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【発明の名称】 鍛造品の製造方法
【発明者】 【氏名】野上 芳和

【氏名】磯島 吉晴

【氏名】森下 弘一

【氏名】岩田 泰男

【要約】 【課題】材料のボリューム配分の最適化を図ることができ、鍛造品の製品形状が複雑であっても、バリの発生が防止でき、歩留りの向上及び成形荷重の低減を図ることができる鍛造品の製造方法を提供すること。

【構成】材料を加熱する加熱工程と、加熱した材料を型鍛造により所定の形状に成形する成形工程とを含む鍛造品の製造方法であって、最終製品形状に基づいて定められる所定の径を有する棒状の材料を出発材料(棒状材料10)として用い、前記加熱工程の前に、棒状材料10に最終製品形状に応じた所定の加工を施して、最終製品形状に応じた所定の要素形状を有する予備成形品13を形成する予備成形工程と、所定の数量の前記予備成形品13を束ねることにより、前記成形工程における成形対象となる束ね品14を構成する束ね工程とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を加熱する加熱工程と、加熱した材料を型鍛造により所定の形状に成形する成形工程とを含む鍛造品の製造方法であって、
最終製品形状に基づいて定められる所定の径を有する棒状の材料を出発材料として用い、
前記加熱工程の前に、
前記出発材料または該出発材料を最終製品形状に基づいて定められる所定の長さに切断した材料要素に最終製品形状に応じた所定の加工を施して、最終製品形状に応じた所定の要素形状を有する予備成形品を形成する予備成形工程と、
所定の数量の前記予備成形品を束ねることにより、前記成形工程における成形対象となる束ね品を構成する束ね工程と、を有することを特徴とする鍛造品の製造方法。
【請求項2】
前記加熱工程における材料の加熱は、無酸化加熱であることを特徴とする請求項1に記載の鍛造品の製造方法。
【請求項3】
前記予備成形工程は、
前記出発材料または前記材料要素に最終製品形状に応じた所定の部位を径方向に圧縮変形させる絞り加工を施し絞り成形品を得るための絞り工程と、
前記絞り成形品に前記要素形状に応じた所定の曲げ加工を施し前記予備成形品を成形する曲げ工程と、を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍛造品の製造方法。
【請求項4】
前記予備成形工程は、
前記材料要素の形状に沿う形状を有する材料入口から前記要素形状に応じた所定の曲げ形状を有する材料出口まで通路断面形状が徐々に変化する曲げ通路を有する型部材を用い、前記材料要素を前記材料入口から前記材料出口まで加圧して前記曲げ通路を通過させることにより曲げ加工を施し前記予備成形品を成形する曲げ工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍛造品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のエンジン部品であるクランクシャフト等の熱間鍛造異形部品に用いて好適な鍛造品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車のエンジン部品であるクランクシャフトやコネクティングロッド等の異形部品(複雑な形状の部品)の製造に際し、金属材料を加熱して型等を用いて外力を加えることで所定形状に成形する熱間鍛造が広く用いられている。
このような熱間鍛造異形部品は、一般的に、棒状の材料であるビレットが所定長さに切断され、加熱されて予備成形された後、荒地成形や仕上げ成形等の型鍛造が行われて製造される。従来の熱間鍛造部品の製造工程の一例について、図6及び図7を用いて、自動車のエンジン部品であるクランクシャフトの場合を例に説明する。図6は従来における鍛造品の製造工程を示すフロー図、図7は従来における鍛造品の製造工程における各工程の成形品等を示す斜視図である。
【0003】
まず、最終成形品であるクランクシャフト104(図7(d)参照)の形状・寸法等に基づく直径を有する円柱状の材料であるビレットが、同じくクランクシャフト104の寸法等に基づく所定の長さに切断される(ステップ(以下「S」と略す)10)。ここでは、図7(a)に示すように、例えば、直径80mmのビレットが長さ400mmの棒状材料101に切断される。次に、棒状材料101が所定の温度(例えば、約1230℃)となるように加熱される(S11)。加熱された棒状材料101は、図7(b)に示すように、クランクシャフト104の形状に基づいて曲げ加工等が施されることにより予備成形され、予備成形品102となる(S12)。
