トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 高温鍛造金型
【発明者】 【氏名】ウェルナー フーフェンバッハ

【氏名】アルベルト ラングカンプ

【氏名】ペーター ヤンシェック

【要約】 【課題】1200℃を超える温度、少なくとも1300℃までの温度での高温鍛造に使用でき、そして金型鍛造時に発生する応力、特に引張り応力に対する十分な安定性を有する鍛造金型を提示することである。

【構成】金属の部材、特に金属間化合物の部材の、上金型と下金型とを有する高温鍛造金型において、各金型部材(4)には常温で金型部材を遊びのある状態で囲む補強リング(7)を設け、その補強リングにはそれぞれの金型部材(4)が加熱時の熱膨張により接触し、そしてこの補強リングを介してそれぞれの金型部材(4)に圧縮応力が及ぼされるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の部材、特に金属間化合物の部材の、上金型と下金型とを有する高温鍛造金型において、各金型部材(4)には常温で金型部材を遊びのある状態で囲む補強リング(7)が設けられ、その補強リングにはそれぞれの金型部材(4)が加熱時の熱膨張により接触し、そしてこの補強リングを介してそれぞれの金型部材(4)に圧縮応力が及ぼされ、金型部材(4)はセラミックまたは黒鉛から成り、そして補強リング(7)は巻き付けられた繊維を有する複合繊維材料から成ることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項2】
請求項1に掲げる鍛造金型において、それぞれの金型部材そして、場合によっては、補強リングの膨張特性を考慮に入れ、遊びが常温で、鍛造温度において生み出される圧縮応力が予め定められる値になるように設計されることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項3】
請求項1または2に掲げる鍛造金型において、炭素粒子または炭素繊維により強化されることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項4】
前掲の請求項のいずれかに掲げる鍛造金型において、補強リングは加熱された金型部材が接する内側支えリングを有することを特徴とする、鍛造金型。
【請求項5】
請求項4に掲げる鍛造金型において、補強リング(7)は加熱された金型部材(4)が接する内側の支えリング(9)を有することを特徴とする、鍛造金型。
【請求項6】
請求項5に掲げる鍛造金型において、内側の支えリング(9)は、巻き付けにより形成される織物構造、特に、炭素繊維から成る織地または編地から成ることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項7】
請求項5または6に掲げる鍛造金型において、内側の支えリング(9)には、装入された金型部材の保持のために半径方向内側に向いている1つまたは複数の突起が設けられることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項8】
請求項7に掲げる鍛造金型において、少なくとも180°旋回する縁側の突起(11)が設けられることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項9】
請求項5から8までのいずれかに掲げる鍛造金型において、支えリング(9)の片側(20)が、少なくとも区画ごとに閉じられていることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項10】
前掲の請求項のいずれかに掲げる鍛造金型において、金型部材(4)が相互に正しい相対位置でもってプレス位置に運ばれることができるように、金型部材が重なるとき双方の金型部材(4)に同時に作用する強制ガイドが設けられることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項11】
請求項10に掲げる鍛造金型において、強制ガイドは、相手側の金型部材のそれぞれのボルト孔またはピン孔(18)にはまり込む1本または複数本のボルト(18)またはピンから成ることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項12】
