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【発明の名称】 鍛造金型の潤滑装置及び潤滑方法
【発明者】 【氏名】加藤 豊

【要約】 【課題】潤滑液の使用量を低減すると共に、鍛造金型を潤滑被膜を形成するための最適な温度まで冷却して、鍛造金型の表面に略均一な潤滑被膜を容易に形成することのできる鍛造金型の潤滑装置及び潤滑方法を提供する。

【構成】本潤滑装置1は、エアコンプレッサ2に連通するエア供給管3と、冷却水加圧タンク4に連通する冷却水供給管5と、潤滑液加圧タンク6に連通する潤滑液供給管7と、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7に介設されて入力信号に基いて開閉動作する各弁体8、9と、エア供給管3、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7のそれぞれに連通される混合部15と、該混合部15に連通すると共に鍛造金型に向かって配置される噴射ノズル17とを備えている。これにより、潤滑液の使用量が低減されると共に、鍛造金型を潤滑被膜を形成するための最適な温度まで冷却して、鍛造金型の表面に略均一な潤滑被膜を容易に形成できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エア供給源に連通するエア供給管と、冷却水供給源に連通する冷却水供給管と、潤滑液供給源に連通する潤滑液供給管と、前記冷却水供給管及び前記潤滑液供給管のそれぞれに介設されて、入力信号に基いて開閉動作する各弁体と、前記エア供給管、前記冷却水供給管及び前記潤滑液供給管のそれぞれに連通する混合部と、該混合部に連通すると共に鍛造金型に向かって配置される噴射ノズルと、を備えていることを特徴とする鍛造金型の潤滑装置。
【請求項2】
前記冷却水供給管及び前記潤滑液供給管には、前記各弁体の上流側の近接した位置に流量計がそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鍛造金型の潤滑装置。
【請求項3】
前記各弁体には、各弁体に開閉動作の信号を出力する制御装置が接続されており、この制御装置は、各流量計に接続され、各流量計により所定の流量が測定されると、各弁体へ閉動作の信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の鍛造金型の潤滑装置。
【請求項4】
鍛造金型の潤滑方法であって、
前記鍛造金型に向かって配置される噴射ノズルからエア・冷却水の混合2流体を噴霧して、前記鍛造金型を潤滑被膜を形成するための最適な温度まで冷却し、
その後、冷却水を噴霧した前記噴射ノズルと同じ噴射ノズルからエア・潤滑液の混合2流体を噴霧して、前記鍛造金型に潤滑被膜を形成することを特徴とする鍛造金型の潤滑方法。
【請求項5】
前記鍛造金型を冷却した前記工程の後冷却水を排除する工程または前記鍛造金型に潤滑液を噴霧した前記工程の後潤滑被膜を前記鍛造金型の表面に略均一にしてその乾燥を助長する工程において、冷却水及び潤滑液を噴霧した前記噴射ノズルと同じ噴射ノズルからエアのみを前記鍛造金型に吹き付けることを特徴とする請求項4に記載の鍛造金型の潤滑方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間又は温間鍛造加工に使用される鍛造金型の潤滑装置及び潤滑方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱間及び温間鍛造加工では、摩擦低減、焼き付け防止及び鍛造金型の冷却の目的で、鍛造金型の潤滑として水溶性の潤滑液が使用されている。また、鍛造金型の潤滑に対する最適条件は、加工温度(熱間又は温間)の相違や成形品の形状においても異なるために、個々の成形品や鍛造加工時の温度に対応した潤滑の最適条件を管理して、成形品の品質の安定化、鍛造金型の寿命の向上及び潤滑液の使用量の低減等の改善が必要であった。
【0003】
そこで、従来の鍛造金型の潤滑装置50を図4に基いて説明する。
従来の鍛造金型の潤滑装置50は、潤滑液噴霧装置51とエアブロー装置52とが別々に構成されている。