【0004】
そして、予備成形品102は、最終成形品に対して角部等が単純化された荒地形状に成形される荒地工程(S13)、及び荒地成形された材料が仕上げ形状に成形される仕上げ工程(S14)の両工程においてそれぞれ型鍛造され、仕上げ成形品103となる(図7(c)参照)。これら荒地工程及び仕上げ工程における成形荷重(鍛造荷重)は、例えば約4000tとなる。
仕上げ成形品103は、最終成形品の周囲にバリ103aが形成された形状であり、このバリ103aがトリミングにより切断されて除去される(S15)。バリ103aが除去された仕上げ成形品103は、図7(d)に示すように、最終成形品であるクランクシャフト104となる。その後、冷却が行われ、クランクシャフト104に対し、欠肉やクラック等の鍛造欠陥についての検査が行われる(S16)。
以上の工程を経て製造されるクランクシャフトについては、その歩留りは約75%程度となる。
【0005】
こうした鍛造品の製造方法においては、予備成形における曲げ加工等や、荒地・仕上げ成形における複数回の鍛造を経るものの、鍛造しようとする部品の形状が複雑であるため、鍛造品の外周に形成される余剰の材料であるバリが多くなり歩留りが良くないという問題がある。このため、異形部品の鍛造においては歩留りを向上させることが大きな課題となっており、かかる課題を解決するための技術が種々提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0006】
こうした従来の鍛造品の製造工程においては、最終成形品の大径部に合う直径のビレットが用いられるため、歩留り低減の原因となるバリの、ある程度の発生は避けられないと考えられる。しかし、前記のような予備成形等において、最終成形品に合うように材料の適正なボリューム配分が行われることで、バリの発生を低減させることができる。かかる材料のボリューム配分は、従来、次のような方法により行われていた。
【0007】
まず、鍛造プレスによりボリューム配分を行う方法がある。すなわち、鍛造型を有するプレス装置により、材料を1回または複数回鍛造プレスすることによって、長手方向や幅方向等の所定の方向に材料を流して成形することでボリューム配分を行う。
【0008】
また、ボリューム配分を行う方法としてロール成形による方法がある。すなわち、一般に上下に配設されボリューム配分するための凹凸(インプレッション)を有する成形部が形成されているロール型により、円柱状の棒状材料であるワークを挟み、その状態で上下のロール型を回転させることで、前記成形部によってワークを成形し、ボリューム配分を行う。
【0009】
ここで、ロール成形の一例について図8を用いて説明する。図8は従来のロール成形工程の一例を示す説明図である。
図8(a)に示すように、所定の位置に回転可能に配設される上ロール型111と下ロール型112の間において、図示せぬ搬送装置等により搬送されるワーク110が所定の位置にセットされる。ワーク110は、図示せぬマニピュレータ等を介して操作される保持機構113により掴まれてセット位置に保持された状態となる。この状態から、同図(b)に示すように、上下のロール型111・112が所定の方向に回転することにより、ワーク110が上下のロール型111・112に挟まれ、各ロール型に形成される成形部により所定の成形が施される。これにより、成形部110aが形成される。
そして、図8(c)に示すように、成形が終了すると、上下のロール型111・112はワーク110に対して作用しない位置まで回転する。その後、同図(d)に示すように、ワーク110は保持機構113の移動により所定の経路に送られる。なお、図8(b)〜(d)においては保持機構113の図示を省略している。
このようなロール成形が、必要に応じて複数回(例えば4回)繰り返される。その場合、例えば上下のロール型111・112に、ワーク110を成形するための成形部がワーク110の移動方向(図8における左右方向)に対して複数列(紙面奥行き方向に複数列)形成され、各成形部による成形が終了するごとに、ワーク110が保持機構113により移動・回転等され、ロール成形が複数回繰り返される。これにより、ワーク110についてのボリューム配分が行われる。
【特許文献1】特開2004−261857号公報
【特許文献2】特開2004−122163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前述のような方法により材料のボリューム配分を行う場合、それぞれ次のような問題がある。
