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【発明の名称】 管体の加工方法、シリンダ装置の製造方法及びシリンダ装置
【発明者】 【氏名】美濃口 一範

【要約】 【課題】切削加工に頼ることなくかつ外径の縮小を伴うことなく管の端部を高精度にかつ安定して薄肉化できる加工方法を提供する。

【解決手段】素管10の基端部をチャックユニット20のチャック21に保持させた後、素管10の端部に、先端側を段付形状としたマンドレル11を圧入して、管端部を拡管させる。その後、(d)チャックユニット20により素管10をマンドレル11と共に回転させながら、該管端部の外周面に一対のローラダイス22を押付け、続いて、(d)一対のローラダイス22を素管10に沿って平行移動させ、ローラダイス22とマンドレル11とで回転しごき加工を行って管端部の肉厚を減じ、(f)素管10の外径を維持しつつ、内面を前記マンドレル11の多段の成形部に倣う多段形状に仕上げる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機能を有するチャックユニットに素管の一部を保持させた状態で該素管の端部にマンドレルを圧入して管端部を拡管させる拡管工程と、前記チャックユニットにより素管をマンドレルと共に回転させながら、前記管端部の外周面にローラダイスを押付けてこれを前記素管の軸方向に相対移動させ、該管端部の内周面を前記マンドレルの外形に沿った形状に変形させる回転しごき加工工程とを含むことを特徴とする管体の加工方法。
【請求項2】
前記回転しごき加工工程において、前記管端部の肉厚を減じることを特徴とする請求項1に記載の管体の加工方法。
【請求項3】
前記回転しごき加工工程において、前記管端部の外径が素管の外径と同じ寸法となるまで該管端部の肉厚を減じることを特徴とする請求項2に記載の管体の加工方法。
【請求項4】
前記回転しごき加工工程において、前記ローラダイスを前記素管の前記管端部に向けて軸方向に相対移動させることを特徴とする請求項2または3に記載の管体の加工方法。
【請求項5】
前記マンドレルは、前記素管に圧入される圧入部と、圧入部より大径で、前記回転しごき加工工程後に前記素管の端部と当接する当接部とからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の管体の加工方法。
【請求項6】
前記当接部は、圧入部から離れるに従い拡径する拡径部となっていることを特徴とする請求項5に記載の管体の加工方法。
【請求項7】
前記回転しごき加工工程の後に、前記管端部の駄肉を切断する端部切断工程を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の管体の加工方法。
【請求項8】
前記マンドレルの前記素管に圧入される圧入部の形状を、該マンドレルの挿入端より徐々に大きくなる少なくとも2段以上の多段形状としたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の管体の加工方法。
【請求項9】
前記マンドレルを挿入する前に前記素管の端部の外形を減径させる減径工程を追加したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の管体の加工方法。
【請求項10】
前記回転しごき加工工程の後に、前記素管の端部の外周を切削する切削工程を追加したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の管体の加工方法。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の管体の加工方法によりシリンダを製造する工程と、該シリンダ内にピストン、ピストンロッドおよびロッドガイドを含む内装部品を組付ける組付け工程と、前記シリンダの端部をカールすることにより前記内装部品を抜止めするカール工程とからなることを特徴とするシリンダ装置の製造方法。
【請求項12】
少なくともシリンダの一端から出入りするロッドを有するシリンダ装置において、前記シリンダとして、素管の端部にマンドレルを圧入し、ローラダイスを押付けて該素管の管端部の内周面をマンドレルの外周面に沿って変形させた管体が用いられ、該シリンダの端部には、前記ロッドを支持するロッドガイドが挿入され、該ロッドガイドは、前記管体の端部をカールしてなるカール部により該シリンダから抜止めされていることを特徴とするシリンダ装置。
