束部を加圧圧縮することに伴う心金の位置ずれ量を極力低減することができる。
【0021】
しかも、素材の非加工予定部に対して加工予定部とは反対側の端部を素材の軸方向に受ける受け部材に、素材の非加工予定部の中空部内に配置され、心金の第2拘束部をその軸方向に受ける受け突部が一体に設けられている。これにより、心金の長さを短くすることができる。そのため、心金を素材の中空部内に更に容易に挿入配置することができるし、また加工後に心金を素材(即ち据え込み加工品)の中空部内から更に容易に抜出することができる。
【0022】
さらに、受け部材の受け突部の直径は、素材の非加工予定部の内径よりも小さく設定されている。そのため、受け部材の受け突部を素材の非加工予定部の中空部内に容易に挿入配置することができる。
【0023】
[3]の発明では、心金の第1拘束部と第2拘束部とが互いに分離可能に連結されているので、心金の第2拘束部の特性(例:弾性特性)が繰返し使用によって劣化した場合には、第2拘束部を心金の第1拘束部から分離することができる。これにより、第2拘束部を新しいものに交換することができる。
【0024】
さらに、心金の第1拘束部の連結突部は略球状であり、心金の第2拘束部の連結凹部は、該連結突部に対応した形状なので、心金の第2拘束部をその軸方向に加圧圧縮すると、第2拘束部の連結凹部の外周部についても確実に加圧圧縮されるようになる。そのため、素材の非加工予定部の内周面を第2拘束部の周面で確実に拘束することができる。
【0025】
[4]〜[6]の発明では、本発明の筒状素材の据え込み加工方法に好適に用いられる筒状素材の据え込み加工装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の幾つかの好ましい実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0027】
図1において、(10A)は本発明の第1実施形態に係る据え込み加工装置、(1)は筒状の素材である。
【0028】
図5において、(5)は、本第1実施形態の据え込み加工装置(10A)により製造された円筒状の据え込み加工品である。この据え込み加工品(5)は、例えば、車両(自動車や鉄道車両等)用のアームの軸部を製作するためのプリフォームとして、あるいは、筒状の軸部の端部にねじ孔が設けられる部材を製作するためのプリフォームとして用いられるものである。
【0029】
図1に示すように、素材(1)は真直な円筒状のものであり、詳述すると真直な丸パイプ状のものであり、例えばアルミニウム(その合金を含む。以下同じ)からなる。素材(1)の断面形状は円環状である。また、素材(1)の内径、外径及び肉厚は、いずれも、素材(1)の軸方向に一定に設定されている。素材(1)は例えば押出材からなる。
【0030】
なお本発明では、素材(1)の材質は、アルミニウムに限定されるものではなく、アルミニウム以外の金属(例:真鍮、銅、ステンレス鋼)であっても良いし、プラスチックであっても良い。
【0031】
この素材(1)の加工予定部(2)は、素材(1)の軸方向両側部のうち一側部に位置しており、つまり素材(1)の軸方向一側部が加工予定部(2)に対応している。一方、この素材(1)の非加工予定部(3)は、素材(1)の軸方向他側部に位置しており、つまり素材(1)の軸方向他側部が非加工予定部(3)に対応している。すなわち、素材(1)の加工予定部(2)以外の部位が非加工予定部(3)である。素材(1)の加工予定部(2)と非加工予定部(3)とは素材(1)の軸方向において互いに隣接して配置されている。そして、素材(1)の加工予定部(2)が設計形状に増肉加工されることにより、図5に示すように、肉厚が増加するように外側に膨出した膨出部(7)が形成される。
【0032】
据え込み加工品(5)の軸部(6)は、素材(1)の非加工予定部(3)からなる。また、据え込み加工品(5)の端部には、肉厚が増加するように外側に膨出した膨出部(7)が全周に亘って形成されている。この膨出部(7)は、素材(1)の加工予定部(2)が据え込み加工されることで形成されたものである。この据え込み加工品(5)は、その端部に、例えば、他の部材(例:ブッシュ保持部材)が摩擦撹拌接合により接合一体化されたり、あるいは、ねじ孔が穿設されたりするものである。
【0033】
据え込み加工装置(10A)は、素材(1)の加工予定部(2)を肉厚が増加するように外側に膨出させるためのものである。図1に示すように、この据え込み加工装置(10A)は、心金(40)と、心金加圧手段(50)と、拘束ダイ(10)と、成形凹部(12)と、受け部材(15)と、ガイド(20)と、パンチ(30)と、ガイド駆動手段(52)と、パンチ駆動手段(54)とを備えている。
