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プレス加工装置 - 特開2008−105086 | j-tokkyo
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【発明の名称】 プレス加工装置
【発明者】 【氏名】夏井 政行

【要約】 【課題】受圧板における磨耗劣化の発生を少なくできるプレス加工装置を提供する。

【解決手段】本発明は、パンチ3の基端側を受圧板5の受圧面51で支持した状態で、パンチ3の先端部31をワークWに押圧させるプレス加工装置を対象とする。受圧板5の受圧面51に、パンチ支持台部6が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部6に、パンチ3の基端面32に接触するパンチ支持面61が設けられる。パンチ支持面61の大きさが、パンチ3の基端面32の大きさ以下に設定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチの基端側を受圧板の受圧面で支持した状態で、パンチの先端部をワークに押圧させるプレス加工装置であって、
受圧板の受圧面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの基端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの基端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とするプレス加工装置。
【請求項2】
パンチ基端面の外周縁が、受圧板に対し非接触状態に配置される請求項1に記載のプレス加工装置。
【請求項3】
パンチ支持面の外周縁がパンチ基端面の外周縁に対し0.1〜0.3mm内側に配置される請求項1または2に記載のプレス加工装置。
【請求項4】
パンチ支持面の面積がパンチ基端面の面積に対し0.1〜0.5%小さく形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項5】
パンチ支持台部の高さが、0.1〜1.5mmに設定される請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項6】
受圧板がその受圧面を頂上とする円錐台形状に形成される請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項7】
受圧板の外周面における軸心に対する傾斜角度が20〜70°に設定される請求項6に記載のプレス加工装置。
【請求項8】
受圧板が、複数に分割されるとともに、その複数の分割体の一つが、受圧板のパンチ支持台部を含む部分によって構成される請求項1〜7のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項9】
パンチ支持台部におけるパンチ支持面の外側に面取り部が形成される請求項1〜8のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項10】
パンチにおける基端面と外周面との間に面取り部が形成される請求項1〜9のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項11】
パンチおよび受圧板を保持するパンチホルダーを備え、
受圧板がその受圧面を頂上とする円錐台形状に形成されるとともに、
パンチホルダーにおける受圧板を保持するための保持孔の内周面が受圧板の外周形状に倣って形成され、
受圧板の外周面の一部に、パンチの軸心方向に平行な外周平行面が設けられるとともに、その外周平行面に対応して、パンチホルダーにおける保持孔の内周面に、軸心方向に平行な内周平行面が設けられ、
外周平行面が内周平行面に軸心方向に沿って嵌合された状態で、受圧板がパンチホルダーの保持孔に収容される請求項1〜10のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項12】
受圧板の外周面における受圧面側に、周方向に沿って連続する凹段部が形成されるとともに、その凹段部の一面によって外周平行面が構成され、
凹段部に対応して、パンチホルダーにおける保持孔の内周面に、周方向に沿って連続する凸段部が形成されるとともに、その凸段部の一面によって内周平行面が構成される請求項11に記載のプレス加工装置。
【請求項13】
受圧板の外周面と、パンチホルダーの保持孔内周面との間に隙間が設けられる請求項11または12に記載のプレス加工装置。
【請求項14】
外周平行面と内周平行面との間の隙間寸法が、パンチ支持面の外周縁とパンチ基端面の外周縁との間の距離よりも小さく設定される請求項11〜13のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項15】
外周平行面と内周平行面との間の隙間寸法が、0.1〜0.5mmに設定される請求項11〜14のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項16】
パンチを軸心方向に沿って収容する筒状のパンチケースと、
パンチケースおよび受圧板を保持するパンチホルダーと、を備える請求項1〜15のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【請求項17】
パンチの基端面がパンチケースの基端面よりもパンチ先端側に配置され、
パンチケースの基端面が、受圧板の受圧面におけるパンチ支持台部の外側に接触状態に配置される請求項16に記載のプレス加工装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のプレス加工装置を用いて、ワークをプレス加工することを特徴とするプレス加工方法。
【請求項19】
パンチの基端側を受圧板の受圧面で支持した状態で、パンチの先端部を、ダイにセットされたワークに押圧させるダイセットであって、
受圧板の受圧面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの基端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの基端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とするダイセット。
【請求項20】
パンチの基端側を受圧板の受圧面で支持した状態で、パンチの先端部をワークに押圧させて鍛造加工する鍛造加工装置であって、
受圧板の受圧面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの基端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの基端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とする鍛造加工装置。
【請求項21】
上下方向に沿って配置されるパンチの上端側を受圧板の下面で支持した状態で、パンチの下端部をワークに押圧させるプレス加工用上金型であって、