【請求項13】
少なくともシリンダの一端から出入りするロッドを有するシリンダ装置において、前記シリンダの一端部は、素管からの肉厚減少率が50%以下となっており、該シリンダの一端部には前記ロッドを支持するロッドガイドが挿入され、該ロッドガイドは、シリンダの一端部をカールしてなるカール部により該シリンダから抜止めされていることを特徴とするシリンダ装置。
【請求項14】
前記カール部は、全周をカールする全周カール部としたことを特徴とする請求項12または13に記載のシリンダ装置。
【請求項15】
自動車用サスペンションストラットに用いられるショックアブソーバであることを特徴とする請求項13に記載のシリンダ装置。
【請求項16】
素管の一部を回転機能を有するチャックユニットに保持させる保持工程と、前記チャックユニットに保持された素管の端部にマンドレルを圧入して管端部を拡管させる拡管工程と、前記チャックユニットにより素管をマンドレルと共に回転させながら、該管端部の外周面にローラダイスを押付けてこれを平行移動させ、前記管端部の肉厚を減じる回転しごき加工工程とを含むことを特徴とする管体の加工方法。
【請求項17】
回転しごき加工工程において、管端部の外径が素管の外径と同じ寸法となるまで該管端部の肉厚を減じることを特徴とする請求項9に記載の管体の加工方法。
【請求項18】
管の端部にマンドレルを圧入し、ローラダイスを押付けて外径が素管の外径と同じ寸法となるように管端部の肉厚を減少させたシリンダと、該シリンダの端部に挿入されるロッドガイドおよびシールからなる密封手段と、前記管端部をカールすることにより前記密封手段を前記管端部から抜止めする全周カール部とからなることを特徴とするシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、管体の端部を塑性加工により薄肉化して所定の寸法形状に仕上げる管体の加工方法、該加工方法を利用したシリンダ装置の製造方法およびシリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複筒式の油圧緩衝器(ショックアブソーバ)は、図11、12に示すように、ピストン8を摺動可能に内装した内筒1を有底の外筒2内に納め、前記ピストン8に一端が連結されたピストンロッド3の他端部を、内筒1および外筒2の開口端部に共通に装着したロッドガイド4とオイルシール5とを挿通して外部へ延ばし、ピストンロッド3の伸縮動に伴ってピストンバルブPVおよびボトムバルブBVを流通する油液の流動抵抗により減衰力を発生すると共に、ピストンロッド3の進入、退出分の油液を内筒1と外筒2との間のリザーバ6で補償する構造となっている。
【0003】
このような油圧緩衝器において、上記ロッドガイド4とオイルシール5とは、外筒2の開口端部内に嵌合された状態で、外筒2の端部を内側に折り曲げた曲げ片2aにより抜止めされている。また、外筒2の端部には、その外径側に圧入した状態で、バンプラバー9を受止めるキャップ7が装着され、該キャップ7は、その内底側に設けた複数(例えば、3個)の突起部7aを前記曲げ片2aに当接させて軸方向に位置固定されている。
【0004】
すなわち、この種の油圧緩衝器を構成する外筒2の端部は、その内径側がロッドガイド4およびオイルシール5の嵌合部として、その外径側がキャップ10の圧入部としてそれぞれ供されており、このため、その内径および外径の寸法はもとより、同心度、真円度等に高精度が要求される。また、組付けに際してオイルシール5に傷を付けないように該端部の内面は良好な面粗度を有していることが必要になる。さらに、曲げ片2aの曲げ加工を円滑に行うには、外筒2の端部の肉厚ができるだけ薄いことが望ましく、特に、ストラット式サスペンション用の油圧緩衝器の場合は、外筒2がかなりの厚肉となるため、その端部の薄肉化が絶対的に必要となる。
【0005】
しかるに、外筒2の外径側は、上記したようにキャップ7の圧入部となっていることから、所定の外径寸法を確保する必要があり、このため、ストラット式サスペンション用の油圧緩衝器については、通常、外筒2の端部側の内面を切削加工により多段に拡径して端部の薄肉化を図っていた。具体的には、同じく図12に示されるように、一般部よりわずか内径の大きい第1の拡径部2Aとこの第1の拡径部2Aよりわずか内径の大きい第2の拡径部2Bとを連続に形成し、第1拡径部2Aを上記ロッドガイド4の嵌合部として、第2の拡径部2Bを上記オイルシール5の嵌合部としてそれぞれ供するようにしていた。
