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【発明の名称】 鍛造用金型およびそれを用いた段部を有する製品の製造方法
【発明者】 【氏名】河嵜 雅樹

【氏名】渡辺 和英

【氏名】鵜飼 徹三

【氏名】毛路 智久

【要約】 【課題】所定高さの段部を同時に成形することができるとともに、成形金型の寿命低下や割れ、破損等を防止することができる、鍛造用金型およびそれを用いた段部を有する製品の製造方法を提供することを目的とする。

【構成】鍛造素材33Sを塑性流動させて段部を有する製品を鍛造成形する鍛造用金型61において、段部成形型69は、鍛造素材33Sが塑性流動する方向Xに対して交差する方向に延出する延出部69Aを備え、該延出部69Aには、素材流動を受ける上流面69B側に形成されたコーナ上流部69Cと、該コーナ上流部69Cに接続され、略素材流動方向Xに形成された頂面69Dと、コーナ上流部69Cの下流側に反対面69Fを形成するコーナ下流部69Eとが形成され、コーナ上流69C部は、素材流動を頂面69D側へと受流す素材流動受流し領域(169C)を備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍛造素材がセットされるとともに、前記鍛造素材に圧縮力を与える成形パンチが進入される素材セット空間と、段部を成形する段部成形型を有する成形金型とを備え、前記素材セット空間にセットされた鍛造素材を塑性流動させて段部を有する製品を鍛造成形する鍛造用金型において、
前記段部成形型は、前記鍛造素材が塑性流動する方向に対して交差する方向に延出する延出部を備え、
該延出部には、素材流動を受ける上流面側に形成されたコーナ上流部と、該コーナ上流部に接続され、略素材流動方向に形成された頂面と、前記コーナ上流部の下流側に反対面を形成するコーナ下流部とが形成され、
前記コーナ上流部は、素材流動を頂面側へと受流す素材流動受流し領域を備えることを特徴とする鍛造用金型。
【請求項2】
前記素材流動受流し領域は、滑らかな曲面により形成されることを特徴とする請求項1に記載の鍛造用金型。
【請求項3】
鍛造素材がセットされるとともに、前記鍛造素材に圧縮力を与える成形パンチが進入される素材セット空間と、段部を成形する段部成形型を有する成形金型とを備え、前記素材セット空間にセットされた鍛造素材を塑性流動させて段部を有する製品を鍛造成形する鍛造用金型において、
前記段部成形型は、前記鍛造素材が塑性流動する方向に対して交差する方向に延出する延出部を備え、
該延出部には、素材流動を受ける上流面側に形成されたコーナ上流部と、該コーナ上流部に接続され、略素材流動方向に形成された頂面と、前記コーナ上流部の下流側に反対面を形成するコーナ下流部とが形成され、
前記頂面は、素材流動方向と反対向きの反素材流動方向へと第1分力を発生させる第1分力発生領域を備えることを特徴とする鍛造用金型。
【請求項4】
前記第1分力発生領域は、前記素材流動方向に沿って素材流動流路が漸増形成される第1傾斜面で形成されることを特徴とする請求項3に記載の鍛造用金型。
【請求項5】
鍛造素材がセットされるとともに、前記鍛造素材に圧縮力を与える成形パンチが進入される素材セット空間と、段部を成形する段部成形型を有する成形金型とを備え、前記素材セット空間にセットされた鍛造素材を塑性流動させて段部を有する製品を鍛造成形する鍛造用金型において、
前記段部成形型は、前記鍛造素材が塑性流動する方向に対して交差する方向に延出する延出部を備え、
該延出部には、素材流動を受ける上流面側に形成されたコーナ上流部と、該コーナ上流部に接続され、略素材流動方向に形成された頂面と、前記コーナ上流部の下流側に反対面を形成するコーナ下流部とが形成され、
前記コーナ下流部は、素材流動方向と反対向きの反素材流動方向へと第2分力を発生させる第2分力発生領域を備えることを特徴とする鍛造用金型。
【請求項6】
前記第2分力発生領域は、反対面の下流側に向け素材流動流路が漸減形成される第2傾斜面で形成されることを特徴とする請求項5に記載の鍛造用金型。
【請求項7】
前記延出部は、前記段部成形型に隣接する成形型面に対して、前記製品の段部高さに相当する延出方向高さを有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の鍛造用金型。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の鍛造用金型を用い、鍛造成形により段部を有する製品を製造する方法であって、
前記素材セット空間に供給された前記鍛造素材に対して前記成形パンチにより圧縮力を付与し、前記段部成形型の前記延出部により、前記鍛造素材が塑性流動する方向に対して交差する方向の段部を成形することを特徴とする段部を有する製品の製造方法。
【請求項9】
