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アプセット成形装置 - 特開2008−49387 | j-tokkyo
トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 アプセット成形装置
【発明者】 【氏名】斎藤 裕二

【要約】 【課題】棒状素材の一端部を加圧する鍛縮台の耐久性を簡便な方法によって向上させることにある。

【構成】昇降自在に設けられたハウジングの下部側に連結される略円板状の受金18と、前記受金18の下部側に周方向に沿って回転可能に軸支されると共に、成形材料である棒状素材の一端部に当接し昇降自在に設けられた円柱状の鍛縮台とを備え、仮想直線A上において、前記受金18の軸心O1に対して前記鍛縮台22の軸心O2が一方に所定距離だけ偏心した第1偏心取付位置と、前記とは反対側の他方に所定距離だけ偏心した第2偏心取付位置とが相互に変更可能に設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降自在に設けられたハウジングと、
前記ハウジングに連結される略円板状の受金と、
前記受金の周方向に沿って回転可能に軸支されると共に、成形材料である棒状素材の一端部に当接し昇降自在に設けられた鍛縮台と、
軸心を回転軸として前記鍛縮台を所定角度ずつ回動させる送り機構と、
前記棒状素材の他端部に当接して該棒状素材を押圧する押圧機構と、
通電することにより前記棒状素材を加熱する電極と、
を備え、
前記受金の軸心O1と前記鍛縮台の軸心O2と前記棒状素材20の軸心O3とをそれぞれ結ぶ仮想直線A上において、前記受金の軸心O1に対して前記鍛縮台の軸心O2が一方に所定距離だけ偏心した第1偏心取付位置と、前記仮想直線A上において、前記受金の軸心O1に対して前記鍛縮台の軸心O2が他方に所定距離だけ偏心した第2偏心取付位置とが相互に変更可能に設けられることを特徴とするアプセット成形装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
仮想直線A上において、受金の軸心O1に対して鍛縮台の軸心O2が一方に所定距離だけ偏心した第1偏心取付位置に設定された第1の受金及び鍛縮台と、前記仮想直線A上において、受金の軸心O1に対して鍛縮台の軸心O2が他方に所定距離だけ偏心した第2偏心取付位置に設定された第2の受金及び鍛縮台とを有し、前記第1の受金及び鍛縮台と前記第2の受金及び鍛縮台とが相互に交換可能に設けられることを特徴とするアプセット成形装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記第1偏心取付位置に設定された第1の受金及び鍛縮台を有する複数の第1アプセット成形装置によって構成される第1ラインと、前記第2偏心取付位置に設定された第2の受金及び鍛縮台を有する複数の第2アプセット成形装置によって構成される第2ラインとが設けられることを特徴とするアプセット成形装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の棒状素材を電極間で加熱しながら軸方向に圧縮するアプセット成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンの構成部品としてエンジンバルブが用いられている。このエンジンバルブは、一端部が傘形形状に形成された膨出部と、前記膨出部と一体的に形成された軸部とから構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、後工程での据え込み成形に要する時間を短縮するために、電極間に配置された棒状素材を通電加熱する加熱電源装置を直流インバータ加熱方式とする電気アプセッタが開示されている。
【0004】
ここで、前記エンジンバルブの製造工程について概略説明する。先ず、図示しないカッタ機構によって所定長に切断された金属製の棒状素材を電極間で通電加熱するアプセット成形を施すことにより、棒状素材の一端部が加圧され略球状の加熱部を有するアプセット成形体が得られる。このアプセット成形体の加熱部に対してプレス装置を介してプレス加工を施し、プレス成形体に対して所定の熱処理加工を施した後、研磨加工が遂行されてエンジンバルブが完成する。