【0006】
しかし、切削加工により端部加工を行う従来一般の方法によれば、精密加工を必要とするため、切削加工そのものに多くの工数と時間がかかり、加工コストの上昇が避けられないという問題があった。また、切削加工により生じた切粉やバリが内面に付着して、これらが異物(コンタミネーション)として油圧緩衝器内に入り込む虞もあった。なお、外筒2の端部を多段形状に仕上げるのは、薄肉化による強度低下をできるだけ抑えるためである。
【0007】
そこで、上記外筒2の端部を塑性加工により仕上げることが種々検討されており、例えば、特許文献1には、素管にマンドレルを挿入し、ダイにより平行スエージ加工を行って素管の端部を前記マンドレルに密着させる加工方法が記載されている。このような加工方法によれば、平行スエージ加工によりマンドレルとダイとの間で素管の端部を絞りながらしごき加工するので、優れた寸法形状精度および良好な面粗度を確保しながら端部の薄肉化を図ることができるようになる。
【0008】
【特許文献1】特開2003-225725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の加工方法によれば、一回の平行スエージ加工で所定の減面率を確保する必要があるため、上記したストラット式サスペンション用の油圧緩衝器のごとき厚肉の外筒(管体)を対象に所望の減面率を確保しようとすると、平行スエージ加工に必要な成形力が素管の座屈荷重を超えてしまい、実質成形不能の事態に陥る虞がある。また、素管の端部を絞りながらしごき加工するので、外筒2の端部の外径が小さくなり、前記キャップ7など、これに圧入あるいは外嵌される外装部品の設計変更が避けられない、という問題もある。
【0010】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、管体の内周面の加工に切粉やバリが発生する切削加工に頼ることなく管体の端部を高精度に加工する加工方法、該加工方法を用いたシリンダ装置の製造方法およびシリンダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る管体の加工方法は回転機能を有するチャックユニットに素管の一部を保持させた状態で該素管の端部にマンドレルを圧入して管端部を拡管させる拡管工程と、前記チャックユニットにより素管をマンドレルと共に回転させながら、前記管端部の外周面にローラダイスを押付けてこれを前記素管の軸方向に相対移動させ、該管端部の内周面を前記マンドレルの外形に沿った形状を変形させる回転しごき加工工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るシリンダ装置の製造方法は、上記の管体の加工方法によりシリンダを製造する工程と、該シリンダ内にピストン、ピストンロッドおよびロッドガイドを含む内装部品を組付ける組付け工程と、前記シリンダの端部をカールすることにより前記内装部品を抜止めするカール工程とからなることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係るシリンダ装置の一つは、少なくともシリンダの一端から出入りするロッドを有するシリンダ装置において、前記シリンダとして、素管の端部にマンドレルを圧入し、ローラダイスを押付けて該素管の管端部の内周面をマンドレルの外周面に沿って変形させた管体が用いられ、該シリンダの端部には、前記ロッドを支持するロッドガイドが挿入され、該ロッドガイドは、前記管体の端部をカールしてなるカール部により該シリンダから抜止めされていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るシリンダ装置の他の一つは、少なくともシリンダの一端から出入りするロッドを有するシリンダ装置において、前記シリンダの一端部は、素管からの肉厚減少率が50%以下となっており、該シリンダの一端部には前記ロッドを支持するロッドガイドが挿入され、該ロッドガイドは、シリンダの一端部をカールしてなるカール部により該シリンダから抜止めされていることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の管体の加工方法は、素管の一部を回転機能を有するチャックユニットに保持させる保持工程と、前記チャックユニットに保持された素管の端部にマンドレルを圧入して管端部を拡管させる