【0034】
心金(40)は、断面円形状の真直な棒状のものである。この心金(40)は、素材(1)の加工予定部(2)及び非加工予定部(3)の中空部内に挿入配置され、素材(1)の加工予定部(2)及び非加工予定部(3)の内周面(2a)(3a)を心金(40)の周面で座屈阻止状態に拘束するものである。この心金(40)の構成について以下に詳述する。
【0035】
心金(40)は、素材(1)の加工予定部(2)の内周面(2a)を拘束する第1拘束部(41)と、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)を拘束する第2拘束部(42)とを有している。また、心金(40)の第1拘束部(41)と第2拘束部(42)とは心金(40)の軸方向に互いに隣接して配置されている。
【0036】
心金(40)の第1拘束部(41)の長さは、素材(1)の加工予定部(2)の長さに対して略等しく設定されるか又は長く設定されている。また、心金(40)の第2拘束部(42)の長さは、素材(1)の非加工予定部(3)の長さと略等しく設定されている。
【0037】
本第1実施形態では、詳述すると、心金(40)の第1拘束部(41)は、素材(1)の加工予定部(2)の内周面(2a)における該加工予定部(2)の軸方向の全面を拘束するものである。心金(40)の第2拘束部(42)は、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)における該非加工予定部(3)の軸方向の全面を拘束するものである。
【0038】
心金(40)の第1拘束部(41)は、真直な棒状であって、剛性体製である。剛性体としては、例えば、冷間金型用鋼や高速度工具鋼が用いられる。ただし本発明では、第1拘束部(41)の材質は上記のものであることに限定されるものではない。
【0039】
心金(40)の第2拘束部(42)は、真直な棒状であって、ゴム弾性体製である。ゴム弾性体としては、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴムが用いられる。ただし本発明では、第2拘束部(42)の材質は上記のものであることに限定されるものではない。
【0040】
心金(40)の第1拘束部(41)の直径は、素材(1)の加工予定部(2)の内径と略等しく設定されており、すなわち、心金(40)の第1拘束部(41)は、素材(1)の加工予定部(2)の中空部内にぴったりと適合して挿入配置可能なものである。したがって、心金(40)の第1拘束部(41)を素材(1)の加工予定部(2)の中空部内に挿入配置した状態では、素材(1)の加工予定部(2)の内周面(2a)に第1拘束部(41)の周面の周方向の全面(略全面)が接触状態に当接し、これにより、素材(1)の加工予定部(2)の内周面(2a)が第1拘束部(41)の周面で座屈阻止状態に拘束されるように第1拘束部(41)が構成されている。
【0041】
心金(40)の第2拘束部(42)の直径は、素材(1)の非加工予定部(3)の内径よりも小さく設定されている。したがって、心金(40)の第2拘束部(42)を素材(1)の非加工予定部(3)の中空部内に挿入配置した状態では、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)に第2拘束部(42)の周面が全く当接しないように第2拘束部(42)が構成されている。
【0042】
心金(40)の第2拘束部(42)の直径について以下に詳述する。
【0043】
第2拘束部(42)の直径は、素材(1)の非加工予定部(3)の内径に対して1倍未満に設定されており、特に0.998倍以下(更に望ましくは0.985以下)に設定されるのが望ましい。こうすることにより、心金(40)を素材(1)の中空部内に挿入配置する際に、心金(40)の第2拘束部(42)の周面が素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)に確実に当接しないようにすることができ、もって心金(40)の素材(1)中空部内への挿入を確実に容易に行うことができる。
【0044】
さらに、第2拘束部(42)の直径は、素材(1)の非加工予定部(3)の内径に対して0.8倍以上(更に望ましくは0.950倍以上)であることが望ましい。こうすることにより、心金(40)の第2拘束部(42)を加圧圧縮するのに要する荷重を確実に低減することができるし、更に、心金(40)の第2拘束部(42)を加圧圧縮することに伴う心金(40)の位置ずれ量を極力低減することができる。
