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【発明の名称】 ロール成形装置
【発明者】 【氏名】山内 昌彦

【氏名】芳賀 文孝

【氏名】伊藤 康裕

【要約】 【課題】コンパクト且つ安価な構成で、ロール成形処理を高精度に遂行することを可能にする。

【解決手段】ロール成形装置10は、主軸台14の第1スピンドル18に装着される第1マンドレル30と、心押台16の第2スピンドル24に装着される第2マンドレル32とを備え、前記第1マンドレル30と前記第2マンドレル32とでワークWを挟持して回転させる一方、ロール52a、52bを前記ワークWに押し付けてロール成形を行う。第1マンドレル30及び第2マンドレル32の内部には、ロール成形時に前記第1マンドレル30と前記第2マンドレル32とが型開きすることを阻止するためのクランプ機構34が配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸に連結される駆動側型部材と従動側型部材とでワークを保持し、前記主軸の回転作用下に前記ワークを回転させる一方、成形用ロール部材を前記ワークに押し付けて前記ワークの成形を行うロール成形装置であって、
少なくとも前記駆動側型部材の内部又は前記従動側型部材の内部に配置され、ロール成形時に前記駆動側型部材と前記従動側型部材とが型開きすることを阻止するためのクランプ機構を備えることを特徴とするロール成形装置。
【請求項2】
請求項1記載のロール成形装置において、前記クランプ機構は、前記駆動側型部材の内部又は前記従動側型部材の内部に配置されるボルト部材と、
前記従動側型部材の内部又は前記駆動側型部材の内部に配置されるナット部材と、
前記ボルト部材又は前記ナット部材を回転させて前記ボルト部材を前記ナット部材に螺合させる回転駆動源と、
を備えることを特徴とするロール成形装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のロール成形装置において、前記駆動側型部材及び前記従動側型部材は、外周部に歯形用溝部が形成される第1マンドレル及び第2マンドレルを設けることを特徴とするロール成形装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主軸に連結される駆動側型部材と従動側型部材とでワークを保持し、前記主軸の回転作用下に前記ワークを回転させる一方、成形用ロール部材を前記ワークに押し付けて前記ワークの成形を行うロール成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用の自動変速機を構成するクラッチには、クラッチドラムが用いられている。このクラッチドラムは、周壁部の内周に等ピッチで多数のスプライムが設けられており、通常、ロール成形装置を用いて成形されている。この種のロール成形装置としては、例えば、特許文献1に開示されているロールフォーミング装置が知られている。
【0003】
このロールフォーミング装置は、互いに直交する水平2方向の一方をX軸方向、他方をY軸方向として、ベッド上にX軸方向に対向する主軸台と心押台とを配置するとともに、Y軸方向に対向する一対のロール支持台を配置し、心押台を主軸台に向けてX軸方向に移動して、主軸台と心押台との間にワークを挟持し、両ロール支持台をY軸方向内方に移動するとともにX軸方向に移動して、両ロール支持台に軸支したロールによりワークのフォーミング加工を行うロールフォーミング装置において、ベッド上に、両ロール支持台をY軸方向に移動自在に搭載したY軸方向に長手の可動台をX軸方向に移動自在に設け、可動台を少なくとも底壁と天井壁とY軸方向両端の端壁とを有する箱形に形成して、各端壁に各ロール支持台をY軸方向に移動する駆動源を取り付けるとともに、心押台をX軸方向に移動する駆動源をベッド上の固定台に取り付け、固定台の上部と主軸台の上部とをタイロッドを介して結合する、ことを特徴としている。
【0004】
これにより、可動台の反りや捩れを有効に防止するとともに、押圧反力によるベッドの反りをタイロッドで効果的に防止することができ、ワークの加工精度の向上を図ることが可能になる、としている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−42643号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この種のロール成形装置に関してなされたものであり、特に、装置全体の小型化を図るとともに、成形時の外力によって型開きが惹起することを有効に阻止し、高精度なロール成形処理を効率的に行うことが可能なロール成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、主軸に連結される駆動側型部材と従動側型部材とでワークを保持し、前記主軸の回転作用下に前記ワークを回転させる一方、成形用ロール部材を前記ワークに押し付けて前記ワークの成形を行うロール成形装置に関するものである。
【0008】
ロール成形装置は、少なくとも駆動側型部材の内部又は従動側型部材の内部に配置され、ロール成形時に前記駆動側型部材と前記従動側型部材とが型開きすることを阻止するためのクランプ機構を備えている。
【0009】
また、クランプ機構は、駆動側型部材の内部又は従動側型部材の内部に配置されるボルト部材と、前記従動側型部材の内部又は前記駆動側型部材の内部に配置されるナット部材と、前記ボルト部材又は前記ナット部材を回転させて前記ボルト部材を前記ナット部材に螺合させる回転駆動源とを備えることが好ましい。