請求項11に掲げる鍛造金型において、これらのボルト(18)またはピンは黒鉛またはセラミック製とし、場合によっては、特に炭素繊維を使用した炭素繊維または炭素織物で強化して、製造することを特徴とする、鍛造金型。
【請求項13】
前掲の請求項のいずれかに掲げる鍛造金型において、金型部材(4)は2個またはそれ以上の金型部材要素(5、6、21、22、23)で構成することを特徴とする、鍛造金型。
【請求項14】
請求項13に掲げる鍛造金型において、各金型部材要素(5、6、21、22、23)は常温で相互に適切な遊びを有することを特徴とする、鍛造金型。
【請求項15】
前掲の請求項のいずれかに掲げる鍛造金型において、金型部材要素(4)および、場合によっては、金型部材要素(5、6、21、22、23)は少なくとも1つの連結機素を介して補強リング(7)に連結されることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項16】
請求項15に掲げる鍛造金型において、連結機素は補強リング(7)、金型部材(4)、または金型部材要素(5、6、21、22、23)に設けられる適切な差し込み孔にはまり込む1つのガイドピン(14)であることを特徴とする、鍛造金型。
【請求項17】
前掲の請求項のいずれかに掲げる鍛造金型において、各金型部材(4)は複数の彫型キャビティを有することを特徴とする、鍛造金型。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の部材、特に金属間化合物の部材の、上金型と下金型とを有する高温鍛造金型に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】WO02/48420A2
【0003】
高温鍛造では素材の整形は1000℃を超える温度でおこなわれる。金属間化合物、たとえば、TiAlの部材の成形では金型温度は約1150℃になることもある。金属間化合物のそのような部材の成形方法は、たとえば、特許文献1において知られている。そのような素材からは、通常では従来の用途および航空機産業向けの、たとえば、航空機用ジェットエンジンまたは定置用ガスタービンのタービン翼のための軽量化および高耐荷重性の部材が製造される。鍛造金型としてはモリブデン合金製の金型が使用される。このモリブデン合金は金型温度1150℃まで十分な耐熱性を有する。しかし、この耐熱性は狭い寸法公差をもつ部材を仕上げるには不十分である。すなわち、切削による後加工および/または電気化学的な後処理を必要とする余剰鍛造部材以外は製造できない可能性が大きい。それに比べ、α−γ相での共融化合温度を超える温度領域、すなわち、温度1200−1300℃またはそれ以上の温度での成形の方に利点があることが実証された。この成形ではより高い寸法精度の部材を製造することができる。しかし、モリブデン合金の鍛造金型はこの温度領域では使用できないので、この成形の場合は炭素系または珪素系のセラミック製の鍛造金型を採用しなければならない。ところが、この場合、これらの金型素材は金型鍛造時に必然的に発生する引張り応力に対して著しく弱いので、この種の鍛造金型の耐久性には限界がある点が欠点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明の課題は、1200℃を超える温度、少なくとも1300℃までの温度での高温鍛造に使用でき、そして金型鍛造時に発生する応力、特に引張り応力に対する十分な安定性を有する鍛造金型を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、冒頭に述べた種類の鍛造金型において、各金型部材には常温で金型部材を遊びのある状態で囲む補強リングが設けられ、その補強リングにはそれぞれの金型部材が加熱時の熱膨張により接触し、そしてこの補強リングを介してそれぞれの金型部材に圧縮応力が及ぼされる構造が提案される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、1200℃を超える温度、少なくとも1300℃までの温度での高温鍛造に使用でき、そして金型鍛造時に発生する応力、特に引張り応力に対する十分な安定性を有する鍛造金型が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の各金型部材は、鍛造金型を囲む特殊な補強リングを有する。