トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 鍛造機の芯出し方法
【発明者】 【氏名】森田 真

【要約】 【課題】実際にダイスとパンチとが鍛造加工を行う位置で芯ずれ量を精度良く求めることができるとともに、芯出し作業の作業性を格段に改善した鍛造機の芯出し方法を提供する。

【構成】基台と、該基台に設けられたダイスホルダと、該ダイスホルダに交換可能に装着されたダイスと、前記基台に対して往復動するラムと、該ラムに設けられたパンチホルダと、該パンチホルダに交換可能に装着されて前記ダイスとの間で鍛造加工を行うパンチと、を備える鍛造機において、前記ダイス及び前記パンチの一方に代えて距離検出手段(距離検出用治具1)を装着するとともに、他方に代えて被検出部材(被検出用治具5)を装着し、前記ラムを動作させ、該距離検出手段(垂直用距離センサ31)と該被検出部材(被検出部材6)との距離を検出することにより芯ずれ量を求め、該芯ずれ量を基にして前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダの少なくとも一方で位置調整を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、該基台に設けられたダイスホルダと、該ダイスホルダに交換可能に装着されたダイスと、前記基台に対して往復動するラムと、該ラムに設けられたパンチホルダと、該パンチホルダに交換可能に装着されて前記ダイスとの間で鍛造加工を行うパンチと、を備える鍛造機において、対向する前記ダイスと前記パンチとの軸芯を調整する芯出し方法であって、
前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダの少なくとも一方は位置調整可能とされており、
前記ダイス及び前記パンチの一方に代えて距離検出手段を装着し、
前記ラムを動作させ、該距離検出手段と、前記ダイス及び前記パンチの他方との距離を検出することにより芯ずれ量を求め、
該芯ずれ量を基にして前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダの少なくとも一方で位置調整を行う、
ことを特徴とする鍛造機の芯出し方法。
【請求項2】
基台と、該基台に設けられたダイスホルダと、該ダイスホルダに交換可能に装着されたダイスと、前記基台に対して往復動するラムと、該ラムに設けられたパンチホルダと、該パンチホルダに交換可能に装着されて前記ダイスとの間で鍛造加工を行うパンチと、を備える鍛造機において、対向する前記ダイスと前記パンチとの軸芯を調整する芯出し方法であって、
前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダの少なくとも一方は位置調整可能とされており、
前記ダイス及び前記パンチの一方に代えて距離検出手段を装着するとともに、他方に代えて被検出部材を装着し、
前記ラムを動作させ、該距離検出手段と該被検出部材との距離を検出することにより芯ずれ量を求め、
該芯ずれ量を基にして前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダの少なくとも一方で位置調整を行う、
ことを特徴とする鍛造機の芯出し方法。
【請求項3】
前記距離検出手段は矩形棒状の検出基体の少なくとも一面に設けられ、前記被検出部材は、前記ラムの動作によって前記検出基体が出入りする断面矩形の被検出穴部をもつ、請求項2に記載の鍛造機の芯出し方法。
【請求項4】
前記距離検出手段を複数個用い、略直交する複数方向の距離を検出する請求項1〜3に記載の鍛造機の芯出し方法。
【請求項5】
前記距離検出手段は、交流磁界を発生するコイル部と、磁界を検出する磁界検出部とからなる請求項1〜4に記載の鍛造機の芯出し方法。
【請求項6】
前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダを複数組備える鍛造機において、いずれかの該組で前記距離検出手段を装着するとともに、他の該組で前記ダイス及び前記パンチを装着し、前記ラムを動作させて他の該組で鍛造加工を行いながら特定の該組の前記芯ずれ量を求める、請求項1〜5に記載の鍛造機の芯出し方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイスとパンチとによりワークを鍛造加工する鍛造機の芯出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧造機やプレス機などの冷間鍛造機械では、ダイスと呼ばれる固定金型と、パンチと呼ばれる可動金型との間でワークが鍛造され、所定形状の部品が製造されている。ダイスはダイスホルダに装着され、パンチはパンチホルダに装着され、両者は製造する部品形状に合わせて随時交換され、交換の都度両者の軸芯を一致させる芯出しの調整作業を行うようになっている。そして、ダイスホルダは基台に設けられ、パンチホルダは往復動するラムに設けられ、少なくとも一方は位置調整可能とされ、芯ずれを調整できるように構成されるのが一般的になっている。
