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はすば状突起含有転造物の製造方法 - 特開2008−238215 | j-tokkyo
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【発明の名称】 はすば状突起含有転造物の製造方法
【発明者】 【氏名】飯沼 和久

【氏名】永田 英理

【要約】 【課題】歯すじ方向に沿ったうねりを低減させることができるはすば状突起含有転造物の製造方法を提供する。

【解決手段】素材ワークを荒転造した後に仕上転造する。荒転造加工領域22において、素材ワークに噛み合う荒転造用工具歯20の歯数の多い部分の歯数をNrough-largeとし、素材ワーク1に噛み合う荒転造用工具歯20の歯数の少ない部分の歯数をNrough-smallとする。仕上転造加工領域において、荒ワークに噛み合う仕上転造用工具歯30の歯数の多い部分の歯数をNfinish-largeとし、荒ワーク4に噛み合う仕上転造用工具歯の歯数の少ない部分の歯数をNfinish-smallとする。荒転造加工領域22における歯数Nrough-largeの領域に対して、仕上転造加工領域において歯数Nfinish-smallの領域を噛み合わせ、且つ、荒転造加工領域22における歯数Nrough-smallの領域に対して、仕上転造加工領域において歯数Nfinish-largeの領域を噛み合わせて創成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はすば状をなす荒転造突起を形成するための荒転造用工具歯をもつ荒転造加工領域と、はすば状をなす仕上転造突起を形成するための仕上転造用工具歯をもつ仕上転造加工領域とを有する転造用工具とを準備する準備工程と、
丸棒状をなす素材ワークに対して前記荒転造用工具歯により荒転造し、はすば状をなすと共に歯すじ方向に沿ってうねりを有する荒転造突起を備える荒ワークを形成する荒転造工程と、
前記荒ワークの前記荒転造突起に対して前記仕上転造用工具歯により仕上転造し、はすば状をなす仕上転造突起を有する仕上転造品を形成する仕上転造工程とを実施し、
前記荒転造加工領域において、前記素材ワークに噛み合う前記荒転造用工具歯の歯数の多い部分の歯数をNrough-largeとし、前記素材ワークに噛み合う荒転造用工具歯の歯数の少ない部分の歯数をNrough-smallとし、
前記仕上転造加工領域において、前記荒ワークに噛み合う前記仕上転造用工具歯の歯数の多い部分の歯数をNfinish-largeとし、前記荒ワークに噛み合う前記仕上転造用工具歯の歯数の少ない部分の歯数をNfinish-smallとするとき、
前記荒転造加工領域における歯数Nrough-largeの領域で創成された前記荒転造突起に対して、前記仕上転造加工領域において歯数Nfinish-smallの領域を噛み合わせ、且つ、
前記荒転造加工領域における歯数Nrough-smallの領域で創成された前記荒転造突起に対して、前記仕上転造加工領域において歯数Nfinish-largeの領域を噛み合わせることを特徴とするはすば状突起含有転造物の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記転造用工具は、前記荒転造用工具歯をもつ荒転造用工具と、前記仕上転造用工具歯をもつ仕上転造用工具とで形成されており、
前記荒転造用工具は2個1組のラック型工具で形成されており、前記仕上転造用工具は2個1組のラック型工具で形成されていることを特徴とするはすば状突起含有転造物の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、前記転造用工具は、前記荒転造工程および前記仕上転造工程の双方に共通しており、前記荒転造用工具歯と前記仕上転造用工具歯とは、共通する前記転造用工具の同一面に形成されていることを特徴とするはすば状突起含有転造物の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記荒転造加工領域における転造方向と交差する方向の幅寸法D1と、前記仕上転造加工領域における転造方向と交差する方向の幅寸法D2とは、異なる大きさに設定されており、
前記仕上転造加工領域において、歯数Nfinish-largeの領域の位置と歯数Nfinish-smallの領域の位置とが逆転し、逆転により、歯数Nfinish-largeとなるはずの領域が歯数Nfinish-smallの領域となると共に、歯数Nfinish-smallとなるはずの領域が歯数Nfinish-largeの領域とされていることを特徴とするはすば状突起含有転造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、はすば状突起を含有するはすば状突起含有転造物の製造方法に関する。はすば状突起(荒転造突起、仕上転造突起)は、歯すじがつる巻き線の少なくとも一部に沿った突起を意味し、突起状をなすはすば歯、突起状をなすウォーム歯、突起状をなす雄螺子等が代表的なものである。従って、はすば状突起含有転造物は、はすば歯車類やウォーム類等といった歯車類、雄ねじ類を含む。
【背景技術】
【0002】
従来、はすば状をなす転造歯を転造により形成する転造物の製造方法が開発されている。この方法によれば、切削工程が廃止または簡略化されるため、コスト低減に有利である。しかしながら近年の機械部品の高精度化の要請により、はすば状をなす転造歯においても精度の向上がますます要請されている。
【0003】
