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鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法 - 特開2008−55474 | j-tokkyo
トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法
【発明者】 【氏名】長田 卓

【氏名】前田 恭志

【要約】 【課題】被加工材が鍛造金型に接触することにより生じる温度低下を防止し、この温度低下に伴う賦形の困難化や目標とする材料特性の未達を解消するとともに、径方向への被加工材の塑性流動によるバリ発生やバネ手段の破損を防止可能な鍛造金型を提供する。

【構成】被加工材に複数回の圧下を施し賦形するための鍛造金型において、この鍛造金型1が、被加工材2の外周を拘束する筒状金型11と、前記被加工材2に圧下圧を負荷させる上型12と、前記被加工材2に負荷される圧下圧を下方から支持する下型13とから構成されるとともに、前記筒状金型11を上方に付勢して前記被加工材2と下型13とを離反状態に保持する復元手段14を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工材に複数回の圧下を施し賦形するための鍛造金型において、この鍛造金型が、被加工材の外周を拘束する筒状金型と、前記被加工材に圧下圧を負荷させる上型と、前記被加工材に負荷される圧下圧を下方から支持する下型とから構成されるとともに、前記筒状金型を上方に付勢して前記被加工材と下型とを離反状態に保持する復元手段を備えたことを特徴とする鍛造金型。
【請求項2】
前記復元手段によって、常時は前記被加工材と下型とを離反状態に保持し、前記上型が圧下された時のみ前記被加工材と下型とを接触させることを特徴とする前記請求項1に記載の鍛造金型を用いた鍛造方法。
【請求項3】
鍛造開始時には、前記被加工材は前記筒状金型とは接触しておらず、前記被加工材が1回または複数回の圧下により拡径されて後前記筒状金型に拘束された状態に至り、以降、上型を除荷した際には、前記復元手段によって前記被加工材が下型と離反状態に保持されることを特徴とする請求項2に記載の鍛造方法。
【請求項4】
前記被加工材の下面は下型とのみ接し、前記筒状金型とは接しないことを特徴とする請求項2または3に記載の鍛造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工材に複数回の圧下を施し賦形するための鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法に関し、より詳しくは、被加工材が鍛造金型に接触することによって生じる温度低下を防止し、この温度低下に伴う問題点を解消するための鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車、船舶、列車、建設機械等の動力機械には、様々な金属部品が使用されているが、鍛造品は、そのような部品の中でも、特に厳しい負荷条件がかかる場所に使用されている。鍛造品には、信頼性が高く、比較的安価に製造できるという特徴があるため、前記動力機械の他、あらゆる産業機械の素形材部品として用いられる。
【0003】
一般的に、金属には精製された時点では内部組織(結晶粒)にバラツキが存在するため、これを鍛造により圧下することにより、より緻密で均一な組織となり、内部欠陥が除去され安定した強度が得られるようになる。更に、鍛造では、製品形状に沿ったメタルフロー(鍛流線)が得られるので、他の加工法に比べ、より粘り強く衝撃破壊を起こしにくい性質(靭性)を持った製品を製造することが出来る。
【0004】
このような鍛造方法には、プレス・エアハンマー方式、ローリング方式、フリー鍛造方式等があるが、本発明は、前記プレス・エアハンマー方式に係る鍛造金型とこれを用いた鍛造方法に関する。以下、このプレス・エアハンマー方式による熱間鍛造方法について、手順に沿って説明する。
【0005】
(1)先ず、製品重量の8〜10%多目に被加工材を切断して取り出す。
(2)この被加工材を、加熱炉に投入して鍛造加工に必要な温度(材質により異なる)
に加熱する。
(3)同時に、金型も被加工材温度よりも低温ではあるが、所定温度に加熱するのが一
般的である。