受圧板の下面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの上端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの上端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とするプレス加工用上金型。
【請求項22】
パンチの基端側を支持する受圧面を有し、その受圧面でパンチを支持した状態で、パンチの先端部をワークに押圧させるプレス加工用受圧板であって、
受圧面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの基端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの基端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とするプレス加工用受圧板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、パンチをワークに押圧するプレス加工装置およびその関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークにパンチを打ち込んで鍛造加工するようにした鍛造加工装置が特許文献1等に開示されている。
【0003】
このような鍛造加工装置においては、上下方向に沿って配置されたパンチの上端に受圧板が設けられ、この受圧板によりパンチ上端面を支持した状態でパンチを降下させてワークに打ち込むようにしたものが周知である。
【特許文献1】特開平9−57386号(請求の範囲、第3−5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記鍛造加工装置においては、パンチ打ち込み時の衝撃荷重をパンチを介して受圧板により受け止めるようにしているが、この衝撃荷重は受圧板に繰り返し作用するため、受圧板のパンチ支持部に、磨耗による劣化凹部が形成される。この劣化凹部が大きくなると、受圧板によってパンチを安定状態に支持できず、加工精度が低下するため、受圧板を交換する必要がある。
【0005】
しかしながら、従来の鍛造加工装置は、受圧板の磨耗劣化が短期間で生じ易く、受圧板の交換頻度が多くなり、生産性の低下やコストの増大を招いていた。
【0006】
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、受圧板における磨耗劣化の発生を少なくすることができる鍛造加工装置等のプレス加工装置およびその関連技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
【0008】
[1] パンチの基端側を受圧板の受圧面で支持した状態で、パンチの先端部をワークに押圧させるプレス加工装置であって、
受圧板の受圧面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの基端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの基端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とするプレス加工装置。
【0009】
[2] パンチ基端面の外周縁が、受圧板に対し非接触状態に配置される前項1に記載のプレス加工装置。
【0010】
[3] パンチ支持面の外周縁がパンチ基端面の外周縁に対し0.1〜0.3mm内側に配置される前項1または2に記載のプレス加工装置。
【0011】
[4] パンチ支持面の面積がパンチ基端面の面積に対し0.1〜0.5%小さく形成される前項1〜3のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0012】
[5] パンチ支持台部の高さが、0.1〜1.5mmに設定される前項1〜4のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0013】
[6] 受圧板がその受圧面を頂上とする円錐台形状に形成される前項1〜5のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0014】
[7] 受圧板の外周面における軸心に対する傾斜角度が20〜70°に設定される前項6に記載のプレス加工装置。
【0015】
[8] 受圧板が、複数に分割されるとともに、その複数の分割体の一つが、受圧板のパンチ支持台部を含む部分によって構成される前項1〜7のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0016】
[9] パンチ支持台部にけるパンチ支持面の外側に面取り部が形成される前項1〜8のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0017】
[10] パンチにおける基端面と外周面との間に面取り部が形成される前項1〜9のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0018】
[11] パンチおよび受圧板を保持するパンチホルダーを備え、
受圧板がその受圧面を頂上とする円錐台形状に形成されるとともに、
パンチホルダーにおける受圧板を保持するための保持孔の内周面が受圧板の外周形状に倣って形成され、
受圧板の外周面の一部に、パンチの軸心方向に平行な外周平行面が設けられるとともに、その外周平行面に対応して、パンチホルダーにおける保持孔の内周面に、軸心方向に平行な内周平行面が設けられ、
外周平行面が内周平行面に軸心方向に沿って嵌合された状態で、受圧板がパンチホルダーの保持孔に収容される前項1〜10のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0019】
[12] 受圧板の外周面における受圧面側に、周方向に沿って連続する凹段部が形成されるとともに、その凹段部の一面によって外周平行面が構成され、
凹段部に対応して、パンチホルダーにおける保持孔の内周面に、周方向に沿って連続する凸段部が形成されるとともに、その凸段部の一面によって内周平行面が構成される前項11に記載のプレス加工装置。
【0020】
[13] 受圧板の外周面と、パンチホルダーの保持孔内周面との間に隙間が設けられる前項11または12に記載のプレス加工装置。
【0021】
[14] 外周平行面と内周平行面との間の隙間寸法が、パンチ支持面の外周縁とパンチ基端面の外周縁との間の距離よりも小さく設定される前項11〜13のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0022】
[15] 外周平行面と内周平行面との間の隙間寸法が、0.1〜0.5mmに設定される前項11〜14のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0023】
[16] パンチを軸心方向に沿って収容する筒状のパンチケースと、
パンチケースおよび受圧板を保持するパンチホルダーと、を備える前項1〜15のいずれか1項に記載のプレス加工装置。
【0024】
[17] パンチの基端面がパンチケースの基端面よりもパンチ先端側に配置され、
パンチケースの基端面が、受圧板の受圧面におけるパンチ支持台部の外側に接触状態に配置される前項16に記載のプレス加工装置。
【0025】