段部を有する前記製品が、スクロール流体機械に適用されるスクロール部材であり、前記段部が、その渦巻き状ラップのラップボトム面に形成されるラップ高さ方向の段部であることを特徴とする請求項8に記載の段部を有する製品の製造方法。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塑性流動される鍛造素材の流動方向に対して交差する方向に段部を持つような製品を鍛造成形するための鍛造用金型およびそれを用いた段部を有する製品の製造方法に関するものであり、例えば、スクロール流体機械に用いるスクロール部材を鍛造成形する鍛造用金型およびそれを用いたスクロール部材の製造方法等に適用できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、安定した品質と高強度が要求されるアルミニウム合金製の製品を製造する方法として、鍛造成形が知られている。例えば、スクロール流体機械に適用されるスクロール部材は、渦巻き状ラップの根元部に高圧による大きな繰り返し応力が作用するため、この応力により渦巻き状ラップが破損しないよう高い強度が求められる。そこで、軽量化ならびに高強度化を狙いとしたアルミニウム合金製のスクロール部材においては、その対応策の1つとして、鍛造成形化が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上記のようなスクロール部材において、渦巻き状ラップの先端面とボトム面とに各々段部を設け、渦巻き状ラップの外周側においてラップ高さが内周側のラップ高さよりも高くされ、これによって、周方向およびラップ高さ方向に圧縮ができる三次元圧縮が可能なスクロール圧縮機構を構成し、高性能化を図ったスクロール流体機械が提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】特開平11−285774号公報
【特許文献2】特公昭60−17956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような、渦巻き状ラップのラップボトム面に段部が設けられたスクロール部材を鍛造成形する場合、成形金型の一部に段部を成形するための段部成形型が設けられることとなる。この段部成形型は、鍛造素材が塑性流動する方向に対して交差する方向に、段部の高さ相当分だけ延出する延出部を備えた構成となるのが通常である。
しかし、成形金型内に、隣接する成形型面に対する延出部が存在すると、延出部により成形金型内での鍛造素材の塑性流動が阻害されるおそれが生じる。つまり、鍛造素材の流動方向に対して交差する方向に延出部があると、延出部をのり越えて鍛造素材が流動されることとなるので、延出部が高くなるほど素材流動に対しての抵抗が大きくなる。このため、延出部に素材流動による大きな応力が負荷され、これが段部成形型の寿命低下や割れ、破損の原因となる問題がある。
【0006】
そこで、上記のようなトラブルを回避するため、段部を本来必要とする高さよりも低くした状態で鍛造成形した後、別途切削加工することにより、製品として本来必要とされる段部高さに加工することが行われている。しかし、この場合、鍛造成形後に切削加工する素材取り代が多くなり、加工工数が増えるとともに、鍛造素材として使用する材料の量が増大することとなる。そして、これが製品の製造コストを上昇させる要因となっている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、塑性流動される鍛造素材の流動方向に対して交差する方向に段部を持つような製品を鍛造成形する場合でも、所定高さの段部を同時に成形することができるとともに、成形金型の寿命低下や割れ、破損等を防止することができる、鍛造用金型およびそれを用いた段部を有する製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の鍛造用金型およびそれを用いた段部を有する製品の製造方法は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる鍛造用金型は、鍛造素材がセットされるとともに、前記鍛造素材に圧縮力を与える成形パンチが進入される素材セット空間と、段部を成形する段部成形型を有する成形金型とを備え、前記素材セット空間にセットされた鍛造素材を塑性流動させて段部を有する製品を鍛造成形する鍛造用金型において、前記段部成形型は、前記鍛造素材が塑性流動する方向に対して交差する方向に延出する延出部を備え、該延出部には、素材流動を受ける上流面側に形成されたコーナ上流部と、該コーナ上流部に接続され、略素材流動方向に形成された頂面と、前記コーナ上流部の下流側に反対面を形成するコーナ下流部とが形成され、前記コーナ上流部は、素材流動を頂面側へと受流す素材流動受流し領域を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によると、段部成形型の延出部において、素材流動を受ける上流面側のコーナ上流部に、素材流動を頂面側へと受流す素材流動受流し領域が形成されているので、鍛造素材が延出部をのり越えて下流側へと流動する際の流動抵抗が減少されることとなる。このため、延出部に作用する素材流動による応力を低減することができる。従って、成形時の素材流動による応力が原因となる成形金型の寿命低下や割れ、破損等の発生を防止することができるとときに、段部を有する製品において、本来必要とされる高さの段部を鍛造にて同時に成形することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明の鍛造用金型は、上記の鍛造用金型において、前記素材流動受流し領域は、滑らかな曲面により形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明によると、素材流動受流し領域が、滑らかな曲面により形成されているので、この曲面に沿って鍛造素材がスムーズに流動することとなり、延出部における鍛造素材の流動抵抗を減少させることができる。従って、延出部に作用する素材流動による応力を軽減することができる。