(4)前記金型を鍛造機の所定位置に取り付けるとともに、前記被加工材を前記金型の
の所定位置にセットする。
(5)前記被加工材に上方より複数回の圧下を施し金型により賦形させる。この時、プ
レス機では数千トンの荷重を油圧等により負荷し、エアハンマーではエアにより加
速した荷重で強打することにより圧下圧を負荷する。
【0006】
被加工材を加熱して鍛造を行なうこのような熱間鍛造方法においては、前記被加工材が金型と接することにより温度低下して、鍛造荷重の増大により目標形状への賦形が困難となったり、所定の温度内で鍛造が行なわれないために目標の材料特性が得られなくなることが問題となる。特に、上記プレス・エアハンマー方式のように、複数回の金型圧下を繰り返す鍛造方式では、下型への接触時間が長くなるためこのような問題が発生し易い。
【0007】
このような問題点を解消するため提案されている従来例について、以下図4を参照しながら説明する。図4は、従来例に係る舶用エンジンバルブの製造過程における、傘部の型入れ鍛造工程を示す縦断面図であって、金敷が上昇して中間材と鍛造型との接触がなくなった段階を示す図である。この従来例に係る舶用エンジンバルブの製造方法は、材料の一部を鍛伸して軸部を形成した中間材とし、次いで材料の残りの部分を型入れ鍛造して傘部を形成したバルブ素材を得、これに必要な機械加工を施してバルブとすることからなる舶用エンジンバルブの製造過程におけるものである。
【0008】
そして、この舶用エンジンバルブの製造方法は、前記傘部の型入れ鍛造に当たり、鍛造型を貫いて下方に伸びる軸部41の下端43に、バネ手段44を設けて中間材40を常に上方に付勢し、中間材40と鍛造型42との接触を、金敷43が下降して傘部となる材料を鍛造型42に押し込んだ瞬間に限定するようにし、鍛造中の失熱を減らすことにより、中間材40の温度を鍛造に適切な範囲に維持しつつ鍛造を完了するものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−188454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来例における鍛造方法においては、円柱状や円盤状の被加工材のように、高さ寸法に対して直径の大きな被加工材を前記バネ手段により支持しようとすると、被加工材を厳密にセンタリングすることが必要となり、前記被加工材を安定的に保持することが難しい。また、前記被加工材を安定的に保持するために前記バネ手段上部の台座を大きくすると、その部分での接触面積が大きくなり、結果的に失熱が大きくなってしまう。
【0010】
特に、エアハンマー鍛造で円盤状の製品を形成すると、加工の進行に従って徐々に被加工材の径が大きくなって来るため、この鍛造方式で被加工材を安定的に保持するのが難しくなる。前記バネ手段を径方向に複数個配置することも可能であるが、バネ手段による被加工材保持部において、径方向への被加工材の塑性流動により金型間にバリが発生して、成形の阻害や金型の焼付きの原因となったり、径方向への被加工材の塑性流動による繰り返し衝撃によってバネ手段自体が破損したりすることも問題となる。
【0011】
従って、本発明の目的は、被加工材が鍛造金型に接触することにより生じる温度低下を防止し、この温度低下に伴う賦形の困難化や目標とする材料特性の未達を解消するとともに、径方向への被加工材の塑性流動によるバリ発生やバネ手段の破損を防止可能な鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
即ち、上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る鍛造金型が採用した手段は、被加工材に複数回の圧下を施し賦形するための鍛造金型において、この鍛造金型が、被加工材の外周を拘束する筒状金型と、前記被加工材に圧下圧を負荷させる上型と、前記被加工材に負荷される圧下圧を下方から支持する下型とから構成されるとともに、前記筒状金型を上方に付勢して前記被加工材と下型とを離反状態に保持する復元手段を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項2に係る鍛造方法が採用した手段は、請求項1に記載の鍛造金型を用いた鍛造方法において、前記復元手段によって、常時は前記被加工材と下型とを離反状態に保持し、前記上型が圧下された時のみ前