[18] 前項1〜17のいずれか1項に記載のプレス加工装置を用いて、ワークをプレス加工することを特徴とするプレス加工方法。
【0026】
[19] パンチの基端側を受圧板の受圧面で支持した状態で、パンチの先端部を、ダイにセットされたワークに押圧させるダイセットであって、
受圧板の受圧面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの基端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの基端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とするダイセット。
【0027】
[20] パンチの基端側を受圧板の受圧面で支持した状態で、パンチの先端部をワークに押圧させて鍛造加工する鍛造加工装置であって、
受圧板の受圧面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの基端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの基端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とする鍛造加工装置。
【0028】
[21] 上下方向に沿って配置されるパンチの上端側を受圧板の下面で支持した状態で、パンチの下端部をワークに押圧させるプレス加工用上金型であって、
受圧板の下面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの上端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの上端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とするプレス加工用上金型。
【0029】
[22] パンチの基端側を支持する受圧面を有し、その受圧面でパンチを支持した状態で、パンチの先端部をワークに押圧させるプレス加工用受圧板であって、
受圧面に、パンチ支持台部が突出するように形成されるとともに、そのパンチ支持台部に、パンチの基端面に接触するパンチ支持面が設けられ、
パンチ支持面の大きさが、パンチの基端面の大きさ以下に設定されたことを特徴とするプレス加工用受圧板。
【発明の効果】
【0030】
発明[1]のプレス加工装置によれば、受圧板に形成したパンチ支持面を、パンチ基端面の大きさ以下に設定しているため、プレス加工時の衝撃荷重が、受圧板側ではなく、パンチ側に集中する。このため、パンチ基端面側に磨耗劣化が生じるようになって、受圧板側に磨耗劣化が生じるのを減少させることができる。
【0031】
なおパンチはその先端部(押圧加工部)が早期に磨耗劣化するため、このパンチ先端部の磨耗がパンチ交換要因となる。従って本発明によるパンチ基端面の磨耗がパンチ交換要因となることはなく、パンチ基端面の磨耗によって不具合が生じることはない。
【0032】
発明[2]〜[5]のプレス加工装置によれば、上記の効果をより確実に得ることができる。
【0033】
発明[6]のプレス加工装置によれば、プレス加工時の衝撃が、円錐台形状の受圧板に沿って次第に広がりながら伝播していくため、衝撃荷重を広範囲に分散させることができ、衝撃荷重の局部集中による不具合を防止できる。
【0034】
発明[7]のプレス加工装置によれば、衝撃荷重の分散をより確実に行うことができる。
【0035】
発明[8]のプレス加工装置によれば、受圧板のパンチ支持台部に磨耗劣化が生じた際には、パンチ支持台部を含む部分だけを交換できて、交換部位を少なくすることができる。
【0036】
発明[9][10]のプレス加工装置によれば、磨耗劣化の発生を確実に減少させることができる。
【0037】
発明[11]〜[15]のプレス加工装置によれば、受圧板の外周平行面が、パンチホルダーの内周平行に位置規制されることによって、受圧板のパンチホルダーに対する位置合わせ(センタリング)を精度良く行うことができる。
【0038】
発明[16][17]のプレス加工装置によれば、パンチがパンチケースによって拘束されることにより、パンチの振れを防止できて、加工精度および製品品質を一層向上させることができる。
【0039】
発明[18]によれば、上記と同様の作用効果を有するプレス加工方法を提供することができる。
【0040】
発明[19]によれば、上記と同様の作用効果を有するダイセットを提供することができる。
【0041】
発明[20]によれば、上記と同様の作用効果を有する鍛造加工装置を提供することができる。
【0042】
発明[21]によれば、上記と同様の作用効果を有するプレス加工用上金型を提供することができる。
【0043】
発明[22]によれば、上記と同様の作用効果を有するプレス加工用受圧板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
図1,2はこの発明の実施形態である鍛造加工装置(1)を示す図である。同図に示すように、この鍛造加工装置(1)は、固定側金型としての下金型(11)と、可動側金型としての上金型(15)と、を備えている。
【0045】
下金型(11)には、ダイ(2)が設けられている。ダイ(2)には、軸心が鉛直方向に沿って配置されるダイ孔(25)が設けられ、このダイ孔(25)内には、鍛造用素材(被加工材)としてのワーク(W)をセットできるようになっている。
【0046】
ダイ孔(25)内には、軸心をダイ孔(25)の軸心に一致させた状態で上方に突出可能なノックアウトピン(22)が設けられている。そしてこのノックアウトピン(22)によって、ダイ孔(25)に配置された成形加工後の製品が突き上げられて、ダイ孔(25)から排出されるようになっている。
【0047】
この下金型(11)が、そのダイ孔(25)を上方に向けた状態で、鍛造加工装置(1)の下金型ベース(12)に固定されている。
【0048】
上金型(15)は、パンチ(3)、パンチケース(4)、受圧板(5)、パンチホルダー(7)を基本的な構成要素として備えている。
【0049】
図2〜5に示すようにパンチ(3)は、略円柱形状を有しており、先端面を構成する下端面(31)が押圧加工面として形成されるとともに、基端面を構成する上端面(32)が、受圧板(5)に接触支持されるように平坦面(水平面)に形成されている。
【0050】
パンチ(3)の外周側面の上端部には、外方突出状に抜止め部(36)が周方向に連続して一体に形成されている。さらにパンチ(3)における上端面(32)と抜止め部(36)の外周面との間には、面取り部(37)が形成されている。
【0051】
またパンチ(3)は例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、超硬鋼等の材質によって構成されている。
【0052】
図6,7に示すようにパンチケース(4)は、パンチ(3)を収容するパンチ保持孔(45)を有している。このパンチ保持孔(45)には、その上端部にパンチ(3)の抜止め部(36)に対応して、凹段部(456)が周方向に連続して形成されており、パンチ(3)を適合状態に収容できるようになっている。
【0053】
またパンチケース(4)の外周面上部には、外方突出状に抜止め部(46)が周方向に連続して一体に形成されている。
【0054】