この補強リングは常温で、すなわち、鍛造金型がプレスに装填されないで、加工温度に加熱された状態であるとき、金型部材を遊びのある状態で囲む。この遊びは、たとえば、1ミリである。これは、常温での金型部材と補強リングとの分離を可能にする。このことは、場合によっては、金型部材を他の彫型キャビティをもつ他の金型部材への金型部材交換の際に必要である。さて、この金型部材・補強リング仕組が加熱されると、金型部材は昇温時に補強リングよりもはるかに大きく膨張する。補強リングの膨張率はそれがどのような材料または複合材料から構成されているかによって、場合によっては、無視できる程度にとどまる。この結果、金型部材の熱膨張は、金型部材が周囲の補強リングに密着する状態をもたらす。このことはさらにまた、補強リングがそれぞれの金型部材に圧縮応力を及ぼす結果をもたらす。この圧縮応力は鍛造時に発生する引張り応力を減殺するように作用するか、または引張り応力に逆方向に作用する。すなわち、この構造により、鍛造金型の寿命を大幅に伸ばす結果をもたらすような特殊な応力減殺が生じる。
【0008】
この場合、本発明を発展させ、それぞれの金型部材そして、場合によっては、補強リングの膨張特性を考慮に入れ、遊びが常温で、鍛造温度において生み出される圧縮応力が予め定められる値になるように設計される。すなわち、金型部材ならびに補強リング材料の特定の材料パラメータを考慮に入れた適切な寸法設計により、発生する圧縮応力の大きさの非常に正確な調整をおこなうことができるのである。
【0009】
従って、鍛造時に発生する引張り応力も比較的正確に決定することができるので、常温での遊びを考慮した金型部材および補強リングの適切な設計は可能であり、鍛造時に形成される引張り応力の確実な相殺が可能となる。
【0010】
金型部材自体はセラミックまたは黒鉛により構成し、場合によっては、炭素粒子または炭素繊維により強化される。これらの材料はα−γ相での共融化合温度を超える温度領域での鍛造において必要である所定の高い鍛造温度に耐え、問題なく持久し、そして本発明による補強リング使用により高温鍛造に使うことができる。
【0011】
補強リング自体は、本発明により、複合繊維材料、特に、加工時に中子に巻き付けられる炭素繊維から成る。炭素繊維は繊維方向において極度に小さい、場合によっては、マイナスでさえある熱膨張係数を有する。繊維方向の適切な巻き付けないしは整列により、補強リングは加熱されてもほとんど膨張を示さないコイル状の補強構造のリングとして製造することができる。本発明の優れた展開の1つとして、補強リングはハイブリッド構造とし、加熱された金型部材が接する内側の支えリングを有することが提案される。すなわち、その場合、この補強リングは、巻き付けられた炭素繊維からなる補強リング外郭と加熱された金型部材が密着する内側の支えリングとから構成される。この内側の支えリングは、本発明により、製造の際に中子巻き付けにより形成される織物構造、特に、炭素繊維から成る織地または編地から形成することができ、補強リング全体にかなり広い範囲の成形可能性および造形自由度を与えるものである。というのは、繊維長手方向ないしは巻き付け構造を横切る方向の強度ないしは機械的特性は大幅に劣化するので、巻き付けられた炭素繊維から成る補強リング外郭に純粋の円筒形から外れるような対応の幾何形状を含めること、ないしは具体化すること、ないしは、たとえば、孔またはその他の形態で形成することは困難であるからである。
【0012】
このことは、補強特性または圧縮応力生成特性を僅かしか持たず、もっぱら構造上および幾何形状面の特質の実現化に寄与する内側支えリングを設けることにより考慮される。このため、加工時には支えリングの中子の回りに織り地または編み地の形態の織物構造体が巻き付けられる。すなわち、ここには強力なまとまった繊維方向が無いということである。この織物構造体の使用は、たとえば、突起またはアンダーカットないし切り欠きまたは同様の形状を実現し、またはなんらかの理由で必要となる適切な孔などを設けることを可能にする。
【0013】