すなわち、鍛造プレスによりボリューム配分を行う場合、成形荷重や型の強度などとの関係から、材料を変形させる量に限界があるため、断面減少できる量が少なく(断面減少率が小さく)、十分なボリューム配分を行えない場合がある。ここで、プレス回数を増加することで材料を多段階的に変形させることにより、十分なボリューム配分を行うことが考えられるが、これは製造ラインにおけるサイクルタイムを短縮させる観点からは得策ではない。
【0011】
また、ロール成形によりボリューム配分を行う場合、十分なボリューム配分を行おうとして断面減少率が高くなると、材料の内部でシェブロンクラック等の割れが発生する場合がある。また、ロール成形においては、ワークは前記のとおり保持機構等により掴まれた状態となることから、その掴まれる部分はロール成形を行うことができないため、鍛造品の形状によっては十分なボリューム配分が行えない場合がある。
【0012】
このように、ビレットから切断された1本の棒状材料が成形されてボリューム配分が行われる従来の方法においては、ボリューム配分についての自由度を高めることが困難であり、ボリューム配分できる限界が低かった。
一方、材料についてのボリューム配分が不十分であることに起因して発生するバリは、鍛造品の成形面積を広げるため、成形荷重を増大させる原因となる。かかる成形荷重の増大は、型寿命の低下やプレス装置の大型化等につながる。
【0013】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、材料のボリューム配分の最適化を図ることができ、鍛造品の製品形状が複雑であっても、バリの発生が防止でき、歩留りの向上及び成形荷重の低減を図ることができる鍛造品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
すなわち、請求項1においては、材料を加熱する加熱工程と、加熱した材料を型鍛造により所定の形状に成形する成形工程とを含む鍛造品の製造方法であって、最終製品形状に基づいて定められる所定の径を有する棒状の材料を出発材料として用い、前記加熱工程の前に、前記出発材料または該出発材料を最終製品形状に基づいて定められる所定の長さに切断した材料要素に最終製品形状に応じた所定の加工を施して、最終製品形状に応じた所定の要素形状を有する予備成形品を形成する予備成形工程と、所定の数量の前記予備成形品を束ねることにより、前記成形工程における成形対象となる束ね品を構成する束ね工程と、を有するものである。
【0016】
請求項2においては、前記加熱工程における材料の加熱は、無酸化加熱であるものである。
【0017】
請求項3においては、前記予備成形工程は、前記出発材料または前記材料要素に最終製品形状に応じた所定の部位を径方向に圧縮変形させる絞り加工を施し絞り成形品を得るための絞り工程と、前記絞り成形品に前記要素形状に応じた所定の曲げ加工を施し前記予備成形品を成形する曲げ工程と、を含むものである。
【0018】
請求項4においては、前記予備成形工程は、前記材料要素の形状に沿う形状を有する材料入口から前記要素形状に応じた所定の曲げ形状を有する材料出口まで通路断面形状が徐々に変化する曲げ通路を有する型部材を用い、前記材料要素を前記材料入口から前記材料出口まで加圧して前記曲げ通路を通過させることにより曲げ加工を施し前記予備成形品を成形する曲げ工程を含むものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、材料のボリューム配分の最適化を図ることができ、鍛造品の製品形状が複雑であっても、バリの発生が防止でき、歩留りの向上及び成形荷重の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る鍛造品の製造方法は、例えば、自動車のエンジン部品であるクランクシャフトやコネクティングロッド等の熱間鍛造異形部品の製造に際して好適に用いられるものであり、材料を加熱する加熱工程と、加熱した材料を型鍛造により所定の形状に成形する成形工程とを含む。
【0021】
そして、本発明に係る鍛造品の製造方法は、最終製品形状に基づいて定められる所定の径を有する棒状の材料を出発材料として用い、前記加熱工程の前に、前記出発材料または該出発材料を最終製品形状に基づいて定められる所定の長さに切断した材料要素に最終製品形状に応じた所定の加工を施して、最終製品形状に応じた所定の要素形状を有する予備成形品を形成する予備成形工程と、所定の数量の前記予備成形品を束ねることにより、前記成形工程における成形対象となる束ね品を構成する束ね工程とを有する。
なお、予備成形工程では、少なくとも束ね工程で束ねられる所定の数量分の予備成形品が準備される。