【0005】
【特許文献1】特開2004−160517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電極間で通電加熱することにより膨出して略球状の加熱部となる棒状素材の一端部と接触して前記一端部を押圧する電極(鍛縮台)の接触部位が限定された特定部位であるため、前記鍛縮台の耐久性が劣化するという問題がある。
【0007】
例えば、図8に示されるように、1本の棒状素材1の一端部を略球状に膨出させて加熱部2を形成した後、横断面円形状の円柱体からなる鍛縮台3を図示しない送り装置によって所定角度ずつ僅かに回動させてアプセット成形を施した場合、すなわち、1本の棒状素材1を加工する毎に鍛縮台3を数ピッチで所定方向に回動させた場合であっても、前記棒状素材1の一端部と接触する鍛縮台3の底面4の接触部位が所定幅からなる単一の環状帯5に特定される。
【0008】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、棒状素材の一端部を加圧する鍛縮台の耐久性を簡便な方法によって向上させることが可能なアプセット成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、昇降自在に設けられたハウジングと、
前記ハウジングに連結される略円板状の受金と、
前記受金の周方向に沿って回転可能に軸支されると共に、成形材料である棒状素材の一端部に当接し昇降自在に設けられた鍛縮台と、
軸心を回転軸として前記鍛縮台を所定角度ずつ回動させる送り機構と、
前記棒状素材の他端部に当接して該棒状素材を押圧する押圧機構と、
通電することにより前記棒状素材を加熱する電極と、
を備え、
前記受金の軸心O1と前記鍛縮台の軸心O2と前記棒状素材20の軸心O3とをそれぞれ結ぶ仮想直線A上において、前記受金の軸心O1に対して前記鍛縮台の軸心O2が一方に所定距離だけ偏心した第1偏心取付位置と、前記仮想直線A上において、前記受金の軸心O1に対して前記鍛縮台の軸心O2が他方に所定距離だけ偏心した第2偏心取付位置とが相互に変更可能に設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、先ず、棒状素材の一端部が鍛縮台に当接し他端部が押圧機構によって押圧された状態で電極に通電して棒状素材を加熱する。前記棒状素材が一端部が半径外方に膨出した加熱部を有するアプセット成形体が得られる。このようにして1本の棒状素材に対してアプセット成形が施された毎に送り機構を介して鍛縮台を所定角度だけ回動させて、棒状素材に対する鍛縮台との接触部位を変化させてアプセット成形がなされる。
【0011】
この場合、本発明では、仮想直線A上において、受金の軸心O1に対して鍛縮台の軸心O2が一方に所定距離だけ偏心した第1偏心取付位置と、前記仮想直線A上において、前記受金の軸心O1に対して前記鍛縮台の軸心O2が他方に所定距離だけ偏心した第2偏心取付位置とが相互に変更可能に設けられているため、例えば、予め第1偏心取付位置(又は第2偏心取付位置)に設定された受金と鍛縮台との取付位置関係を、所定期間経過した後、第2偏心取付位置(又は第1偏心取付位置)に容易に変更することができる。
【0012】
例えば、第1偏心取付位置のときには、棒状素材の一端部との接触軌跡が鍛縮台の底面における小径な環状帯となるのに対し、第2偏心取付位置のときには、棒状素材の一端部との接触軌跡が鍛縮台の底面における大径な環状帯となり、棒状素材に対して異なる接触部位とすることができる。
【0013】
従って、本発明では、棒状素材の一端部を加圧する鍛縮台の加圧面を有効的に活用することにより、1個の鍛縮台によるアプセット成形体の生産数を増大させると共に、前記鍛縮台の耐用年数を長期化させることができる。
【0014】
なお、前記の場合には受金と鍛縮台との取付位置を変更しているが、仮想直線A上において、受金の軸心O1に対して鍛縮台の軸心O2が一方に所定距離だけ偏心した第1偏心取付位置に設定された第1の受金及び鍛縮台と、前記仮想直線A上において、受金の軸心O1に対して鍛縮台の軸心O2が他方に所定距離だけ偏心した第2偏心取付位置に設定された第2の受金及び鍛縮台とをそれぞれ別個に設け、前記第1の受金及び鍛縮台と前記第2の受金及び鍛縮台とを相互に交換可能に設けてもよい。