上述のように、補強リングは、 - 以下にさらに述べるように - 単体または複数片とすることができる金型部材を常温で僅かの遊びをもって囲む。金型部材・補強リング仕組の搬送中に金型部材が補強リングから抜け落ちることを防ぐために、内側の支えリングには、装入された金型部材を保持するため、半径方向内側に向いている1つまたは複数の突起が好ましくは少なくとも180°旋回する縁部の形態で設けられる。金型部材はこの突起に支えられ、そして妨げられ、そして、場合によっては、遊びがあるとき金型部材要素は内側の支えリングに対し僅かであるが傾倒することにより、補強リングから抜け落ちることはない。
【0014】
この鍛造金型が冷間-熱間工程技術に使われる限り、すなわち、鍛造金型がプレスから取り出され、素材が装入され、しかるのち再びプレスに搬送され、そして加熱され、プレス工程が終わると再びプレスから取り出される限り、内側の支えリングも金型部材の基本形状に従い円筒形である。内側の支えリングは両側が開いているので、金型部材はそれぞれの彫型キャビティに向い合っている側が平坦になっており、それぞれのプレスパンチに直に接する。しかし、本発明の鍛造金型は純粋の熱間工程技術専用として使うこともできる。この場合、鍛造金型はプレス内に残ったままである。すなわち、両方の金型部材はそれぞれのプレスパンチに固定的に連結される。
【0015】
そのような連結を可能にするために、そのような使い方に適した鍛造金型の場合では、本発明に従い、支えリングの片側が、少なくとも区画ごとに閉じられている構造である。すなわち、支えリングは、金型部材がその彫型キャビティが無い側で接している方の側において少なくとも区画ごとに閉じている面を有する。この面には適切な孔などを設けることができ、それらの孔などを通じて支えリングの固定が可能になり、そしてこの支えリングを通じて、補強リングも金型部材もそれぞれのプレスパンチ底への固定が可能となる。
【0016】
金型部材が相互に正しい相対位置でもってプレス位置に運ばれることができるように、金型部材が重なるとき双方の金型部材に同時に作用する強制ガイドが設けられるという優れた構成が提案される。これらの強制ガイドは、特に好ましい形態としては、相手側の金型部材のそれぞれのボルト孔またはピン孔にはまり込む1本または複数本のボルトまたはピンから成る。その場合、たとえば、2本のボルトまたはピンを使用するとき両方のボルトまたはピンは必ずしも同じ金型部材に設けなければならないということはない。それぞれの金型部材に1つのボルトを設け、そのボルトのそれぞれ向かい側に他の金型部材に対応の収める孔を設けることも考えられうる。これらのボルトまたはピンも黒鉛またはセラミック製とし、場合によっては、特に炭素繊維を使用した炭素繊維または炭素織物で強化して、製造することが好ましい。
【0017】
すでに述べたように、金型部材を一体で構成することは可能であるが、金型部材は2個またはそれ以上の金型部材要素で構成することも可能である。後者の方法は、金型部材を開き、アンダーカット(切り欠き)が形成されている鍛造部品を離型できるようにする場合に必要である。2つまたはそれ以上の金型部材は、それらが補強リングに装入されるときに、それぞれの金型部材要素がそれらの要素を支えるために設けられる突起を介してそれぞれの内側の支えリングに接触するように補強リングに収められる。この補強リングへの収容のために、場合によっては、金型部材ないしは金型部材要素に突起がはまり込む適切なアンダーカット(切り欠き)を形成してもよい。各金型部材要素も常温で相互に適切な遊びを有するので、個々の金型部材要素は抵抗なく補強リング内に収まり、リング壁に整合することができる。
【0018】
さらに、金型部材、場合によっては、金型部材要素は少なくとも1つの連結機素を介して補強リングに連結される構造とされるならば適切である。この連結機素はすでに述べた突起と同様に一定の固定機能を有し、熱によって生じる半径方向の膨張運動の間における部材の相互のガイドをおこなう機素としての役割を果たす。この種の連結機素は補強リング、金型部材、または金型部材要素に設けられる適切な差し込み孔にはまり込む1つのガイドピンとすることが好ましい。
【0019】
説明の最後になったが、各金型部材は1つまたは複数の彫型キャビティを有する。その様態および大きさは製造しようとする鍛造部品によってそれぞれ異なる。
【実施例】
【0020】
本発明のその他の利点、特徴および詳細事項は以下に述べる実施例ならびに図面に明示する。
図1 本発明による第1実施態様の上金型の断面図。