【0003】
従来の芯出し作業においては、芯出し棒と呼ばれる治具が多用されている。芯出し棒は、軸芯にパンチ外径相当の孔部を有し、ダイスに代えてダイスホルダに装着するようになっている。作業者は、ダイスホルダに芯出し棒を装着した後、ラムを前死点までわずかずつ動作させ、パンチが芯出し棒の孔部にスムーズに嵌入するように位置調整を繰り返して、静的な芯出しを行っている。また、実際にワークに荷重をかけると芯ずれの生じるおそれもあるため、さらに、試運転を行い試作品の軸芯の状況を確認するという動的な芯出しを行う場合も多い。
【0004】
また、作業者の芯出し作業を支援するために、例えば特許文献1や特許文献2に開示される位置検出装置が実用化されている。特許文献1では、位置検出装置は可動ベース(ラム)に設けられ、位置調整可能に取り付けられる可動金型(パンチ)の相対位置を検出するように構成されている。また、特許文献2では、ラムの前面にパンチケース(パンチホルダ)を介して取り付けられたパンチの位置を検出するために、位置調整可能なパンチケース内に検知ガイドを設け、ラム側の前面中央部に検出ヘッドを突設し、検知ガイドと検出ヘッドとの相対位置関係を検出している。両方とも、芯ずれ量に相当する変位量を定量的に表示することにより、位置調整作業を容易としている。
【特許文献1】特許第3035175号公報
【特許文献2】実用新案登録第3121301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の芯出し作業では、パンチと芯出し棒の孔部との芯ずれ量を目で視たり手で触れたりして感覚的に判断し静的な芯出し調整を行うため、繰り返し作業となって作業性が悪く、かつ熟練を必要としていた。また、試運転による動的な芯出し調整は、部品形状に依存して芯位置が変わるために精度の向上が難しく、かつ手間と時間とを要していた。一方、位置検出装置は、パンチとダイスとが対向する実際の位置とは異なる箇所で変位量を検出しているため、芯ずれ量に誤差を生じやすい難点があった。
【0006】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、実際にダイスとパンチとが鍛造加工を行う位置で芯ずれ量を精度良く求めることができるとともに、芯出し作業の作業性を格段に改善した鍛造機の芯出し方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鍛造機の芯出し方法は、基台と、該基台に設けられたダイスホルダと、該ダイスホルダに交換可能に装着されたダイスと、前記基台に対して往復動するラムと、該ラムに設けられたパンチホルダと、該パンチホルダに交換可能に装着されて前記ダイスとの間で鍛造加工を行うパンチと、を備える鍛造機において、対向する前記ダイスと前記パンチとの軸芯を調整する芯出し方法であって、前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダの少なくとも一方は位置調整可能とされており、前記ダイス及び前記パンチの一方に代えて距離検出手段を装着し、前記ラムを動作させ、該距離検出手段と、前記ダイス及び前記パンチの他方との距離を検出することにより芯ずれ量を求め、該芯ずれ量を基にして前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダの少なくとも一方で位置調整を行う、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の鍛造機の芯出し方法は、基台と、該基台に設けられたダイスホルダと、該ダイスホルダに交換可能に装着されたダイスと、前記基台に対して往復動するラムと、該ラムに設けられたパンチホルダと、該パンチホルダに交換可能に装着されて前記ダイスとの間で鍛造加工を行うパンチと、を備える鍛造機において、対向する前記ダイスと前記パンチとの軸芯を調整する芯出し方法であって、前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダの少なくとも一方は位置調整可能とされており、前記ダイス及び前記パンチの一方に代えて距離検出手段を装着するとともに、他方に代えて被検出部材を装着し、前記ラムを動作させ、該距離検出手段と該被検出部材との距離を検出することにより芯ずれ量を求め、該芯ずれ量を基にして前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダの少なくとも一方で位置調整を行う、ようにしてもよい。