潤滑液噴霧装置51は、エアコンプレッサ2に連通するエア供給管3と、潤滑液加圧タンク6に連通する潤滑液供給管7と、エア供給管3及び潤滑液供給管7のそれぞれに連通する混合部15と、該混合部15に連通する潤滑液配管32と、該潤滑液配管32の下流端に接続され、鍛造金型(図示略)に向かって配置される潤滑液噴射ノズル30とから構成されている。また、潤滑液供給管7には流量計11が介設されている。
一方、エアブロー装置52は、エアコンプレッサ2に連通するエア配管33の下流端に、鍛造金型に向かって配置されるエア噴射ノズル31が接続されて構成されている。なお、エア噴射ノズル31と潤滑液噴射ノズル30とは共に鍛造金型に向かって配置されているが、別々の位置に配されている。
【0004】
そして、従来の潤滑装置50による鍛造金型の潤滑方法を説明する。
まず、潤滑液噴霧装置51の潤滑液噴射ノズル30からエア・潤滑液の混合2流体、すなわち、潤滑液を鍛造金型に噴霧して、鍛造金型をその表面に潤滑被膜を形成するための最適な温度に冷却する。
その後、エアブロー装置52のエア噴射ノズル31からエアを鍛造金型に吹き付けて、鍛造金型を冷却する際に噴霧された潤滑液のうち、鍛造金型の表面への潤滑被膜の形成に不必要な潤滑液を吹き飛ばして、潤滑被膜が鍛造金型の表面に略均一に形成されるようにしている。
【0005】
しかしながら、上述した従来の潤滑方法の場合、特に、熱間鍛造加工の潤滑では、鍛造金型の冷却に重点を置くために、鍛造金型を最適な温度に冷却するために多量の潤滑液が噴霧される。このために、鍛造金型への潤滑被膜の形成の際には不必要な潤滑液も噴霧されることとなり、不必要な潤滑液の回収装置が必要となる。さらには、潤滑液の使用量が多くなるため、新しい潤滑液への交換頻度が増加する。
しかも、従来の潤滑装置50では、鍛造金型の表面に略均一な潤滑被膜を形成するために、エアブロー装置52により潤滑被膜の形成に不必要な潤滑液を吹き飛ばしているが、潤滑液の供給量が多いために潤滑液が液状で残りやすく、潤滑被膜が略均一に形成され難くなってしまう。
さらに、従来の潤滑装置50では、流量計11と潤滑液噴射ノズル30との距離が離れており、潤滑液加圧タンク6からは常に潤滑液が圧送されている状態であるために、潤滑液噴射ノズル30を開放して潤滑液を噴霧すると、潤滑液配管32の膨張または潤滑液の圧縮等の圧力損失の影響により流量計11で測定した以上の量の潤滑液が噴霧されてしまい、流量計11により正確な潤滑液の噴霧量を管理することが困難になっていた。
【0006】
さらにまた、従来の潤滑装置50では、潤滑液噴射ノズル30とエア噴射ノズル31とが別体で別々に配置されるために、成形品の形状によって、鍛造金型の周りに多数の潤滑液噴射ノズル30及びエア噴射ノズル31を配置する場合があり、鍛造金型の周りの配管数が多くなり複雑になる。また、潤滑液噴射ノズル30またはエア噴射ノズル31のいずれか一方しか鍛造金型の周りの最適な位置(角度)に配置することが出来ず、潤滑液及びエア共に鍛造金型の周りの最適な位置から噴射することが困難となっていた。
【0007】
そこで、従来の鍛造金型の潤滑装置として特許文献1には、潤滑液ノズル及びエアーノズルと、潤滑液ノズルに潤滑液を供給する潤滑液供給装置と、潤滑液ノズル及びエアーノズルにエアーを供給するエアー供給装置と、潤滑液ノズルによる潤滑液の吹付とエアーノズルによるエアーの吹付との吹付タイミング及び吹付時間を制御する制御装置とを備えた潤滑液吹付装置により、例えば、熱間鍛造プレスの金型に潤滑液ノズルから潤滑液を吹き付け、その後、エアーノズルからエアーを吹き付けることにより、潤滑液が金型全面に均一に塗布され、潤滑液中の水分が短時間で蒸発し金型に潤滑液の乾燥被膜が形成されることが開示されている。