図2 所属の下金型の断面図。
図3 本発明による第2実施態様の上金型の断面図。
図4 図3の上金型の彫型キャビティ側を俯瞰できる平面図。
図5 所属の下金型。
図6 複数の彫型キャビティを有する第3の実施態様の鍛造金型の平面図。
【0021】
図1は本発明の鍛造金型1の上金型2を示し、図2は下金型3を示す。さらに、上金型2は2つの金型部材要素5、6から成る金型部材4により構成される。さらに、上金型2は外側の補強リング8と内側の支えリング9とから構成される補強リング7を有する。2つの金型部材要素5、6から成る金型部材4はそのプレス側に高温鍛造で製造される成形品の成形をおこなう彫型キャビティ10を有する。図1は常温の状態にある上金型2を示し、図2は加工温度1200℃以上の状態にある下金型3を示す。
【0022】
図1に見るとおり、金型部材4は補強リング7に対し、この場合では支えリング9の円筒状内壁に対し、d≦1mmの幅dの狭い隙間で図示されている僅かの遊びを有する。同様にまた、2つの金型部材要素5と6とは、同様に示唆されている間隔dにより図示されているように、互いに僅かの遊びを有する。この遊びは支えリングに対する遊びと同じである必要はない。いずれにしても、金型部材要素5、6はそれらの仕組みが常温の状態では補強リング7の中で弛んだ状態となる。
【0023】
支えリング9の中に挿入される金型部材4が上金型のハンドリング中に補強リング7から落下しないように、内側の支えリング9は内側に向いている、保持フランジ形態の突起11を有する。この突起は360°または少なくとも180°旋回する。この突起には金型部材要素5、6の縁部が乗る。金型部材要素5、6はその縁側に向いている突起がはまり込む適切なアンダーカット(切り欠き)12、13を有する。さらに、支えリング9を貫通しているガイドピン孔15を通り、金型部材要素の片方、すなわち、金型部材要素6の差し込み孔16にはまり込むガイドピン14が設けられる。このガイドピン14は一定の保持機能または支持機能を有すると同時に、主として膨張過程における金型部材要素の半径方向ガイドの役割を果たす。これについてはさらに以下に述べる。
【0024】
金型部材要素5、6は1200℃を超える鍛造温度において使用できるように選ばれるセラミック製または任意の形態のセラミック・マトリックス複合材料とするのが好ましく、それにより本発明の鍛造金型は1500−2000℃の温度でも問題なく使用が可能となる。
【0025】
補強リング7はそれ自体すでに述べたように補強リング外郭8と内側の支えリング9とから成るハイブリッド構造である。補強リング外郭8は炭素繊維複合材料のリングから成る。それらの繊維はそれらの繊維長手方向に整列され、加熱される上金型2において圧縮応力を発生させ、この圧縮応力は金型部材4に作用を及ぼし、鍛造時に金型部材4に生まれる基本的に半径方向の引張り応力を妨げるはたらきをする。補強リング外郭8は繊維長手方向において著しく低い、場合によっては、使用される炭素繊維材料によってはむしろマイナスの熱膨張係数を有する。このことは、この補強リング外郭8は加熱時にほとんど熱膨張を示さないという結果をもたらす。
【0026】
他方、内側の支えリング9はやはり強化構造の炭素繊維複合材料から成るリング、特に好ましくは炭素繊維から成る織物体または編上げ体によって構成されるので、補強リング外郭8において全面的に正確に同一方向に整列される巻き付け繊維とは異なり、織物状の支持構造が生まれる。繊維織物体または繊維編上げ体の使用は、さまざまな幾何学形状の形状を生み出すことを可能にし、たとえば、内側の支えリング9に内側に突き出るフランジまたは突起11を形成する場合に有利である。このことは、補強リング外郭8を形成するために巻き付けによる単独整列繊維を使う場合には、メカニカルな特性を犠牲にしない限り不可能である。そのため、内側の支えリング9には応力を生み出す機能は無く、従って補強機能も生まれない。圧縮応力のための機能は補強リング外郭8のみが引き受けることになる。内側の支えリング9は基本的に、− この場合のように − たとえば、金型部材要素を支えるために必要となるなんらかの幾何学的な形状および形態を提供する機能を有する。
【0027】