【0012】
また、本発明にかかる鍛造用金型は、鍛造素材がセットされるとともに、前記鍛造素材に圧縮力を与える成形パンチが進入される素材セット空間と、段部を成形する段部成形型を有する成形金型とを備え、前記素材セット空間にセットされた鍛造素材を塑性流動させて段部を有する製品を鍛造成形する鍛造用金型において、前記段部成形型は、前記鍛造素材が塑性流動する方向に対して交差する方向に延出する延出部を備え、該延出部には、素材流動を受ける上流面側に形成されたコーナ上流部と、該コーナ上流部に接続され、略素材流動方向に形成された頂面と、前記コーナ上流部の下流側に反対面を形成するコーナ下流部とが形成され、前記頂面は、素材流動方向と反対向きの反素材流動方向へと第1分力を発生させる第1分力発生領域を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によると、段部成形型の延出部において、コーナ上流部に接続され、略素材流動方向に形成された頂面に、反素材流動方向へと第1分力を発生させる第1分力発生領域が形成されているので、この領域によって、延出部の頂面に向け鍛造素材を介して作用する成形パンチの圧縮力に基づく反素材流動方向への第1分力が発生され、これが素材流動により延出部に加わる応力に対し、反力として作用することとなる。このため、延出部に作用する素材流動による応力を軽減することができる。従って、成形時の素材流動による応力が原因となる成形金型の寿命低下や割れ、破損等の発生を防止することができるとともに、段部を持つ製品において、本来必要とされる高さの段部を鍛造にて同時に成形することが可能となる。
【0014】
さらに、本発明の鍛造用金型は、上記の鍛造用金型において、前記第1分力発生領域は、前記素材流動方向に沿って素材流動流路が漸増形成される第1傾斜面で形成されることを特徴とする。
【0015】
本発明によると、第1分力発生領域が、素材流動方向に沿って素材流動流路を漸増形成する第1傾斜面により形成されているので、この第1傾斜面により反素材流動方向への第1分力が発生され、これが素材流動により延出部に加わる応力に対し、反力として作用することとなる。従って、この反力によって、延出部に作用する素材流動による応力を軽減することができる。
【0016】
また、本発明にかかる鍛造用金型は、鍛造素材がセットされるとともに、前記鍛造素材に圧縮力を与える成形パンチが進入される素材セット空間と、段部を成形する段部成形型を有する成形金型とを備え、前記素材セット空間にセットされた鍛造素材を塑性流動させて段部を有する製品を鍛造成形する鍛造用金型において、前記段部成形型は、前記鍛造素材が塑性流動する方向に対して交差する方向に延出する延出部を備え、該延出部には、素材流動を受ける上流面側に形成されたコーナ上流部と、該コーナ上流部に接続され、略素材流動方向に形成された頂面と、前記コーナ上流部の下流側に反対面を形成するコーナ下流部とが形成され、前記コーナ下流部は、素材流動方向と反対向きの反素材流動方向へと第2分力を発生させる第2分力発生領域を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明によると、段部成形型の延出部において、コーナ上流部の下流側に反対面を形成するコーナ下流部に、反素材流動方向へと第2分力を発生させる第2分力発生領域が形成されているので、この領域により、延出部の頂面に向け鍛造素材を介して作用する成形パンチの圧縮力に基づく反素材流動方向への第2分力が発生され、これが素材流動により延出部に加わる応力に対し、反力として作用することとなる。このため、延出部に作用する素材流動による応力を軽減することができる。従って、成形時の素材流動による応力が原因となる成形金型の寿命低下や割れ、破損等の発生を防止することができるとともに、段部を有する製品において、本来必要とされる高さの段部を鍛造にて同時成形することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明の鍛造用金型は、上記の鍛造用金型において、前記第2分力発生領域は、反対面の下流側に向け素材流動流路が漸減形成される第2傾斜面で形成されることを特徴とする。
【0019】
本発明によると、第2分力発生領域が、反対面の下流側に向け素材流動流路を漸減形成する第2傾斜面により形成されているので、この第2傾斜面により反素材流動方向への第2分力が発生され、これが素材流動により延出部に加わる応力に対し、反力として作用することとなる。従って、この反力によって、延出部に作用する素材流動による応力を軽減することができる。
【0020】