【0022】
すなわち、本発明に係る鍛造品の製造方法は、その出発材料として、最終製品形状に基づいて定められる所定の径、具体的には、従来の製造方法における1本の棒状材料を切り出すためのビレットに対して小径の(細い)棒状材料を用いる。棒状材料の形状(断面形状)としては、円柱状や角柱状あるいはこれらの組合せ等、種々の形状を用いることができる。
そして、この棒状材料を切断工程にて所定の長さに切断したものを材料要素とし、この材料要素あるいは前記棒状材料の段階から、予備成形工程にて所定の予備成形加工を施すことにより、最終製品形状に応じた所定の要素形状を有する予備成形品を所定の数量準備する。これらの予備成形品を、束ね工程にて所定の数量束ね、その束ねた状態の材料を、成形工程にて型鍛造を行うことにより最終製品形状に成形する。
【0023】
したがって、前記予備成形品が有する「所定の要素形状」とは、予備成形品を所定の数量束ねることにより、材料が最終製品形状に応じたボリューム配分となる形状であり、鍛造品の最終製品形状に基づいて、予備成形品が有する所定の要素形状及び束ねる数量を定める。ここで、各予備成形品が有する所定の要素形状は、製造コストの低減や製造ラインにおけるサイクルタイムの短縮等の観点からは統一した形状とすることが好ましいと考えられるが、鍛造品の形状に応じて複数種類の異なる要素形状を用いてもよい。
【0024】
つまり、本発明に係る鍛造品の製造方法は、従来はビレットから切り出された1本の棒状材料が用いられていたところを、従来のビレットに対して小径の棒状材料を加工することで所定の要素形状を有する予備成形品を予め複数形成して準備しておき、それら予備成形品を束ねることで予めボリューム配分を行う。そして、束ねた状態の材料要素群を型鍛造によって成形する。言い換えると、複数の棒状材料を用いてそれぞれを成形することで、一体の鍛造品に対して分割成形品となる予備成形品を複数準備し、それらを束ねて一体とすることでボリューム配分した状態から鍛造品を成形する。
【0025】
このように、従来のビレットに対して小径の棒状材料を加工することで複数の予備成形品を準備し、これらの予備成形品を束ねた状態で材料の加熱及び成形を行うことにより、予め材料が適正にボリューム配分された状態で材料の加熱及び成形が行われることとなるので、材料のボリューム配分の最適化を図ることができ、鍛造品の製品形状が複雑であっても、バリの発生が防止でき、歩留りの向上及び成形荷重の低減を図ることができる。
【0026】
すなわち、複数の予備成形品を用いることで、材料の予備成形に際して材料の形状の成形形状に対する制約が緩和され、従来のように1本の棒状材料から鍛造品の成形を行う場合と比較して、ボリューム配分を行うための予備成形の加工が容易となるので、ボリューム配分についての自由度を高めることができる。そして、所定の要素形状を有する予備成形品を複数束ねることで、材料を予め最適なボリューム配分とした状態にすることができ、その状態で加熱及び成形を行うことができる。これにより、極端に複雑な製品形状であっても、予備成形品の要素形状や束ねる数(一体の鍛造品に対して分割する数)を工夫することで、その製品形状に対応するボリューム配分を行うことが可能となる。
また、適正なボリューム配分を行うことができることからバリの発生を防止することができるので、鍛造品の成形面積が広がることを防止することができ、成形荷重を低減することができる。これにより、型寿命の向上やプレス装置の小型化を図ることができる。
【0027】
以下、本発明に係る鍛造品の製造方法について、鍛造品をクランクシャフトとした場合を例に実施の形態に即して具体的に説明する。
【0028】
第一実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。図1は第一実施形態に係る鍛造品の製造工程を示すフロー図、図2は同じく製造工程における各工程の成形品等を示す斜視図である。
【0029】
本実施形態では、図2(a)に示すように、出発材料として最終製品形状に基づいて定められる所定の径を有する棒状材料(ビレット)10を用いる。棒状材料10は、従来の製造方法における1本の棒状材料を切り出すためのビレットに対して小径であり(細く)、例えば、従来用いられていた棒状材料が直径80mmであるのに対し、棒状材料10としては直径10mm程度のものを用いる。
【0030】
本実施形態に係るクランクシャフトの製造工程は、前記加熱工程の前に、棒状材料10に最終製品形状に応じた所定の加工を施して、最終製品形状に応じた所定の要素形状を有する予備成形品13(図2(d)参照)を成形する予備成形工程と、所定の数量の予備成形品13を束ねることにより、前記成形工程における成形対象となる束ね品14(図2(e)参照)を構成する束ね工程とを有する。