【特許文献1】特開平7−171649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の発明に係る潤滑液吹付装置は、図4に示す従来の潤滑装置50と同様に、熱間鍛造加工のように鍛造金型の冷却に重点を置くような場合、多量の潤滑液を使用する必要があり、この特許文献1の発明に係る潤滑液吹付装置では、上述した問題点、すなわち、潤滑液の使用量の増加に係る問題点、鍛造金型の表面への潤滑被膜の形成に不必要な潤滑液の処理に係る問題点、さらには、不必要な潤滑液により鍛造金型への略均一な潤滑被膜の形成が阻害されるという問題点等を解決することはできない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、潤滑液の使用量を低減すると共に、鍛造金型を潤滑被膜を形成するための最適な温度まで冷却して、鍛造金型の表面に略均一な潤滑被膜を容易に形成することのできる鍛造金型の潤滑装置及び潤滑方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、請求項1に記載した鍛造金型の潤滑装置の発明は、エア供給源に連通するエア供給管と、冷却水供給源に連通する冷却水供給管と、潤滑液供給源に連通する潤滑液供給管と、前記冷却水供給管及び前記潤滑液供給管のそれぞれに介設されて、入力信号に基いて開閉動作する各弁体と、前記エア供給管、前記冷却水供給管及び前記潤滑液供給管のそれぞれに連通する混合部と、該混合部に連通すると共に鍛造金型に向かって配置される噴射ノズルと、を備えていることを特徴とするものである。
請求項2に記載した鍛造金型の潤滑装置の発明は、請求項1に記載した発明において、前記冷却水供給管及び前記潤滑液供給管には、前記各弁体の上流側の近接した位置に流量計がそれぞれ配置されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載した鍛造金型の潤滑装置の発明は、請求項2に記載した発明において、前記各弁体には、各弁体に開閉動作の信号を出力する制御装置が接続されており、この制御装置は、各流量計に接続され、各流量計により所定の流量が測定されると、各弁体へ閉動作の信号を出力することを特徴とするものである。
【0011】
また、上記課題を解決するための第2の手段として、請求項4に記載した鍛造金型の潤滑方法の発明は、鍛造金型の潤滑方法であって、前記鍛造金型に向かって配置される噴射ノズルからエア・冷却水の混合2流体を噴霧して、前記鍛造金型を潤滑被膜を形成するための最適な温度まで冷却し、その後、冷却水を噴霧した前記噴射ノズルと同じ噴射ノズルからエア・潤滑液の混合2流体を噴霧して、前記鍛造金型に潤滑被膜を形成することを特徴とするものである。
請求項5に記載した鍛造金型の潤滑方法の発明は、請求項4に記載した発明において、前記鍛造金型を冷却した前記工程の後冷却水を排除する工程または前記鍛造金型に潤滑液を噴霧した前記工程の後潤滑被膜を前記鍛造金型の表面に略均一にしてその乾燥を助長する工程において、冷却水及び潤滑液を噴霧した前記噴射ノズルと同じ噴射ノズルからエアのみを前記鍛造金型に吹き付けることを特徴とするものである。
【0012】
従って、請求項1に記載した鍛造金型の潤滑装置の発明では、まず、エアがエア供給源からエア供給管を経て混合部に圧送された状態で、冷却水供給管に介設した弁体だけが開動作されて、冷却水が冷却水供給源から冷却水供給管を経て混合部に圧送される。そして、混合部にてエアと冷却水とが混合されて、エア・冷却水の混合2流体、すなわち、冷却水が噴射ノズルから鍛造金型に噴霧され、鍛造金型が潤滑被膜を形成するための最適な温度まで冷却されて、冷却水供給管の弁体が閉動作される。
その後、エアが圧送された状態のままで、潤滑液供給管に介設した弁体だけが開動作されて、潤滑液が潤滑液供給源から潤滑液供給管を経て混合部に圧送される。そして、混合部にてエアと潤滑液とが混合されて、エア・潤滑液の混合2流体、すなわち、潤滑液が、冷却水を噴霧した噴射ノズルと同じ噴射ノズルから鍛造金型に噴霧され、鍛造金型の表面に潤滑被膜が略均一に形成されて、潤滑液供給管の弁体が閉動作される。最後に、エア供給源からのエアの供給が停止されて、鍛造金型の潤滑が終了する。
また、鍛造金型を冷却した後冷却水を排除する時または潤滑液を噴霧した後潤滑被膜を鍛造金型の表面に略均一にしてその乾燥を助長する時等に、潤滑液供給管及び冷却水供給管の各弁体を閉状態としたまま、エアーだけを、冷却水及び潤滑液を噴霧した噴射ノズルと同じ噴射ノズルから鍛造金型に吹き付けることも可能である。