さらに、本発明の鍛造用金型は、上述のいずれかの鍛造用金型において、前記延出部は、前記段部成形型に隣接する成形型面に対して、前記製品の段部高さに相当する延出方向高さを有することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、延出部に隣接する成形型面に対する延出方向高さを、製品の段部高さ相当としているので、鍛造成形後に段部を切削加工する際の素材取り代を最小限とすることができる。これにより、鍛造素材の材料使用量を減少することができるとともに、鍛造成形後の加工工数を低減することができる。従って、最終製品の製造コストを低減することができる。
【0022】
また、本発明にかかる段部を有する製品の製造方法は、上述のいずれかの鍛造用金型を用い、鍛造成形により段部を有する製品を製造する方法であって、前記素材セット空間に供給された前記鍛造素材に対して前記成形パンチにより圧縮力を付与し、前記段部成形型の前記延出部により、前記鍛造素材が塑性流動する方向に対して交差する方向の段部を成形することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、鍛造成形時に段部成形型の延出部に作用する鍛造素材の流動による応力を、上述のとおり低減することによって、成形金型の寿命低下や割れ、破損を防止しつつ、延出部により鍛造素材の流動方向に対して交差する方向の段部を鍛造にて同時成形することが可能となる。従って、鍛造成形後の段部の後加工工数を低減し、段部を有する製品の生産性を向上させることができる。
【0024】
さらに、本発明の段部を有する製品の製造方法は、上記の段部を有する製品の製造方法において、段部を有する前記製品が、スクロール流体機械に適用されるスクロール部材であり、前記段部が、その渦巻き状ラップのラップボトム面に形成されるラップ高さ方向の段部であることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、端板の一面に渦巻き状ラップが立設されるとともに、そのラップボトム面にラップ高さ方向の段部が形成される構成のスクロール部材を、ラップボトム面に形成される所定高さ段部を含めて、上述のとおり鍛造成形により同時成形することが可能となる。従って、ラップボトム面に段部を有するスクロール部材の生産効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の鍛造用金型によれば、段部を成形する段部成形型の延出部に負荷される鍛造素材の塑性流動による応力を低減することができるため、成形時の素材流動による応力が原因となる成形金型の寿命低下や割れ、破損等の発生を防止することができるとともに、段部を有する製品において、本来必要とされる高さの段部を鍛造により同時に成形することが可能となる。
また、本発明の段部を有する製品の製造方法によれば、成形金型の寿命低下や割れ、破損を防止しつつ、製品の段部を鍛造にて同時成形することが可能となるため、鍛造成形後の段部の後加工工数を低減し、段部を有する製品の生産性を向上させることができる。
特に、ラップボトム面に段部を有するスクロール部材の製造に適用することにより、スクロール部材の生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
以下、本発明の一実施形態について、図1ないし図7を用いて説明する。
まず、図1ないし図4を参照して、段部を有する製品の一例であるスクロール部材およびそれを用いたスクロール流体機械を説明する。図1には、スクロール流体機械1の縦断面図が示されている。
スクロール流体機械1は、フロントハウジング5とリアハウジング7とから構成され、これらをボルト9により一体的に締め付け固定したハウジング3を有する。
【0028】
フロントハウジング5の内部には、クランク軸11がメイン軸受13およびサブ軸受15を介して軸線L回りに回転自在に支持されている。クランク軸11の一端側(図において左側)は小径軸部11Aとされ、この小径軸部11Aは、フロントハウジング5を貫通して図の左側に突出されている。小径軸部11Aの突出部には、電磁クラッチ17が装着され、フロントハウジング5の一端側の小径ボス部5Aの外周に軸受19を介して回転自在に設けられているプーリー21との間で動力が断続されるようになっている。プーリー21には、図示されていないエンジン等の駆動源からVベルト等を介して動力が伝達されることとなる。なお、メイン軸受13とサブ軸受15との間には、メカニカルシール(リップシール)23が設置されており、これによってハウジング3内と大気との間を気密にシールしている。
【0029】
クランク軸11の他端側(図において右側)には、大径軸部11Bが設けられ、さらにこの大径軸部11Bには、クランク軸11の軸線Lより所定寸法だけ偏心した状態で偏心ピン11Cが一体に設けられる。このクランク軸11の大径軸部11Bおよび小径軸部11Aが、それぞれメイン軸受13およびサブ軸受15を介してフロントハウジング5に回転自在に支持される。そして、偏心ピン11Cには、ドライブブッシュ25、ドライブ軸受27を介して後述する旋回スクロール部材33が連結され、クランク軸11が回転されることにより、旋回スクロール部材33が旋回駆動されるようになっている。
【0030】
ドライブブッシュ25には、旋回スクロール部材33が旋回駆動されることにより生じるアンバランス荷重を除去するためのバランスウェイト25Aが設けられ、旋回スクロール部材33の旋回駆動と共に旋回されるようになっている。