拡管工程と、前記チャックユニットにより素管をマンドレルと共に回転させながら、該管端部の外周面にローラダイスを押付けてこれを平行移動させ、前記管端部の肉厚を減じる回転しごき加工工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のシリンダ装置は、管の端部にマンドレルを圧入し、ローラダイスを押付けて外径が素管の外径と同じ寸法となるように管端部の肉厚を減少させたシリンダと、該シリンダの端部に挿入されるロッドガイドおよびシールからなる密封手段と、前記管端部をカールすることにより前記密封手段を前記管端部から抜止めする全周カール部とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る管体の加工方法、シリンダ装置の製造方法及びシリンダ装置によれば、管体の内周面の加工に際し、切粉やバリが発生する切削加工に頼ることなく高精度のシリンダ等の管体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1〜3は、本発明の第1の実施の形態としての管体の加工方法を、順を追って示したものである。本第1の実施の形態は、前記図11、12に示した油圧緩衝器の外筒2(管体)の端部を塑性加工により薄肉化して所定の寸法形状に仕上げようとするもので、仕上加工後の外筒2の端部には、図4に示すように、前記ロッドガイド4の嵌合部である第1の拡径部2Aと前記オイルシール5の嵌合部である第2の拡径部2Bとが連続に形成され、さらに開口端の内縁には面取り形状のテーパ面2Cが形成される。前記したように第1の拡径部2Aの内径dAは一般部の内径d0よりもわずか大きく、また、第2の拡径部2Bの内径dBは第1の拡径部2Aの内径dAよりもわずか大きくなっている。一方、外筒2の端部の外径は、その一般部の外径と同じになっており、したがって、第1の拡径部2Aの肉厚は一般部の肉厚よりも薄肉に、第2の拡径部2Bの肉厚は第1の拡径部2Aの肉厚よりも薄肉にそれぞれなっている。
【0020】
本加工方法においては、図1に示すように、予め外筒2の一般部と同じ内・外径を有する素管10と、該素管10の端部に圧入可能なマンドレル11とを用意する。ここで用意する素管10の種類は任意であり、シームレス管であっても溶接管であってもよい。なお、溶接管として電縫管を用いる場合は、製造時のビードカットにより外周面は平滑となっているが、その内周面には溶接ビード(溶接部)が凸状ビードまたは凹状ビードとして存在している。
【0021】
マンドレル11は、図3によく示されるように、最先端側を最小径部12として、この最小径部12と基端側の大径部13との間に、前記外筒2における第1の拡径部2Aの内径dAと同径をなす第1の成形部14と、前記第2の拡径部2Bの内径dBと同径をなす第2の成形部15と、前記テーパ面2Cと同形状のテーパ成形部16とを連続に配列した形状となっている。マンドレル11の最小径部12は素管10の内径よりわずか小さな外径を有しており、また、その大径部13は素管10の外径とほぼ同じ外径を有している。 また、テーパ成形部16と大径部13の間には、マンドレル11を素管10内に圧入した際に素管10の端部が当接すると当接部13Aが形成されている。
【0022】
本加工方法の実施に際しては、先ず、図1(a)に示すように、上記素管10の基端部を、回転しごき加工装置内のチャックユニット20のチャック21に、上記マンドレル11を前記チャックユニット20に対して進退動可能な加圧機構(図示略)にそれぞれ支持させる。したがって、この(a)に示す過程は本発明における保持工程となる。回転しごき加工装置は、チャック21に保持された素管10を挟んで対向配置された、回転可能な一対のローラダイス22を備えている。一対のローラダイス22は、相互に接近離間する方向へ相対移動可能にかつ素管10に沿って平行移動可能に、図示を略す駆動手段に支持されている。このローラダイス22は、特に駆動装置が設けられておらず、素管10の回転によって、素管との摩擦によって回転する。なお、積極的にローラダイス22に回転駆動装置を設けて回転させてもよい。
【0023】
次に、図1(b)に示すように、チャック21に保持された素管10の端部(管端部)にマンドレル11を圧入する。マンドレル11の圧入は、その大径部13の端面(ショルダー(当接部13A))が、しごき加工後に素管10が延びることを考慮した位置まで(端面と素管10の先端との間に若干の隙間をもつ位置まで)行い、これにより素管10の端部は、マンドレル11の第1、第2の成形部14、15に倣って段付き形状に拡管する。したがって、この(b)に示す過程は本発明における拡管工程となる。