【0009】
本発明は、本来ダイスまたはパンチを装着する位置に距離検出用の治具を装着して、ダイスとパンチとが対向する実際の位置で芯ずれ量を求め、芯出し作業を高精度かつ容易に行えるようにしたことを特徴としている。本発明は、基台、ダイスホルダ、ダイス、ラム、パンチホルダ、パンチを備える一般的な構造の鍛造機に適用することができる。ダイスホルダのダイス装着位置と、パンチホルダのパンチ装着位置とは固定でよいが、ダイスホルダとパンチホルダの少なくとも一方は設けられる位置が調整可能とされて、ダイス及びパンチの軸芯を調整できるようになっていることが必要である。
【0010】
本発明では、芯出し作業の治具として距離検出手段を準備する。距離検出手段は、ダイスまたはパンチに代えて装着できるように、装着互換性をもつ検出基体に設けることができる。また、距離検出の具体的な手段として、例えば、磁界式や光学式など非接触検出方式の距離センサを適用することができる。
【0011】
本発明の鍛造機の芯出し方法では、まず、ダイス及びパンチの一方に代えて、その装着位置に距離検出手段を装着する。次に、ラムを動作させ、距離検出手段と、ダイス及びパンチの他方との距離を検出する。このとき、ラムを鍛造加工時の前死点まで動作させ、距離検出手段と他方とを接近させることで、検出精度を向上することができる。また、ラムの動作は鍛造加工時の一定の往復動とは異なるものとし、検出精度の向上と調整作業の容易化を図ることができる。例えば、手動により後死点から前死点に向けてわずかずつ小刻みに動作させ、あるいは低速で動作させるようにすることができる。さらに、距離検出を複数回行って平均値を求めることにより、検出誤差を低減することもできる。
【0012】
次に、検出された距離から芯ずれ量を求める。例えば、左右両方向で距離を検出して大小比較することにより、水平方向の芯ずれ量を求めることができる。あるいは、設計上の真値との差分を求めて芯ずれ量としてもよい。次に、芯ずれ量を基にして、ダイスホルダ及びパンチホルダの少なくとも一方で位置調整を行う。このとき、芯ずれ量が定量的に求められているため、目視による判断などの熟練技能を必要とせず、調整を容易に行うことができる。例えば、調整ねじの締め込みにより位置調整行う場合、芯ずれ量をねじピッチで除して、絞め込むべき回転角度を求めることができる。最後に、再度距離検出を行って軸芯の一致を確認し、もし一致していなければ再度微調整を行うことになる。
【0013】
なお、治具として被検出部材を準備し、ダイス及びパンチの他方に代えて装着するようにしてもよい。この態様では、前記距離検出手段は矩形棒状の検出基体の少なくとも一面に設けられ、前記被検出部材は、前記ラムの動作によって前記検出基体が出入りする断面矩形の被検出穴部をもつことが好ましい。さらに、前記距離検出手段を複数固用い、略直交する複数方向の距離を検出することが好ましい。
【0014】
被検出部材を用いる場合、距離検出手段を矩形棒状の検出基体の少なくとも一面、好ましくは複数面に設けることができ、被検出部材には検出基体が出入りする断面矩形の被検出穴部を形成することができる。わかりやすい例としては、検出基体及び被検出穴部の断面を同心の正方形とし、水平方向及び垂直方向の距離を検出するように構成することができる。すると、ラムの動作によって検出基体が被検出穴部に入り込み、芯ずれが生じていなければ上下左右同一の一定距離が検出される。逆に、この一定距離と異なる値が検出されれば、差分を求めて芯ずれ量とし、容易に位置調整を行うことができる。さらに、略直交する三番目の方向として、検出基体が出入りする軸長方向の距離を検出して、ラムの前死点の位置を確認するようにしてもよい。
【0015】
前記距離検出手段は、交流磁界を発生するコイル部と、磁界を検出する磁界検出部とからなることでもよい。
【0016】
距離検出用のセンサとしては、交流磁界を発生するコイル部と、磁界を検出する磁界検出部とからなり、非接触検出の可能な磁界式距離センサを用いることができる。磁界式距離センサの検出方式の概要は次のとおりである。コイル部によって形成される交流磁界が、金属製の被検出部材(あるいはダイス及びパンチの他方)に加えられると、磁界に応じた渦電流が流れる。さらに、渦電流によって誘導磁界が誘起され、コイル部が形成した当初の磁界を打ち消すように作用する。したがって、磁界検出部で検出される磁界は減少する。ここで、コイル部と被検出部材との距離が小さいほど、被検出部材内部の磁界及び渦電流は大となって、検出される磁界は減少するため、定量的に距離を検出することができる。