この技術に関して非特許文献1が知られている。当該文献によれば、はすば状をなす転造用工具歯をもつ転造加工領域を有するローラダイス状をなす1対の転造用工具を用いる。そして、丸棒状をなす素材ワークに対して1対の転造用工具の転造用工具歯により転造し、はすば状をなす転造歯を素材ワークに形成してピニオンを製造する。当該文献には、はすば状をなす転造歯において、図22に示すように、○印で示す歯厚の厚い部分と、△印で示す歯厚の薄い部分とが形成される旨が記載されている。更に、はすば状をなす転造歯を形成する互いに背向する2つの歯面には、うねりが歯すじ方向に沿って発生していることが記載されている。
【非特許文献1】塑性と加工(日本塑性加工学会誌)第41巻 第469号(2000−2) 151〜155頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の機械部品の高精度化の要請により、はすば状をなす転造歯、ウォーム歯、雄螺子等においても、歯形精度の向上がますます要請されている。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、はすば状をなす転造歯、ウォーム歯、雄螺子等を形成できる仕上転造突起の歯すじ方向に沿ったうねりを低減させることができ、歯形精度の向上を図り得るはすば状突起含有転造物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)様相1に係るはすば状突起含有転造物の製造方法は、はすば状をなす荒転造突起を形成するための荒転造用工具歯をもつ荒転造加工領域と、はすば状をなす仕上転造突起を形成するための仕上転造用工具歯をもつ仕上転造加工領域とを有する転造用工具とを準備する準備工程と、
丸棒状をなす素材ワークに対して荒転造用工具歯により荒転造し、はすば状をなすと共に歯すじ方向に沿ってうねりを有する荒転造突起を備える荒ワークを形成する荒転造工程と、
荒ワークの荒転造突起に対して仕上転造用工具歯により仕上転造し、はすば状をなす仕上転造突起を有する仕上転造品を形成する仕上転造工程とを実施し、
荒転造加工領域において、素材ワークに噛み合う荒転造用工具歯の歯数の多い部分の歯数をNrough-largeとし、素材ワークに噛み合う荒転造用工具歯の歯数の少ない部分の歯数をNrough-smallとし、
仕上転造加工領域において、荒ワークに噛み合う仕上転造用工具歯の歯数の多い部分の歯数をNfinish-largeとし、荒ワークに噛み合う仕上転造用工具歯の歯数の少ない部分の歯数をNfinish-smallとするとき、
荒転造加工領域における歯数Nrough-largeの領域で創成された荒転造突起に対して、仕上転造加工領域において歯数Nfinish-smallの領域を噛み合わせ、且つ、
荒転造加工領域における歯数Nrough-smallの領域で創成された荒転造突起に対して、仕上転造加工領域において歯数Nfinish-largeの領域を噛み合わせることを特徴とする。
【0007】
本明細書によれば、はすば状突起は、歯すじがつる巻き線の少なくとも一部に沿って形成された突起をいう。本発明に係るはすば状突起含有転造物は、つる巻き線の少なくとも一部に沿った突起を転造で形成した転造物を意味する。本発明に係るはすば状突起含有転造物は、はすば歯車類やウォーム類等といった歯車類、雄ねじ類を含む。
【0008】
様相1によれば、荒転造工程において荒転造突起が創成される。これにより荒転造突起を備える荒ワークが創成される。仕上転造工程において仕上転造突起が創成される。これにより仕上転造突起を備える仕上転造品が形成される。
【0009】
ところで、荒転造工程において、荒ワークの荒転造突起を形成する互いに背向する2個の歯面には、歯すじ方向に沿って山部と谷部とが交互に連続するうねりが形成される。仕上転造工程においても、ワークの仕上転造突起の歯面に歯すじ方向に沿ってうねりが形成されるように仕上転造される。このとき、荒転造工程において発生するうねりと、仕上転造工程において発生するうねりとは、基本的には位相が逆の関係となる。このため、仕上転造品の仕上転造突起におけるうねりの高さが低減される。これにより仕上転造品の仕上転造突起における形状精度が向上する。仕上転造品としては、歯車類、ウォーム類、ねじ類等が例示される。
【0010】
(2)様相2に係るはすば状突起含有転造物の製造方法によれば、上記した様相において、転造用工具は、荒転造用工具歯をもつ荒転造用工具と、仕上転造用工具歯をもつ仕上転造用工具とで形成されており、荒転造用工具は2個1組のラック型工具で形成されており、仕上転造用工具は2個1組のラック型工具で形成されていることを特徴とする。2個1組のラック型工具の作動で荒ワークを荒転造できる。2個1組のラック型工具の作動で仕上転造品を転造できる。このとき、荒転造工程において発生するうねりと、仕上転造工程において発生するうねりとは、基本的には位相が逆の関係となる。このため、仕上転造品のはすばにおけるうねりの高さが低減される。これにより仕上転造品の仕上転造歯における形状精度が向上する。
【0011】
(3)様相3に係るはすば状突起含有転造物の製造方法によれば、上記した様相において、転造用工具は荒転造工程および仕上転造工程の双方において共通しており、荒転造用工具歯と、仕上転造用工具歯とは、共通する転造用工具の同一面に形成されていることを特徴とする。この場合、荒転造用工具と仕上転造用工具とを交換する操作を実施せずとも良く、生産性が向上する。
【0012】
(4)様相4に係るはすば状突起含有転造物の製造方法によれば、上記した様相において、荒転造加工領域における転造方向と交差する方向の幅寸法D1と、仕上転造加工領域における転造方向と交差する方向の幅寸法D2とは、異なる大きさに設定されており、
仕上転造加工領域において、歯数Nfinish-largeの領域の位置と歯数Nfinish-smallの領域の位置とが逆転し、逆転により、