ハウジング3の内部には、スクロール圧縮機構29を構成する一対の固定スクロール部材31と旋回スクロール部材33が組み込まれる。固定スクロール部材31は、端板31Aと該端板31Aから立設された渦巻き状ラップ31Bとから構成され、一方、旋回スクロール部材33は、端板33Aと該端板33Aから立設された渦巻き状ラップ33Bとから構成される。
【0031】
固定スクロール部材31および旋回スクロール部材33は、図2に示すように、それぞれ渦巻き状ラップ31B,33Bの先端面31C,33Cとボトム面31D,33Dの渦巻き方向に沿う所定位置に、それぞれ段部31E,31Fおよび33E,33Fを備えている。この段部31E,31Fおよび33E,33Fを境に、ラップ先端面31C,33Cにおいては、外周側の先端面31G,33Gが高く、内周側の先端面31H,33Hが低くされている。また、ボトム面31D,33Dにおいては、外周側のボトム面31I,33Iが低く、内周側のボトム面31J,33Jが高くされている。これによって、渦巻き状ラップ31B,33Bは、その外周側におけるラップ高さが内周側のラップ高さよりも高くされる。
【0032】
上記の固定スクロール部材31と旋回スクロール部材33は、図1に示されるように、各々の中心を旋回半径分だけ離すとともに、渦巻き状ラップ31B,33B同士が180度位相をずらせて噛み合わせた状態で組み込まれる。これによって、両スクロール部材31,33間には、端板31A,33Aと渦巻き状ラップ31B,33Bとにより限界された一対の圧縮室35がスクロール中心に対して対称に形成されることとなる。圧縮室35は、その軸線L方向高さが渦巻き状ラップ31B,33Bの外周側において内周側の高さよりも高くされ、周方向およびラップ高さ方向に圧縮ができる三次元圧縮が可能な圧縮機構が構成される。
【0033】
固定スクロール部材31は、リアハウジング7の内面にボルト37を介して固定設置される。旋回スクロール部材33は、端板33Aの背面に設けられているボス部に、上述のとおりクランク軸11の一端側に設けられている偏心ピン11Cが、ドライブブッシュ25および軸受27を介して嵌め込まれることによりクランク軸11に連結される。
また、旋回スクロール部材33は、フロントハウジング5に形成されているスラスト受け面5Bに端板33Aの背面が支持されており、このスラスト受け面5Bと旋回スクロール部材33の背面との間に介装される自転阻止用ピンリング機構39により、旋回スクロール部材33は自転を阻止されながら固定スクロール部材31に対して公転旋回駆動されるよう構成される。
【0034】
自転阻止用ピンリング機構39を設置するため、旋回スクロール部材33の端板33Aの背面およびスラスト受け面5Bの一方にピン39Aを立てるピン穴、他方にリング39Bを嵌合するリング穴が設けられる。本実施形態では、スラスト受け面5Bにピン39Aを立てるピン穴5Cが設けられ、旋回スクロール部材33にリング39Bを嵌めるリング穴33Kが設けられている。
これらのピン穴5Cおよびリング穴33Kは、図3に示されるように、周方向に複数箇所、一般的には3ないし4箇所(本実施形態では4箇所)設けられる。
【0035】
上記のように、旋回スクロール部材33には、その端板33Aの一端面に渦巻き状ラップ33Bが設けられ、他端面に自転阻止用ピンリング機構39のリング39Bが嵌合されるリング穴33Kが設けられることとなる。また、渦巻き状ラップ33Bには、ラップエンド部33Lや段部33E,33F等のような軸線L方向高さが変化するラップ高さ変化部33M(33L,33E,33F)が形成されることとなる。
図3には、リング穴33Kとラップ高さ変化部33M(33L,33E,33F)の平面上の配置関係が示されている。図から明らかなように、リング穴33Kは、ラップ高さ変化部33Mが軸線L方向に見て端板33Aの他端面上に投影された位置を避けて配置される。具体的には、リング穴33Kは、ラップ高さ変化部33Mの位置に対して、周方向に少なくとも30度以上、本実施形態では45度ずれた位置に配置されている。
【0036】
なお、上記のピンリング機構39に代え、公知の如くオルダムリング機構を採用してもよく、この場合、図4に示されるように、フロントハウジング5のスラスト受け面5Bと旋回スクロール部材33の背面である他端面とに、互いに直交するキー溝33Qが設けられ、このキー溝33Qに、図示省略のオルダムリング側のキーが嵌合されることとなる。
キー溝33Qは、旋回スクロール部材33側では、図4に示されるように、スクロール中心を挟んで対称位置に一対設けられる。そして、このキー溝33Qは、渦巻き状ラップ33Bのラップ高さ変化部33Mの位置に対して軸線方向に見て端面上に投影された位置を避けて配置される。具体的には、キー溝33Qは、ラップ高さ変化部33Mの位置に対して、周方向に少なくとも30度以上、本実施形態では周方向に90度ずれた位置に配置されている。
【0037】