請求項2に記載した鍛造金型の潤滑装置の発明では、各弁体の上流側に近接して流量計をそれぞれ配置しているので、各弁体から下流側に延びる管の膨張や潤滑液の圧縮等による圧力損失の影響を受けることがなく、噴射ノズルからの冷却水または潤滑液の噴霧量が流量計により正確に測定される。
請求項3に記載した鍛造金型の潤滑装置の発明では、制御装置には、鍛造金型を、その表面に潤滑被膜を形成するための最適な温度に冷却する所定の冷却水量及び鍛造金型の表面に潤滑被膜を形成する所定の潤滑液量が予め入力されており、冷却水または潤滑液を噴霧している間、流量計により所定の冷却水量または所定の潤滑液量が測定されると、制御装置からの信号に基いて、冷却水供給管の弁体または潤滑液供給管の弁体が閉動作されて、冷却水または潤滑液の噴霧が終了する。
【0013】
請求項4に記載した鍛造金型の潤滑方法の発明では、まず、エア・冷却水の混合2流体、すなわち、冷却水が噴射ノズルから鍛造金型に噴霧されて、鍛造金型が潤滑被膜を形成するための最適な温度に冷却される。その後、エア・潤滑液の混合2流体、すなわち、潤滑液が、冷却水を噴霧した噴射ノズルと同じ噴射ノズルから鍛造金型に噴霧されて、鍛造金型の表面に潤滑被膜が略均一に形成される。これにより、従来、鍛造金型の冷却に際、潤滑液を使用していた形態に比べて、潤滑液の使用量が相当量低減され、鍛造金型の表面に潤滑被膜の形成に不必要な潤滑液が鍛造金型に噴霧されることがなく、不必要な潤滑液により鍛造金型の表面への略均一な潤滑被膜の形成が阻害されることもない。しかも、冷却水及び潤滑液を噴霧する際の噴射ノズルは同一であり、該噴射ノズルが鍛造金型への冷却水及び潤滑液の噴霧に最適な位置に配置されているので、冷却水による鍛造金型の冷却及び潤滑液による鍛造金型の表面への潤滑被膜の形成が容易に達成される。
請求項5に記載した鍛造金型の潤滑方法の発明では、鍛造金型を冷却した後冷却水を排除する工程または鍛造金型に潤滑液を噴霧した後潤滑被膜を鍛造金型の表面に略均一にしてその乾燥を助長する工程において、潤滑液及び冷却水を噴霧する噴射ノズルと同じ噴射ノズルからエアだけを鍛造金型に吹き付けるので、潤滑液による鍛造金型の表面への潤滑被膜の形成が容易に達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、潤滑液の使用量を低減すると共に、鍛造金型を潤滑被膜を形成するための最適な温度まで冷却して、鍛造金型の表面に略均一な潤滑被膜を容易に形成することのできる鍛造金型の潤滑装置及び潤滑方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図3に基いて詳細に説明する。なお、従来例と同一部材及び相当する部材は、同一符号を使用して説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る潤滑装置1を図1に基いて説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る潤滑装置1は、エアコンプレッサ(エア供給源)2に連通するエア供給管3と、冷却水加圧タンク(冷却水供給源)4に連通する冷却水供給管5と、潤滑液加圧タンク(潤滑液供給源)6に連通する潤滑液供給管7と、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7のそれぞれに介設されて、入力信号に基いて開閉動作される各弁体8、9と、エア供給管3、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7のそれぞれに連通される混合部15と、該混合部15に連通して、鍛造金型(図示略)に向かって配置される噴射ノズル17と、から概略構成されている。
【0016】
本潤滑装置1をさらに詳述すると、エア供給管3、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7のそれぞれの下流端に混合部15の上流側が接続されており、該混合部15の下流側には、配管16の上流端が接続されている。この配管16は、エア供給管3、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7の長さよりも長く約20m程度の長さを有している。そして、この配管16の下流端に噴射ノズル17が接続されている。この噴射ノズル17は、鍛造金型の周りで、鍛造金型への冷却水及び潤滑液の噴霧に最適な位置に配置されている。