さて、図1のように上金型2が収められる高周波加熱装置17を使用し、上金型2が加熱されると、金型部材4ないしは金型部材要素5、6は、黒鉛またはセラミックの材料の固有の熱膨張係数に応じて基本的に半径方向に熱膨張する。その結果、増大する膨張に伴い、金型部材要素5、6の間の隙間が閉じ、そしてまた支えリング9に対する隙間も閉じる。膨張が強いほど、金型部材4は半径方向において補強リング7に強く接触する。補強リング7ないしは補強リング外郭8は極度の高温にもかかわらず膨張をもたらすが、または示しても減殺可能の膨張となるが、金型部材4はその固有の膨張により補強リング7に強くプレスされるので、補強リング7を介して強い圧縮応力が金型部材4に誘導される。すると、この圧縮応力が鍛造時に発生する引張り応力を妨げる作用をする。隙間ないしは遊びdの設定は、誘導された圧縮応力が加工温度において予め設定された値になるように、補強リング7、この場合特に補強リング外郭8を含む金型部材の使用材料の膨張係数を考慮に入れておこなわれる。すなわち、鍛造の際に金型部材4に生じる引張り応力ならびにその方向を算出しうることは可能であるので、発生した圧縮応力がプレス時に発生する引張り応力をおおむね相殺するように、加工温度を基準とする遊びが設定されうる。
【0028】
図2は下金型3を示す。この下金型の金型部材4はさらに2つの金型部材要素5、6から構成される。これらの金型部材要素は補強リング外郭8と内側の支えリング9とから成る補強リング7に収められている。しかし、この図では、下金型3は高周波加熱装置17によりすでに加工温度または僅かにそれ以下に加熱された状態である。図に見るように、常温(図1参照)ではまだ存在していた隙間dは全て閉じた状態となっている。
【0029】
図1および図2に示す鍛造金型1は基本的に冷間−熱間工程技術を実現できるように構成されている。すなわち、この鍛造金型は成形機械に固定的に連結されず、プレス機械の外で冷間状態にて、すなわち、常温で組立てられる。その彫型キャビティ10に装入される素材は冷間の状態であってもよいし、または予加熱された状態であってもよい。次に、両方の鍛造金型要素、すなわち、上金型2と下金型3とが酸化防止のために真空または不活性ガスが支配しているプレスチャンバーに適切な出入口から送り込まれる。上金型2と下金型3とはプレスチャンバー内で、たとえば、1200−1300℃の所要成形温度にまで高周波加熱(図に示す)または放射加熱により加熱される。鍛造温度に達したあと、鍛造金型1は成形プレスの、やはりこの温度に達しているプレスプレートの間に装填され、そして素材の成形のための成形過程が所定の低い速度でおこなわれる。次いで、鍛造金型は成形プレスから取り出され、成形された部品と共に不活性ガスの中で冷却され、出入口から再び排出され、そのあと部品は取り出され、新しい素材が装入される。
【0030】
上金型2と下金型3とが正しい相関関係を保って動かされることを確実にするために、実施例では1つの強制ガイドが設けられる。この強制ガイドはこの実施例では2つのボルト18から成り、それらのボルトは適切なボルト孔に収められている。上金型には適切なボルトガイド19が設けられ、このガイドにボルト18は鍛造金型が合わせられるとき潜り込み、案内される。ボルト18も優れた形態としては黒鉛または適切なセラミック材料により構成される。ボルトも織物または繊維で強化してよい。
【0031】
図3−5は本発明の鍛造金型1の別の実施態様を示す。この鍛造金型も図3に示す上金型2と図5に示す下金型3とから成る。両方の金型はそれぞれ金型部材4を有する。金型部材4はそれぞれ2つの金型部材要素5、6から成る。これらの金型部材要素5、6は補強リング7の中に収められる。この補強リング7は補強リング外郭8と内側の支えリング9とから成る。この場合でも、全ての要素は、図1に述べたように、常温状態で互いに遊びをもって設けられる。ただし、単純化のために、図3および5には二つの鍛造金金型はすでに加熱された状態として示される。従って、それぞれの金型部材4は完全に膨張してしまっており、補強リング7に密着し、その結果、この補強リング7を通じて圧縮応力が金型部材4に導入される状態となっている。
【0032】