記被加工材と下型とを接触させることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項3に係る鍛造方法が採用した手段は、請求項2に記載の鍛造方法において、鍛造開始時には、前記被加工材は前記筒状金型とは接触しておらず、前記被加工材が1回または複数回の圧下により拡径されて後前記筒状金型に拘束された状態に至り、以降、上型を除荷した際には、前記復元手段によって前記被加工材が下型と離反状態に保持されることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項4に係る鍛造方法が採用した手段は、請求項2または3に記載の鍛造方法において、前記被加工材の下面は下型とのみ接し、前記筒状金型とは接しないことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る鍛造金型によれば、鍛造金型が、被加工材の外周を拘束する筒状金型と、前記被加工材に圧下圧を負荷させる上型と、前記被加工材に負荷される圧下圧を下方から支持する下型とから構成されるとともに、前記筒状金型を上方に付勢して前記被加工材と下型とを離反状態に保持する復元手段を備えたので、高さ寸法に対して直径の大きな被加工材においても、比較的小さな接触面積で失熱を防止し安定して被加工材を鍛造することが可能となる。また、径方向への被加工材の塑性流動による力は、被加工材外周を拘束する筒状金型自体が受けるため、前記復元手段自体への負荷が小さくなる。
【0017】
本発明の請求項2に係る鍛造方法によれば、請求項1に記載の鍛造金型を用いた鍛造方法において、前記復元手段によって、常時は前記被加工材と下型とを離反状態に保持し、前記上型が圧下された時のみ前記被加工材と下型とを接触させるので、前記被加工材と下型との接触時間を極小化し、鍛造金型の失熱を最小限に留めることが出来る。
【0018】
また、本発明の請求項3に係る鍛造方法によれば、鍛造開始時には、前記被加工材は前記筒状金型とは接触しておらず、前記被加工材が1回または複数回の圧下により拡径されて後前記筒状金型に拘束された状態に至り、以降、上型を除荷した際には、前記復元手段によって前記被加工材が下型と離反状態に保持されるので、上記と同様、前記被加工材と下型との接触時間を極小化し、鍛造金型の失熱を防止し安定して被加工材を鍛造することが出来る。
【0019】
特に、被加工材の寸法が大きい場合は、鍛造時の一回当たりの圧下に伴う変形量が小さくなるため、圧下回数、加工時間ともに増加し、失熱による温度低下も大きくなるので、前記被加工材が下型と離反状態に保持される効果が十分発揮される。
【0020】
本発明の請求項4に係る鍛造方法によれば、前記被加工材の下面は下型とのみ接し、前記筒状金型とは接しないので、径方向への被加工材の塑性流動により金型間にバリが発生して、成形の阻害や金型の焼付きの原因となったり、径方向への被加工材の塑性流動による繰り返し衝撃によって復元手段自体が破損したりすることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態1に係る鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法を、添付図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法を工程順に説明するための模式的断面図であり、図1(a)は鍛造開始前の状態を示す模式的断面図、図1(b)は上型を圧下した状態を示す模式的断面図、図1(c)は上型を引き上げた状態を示す模式的断面図である。
【0022】
先ず、本発明の実施の形態1に係る鍛造金型の構成について説明する。図1において、本発明の実施の形態1に係る鍛造金型1は、筒状金型11、上型12および下型13から構成される。前記上型12は、被加工材2にハンマー等により圧下圧を負荷させ、前記下型13は前記被加工材2に負荷される前記圧下圧を下方から支持している。そして、前記上型12と下型13との間には、前記被加工材2の外周を拘束するための筒状金型11が配置されている。
【0023】
前記筒状金型11は、底部に前記被加工材2を保持するための受台11aを有しており、この受台11aには、下型13に設けられた凸状ガイド13aに沿って、上下方向にスライドさせるためのガイド穴11bが設けられている。そして、前記下型13には、前記筒状金型11を上方に付勢して、前記被加工材2と下型13とを離反状態に保持する復元手段14が備えられている。