【0017】
前記ダイスホルダ及び前記パンチホルダを複数組備える鍛造機において、いずれかの該組で前記距離検出手段を装着するとともに、他の該組で前記ダイス及び前記パンチを装着し、前記ラムを動作させて他の該組で鍛造加工を行いながら特定の該組の前記芯ずれ量を求める、ようにしてもよい。
【0018】
ダイスホルダ及びパンチホルダを複数組備える多段式鍛造機では、特定の組で距離検出手段を装着し、他の組で鍛造加工に用いる正規のパンチ及びダイスを装着することができる。そして、他の組で実際にワークに荷重を加えて鍛造加工を行いながら、特定の組の芯ずれ量を求めることができる。このとき、ラムの動作は、実際の鍛造加工時と同一としてもよく、あるいは距離検出の制約条件に合わせて固有の動作としてもよい。これによって、動的な芯出しを高精度にかつ容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
上述の本発明の鍛造機の芯出し方法では、ダイス及びパンチの一方に代えて距離検出手段を装着し、必要に応じ他方に代えて被検出部材を装着して芯ずれ量を求めるので、実際にダイスとパンチとが鍛造加工を行う位置で芯ずれ量を求めることができ、また、定量的で精度良い検出が行えるので、芯出し作業の作業性を格段に改善することができる。
【0020】
さらに、ダイスホルダ及びパンチホルダを複数組備える多段式鍛造機では、他の組で実際にワークに荷重を加えて鍛造加工を行いながら、特定の組の芯ずれ量を求めることにより、動的な芯出しを高精度にかつ容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図4を参考にして説明する。図1は、本発明の芯出し方法に用いられる距離検出用治具1を説明する斜視図である。また、図2は、距離検出用治具1と組み合わせて用いられる被検出用治具5を説明する斜視図である。距離検出用治具1及び被検出用治具5は、圧造機の芯出し作業に用いられるものであり、前者1はダイスに代えて装着され、後者2はパンチに代えて装着されるようになっている。
【0022】
距離検出用治具1は、図1に示されるように、治具本体部11と、その軸芯に設けられる検出基体2とで形成されている。治具本体部11は、ダイスと同一長、同一径の略円柱状で、軸芯は水平配置され、上部には楔状に切り欠かれた切欠楔部12、及び軸芯に向けたタップ孔13が形成され、下部には軸長方向に係止溝14が形成されている。切欠楔部12は、距離検出用治具1をダイスホルダに装着する際に姿勢を一定に安定固定するためのものであり、係止溝14は、不要な回転を禁止するためのものである。タップ孔13は、ねじを絞め込むことによって、治具本体部11と検出基体2との回転方向の位相ずれを禁止するためのものである。
【0023】
検出基体2は、治具本体部11の軸芯の取付孔から一方の円柱端面に突設されており、先端は一辺D1=10mmの正方形断面を有する矩形棒状となっている。検出基体2先端の上面には垂直距離を検出する垂直用距離センサ31が埋め込まれ、側面には水平距離を検出する水平用距離センサ32が埋め込まれている。距離センサ31、32は、コイル部と磁界検出部とをもち、(1/100)mmオーダの検出精度を有している。距離センサ31、32は、距離検出用治具1の軸芯から反対側の円柱端面に引き出されたケーブル33により図略の電源とモニタ装置に接続され、電源供給及び信号取り出しが行われるようになっている。
【0024】
被検出用治具5は、図2に示されるように、治具本体部51と、その軸芯に設けられる被検出部材6とで形成されている。治具本体部51は、パンチと同一長、同一径の略円柱状で、軸芯は水平配置され、上部には楔状に切り欠かれた切欠楔部52が形成されている。切欠楔部52は、被検出用治具5をパンチホルダに装着する際に姿勢を一定に安定固定するためのものである。
【0025】
被検出部材6は、治具本体部51の軸芯の取付孔から一方の円柱端面に突設されており、先端は一辺D2=12mmの正方形断面の被検出穴部61を有する角筒状の鋼製部材とされている。被検出穴部61は、検出基体2に正対して配置され、理想的な芯出し状態では軸芯を共有して検出基体2が中央に嵌入するようになっている。
【0026】
次に、本発明の芯出し方法を行う圧造機の概略構造について、図3を参考にして説明する。図3は、圧造機9のラム91、パンチホルダ92、及びパンチ93を説明する側面断面図である。図3において、ラム91は左右に往復動、すなわち基台に対して往復動するようになっている。ラム91の前面(図3では右面)には、位置調整部95を介してパンチホルダ92が設けられている。位置調整部95は、ラム91とパンチホルダ92との垂直方向及び水平方向の位置調整を行うものである。パンチホルダ92の中央下部の装着孔には、パンチ93が装着されており、上側から固定ねじ96によって安定固定されている。パンチ93の右方には、図略のダイス、ダイスホルダ、基台が配置されている。なお、ダイスホルダと基台との間には位置調整部は設けられず、直接固定されている。