【0045】
さらに、この心金(40)は、第1拘束部(41)と第2拘束部(42)とに分離可能なものであって、第1拘束部(41)と第2拘束部(42)とは次のように連結されている。
【0046】
すなわち、第1拘束部(41)の端面の中央部には、球状の連結突部(41a)が突出して一体形成されている。一方、第2拘束部(42)の端面の中央部には、連結突部(41a)に対応した連結凹部(42a)が形成されている。この連結凹部(42a)の形状は、連結突部(41a)に対応した形状であり、すなわち球状である。そして、連結突部(41a)を連結凹部(42a)内に強制的に嵌合させることにより、第1拘束部(41)と第2拘束部(42)とが互いに連結されている。さらに、連結突部(41a)を連結凹部(42a)内から強制的に抜出することにより、第1拘束部(41)と第2拘束部(42)とが分離される。このように心金(40)は第1拘束部(41)と第2拘束部(42)とが互いに分離可能に連結されている。
【0047】
心金加圧手段(50)は、心金(40)の第2拘束部(42)をその軸方向に加圧して圧縮するためのものである。この心金加圧手段(50)は、その加圧駆動源として、流体圧シリンダ(例:油圧シリンダ、ガスシリンダ)を有している。そして、流体圧シリンダの伸縮ロッド(50a)の先端部に心金(40)の第1拘束部(41)が接続されている。
【0048】
拘束ダイ(10)は、その軸方向に延びた断面円形状の拘束孔(11)を有している。この拘束孔(11)内に素材(1)の非加工予定部(3)が挿入配置される。この拘束孔(11)は、拘束ダイ(10)をその軸方向に貫通して設けられている。この拘束ダイ(10)は、拘束孔(11)内に挿入配置された素材(1)の非加工予定部(3)の外周面を拘束孔(11)の周面で座屈阻止状態に拘束するものである。そのため、拘束孔(11)の直径は、素材(1)の非加工予定部(3)を拘束孔(11)内に適合して挿入配置可能な大きさに設定されている。
【0049】
また、この拘束ダイ(10)は、拘束孔(11)を縦断する分割面で複数個(例えば2個)に分割されたものであり、即ち割型からなる。
【0050】
成形凹部(12)は、拘束ダイ(10)の軸方向一端部に拘束孔(11)に連続して設けられている。詳述すると、この成形凹部(12)は、拘束ダイ(10)の拘束孔(11)の周面の軸方向一端に隣接して形成された環状の凹所からなる。(12a)は、成形凹部(12)の底部である。
【0051】
受け部材(15)は、剛性体製であって、素材(1)の非加工予定部(3)に対して加工予定部(2)とは反対側の端部(1a)を素材(1)の軸方向に受けるものである。この受け部材(15)は、拘束ダイ(10)の軸方向他端側に配置されている。そして、この受け部材(15)によって拘束ダイ(10)の拘束孔(11)の他端開口が閉塞されている。
【0052】
ガイド(20)は、その軸方向に延びた断面円形状の挿通孔(21)を有している。この挿通孔(21)内に素材(1)の加工予定部(2)が挿通配置される。この挿通孔(21)は、挿通孔(21)内に挿通配置された素材(1)の加工予定部(2)の外周面を挿通孔(21)の周面で座屈阻止状態に拘束するとともに、更に、素材(1)の加工予定部(2)をその軸方向に移動自在に保持するものである。この挿通孔(21)は、ガイド(20)をその軸方向に貫通して設けられている。(20a)は、ガイド(20)の先端部である。
【0053】
また、このガイド(20)は、パンチ(30)の移動方向(35)とは反対方向(25)に移動可能なものである(図3参照)。
【0054】
パンチ(30)は、素材(1)の加工予定部(2)をその軸方向に加圧するためのものである。このパンチ(30)の先端部は、素材(1)の軸方向端部(即ち加工予定部(2))の断面形状に対応した断面形状に形成されており、即ちパンチ(30)の先端部の断面形状は円環状である。
【0055】
このパンチ(30)は、ガイド(20)の挿通孔(21)内にその軸方向に移動自在に挿入配置されている。
【0056】
さらに、このパンチ(30)の内部にはその軸方向に延びた空洞部(32)が形成されている。そして、この空洞部(32)内に心金加圧手段(50)の流体圧シリンダがパンチ(30)に対して非固定状態で配置されている。
【0057】