【0031】
そして、本実施形態では、前記予備成形工程は、棒状材料10に最終製品形状に応じた所定の部位を径方向に圧縮変形させる絞り加工を施し絞り成形品12(図2(c)参照)を得るための絞り工程と、絞り成形品12に前記要素形状に応じた所定の曲げ加工を施し予備成形品13を成形する曲げ工程とを含む。
【0032】
本実施形態に係る製造工程では、まず、予備成形工程における絞り工程を行う。本実施形態における絞り工程では、絞り加工として熱間スエージングを行う。すなわち、図2(a)に示す棒状材料10を、所定の温度に加熱し(S100)、スエージング加工を行う(S110)。
これにより、棒状材料10において、最終製品形状に応じた所定の部位を径方向に圧縮変形させ、図2(b)に示す絞り材料11を成形する。したがって、絞り材料11は、最終製品形状に応じた所定の部位に、径方向に圧縮変形された絞り部11aを有する。なお、絞り工程における絞り加工としては、熱間スエージングに限らず、冷間スエージング、押出し、圧延あるいはロール成形等を適宜用いることができる。
【0033】
次に、絞り材料11を、最終製品形状に基づいて定められる所定の長さに切断する(S120)。具体的には、絞り材料11を、所定の要素形状を有する予備成形品13(図2(d)参照)を形成するための長さに切断する。これにより、図2(c)に示すような絞り成形品12を得る。絞り成形品12は、後述する曲げ加工等を経て予備成形品13となるため、予備成形品13の必要な数量に応じて所定の数量準備する。
なお、前述した絞り工程における絞り加工の種類等によっては、その加工のし易さ等を考慮し、絞り加工を行う前に、棒状材料10を最終製品形状に基づいて定められる所定の長さに切断することで材料要素を形成してもよい。つまりこの場合、棒状材料10を予め所定の長さに切断することで複数の材料要素を形成した後、各材料要素に対し、絞り工程における絞り加工を行うこととなる。
【0034】
続いて、絞り成形品12に対し、ショットブラストを行う(S130)。すなわち、前述した熱間スエージングに際しての加熱により、絞り成形品12の表面には酸化スケールが生成し、これは後の工程における型鍛造の妨げとなるので、ショットブラストにより絞り成形品12表面の酸化スケールを除去する。
なお、前述した絞り工程における絞り加工として、冷間スエージング等の冷間加工を行った場合は、酸化スケールを除去するための加工は省略することができる。
【0035】
次に、絞り成形品12に所定の要素形状に応じた所定の曲げ加工を施し予備成形品13を成形する曲げ工程としてのベンディングを行う(S140)。
すなわち、本工程では、絞り成形品12にベンディング加工を施すことによって所定の部位を曲げ、前述した所定の要素形状に成形する。これにより、図2(d)に示すように、所定の要素形状を有する予備成形品13を得る。ここで、予備成形品13が有する所定の要素形状としては、例えば、ジャーナル部、ピン部、カウンタウエイト部等のクランクシャフトを構成する各部の形状に対応する部分を有することにより、クランクシャフトの形状(最終製品形状)のボリューム配分と略同様のボリューム配分を有する形状が考えられる。
【0036】
このように、絞り工程及び曲げ工程を含む予備成形工程により、最終製品形状に応じた所定の要素形状を有する予備成形品13を、少なくとも束ね工程で束ねる所定の数量分準備する。
【0037】
そして、予備成形品13を所定の数量(本数)束ねることにより、前記成形工程における成形対象となる束ね品14(図2(e)参照)を構成する束ね工程を行う(S150)。
本工程では、予備成形品13を所定の数量として例えば40本程度準備し、これらを束ねることにより、図2(e)に示すような束ね品14を構成する。これにより、材料を最終製品形状に応じたボリューム配分とする。この束ね品14を、後述する型鍛造における成形対象とする。
ここで、予備成形品13を束ねるに際しては、例えば、鍛造品の材料と同じ材料により構成した保持部材を適宜用いること等により、予備成形品13を束ねた状態を保持する。
【0038】
次に、材料を加熱する加熱工程として、予備成形品13を所定の数量束ねた束ね品14を加熱する工程を行う。本工程では、いわゆる無酸化加熱を行う(S160)。
無酸化加熱に際しては周知の方法を用いることができ、例えば、ガス雰囲気炉内において、窒素ガスや水素ガスからなる雰囲気中で無酸化状態での加熱を行う。
【0039】