しかし、こちらに述べる実施例では、内側の支えリング9は図1および2に掲げる実施例の支えリング9とは異なる形態である。この場合も支えリングの片側には半径方向内側に向いている突起11が設けられ、支えリング9の他方の側は完全に閉じられ、すなわち、上の(図3)底板ないしは下の底板(図5)20が設けられるのである。それ故、この底板20を介して、全上金型2ないしは全下金型3は対応のプレスプレートに固定されることが可能となる。その固定のために、図示してないが、それぞれの底板20には、その固定を可能にするための連結ネジまたは同類の機素を収めるための貫通孔が設けられる。図3、4、5に示す鍛造金型は熱間加工技術を想定して構成される鍛造金型である。すなわち、上金型2および下金型3は常に成形プレス内にとどまり、取り出されない。取り出されるのは成形後の素材だけである。これは要するに、上金型2および下金型3は連続的に常温の状態で推移するということである。この場合、- 図2の彫型キャビティ10とは異なり - 離型のために、下金型の彫型キャビティ10には1つの区画に垂線に対して軽い角度αのある離型斜面24が付いている。ここでも、ボルト18およびボルトガイド19による強制ガイドを介して互いに強制的に案内される金型部材を分離するとき、鍛造部品は上金型2に残ったままである。このプレス部品を上金型から取り除くために、金型部材要素5、6の間の隙間が少し開き、鍛造された部品がその自重により上金型から抜け落ち、そして簡単なマニプレータを使って鍛造金型から取り出されうるように冷却される。
【0033】
図4は図3の上金型の彫型キャビティ10を下から見た平面図である。図に見る通り、補強リング7の内側の支えリング9の突起11は約240°だけ旋回する。このことは、両方の金型部材要素5、6を他の側が閉じられている鍋に似た支えリング9の中に入れ込むことを可能にする。しかし、両方の金型部材要素5、6は、それらはすでに述べたように常温で互いにそして補強リングに対しても遊びを有するにもかかわらず、安定的にそして落下することなく案内される。さらに、図4には、この実施例では合計4のボルトガイド19が設けられることが示される。すなわち、図5には2本のボルトが示されるが、下金型にも4本のボルト18が設けられる。
【0034】
最後に、図6は鍛造金型1の別の実施例を示す。この図では上金型2だけが示される。この上金型2は - 当然ながら適切な方法によりまた下金型も - 合計で8個の単独の金型部材要素から構成される。この場合、金型部材要素21はすべて同一に形態であるが、ただ2つの金型部材要素22および23の形状および彫型キャビティの点で異なる形態に構成される。いずれにしても、1つだけの彫型キャビティを有する、これまで述べてきた実施例とは異なり、ここでは7つの彫型キャビティ10が実現される。ここでも、個々の金型部材要素21、22、23の間の分離線は、金型部材要素を互いに弛めるときにそれぞれの彫型キャビティが開くように形成されている。このことは、図1および2ないしは3−5に示す実施例の金型部材要素5、6のケースでもある。すなわち、金型部材が開くとき、彫型キャビティも自動的に開くのである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による第1実施態様の上金型の断面図。
【図2】所属の下金型の断面図。
【図3】本発明による第2実施態様の上金型の断面図。
【図4】図3の上金型の彫型キャビティ側を俯瞰できる平面図。
【図5】所属の下金型。
【図6】複数の彫型キャビティを有する第3の実施態様の鍛造金型の平面図。
【符号の説明】
【0036】
1 鍛造金型 2 上金型 3 下金型
4 金型部材 5,6 金型部材要素 7 補強リング
8 補強リング外郭 9 支えリング 10 彫型キャビティ
11 突起 12,13 切り欠き 14 ガイドピン
15 ガイドピン孔 16 差し込み孔 17 高周波加熱装置
18 ボルト 19 ボルトガイド 20 底板
21,22,23 金型部材要素 24 離型斜面
【出願人】 【識別番号】505311940
【氏名又は名称】ライストリッツ アクチェンゲゼルシャフト
【出願日】 平成19年8月8日(2007.8.8)
【代理人】 【識別番号】100072176
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 定夫


【公開番号】 特開2008−44012(P2008−44012A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2007−206386(P2007−206386)