そしてパンチケース(4)の保持孔(45)にパンチ(3)を収容した状態では、パンチ保持孔(45)における凹段部(456)の内周面がパンチ(3)の抜止め部(36)の外周面に接触して位置規制されるとともに、下端部(451)の内周面がパンチ(3)の中間部外周面に接触して位置規制されることにより、パンチケース(4)に対しパンチ(3)の心出し(センタリング)が行われる。なおパンチ保持孔(45)における上端部(456)および下端部(451)以外の領域(中間領域)の内周面は、パンチ(3)の外周面との間に隙間が形成されている。
【0055】
またパンチ(3)における抜止め部(36)の下端コーナ部が、パンチ保持孔(45)における凹段部(456)の下端コーナ部に係合することによって、パンチ(3)がパンチケース(4)に対し下方に抜け出すのが防止される。
【0056】
さらにパンチ(3)をパンチケース(4)に収容した状態では、後に詳述するようにパンチ(3)の上端面(32)が、パンチケース(4)の上端面(42)よりも低い位置に配置されるようになっている。
【0057】
図3,4,8〜11に示すように受圧板(5)は、分割可能な第1および第2分割体(501)(502)により構成されている。第1分割体(501)は、受圧板(5)の下端部(受圧面側)を構成するとともに、第2分割体(502)は、受圧板(5)の下端部を除く上側部を構成している。本実施形態において各分割体(501)(502)は例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、超硬鋼等の材質によって構成されており通常、パンチ(3)と同じ材質が用いられる。
【0058】
受圧板(5)は、受圧面を構成する下面(51)が頂上となるような概略円錐台形状、すなわち下端部が上端部に比べて外径寸法が小さい概略円錐台形状に形成されており、外周面が軸心(C)に対し傾斜するようにテーパ面(53)として形成されている。
【0059】
受圧板(5)の上端部外周には、外方突出状に抜止め部(56)が周方向に連続して一体に形成されている。なおこの抜止め部(56)の外向きの外周面は軸心(C)に対し平行に配置されている。
【0060】
受圧板(5)の下端部外周には、L字状切り欠くように形成された凹段部(57)が周方向に連続して形成されている。この凹段部(57)は、軸心(C)に対し直交する直交面(571)と、軸心(C)に対し平行な外周平行面(573)とを有している。
【0061】
受圧板(5)の下面(51)には、受圧板(5)に対し軸心(C)を一致させるように、円形のパンチ支持台部(6)が下方(軸心方向)に突出するように一体に形成されている。このパンチ支持台部(6)の外周面は、内側に傾斜する傾斜面として構成されて、面取り部(67)を構成している。
【0062】
パンチ支持台部(6)の下面(頂上面)によって構成されるパンチ支持面(61)は、後に詳述するように、外径寸法がパンチ上端面(32)の外径寸法以下に設定されている。
【0063】
図12に示すようにパンチホルダー(7)は、受圧板(5)の外周形状に倣って形成された保持孔(75)を有しており、この保持孔(75)に受圧板(5)を適合状態に収容できるようになっている。
【0064】
すなわち保持孔(75)の内周テーパ面(73)は、その軸心(C)に対する傾斜角度が、受圧板(5)の外周テーパ面(53)における軸心(C)に対する傾斜角度に一致するように形成されている。
【0065】
さらに保持孔(75)の上端部内周には、受圧板(5)の抜止め部(56)に対応して、凹段部(756)が周方向に連続して形成されている。なおこの凹段部(756)の内向きの内周面は軸心(C)に対し平行に配置されている。
【0066】
また保持孔(75)の中間部内周には、受圧板(5)の凹段部(57)に対応して、内方突出状に凸段部(77)が形成されている。この凸段部(77)は、軸心(C)に対し直交する直交面(772)と、軸心(C)に対し平行な内周平行面(773)とを有している。
【0067】
さらに保持孔(75)の下部内周には、パンチケース(4)の抜止め部(46)に対応して、凹段部(757)が周方向に連続して形成されている。
【0068】
またパンチホルダー(7)の外周面における中間部には、取付用段部(76)が周方向に連続して形成されている。
【0069】
そして図3,4に示すようにパンチ(3)を収容したパンチケース(4)が、パンチホルダー(7)の保持孔(75)内に収容されて、さらにそのパンチ(3)の上から、受圧板(5)の第1分割体(501)および第2分割体(502)が順次収容される。
【0070】
この収容状態では、パンチケース(4)における抜止め部(46)の下端コーナ部が、パンチホルダー(7)の保持孔内周面における凹段部(757)の下端コーナ部に係合することによって、パンチケース(4)がパンチホルダー(7)に対し下方に抜け出すのが防止される。さらにパンチケース(4)の外周面(抜止め部46の外周面も含む)が、パンチホルダー(7)における保持孔(75)の内周面(凹段部757の内周面も含む)に接触して位置規制されることにより、パンチホルダー(7)に対しパンチケース(4)のセンタリングが行われる。
【0071】
また受圧板(5)の第1分割体(501)の上面に第2分割体(502)が接触配置された状態で、その受圧板(5)のパンチ支持面(61)が、パンチ(3)の上端面(32)に接触配置されるとともに、受圧板(5)の下面(51)におけるパンチ支持台部(6)の外側領域が、パンチケース(4)の上端面(42)に接触配置されている。
【0072】
ここで本実施形態においては、パンチケース(4)の上端面(42)とパンチ(3)の上端面(32)との高さ位置の差が、受圧板下面(51)におけるパンチ支持台部(6)の高さ(H)に相当している。
【0073】
また受圧板(5)の下端部における凹段部(57)の外周平行面(573)が、パンチホルダー(7)の保持孔中間部における凸段部(77)の内周平行面(773)に接触して位置規制されるとともに、受圧板(5)の上端部における抜止め部(56)の外向き外周面が、パンチホルダー(7)の保持孔上端部における凹段部(756)の内向き内周面に接触して位置規制されることにより、パンチホルダー(7)に対し受圧板(5)のセンタリングが行われる。
【0074】
以上の構成の上金型(15)が図2に示すように、ファスニングホルダー(81)およびファスニングリング(82)を介して、鍛造加工装置(1)の上金型ベース(16)に固定される。
【0075】
すなわちファスニングホルダー(81)は、上金型(15)のパンチホルダー(7)を挿通可能な取付孔(815)を有し、外周部上端には、外方突出状にフランジ(816)が形成されている。そしてこのフランジ(816)が、上金型ベース(16)に固着具(85)を介して固定されている。
【0076】
ファスニングリング(82)は、パンチホルダー(7)の下側部を挿通可能な取付孔(825)を有している。さらにファスニングリング(82)は、ファスニングホルダー(81)の外周部に配置される外周壁部(823)を有している。
【0077】
