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【発明の名称】 転造装置
【発明者】 【氏名】土屋 恒敏

【氏名】星野 数之

【要約】 【課題】ピッチ合せ作業に際して、カップリング14を緩めるなどして主軸1を回動してロールダイス2に予め設けた基準係合部4を、補助軸受装置9に替えて設けたピッチ合せ装置8のピッチ合せ用係止部5に係合させてカップリング14を再び締めて連結するだけで極めて簡単にピッチ合せ作業を行うことができる画期的なピッチ合せ装置を備えた転造装置を提供すること。

【解決手段】一対の主軸1に夫々設けたロールダイス2間のワーク3を転造して転造部品を製造する転造装置であって、ロールダイス2に予め設けた歯と位相関係のある基準係合部4に主軸1を回動することで係合するピッチ合せ用係止部5を、主軸台6Aの補助軸受装置9に替えて設ける機体固定部7に設けて、ピッチ合せ装置8を着脱自在に設けた構成の転造装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の主軸に夫々設けたロールダイスを等速同方向に回転させて、このロールダイス間のワークを転造して転造部品を製造する転造装置であって、前記主軸のロールダイスに予め設けた歯と位相関係のある基準係合部に前記主軸を回動することで係合するピッチ合せ用係止部を、前記主軸を回転自在に設けた機体に設けた機体固定部に設けて、各ロールダイスの転造のピッチ合せをするに際して前記主軸を回動させることで前記機体固定部の前記ピッチ合せ用係止部に対して前記ロールダイスを回動させて、このロールダイスの前記基準係合部を前記ピッチ合せ用係止部に係合させることで各ロールダイスによる転造のピッチ合せができるように構成した前記機体固定部と前記ピッチ合せ用係止部とから成るピッチ合せ装置を備えたことを特徴とする転造装置。
【請求項2】
少なくとも一方の前記主軸を回転自在に設けた機体に前記機体固定部を着脱自在に設けて、少なくとも一方の主軸に対して前記ピッチ合せ装置を着脱自在に設け、前記機体に前記ピッチ合せ装置の前記機体固定部を設けることで、この機体固定部に設けた前記ピッチ合せ用係止部が、前記主軸のロールダイスを位置決めする際のピッチ合せ目標位置に配設されるように構成し、カップリングを緩めて回転伝達を解除した状態の前記主軸を回動して、この主軸に設けた前記ロールダイスの前記基準係合部を、前記ピッチ合せ目標位置に配設された前記ピッチ合せ用係止部に係合し、前記カップリングを再び締めて伝達連結することでピッチ合せができるように前記ピッチ合せ装置を構成したことを特徴とする請求項1記載の転造装置。
【請求項3】
前記機体固定部を各主軸を回転自在に設けた前記機体の主軸台に夫々設けて前記ピッチ合せ装置を前記双方の主軸に対して設け、前記各ピッチ合せ装置のピッチ合せ用係止部が前記各主軸のロールダイスを位置決めする際のピッチズレの生じないピッチ合せ目標位置に夫々配設されるように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の転造装置。
【請求項4】
前記主軸の双方に対して夫々前記ピッチ合せ用装置を着脱自在に設け、前記一方の主軸に設けた前記ロールダイスの前記基準係合部を、この主軸のロールダイスを位置決めする際のピッチ合せ目標位置に配設される前記ピッチ合せ装置の前記ピッチ合せ用係止部に主軸を回動して係合し、この一方の主軸によって伝達同期回転する他方の主軸のカップリングを緩めて回転伝達を解除した状態で回動して、この他方の主軸に設けた前記ロールダイスの前記基準係合部を、前記ピッチ合せ目標位置に配設される前記ピッチ合せ装置の前記ピッチ合せ用係止部に係合し、前記カップリングを再び締めて伝達連結することでピッチ合せができるように前記ピッチ合せ装置を構成したことを特徴とする請求項3記載の転造装置。
【請求項5】
前記主軸に設ける補助軸受装置を主軸台から取り外し、この補助軸受装置を取り付けていた主軸台の補助軸受装置取付部に前記ピッチ合せ装置の前記機体固定部を着脱自在に設けて、前記機体固定部に設けた前記ピッチ合せ用係止部が、前記主軸のロールダイスを位置決めする際のピッチ合せ目標位置に配設されるように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の転造装置。