パンチ駆動手段(54)は、パンチ(30)を素材(1)の軸方向に移動させ、該パンチ(30)に素材(1)の加工予定部(2)を加圧するための加圧力を付与するためのものである。このパンチ駆動手段(54)はパンチ(30)に接続されており、流体圧(油圧、ガス圧)等によってパンチ(30)に駆動力を付与するものとなされている。また、このパンチ駆動手段(54)は、パンチ(30)の移動速度、即ち加圧速度を制御する制御部を有している。
【0058】
ガイド駆動手段(52)は、ガイド(20)をパンチ(30)の移動方向(35)(即ち、パンチ(30)による素材加工予定部(2)の加圧方向)とは反対方向(25)に移動させるものである(図3参照)。このガイド駆動手段(52)はガイド(20)に接続されており、流体圧(油圧、ガス圧)、電気モータ、バネ等によってガイド(20)に駆動力を付与するものとなされている。また、このガイド駆動手段(52)は、ガイド(20)の移動速度を制御する制御部を有している。
【0059】
次に、上記第1実施形態の据え込み加工装置(10A)を用いた据え込み加工方法を以下に説明する。
【0060】
まず、図1に示すように、拘束ダイ(10)の拘束孔(11)内に素材(1)の非加工予定部(3)を挿入配置する。これにより、素材(1)の加工予定部(2)が拘束ダイ(10)の成形凹部(12)内に配置される。また、この状態において、素材(1)の非加工予定部(3)の外周面は、該非加工予定部(3)の全長に亘って拘束孔(11)の周面と当接し、これにより、素材(1)の非加工予定部(3)の外周面の全面が拘束孔(11)の周面で座屈阻止状態に拘束されている。さらに、素材(1)の非加工予定部(3)に対して加工予定部(2)とは反対側の端部(1a)を、受け部材(15)に当接させ、これにより、当該端部(1a)を受け部材(15)によって素材(1)の軸方向に移動阻止状態に受ける。
【0061】
次いで、心金(40)を素材(1)の加工予定部(2)及び非加工予定部(3)の中空部内に挿入配置する。これにより、素材(1)の加工予定部(2)の内周面(2a)が、該加工予定部(2)の全長に亘って心金(40)の第1拘束部(41)の周面と当接し、これにより、素材(1)の加工予定部(2)の内周面(2a)の全面が心金(40)の第1拘束部(41)の周面で座屈阻止状態に拘束される。一方、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)の全面は、心金(40)の第2拘束部(42)の周面とは当接しておらず、すなわち心金(40)の第2拘束部(42)の周面で拘束されていない。また、心金(40)の第2拘束部(42)の先端部は、受け部材(15)に当接し、これにより、当該先端部が受け部材(15)によって心金(40)の軸方向に移動阻止状態に受けられている。
【0062】
さらに、ガイド(20)の挿通孔(21)内に素材(1)の加工予定部(2)を挿入配置する。これにより、素材(1)の加工予定部(2)の外周面をガイド(20)の挿通孔(21)の周面で座屈阻止状態に拘束する。
【0063】
さらに、ガイド(20)の先端部(20a)と成形凹部(12)の底部(12a)との間に初期クリアランスXを設ける。この初期クリアランスXの間隔は、パンチ(30)の移動(即ち、パンチ(30)による素材加工予定部(2)の加圧)を開始する前の状態においてガイド(20)の先端部(20a)と成形凹部(12)の底部(12a)との間に露出する素材(1)の加工予定部(2)の露出部の断面積での座屈限界長さ未満に設定されている。なお本発明では、座屈限界長さは、パンチ加圧力における座屈限界長さをいう。
【0064】
次いで、図2に示すように、心金加圧手段(50)によって心金(40)の第2拘束部(42)をその軸方向に加圧圧縮する。すると、第2拘束部(42)の直径が増大し、これにより素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)の全面を第2拘束部(42)の周面で座屈阻止状態に拘束する。この状態では、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)は、該非加工予定部(3)の全長に亘って第2拘束部(42)の周面と当接している。なお、第2拘束部(42)はゴム弾性体製であるから、第2拘束部(42)の周面に非常に大きな摩擦力が作用する。そのため、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)を第2拘束部(42)の周面で確実に拘束することができる。この状態を維持する。
【0065】
