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軸受用外輪の製造方法 - 特開2008−302402 | j-tokkyo
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【発明の名称】 軸受用外輪の製造方法
【発明者】 【氏名】小林 一登

【氏名】小山 寛

【要約】 【課題】外輪素材に割れや欠肉が生じるのを防止し、歩留まりの向上を図ることができる軸受用外輪の製造方法を提供する。

【解決手段】内周面の軸方向中央部に転動体の軌道溝14が形成されるとともに内周面の軸方向両端部に凹設された段部16にシール溝15が形成される軸受用外輪10の製造方法であって、外周面に所定の凹凸が形成されたマンドレル12を回転する円筒状の外輪素材11の内周面に押し付けて、外輪素材11を所定の径に拡径するとともに軌道溝14および段部16の概形を外輪素材11に形成するローリング成形工程を備え、外輪素材11に段部16の概形を形成するマンドレル12の段部形成用凸部19間の寸法よりも外輪素材11の軸方向寸法を短くして外輪素材11にローリング成形を施す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面の軸方向中央部に転動体の軌道溝が形成されるとともに内周面の軸方向両端部に凹設された段部にシール溝が形成される軸受用外輪の製造方法であって、
外周面に所定の凹凸が形成されたマンドレルを回転する円筒状の外輪素材の内周面に押し付けて、該外輪素材を所定の径に拡径するとともに前記軌道溝および前記段部の概形を該外輪素材に形成するローリング成形工程を備え、
前記外輪素材に前記段部の概形を形成する前記マンドレルの段部形成用凸部間の寸法よりも該外輪素材の軸方向寸法を短くして該外輪素材にローリング成形を施すことを特徴とする軸受用外輪の製造方法。
【請求項2】
前記成形工程は、前記段部形成用凸部を有する第1マンドレルを用いて前記外輪素材を所定の径に拡径するとともに前記段部の概形を該外輪素材に形成する第1ローリング成形工程と、該外輪素材に前記軌道溝の概形を形成する軌道溝形成用凸部を有する第2マンドレルを用いて該軌道溝の概形を該外輪素材に形成する第2ローリング成形工程と、を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の軸受用外輪の製造方法。
【請求項3】
前記第2ローリング成形工程において、前記外輪素材の外周を型で拘束することを特徴とする請求項2に記載の軸受用外輪の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受用外輪の製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸受用外輪を製造する際には、図4(A)〜(B)に示すように、熱間、温間または冷間鍛造により円筒状に成形された外輪素材1を、その内径側に配置されたマンドレル2と外径側に配置された成形ロール3とで径方向に局部的に挟み、外輪素材1を回転させながら外輪素材1の内周面にマンドレル2を押し付けて、所謂ローリング成形により外輪素材1を所定の径に拡径するとともに外輪素材1に軌道溝4の概形を形成している。その後、外輪素材1に、切削加工、研削加工、熱処理、等の仕上げ加工を施して製品として外輪を得ている。
【0003】
シール付の外輪の場合には、ローリング成形後に、図5に示すように、外輪素材1の内周面の軸方向両端部に切削加工を施して、シール装着用のシール溝5を形成している。尚、図5において、二点鎖線で示される輪郭はローリング成形後の外輪素材1の断面を示し、また、実線で示される輪郭は製品としての外輪の断面を示している。
【0004】
ここで、シール溝5は、外輪素材1の内周面の軸方向両端部に凹設された段部6に形成されるため、シール溝5を全て切削加工で形成すると、図5において破線で囲まれる切削取り代1aが多くなるため、歩留まりが悪く、また、切削コストが高くつき、さらには、リードタイムが長いという問題がある。
【0005】
このような問題を改善するため、例えば、図6(A)〜(C)に示すマンドレル7を用いた軸受用外輪の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図6(A)に示すように、マンドレル7には、外周面の軸方向中央部に軌道溝形成用凸部8が設けられており、シール溝5が形成される段部6を外輪素材1の内周面の軸方向両端部に凹設するための段部形成用凸部9が軌道溝形成用凸部8の両側に設けられている。
【0006】