【請求項6】
前記ピッチ合せ装置の前記ピッチ合せ用係止部に、前記主軸を回動することで前記ロールダイスの前記基準係合部を係合した状態で、前記主軸の回動を阻止する主軸固定部を固定解除切り替え自在に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の転造装置。
【請求項7】
前記ピッチ合せ用係止部を係合付勢する係合弾性部を前記ピッチ合せ装置に設け、この係合弾性部の係合付勢により前記主軸の回動によって前記ピッチ合せ用係止部が前記ロールダイスの表面を相対摺動し前記基準係合部に位置すると付勢突出して係合するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の転造装置。
【請求項8】
前記ピッチ合せ装置の前記ピッチ合せ用係止部に前記基準係合部が係合したことを検知するピッチ合せ係合検知装置を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の転造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに例えばネジ等の凹凸を転造する転造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばネジ素材に転造してネジ部品を製造する転造装置の場合は、等径の2個のロールダイスを夫々主軸に設け、この主軸を平行にした状態で近接させたこの両ダイスの中間にネジ素材を保持し、この両ダイスを主軸を介して等速同方向に回転させて、ネジ素材を転造し雄ネジ部を有するネジ部品を製造する転造装置を構成する。このような転造装置においては、段取作業の一つとして一対のロールダイスの位相を調整するピッチ合せ作業を要する。
【0003】
即ち、ロールダイスを各主軸に取り付ける場合、両ダイスは正確に1/2ピッチだけズレていなければ正しいネジを転造することはできず、正確に1/2ピッチズレていることで転造に際してピッチの食い違いが生じない(転造に際してのピッチズレが生じない)ようにするピッチ合せ作業を要する。
【0004】
具体的には、例えば、一対のロールダイスを交換する度毎にこの2個のロールダイスをネジ素材に接触させ、主軸を介して同方向に手動でまわして素材を半回転転がして素材の外周に極浅いネジ溝を刻設し、一方のロールダイスで刻設された条痕と他方のロールダイスで刻設された条痕とが連続したつる巻線になっているかどうかを調べる。
【0005】
もし連続したつる巻線にならないで両者の条痕にピッチズレがあるときは、ネジ素材外周に接触する位置における両ダイスの歯の位相が1/2ピッチズレた適切な位置となってないので、一方のダイス(一方の主軸)の回転を停止固定させ、他方のダイス(他方の主軸)に微小量回転を与えてから、再び伝達回転連結する操作を行い、再びピッチズレが生じているかどうかを改めて刻設した条痕のズレで見る。つまり調整の度毎に前記と同様な素材外周に素材半回転による条痕をつくり、連続するつる巻線になるまで、素材外周接触位置における両ダイスの歯(ネジ山)位相の関係を調節するピッチ合せ作業が必要であった。この場合一方のダイスの回転を停止固定させ、他方のダイスに微小量の回転を与えるには他方の主軸の回転伝達機構に設けたカップリングを緩めて回転伝達を解除してわずかずつずらすことによって行うので、ピッチ合せ作業は非常に煩わしい段取作業となっている。
【0006】
例えばロールダイスの条数を数え、素材が半回転してつけられた条痕のズレが1ピッチ中でどの位の割り合いかを目で読み取り、カップリングから主軸までの減速比を考慮して主軸1回転の量を目盛り量に置き換えて例えば1条分の目盛り量を割出し、今目視した条痕のピッチズレの1条分に対する割り合いを前記1条分の目盛り量に乗じてピッチズレに応じた目盛り分を求めてこの目盛り分だけ伝達解除された主軸を回せば、ピッチが合うことになる。
【0007】
以上のように従来の転造装置においては、ロールダイスで素材を挟み、主軸を回動してネジ付けを行ってそのピッチのズレを見て、合っていない場合は片側の主軸を基準にして、他方の主軸のカップリング部でピッチのズレ量分を作業者が補正している。このピッチのズレ量の判定や補正作業は作業者の経験や感に頼る要素が大きく、慣れないと何度もやり直さなければならず、熟練が必要で段取時間を要する。