【0024】
ここで、前記筒状金型11は、垂直方向の空洞部を有する円柱形状、四角柱形状あるいは多角柱形状等の筒状金型を適用することが出来、特にその水平断面の形状を限定するものではない。従って、被加工材の目標とする加工形状も円柱形状に限定されることなく、前記筒状金型11の空洞部の形状に従った製品を得ることが出来る。しかしながら、理解を容易にするため、前記筒状金型11は、円柱形状の空洞部を有するものとして以下説明する。
【0025】
更に、前記筒状金型11は、被加工材2と接触する内周面では金型下部に対して上部の径が大きくなる勾配を有することが好ましい。このように、前記筒状金型11の内周面上方に向かって径が大きくなるように勾配を設けることによって、被加工材2の上方への保持力が大きくなり、また、鍛造終了後の離型も容易になるからである。
【0026】
前記復元手段14には、バネや気体圧、液圧、油圧等を用いたクッション部材を用いることが出来る。この復元手段は、図1(a)に示すように、下型13に円周状に複数個等配して設けられた復元手段収納部13bに夫々圧縮バネ14を収納して、前記筒状金型11を上方に付勢するよう構成されている。また、前記復元手段は、図示はしないが、下型13に円環状に設けられた復元手段収納部に、この復元手段収納部とPCDが同一の一個の圧縮バネを収納して、前記筒状金型11を上方に付勢するよう構成することも出来る。
【0027】
次に、本発明の実施の形態1に係るこのような鍛造金型1を用いた鍛造方法について以下説明する。先ず、被加工材2および鍛造金型1を所定温度に加熱した後、鍛造金型1の上型12を鍛造機のハンマー側に、下型13を鍛造機の固定台座側に取り付ける。そして、筒状金型11を復元手段14とともに、図1(a)の如く下型13にセットする。最後に、被加工材2を前記筒状金型11の受台11a上に載せて鍛造の準備を完了する。
【0028】
そして、鍛造を開始すると、図1(b)に示す如く、ハンマー側に取り付けられた上型12によって被加工材2が下方に所定の圧下圧で圧下されると、筒状金型11を介して復元手段14が圧縮されて、前記被加工材2の下面と下型13の上面とが直接接触するに至る。その結果、前記被加工材2に上下方向の圧下圧が作用し高さ寸法が少し減少し、高さ寸法が減少した容積分が径方向に少しだけ拡大される。
【0029】
前記上型12が上方に引き上げられると、図1(c)に示す如く、前記復元手段14の復元力によって、再度筒状金型11を介して被加工材2が持ち上げられ、前記被加工材2の下面と下型13の上面とが離反するに至る。そして更に、前記上型12による被加工材2への圧下操作(図1(b))と前記上型12の被加工材2からの離反操作(図1(c))とを、上型12の下面が筒状金型11の上面に達するまで複数回繰り返す。このような鍛造方法によって、所望とする鍛造製品が得られるのである。
【0030】
以上、本発明の実施の形態1に係る鍛造金型によれば、前記鍛造金型1が、被加工材2の外周を拘束する筒状金型11と、前記被加工材2に圧下圧を負荷させる上型12と、前記被加工材2に負荷される圧下圧を下方から支持する下型13とから構成されるとともに、前記被加工材2と下型13とを離反状態に保持する復元手段14を備えたので、比較的小さな接触面積で失熱を防止し安定して被加工材を鍛造することが可能となる。また、径方向への被加工材2の塑性流動による力は、被加工材2外周を拘束する筒状金型11自体が受けるため、前記復元手段4自体への負荷が小さくなり破損したりすることがない。
【0031】
本発明の実施の形態1に係る鍛造方法によれば、前記復元手段4によって、常時は前記被加工材2と下型13とを離反状態に保持し、前記上型12が圧下された時のみ前記被加工材2と下型13とを接触させるので、前記被加工材2と下型13との接触時間を極小化し、鍛造金型1の失熱を最小限に留めることが出来る。
【0032】
また、本発明の実施の形態1に係る鍛造方法によれば、前記被加工材2の下面は下型13とのみ接し、前記筒状金型11とは接しないので、径方向への被加工材2の塑性流動により金型間にバリが発生して、成形の阻害や金型の焼付きの原因となったり、径方向への被加工材2の塑性流動による繰り返し衝撃によって復元手段14自体が破損したりすることがなくなる。