このように、加熱工程における材料の加熱を無酸化加熱とすることにより、束ね品14の表面に酸化スケールが生成することを防止することができる。これにより、加熱工程における加熱処理終了後において、例えばショットブラスト等により束ね品14の表面を研削等して酸化スケールを除去するための工程が不要となり、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0040】
続いて、加熱した材料を型鍛造により所定の形状に成形する成形工程としての仕上げ工程を行う(S170)。
本工程では、例えば下型及び上型を有する鍛造型を備えるプレス装置(図示略)により、図2(e)に示す束ね品14を成形対象とする型鍛造を行う。本工程に用いる鍛造型は、下型及び上型を有しその型閉じ状態で形成される成形空間が、クランクシャフトの最終製品形状となる。
そして、プレス装置により束ね品14を圧縮して型鍛造を行い、所定の形状つまりクランクシャフトの最終製品形状に成形する。かかる仕上げ工程における型鍛造により、図2(f)に示すように、最終製品形状の鍛造品であるクランクシャフト15を得る。
【0041】
そして、仕上げ工程で得たクランクシャフトについての検査工程を行う(S180)。
本工程では、型鍛造により得たクランクシャフト15を冷却した後、そのクランクシャフト15に対し、欠肉やクラック等の鍛造欠陥についての所定の検査を行う。
【0042】
以上の工程により製造するクランクシャフト15については、その歩留りは約100%となる。すなわち、多数の予備成形品13を束ねることにより、鍛造型に対して予め材料を適正なボリューム配分とした状態から、成形工程における型鍛造を行うので、成形工程において余剰の材料により形成されるバリが発生せず、歩留りが限りなく100%に近い値となる。
また、バリが発生しないことから、成形荷重を低減させることができる。具体的には、従来の鍛造品の製造方法における成形荷重が例えば約4000tであるのに対し、本実施形態における成形荷重は、約3000tに低減することができる。
また、バリが発生しないことから、トリミング等のバリを除去するための工程が不要となり、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0043】
第二実施形態について、図3〜図5を用いて説明する。図3は第二実施形態に係る鍛造品の製造工程を示すフロー図、図4は同じく製造工程における各工程の成形品等を示す斜視図、図5は曲げ工程での加工方法を説明するための型部材等を示す説明図である。なお、第一実施形態と重複する内容については適宜その説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、図4(a)に示すように、出発材料として最終製品形状に基づいて定められる所定の径を有する棒状材料(ビレット)20を用いる。棒状材料20は、従来の製造方法における1本の棒状材料を切り出すためのビレットに対して小径であり(細く)、例えば、従来用いられていた棒状材料が直径80mmであるのに対し、棒状材料20としては直径10mm程度のものを用いる。
【0045】
本実施形態に係るクランクシャフトの製造工程は、材料を加熱する加熱工程の前に、出発材料としての棒状材料20を最終製品形状に基づいて定められる所定の長さに切断した材料要素21(図4(b)参照)に最終製品形状に応じた所定の加工を施して、最終製品形状に応じた所定の要素形状を有する予備成形品22(図4(c)参照)を成形する予備成形工程と、所定の数量の予備成形品22を束ねることにより、加熱した材料を型鍛造により所定の形状に成形する成形工程における成形対象となる束ね品23(図4(d)参照)を構成する束ね工程とを有する。
【0046】
そして、本実施形態では、前記予備成形工程は、型部材30(図5参照)を用い、材料要素21に最終製品形状に応じた所定の曲げ加工を施して予備成形品22を成形する曲げ工程を含む。
【0047】
本実施形態に係る製造工程では、まず、出発材料としての棒状材料20を、最終製品形状に応じた所定の長さに切断する(S200)。具体的には、棒状材料20を、所定の要素形状を有する予備成形品22を形成するための長さに切断する。これにより、図4(b)に示すような材料要素21を得る。材料要素21は、後述する曲げ加工等を経て予備成形品22となるため、必要な予備成形品22の数量に応じて所定の数量準備する。
【0048】
そして、予備成形工程における曲げ工程を行う。本実施形態における曲げ工程では、型部材30を用いた熱間加工を行う。すなわち、図4(b)に示す材料要素21を、所定の温度に加熱し(S210)、型部材30を用いた曲げ加工を行う(S220)。これにより、図4(c)に示す所定の要素形状を有する予備成形品22を成形する。