歯数Nfinish-largeとなるはずの領域が歯数Nfinish-smallの領域となると共に、歯数Nfinish-smallとなるはずの領域が歯数Nfinish-largeの領域とされていることを特徴とする。この場合、荒転造加工領域と仕上転造加工領域とを転造方向に直列に連続させることが可能となる。従って、素材ワークに対して荒転造工程および仕上転造工程を連続的に実施することができ、生産性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、荒転造工程において発生するうねりと、仕上転造工程において発生するうねりとは、基本的には位相が逆の関係となる。このためはすば状をなす仕上転造突起を有する仕上転造品を形成するとき、仕上転造突起の歯すじ方向の精度を向上させることができる。従って、高精度および高品質の仕上転造突起を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について図1〜図7を参照しつつ説明する。本実施形態に係る製造方法に係る準備工程では、図1に示すように、丸棒状をなす金属製の素材ワーク1と、図1に示す荒転造用工具2とを準備する。更に、図4に示す仕上転造用工具3を準備する。素材ワーク1を形成する金属としては、特に限定されるものではなく、炭素鋼、合金鋼(ステンレス鋼を含む)、アルミ合金、チタン合金が例示される。
【0015】
荒転造用工具2は、図1に示すように、転造方向(矢印A1方向)に沿って同期移動可能な2個1組の可動式の荒ラック型工具2aで形成されている。図2は、荒ラック型工具2aの平面図を示す。図2に示すように、荒ラック型工具2aは、荒ラック形工具2aの移動方向(矢印A1方向)に対して傾斜した荒転造用工具歯20をもつ荒転造加工領域22を備える。
【0016】
仕上転造用工具3は、図4に示すように、転造方向(矢印A2方向)に同期移動可能な可動式の2個1組の仕上ラック型工具3aで形成されている。図5は、仕上ラック型工具3aの平面図を示す。図5に示すように、仕上ラック型工具3aは、仕上ラック形工具3aの移動方向(矢印A2方向)に対して傾斜した仕上転造用工具歯30をもつ仕上転造加工領域32を有する。荒転造用工具2および仕上転造用工具3は、互いに別体をなす。傾斜状をなす荒転造用工具歯20のピッチ(素材ワーク1の軸線方向に沿ったピッチ)P1と、傾斜状をなす仕上転造用工具歯30のピッチ(素材ワーク1の軸線方向に沿ったピッチ)P2とは対応しており、実質的に同一の大きさとされている。
【0017】
なお、荒転造加工領域22の荒転造用工具歯20の表面を粗面化(例えばRa:0.4〜0.8、または、0.4〜0.6)させておいても良い。この場合、荒転造用工具歯20と素材ワーク1との滑りが抑制される。また仕上転造加工領域32の仕上転造用工具歯30の表面をラッピング処理等により鏡面化(例えばRa:0.1〜0.3、または、0.1〜0.2)させておいても良い。
【0018】
さて、素材ワーク1を転造する場合について説明する。まず、図1に示すように、素材ワーク1を2個1組の荒ラック型工具2aの間に配置する。そして2個1組の荒ラック型工具2aを転造方向(矢印A1方向)に移動させることにより、素材ワーク1をこれの軸線PA回りで回転させつつ、素材ワーク1の外周部に対して荒ラック型工具2aの荒転造加工領域22の荒転造用工具歯20により荒転造工程を実施し、荒ワーク4を形成する。荒ワーク4は、はすば状(つる巻き線に沿った形状)の荒転造歯40(荒転造突起)をもつ。
【0019】
その後、荒ワーク4を荒ラック型工具2aから取り外す。そして荒ワーク4に対して仕上転造工程を実施する。この場合、荒ワーク4の荒転造歯40と、2個1組の仕上ラック型工具3aの仕上転造用工具歯30とを位相合わせする。その後、図4に示すように、2個1組の仕上ラック型工具3aを転造方向(矢印A2方向)に移動させる。これにより荒ワーク4のはすば状(つる巻き線に沿った形状)荒転造歯40に対して仕上転造用工具3の仕上転造用工具歯30により仕上転造する。この結果、仕上転造品5(図7参照)を形成する。仕上転造品5においては、軸線PAに対して傾斜しているはすば状をなす仕上転造歯50(仕上転造突起)が形成される。
【0020】
上記したように本実施形態によれば、荒転造工程では、丸棒状をなす金属製の素材ワーク1に対して荒転造用工具2の荒転造用工具歯20により荒転造する。この結果、棒状をなす荒ワーク4を形成する。荒ワーク4は、はすば状をなす荒転造歯40を備える。荒転造歯40は、荒転造歯40の歯すじ方向に沿ってうねりを有する。図3は荒転造歯40のうねりを拡大したプロフィールを示す。図3に示すように、荒転造歯40の歯すじ方向に沿って山部および谷部が交互に連続するように、うねりが形成されている。
【0021】
上記したうねりが形成される理由としては、次のようであると推察される。即ち、荒転造工程によれば、荒転造加工領域22において、素材ワーク1に荒転造用工具歯20が噛み合う。このように素材ワーク1と荒転造用工具2とが噛み合うとき、図2の軌跡K1において、素材ワーク1に噛み合う荒転造用工具歯20の歯数の多い部分の歯数をNrough-large(図2において●印で示される領域)とする。図2の軌跡K2において、素材ワーク1に噛み合う荒転造用工20の歯数の少ない部分の歯数をNrough-small(図2において■印で示される領域)とする。ここで、歯数については、●印で示される歯数Nrough-largeは、■印で示される歯数Nrough-smallよりも大きくされている(歯数Nrough-large>歯数Nrough-small)。なお、具体的には、図2では、■印で示される歯数Nrough-smallは4個とされており、●印で示される歯数Nrough-largeは5個とされている。軌跡K1,K2は、荒転造加工領域22の移動方向(転造方向)に対して直交する方向に沿っている。
【0022】