【0010】
さらに、駆動側型部材及び従動側型部材は、外周部に歯形用溝部が形成される第1マンドレル及び第2マンドレルを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クランプ機構により駆動側型部材と従動側型部材とを強固且つ確実にクランプすることができる。従って、ワークにロール成形処理が施される際、型締め力以上の外力が作用しても、駆動側型部材と従動側型部材とが型開きすることを確実に阻止することができ、前記ワークのロール成形処理が高精度に遂行可能になる。
【0012】
しかも、クランプ機構は、少なくとも駆動側型部材の内部又は従動側型部材の内部に配置されている。このため、装置全体を有効に小型化することができるとともに、コストの削減も容易に図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るロール成形装置10の概略構成説明図である。
【0014】
ロール成形装置10は、基台12を備え、この基台12上には、矢印X方向に互いに対向して主軸台14及び心押台16が配置される。主軸台14は、第1スピンドル18を備えるとともに、この第1スピンドル18は、ベルト・プーリ手段20を介して回転駆動源、例えば、モータ22に連結される。心押台16は、第2スピンドル24を備える。この第2スピンドル24には、油圧シリンダ26から延在するロッド28が連結され、心押台16は、矢印X方向に進退可能に構成される。
【0015】
第1スピンドル18には、駆動側型部材である第1マンドレル30が装着される一方、第2スピンドル24には、従動側型部材である第2マンドレル32が装着される。第1マンドレル30の外周部には、歯形用溝部30aが形成されるとともに、第2マンドレル32の外周部には、歯形用溝部32aが形成される。
【0016】
第1マンドレル30の内部及び第2マンドレル32の内部には、後述するロール成形時に前記第1マンドレル30と前記第2マンドレル32とが型開きすることを阻止するためのクランプ機構34が配置される。
【0017】
図2及び図3に示すように、クランプ機構34は、第1マンドレル30の内部に配置されるボルト部材36と、第2マンドレル32の内部に配置されるナット部材38と、前記第2マンドレル32の内部に配置され、前記ナット部材38に回転軸40aが軸着されるモータ40とを備える。
【0018】
ボルト部材36は、第1マンドレル30の中央部に形成された孔部42を貫通して、外部に所定の長さだけ突出しており、少なくとも先端部側には、ねじ部36aが形成される。ナット部材38は、第2マンドレル32内に配置されており、ねじ部36aが螺合するねじ穴38aを有する。この第2マンドレル32には、ボルト部材36を挿通するための孔部44が形成される。
【0019】
図1に示すように、基台12上には、主軸台14と心押台16との間に位置し、矢印Y方向に長尺な可動台46が設けられる。この可動台46は、図示しない移動機構を介し、複数のX軸レール48に沿って矢印X方向に進退可能に構成される。可動台46には、矢印Y方向に対向して一対のロール支持台50a、50bが配置される。
【0020】
ロール支持台50a、50bには、例えば、ダブルクラッチ用クラッチドラム(後述する)をフォーミングするためのロール52a、52bが回転自在に支持される。可動台46の矢印Y方向両端にモータ54a、54bが装着されており、ロール支持台50a、50bは、前記モータ54a、54bに連結される送りねじ56a、56bによって矢印Y方向に進退可能である。
【0021】
このように構成されるロール成形装置10の動作について、以下に説明する。
【0022】
先ず、図3に示すように、第1マンドレル30内に装着されたボルト部材36の先端部にワークWが外装される。このワークWは、図示しないが、例えば、円柱状のビレットを熱間鍛造によりプリフォームされており、ボルト部材36が挿入される軸部Waの外周には、円板部Wbを介してリング部Wcが一体成形されている。
【0023】
次いで、図1に示すように、油圧シリンダ26が駆動され、ロッド28を介して心押台16が主軸台14側に移動する。このため、心押台16の第2スピンドル24に装着されている第2マンドレル32の孔部44には、ワークWの軸部Waの一端側が挿入される。一方、第1スピンドル18に装着されている第1マンドレル30の孔部42には、ワークWの軸部Waの他端側が挿入される(図4参照)。
【0024】
その際、クランプ機構34では、第1マンドレル30に固定されているボルト部材36のねじ部36aが、第2マンドレル32の内部に取り付けられているナット部材38のねじ穴38aに進入する。従って、モータ40の駆動作用下に、回転軸40aを介してナット部材38が回転することにより、ねじ部36aがねじ穴38aに螺合を開始する。
【0025】
そして、図5に示すように、油圧シリンダ26を介して第1マンドレル30と第2マンドレル32とが型締めされてワークWが挟持されるとともに、クランプ機構34を構成するボルト部材36とナット部材38との螺合作用下に、前記第1マンドレル30と前記第2マンドレル32とがクランプされる。
【0026】