そしてファスニングリング(82)の取付孔(825)内に、上金型(15)におけるパンチホルダー(7)の下側部が上方から挿通配置される。さらにそのパンチホルダー(7)の上側部がファスニングホルダー(81)の取付孔(815)内に下方から挿通し、その状態で、ファスニングリング(82)の内周ねじ部が、パンチホルダー(7)の外周ねじ部に締結されることにより、上金型(15)がファスニングホルダー(81)およびファスニングリング(82)を介して、金型ベース(16)に固定される。この固定状態では、パンチホルダー(7)における外周面の取付用段部(76)が、ファスニングリング(82)の取付孔周縁部に係合することにより、上金型(15)が下方に抜け出すのが防止される。
【0078】
なお図2において、符号(83)は、インサートプレートであって、上金型(15)の上面に対応して上金型ベース(16)に設けられている。
【0079】
以上の構成の鍛造加工装置(1)における上金型(15)の組付手順は以下の通りである。まずパンチケース(4)にパンチ(3)を収容した後、そのパンチケース(4)を、パンチホルダー(7)にセットし、さらにそのパンチホルダー(7)に受圧板(5)をセットして、上金型(15)を組み付ける。
【0080】
続いてその上金型(15)を、ファスニングリング(82)を介して、上金型ベース(16)のファスニングホルダー(81)に固定する。
【0081】
以上の構成の鍛造加工装置(1)においては、上金型(15)が昇降駆動自在に構成されており、下金型(11)のダイ孔(25)内にワーク(W)がセットされた状態で、上金型ベース(16)を上金型(15)と共に降下させることにより、上金型(15)のパンチ(3)をダイ孔(25)内のワーク(W)に押圧して、ワーク(W)を塑性変形させて所定の形状に鍛造加工する。
【0082】
ここで本実施形態の鍛造加工装置(1)によって得られる成形加工品(W1)は、図15,16に示すように、上端が開放され、かつ下端が閉塞された有底筒状のカップ形状に形成される。
【0083】
本実施形態において、鍛造用素材(ワークW)の材質は、従来より周知の各種の金属を使用できるが例えば、アルミニウム、鉄、銅、真鍮、マグネシウムや、それらの合金等を好適に用いることができる。特に軽量化を目的とする場合には、アルミニウムや、その合金を用いるのが良く例えば、合金記号が2000、3000、4000、5000、6000、7000系の合金等を好適に用いることができる。
【0084】
ワーク素材用の丸棒材の製法は、連続鋳造加工、押出加工、圧延加工等のいずれの加工方法も使用することができる。さらにアルミニウムやその合金の丸棒材を使用する場合には、連続鋳造加工された丸棒材は、入手し易く安価であるため、好適に使用することができる。特にアルミニウム合金においては、気体加圧式ホットトップ鋳造法で連続鋳造された丸棒材(昭和電工株式会社製の「SHOTIC材(登録商標)」)は、優れた内部健全性を有し、結晶粒が微細であり、かつ、塑性加工による結晶粒の異方性がないため、摩擦抵抗部の抵抗効果を安定的に得ることができるので、より好適に使用することができる。
【0085】
丸棒材は、所定の長さに切断したものを用い、必要に応じて焼きなまし処理を行った後、使用する。
【0086】
またアルミニウム合金が連続鋳造された丸棒材においては予め、480〜520℃の温度で0.5〜4時間の均質化熱処理及び/又はその表面にピーリング加工処理を行うようにしても良い。
【0087】
本実施形態において、鍛造加工を行う場合、温間鍛造では、金型に材料が焼き付くのを防止するために、金型に潤滑剤を塗布する。なお冷間鍛造では、型潤滑剤は使用しなくとも良い。
【0088】
さらに潤滑剤を塗布する場合には、材料(被加工材)を潤滑剤の液中に浸漬して潤滑皮膜を被加工材に予め形成しておくのが好ましい。なお冷間鍛造では、燐酸皮膜潤滑処理を行うのが好ましい。
【0089】
本実施形態において、熱間鍛造を行う場合、素材の温度を300〜450℃、好ましくは350〜450℃に調整するのが良い。さらに温間鍛造を行う場合には、素材温度を380〜460℃、好ましくは400〜450℃に調整するのが良い。すなわち素材温度が低過ぎる場合には、成形できなかったり、限界割れが発生する。逆に温度が高過ぎる場合には、膨れ等が生じるおそれがある。
【0090】
なお熱間鍛造、温間鍛造では、金型への材料の焼き付きを防止するために、金型へも潤滑剤を塗布する。この塗布方法としては例えば、鍛造金型に直接スプレーにより潤滑剤を吹き付ける方法等を採用できる。
【0091】
本実施形態において、鍛造加工装置(1)のパンチ(3)の荷重は10〜400トン(単位)に調整することができる。本発明の鍛造加工装置(1)は、後述するように特有の構造を有しているため、受圧板(5)に、磨耗による劣化凹部が発生するのを抑制することができる。従って、上記のように高い荷重で連続運転することが可能であり、加工性を向上させることができる。参考までに本実施形態の鍛造加工装置(1)は、10〜50spmの速さで連続運転することができる。
【0092】
また本実施形態の鍛造加工装置(1)によって鍛造加工されたカップ状製品(W1)は、強度及び耐摩耗性を付与するため、溶体化処理および時効処理することが好ましい。溶体化処理及び時効処理とは、所定の温度に加熱処理した後、焼入れを行い再度、所定の温度にて、所定時間保持する処理のことを言う。なお溶体化処理の温度は、490〜500℃が好ましく、水中焼入れ後、160〜210℃(好ましくは170〜190℃)で、1〜8時間(好ましくは、3〜6時間)保持することにより、時効硬化させることができ、HRB(ロックウェルBスケール)70〜85程度の十分な硬度の鍛造品を得ることができる。
【0093】
以上のように、本実施形態の鍛造加工装置(1)によれば、受圧板(5)の下面(51)にパンチ支持台部(6)を形成するとともに、そのパンチ支持台部(6)のパンチ上端面(32)と接触するパンチ支持面(61)を、パンチ上端面(32)よりも小さく形成しているため、以下に説明するように、受圧板(5)の磨耗劣化を減少させることができる。
【0094】
すなわち、接触し合う2つの金属部材において接触方向に大きな力が作用する場合、2つの部材のうち対向面(接触面)が大きい部材に、応力が集中して作用する。詳述すると、対向面の大きい部材(大型部材)と、対向面の小さい部材(小型部材)とを互いに接触させて、接触方向に大きな力が作用すると、大型部材の対向面における小型部材の外周縁に対応する部分に応力が集中して作用する。
【0095】
従って図14に示す従来の鍛造加工装置のように、受圧板(5)のパンチ支持面(下面51)が、パンチ上端面(32)よりも大きい場合、パンチ打ち込み時の衝撃荷重は、既述したように対向面の大きい側の部材、つまり受圧板(5)側に多く作用するため、この衝撃荷重が繰り返し加わると、受圧板下面(51)に磨耗による劣化凹部(9)が形成される。特にこの衝撃荷重は、受圧板下面(51)におけるパンチ上端面(32)の外周縁に対応する部分に集中して作用するため、受圧板下面(51)には、パンチ上端面(32)の外周縁に対応する部分が最も深く、内側に向かうに従って次第に浅くなるような劣化凹部(9)が形成される。このような劣化凹部(9)が受圧板下面(パンチ支持面)に形成されると、パンチ上端面(32)を安定状態に支持できず、パンチ(3)の座りが悪くなり、プレス加工時にパンチ(3)にぐらつきや振れが発生し、加工精度が低下してしまう。従って、受圧板(5)を短い期間で頻繁に交換する必要があり、生産性の低下やコストの増大を招いてしまう。
【0096】