また上記した仕上転造工程では、仕上転造加工領域32において、図5に示すように、図5の軌跡M1において、荒ワーク4に噛み合う仕上転造用工具歯30の歯数の多い部分の歯数をNfinish-large(図5において●印で示す領域)とする。また図5の軌跡M2において、荒ワーク4に噛み合う仕上転造用工具歯30の歯数の少ない部分の歯数を、Nfinish-small(図5において■印で示す領域)とする。ここで、歯数について、歯数Nfinish-largeは歯数Nfinish-smallよりも大きくされている(歯数Nfinish-large>歯数Nfinish-small)。なお、図5では、■印で示される歯数Nfinish-smallは4個とされており、●印で示される歯数Nfinish-largeは5個とされている。軌跡M1,M2は、仕上転造加工領域32の移動方向に対して直交する方向に沿っている。
【0023】
歯数が多いと、それだけ転造面積が増加するため、単位面積当たりの加工荷重が小さくなる。ここで、上記した荒転造工程では、歯数については、前述したように、歯数Nrough-large>歯数Nrough-smallとされている。このため、歯数Nrough-largeの部分における単位面積当たりの加工荷重は、歯数Nrough-smallの部分における単位面積当たりの加工荷重よりも相対的に小さくされている。この場合、荒転造加工領域22において、歯数Nrough-largeの部分で創成される部分は、単位面積当たりの加工荷重が相対的に小さいため、うねりの山部を生成させ易いと推察される。
【0024】
また荒転造工程では、歯数Nrough-smallの部分における単位面積当たりの加工荷重は、歯数Nrough-largeの部分における単位面積当たりの加工荷重よりも相対的に大きくされている。この場合、歯数Nrough-smallの部分で創成される部分は、単位面積当たりの加工荷重が相対的に大きいため、うねりの谷部を生成させ易いと推察される。
【0025】
このような事情(歯数と単位面積当たりの加工加重との関係)は、仕上転造加工領域32においても同様である。即ち、仕上転造加工領域32の歯数については、歯数Nfinish-large>歯数Nfinish-smallとされている。このため、歯数Nfinish-largeの部分における単位面積当たりの加工荷重は、歯数Nfinish-smallの部分における単位面積当たりの加工荷重よりも相対的に小さくされており、うねりの山部を生成させ易いと推察される。また歯数Nfinsish-smallの部分における単位面積当たりの加工荷重は、歯数Nfinish-largeの部分における単位面積当たりの加工荷重よりも相対的に大きくされており、うねりの谷部を生成させ易いと推察される。
【0026】
従って、図3に示すように、荒転造工程を実施した荒転造歯40の歯すじ方向のうねりについては、荒転造歯40の互いに背向する2つの歯面において、うねりの山部同士は互いに背向される傾向があり、うねりの谷部同士は互いに背向される傾向がある。このため歯数Nrough-largeの部分(図2の●印で示される領域)で創成される部分については、歯数Nrough-smallの部分で創成される部分よりも、はすば状をなす荒転造歯40の歯厚は相対的に厚くなる傾向がある。また、歯数Nrough-smallの部分で創成される部分(図2の■印で示される領域)については、歯数Nrough-largeの部分で創成される部分よりも、はすば状をなす荒転造歯40の歯厚は相対的に薄くなる傾向がある。
【0027】
ここで、図3のデータは、荒ワーク4を荒転造工程で形成し、その荒ワーク4の2つの歯(No1およびNo2)の軸長方向の一端から他端に向けて歯丈の中央付近を歯形歯すじ測定装置により測定したものである。荒ワーク4の先端部から荒ワーク4を見て、歯山の右側を右歯面とし、歯山の左側を左歯面としている。図3の左半分は荒ワーク4のNo1およびNo2の左歯面を示す。図3の右半分は荒ワーク4のNo1およびNo2の右歯面を示す。左歯面の右側が歯肉部となり、右歯面の左側が歯肉部となる。
【0028】
本実施形態によれば、荒転造工程を実施した後に仕上転造工程を実施するにあたり、荒転造加工を実施した荒ワーク4の荒転造歯40と、仕上転造用工具3の仕上転造用工具歯30とのかみ合わせ位相を調整する。この場合、荒転造用工具2の荒転造加工領域22における歯数Nrough-largeの部分で創成された領域に対して、仕上転造用工具3の仕上転造加工領域32の歯数Nfinish-smallの領域を噛み合わせて仕上転造歯50を創成する。且つ、荒転造用工具2の荒転造加工領域22における歯数Nrough-smallの部分で創成された領域に対して、仕上転造用工具3の仕上転造加工領域32の歯数Nfinish-largeの領域を噛み合わせて仕上転造歯50を創成する。
【0029】
このような条件で仕上転造工程を実施すれば、荒転造工程におけるうねりと、仕上転造工程におけるうねりとが実質的に相殺される。即ち、荒転造工程におけるうねりの山部と、仕上転造工程におけるうねりの谷部とが対応する。同様に、荒転造工程におけるうねりの谷部と、仕上転造工程におけるうねりの山部とが対応する。これにより仕上転造歯50におけるうねりが実質的に相殺される。よって、仕上転造品5の仕上転造歯50における歯すじ方向の精度が向上する。
【0030】
図6は、荒転造工程におけるうねりと仕上転造工程におけるうねりとが実質的に相殺され、歯すじ方向の精度が向上している状態を示す。即ち、図6は、仕上転造歯50の互いに背向する2つの歯面における歯すじ方向のうねりを示す。図6に示すように、うねりの山部および谷部は低減されており、仕上転造歯50の歯すじ方向において平滑性が向上しており、仕上転造歯50の歯すじ方向の歯すじ誤差が低減していることがわかる。
【0031】
なお図6のデータは、仕上転造品5を用い、その仕上転造品5の2つの歯(No1およびNo2)の軸長方向の一端から他端に向けて歯丈の中央付近を歯形歯すじ測定装置により測定したものである。仕上転造品5の先端部から仕上転造品5を見て、歯山の右側を右歯面とし、歯山の左側を左歯面としている。図6の左半分は仕上転造品5のNo1およびNo2の左歯面を示す。図6の右半分は仕上転造品5のNo1およびNo2の右歯面を示す。左歯面の右側が歯肉部となり、右歯面の左側が歯肉部となる。