【0033】
次に、本発明の実施の形態2に係る鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法を、添付図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態2に係る鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法を工程順に説明するための模式的断面図であり、図2(a)は鍛造開始前の状態を示す模式的断面図、図2(b)は上型を圧下した状態を示す模式的断面図、図2(c)は上型を引き上げた状態を示す模式的断面図である。
【0034】
但し、本発明の実施の形態2が上記実施の形態1と相違するところは、鍛造金型を構成する筒状金型の形状に相違があり、これに伴って、下型とのスライド構成および被加工材の下型との離反作用にも相違が生ずるが、これらの相違以外は上記実施の形態1と全く同構成であるから、上記実施の形態1と同一のものに同一符号を付して、以下その相違する点について説明する。
【0035】
即ち、上記実施の形態1の筒状金型11は、底部に前記被加工材2を保持するための受台11aを有しており、この受台11aには、下型13に設けられた凸状ガイド13aに沿って、上下方向にスライドさせるためのガイド穴11bが設けられているのに対し、本実施の形態2の筒状金型21には、前記被加工材2を保持するための受台を特に設けていない。即ち、前記筒状金型21は、下型23に設けられた凸状ガイド23aに沿って、その内壁を上下方向にスライドさせるため、前記下型23の凸状ガイド23aの外周に前記筒状金型21の内周をスライドさせるよう構成されている。
【0036】
本発明の実施の形態2に係るこのような鍛造金型1を用いた鍛造方法について以下説明する。実施の形態1と同様、先ず、被加工材2および鍛造金型1を所定温度に加熱した後、鍛造金型1の上型12を鍛造機のハンマー側に、下型23を鍛造機の固定台座側に取り付ける。そして、筒状金型21を復元手段14とともに、図2(a)の如く下型23にセットする。最後に、被加工材2を前記下型23上に載せて鍛造の準備を完了する。
【0037】
鍛造を開始すると、ハンマー側に取り付けられた上型12によって被加工材2が所定の圧下圧で圧下されて高さ寸法が少し減少し、高さ寸法が減少した容積分が径方向に少しだけ拡大される。そして、1回または複数回の圧下により、図2(b)に示す如く、前記筒状金型21の内壁に接触し拘束状態に至る。更に、上型12による圧下が進行すると、被加工材2の厚さの減少に応じて前記被加工材2と筒状金型21との間で滑りが発生し、前記筒状金型21が下降して行き、図2(c)に示す如く、圧化された前記被加工材2と上面位置が揃うに至る。
【0038】
図2(c)の状態においては、前記上型12が上方に引き上げられると、前記復元手段14の復元力によって、再度筒状金型11が持ち上げられ、それとともにこの筒状金型11に拘束された被加工材2が持ち上げられ、前記被加工材2の下面と下型23の上面とが離反する。そして更に、前記上型12による被加工材2への圧下操作(図2(b))と前記上型12の被加工材2からの離反操作(図2(c))とを、筒状金型21の下面が下型23の側部上面に達するまで複数回繰り返す。このような鍛造方法によって、所望とする鍛造製品が得られるのである。
【0039】
以上、本発明の実施の形態2に係る鍛造金型によれば、鍛造開始時には、前記被加工材2は前記筒状金型21とは接触しておらず、前記被加工材2が1回または複数回の圧下により拡径されて後前記筒状金型21に拘束された状態に至り、以降、上型12を除荷した際には、前記復元手段14によって前記被加工材2が下型23と離反状態に保持されるので、上型12と下型23への失熱を防止し安定して被加工材を保持することが可能となるのである。
【0040】
<実施例>
下記に示す実験条件で、Ti−64合金からなる被加工材をハンマー鍛造し、鍛造完了直後の被加工材下面の温度を測定することで、本発明の効果を確認した。
実験条件
被加工材初期形状:直径300mm,高さ400mmの円柱
被加工材加熱温度:870℃
金型初期温度 :150℃
【0041】