【0015】
さらに、前記第1偏心取付位置に設定された第1の受金及び鍛縮台を有する複数の第1アプセット成形装置によって構成される第1ラインと、前記第2偏心取付位置に設定された第2の受金及び鍛縮台を有する複数の第2アプセット成形装置によって構成される第2ラインとを設け、所定期間経過後に、前記第1ラインに係る第1の受金及び鍛縮台の第1偏心取付位置と前記第2ラインに係る第2の受金及び鍛縮台の第2偏心取付位置とを相互に変更し、あるいは、前記第1ラインに係る第1の受金及び鍛縮台と前記第2ラインに係る第2の受金及び鍛縮台とを相互に交換することにより、鍛縮台の加圧面における内側と外側に分けて使用することができ、第1ライン及び第2ラインからなる2列のラインで併用して鍛縮台の耐用年数を2倍化させることができる。
【発明の効果】
【0016】
ハウジングに連結される受金と鍛縮台との取付位置の関係において、受金の軸心O1に対して鍛縮台の軸心O2が、一方に所定距離だけ偏心した第1偏心取付位置と、他方に所定距離だけ偏心した第2偏心取付位置とを相互に変更可能に設けることにより、棒状素材の一端部を加圧する鍛縮台の加圧面が異なり、前記鍛縮台の耐久性を簡便な方法によって向上させることができる。この結果、棒状素材の一端部を加圧する鍛縮台の加圧面を有効的に活用することにより、1個の鍛縮台によるアプセット成形体の生産数を増大させると共に、前記鍛縮台の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係るアプセット成形装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0018】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るアプセット成形装置を示す。
【0019】
このアプセット成形装置10は、図示しない昇降ユニットに連結され図示しない昇降手段の駆動作用下に前記昇降ユニットと一体的に上下方向に沿って変位するハウジング12と、前記ハウジング12の下部側に連結される絶縁板14及び連結ブロック16と、前記連結ブロック16の下部側に図示しないねじ部材を介して連結される略円板状の受金18と、前記受金18の下部側に周方向に沿って回転可能に軸支されると共に、成形材料である棒状素材20の上端部に当接し図示しない昇降手段を介して上下方向に沿って昇降自在に設けられた鍛縮台22と、軸心を回転軸として前記鍛縮台22を所定角度ずつ回動させる送り機構24とを含む。
【0020】
また、前記アプセット成形装置10は、図示しない下部側ユニットに固定され、前記棒状素材20の下端部に当接して該棒状素材20を上方に向かって押圧するピストンロッド(押圧機構)26が設けられた図示しない押圧用シリンダと、前記棒状素材20を挟持する一対のアーム28a、28bが設けられた図示しないクランプシリンダと、前記一対のアーム28a、28bにそれぞれ設けられ、通電することにより棒状素材20を加熱する一対の電極30a、30bとを有する。
【0021】
前記鍛縮台22は、略円柱体からなり、その中心部には軸線方向に沿って貫通する段付き孔部32が形成される。また、前記鍛縮台22の外周面には、全周にわたって延在する環状溝34が形成される。前記鍛縮台22は、前記段付き孔部32に挿入される図示しない取付用ボルトを介して円板状の受金18と着脱自在に連結されている。
【0022】
この場合、前記段付き孔部32は、鍛縮台22を放熱させる効果を有し、前記鍛縮台22の温度制御によって該鍛縮台22の耐久性を向上させることができる。なお、前記取付用ボルトには、鍛縮台22を回動自在に軸支するために耐熱性を有する図示しない軸受部材が設けられる。
【0023】
前記送り機構24は、ばね部材36を介して前記ハウジング12に支持される一組のガイドロッド38a、38bと、前記一組のガイドロッド38a、38bの下端部にそれぞれ軸着され、前記鍛縮台22の環状溝34に円弧部40が係合することにより該鍛縮台22を周方向に沿って案内する一対のガイドプレート42a、42bと、前記鍛縮台22の外周面に嵌着されたリング体からなり周縁部に鋸歯状の歯部44が形成されたラチェット46と、前記ラチェット46の歯部44に係合する断面鋭角状の係止爪48が先端部に設けられたピストンロッド50を有し、前記ピストンロッド50の進退動作によって鍛縮台22を矢印方向に沿って一定の角度ずつ回動させる送りシリンダ52とを備える。