【0032】
ところで、金属加工の分野では、一般的には、母材が同一であれば、加工量(単位面積あたりの加工荷重)が大きいほど、加工硬化量が大きい。加工量(単位面積あたりの加工荷重)が少ないほど、加工硬化量が少ない。この点について本実施形態によれば、前述したように荒転造工程の歯数については、歯数Nrough-large>歯数Nrough-smallとされているため、歯数Nrough-largeの部分における単位面積当たりの加工荷重は、歯数Nrough-smallの部分における単位面積当たりの加工荷重よりも相対的に小さくされている。この結果、歯数Nrough-largeの部分で創成される部分の加工硬化量は、歯数Nrough-smallの部分で創成される部分の加工硬化量よりも相対的に小さくされている。そして仕上転造工程によれば、荒転造加工領域22における歯数Nrough-largeの部分で創成された領域に対して、仕上転造加工領域32の歯数Nfinish-smallの領域を噛み合わせて仕上転造歯50を創成する。且つ、荒転造用工具2の荒転造加工領域22における歯数Nrough-smallの部分で創成された領域に対して、仕上転造加工領域32の歯数Nfinish-largeの領域を噛み合わせて仕上転造歯50を創成する。
【0033】
このため、一般的には、荒転造工程において加工硬化量が相対的に大きい領域は、仕上転造工程において加工硬化量が相対的に少ない領域となる。且つ、荒転造工程において加工硬化量が相対的に小さい領域は、仕上転造工程において加工硬化量が相対的に大きい領域となる。このため荒転造工程および仕上転造工程の双方を実施した仕上転造歯50については、加工硬化量の局部的なバラツキを抑制させるのに有利となる。
【0034】
本実施形態では、仕上転造品5の仕上転造歯50(荒ワーク4の荒転造歯40)の歯数が少ない方が効果的である。その理由としては、歯数が少ない方が、一つの歯当たりにおいて、荒転造工程と仕上転造工程との間における単位面積あたりの加工荷重の差を増加できるためである。なお、仕上転造品5の仕上転造歯50の歯数および軸線PAに対する仕上転造歯50のねじれ角βは特に限定されるものではないが、歯数は10以下が例示され、更に8以下、5以下が例示される。ねじれ角βは88°以下が例示され、更に75°以下、65°以下が例示される。
【0035】
(試験例)
図8は、仕上転造品5の仕上転造歯50(ねじれ角β:45°)の歯数を2に設定した状態で、実際に試験した歯すじ誤差の測定結果を示す。図8は、荒転造用工具歯20と仕上転造用工具歯30との間の位相差と、仕上転造品5の仕上転造歯50の歯すじ誤差との関係を示す。図8の特性線に示すように、位相差が90°のとき、歯すじ誤差は最も抑えられている。2歯であるため、位相差が90°のとき、荒転造用工具歯20で形成されるうねりと、仕上転造用工具歯30で形成されるうねりとが、基本的には逆の位相となるためであると推察される。なお、位相差は仕上転造品5の仕上転造歯50の歯数に応じて選択されることが好ましい。例えば、歯数が3のときには、位相差は60°とすることが好ましい。歯数が4のときには、位相差は45°とすることが好ましい。
【0036】
(実施形態2)
図9〜図12は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有する。以下、実施形態1と異なる部分を中心として説明する。図10および図12に示すように、荒転造用工具2のはすば状をなす荒転造用工具歯20のピッチP1と、仕上転造型のはすば状をなす仕上転造用工具歯30のピッチP2とは対応しており、実質的に同一とされている。
【0037】
また、荒転造用工具歯20による荒転造加工領域22の幅寸法(転造方向である矢印A1方向と直交する方向の幅寸法)を、D1(図10参照)とする。仕上転造用工具歯30による仕上転造加工領域32の幅寸法(転造方向である矢印A2方向と直交する方向の幅寸法)を、D2(図12参照)とする。
【0038】
ここで、D1およびD2は、互いに異なる大きさに設定されている。具体的にはD1>D2とされている。図12に示すように、仕上転造加工領域32において、幅方向の一方の片側にはΔDaに相当する領域が形成されている。更に、幅方向の他方の片側にはΔDbに相当する領域が形成されている。領域ΔDa、ΔDbには、仕上転造用工具歯30が形成されていない。
【0039】
仕上転造加工領域32において領域ΔDaおよび領域ΔDbが存在すると仮定すると、図12から理解できるように、軌跡K1においては、幅方向の端側に位置する歯30x、歯30yが残存しているはずであり、軌跡K1においては本来的には合計5歯となるはずである。
【0040】
しかしながら図12に示すように、仕上転造加工領域32において領域ΔDaおよび領域ΔDbに相当する部分が存在しないため、軌跡K1においては、幅方向の端側の歯30x、歯30yが存在せず、最終的には、歯30u、30v、30wの合計3歯(■印は3個)となる。なお、ΔDaは仕上転造用工具歯30のピッチP2の約1/2に相当する。ΔDbはピッチP2の約1/2に相当する。
【0041】
上記したように、仕上転造加工領域32の幅方向の両側において、仕上転造用工具歯30が形成されていない領域ΔDaおよびΔDbが存在するとすれば、仕上転造加工領域32において、歯数Nfinish-largeの領域の位置と、歯数Nfinish-smallの領域の位置とが逆転する。この結果、仕上転造加工領域32において、領域ΔDaおよびΔDbが存在しなければ、歯数Nfinish-largeとなるはずの領域が、領域ΔDaおよびΔDbが存在するため、位相の逆転により歯数Nfinish-smallの領域となる。同様に、位相の逆転により、歯数Nfinish-smallとなるはずの領域が歯数Nfinish-largeの領域となる。