【0049】
型部材30を用いた曲げ加工について、図5を用いて説明する。
図5に示すように、型部材30は、材料要素21の形状に沿う形状を有する材料入口31と、前記要素形状に応じた所定の曲げ形状を有する材料出口32とを有する。材料入口31と材料出口32とは、通路断面形状が材料入口31の形状(以下、「入口形状」という。)から材料出口32の形状(以下、「出口形状」という。)まで徐々に(連続的に)変化する曲げ通路33により連通する。つまり、型部材30は、入口形状から出口形状にかけて通路断面形状が徐々に変化する曲げ通路33を有する。
【0050】
図5に示すように、型部材30は、例えば2つの型要素が接合されることにより全体として直方体に構成され、一側の面に材料入口31が形成され、この材料入口31が形成される面と反対側の面に材料出口32が形成される。
材料入口31は、棒状の材料要素21の形状に沿う形状を有し、材料要素21が、材料入口31が形成される面と略平行な状態で該材料入口31を介して曲げ通路33に挟入可能な形状を有する。
材料出口32は、予備成形品22の形状、即ち所定の要素形状に応じた所定の曲げ形状を有し、本実施形態では、図4(c)に示すように予備成形品22が有するクランク形状に対応するクランク形状に形成される。つまり、予備成形品22は、所定の要素形状として例えば最終製品形状のボリューム配分に近いボリューム配分となるクランク形状を有し、材料出口32は、予備成形品22のクランク形状に対応する形状に形成される。
【0051】
材料入口31と材料出口32との間に形成される曲げ通路33は、入口形状から出口形状へと滑らかに変化する三次元的な形状を有し、棒状の材料要素21が材料入口31から材料出口32まで通過可能であって、その通過することにより材料要素21に曲げ加工が施される形状となる。かかる形状を有する曲げ通路33は、周知の加工法であるワイヤー加工(ワイヤーカット)等の加工法を用いることで形成する。
【0052】
このような構成を有する型部材30を用い、材料要素21を材料入口31から材料出口32まで加圧して曲げ通路33を通過させることにより曲げ加工を施し予備成形品22を成形する。
すなわち、図5に示すように、材料要素21を、材料入口31から曲げ通路33内に送り込み、材料入口31側から圧力を加えることによって曲げ通路33を通過させ、材料出口32から排出する。材料要素21は、曲げ通路33を通過することでその進行にともない徐々に変形して曲げ加工され、材料出口32から排出された状態で予備成形品22となる。ここで、材料要素21は比較的細い棒状材料であるため、材料要素21を加圧することにより、曲げ通路33を通過する際に生じる変形抵抗(加工抵抗)に抗して曲げ通路33内を移動させることができ、曲げ加工を行うことができる。
【0053】
材料要素21を、曲げ通路33を通過させるために加圧するに際しては、例えば次のような方法を用いる。
すなわち、材料要素21を押圧するための部材(押圧部材)を用い、この押圧部材を、材料要素21に当接させた状態でその加圧方向に移動させることで材料要素21を加圧して曲げ通路33を通過させる。ここで、前記押圧部材を移動させるに際しては、押圧部材を保持するとともに徐々に送り出すことにより移動させるローラ機構等を適宜用いる。
【0054】
前記押圧部材としては、材料要素21の径と略同じであって材料入口31から挿入可能な厚さを有するとともに、曲げ通路33の断面形状の変化に追従して変形可能な部材を用いる。押圧部材としては、例えば硬性ゴム板等を用いることが考えられる。
また、前述したように熱間加工である曲げ工程に際しては、材料要素21を所定の温度に加熱するため、押圧部材の、少なくとも加熱した材料要素21に対する当接部つまり押圧部材の先端部分であって材料要素21に接する部分は、加熱した材料要素21に対して耐熱性を有する部分として構成する。例えば、押圧部材の先端部分を、加熱した材料要素21に対して耐熱性を有するとともに曲げ通路33内の進行にともなう変形に追従できる金属製のチェーン部材により構成することが考えられる。
【0055】
このように、型部材30を用いた曲げ加工を行う曲げ工程を含む予備成形工程により、最終製品形状に応じた所定の要素形状を有する予備成形品22を、少なくとも束ね工程で束ねる所定の数量分準備する。
【0056】
続いて、予備成形品22に対し、ショットブラストを行う(S230)。すなわち、前述した曲げ加工に際しての加熱により、予備成形品22の表面には酸化スケールが生成し、これは後の工程における型鍛造の妨げとなるので、ショットブラストにより予備成形品22表面の酸化スケールを除去する。