次いで、図3に示すように、パンチ駆動手段(54)によりパンチ(30)を移動させ、素材(1)の加工予定部(2)をその軸方向にパンチ(30)で加圧しながら、ガイド駆動手段(52)によりガイド(20)をパンチ(30)の移動方向(35)とは反対方向(25)に移動させる。これにより、ガイド(20)の先端部(20a)と成形凹部(12)の底部(12a)との間に露出する素材(1)の加工予定部(2)の露出部を、成形凹部(12)内で肉厚が増加するように外側に徐々に膨出させていく。
【0066】
ここで、パンチ(30)の移動開始時からガイド(20)の移動開始時までの間にタイムラグを設けるこのが望ましい。すなわち、パンチ(30)による素材(1)の加工予定部(2)の加圧を開始する場合には、まずガイド(20)の位置を初期位置に固定しておいてから、パンチ(30)を移動させ、素材(1)の加工予定部(2)をその軸方向にパンチ(30)で加圧する。そして、タイムラグの経過後、継続してパンチ(30)で素材(1)の加工予定部(2)を加圧しながら、ガイド(20)をパンチ(30)の移動方向(35)とは反対方向(25)に移動させる。このとき、ガイド(20)の移動速度は、ガイド(20)の先端部(20a)と成形凹部(12)の底部(12a)との間に露出する素材(1)の加工予定部(2)の露出部の断面積での座屈限界長さ未満になるようにガイド駆動手段(52)の制御部により制御する。
【0067】
パンチ(30)及びガイド(20)の移動に伴い、素材(1)の加工予定部(2)が成形凹部(12)内で肉厚が増加するように外側に徐々に膨出し、該加工予定部(2)の材料が成形凹部(12)内に圧入され充満されていく。
【0068】
そして、図4に示すように、素材(1)の加工予定部(2)の材料が全て成形凹部(12)内に圧入されて充満されたとき、すなわち、素材(1)の加工予定部(2)の全体が増肉加工されたとき、パンチ(30)及びガイド(20)の移動をそれぞれ停止する。このとき、素材(1)の加工予定部(2)は設計形状に膨出されており、すなわち、素材(1)の端部に肉厚が増加するように外側に膨出した膨出部(7)が形成されている。
【0069】
以上の手順により、素材(1)の加工予定部(2)についての増肉加工が終了する。
【0070】
次いで、心金加圧手段(50)による心金(40)の第2拘束部(42)の加圧を解除する。これにより、第2拘束(42)の直径が減少して元の大きさに戻る。
【0071】
次いで、心金(40)を、パンチ(30)及びガイド(20)と一緒に、素材(1)(即ち据え込み加工品(5))の中空部内から抜出する。さらに、素材(1)を拘束ダイ(10)の拘束孔(11)内から取り出す。これにより、図5に示した据え込み加工品(5)が得られる。
【0072】
なお、上記第1実施形態では、パンチ(30)の先端部の成形凹部(12)底部(12a)に対する停止位置と、ガイド(20)の先端部(20a)の成形凹部(12)底部(12a)に対する停止位置とは一致している。ただし本発明では、両方の停止位置は必ずしも一致していなくても良い。
【0073】
而して、上記第1実施形態の据え込み加工方法には次の利点がある。
【0074】
すなわち、心金(40)の第2拘束部(42)の直径は、素材(1)の非加工予定部(3)の内径よりも小さく設定されているので、心金(40)を素材(1)の中空部内に容易に挿入することができる。さらに、心金(40)の第2拘束部(42)をその軸方向に加圧圧縮することにより、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)を心金(40)の第2拘束部(42)の周面で拘束するので、加工時に素材(1)の非加工予定部(3)が内側に座屈する不具合を心金(40)の第2拘束部(42)によって阻止することができる。また、加工時に素材(1)の加工予定部(2)が内側に座屈する不具合を心金(40)の第1拘束部(41)によって阻止することができる。その結果、高品質の筒状据え込み加工品(5)を製造することができる。また、加工後に心金(40)の第2拘束部(42)の加圧を解除することにより、心金(40)の第2拘束部(42)の直径が減少するので、心金(40)を素材(1)(即ち据え込み加工品(5))の中空部内から容易に抜出することができる。
【0075】
また、心金(40)の第1拘束部(41)と第2拘束部(42)とが互いに分離可能に連結されているので、心金(40)の第2拘束部(42)の特性(例:弾性特性)が繰返し使用によって劣化した場合には、第2拘束部(42)を心金(40)の第1拘束部(41)から分離することができる。これにより、第2拘束部(42)を新しいものに交換することができる。
【0076】