【0042】
本実施形態においても、荒転造工程において、素材ワーク1と荒転造用工具2とが噛み合うとき、素材ワーク1に噛み合う荒転造用工具歯20の歯数の多い部分の歯数を、Nrough-large(図10において●印で示す領域)とする。素材ワーク1に噛み合う荒転造用工具歯20の歯数の少ない部分の歯数を、Nrough-small(図10において■印で示す領域)とする。歯数については、歯数Nrough-largeは、歯数Nrough-smallよりも大きくされている(歯数Nrough-large>歯数Nrough-small)。具体的には、図10によれば、■印で示される歯数Nrough-smallは4個とされており、●印で示される歯数Nrough-largeは5個とされている。
【0043】
また仕上転造加工領域32において、荒ワーク4に噛み合う仕上転造用工具歯30の歯数の多い部分の歯数をNfinish-large(図12において●印で示す領域)とする。荒ワーク4に噛み合う仕上転造用工具歯30の歯数の少ない部分の歯数をNfinish-small(図12において■印で示す領域)とする。歯数については、●印で示される歯数Nfinish-largeは、■印で示される歯数Nfinish-smallよりも大きくされている(歯数Nfinish-large>歯数Nfinish-small)。具体的には、図12によれば、■印で示される歯数Nfinish-smallは3個とされており、●印で示される歯数Nfinish-largeは4個とされている。このように歯数Nfinish-large>歯数Nfinish-smallとされている。
【0044】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、仕上転造工程を実施するにあたり、荒転造加工を実施した荒ワーク4の荒転造歯40と仕上転造用工具歯30とのかみ合わせ位相を調整する。これにより荒転造用工具2の荒転造加工領域22における歯数Nrough-largeの領域で創成された領域に対して、仕上転造加工領域32の歯数Nfinish-smallの領域を噛み合わせて仕上転造歯50を創成する。且つ、荒転造用工具2の荒転造加工領域22における歯数Nrough-smallの領域の領域で創成された領域に対して、仕上転造加工領域32の歯数Nfinish-largeの領域を噛み合わせて仕上転造歯50を創成する。このような条件で仕上転造を実施すれば、実施形態1と同様に、荒転造工程におけるうねりと、仕上転造工程におけるうねりとが実質的に相殺され、仕上転造歯50の歯すじ方向の精度が向上する。
【0045】
(実施形態3)
図13及び図14は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有する。図13に示すように、共通転造型8は、荒転造および仕上転造の双方を行うものであり、2個1組のラック型工具8aで形成されている。2個1組みのラック型工具8aの互いに対向する表面8x(同一面)には、転造方向(矢印A1方向)に対して傾斜した荒転造用工具歯20をもつ荒転造加工領域22と、転造方向(矢印A1方向)に対して傾斜した仕上転造用工具歯30をもつ仕上転造加工領域32とが、転造方向(矢印A1方向)において直列に配置されている。さらに、図14に示すように、ラック型工具8aにおいて、仕上転造加工領域32の幅方向(転造方向と直交する方向)の外縁には、面取部8eが形成されている。面取部8eは、前記した図12における領域ΔDaおよび領域ΔDbに相当する領域であり、工具歯を有していない。
【0046】
このように領域ΔDaおよび領域ΔDbとして機能する面取部8eが形成されているため、図14に示すように、はすば状をなす荒転造用工具歯20による荒転造加工領域22の幅寸法D1(転造方向と交差する方向の幅寸法)と、はすば状をなす仕上転造用工具歯30による仕上転造加工領域32の幅寸法D2(転造方向と交差する方向の幅寸法)とは、異なる大きさに設定されている。具体的にはD1>D2とされている。
【0047】
更に、領域ΔDaおよび領域ΔDbに相当する面取部8eがラック型工具8aに形成されているため、前述したように、仕上転造加工領域32において、歯数Nfinish-largeの領域の位置と、歯数Nfinish-smallの領域の位置とが逆転する。従って、領域ΔDaおよび領域ΔDbが存在しなければ、歯数Nfinish-largeとなるはずの領域が、領域ΔDaおよび領域ΔDbの存在によって位相が逆転し、歯数Nfinish-smallの領域となる。同様に、位相の逆転により、歯数Nfinish-smallとなるはずの領域が歯数Nfinish-largeの領域となる。
【0048】
上記した結果、図14に示すように、ラック型工具8aにおいて荒転造加工領域22と仕上転造加工領域32とは、転造方向(矢印A1方向)において直列にかつ連続的に配置されている。このため、素材ワーク1に対して荒転造工程および仕上転造工程の双方を連続的に実施することが可能となり、生産性が向上する。殊に、荒転造工程から仕上転造工程に移行するにあたり、荒ワーク4の荒転造歯40と仕上転造加工領域32の仕上転造用工具歯30との位相合わせを実施せずとも良く、生産性が高まる。
【0049】
上記したように荒転造工程および仕上転造工程の双方を実施すれば、前述したように、荒転造工程におけるうねりと、仕上転造工程におけるうねりとが実質的に相殺される。よって、仕上転造歯50において歯すじ方向の精度が向上する。
【0050】