このマンドレル7を用いたローリング成形によれば、外輪素材1を所定の径に拡径するとともに、外輪素材1の内周面の軸方向中央部に軌道溝4の概形を形成し、さらに、軸方向両端部に段部6の概形を形成することができる。それにより、シール溝5を形成する際の切削取り代を削減することができる。
【特許文献1】特開2006−181638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図6に示すマンドレル7では、段部形成用凸部9が軌道溝形成用凸部8より先に外輪素材1の内周面に接触している。図7を参照して、軌道溝形成用凸部8が外輪素材1の内周面に接触するまでのローリング成形工程の初期において、外輪素材1は段部形成用凸部9と成形ロール3との間で径方向に挟まれる外輪素材1の軸方向両端部の領域1b,1bのみに圧縮応力が作用した状態で拡径される。すなわち、外輪素材1の軸方向中央部の領域1cについては、圧縮応力が作用することなく、拡径に伴う引張応力のみが作用しており、割れが生じやすくなる。
【0008】
一方で、図8〜図10に示すように、軌道溝形成用凸部8が段部形成用凸部9より先に外輪素材1の内周面に接触するようにマンドレル7を構成した場合には、軌道溝形成用凸部8と段部形成用凸部9との間の凹部に材料が充填されにくくなる。それにより、図11に示すように、ローリング成形後の外輪素材1において軌道溝4の肩部分に欠肉が生じてしまい、製品として成り立たなくなる。
【0009】
本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、外輪素材に割れや欠肉が生じるのを防止し、歩留まりの向上を図ることができる軸受用外輪の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)内周面の軸方向中央部に転動体の軌道溝が形成されるとともに内周面の軸方向両端部に凹設された段部にシール溝が形成される軸受用外輪の製造方法であって、外周面に所定の凹凸が形成されたマンドレルを回転する円筒状の外輪素材の内周面に押し付けて、該外輪素材を所定の径に拡径するとともに前記軌道溝および前記段部の概形を該外輪素材に形成するローリング成形工程を備え、前記外輪素材に前記段部の概形を形成する前記マンドレルの段部形成用凸部間の寸法よりも該外輪素材の軸方向寸法を短くして該外輪素材にローリング成形を施すことを特徴とする軸受用外輪の製造方法。
(2)前記成形工程は、前記段部形成用凸部を有する第1マンドレルを用いて前記外輪素材を所定の径に拡径するとともに前記段部の概形を該外輪素材に形成する第1ローリング成形工程と、該外輪素材に前記軌道溝の概形を形成する軌道溝形成用凸部を有する第2マンドレルを用いて該軌道溝の概形を該外輪素材に形成する第2ローリング成形工程と、を含んでいることを特徴とする(1)に記載の軸受用外輪の製造方法。
(3)前記第2ローリング成形工程において、前記外輪素材の外周を型で拘束することを特徴とする(2)に記載の軸受用外輪の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の軸受用外輪の製造方法によれば、外輪素材の軸方向寸法をマンドレルの段部形成用凸部間の寸法より短くしている。それにより、ローリング成形工程の初期においても外輪素材の全体に圧縮応力を作用させることができ、外輪素材に割れや欠肉が生じるのを防止することができる。そして、シール溝が形成される段部の概形をローリング成形により形成するようにしているので、切削取り代を削減して歩留まりの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る軸受用外輪の製造方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
まず、図1および図2を参照して、本発明に係る軸受用外輪の製造方法の第1実施形態について説明する。図1は本発明に係る軸受用外輪の製造方法の第1実施形態を説明するための断面図、図2は図1に示す製造方法により得る外輪素材および外輪の断面図である。
【0014】
本実施形態の軸受用外輪の製造方法は、内周面の軸方向中央部に転動体の軌道溝14が形成されるとともに、内周面の軸方向両端部に凹設された段部16にシール装着用のシール溝15が形成される外輪10(図2参照)を得るものである。
【0015】
そして、本実施形態の軸受用外輪の製造方法は、図1に示すように、熱間、温間、または冷間鍛造により円筒状に成形された外輪素材11を、その内径側に配置されたマンドレル12と外径側に配置された成形ロール13とで径方向に局部的に挟み、成形ロール13を回転駆動して外輪素材11を回転させながら、外輪素材11の内周面にマンドレル12を押し付けて、外輪素材11を所定の径に拡径するとともに軌道溝14および段部16の概形を外輪素材11に形成するローリング成形工程を備えている。