【0027】
次に、距離検出用治具1及び被検出用治具5を用いた圧造機9の芯出し方法について説明する。まず、図3中のパンチ93に代えて、図2の被検出用治具5を装着する。被検出用治具5は、パンチ93と装着互換性があるので、固定ねじ96によって安定固定することができる。同様に、ダイスに代えて、図1の距離検出用治具1を装着する。次に、検出基体2が被検出部材6に当たらないか注意しながら、ラム91を前止点まで低速で動作させると、図4に示される状態となる。
【0028】
図4は、本発明の芯出し方法を圧造機で実施している状況を説明する側面断面図である。ラム91が前止点まで動作すると、図示されるように距離検出用治具1は被検出用治具5に接近し、検出基体2が被検出部材6の被検出穴部61に嵌入する。次に、垂直用距離センサ31のコイル部で交流磁界を発生すると、対向する被検出部材6の内部に磁界が入り込み、鋼製ゆえに渦電流が流れる。さらに、渦電流によって誘導磁界が誘起され、コイル部が形成した当初の磁界を打ち消すように作用する。したがって、垂直用距離センサ31の磁界検出部は、被検出部材6との距離に応じて減少する磁界を検出し、距離に換算することができる。ここで、一辺D2=12mmの被検出穴部61内に一辺D1=10mmの検出基体が嵌入しているため、芯ずれが生じていないときに検出される距離、すなわち設計上の真値は(12−10)/2=1mmとなる。逆に、芯ずれが生じていれば1mmとは異なる距離が検出されるため、1mmを差し引くことにより、垂直方向の芯ずれ量を求めることができる。
【0029】
同様にして、図略の水平用距離センサ32でも、水平距離を検出し、水平方向の芯ずれ量を求めることができる。そして、垂直方向および水平方向の芯ずれ量は、ケーブル33に接続されたモニタ装置で確認することができる。作業者は、芯ずれ量を基にして、図3の位置調整部95で、パンチホルダ92の位置すなわち被検出治具5の位置を調整することができる。
【0030】
このとき、実際に圧造加工を行う位置において垂直方向と水平方向の芯ずれ量が精度良く求められているため、目視による判断などの経験的な熟練技能を必要とせず、高精度にかつ容易に調整を行うことができ、芯出し作業の作業性を格段に改善することができる。
【0031】
なお、被検出用治具5は必須ではなく、パンチまたはダイスそのものを装着した状態としておき、距離検出用治具5から距離を検出するようにしてもよい。
【0032】
また、ダイスホルダ及びパンチホルダ92を複数組備える多段式圧造機では、ひとつの組で上述のように距離検出用治具1及び被検出用治具5を装着し、他の組でダイス及びパンチを装着して圧造加工を行いながら、芯ずれ量を求めることができる。この動的な芯出しを行うことにより、加工時の荷重の影響も加味した、信頼性の高い芯出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の芯出し方法に用いられる距離検出用治具を説明する斜視図である。
【図2】図1の距離検出用治具と組み合わせて用いられる被検出用治具を説明する斜視図である。
【図3】本発明の芯出し方法を行う圧造機の概略構造を説明する側面断面図である。
【図4】本発明の芯出し方法を圧造機で実施している状況を説明する側面断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1:距離検出用治具 11:治具本体部 12:切欠楔部
13:タップ孔 14:係止溝
2:検出基体
31:垂直用距離センサ 32:水平用距離センサ 33:ケーブル
5:被検出用治具 51:治具本体部 52:切欠楔部
6:被検出部材 61:被検出穴部
9:圧造機
91:ラム 92:パンチホルダ 93:パンチ
95:位置調整部 96;固定ねじ
【出願人】 【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
【出願日】 平成18年8月1日(2006.8.1)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏


【公開番号】 特開2008−36638(P2008−36638A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−209875(P2006−209875)