ところで、図14に示すように、荒転造加工領域22の転造方向(矢印A1方向)の長さをL1として、仕上転造加工領域32の転造方向(矢印A1方向)の長さをL2として示す。本実施形態によれば、仕上転造品5の種類または用途などに応じて、L1=L2、L1≒L2としても良い。またL1<L2、L1>L2としても良い。例えば、転造歯のモジュールが小さい場合には、転造歯の彫り込み比率が小さくて済むため、荒転造加工領域22の転造方向の長さL1を相対的に短縮させ、仕上転造加工領域32の転造方向の長さをL2を相対的に長くし、L1<L2にすることができる。また、モジュールが大きい場合には、転造歯の彫り込みが相対的に大きいため、L1>L2にすることができる。
【0051】
(実施形態4)
図15は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有する。図15に示すように、共通転造型8Bは、荒転造工程および仕上転造工程の双方を行うものであり、2個1組のラック型工具8bで形成されている(図15では1個のみ図示)。2個1組のラック型工具8bの表面8x(同一面)には、転造方向(矢印A1方向)に対して傾斜した荒転造用工具歯20をもつ荒転造加工領域22と、転造方向(矢印A1方向)に対して傾斜した仕上転造用工具歯30をもつ仕上転造加工領域32とが、面取部8eを介して転造方向(矢印A1方向)において直列に配置されている。面取部8eには、工具歯が形成されていない。荒転造加工領域22の幅寸法D1と仕上転造加工領域32の幅寸法D2とは実質的に同一とされている。
【0052】
荒転造工程から仕上転造工程に移行するにあたり、荒ワーク4の荒転造歯40と仕上転造加工領域32の仕上転造用工具歯30との噛み合わせ位相を調整することが好ましい。なお、仕上転造歯50の歯数によっては、荒転造工程を実施した荒ワーク4を仕上転造するにあたり、荒ワーク4をこれの軸線PAに沿って移動させて位置調整することが好ましい。
【0053】
(実施形態5)
図16は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有する。図16に示すように、共通転造型8Cは、荒転造工程および仕上転造工程の双方を行うものであり、2個1組のラック型工具8cで形成されている。ラック型工具8cの表面8x(同一面)には、荒転造用工具歯20をもつ荒転造加工領域22と、仕上転造用工具歯30をもつ仕上転造加工領域32とが面取部8fを介して転造方向(矢印A3,A4方向)において並列に配置されている。図16に示すように、ラック型工具8cにおいて、互いに並列配置された仕上転造加工領域32と荒転造加工領域22との間には、面取部8fが形成されている。面取部8fには工具歯が形成されていない。
【0054】
転造にあたり、素材ワーク1に対してラック型工具8cを転造方向(矢印A3方向)に往移動させる。このように荒転造工程を実施した後、荒ワーク4およびラック型工具8cを相対移動させて、荒ワーク4をラック型工具8cの仕上転造加工領域32に対面させる。更に、荒転造工程を実施した荒ワーク4の荒転造歯40と仕上転造用工具歯30とのかみ合わせ位相を調整する。この状態で荒ワーク4に対してラック型工具8cを転造方向(矢印A4方向)に復移動させ、仕上転造工程を行う。
【0055】
仕上転造工程においては、前述したように、荒転造加工領域22における歯数Nrough-largeの部分で創成された領域に対して、仕上転造加工領域32において歯数Nfinish-smallの領域を噛み合わせて転造歯を創成する。且つ、荒転造加工領域22における歯数Nrough-smallの部分で創成された領域に対して、仕上転造加工領域32において歯数Nfinish-largeの領域を噛み合わせて転造歯を創成する。このような条件で仕上転造工程を実施すれば、前述したように、荒転造工程におけるうねりと、仕上転造工程におけるうねりとが実質的に相殺される。よって、仕上転造歯50において歯すじ方向の精度が向上する
(実施形態6)
図17は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。図17に示すように、共通転造型8Dは、荒転造工程および仕上転造工程の双方を実施するものであり、2個1組のラック型工具8dで形成されている。ラック型工具8dの同一の表面には、転造方向(矢印A1方向)に対して傾斜した荒転造用工具歯20をもつ荒転造加工領域22と、転造方向(矢印A1方向)に対して傾斜した仕上転造用工具歯30をもつ仕上転造加工領域32とが、転造方向(矢印A1方向)において直列に配置されている。
【0056】
転造の際には、素材ワーク1に対してラック型工具8dを転動方向(矢印A1方向)に移動させれば、荒転造工程および仕上転造工程とが連続して実施される。本実施形態でも、仕上転造工程においては、荒転造加工領域22における歯数Nrough-largeの部分で創成された領域に対して、仕上転造加工領域32において歯数Nfinish-smallの領域を噛み合わせて創成する。且つ、荒転造加工領域22における歯数Nrough-smallの部分で創成された領域に対して、仕上転造加工領域32において歯数Nfinish-largeの領域を噛み合わせ創成する。このような条件で仕上転造を実施すれば、前述したように、荒転造工程におけるうねりと、仕上転造工程におけるうねりとが実質的に相殺される。よって、仕上転造歯50において歯すじ方向の精度が向上する。
【0057】
(実施形態7)
図18および図19は実施形態7を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。荒転造用工具2Fは、転造方向に同期移動可能な2個1組の荒ピニオン型工具200で形成されており、はすば状をなす荒転造用工具歯20Fをもつ荒転造加工領域22Fを備える。素材ワーク1をワークホルダ9で回転可能に保持させつつ、荒ピニオン型工具200を回転させて荒転造工程を実施する。
【0058】