【0016】
マンドレル12の外周面には、図1(A)に示すように、その軸方向中央部に全周にわたって軌道溝形成用凸部18が設けられており、また、シール溝15が形成される段部16を外輪素材11の内周面の軸方向両端部に凹設するための段部形成用凸部19が軌道溝形成用凸部18の両側に全周にわたって設けられている。
【0017】
図1(A)〜(D)に順次示すように、マンドレル12を用いたローリング成形により、外輪素材11を所定の径に次第に拡径するとともに、その内周面に軌道溝14および段部16の概形を形成する。そして、図2を参照して、ローリング成形が施された外輪素材11に対して切削加工等の仕上げ加工を施し、軌道溝14および段部16を形成し、そして段部16にシール溝15を形成して、外輪10を得る。
【0018】
このように、シール溝15が形成される段部16の概形をローリング成形により形成するようにしているので、切削取り代を削減して歩留まりの向上を図ることができる。
【0019】
そして、図1(A)に示すように、ローリン成形が施される前の外輪素材11は、その軸方向寸法がマンドレル12の段部形成用凸部19,19間の寸法より短くなるように形成されており、図1(A)から図1(B)に示すローリング成形工程の初期において、外輪素材11はマンドレル12の段部形成用凸部19に接触していない。そのため、軌道溝形成用凸部18に押圧されて周囲に押しのけられた外輪素材11の材料は、図1(B)に示すように、軌道溝形成用凸部18と段部形成用凸部19との間の凹部20に充填されていく。
【0020】
このように、外輪素材11の材料が凹部20に充填されることにより、外輪素材11の全体に圧縮応力が作用するようになる。それにより、外輪素材11に割れが生じることを防止することができ、ローリング成形工程における外輪素材11の拡径率を大きくすることができる。
【0021】
さらに、外輪素材11の材料が凹部20に充填されることにより、ローリング成形後の外輪素材11に欠肉が生じるのを防止することができる。
【0022】
次に、図3を参照して、本発明に係る軸受用外輪の製造方法の第2実施形態について説明する。図3は、本発明に係る軸受用外輪の製造方法の第2実施形態を説明するための断面図である。
【0023】
本実施形態の軸受用外輪の製造方法は、内周面の軸方向中央部に転動体の軌道溝14が形成されるとともに、内周面の軸方向両端部に凹設された段部16にシール装着用のシール溝15が形成された外輪10(図2参照)を得るものである。
【0024】
そして、本実施形態の軸受用外輪の製造方法は、図3(A)〜(B)に示すように、熱間、温間、または冷間鍛造により円筒状に成形された外輪素材11を、その内径側に配置された第1マンドレル22と外径側に配置された成形ロール23とで径方向に局部的に挟み、成形ロール23を回転駆動して外輪素材11を回転させながら、外輪素材11の内周面に第1マンドレル22を押し付けて、外輪素材11を所定の径に拡径するとともに段部16の概形を外輪素材11に形成する第1ローリング成形工程と、図3(C)〜(D)に示すように、第1ローリング成形工程を経た外輪素材11を、その内径側に配置された第2マンドレル32と外径側に配置された成形ロール33とで径方向に局部的に挟み、成形ロール33を回転駆動して外輪素材11を回転させながら、外輪素材11の内周面に第2マンドレル32を押し付けて、軌道溝14およびシール溝15の概形を形成する第2ローリング成形工程と、を含んでいる。
【0025】
第1マンドレル22の外周面には、図3(A)に示すように、シール溝15が形成される段部16を外輪素材11の内周面の軸方向両端部に凹設するための段部形成用凸部29が軸方向両端部に全周にわたって設けられている。
【0026】
図3(A)〜(B)に順次示すように、第1マンドレル22を用いたローリング成形により、外輪素材11を所定の径に次第に拡径するとともに、その内周面に段部16の概形を形成する。
【0027】
このように、シール溝15が形成される段部16の概形をローリング成形により形成するようにしているので、切削取り代を削減して歩留まりの向上を図ることができる。
【0028】
そして、図3(A)に示すように、第1ローリン成形が施される前の外輪素材11は、その軸方向寸法がマンドレル22の段部形成用凸部29,29間の寸法より短くなるように形成されており、図3(A)から図3(B)に示すローリング成形工程の初期においても、外輪素材11の全体に圧縮応力が作用するようになる。それにより、外輪素材11に割れが生じることを防止することができ、ローリング成形工程における外輪素材11の拡径率を大きくすることができる。