【0008】
また、予めロールダイスの取付孔のキー溝に対して歯を関連付けておき、ロールダイスの取り付けに際して諸条件をあてはめて求める関係数式によって双方の主軸のキーの位置の相違角を求め、これに従ってその相違角となるように他方の主軸を設定してカップリングを固定する手法も提案されているが、諸条件に応じて相違角を逐次計算しなければならず、またその相違角となるように他方の主軸をセットすることも決して容易ではなく、精度の高いものではない(特開昭55−128340号)。
【0009】
【特許文献1】特開昭55−128340号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点を解決したもので、予めロールダイスの歯の位相と関連した位置に基準係合部(例えば基準となるピン孔)を予め設けておき、この基準係合部に係合する(実際はこの基準係合部が回動するため基準係合部が係合する)ピッチ合せ用係止部(例えば位置決め用のピン)を設けたピッチ合せ装置を主軸(ロールダイス)に対して設け、このピッチ合せ用係止部を主軸(ロールダイス)に対しての適切な位置、つまりピッチ合せ目標位置に固定配設しておくことで、ピッチ合せ作業に際して、カップリングを緩めるなどして主軸を回動して基準係合部をピッチ合せ用係止部に係合させてカップリングを再び締めて連結するだけで極めて簡単にピッチ合せ作業を行うことができ、熟練を要さず段取時間が短くなり、また作業者によっての誤差がなくワークの加工精度が安定するなど画期的な作用・効果を発揮するピッチ合せ装置を備えた転造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
一対の主軸1に夫々設けたロールダイス2を等速同方向に回転させて、このロールダイス2間のワーク3を転造して転造部品を製造する転造装置であって、前記主軸1のロールダイス2に予め設けた歯と位相関係のある基準係合部4に前記主軸1を回動することで係合するピッチ合せ用係止部5を、前記主軸1を回転自在に設けた機体6に設けた機体固定部7に設けて、各ロールダイス2の転造のピッチ合せをするに際して前記主軸1を回動させることで前記機体固定部7の前記ピッチ合せ用係止部5に対して前記ロールダイス2を回動させて、このロールダイス2の前記基準係合部4を前記ピッチ合せ用係止部5に係合させることで各ロールダイス2による転造のピッチ合せができるように構成した前記機体固定部7と前記ピッチ合せ用係止部5とから成るピッチ合せ装置8を備えたことを特徴とする転造装置に係るものである。
【0013】
また、少なくとも一方の前記主軸1を回転自在に設けた機体6に前記機体固定部7を着脱自在に設けて、少なくとも一方の主軸1に対して前記ピッチ合せ装置8を着脱自在に設け、前記機体6に前記ピッチ合せ装置8の前記機体固定部7を設けることで、この機体固定部7に設けた前記ピッチ合せ用係止部5が、前記主軸1のロールダイス2を位置決めする際のピッチ合せ目標位置に配設されるように構成し、カップリング14を緩めて回転伝達を解除した状態の前記主軸1を回動して、この主軸1に設けた前記ロールダイス2の前記基準係合部4を、前記ピッチ合せ目標位置に配設された前記ピッチ合せ用係止部5に係合し、前記カップリング14を再び締めて伝達連結することでピッチ合せができるように前記ピッチ合せ装置8を構成したことを特徴とする請求項1記載の転造装置に係るものである。
【0014】
また、前記機体固定部7を各主軸1を回転自在に設けた前記機体6の主軸台6Aに夫々設けて前記ピッチ合せ装置8を前記双方の主軸1に対して設け、前記各ピッチ合せ装置8のピッチ合せ用係止部5が前記各主軸1のロールダイス2を位置決めする際のピッチズレの生じないピッチ合せ目標位置に夫々配設されるように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の転造装置に係るものである。
【0015】