【0024】
その後、図1(c)に示すように、チャックユニット20の作動により素管10を所定の速度で回転させ、続いて、図2(d)に示すように、一対のローラダイス22を相互に接近する方向へ相対移動させ、上記のごとくマンドレル11に倣って段付き形状に変形した素管10の拡管部分に隣接する箇所(非拡管部)にローラダイス22を接触させる。この接触により各ローラダイス22が、回転している素管10の外周面上を転動する。次に、図2(e)に示すように、一対のローラダイス22を素管10の管端側へ平行移動させる。すると、一対のローラダイス22とマンドレル11との協働により管端部がしごき加工される。そして、このしごき加工により管端部の外周面が素管10の外周面と面一となるように平滑に均され、これと同時に管端部の肉厚が減じる。一方、管端部の内面は、マンドレル11の先端側の段付き形状に倣って多段形状に仕上げられる。したがって、この(c)〜(e)の一連の過程は本発明における回転しごき加工工程となる。
【0025】
一対のローラダイス22は、マンドレル11の大径部13上に至って移動停止し、その後は、図2(f)に示すようにマンドレル11を素管10から引抜くと共に、一対のローラダイス22を相互に離間する方向へ後退させ、これにて一連の端部加工は終了する。
【0026】
このように完成した外筒2は、前出図4に示したように、その端部内面が第1の拡径部2A、第2の拡径部2Bおよびテーパ面2Cを連続に有する所望の段付形状に仕上げられ、かつ内面粗度も良好となる。したがって、外筒2の端部に対するロッドガイド4およびオイルシール5の嵌合組付けを円滑に行うことができる。
以下に、ロッドガイド4等を組付ける組付け工程及び最終のカール工程を図5に基いて説明する。
【0027】
まず、外筒2にボトムバルブBV(図11)をサブアセンブリした内筒1を挿入し、その後、この内筒1内にピストン8及びピストンバルブPV(図11)が取り付けられたピストンロッド3を挿入する。次に、このピストンロッド3に嵌め合わせるように、各種シールやガイドブッシュがサブアッセンブリされたロッドガイド4を挿入し、さらに、オイルシール5を挿入する((A)組付け工程)。この際に必用に応じて、オイルやガスを封入する。
【0028】
次に、外筒2の先端にローラ30を押し当ててながら、外筒2を回転させて、全周カールを行なう((B)カール工程)。なお、カール工程は、図示する方法でなくとも、外筒2の端面に傾斜したダイを回転させて押付ける揺動カール等全周をカールする工程、または、周方向に4点程度部分的にカシメルことにより、部分カール部を設ける工程であってもよく、ロッドガイド4などの部品が抜けないように、外筒2の端部を内側に曲げるものであればよい。この場合、第2の拡径部2Bはかなり薄肉化しており、組織の緻密化により硬化するが、カール加工が容易に行なえる。特に、揺動カールにおいては、第2の拡径部2Bはかなり薄肉化しており、組織の緻密化により硬化するが、管の端面に傾斜したダイを回転させて押付けるいわゆる揺動カールを全周にわたって行うことにより、硬化した部分を軸方につぶしながら全周カールを行うことで、ひび割れ等することなく、前記曲げ片2a(図6)の曲げ加工を簡単かつ円滑に行うことができる。
【0029】
ここで、通常の自動車用のショックアブソーバ(シリンダ装置)においては、肉厚が2.5mm〜3.5mm程度の管が用いられており、このような管において、シリンダの厚みの減少率を30%以上として、その後、全周を揺動カールすることにより、ひび割れなく高い強度を得ることができ、一般的に自動車用のショックアブソーバにおいて必要とされるロッドガイドやシールからなる密封手段の抜け力である25kNを上回る抜け力を得ることができる。
【0030】
また、肉厚が2.5mmで減少率を35%とした場合42kNの抜け力が得られ、肉厚が2.9mmで減少率を41%とした場合60kNの抜け力が得られ、肉厚が3.2mmで減少率を47%とした場合65kNの抜け力が得られることが、実験により検証された。なお、減少率をあまり大きくすると、素材が硬化しすぎ亀裂が発生する可能性があるので、減少率を50%程度が上限である。
【0031】