そこで本実施形態の鍛造加工装置(1)においては図13に示すように、受圧板(5)の下面(51)にパンチ支持台部(6)を形成して、そのパンチ支持台部(6)の先端面(パンチ支持面61)を、パンチ上端面(32)よりも小さく形成しているため、パンチ打ち込み時の衝撃荷重は、パンチ上端面(32)におけるパンチ支持面(61)の外周縁に対応する部分に集中して作用するようになる。このため磨耗による劣化凹部(9)は、パンチ(3)の上端面(32)に形成されるようになり、受圧板(5)に、磨耗による劣化凹部が形成されるのを確実に減少させることができる。従って受圧板(5)を長期間使用できて、交換頻度が少なくなり、生産性の向上およびコストの削減を図ることができる。
【0097】
ここで本実施形態においては、受圧板(5)の磨耗劣化は抑制できるものの、パンチ上端面(32)の磨耗劣化は発生する。ところが、パンチ(3)はその下端面(押圧加工面31)が早期に磨耗劣化するため、本実施形態においては、パンチ上端面(32)の磨耗劣化よりも、パンチ下端面(31)の磨耗劣化が早く進行する。このため本実施形態においては、パンチ上端面(32)の磨耗劣化がパンチ交換要因となることはなく、パンチ下端面(31)の磨耗劣化がパンチ交換要因となる。従って本実施形態によるパンチ上端面(32)の磨耗劣化が、パンチ(3)の寿命を低下させるような不具合が生じることはない。このように本実施形態では、パンチ上端面(32)の磨耗劣化による悪影響を生じさせることなく、その上で上記したように受圧板(5)の磨耗劣化を減少させることができて、上生産性の向上およびコストの削減を確実に図ることができる。
【0098】
なお参考までに図13に示すように、受圧板下面(51)の磨耗劣化が少ない場合(本実施形態の場合)における受圧板(5)の交換スパンは、図14に示すように、受圧板下面にパンチによる磨耗劣化が多く発生する場合(従来の場合)における受圧板の交換スパンに比較して、3〜4倍以上も長くでき、受圧板(5)の交換頻度を確実に減少させることができる。
【0099】
本実施形態においては、パンチ支持台部(6)におけるパンチ支持面(61)の大きさを、パンチ(3)の上端面(32)の大きさ以下に設定する必要があるが、中でも、パンチ支持面(61)の大きさを、パンチ上端面(32)の大きさよりも小さく設定する場合、つまりパンチ支持面(61)の大きさとパンチ上端面(32)の大きさとが等しいものを除き、パンチ上端面(32)の外周縁を受圧板(5)に対し非接触状態に配置する場合には、受圧板下面(51)の磨耗劣化を確実に抑制することができる。
【0100】
特に本実施形態においては、パンチ支持面(61)およびパンチ上端面(32)の内径差(半径差)を、0.1〜0.3mm、好ましくは0.15〜0.25mmに設定して、パンチ支持面(61)の外周縁をパンチ上端面(32)の外周縁に対し0.1〜0.3mm内側、好ましくは0.15〜0.25mm内側に配置するのが好ましい。すなわち両面(61)(32)の内径差を、上記特定範囲内に設定する場合には、受圧板(5)の磨耗劣化をより確実に防止することができる。換言すれば、両面(61)(32)の内径差が小さ過ぎる場合には、受圧板(5)における磨耗劣化の抑制効果を十分に発揮できないおそれがある。逆に両面(61)(32)の内径差が大き過ぎる場合には、パンチ支持面(61)、つまりパンチ支持台部(6)が小さくなり過ぎて、パンチ支持台部(6)が破損するおそれがある。
【0101】
なお本発明において、パンチ支持台部(6)の面取り部(67)は、パンチ支持面(61)の外周縁に含まれず当然、パンチ支持面(61)にも含まれない。同様に、パンチ(3)の面取り部(37)は、パンチ上端面(32)の外周縁に含まれず当然、パンチ上端面(32)にも含まれない。
【0102】
また本実施形態においては、パンチ支持面(61)の面積がパンチ上端面(32)の面積に対し0.1〜0.5%小さく、好ましくは0.2〜0.4%小さく形成するのが良い。すなわち上記の面積減少率が特定範囲内に設定される場合には、受圧板(5)の磨耗劣化を一層確実に防止することができる。換言すれば、上記の面積減少率が小さ過ぎる場合には、受圧板(5)における磨耗劣化の抑制効果を十分に発揮できないおそれがある。逆に上記の面積減少率が大き過ぎる場合には、パンチ支持台部(6)が小さくなり過ぎて破損するおそれがある。
【0103】
さらに本実施形態においては、パンチ支持台部(6)の高さ(H)を、0.1〜1.5mm、好ましくは0.1〜0.5mm、より好ましくは0.2〜0.4mmに設定するのが良い。すなわちこの支持台部高さ(H)が特定範囲内に設定される場合には、受圧板(5)の磨耗劣化抑制効果を確実に得ることができる。換言すれば、支持台部高さ(H)が低過ぎる場合には、受圧板(5)の磨耗劣化抑制効果を確実に得ることができないおそれがある。逆支持台部高さ(H)が高過ぎる場合には、パンチ支持台部(6)に衝撃荷重が集中して、パンチ支持台部(6)が破損するおそれがある。
【0104】
また本実施形態においては、受圧板(5)を、上方に向かうに従って外径が次第に大きくなる円錐台形状に形成しているため、パンチ打ち込み時の衝撃が受圧板(5)に加わった際に、その衝撃が、円錐台形状の受圧板(5)に沿って次第に広がりながら上方へ伝播していく。このため衝撃荷重を広範囲に均等に分散させることができ、衝撃荷重の局部集中に起因する不具合例えば、受圧板(5)の早期磨耗等を有効に防止することができる。
【0105】
さらに本実施形態においては、受圧板(5)の外周テーパ面(53)における軸心(C)に対する傾斜角度を20〜70°、好ましくは30〜60°に設定するのが良い。すなわちこの傾斜角度を上記特定範囲内に設定する場合には、衝撃荷重を外径方向(水平方向)に効率良く分散させることができ、衝撃荷重の局部集中を回避することができる。換言すれば受圧板外周テーパ面(53)の傾斜角度が小さ過ぎる場合には、衝撃荷重を広い範囲に分散できないおそれがある。逆に受圧板外周テーパ面(53)の傾斜角度が大き過ぎる場合には、受圧板(5)が偏平な形状となり、衝撃荷重をスムーズに分散できないばかりか、荷重が中央に集中して受圧板(5)が早期に磨耗劣化するおそれがある。
【0106】
また本実施形態においては、受圧板(5)を、パンチ支持台部(6)を含む下端部によって構成される第1分割体(501)と、残りの上側部によって構成される第2分割体(502)とにより形成しているため、長期間の使用によって、パンチ支持台部(6)に磨耗による劣化凹部が形成されて、受圧板(5)の交換が必要となった場合には、受圧板(5)のうち、第1分割体(501)のみを交換して、第2分割体(502)は交換せずに引き続き使用することができる。従って磨耗劣化による部品交換時に、交換部位を少なくでき、コストの削減を図ることができる。
【0107】
なお本実施形態においては、受圧板(5)を2分割する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、受圧板を3つ以上の分割体によって構成するようにしても良い。要は分割体の一つが、受圧板におけるパンチ支持台部を含む部分によって構成されていれば良い。
【0108】
また本実施形態においては、パンチ支持台部(6)の外周面上端に面取り部(67)を形成しているため、衝撃荷重が、パンチ支持台部(6)の外周部に集中するのを防止でき、その周辺の磨耗劣化を有効に防止することができる。
【0109】