【0017】
また、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7のそれぞれに介設された各弁体8、9は、電磁弁等で構成されており、各弁体8、9には、各弁体8、9の開閉動作を制御する制御装置18が電気的に接続されている。また、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7には、各弁体8、9の上流側の近接した位置に流量計10、11がそれぞれ配置され、各流量計10、11も制御装置18に電気的に接続されている。
この制御装置18には、予め、鍛造金型を、その表面に潤滑被膜を形成するための最適な温度に冷却する所定の冷却水量と、鍛造金型の表面へ潤滑被膜を形成するための所定の潤滑液量とが入力されており、潤滑時に、各流量計10、11により、所定の冷却水量または所定の潤滑液量が測定されると、制御装置18から弁体8または9へ閉動作の信号が出力される。
【0018】
そして、本発明の実施の形態に係る潤滑装置1によって、鍛造金型を潤滑する方法を説明する。
1回の鍛造加工が終了し、鍛造金型の潤滑が開始されると、まず、エアをエアコンプレッサ2からエア供給管3及び混合部15を経由して配管16内に圧送させた状態として、制御装置18により冷却水供給管5の弁体8だけを開動作させて、冷却水を冷却水加圧タンク4から冷却水供給管5を経て混合部15に圧送する。そして、混合部15にてエアと冷却水とが混合されて、エア・冷却水の混合2流体が配管16内を流れて、冷却水が噴射ノズル17から鍛造金型に噴霧される。冷却水が噴霧されている間、制御装置18に予め入力されてあった、鍛造金型を潤滑被膜を形成するための最適な温度に冷却するための所定の冷却水量が流量計10により測定されると、制御装置18から弁体8へ閉動作の信号が出力されて、弁体8が閉動作して冷却水の噴霧が終了する。
続いて、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7の各弁体8、9を閉状態にしたままで、エアだけを噴射ノズル17から鍛造金型に吹き付けて、鍛造金型の表面に噴霧された冷却水を排除する。
【0019】
次に、エアをエアコンプレッサ2から圧送させた状態のまま、制御装置18により潤滑液供給管7の弁体9だけを開動作させて、潤滑液を潤滑液加圧タンク6から潤滑液供給管7を経て混合部15に圧送する。そして、混合部15にてエアと潤滑液とが混合されて、エア・潤滑液の混合2流体が配管16内を流れて、潤滑液が噴射ノズル17から鍛造金型に噴霧される。潤滑液が噴霧されている間、制御装置18に予め入力されてあった、鍛造金型の表面に潤滑被膜を形成するための所定の潤滑液量が流量計11により測定されると、制御装置18から弁体9へ閉動作の信号が出力されて、弁体9が閉動作して潤滑液の噴霧が終了する。
最後に、エアコンプレッサ2からのエアの供給が停止されて、鍛造金型の潤滑が終了し、次の鍛造加工が開始される。
【0020】
このように、第1の実施の形態に係る潤滑装置1では、潤滑を開始してから終了するまでの間、エアがエアコンプレッサ2から常に圧送されている状態で、その間に各弁体8、9が開閉動作されて噴射ノズル17から冷却水及び潤滑液が順に噴霧され、鍛造金型の潤滑が行われる。これにより、冷却水または潤滑液が単独で噴射ノズル17から噴射されることがないので、冷却の際、鍛造金型の一部位が集中して冷却されるのを防止できると共に、鍛造金型の一部位への潤滑被膜の偏りを防止することができる。
なお、第1の実施の形態に係る潤滑装置1による潤滑方法において、所定の潤滑液量が鍛造金型に噴霧された後、所定時間、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7の各弁体8、9を閉状態にしたままで、エアだけを噴射ノズル17から鍛造金型に吹き付けて、潤滑被膜を鍛造金型の表面に略均一にしてその乾燥を助長するようにしても良い。
【0021】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る潤滑装置1aを図2に基いて説明する。