【0024】
この場合、図5Aに示されるように、円板状に形成された受金18の軸心O1と円柱体からなる鍛縮台22の軸心O2とは、前記軸心O1と前記軸心O2とワークである棒状素材20の軸心O3とをそれぞれ結ぶ仮想直線A上において、所定距離X1だけ偏心した状態で連結される。なお、仮想直線Bは、前記受金18の軸心O1を通り、前記仮想直線Aに直交する仮想線を示している。
【0025】
換言すると、前記軸心O1と前記軸心O2とワークである棒状素材20の軸心O3とをそれぞれ結ぶ仮想直線A上において、鍛縮台22の軸心O2は、受金18の軸心O1から棒状素材20の軸心O3側(図5A中の上部側)に向かって所定距離X1だけ偏心した位置にあり、以下、このような位置状態を第1偏心取付位置という。
【0026】
なお、図4A及び図4Bは、前記受金18の軸心O1と前記鍛縮台22の軸心O2とを一致させた比較例(参考例)を示したものであり、図4A及び図4Bに示す比較例と図5A及び図5Bに示される第1偏心取付位置とを比較対照することにより、前記第1偏心取付位置に係る偏心状態が容易に諒解されよう。
【0027】
本発明の実施の形態に係るアプセット成形装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0028】
先ず、成形材料である金属製の棒状素材20を、押圧用シリンダのピストンロッド26と鍛縮台22との間にセットした後、図示しないクランプシリンダの駆動作用下に一対のアーム28a、28bを接近させ、前記一対のアーム28a、28bにそれぞれ設けられた一対の電極30a、30bが棒状素材20に接触した状態でクランプされる(図3A〜3C参照)。その際、図示しない昇降手段を介して鍛縮台22を所定位置まで下降させた後、所定位置で停止して固定状態とし、前記鍛縮台22の底面22aが棒状素材20の上端部に接触した状態とする。
【0029】
前記棒状素材20がクランプされた状態において、図示しない電源供給手段を介して一組の電極30a、30bに通電して前記棒状素材20をそれぞれ加熱すると共に、押圧用シリンダの駆動作用下にピストンロッド26を上昇させて棒状素材20を上方に向かって押圧する(図3D参照)。
【0030】
従って、前記一組の電極30a、30bによる通電加熱作用及び押圧用シリンダによる押圧作用下に、鍛縮台22の底面22aに当接する棒状素材20の上端部が膨張して略球形状の加熱部20aが形成される。鍛縮台22の底面22aによって平面状の窪みを有する略球形状の所望の加熱部20aの形状が形成された後、前記電極30a、30bに対する通電を停止し、図示しないクランプシリンダを駆動させてアーム28a、28bを棒状素材20から離間させることにより(図3E参照)、アプセット成形体(図3F参照)が図示しない容器内に収納される。
【0031】
1本のアプセット成形体が完成した後、送りシリンダ52を駆動させてピストンロッド50を伸長させ、前記ピストンロッド50の先端部に連結された係止爪48を鍛縮台22の外周面に嵌着されたラチェット46の歯部44と係合させることにより、軸心O2をその回転中心として前記鍛縮台22が所定角度(例えば、3度)だけ矢印C方向に回動する(図2参照)。
【0032】
次にアプセット成形がなされる棒状素材20を前記と同様にしてセットして前記のようなアプセット成形体が得られた後、送りシリンダ52の駆動作用下に鍛縮台22を所定角度だけ矢印C方向に回動させ、1本の棒状素材20に対する加工毎に鍛縮台を周方向に沿って所定角度ずつ回動させる。前記所定角度を、例えば、3度に設定すると、鍛縮台22が1回転することにより120本のアプセット成形体が得られる。
【0033】
なお、前記アプセット成形体は、図示しない金型装置によってプレス成形がなされた後、研磨加工等の仕上げ工程を経て製品としての図示しないエンジンバルブが得られる。
【0034】
前記アプセット成形装置10を使用して所定期間が経過した後、図示しない取付ねじを緩めて受金18及び鍛縮台22を取り外し、前記受金18に対する鍛縮台22の偏心取付位置を前記第1偏心取付位置(図5A及び図5B参照)から第2偏心取付位置(図6A及び図6B参照)に変更する。