また、前記主軸1の双方に対して夫々前記ピッチ合せ用装置8を着脱自在に設け、前記一方の主軸1に設けた前記ロールダイス2の前記基準係合部4を、この主軸1のロールダイス2を位置決めする際のピッチ合せ目標位置に配設される前記ピッチ合せ装置8の前記ピッチ合せ用係止部5に主軸1を回動して係合し、この一方の主軸1によって伝達同期回転する他方の主軸1のカップリング14を緩めて回転伝達を解除した状態で回動して、この他方の主軸1に設けた前記ロールダイス2の前記基準係合部4を、前記ピッチ合せ目標位置に配設される前記ピッチ合せ装置8の前記ピッチ合せ用係止部5に係合し、前記カップリング14を再び締めて伝達連結することでピッチ合せができるように前記ピッチ合せ装置8を構成したことを特徴とする請求項3記載の転造装置に係るものである。
【0016】
また、前記主軸1に設ける補助軸受装置9を主軸台6Aから取り外し、この補助軸受装置9を取り付けていた主軸台6Aの補助軸受装置取付部10に前記ピッチ合せ装置8の前記機体固定部7を着脱自在に設けて、前記機体固定部7に設けた前記ピッチ合せ用係止部5が、前記主軸1のロールダイス2を位置決めする際のピッチ合せ目標位置に配設されるように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の転造装置に係るものである。
【0017】
また、前記ピッチ合せ装置8の前記ピッチ合せ用係止部5に、前記主軸1を回動することで前記ロールダイス2の前記基準係合部4を係合した状態で、前記主軸1の回動を阻止する主軸固定部11を固定解除切り替え自在に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の転造装置に係るものである。
【0018】
また、前記ピッチ合せ用係止部5を係合付勢する係合弾性部12を前記ピッチ合せ装置8に設け、この係合弾性部12の係合付勢により前記主軸1の回動によって前記ピッチ合せ用係止部5が前記ロールダイス2の表面を相対摺動し前記基準係合部4に位置すると付勢突出して係合するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の転造装置に係るものである。
【0019】
また、前記ピッチ合せ装置8の前記ピッチ合せ用係止部5に前記基準係合部4が係合したことを検知するピッチ合せ係合検知装置13を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の転造装置に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したから、ピッチ合せ作業に際して、カップリングを緩めるなどして主軸を回動してロールダイスに設けた基準係合部を、機体側のピッチ合せ目標位置に固定したピッチ合せ用係止部に係合させてカップリングを再び締めて連結するだけで極めて簡単にピッチ合せ作業を行うことができ、熟練を要さず段取時間が短くなり、また作業者によっての誤差がなくワークの加工精度が安定するなど画期的な作用・効果を発揮するピッチ合せ装置を備えた転造装置となる。
【0021】
また、請求項3,4記載の発明においては、双方の主軸に対してピッチ合せ装置を設けることで、一層簡易な方法で双方のロールダイスのピッチ合せを行うことができ、一層熟練を要さず段取時間が短くなり、また作業者によっての誤差がなくワークの加工精度が安定するなど一層秀れた画期的な転造装置となる。
【0022】
また、請求項5記載の発明においては、ピッチ合せ装置を補助軸受装置に替えて取り付けピッチ合せ作業を終えたら再び補助軸受装置を取り付ける構成としたため、適切なピッチ合せ目標位置に簡易にピッチ合せ装置を取り付けでき、しかもこの適切なピッチ合せ目標位置にピッチ合せ用係止部を簡単にして精度良く強固に固定できることになり、極めて秀れたアイデアに基づく一層画期的な転造装置となる。
【0023】
また、請求項6記載の発明においては、一旦基準係合部とピッチ合せ用係止部とが係合した状態を確実に保持でき、カップリングの締め付け時などにより再びズレてしまうことがなく、一層実用性に秀れた転造装置となる。
【0024】
また、請求項7記載の発明においては、主軸の回動によってロールダイスに設けた基準係合部が回動してピッチ合せ用係止部と合致すると自動的に付勢突出係合するため、基準係合部とピッチ合せ用係止部とが合致すれば確実に係合するから、非常にこの回動による係合操作がスムーズにしてスピーディーに行える一層実用性に秀れた転造装置となる。