本発明の第2の実施の形態に係る潤滑装置1aの説明に際しては、第1の実施の形態に係る潤滑装置1との相違点を主に説明する。
本発明の第2の実施の形態に係る潤滑装置1aでは、エア供給管3、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7を、各弁体8、9の下流側で集合させて一体で下流側に延びる3管集合体20を設けている。この3管集合体20の下流端に混合部15の上流側が接続されると共に、混合部15の下流側に近接して噴射ノズル17が接続されている。
【0022】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る潤滑装置1bを図3に基いて説明する。
本発明の第3の実施の形態に係る潤滑装置1bの説明に際しては、第1の実施の形態に係る潤滑装置1との相違点を主に説明する。
本発明の第3の実施の形態に係る潤滑装置1bでは、冷却水供給管5と潤滑液供給管7とを、各弁体8、9の下流側の位置で合流させた液流動管21を設けている。そして、エア供給管3と液流動管21とを集合させて一体で下流側に延びる2管集合体22を設けている。この2管集合体22の下流端に混合部15の上流側が接続されると共に、混合部15の下流側に近接して噴射ノズル17が接続されている。
【0023】
なお、第2及び第3の実施の形態に係る潤滑装置1a、1bによって鍛造金型を潤滑する方法は、第1の実施の形態に係る潤滑装置1と同一であるためここでの説明を省略する。
ところが、第2及び第3の実施の形態に係る潤滑装置1a、1bでは、混合部15が噴射ノズル17の上流側に近接して設けられ、噴射ノズル17から噴射される直前でエアと、冷却水または潤滑液とが混合されるので、第1の実施の形態に係る潤滑装置1よりも、冷却水または潤滑液が噴射ノズル17から細かい霧状に噴霧されるようになる。
【0024】
以上説明したように、本発明の第1〜第3の実施の形態に係る潤滑装置1、1a、1bは、エアコンプレッサ2に連通するエア供給管3と、冷却水加圧タンク4に連通する冷却水供給管5と、潤滑液加圧タンク6に連通する潤滑液供給管7と、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7のそれぞれに介設される各弁体8、9と、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7に、各弁体8、9の上流側に近接してそれぞれ配置される各流量計10、11と、エア供給管3、冷却水供給管5及び潤滑液供給管7のそれぞれに連通される混合部15と、該混合部15に連通して、鍛造金型の周りで鍛造金型への冷却水及び潤滑液の噴霧に最適な位置に配置される噴射ノズル17と、各弁体8、9に、各弁体8、9の開閉動作の信号を出力すると共に、各流量計10、11により所定の流量が測定されると、各弁体8、9へ閉動作の信号を出力する制御装置18とから構成されている。
【0025】
これにより、鍛造金型を所定の温度に冷却する際には、エアをエアコンプレッサ2から圧送させると共に、制御装置18により冷却水供給管5の弁体8を開動作させると、冷却水が噴射ノズル17から鍛造金型に噴霧されて、鍛造金型を潤滑被膜を形成するための最適な温度に冷却することができるので、従来、鍛造金型を冷却する際に潤滑液を使用していた形態に比べて、潤滑液の使用量が相当量低減される。しかも、鍛造金型の表面への潤滑被膜の形成に不必要な潤滑液が噴霧されないので、不必要な潤滑液の回収装置を備える必要も無く、不必要な潤滑液により鍛造金型への略均一な潤滑被膜の形成が阻害されることもない。また、鍛造金型の冷却には純水を使用するために冷却効率を向上させることができる。
また、冷却水を噴霧する噴射ノズル17と潤滑液を噴霧する噴射ノズル17とは同一であり、該噴射ノズル17を鍛造金型の周りで冷却水及び潤滑液の噴霧に最適な位置に配置することができるので、鍛造金型の冷却及び鍛造金型の表面への潤滑被膜の形成等の効率をさらに向上させることができ、しかも、鍛造金型の周りの配管等も複雑にならずシンプルになる。
【0026】