さらに、ロッドガイド4の嵌合部である第1の拡径部2Aには、十分なる肉厚が確保されているので、強度低下はわずかとなり、外筒2に対する強度的な不安はない。一方、外径側は、素管10の外周面と面一に仕上げられているので、従来のキャップ7(図12)をそのまま用いることが可能になる。また、前記回転しごき加工によって溶接ビードが平坦に押し潰されるので、素管10として溶接管を使用しても品質的な問題は発生せず、価格の安い溶接管の使用が可能になる分、製造コストが低減する。
【0032】
なお、上記第1の実施形態においては、直径の異なる第1の成形部14と第2の成形部15とを2段に有するマンドレル11を用いたが、マンドレル11の先端部の段数は任意であり、より薄肉の管を対象にする場合は1段とすることでき、より厚肉の管を対象にする場合は3段以上とすることができる。
【0033】
また、上記実施形態においては、対向配置した一対のローラダイス22により回転しごき加工を行うようにしたが、このローラダイス22の設置数も任意であり、3つ以上とすることができる。ただし、3つ以上のローラダイス22を用いる場合は、これらを素管10の周回り方向に等分に配置する。また、本発明は、このローラダイスに代えて、遊星ボールダイを使用することも可能である。
【0034】
さらに、上記第1の実施の形態では、ローラダイス22を移動させる例を示したが、これに限らず、ローラダイス22を軸方向に移動させず、素管を移動させてもよい。
【0035】
また、上記第1の実施の形態では、ローラダイス22の回転軸を径方向に移動させず軸方向に移動させ、素管10の内径をマンドレル11に沿った形状に加工すると共に、外径を一定にする例を示したが、これに限らず、例えば、図6に1点鎖線で示すように、ローラダイス22をマンドレル11に沿って軸方向及び径方向に移動させ、管の厚みの減少率を低くしてもよい。このように、径方向の移動量を調整することで、管の厚みの減少率を調整することが可能となる。
【0036】
また、このような管の厚みの減少率を低くした場合に、外径を一定にした場合は、外周を切削加工してもよい(切削工程)。この場合、マンドレルを挿入したまま、後述の図10と同様のバイト23を相対的に移動させればよい。
【0037】
また、管の厚みの減少率を低く抑える方法としては、図7に示すように外筒2(管体)の端部40の外周を事前に切削加工して外径を小さくした後(減径工程)に、上記第1の実施形態と同様の加工を行なうことも考えられる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態としての管体の加工方法を図8〜10に基いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成には同一符号を付し、説明は省略する。本第2の実施の形態では、図8に示すように、第1の実施の形態のテーパ成形部16と当接部13Aをなだらかな傾斜面でつないだ拡径部16Aとしている。
【0039】
本加工方法の実施に際しては、先ず、図1(a)と同様に、上記素管10の基端部を、回転しごき加工装置内のチャックユニット20のチャック21に、上記マンドレル11を前記チャックユニット20に対して進退動可能な加圧機構(図示略)にそれぞれ支持させる。したがって、この(a)に示す過程は本発明における保持工程となる。回転しごき加工装置は、チャック21に保持された素管10を挟んで対向配置された、回転可能な一対のローラダイス22を備えている。一対のローラダイス22は、相互に接近離間する方向へ相対移動可能にかつ素管10に沿って平行移動可能に、図示を略す駆動手段に支持されている。このローラダイス22は、特に駆動装置が設けられておらず、素管10の回転によって、素管との摩擦によって回転する。なお、積極的にローラダイス22に回転駆動装置を設けて回転させてもよい。
【0040】
次に、図9(c)´に示すように、チャック21に保持された素管10の端部(管端部)にマンドレル11を圧入する。マンドレル11の圧入は、その拡径部16A(当接部13A)に素管10の端部が当接する位置まで行い、マンドレル11の第1、第2の成形部14、15に倣って段付き形状に拡管する拡管工程となる。続いて、同図に示すように、チャックユニット20の作動により素管10を所定の速度で回転させる。
【0041】