実験には、ハンマー鍛造機を用い約200[kJ]の打撃エネルギーにおいて、同一の圧下回数50回で圧下した後、鍛造完了直後の被加工材下面中心温度を接触式温度計により3点測定し、その平均値の10℃未満を四捨五入した。実施例−1は、金型構成としては図1に示した構成のものを用い、鍛造方法としては本発明に係る実施の形態1で説明した方法で鍛造した。また、実施例−2は、金型構成としては図2に示した構成のものを用い、鍛造方法としては本発明に係る実施の形態2で説明した方法で鍛造した。
【0042】
図3は、下型を一体の固定型とした比較例−1に係る鍛造金型を示す模式的断面図である。比較例−1は、金型構成としては前図3に示す従来例に係る構成のものを用い、鍛造方法として、下型33に被加工材2を載せたまま被加工材2への圧下圧を負荷させて鍛造したものである。
【0043】
実験結果を表1に示す。鍛造終了後の加工材下面温度は、比較例−1の630℃に対し、実施例−1では740℃、実施例−2では710℃と80℃以上高い温度となる結果が得られ、本発明に係る鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法の効果が確認できた。尚、実施例−1の加工材下面温度が、実施例−2の加工材下面温度より30℃高い温度となった理由は、加熱された被加工材を当初金型上に置いた時の、両者の接触面積の違いによるものと考えられる。
【0044】
【表1】


【0045】
以上、本発明に係る鍛造金型によれば、この鍛造金型が、被加工材の外周を拘束する筒状金型と、前記被加工材に圧下圧を負荷させる上型と、前記被加工材に負荷される圧下圧を下方から支持する下型とから構成されるとともに、前記筒状金型を上方に付勢して前記被加工材と下型とを離反状態に保持する復元手段を備えたので、比較的小さな接触面積で失熱を防止し安定して被加工材を保持することが可能となる。また、径方向への被加工材の塑性流動による力は、被加工材外周を拘束する筒状金型自体が受けるため、前記復元手段自体への負荷が小さくなる。
【0046】
また、本発明に係る鍛造方法によれば、前記復元手段によって、常時は前記被加工材と下型とを離反状態に保持し、前記上型が圧下された時のみ前記被加工材と下型とを接触させるので、前記被加工材と下型との接触時間を極小化し、鍛造金型の失熱を最小限に留めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1に係る鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法を工程順に説明するための模式的断面図であり、図1(a)は鍛造開始前の状態を示す模式的断面図、図1(b)は上型を圧下した状態を示す模式的断面図、図1(c)は上型を引き上げた状態を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る鍛造金型およびこれを用いた鍛造方法を工程順に説明するための模式的断面図であり、図2(a)は鍛造開始前の状態を示す模式的断面図、図2(b)は上型を圧下した状態を示す模式的断面図、図2(c)は上型を引き上げた状態を示す模式的断面図である。
【図3】下型を一体の固定型とした比較例−1に係る鍛造金型を示す模式的断面図である。
【図4】従来例に係る舶用エンジンバルブの製造過程における、傘部の型入れ鍛造工程を示す縦断面図であって、金敷が上昇して中間材と鍛造型との接触がなくなった段階を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1,31:鍛造金型
2:被加工材
11,21:筒状金型, 11a:受台, 11b:ガイド穴
12,32:上型
13,23,33:下型, 13a,23a:凸状ガイド, 13b:復元手段収納部
14:復元手段(圧縮バネ)
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之

【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠

【識別番号】100131750
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 芳通


【公開番号】 特開2008−55474(P2008−55474A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−236246(P2006−236246)