また、図1に示されるように、固定スクロール部材31の端板31Aには、その中央部に圧縮された冷媒ガスを吐出する吐出ポート31Cが開口されており、該吐出ポート31Cには、端板31Aにリテーナ41を介して取り付けられる吐出リード弁43が設けられる。さらに、端板31Aの背面には、リアハウジング7の内面に密接されるようOリング等のシール部材45が設置され、このシール部材45により端板31Aとリアハウジング7との間にハウジング3の内部空間から区画された吐出チャンバー47が形成される。また、これによって、吐出チャンバー47を除くハウジング3の内部空間が、吸入チャンバー49として機能するよう構成される。
【0038】
吸入チャンバー49には、フロントハウジング5に設けられている吸入口(図示せず)を介して冷凍サイクルから戻ってくる冷媒ガスが吸入され、この吸入チャンバー49を経て固定スクロール部材31と旋回スクロール部材33間に形成される圧縮室35に冷媒ガスが吸い込まれるようになる。なお、フロントハウジング5とリアハウジング7との間の接合面には、Oリング等のシール部材51が設置され、ハウジング3内の吸入チャンバー47を大気から気密にシールしている。
【0039】
上記のスクロール流体機械は、以下のように動作する。
外部駆動源からプーリー21に伝達された回転駆動力を、電磁クラッチ17を介してクランク軸11に伝達し、クランク軸11を回転すると、クランク軸11の偏心ピン11Cにドライブブッシュ25および軸受27を介して連結されている旋回スクロール部材33が、ピンリング機構39または図示省略のオルダムリング機構により自転を阻止されながら、固定スクロール部材31に対して公転旋回駆動される。
【0040】
この旋回スクロール部材33の公転旋回駆動により、半径方向最外方に形成される圧縮室35内に、吸入チャンバー49内の冷媒ガスが吸い込まれる。圧縮室35は、所定の旋回角位置で吸入締め切りされた後、その容積が周方向およびラップ高さ方向に減少されながら中心側へと移動される。この間に冷媒ガスは圧縮され、当該圧縮室35が吐出ポート31Cに連通する位置に達すると、吐出リード弁43が押し開かれて圧縮されたガスは吐出チャンバー47内に吐き出され、この圧縮冷媒ガスは、吐出チャンバー47を経て機外へと吐出される。
【0041】
つぎに、図5ないし図7を用いて、上記スクロール部材を鍛造成形する鍛造用金型61およびそれを用いたスクロール部材の製造方法について、旋回スクロール部材33の製造を例に説明する。図5には、旋回スクロール部材33を成形する鍛造用金型61の概略構成が示されている。
鍛造用金型61は、旋回スクロール部材33の鍛造素材(例えば、A403)33Sが投入セットされる素材セット空間63と、素材セット空間63内に進入され、鍛造素材33Sに対して圧縮力を付与する成形パンチ65と、渦巻き状ラップ33Bを成形するための成形金型67とを備えている。
【0042】
成形金型67は、旋回スクロール部材33のラップボトム面33Dに段部33F(図2(B)を参照)を成形する段部成形型69を有しており、この段部成形型69は、鍛造素材33Sが塑性流動する方向Xに対して交差する方向に延出する凸形状の延出部69Aを備えている。延出部69Aは、段部成形型69に隣接する成形型面に対して、段部33Fの高さに相当する延出方向高さTを有している。
【0043】
また、図6に示されるように、延出部69Aは、素材流動を受ける上流面69B側に形成されたコーナ上流部69Cと、該コーナ上流部69Cに接続され、略素材流動方向Xに形成された頂面69Dと、コーナ上流部69Cの下流側に反対面69Fを形成するコーナ下流部69Eとから形成される。
コーナ上流部69Cは、素材流動を頂面69D側へと受流す素材流動受流し領域(169C)を構成するため、滑らかな曲面169Cにより形成される。
また、頂面69Dは、素材流動方向Xと反対向きの反素材流動方向へと第1分力V1を発生させる第1分力発生領域(169D)を構成するため、素材流動方向Xに沿って素材流動流路を漸増形成する第1傾斜面169Dを備えている。
さらに、コーナ下流部69Eは、素材流動方向Xと反対向きの反素材流動方向へと第2分力V2を発生させる第2分力発生領域(169E)を構成するため、反対面の下流側に向け素材流動流路を漸減形成する第2傾斜面169Eを備えている。
【0044】
なお、上記の曲面169C、第1傾斜面169Dおよび第2傾斜面169Eは、後述するように、鍛造成形後の素材取り代があまり大きくならない程度の寸法に設定するのが望ましく、例えば曲面169Cの曲率は、通常ラップ流入部に設けられる1ミリから延出方向高さTの中間(半分)、第1傾斜面169Dおよび第2傾斜面169Eの傾斜高さは、延出方向高さT未満とされる。
【0045】
つづいて、旋回スクロール部材33の鍛造成形方法について、図5の成形工程図を参照して説明する。

まず、旋回スクロール部材33を成形するため、鍛造素材33Sが素材セット空間63内に投入セットされる(図5(A)参照)。この鍛造素材33Sに対して、成形パンチ65を素材セット空間63内に進入させ、圧縮力を付与して行く(図5(B)参照)。これによって鍛造素材33Sが塑性流動され、渦巻き状ラップ33Bを成形する成形金型67内に流動することにより、目的とする製品、すなわち旋回スクロール部材33が鍛造成形されることとなる(図5(C)参照)。
なお、鍛造時における成形パンチ65の圧縮加工速度(クランク機構を有する機械プレスのため)は、一般に下死点上0〜15mmの範囲において、平均加工速度10〜150mm/sec程度とされる。