【0035】
すなわち、図5A及び図5Bに示される従前の第1偏心取付位置では、受金18の軸心O1と鍛縮台22の軸心O2と棒状素材20の軸心O3とをそれぞれ結ぶ仮想直線A上において、鍛縮台22の軸心O2は、受金18の軸心O1から棒状素材20の軸心O3側に向かって所定距離X1だけ偏心した位置(仮想直線A上において軸心O2が軸心O1の上部側にある位置)に取り付けられていたが、今度は、図6A及び図6Bに示されるように、前記仮想直線A上において鍛縮台22の軸心O2が、前記とは反対側の方向(棒状素材20の軸心O3から離間する方向)に向かって所定距離X2だけ受金18の軸心O1から偏心した位置である第2偏心取付位置(仮想直線A上において軸心O2が軸心O1の下部側にある位置)に変更する。
【0036】
このように、受金18に対して仮想直線A上における前記とは反対方向に同一距離(X1=X2)だけ偏位させた状態で鍛縮台22を取り付けた後、アプセット成形装置10に対して第2偏心取付位置に変更された受金18及び鍛縮台22を装着して同様にアプセット成形を遂行する。
【0037】
なお、受金18に対する鍛縮台22の偏心取付位置の変更は、例えば、図示しない取付ねじ等の着脱によって簡便に遂行される。また、ワークである棒状素材20がセットされる位置は、変更されることがなく一定である。
【0038】
本実施の形態では、図7に示されるように、受金18に対する鍛縮台22の第1偏心取付位置で、棒状素材20の上端部と接触する鍛縮台22の接触軌跡が小径な環状帯E1(実線参照)となり、続いて前記偏心位置が変更された第2偏心取付位置では、棒状素材20の上端部と接触する鍛縮台22の接触軌跡が大径な環状帯E2(二点鎖線参照)となる。
【0039】
このように、受金18に対する鍛縮台22の取付位置を仮想直線Aに沿って上下方向に偏心させるだけで棒状素材20と接触する接触部位が鍛縮台22の同一底面22aにおいて大径及び小径の2重の環状帯E1、E2となることにより、従来と比較して耐用年数が2倍となり耐久性を向上させて製造コストを抑制することができる。
【0040】
換言すると、受金18に対する鍛縮台22の偏心取付位置を変更するという簡便な方法によって、棒状素材20の上端部が接触する部位を変更して鍛縮台22の底面22aを有効活用することができ、前記鍛縮台22の耐用年数を増大させることができる。
【0041】
本実施の形態では、第1偏心取付位置から第2偏心取付位置に変更した場合について説明しているがこれに限定されるものではなく、前記とは逆に第2偏心取付位置から第1偏心取付位置に変更するようにしてもよい。
【0042】
また、本実施の形態では、単一のアプセット成形装置10において受金18に対する鍛縮台22の偏心取付位置を変更した場合について説明しているがこれに限定されるものではなく、同一構造を有する一対のアプセット成形装置間において、第1偏心取付位置に取り付けられた受金18及び鍛縮台22と、第2偏心取付位置に取り付けられた受金18及び鍛縮台22とを交互に交換するようにしてもよい。
【0043】
例えば、第1アプセット成形装置10aにおける受金18及び鍛縮台22を第1偏心取付位置に設定し、一方、第2アプセット成形装置10bにおける受金18及び鍛縮台22を第2偏心取付位置に設定し、所定期間経過後に、前記第1偏心取付位置に係る受金18及び鍛縮台22と前記第2偏心取付位置に係る受金18及び鍛縮台22とを、第1アプセット成形装置10aと第2アプセット成形装置10bとの間で相互に交換可能に設けるとよい。なお、この場合の交換作業も簡便に遂行されることは勿論である。
【0044】
さらに、本実施の形態では、第1偏心取付位置及び第2偏心取付位置に基づいて説明しているがこれに限定されるものではなく、受金18の軸心O1に対する鍛縮台22の軸心O2の偏心方向及び離間距離を適宜選択することにより、例えば、第3偏心取付位置等の第n偏心取付位置を設定することができ、鍛縮台22の耐久性をより一層向上させることができる。
【0045】