なお、前述した曲げ工程における曲げ加工として、冷間加工を行った場合は、酸化スケールを除去するための加工は省略することができる。
また、酸化スケールの除去を効率的に行うため、予備成形品22の形状等によっては、予備成形品22に加工する前の棒状の材料要素21に対してショットブラストを行ってもよい。つまりこの場合、加熱した材料要素21に対してショットブラストを行った後、前述のような型部材30を用いた曲げ加工を行う。
【0057】
そして、予備成形品22を所定の数量(本数)束ねることにより、前記成形工程における成形対象となる束ね品23(図4(d)参照)を構成する束ね工程を行う(S240)。
本工程では、予備成形品22を所定の数量として例えば45本程度準備し、これらを束ねることにより、図4(d)に示すような束ね品23を構成する。これにより、材料を最終製品形状に応じたボリューム配分とする。この束ね品23を、後述する型鍛造における成形対象とする。
【0058】
次に、材料を加熱する加熱工程として、予備成形品22を所定の数量束ねた束ね品23を加熱する工程を行う。本工程では、いわゆる無酸化加熱を行う(S250)。
【0059】
続いて、加熱した材料を型鍛造により所定の形状に成形する成形工程としての仕上げ工程を行う(S260)。かかる仕上げ工程における型鍛造により、図4(e)に示すように、仕上げ成形品24を得る。仕上げ成形品24は、最終製品形状の鍛造品であるクランクシャフト25(図4(f)参照)の周囲にバリ24aを有する形状となる。
すなわち、前述した型部材30を用いた曲げ工程においては、材料要素21に対する二次元的な曲げ加工がその主な加工内容となるため、第一実施形態と比較して材料のボリューム配分にある程度の限界が生じる場合がある。この場合、仕上げ工程における型鍛造により、成形品に若干のバリが生じることとなる。このことから、出発材料として第一実施形態の場合と同じ径の棒状材料を用いた場合、本実施形態においては、前述した束ね工程における予備成形品22を束ねる数量が第一実施形態の場合と比較して若干多くなる。
【0060】
このように、仕上げ成形品24にバリ24aが発生するため、仕上げ工程の後、仕上げ成形品24に対してバリ24aを切断して除去するトリミングを行う(S270)。これにより、図4(f)に示すように、最終製品形状の鍛造品であるクランクシャフト25を得る。
その後、仕上げ工程で得たクランクシャフト25についての検査工程を行う(S280)。
【0061】
以上の工程により製造するクランクシャフト25については、その歩留りは約90%となる。すなわち、多数の予備成形品22を束ねることにより、鍛造型に対して予め材料を適正なボリューム配分とした状態から、成形工程における型鍛造を行うので、成形工程において発生するバリの量を低減することができ、歩留りを従来の約75%から約90%に向上することができる。
また、バリの発生する量を少なくすることができることから、成形荷重を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第一実施形態に係る鍛造品の製造工程を示すフロー図。
【図2】同じく製造工程における各工程の成形品等を示す斜視図。
【図3】第二実施形態に係る鍛造品の製造工程を示すフロー図。
【図4】同じく製造工程における各工程の成形品等を示す斜視図。
【図5】曲げ工程での加工方法を説明するための型部材等を示す説明図。
【図6】従来における鍛造品の製造工程を示すフロー図。
【図7】従来における鍛造品の製造工程における各工程の成形品等を示す斜視図。
【図8】従来のロール成形工程の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0063】
10 棒状材料(出発材料)
12 絞り成形品
13 予備成形品
14 束ね品
15 クランクシャフト(鍛造品)
20 棒状材料(出発材料)
21 材料要素
22 予備成形品
23 束ね品
25 クランクシャフト(鍛造品)
30 型部材
31 材料入口
32 材料出口
33 曲げ通路
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年8月23日(2006.8.23)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎


【公開番号】 特開2008−49364(P2008−49364A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−227100(P2006−227100)