【0025】
また、請求項8記載の発明においては、前記基準係合部とピッチ合せ用係止部との係合が検知され報知されるから、確実に位置決めされたことを知ることができるため、非常にこの回動による係合操作がスムーズにしてスピーディーに行える一層実用性に秀れた転造装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0027】
即ち、本発明に係る転造装置に設けたピッチ合せ装置の構成について、このピッチ合せ装置によるピッチ合せ作業(ピッチ合せ方法)を説明する。
【0028】
一方の主軸1に設けたロールダイス2を基準に、例えばこの主軸1の回転に伴って伝達同期回転する他方の主軸1に設けたカップリング14を緩めて回転伝達を一旦解除し、この他方の主軸1に設けるロールダイス2の位相を本発明のピッチ合せ装置8で調整設定する。このピッチ合せ装置8を説明するにあたって、後述する実施例に示すように、前記一方の主軸1に対しても本発明のピッチ合せ装置8を設け、先ずは一方の主軸1のロールダイス2をこのピッチ合せ装置8を用いて所定位置に固定した上で、前記カップリング14を介して回転伝達が切り離された他方の主軸1に設けたロールダイス2を、ピッチが1/2ピッチズレた正しい位置に位置決めてカップリング14を再び締め付けて伝達連結して、転造に際してピッチズレの生じないピッチ合せを行う実施例に基づいて説明する。
【0029】
以下、この本発明の一実施例であるピッチ合せ方法について更に具体的に説明する。
【0030】
先ず機体6に機体固定部7を設けて主軸1に対してピッチ合せ用係止部5を所定位置(ピッチ合せ目標位置)に精度良く固定する。
【0031】
例えば、後述する実施例のように、機体6の主軸台6Aに設けてある各主軸1に対する補助軸受装置9を夫々取り外してこの替わりにこのピッチ合せ作業治具としてのピッチ合せ装置8を取り付ける。
【0032】
即ち、主軸台6Aの補助軸受装置取付部10にピッチ合せ装置8の機体固定部7を取り付けることで、常にこの機体固定部7に設けたピッチ合せ用係止部5を所定のピッチ合せ目標位置に精度良く固定できることとなる。
【0033】
しかも各主軸1の夫々対向外側に配設されている主軸台6Aの補助軸受装置取付部10に設けるため、各ピッチ合せ装置8の各ピッチ合せ用係止部5を、正しくピッチが合いピッチズレの生じない適正な位置、即ち丁度1/2ピッチ位相のズレた正しい位置(転造に際してピッチズレの生じない位置であるピッチ合せ目標位置)に精度良く取り付け固定でき、且つ同構造のピッチ合せ装置8(機体固定部7)を単に向きを180度変えて夫々主軸台6Aの補助軸受装置取付部10に取り付けることで実現できる。
【0034】
次に、先ずは例えばカップリング14を緩めて伝達解除状態とした上で、一方の基準となる主軸1を回動してこの主軸1のロールダイス2に設けた基準係合部4をピッチ合せ用係止部5に係合する。
【0035】
基準係合部4は、ロールダイス2の例えば軸方向と直交する前後表面であってピッチ合せ用係止部5が相対的摺動する表面に孔若しくは溝として設けたもので、ロールダイス2の歯の位相に関連付けられた位置(位相関係をもった位置)に設けられている。
【0036】
つまり基準係合部4はロールダイス2の表面の任意の位置に設けられたものでなく、歯の位相と対応づけられた位置、例えば歯の製作の基準位置に設けられる。
【0037】
従って、このロールダイス2の基準係合部4が主軸1(ロールダイス2)の回動によってピッチ合せ目標位置に固定されているピッチ合せ用係止部5に係合することで先ずもって片側の主軸1及びロールダイス2の位置が決定する。
【0038】
尚、この場合、基準係合部4とピッチ合せ用係止部5との係合(実施例では弾圧係合)によって保持されるが、この主軸1及びロールダイス2を固定するための主軸固定部11を設け、これにより一旦回動位置を固定した後にわずかでもズレが生じないように強固に保持できる構成としても良い。
【0039】
次に、カップリング14を緩めて前記基準となる主軸1との伝達回転を解除した状態で同様に他方の主軸1を回動してこの主軸1のロールダイス2を回動させ、このロールダイス2の基準係合部4をこの他方の主軸1に対して設けたピッチ合せ装置8のピッチ合せ用係止部5に係合させる。