【0046】
ここで、鍛造素材33Sの塑性流動は、図3、図4に示されるように、スクロール中心と渦巻き状ラップ33Bのラップエンド部33Lとを結ぶ中心線Y−Yに対して、ラップエンド部33L側のラップ体積が大きいため、ラップエンド部33L側に向う流れX(図5参照)が支配的となる。このX方向への素材流動により、素材流動方向Xに対して交差する方向に延出している段部成形型69の延出部69A、すなわちラップボトム面33Dの段部33F(図2(B)参照)を成形する延出部69Aに対して素材流動方向Xの応力Zが負荷されることとなる。
【0047】
しかして、本実施形態によれば、図6に示されるように、延出部69Aを形成するコーナ上流部69Cに、素材流動を頂面69D側へと受流す素材流動受流し領域(169C)を構成する、滑らかな曲面169Cが形成されているので、鍛造素材33Sが延出部69Aをのり越えて下流側へと流動する際の流動抵抗が減少されることとなる。つまり、素材流動受流し領域(169C)が、滑らかな曲面169Cにより構成されているので、この曲面169Cに沿って鍛造素材33Sがスムーズに流動することとなり、延出部69Aによる素材流動に対する抵抗を減少させることができる。このため、延出部69Aに作用する素材流動による応力Zを軽減することができる。
従って、成形時の素材流動による応力Zが原因となる段部成形金型69の寿命低下や割れ、破損等の発生を防止することができるとともに、図2(B)に示されるように、ラップボトム面33Dに段部33Fを有する旋回スクロール部材33について、その段部33Fを鍛造にて同時に成形することが可能となる。
【0048】
また、コーナ上流部69Cに接続されて延出部69Aを形成する頂面69Dに、素材流動方向Xと反対向きの反素材流動方向へと第1分力V1(図6参照)を発生させる第1分力発生領域(169D)を構成する、素材流動方向Xに沿って素材流動流路を漸増形成する第1傾斜面169Dを備えているので、この領域(169D)にて、延出部69Aの頂面69Dに向け鍛造素材33Sを介して作用する成形パンチ65の圧縮力に基づく反素材流動方向への第1分力V1が発生され、これが素材流動により延出部69Aに負荷される応力Zに対し、反力として作用することとなる。このため、延出部69Aに作用する素材流動による応力Zを軽減することができる。従って、これによっても、成形時の素材流動による応力Zが原因となる段部成形金型69の寿命低下や割れ、破損等の発生を防止することができるとともに、上記の段部33Fを鍛造にて同時成形することが可能となる。
【0049】
さらに、頂面69Dに接続されて延出部69Aを形成するコーナ下流部69Eに、素材流動方向と反対向きの反素材流動方向へと第2分力V2を発生させる第2分力発生領域(169E)を構成する、反対面69Fの下流側に向け素材流動流路が漸減形成される第2傾斜面169Eを備えているので、この領域(169E)により、延出部69Aの頂面69Dに向け鍛造素材33Sを介して作用する成形パンチ65の圧縮力に基づく反素材流動方向への第2分力V2が発生され、これが素材流動により延出部69Aに加わる応力Zに対し、反力として作用することとなる。このため、延出部69Aに作用する素材流動による応力Zを軽減することができる。従って、これによっても、成形時の素材流動による応力Zが原因となる段部成形金型69の寿命低下や割れ、破損等の発生を防止することができるとともに、上記の段部33Fを鍛造にて同時成形することが可能となる。
【0050】
また、延出部69Aは、段部成形型69に隣接する成形型面に対し、上記段部33Fの高さに相当する延出方向高さTを有しているので、鍛造成形後において、渦巻き状ラップ33Bを切削加工して仕上げる際の素材取り代を最小限とすることができる。すなわち、鍛造成形された旋回スクロール部材33を最終製品とするには、図7(A)に太い実線71で示された鍛造成形品のラップ側面およびボトム面を、エンドミル等によって破線73で示されるように切削加工する必要がある。この際、一回の工具移動で切削加工できる程度の素材取り代となるように鍛造成形することが望まれる。このためには、延出部69Aの延出方向高さTを、上記の如く段部33Fの高さ相当とすることが不可欠であり、これによって、ラップ側面およびボトム面における素材取り代を略均一化でき、一回の工具移動で破線73のように切削加工することが可能となる。
なお、図7中の細い実線75は、鍛造成形時に渦巻き状ラップ33B部へと流動される鍛造素材33Sの流動マークを示している。
【0051】
ちなみに、鍛造素材33Sの流動による応力が原因となる段部成形型69の寿命低下や割れ、破損が懸念される場合、段部33Fを本来必要とする高さに対して、図7(B)に実線71Aで示すように、段部高さを低くして鍛造成形した後、図7(B)に破線73Aで示すように、ボトム面の素材取り代を多くして所定高さの段部33Fとなるよう切削加工する必要がある。このため、一回の工具移動による切削加工が困難となり、加工工数が増加するとともに、鍛造素材33Sの材料使用量増加は避けられない。
しかしながら、本実施形態によれば、上述のとおり、鍛造成形後に段部を切削加工する際の素材取り代を最小限とすることができるため、鍛造素材の材料使用量を減少することができるとともに、鍛造成形後の加工工数を低減することができる。