さらに、心金(40)の第1拘束部(41)の連結突部(41a)は球状であり、心金(40)の第2拘束部(42)の連結凹部(42a)は、連結突部(41a)に対応した形状、即ち球状なので、心金(40)の第2拘束部(42)をその軸方向に加圧圧縮すると、第2拘束部(42)の連結凹部(42a)の外周部についても確実に加圧圧縮されるようになる。そのため、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)を第2拘束部(42)の周面で確実に拘束することができる。
【0077】
ここで、上記第1実施形態では、据え込み加工時において、ガイド(20)はガイド駆動手段(52)の駆動力によって移動されるが、本発明では、必ずしもガイド(20)はそのような駆動力によって移動されることを要しない。すなわち、本発明では、ガイド(20)を、素材(1)の加工予定部(2)の材料の成形凹部(12)内への圧入によりガイド(20)に作用する押し戻し力によって移動させても良い。この場合には、ガイド駆動手段(52)を必ずしも用いなくてもガイド(20)を移動させることができ、もって据え込み加工装置(10A)の簡素化を図ることができる。
【0078】
図6〜図9は、本発明の第2実施形態に係る据え込み加工装置(10B)及び据え込み加工方法を説明する図である。これらの図には、上記第1実施形態の据え込み加工装置(10A)の要素と同一の要素には、同一の符号が付されている。
【0079】
本第2実施形態の据え込み加工装置(10B)により製造される筒状の据え込み加工品(5)は、上記第1実施形態と同じく図5に示したものである。
【0080】
本第2実施形態の据え込み加工装置(10B)の構成について、上記第1実施形態の据え込み加工装置(10A)の構成とは相異する点を中心に以下に説明する。
【0081】
図6に示すように、本第2実施形態の据え込み加工装置(10B)では、心金(40)のゴム弾性体製の第2拘束部(42)は、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)における加工予定部(2)の近傍部分(3b)だけを拘束するものである。そのため、この第2拘束部(42)の長さ、つまり必要な固定長さ(摩擦力)は、変形抵抗に対して適宜調整して決定するが、アルミ材では、5〜50mm、望ましくは20〜30mm程度となる。この心金(40)の全長は、上記第1実施形態の心金の全長よりも短くなっている。
【0082】
受け部材(15)には、心金(40)の第2拘束部(42)をその軸方向に受ける受け突部(16)が一体に形成されている。この受け突部(16)は、受け部材(15)と同じく剛性体製であり、素材(1)の非加工予定部(3)の中空部内に配置されている。また、この受け突部(16)の直径は、素材(1)の非加工予定部(3)の内径よりも小さく設定されており、詳述すると、心金(40)の非圧縮状態の第2拘束部(42)の直径と等しく設定されている。
【0083】
本第2実施形態の据え込み加工装置(10B)の他の構成は、上記第1実施形態の据え込み加工装置(10A)の構成と同じである。
【0084】
本第2実施形態の据え込み加工装置(10B)を用いた据え込み加工方法は、上記第1実施形態の据え込み加工方法と略同じであり、以下に簡単に説明する。
【0085】
まず、図6に示すように、拘束ダイ(10)の拘束孔(11)内に素材(1)の非加工予定部(3)を挿入配置する。これにより、素材(1)の加工予定部(2)が拘束ダイ(10)の成形凹部(12)内に配置される。さらに、素材(1)の非加工予定部(3)に対して加工予定部(2)とは反対側の端部(1a)を、受け部材(15)に当接させ、これにより、当該端部(1a)を受け部材(15)によって素材(1)の軸方向に移動阻止状態に受ける。また、受け部材(15)の受け突部(16)は、素材(1)の端部(1a)開口から非加工予定部(3)の中空部内に挿入配置される。この状態では、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)は、受け突部(16)の周面とは当接していない。
【0086】
次いで、心金(40)を素材(1)の加工予定部(2)及び非加工予定部(3)の中空部内に挿入配置する。これにより、素材(1)の加工予定部(2)の内周面(2a)の全面が心金(40)の第1拘束部(41)の周面で座屈阻止状態に拘束される。一方、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)における加工予定部(2)の近傍部分(3b)は、心金(40)の第2拘束部(42)の周面とは当接しておらず、すなわち心金(1)の第2拘束部(42)の周面で拘束されていない。また、心金(40)の第2拘束部(42)の先端部は、受け部材(15)の受け突部(16)の先端に当接し、これにより、当該先端部が受け突部(16)によって心金(40)の軸方向に移動阻止状態に受けられている。