さらにまた、本実施の形態では、第1偏心取付位置に設定された第1の受金18及び鍛縮台22を有する複数の第1アプセット成形装置10aによって第1ラインを構成し、一方、第2偏心取付位置に設定された第2の受金18及び鍛縮台22を有する複数の第2アプセット成形装置10bによって第2ラインを構成するとよい。
【0046】
この場合、所定期間経過後に、前記第1ラインに係る第1の受金18及び鍛縮台22の第1偏心取付位置と前記第2ラインに係る第2の受金18及び鍛縮台22の第2偏心取付位置とを相互に変更し、あるいは、前記第1ラインに係る第1の受金18及び鍛縮台22と前記第2ラインに係る第2の受金18及び鍛縮台22とを相互に交換することにより、鍛縮台22の加圧面における内側と外側に分けて使用することができ、第1ライン及び第2ラインからなる2列のラインで併用することができる。この結果、本実施の形態では、鍛縮台22の耐用年数を2倍化させることができる。
【0047】
またさらに、本実施の形態では、自動車用のエンジンバルブの傘部を成形する鍛造プレス加工の前工程である据え込み加工に用いるアプセット成形に基づいて説明しているがこれに限定されるものではなく、例えば、プロペラシャフト、リアアクスルシャフト、メインドライブギヤ、軸付ギヤ等の自動車用トランスミッション構成部品の鍛造プレスや切削加工の前工程として、金属製の棒状素材の先端部に所定の大きさの半径外方向膨出部を成形するために適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係るアプセット成形装置の一部断面概略構造図である。
【図2】送り機構を図1の矢印Z方向からみた矢視図である。
【図3】図3A〜3Fは、それぞれ、棒状素材に対してアプセット成形が施される工程を示す説明図である。
【図4】図4Aは、受金の軸心と鍛縮台の軸心とが一致した比較例の側面図、図4Bは、受金の軸心と鍛縮台の軸心とが一致した状態における棒状素材と鍛縮台の底面との接触軌跡を示す比較例の側面図である。
【図5】図5Aは、本実施の形態に係るアプセット成形装置において、受金の軸心に対して鍛縮台の軸心が上部側に偏心した第1偏心取付位置を示す側面図、図5Bは、前記第1偏心取付位置における棒状素材と鍛縮台の底面との接触軌跡を示す側面図である。
【図6】図6Aは、本実施の形態に係るアプセット成形装置において、受金の軸心に対して鍛縮台の軸心が下部側に偏心した第2偏心取付位置を示す側面図、図6Bは、前記第2偏心取付位置における棒状素材と鍛縮台の底面との接触軌跡を示す側面図である。
【図7】本実施の形態に係るアプセット成形装置において、前記第1偏心取付位置と前記第2偏心取付位置との場合における棒状素材と鍛縮台との接触軌跡である2重の環状帯を示す説明図である。
【図8】従来技術におけるアプセット成形装置において、棒状素材と鍛縮台との接触軌跡である単一の環状帯を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10、10a、10b…アプセット成形装置 12…ハウジング
14…絶縁板 18…受金
20…棒状素材 22…鍛縮台
24…送り機構 26、50…ピストンロッド
28a、28b…アーム 30a、30b…電極
32…孔部 34…環状溝
36…ばね部材 38a、38b…ガイドロッド
40…円弧部 42a、42b…ガイドプレート
44…歯部 46…ラチェット
48…係止爪 52…送りシリンダ
O1、O2、O3…軸心 E1、E2…環状帯
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成18年8月28日(2006.8.28)
【代理人】 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏

【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸

【識別番号】100142066
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 直樹

【識別番号】100126468
【弁理士】
【氏名又は名称】田久保 泰夫


【公開番号】 特開2008−49387(P2008−49387A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−231003(P2006−231003)