さらに本実施形態においては、パンチ(3)の外周面上端にも面取り部(37)を形成しているため、上記と同様に、衝撃荷重が、パンチ(3)の上端外周部に集中するのを防止でき、その周辺の磨耗劣化を確実に防止することができる。
【0110】
また本実施形態においては、受圧板(5)の下端部外周に、軸心(C)に対し平行な外周平行面(573)を有する凹段部(57)を形成する一方、パンチホルダー(7)の保持孔(75)に、軸心(C)に対し平行な内周平行面(773)を有する凸段部(77)を形成して、受圧板(5)の外周平行面(573)をパンチホルダー(7)の内周平行面(773)に接触させつつ、凹段部(57)に凸段部(77)を嵌合することにより、受圧板(5)をパンチホルダー(7)に装着するものであるため、受圧板(5)の外周平行面(573)が、パンチホルダー(7)の内周平行面(773)に位置規制されることによって、受圧板(5)の下側のパンチホルダー(7)に対するセンタリングを確実に行うことができる。
【0111】
しかも本実施形態においては、受圧板(5)の上端部外周に、軸心(C)に対し平行な外向き外周面を有する抜止め部(56)を形成する一方、パンチホルダー(7)の保持孔(75)に、軸心(C)に対し平行な内向き内周面を有する凹段部(756)を形成して、受圧板(5)の抜止め部外周面を、パンチホルダー(7)の凹段部内周面に接触させつつ、受圧板(5)をパンチホルダー(7)に装着するものであるため、受圧板(5)の抜止め部外周面が、パンチホルダー(7)の凹段部内周面に位置規制されることによって、受圧板(5)の上側のパンチホルダー(7)に対するセンタリングも確実に行うことができる。
【0112】
このように受圧板(5)の上下でパンチホルダー(7)に対するセンタリングを正確に行うことができ、受圧板(5)の組付精度を向上できて、ひいては加工精度の向上および品質の向上を図ることができる。
【0113】
なお本実施形態において、受圧板(5)の外周テーパ面(53)を、パンチホルダー(7)の内周テーパ面(73)に接触させて、受圧板(5)をパンチホルダー(7)に対しセンタリングを行うことも可能であるが、その場合には、受圧板(5)の外周テーパ面(53)と、パンチホルダー(7)の内周テーパ面(73)との接触位置に位置ずれが生じて、受圧板(5)がパンチホルダー(7)に対して傾いて配置されることがある。こうして受圧板(5)が傾いたままパンチホルダー(7)に装着されると、受圧板(5)の一部のみがパンチ上端面(32)に接触するようになるため、パンチ打ち込み時の衝撃荷重が、受圧板(5)の一部のみに集中し、受圧板(5)が劣化するおそれがある。
【0114】
従って本実施形態においては、受圧板(5)の外周テーパ面(53)を、パンチホルダー(7)の内周テーパ面(73)に接触させないのが好ましい。具体的には、受圧板(5)の外周テーパ面(53)とパンチホルダー(7)の内周テーパ面(73)との間に、0.2〜0.5mm、好ましくは0.3〜0.4mmの隙間を形成するのが良い。すなわちこの隙間が狭過ぎる場合には、受圧板(5)の外周テーパ面(53)がパンチホルダー(7)の内周テーパ面(73)に接触係止して、受圧板(5)に傾きが生じて、上記の不具合が生じるおそれがある。逆に、上記隙間が広過ぎる場合には、上金型(15)に空洞部が多くなり、上金型(15)の強度を十分に確保できなくなるおそれがある。
【0115】
また本実施形態においては、受圧板(5)の外周テーパ面(53)と、パンチホルダー(7)の内周テーパ面(73)との間の隙間寸法に対し、受圧板(5)における外周平行面(573)の軸心方向の長さ(パンチホルダー7における内周平行面773の長さ)を20倍以上、好ましくは25倍以上に設定するのが良い。すなわち外周平行面(573)の軸心方向長さが短過ぎる場合には、パンチホルダー(7)の内周平行面(773)との接触面積を十分に確保できなくなり、受圧板(5)のパンチホルダー(7)に対する組付精度が低下するおそれがある。具体的には、外周平行面(573)の軸心方向長さを、2〜6mm、好ましくは3〜5mmに設定するのが良い。
【0116】
本実施形態においては、受圧板(5)の外周平行面(573)と、パンチホルダー(7)の内周平行面(773)との間の隙間寸法(クリアランス)を、パンチ支持面(61)の半径寸法とパンチ後端面(32)の半径寸法との差よりも小さく設定するのが好ましい。すなわちこの場合には、受圧板(5)のパンチ(3)に対する位置合わせを精度良く行うことができ、パンチ支持面(61)をパンチ後端面(32)の内側に確実に接触させることができ、上記した受圧板(5)の磨耗抑制効果をより一層確実に得ることができる。具体的には、外周平行面(573)および内周平行面(773)間の隙間寸法を、0.05〜0.2mm、好ましくは0.1〜0.15mmに設定するのが良い。
【0117】
また本実施形態においては、パンチ(3)をパンチケース(4)を介してパンチホルダー(7)に組み付けるようにしているため、パンチ(3)がパンチケース(4)によって拘束されることにより、パンチ(3)の振れを防止できて、加工精度および製品品質を一層向上させることができる。さらにパンチ打ち込み時に、パンチ(3)とダイ孔内周面間の隙間がパンチケース(4)によって密閉されて、密閉鍛造を行うことができる上、パンチケース(4)の下端面(41)によって、鍛造加工品(W1)の周壁高さを正確に制御することができ、加工精度および製品品質をより向上させることができる。
【0118】
さらに本実施形態においては、パンチ(3)とパンチケース(4)とを別体に形成しているため、これらを一体に形成する場合と比較して、各部材(3)(4)に型応力を分散させることができ、耐摩耗性を向上できて延命化を図ることができる。
【0119】
なお上記実施形態においては、受圧板(5)として、円錐台形状のものを使用しているが、それだけに限られず、本発明においては図17に示すように、外周面(53)が軸心(C)に対し平行な円柱形状の受圧板(5)を用いることも可能である。
【0120】
また上記実施形態においては、受圧板(5)の下端部に、外周平行面(573)を形成するようにしているが、本発明において、外周平行面(573)の形成位置は特に限定されるものではなく、例えば外周平行面(573)を受圧板(5)の外周テーパ面(53)における中間部や、上部に形成するようにしても良い。
【0121】
さらに上記実施形態においては、受圧板(5)の外周平行面(573)を、外周テーパ面(53)よりも内側に凹ませた凹段部(57)の一面(垂直面)によって形成するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、受圧板(5)の外周部の一部を、外周テーパ面(53)よりも外側に突出させて、その突出部の一面(垂直面)によって、外周平行面を形成するようにしても良い。
【0122】
また上記実施形態においては、パンチケース(4)を介してパンチ(3)をパンチホルダー(7)に保持させるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、パンチケースを用いずに、パンチをパンチホルダーに保持させることにより、パンチケースを省略することも可能である。
【0123】