【0087】
さらに、ガイド(20)の挿通孔(21)内に素材(1)の加工予定部(2)を挿入配置する。これにより、素材(1)の加工予定部(2)の外周面をガイド(20)の挿通孔(21)の周面で座屈阻止状態に拘束する。
【0088】
さらに、ガイド(20)の先端部(20a)と成形凹部(12)の底部(12a)との間に初期クリアランスXを設ける。
【0089】
次いで、図7に示すように、心金加圧手段(50)によって心金(40)の第2拘束部(42)をその軸方向に加圧圧縮する。すると、第2拘束部(42)の直径が増大し、これにより素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)における加工予定部(2)の近傍部分(3b)を第2拘束部(42)の周面で座屈阻止状態に拘束する。なお、第2拘束部(42)はゴム弾性体製であるから、第2拘束部(42)の周面に非常に大きな摩擦力が作用する。そのため、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)における加工予定部(2)の近傍部分(3b)を第2拘束部(42)の周面で確実に拘束することができる。この状態を維持する。
【0090】
次いで、図8に示すように、上記第1実施形態の据え込み加工方法と同様に、パンチ駆動手段(54)によりパンチ(30)を移動させ、素材(1)の加工予定部(2)をその軸方向にパンチ(30)で加圧しながら、ガイド駆動手段(52)によりガイド(20)をパンチ(30)の移動方向(35)とは反対方向(25)に移動させる。これにより、ガイド(20)の先端部(20a)と成形凹部(12)の底部(12a)との間に露出する素材(1)の加工予定部(2)の露出部を、成形凹部(12)内で肉厚が増加するように外側に徐々に膨出させていく。
【0091】
そして、図9に示すように、素材(1)の加工予定部(2)の材料が全て成形凹部(12)内に圧入されて充満されたとき、すなわち、素材(1)の加工予定部(2)の全体が増肉加工されたとき、パンチ(30)及びガイド(20)の移動をそれぞれ停止する。
【0092】
以上の手順により、素材(1)の加工予定部(2)についての増肉加工が終了する。
【0093】
次いで、心金加圧手段(50)による心金(40)の第2拘束部(42)の加圧を解除する。これにより、第2拘束部(42)の直径が減少して元の大きさに戻る。
【0094】
次いで、心金(40)を、パンチ(30)及びガイド(20)と一緒に、素材(1)(即ち据え込み加工品(5))の中空部内から抜出する。さらに、素材(1)を拘束ダイ(10)の拘束孔(11)内から取り出す。これにより、図5に示した据え込み加工品(5)が得られる。
【0095】
而して、上記第2実施形態の据え込み加工方法には、上記第1実施形態の据え込み加工方法による利点がある上、更に次の利点がある。
【0096】
すなわち、心金(40)の第2拘束部(42)は、素材(1)の非加工予定部(3)の内周面(3a)における加工予定部(2)の近傍部分(3b)だけを拘束するものであるから、心金(40)の第2拘束部(42)を加圧圧縮するのに要する荷重を低減することができる。そのため、心金加圧手段(50)として、加圧能力が低いものを用いることができ、もって安価な据え込み加工装置(10B)を提供できるし、据え込み加工装置(10B)の小型化を図ることができる。さらに、心金(40)の第2拘束部(42)を加圧圧縮することに伴う心金(40)の位置ずれ量を極力低減することができる。
【0097】
しかも、素材(1)の非加工予定部(3)に対して加工予定部(2)とは反対側の端部(1a)を素材(1)の軸方向に受ける受け部材(15)に、素材(1)の非加工予定部(3)の中空部内に配置され、心金(40)の第2拘束部(42)をその軸方向に受ける受け突部(16)が一体に形成されている。これにより、心金(40)の長さを短くすることができる。そのため、心金(40)を素材(1)の中空部内に更に容易に挿入配置することができるし、また加工後に心金(40)を素材(1)(即ち据え込み加工品(5))の中空部内から更に容易に抜出することができる。
【0098】