その後、図9(e)´に示すように、一対のローラダイス22を相互に接近する方向へ相対移動させ、上記のごとくマンドレル11に倣って段付き形状に変形した素管10の拡管部分に隣接する箇所(非拡管部)にローラダイス22を接触させる。この接触により各ローラダイス22が、回転している素管10の外周面上を転動させて、一対のローラダイス22を素管10の管端側へ平行移動させる。すると、一対のローラダイス22とマンドレル11との協働により管端部がしごき加工される。そして、このしごき加工により管端部の外周面が素管10の外周面と面一となるように平滑に均され、これと同時に管端部の肉厚が減じる。一方、管端部の内面は、マンドレル11の先端側の段付き形状に倣って多段形状に仕上げられる。したがって、この(c)´〜(e)´の一連の過程は本発明における回転しごき加工工程となる。このとき、本第2の実施の形態では、素管の先端(図中右端)が、拡径部16Aに沿って延び、薄い駄肉部24を形成する。
【0042】
そして、図10に示す(g)では、バイト23を径方向外側から素管10にと当接させ、薄い駄肉部24を切断する(端部切断工程)。この結果、同図(h)に示すように、その端部内面が第1の拡径部2A、第2の拡径部2Bおよびテーパ面2Cを連続に有する所望の段付形状に仕上げられる。その他の工程は、第1の実施の形態と同様である。
【0043】
本第2の実施の形態においては、安価な溶接管を用いた場合、成型部のボリュームにばらつきがあり、第1の実施の形態の方法では、端部がうまく加工できないケースが考えられるが、本第2の実施の形態では、ボリュームの異なる素管であっても、駄肉部24を切削することで、調整できるので、精度の低い素管でも利用可能である。その他の作用効果は、上記第1の実施の形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施の形態としての管体の加工方法を順を追って示したもので、(a)は素管をチャックユニットに保持させる保持工程を示す断面図、(b)は素管の端部にマンドレルを圧入する拡管工程を示す断面図、(c)は、回転しごき加工工程の初期準備段階を示す断面図である。
【図2】図1に示した工程以降の工程を示したもので、(d)は、回転しごき加工工程の初期段階を示す断面図、(e)は、回転しごき加工工程の最終段階を示す断面図、(f)は、全工程の最終段階を示す断面図である。
【図3】本発明で用いるマンドレルの形状を示す側面図である。
【図4】本発明による仕上加工後の管の形状を示す断面図である。
【図5】本発明のシリンダ装置の組立て工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の変形例の回転しごき加工工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の変形例の素管の要部断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態で用いるマンドレルの形状を示す側面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態としての管体の加工方法を順を追って示したもので、(c)´は、回転しごき加工工程の初期準備段階を示す断面図、(e)´は、回転しごき加工工程の最終段階を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態としての管体の加工方法を順を追って示したもので、(g)は、回転しごき加工工程終了後にマンドレルを抜き端部切断工程初期準備段階を示す断面図、(h)は、端部切断工程の終了直後を示す断面図である。
【図11】本発明の加工対象である外筒を装備した油圧緩衝器の全体構造を示す断面図である。
【図12】図11に示した油圧緩衝器の要部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
2 油圧緩衝器の外筒(管体)
3 ピストンロッド
4 ロッドガイド
5 オイルシール
10 素管
11 マンドレル
14 第1の成形部
15 第2の成形部
20 チャックユニット
22 ローラダイ
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成20年2月20日(2008.2.20)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫


【公開番号】 特開2008−272828(P2008−272828A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2008−38918(P2008−38918)