さらに、本発明の第1〜第3の実施の形態に係る潤滑装置1、1a、1bに備えた制御装置18には、鍛造金型を所定の温度に冷却するための最適な冷却水量及び鍛造金型の表面への潤滑被膜の形成のための最適な潤滑液量が予め入力されており、冷却水または潤滑液を噴霧している間、各流量計10、11により所定の冷却水量または潤滑液量が測定されると、制御装置18から弁体8または9に閉動作の信号が出力されて、冷却水または潤滑液の噴霧が終了する。これにより、冷却水または潤滑液の使用量を必要最低限に抑えることができ、鍛造金型の冷却及び鍛造金型への潤滑被膜の形成を無駄なく容易に達成することができる。
【0027】
しかも、本発明の第1〜第3の実施の形態に係る潤滑装置1、1a、1bでは、鍛造金型への冷却水の噴霧量、潤滑液の噴霧量及びエアの吹き付け時間等を自在に可変設定することができるので、鍛造金型の冷却に重点をおく熱間鍛造や鍛造金型への潤滑被膜の形成に重点をおく温間鍛造等の加工環境及び成形品の形状等の条件に合わせた最適な潤滑条件を自在に設定することができ、非常に有効である。
また、各弁体8、9の上流側の近接した位置に各流量計10、11を配置しているので、各弁体8、9から下流側に延びる管の膨張や潤滑液の圧縮等による圧力損失の影響を受けることがなく、噴射ノズル17からの冷却水または潤滑液の噴霧量を流量計11により正確に測定できる。
【0028】
なお、本発明の第1〜第3の実施の形態に係る潤滑装置1、1a、1bでは、エアコンプレッサ2からのエアの供給を停止させると共に、制御装置18により冷却水供給管5の弁体8だけを開動作させて、冷却水だけを冷却水加圧タンク4から圧送させることが可能であり、この形態の使用例として、鍛造金型を変更した時等、冷却水加圧タンク4からの冷却水によって混合部15や配管16内を洗浄する時に上述した形態を採用している。
また、本発明の第1〜第3の実施の形態に係る潤滑装置1、1a、1bでは、噴射ノズル17から噴霧される潤滑液の濃度を調整することができる。すなわち、エアコンプレッサ2からエアを圧送し、且つ制御装置18により各弁体8、9を全て開動作させて、エア・潤滑液・冷却水の3流体を混合させることにより、潤滑液を冷却水により所定濃度に希釈して、該潤滑液を噴射ノズル17から噴霧させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る鍛造金型の潤滑装置の模式図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施の形態に係る鍛造金型の潤滑装置の模式図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施の形態に係る鍛造金型の潤滑装置の模式図である。
【図4】図4は、従来の鍛造金型の潤滑装置の模式図である。
【符号の説明】
【0030】
1、1a、1b 潤滑装置,2 エアコンプレッサ(エア供給源),3 エア供給管,4 冷却水加圧タンク(冷却水供給源),5 冷却水供給管,6 潤滑液加圧タンク(潤滑液供給源),7 潤滑液供給管,8、9 弁体,10、11 流量計,15 混合部,16 配管,17 噴射ノズル,18 制御装置,20 3管集合体,21 液流動管,22 2管集合体

【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫

【識別番号】100093193
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 壽夫

【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫

【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫

【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫

【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏


【公開番号】 特開2008−766(P2008−766A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170430(P2006−170430)