【0029】
第2マンドレル32の外周面には、図3(C)に示すように、その軸方向中央部に全周にわたって軌道溝形成用凸部38が設けられており、また、外輪素材11の内周面の軸方向両端部に概ね形成された段部16に整合する段部整形用凸部39が軌道溝形成用凸部18の両側に全周にわたって設けられている。そして、この段部整形用凸部39には、シール溝15の概形を形成するためのシール溝形成用凸部39aが全周にわたって設けられている。
【0030】
図3(C)〜(D)に順次示すように、第2マンドレル32を用いたローリング成形により、外輪素材11の内周面に軌道溝14およびシール溝15の概形を形成する。このとき、円筒状の型34に外輪素材11を挿嵌して外輪素材11の外周を拘束しており、それにより、外輪素材11が拡径することを規制するようにしている。そして、図2を参照して、ローリング成形が施された外輪素材11に対して切削加工等の仕上げ加工を施し、軌道溝14および段部16を形成し、そして段部16にシール溝15を形成して、外輪10を得る。
【0031】
このように、シール溝15の概形をローリング成形により形成するようにしているので、切削取り代をさらに削減して歩留まりの向上を図ることができる。
【0032】
さらに、外輪素材11の拡径と、軌道溝14およびシール溝15の概形の形成とで、ローリング成形を2工程に分けており、軌道溝14およびシール溝15の概形を形成する第2ローリング成形工程では第2マンドレル32の押し込みによる成形量が少なく、安定した加工が可能となる。
【0033】
さらに、第2ローリング成形工程では外輪素材11の拡径を伴わないため、第2マンドレル32の外径を大きくすることができ、第2マンドレル32の剛性を向上させることができる。それにより、外輪素材11の寸法精度が安定し、また、第2マンドレル32の寿命も向上する。
【0034】
さらに、外輪素材11の外周を型34で拘束した状態で軌道溝14およびシール溝15の概形を形成することにより、外輪素材11の寸法精度を高めることができ、ローリング成形後の切削加工等の仕上げ加工の工程の削減が可能となる。それにより、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0035】
なお、本発明は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る軸受用外輪の製造方法の第1実施形態を説明するための断面図である。
【図2】図1に示す製造方法により得る外輪素材および外輪の断面図である。
【図3】本発明に係る軸受用外輪の製造方法の第2実施形態を説明するための断面図である。
【図4】従来の軸受用外輪の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】図4に示す軸受用外輪の製造方法の問題点を説明するための要部断面図である。
【図6】従来の他の軸受用外輪の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】図6に示す軸受用外輪の製造方法の問題点を説明するための要部断面図である。
【図8】軌道溝成形部が装着溝成形部より先に外輪素材の内周面に接触するマンドレルを用いてローリング成形を行う例を説明するための断面図である。
【図9】図8のIX部拡大断面図である。
【図10】図8のX部拡大断面図である。
【図11】図8に示す軸受用外輪の製造方法の問題点を説明するための要部断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 外輪
11 外輪素材
12 マンドレル
14 軌道溝
15 シール溝
16 段部
18 軌道溝形成用凸部
19 段部形成用凸部
22 第1マンドレル
29 段部形成用凸部
32 第2マンドレル
38 軌道溝形成用凸部
39a シール溝形成用凸部
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成19年6月8日(2007.6.8)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平

【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳

【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光


【公開番号】 特開2008−302402(P2008−302402A)
【公開日】 平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願番号】 特願2007−153127(P2007−153127)