また上記実施形態においては、パンチ(3)の上端部が円柱形状のものを使用しているが、それだけに限られず、本発明においては、パンチの上端部形状が、上方に向かうに従って大径となる円錐台形状のものも使用することができる。この場合には、パンチ打ち込み時の衝撃の伝播方向は、パンチの円錐台部における外周テーパ面の傾斜方向(延長方向)となるため、衝撃の伝播をスムーズに行えるように、パンチ支持台部(6)と、パンチ円錐台部の外面延長線との間の水平距離を5mm以内に設定するのが良い。
【実施例】
【0124】
【表1】


【0125】
<実施例1>
上記実施形態の鍛造加工装置(図2〜4参照)のダイセットに準拠してダイセットを作製した。すなわちダイ(2)として、ダイ孔(25)の直径が34mmのものを準備した。パンチ(3)として、加工部(下端部)の直径が29mm、受圧板側である上端面(32)の直径が34mmのものを準備した。またパンチ(3)の材質は、炭素鋼である。
【0126】
受圧板(5)として、下方に向かうに従って小径となる略円錐台形状で、上下に2分割可能なものを準備した。この受圧板(5)においては、下端部外周に、軸心方向に平行な面(外周平行面573)と、軸心方向に直交する面(直交面571)とを有する凹段部(57)を形成した。この凹段部(57)における外周平行面(573)の軸心方向の長さを5mm、直交面(571)の径方向(水平方向)の長さを48mmに設定した。また受圧板(5)の下面(51)は、直径48mmであり、外周テーパ面(53)は、その軸心(C)に対する傾斜角度が55°に調整されている。さらにこの受圧板(5)の下面(51)には、直径33.4mm、高さ0.2mmのパンチ支持台部(6)を形成するとともに、そのパンチ支持台部(6)のパンチ支持面(61)の直径を33mmに設定した。なお受圧板(5)の材質は、パンチと同様のものである。
【0127】
またパンチホルダー(7)としては、パンチケース(4)および受圧板(5)に外周形状に対応する保持孔(75)を有するものを準備した。
【0128】
その他の構成は、上記実施形態と同様にして、ダイセットを組み付けた。そしてこのダイセットにおける受圧板(5)の位置決め精度(センタリング精度)を検査した。検査方法は、組み付けられた受圧板(5)における基準の中心位置からの位置ずれ量を測定し、その位置ずれ量が0.15mm未満のものを「◎」、0.15〜0.3mmのものを「○」として判定した。その検査結果を表1に示す。
【0129】
またこのダイセットを、上記実施形態と同様の鍛造加工装置(1)に装着し、その装置(1)を用い、プレス荷重を90トンに設定し、40spmの速さで、上記実施形態と同様に、アルミニウム合金製のワーク(W)に対し鍛造加工を行って、カップ形状鍛造加工製品を製造した。そしてこの鍛造加工が20000回に達したところで、受圧板(5)の下面(51)における磨耗状況を目視により観察し、磨耗状態を確認した。その結果を表1に示す。
【0130】
<実施例2>
受圧板(5)として、下端部外周に凹段部(57)が形成されないものを準備し、それ以外は上記と同様にして、センタリング検査および磨耗確認を行った。
【0131】
<比較例>
受圧板(5)として、パンチ支持台部(6)が形成されず全域が平坦な下面(51)を有し、かつ下端部外周に凹段部(57)も形成されないものを準備し、それ以外は上記と同様にして、センタリング検査および磨耗確認を行った。
【0132】
<評価>
表1に示されるように実施例1,2のダイセットにおいては、受圧板の下面に、磨耗による劣化凹部は確認されなかった。これに対し比較例のダイセットにおいては、受圧板下面に、磨耗による劣化凹部が確認された。この劣化凹部は、パンチ上端面の外周縁部に対応する部分が深く、内側に向かうに従って次第に浅く形成されていた。
【0133】
従って本発明に関連した実施例のものでは、本発明の要旨を逸脱する比較例のもの比べて、受圧板の交換スパンを長くでき、交換頻度を減少させることができる。
【0134】
また実施例1のダイセットは、実施例2や比較例のものと比較して、受圧板のセンタリング精度が非常に高いものであった。
【0135】
なお実施例1,2のダイセットにおいては、パンチ上端面に外周縁部に沿って、磨耗による劣化凹部が確認された。もっとも、このパンチ上端面の磨耗劣化は、パンチ下端面(押圧加工面)の磨耗劣化に比べて非常に少ないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0136】
この発明のプレス加工装置は、鍛造加工用に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】この発明の実施形態の鍛造加工装置を示す正面図である。
【図2】この発明の実施形態の鍛造加工装置のダイセット周辺を示す断面図である。
【図3】実施形態における鍛造加工装置の上金型を示す断面図である。
【図4】実施形態における上金型の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】実施形態の上金型におけるパンチを示す側面図である。
【図6】実施形態の上金型におけるパンチケースを示す断面図である。
【図7】実施形態の上金型におけるパンチケースをパンチ収容状態で示す断面図である。
【図8】実施形態の上金型における受圧板の第1分割体を裏返した状態で示す斜視図である。
【図9】実施形態の受圧板における第1分割体を示す下面図である。
【図10】実施形態の受圧板における第1分割体を示す断面図である。
【図11】実施形態の受圧板における第2分割体を示す断面図である。
【図12】実施形態の上金型におけるパンチホルダーを示す断面図である。
【図13】実施形態の上金型における受圧板およびパンチの接触部周辺をその特徴部を誇張して示す概略断面図である。
【図14】本発明の要旨を逸脱する上金型における受圧板およびパンチの接触部周辺をその欠点部を誇張して示す概略断面図である。
【図15】実施形態の鍛造加工装置により生産される鍛造加工品を示す平面図である。
【図16】実施形態の鍛造加工装置により生産される鍛造加工品を示す断面図である。
【図17】この発明の変形例である鍛造加工装置の上金型を示す断面図である。
【符号の説明】
【0138】
1…鍛造加工装置
15…上金型(可動側金型)
2…ダイ
3…パンチ
32…上端面(基端面)
37…面取り部
4…パンチケース
42…上端面(基端面)
5…受圧板
501,502…分割体
51…下面(受圧面)
53…外周テーパ面(外周面)
57…凹段部
573…外周平行面
6…パンチ支持台部
61…パンチ支持面
67…面取り部
7…パンチホルダー
73…内周テーパ面(内周面)
75…保持孔
77…凸段部
773…内周平行面
W…ワーク
【出願人】 【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【出願日】 平成18年10月27日(2006.10.27)
【代理人】 【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義

【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市

【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁


【公開番号】 特開2008−105086(P2008−105086A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−292421(P2006−292421)