また、図19に示すように、仕上転造用工具3Fは、転造方向に同期移動可能な可動式の2個1組の仕上ピニオン型工具300で形成されており、はすば状をなす仕上転造用工具歯30Fをもつ仕上転造加工領域32Fを有する。荒ワーク4をワークホルダ9で回転可能に保持させつつ、仕上ピニオン型工具300を回転させて仕上転造工程を実施する。
【0059】
荒転造用工具2Fおよび仕上転造用工具3Fは互いに別体をなす。はすば状をなす荒転造用工具歯20Fのピッチと、はすば状をなす仕上転造用工具歯30Fのピッチとは互いに対応しており、実質的に同一の大きさとされている。ここで、2個1組の荒ピニオン型工具200のうち、一方は固定側とされ、他方は可動側とされている。2個1組の仕上ピニオン型工具300のうち、一方は固定側とされ、他方は可動側とされている。
【0060】
(実施形態8)
図20は実施形態8を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態では、荒転造工程および仕上転造工程により、ウォーム(図20参照)を形成している。ウォームは、つる巻き線に沿った突起を有する。
【0061】
(適用形態)
図21は適用形態を示す。図21に示すように、減速機付き小型モータは、ハウジング400と、ハウジング400に軸受401を介して収容されたロータ402と、ハウジング400に収容された減速用のへリカルギヤ420と、へリカルギヤ420に結合された出力軸430とを備えている。ロータ402は、シャフト403とロータコア404とをもち、ハウジング400に固定された固定コアとの間に発生する回転磁界により軸線Pc回りで回転する。ロータ402のシャフト403の外周部には、へリカルギヤ420と噛み合うはすば408が形成されている。はすば408は上記した転造方法により形成されている。へリカルギヤ420のピッチ円の径は、シャフト403のはすばのピッチ円の径よりも大きくされている。ロータ402が回転すると、シャフト403のはすばとへリカルギヤ420との噛み合によりヘリカルギヤ420が軸線Pdの回りで回転し、出力軸430が軸線Pdの回りで回転する。シャフト403のはすばの軸長寸法Hは小さく抑えられ、ハウジング400の寸法H1が小さく抑えられており、小型化に有利となる。
【0062】
(その他)
上記した実施形態によれば、はすば歯車を転造するのに適用したものであるが、これに限らず、はすば状突起含有転造物として機能できるウォーム類、雄ねじ類の転造に適用することができる。上記した適用形態によれば、減速機付き小型モータに適用したものであるが、これに限らず、はすばを備える歯車装置、ウォーム類を備える歯車装置、雄ねじ類を備えるねじ部材であれば、適用できる。ある実施形態に特有の構造および機能は他の実施形態についても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態1に係り、荒転造工程を模式的に示す構成図である。
【図2】実施形態1に係り、荒転造工程で用いられる荒転造用工具の荒転造用工具歯を模式的に示す平面図である。
【図3】実施形態1に係り、荒転造工程を実施した後の荒ワークにおける荒転造歯の歯すじ曲線を示すグラフである。
【図4】実施形態1に係り、仕上転造工程を模式的に示す構成図である。
【図5】実施形態1に係り、仕上転造工程で用いられる仕上転造用工具の仕上転造用工具歯を模式的に示す平面図である。
【図6】実施形態1に係り、仕上転造工程を実施した後の仕上転造品における仕上転造歯の歯すじ曲線を模式的に示すグラフである。
【図7】実施形態1に係り、仕上転造工程を実施した後の仕上転造品を模式的に模式的に示す側面図である。
【図8】試験結果を示し、位相差と歯すじ誤差との関係を模式的に示すグラフである。
【図9】実施形態2に係り、荒転造工程を模式的に示す構成図である。
【図10】実施形態2に係り、荒転造工程で用いられる荒転造用工具の荒転造用工具歯を模式的に示す平面図である。
【図11】実施形態2に係り、仕上転造工程を模式的に示す構成図である。
【図12】実施形態2に係り、仕上転造工程で用いられる仕上転造用工具の仕上転造用工具歯を模式的に示す平面図である。
【図13】実施形態3に係り、転造工程を模式的に示す構成図である。
【図14】実施形態3に係り、造工程で用いられる転造用工具の転造用工具歯を模式的に示す平面図である。
【図15】実施形態4に係り、転造工程で用いられる転造用工具の転造用工具歯を模式的に示す平面図である。
【図16】実施形態5に係り、転造工程で用いられる転造用工具の転造用工具歯を模式的に示す平面図である。
【図17】実施形態6に係り、転造工程で用いられる転造用工具の転造用工具歯を模式的に示す平面図である。
【図18】実施形態7に係り、荒転造用工具で荒転造工程を実施している状態を模式的に示す平面図である。
【図19】実施形態7に係り、仕上転造用工具で仕上転造工程を実施している状態を模式的に示す平面図である。
【図20】実施形態8に係り、ウォームの斜視図である。
【図21】適用形態に係り、減速機付き小型モータの断面図である。
【図22】非特許文献1で開示されている構成図である。
【符号の説明】
【0064】
1は素材ワーク、2は荒転造用工具、20は荒転造用工具歯、22は荒転造加工領域、3は仕上転造用工具、30は仕上転造用工具歯、32は仕上転造加工領域、4は荒ワーク、40は荒転造歯(荒転造突起)、5は仕上転造品、50は仕上転造歯(仕上転造突起)を模式的に示す。
【出願人】 【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
【出願日】 平成19年3月27日(2007.3.27)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏


【公開番号】 特開2008−238215(P2008−238215A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2007−82441(P2007−82441)