この状態で、可動台46上のロール支持台50a、50bは、図1に示すように、モータ54a、54bの回転作用下に、送りねじ56a、56bを介して互いに矢印Y方向に近接する方向に移動する。このため、ロール52a、52bは、リング部Wcの中間部、すなわち、第1マンドレル30と第2マンドレル32との接合位置に対応して前記リング部Wcの外周面に当接する。一方、モータ22の駆動作用下に、ベルト・プーリ手段20を介して第1スピンドル18が回転する。従って、第1マンドレル30と第2マンドレル32とに挟持されているワークWが回転される。
【0027】
そこで、可動台46が、先ず、矢印X1方向に移動する。このため、図6に示すように、ロール52a、52bは、第1マンドレル30の外周面に沿ってワークWのリング部Wcの略半分を矢印X1方向にしごくようにして移動し、前記ロール52a、52bと前記第1マンドレル30の溝部30aとを介して、セレーションを有する第1ドラム部60aが成形される。
【0028】
次いで、可動台46は、矢印X2方向に移動する。従って、ロール52a、52bは、ワークWのリング部Wcの残り略半分を第2マンドレル32の外周面に押し付けながら、矢印X2方向に移動する。このため、ロール52a、52bと第2マンドレル32の溝部32aとにより、しごき加工が施され、セレーションを有する第2ドラム部60bが成形される。これにより、第1ドラム部60aと第2ドラム部60bとを一体に有するダブルクラッチ用クラッチドラム60が成形される。
【0029】
クラッチドラム60の成形が終了した後、クランプ機構34を構成するモータ40が逆方向に駆動される。従って、ナット部材38は、ボルト部材36から弛緩する方向に回転駆動され、クランプ機構34による第1マンドレル30と第2マンドレル32とのクランプが解除される。一方、油圧シリンダ26が駆動され、心押台16が主軸台14から離間する方向に移動する。
【0030】
これにより、図7に示すように、第2マンドレル32は、第1マンドレル30から離間するとともに、クラッチドラム60は、ボルト部材36に保持される。そして、クラッチドラム60は、第1マンドレル30から取り外される。
【0031】
この場合、本実施形態では、油圧シリンダ26を介して心押台16が主軸台14側に移動することにより、第1マンドレル30と第2マンドレル32とが、ワークWを挟持して型締めされている。この状態で、クランプ機構34により、第1マンドレル30と第2マンドレル32とを強固且つ確実にクランプすることができる。
【0032】
このため、ワークWにロール52a、52bを介してロール成形処理が施される際、油圧シリンダ26による型締め力以上の外力が作用しても、第1マンドレル30と第2マンドレル32とが型開きすることを確実に阻止することができる。これにより、ワークWに対するロール成形処理が良好に遂行され、高精度なクラッチドラム60を効率的に成形することが可能になるという効果が得られる。
【0033】
しかも、クランプ機構34は、ボルト部材36が第1マンドレル30の内部に配置される一方、モータ40及びナット部材38が第2マンドレル32の内部に配置されている。従って、クランプ機構34は、外部に配置されることがなく、ロール成形装置10全体を有効に小型化することができるとともに、前記ロール成形装置10の製造コストの削減も容易に図られる。
【0034】
なお、本実施形態では、ボルト部材36が第1マンドレル30の内部に配置される一方、モータ40及びナット部材38が第2マンドレル32の内部に配置されているが、少なくともいずれか1つが、前記第1マンドレル30又は前記第2マンドレル32の内部に配置されていればよい。また、モータ40をボルト部材36に連結し、前記ボルト部材36を回転させることにより、ねじ部36aを固定されたナット部材38に螺合するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るロール成形装置の概略構成説明図である。
【図2】前記ロール成形装置を構成するクランプ機構の内部状態を示す概略斜視図である。
【図3】前記クランプ機構の断面説明図である。
【図4】前記クランプ機構の動作開始説明図である。
【図5】前記クランプ機構の動作終了説明図である。
【図6】ロール成形処理の説明図である。
【図7】前記ロール成形処理終了後にワークを取り出す際の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
10…ロール成形装置 12…基台
14…主軸台 16…心押台
18、24…スピンドル 22…モータ
26…油圧シリンダ 30、32…マンドレル
34…クランプ機構 36…ボルト部材
38…ナット部材 40…モータ
46…可動台 50a、50b…ロール支持台
52a、52b…ロール
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【代理人】 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏

【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸

【識別番号】100142066
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 直樹

【識別番号】100126468
【弁理士】
【氏名又は名称】田久保 泰夫


【公開番号】 特開2008−149327(P2008−149327A)
【公開日】 平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願番号】 特願2006−336898(P2006−336898)