【0052】
なお、旋回スクロール部材33の端板33A背面に、自転阻止機構用のリング穴33Kやキー溝33Qとなる凹部を鍛造により同時成形すると、図5(D)に示すように、凹部33Nの位置によっては、鍛造素材33Sが流動するための流路が狭くなり、段部成形型69の延出部69Aに作用する応力が大きくなるおそれがあるが、図3および図4に示すように、リング穴33Kやキー溝33Qをラップ高さ変化部33M(33L,33E,33F)が軸線方向に見て端板33Aの他端面に投影された位置から避けた位置、すなわちラップ高さ変化部33Mの配置位置から周方向にずれた位置に配置することによって、図5(C)のように、鍛造素材33Sが流動する流路を確保することができる。このことによっても、段部成形型69に負荷される素材流動による応力を軽減することができる。
【0053】
以上説明の本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の鍛造用金型61によれば、段部を成形する段部成形型69の延出部69Aに負荷される鍛造素材33Sの塑性流動による応力を低減することができるため、成形時の素材流動による応力が原因となる段部成形型69の寿命低下や割れ、破損等の発生を防止することができるとともに、段部33Fを有する旋回スクロール部材33について、その段部33Fを鍛造により同時成形することが可能となる。
【0054】
また、隣接する成形型面に対する延出部69Aの延出方向高さTを、旋回スクロール部材33の段部33F高さ相当としているため、鍛造成形後に段部を切削加工して仕上げる際の素材取り代を最小限とすることができる。従って、鍛造素材33Sの材料使用量を減少することができるとともに、鍛造成形後の加工工数を低減することができ、最終製品である旋回スクロール部材33の製造コストを低減することができる。
さらに、段部成形型69の寿命低下や割れ、破損を防止しつつ、旋回スクロール部材33の段部33Fを鍛造にて同時成形することが可能となるため、鍛造成形後の切削加工工数を低減し、段部33Fを有する旋回スクロール部材33の生産効率を向上させることができる。
【0055】
なお、上記の実施形態では、旋回スクロール部材33の製造を例に説明したが、固定スクロール部材31の製造にも同様に適用することができる。また、スクロール部材以外にも、成形面に素材流動方向に交差する方向に段部を有する製品の鍛造成形に広く適用することができる。
また、上記実施形態では、段部成形型69の延出部69Aに、素材流動受流し領域を構成する滑らかな曲面169C、第1分力発生領域を構成する第1傾斜面169D、および第2分力発生領域を構成する第2傾斜面169Eの3つを全て備えた実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、上記の曲面169C、第1傾斜面169D、および第2傾斜面169Eの少なくともいずれか1つを備えているものであればよい。ただし、これらの2つ以上を組み合わせて適用することにより、上記の応力低減効果を増大することができるので、実用化に際しては、上記の2つ以上を組み合わせて用いることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る鍛造用金型で製造するスクロール部材を用いたスクロール流体機械の縦断面図である。
【図2】図1に示されたスクロール流体機械用の固定スクロール部材(A)と旋回スクロール部材(B)の外観斜視図である。
【図3】図2に示された旋回スクロール部材の平面図である。
【図4】図2に示された旋回スクロール部材とは別構成の旋回スクロール部材の平面図である。
【図5】図2に示された旋回スクロール部材を鍛造成形する方法の工程図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る鍛造用金型における段部成形型の部分拡大図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る鍛造用金型による鍛造後の加工状態(A)と従来の鍛造後の加工状態(B)の比較図である。
【符号の説明】
【0057】
1 スクロール流体機械
33 旋回スクロール部材
33F 段部
33S 鍛造素材
61 鍛造用金型
63 素材セット空間
65 成形パンチ
67 成形金型
69 段部成形型
69A 延出部
69B 上流面
69C コーナ上流部
69D 頂面
69E コーナ下流部
69F 反対面
169C 滑らかな曲面(素材流動受流し領域)
169D 第1傾斜面(第1分力発生領域)
169E 第2傾斜面(第2分力発生領域)
T 延出部の延出方向高さ
V1 第1分力
V2 第2分力
X 鍛造素材流動方向
Z 素材流動による応力

【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴

【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生


【公開番号】 特開2008−790(P2008−790A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172585(P2006−172585)