さらに、受け部材(15)の受け突部(16)の直径は、素材(1)の非加工予定部(3)の内径よりも小さく設定されている。そのため、受け部材(15)の受け突部(16)を素材(1)の非加工予定部(3)の中空部内に容易に挿入配置することができる。
【0099】
以上で、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に示したものであることに限定されるものではない。
【0100】
例えば、本発明に係る据え込み加工方法及び据え込み加工装置は、車両用のアームの軸部を製作するためのプリフォームや、筒状の軸部の端部にねじ孔が設けられる部材を製作するためのプリフォームを製造するために適用されるものに限定されるものではなく、様々な製品用プリフォームを製造するために適用可能である。
【0101】
また上記実施形態では、素材(1)の加工予定部(2)は素材(1)の軸方向一側部に位置しているが、本発明では、素材(1)の加工予定部(2)は素材(1)の軸方向中間部に位置していても良い。さらに、本発明では、素材(1)の加工予定部(2)は、素材(1)の軸方向両側部にそれぞれ位置しており、両方の加工予定部を同時に加工しても良い。
【0102】
また本発明では、素材(1)の加工予定部(2)を所定温度に加熱した状態で加工しても良いし、加熱しないで加工しても良い。
【0103】
また本発明では、拘束ダイ(10)及びガイド(20)は複数個に分割されたものであっても良い。
【0104】
また本発明では、素材(1)は円筒状であっても良いし、角筒状であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、筒状の素材の加工予定部を肉厚が増加するように外側に膨出させる筒状素材の据え込み加工方法及び筒状素材の据え込み加工装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る筒状素材の据え込み加工装置により筒状素材の加工予定部を加工する前の状態における、同据え込み加工装置の断面図である。
【図2】図2は、同据え込み加工装置の心金の第2拘束部を加圧圧縮した状態における、同据え込み加工装置の断面図である。
【図3】図3は、同据え込み加工装置により素材の加工予定部を加工する途中の状態における、同据え込み加工装置の断面図である。
【図4】図4は、同据え込み加工装置により素材の加工予定部を加工した後の状態における、同据え込み加工装置の断面図である。
【図5】図5は、同据え込み加工装置により製造された据え込み加工品の斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る筒状素材の据え込み加工装置により筒状素材の加工予定部を加工する前の状態における、同据え込み加工装置の断面図である。
【図7】図7は、同据え込み加工装置の心金の第2拘束部を加圧圧縮した状態における、同据え込み加工装置の断面図である。
【図8】図8は、同据え込み加工装置により素材の加工予定部を加工する途中の状態における、同据え込み加工装置の断面図である。
【図9】図9は、同据え込み加工装置により素材の加工予定部を加工した後の状態における、同据え込み加工装置の断面図である。
【符号の説明】
【0107】
1…素材
2…加工予定部
2a…加工予定部の内周面
3…非加工予定部
3a…非加工予定部の内周面
5…据え込み加工品
7…膨出部
10A、10B…据え込み加工装置
10…拘束ダイ
11…拘束孔
12…成形凹部
15…受け部材
16…受け突部
20…ガイド
21…挿通孔
25…ガイドの移動方向
30…パンチ
35…パンチの移動方向
40…心金
41…第1拘束部
41a…連結突部
42…第2拘束部
42a…連結凹部
50…心金加圧手段
52…ガイド駆動手段
54…パンチ駆動手段
【出願人】 【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【出願日】 平成18年11月14日(2006.11.14)
【代理人】 【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義

【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市

【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁


【公開番号】 特開2008−119734(P2008−119734A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2006−307986(P2006−307986)