【0040】
これでピッチ合せ目標位置に対してセットされた一方のロールダイス2(主軸1)に対して、他方のロールダイス2(主軸1)もピッチズレの生じない適正な位置となるピッチ合せ目標位置に配設してあるピッチ合せ用係止部5と係合し、ピッチズレのない位相位置に簡単にセットされることとなる。
【0041】
この他方のセットに対してもカップリング14を締めるまでは一旦主軸固定部11によって主軸1を強固に固定しておいても良い。
【0042】
そしてカップリング14を締めてピッチ合せ作業を終了し、各主軸固定部11を緩めて固定解除し、更に例えば機体固定部7を取り外してピッチ合せ装置8を取り外し、再び替わりに補助軸受装置9を設ける。
【0043】
このように一旦ネジを刻設したり、この条痕のズレを目視したり、これに応じてカップリング部の目盛りを読んで補正回動したり、これを何度も繰り返す作業もなく、単にロールダイス2の基準係合部4を、機体6の例えば主軸台6Aに設けた機体固定部7のピッチ合せ用係止部5に係合させることで前記ピッチ合せ作業を終えることができることとなる。
【実施例】
【0044】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0045】
図1〜図5に示す本実施例の転造装置は、一対の主軸1に夫々設けた同厚円板状のロールダイス2を等速同方向に回転させて、このロールダイス2間のワーク3(ネジ素材)を転造して転造部品(ネジ部品)を製造する転造装置であって、回転駆動源15によって伝達歯車を介して一方の主軸1を回転駆動すると共に他方の主軸1も伝達歯車を介して等速同方向に同期回転駆動し、途中等速ジョイントやウォームやウォームホイールを介してワーク3を挟んだ位置に横設対向状態に各主軸台6Aに軸支させて並設し、この主軸1に夫々前記ロールダイス2を設けてワーク3を挟持して回転し転造するように構成している。即ち、このロールダイス2を設ける双方の主軸1は主軸台6Aに軸支配設されると共にこの各主軸台6Aに設けた補助軸受装置9によってその先端も軸支され、この各主軸1に着脱自在にキーとキー溝の係合によって取り付けられる同径のロールダイス2が対向状態に設けられ、このロールダイス2間に支持台に支持されたワーク3(ネジ素材)が挟持され、一対のロールダイス2の凹凸歯によってワーク3(ネジ素材)が押し付け転造される構成としている。
【0046】
この各補助軸受装置9は着脱自在に設けられ、また前述のように一方の主軸1の回転に伴って他方の主軸1も同じ回転駆動源15によって同期回転するが、他方の主軸1にはカップリング14が設けられ、このカップリング14の締め付けネジを緩めることで回転駆動伝達が一旦切り離し解除され、一方の主軸1に対して他方の主軸1を回動させてロールダイス2の位相調整設定ができるように構成している。
【0047】
本実施例では、先ずこのような転造装置において、後述するピッチ合せ装置8をピッチ合せ作業時に取り付けてピン状のピッチ合せ用係止部5を所定位置に固定すると共に、各ロールダイス2の歯付けにおいてこの歯と位相関係を持った位置に前記ピッチ合せ用係止部5が係合する基準係合部4を各ロールダイス2の表面に予め設けておく。
【0048】
即ち、各ロールダイス2の任意の位置に基準係合部4を設けるのではなく、基準となる位置、言い換えるとこの基準係合部4の位置に対してロールダイス2の外縁に形成した歯の位相位置が常に決まっており、この基準係合部4の位置を定めた位置に回動停止したとき、必ず歯の位相位置が同じ位置となる位置に基準係合部4を形成しておく。例えば歯の製作基準位置に設けても良い。要は歯と位相関係にある位置に設ける。
【0049】
本実施例では、ロールダイス2の軸方向と直交するロールダイス2の前後表面であって取付孔のキー溝部付近に設けている。
【0050】
この基準係合部4は後述するピン状のピッチ合せ用係止部5が係合する係合孔で、小さなもので十分であり、図12に示すように貫通孔であっても良いし、図13に示すように例えばV状の凹部としたピン状のピッチ合せ用係止部5が案内されて精度良く位置決め係合する凹状孔でも良いし、小孔状でなく図14に示すように回動位置を停止保持できれば良いため径方向に長さを有する溝部としても良く、適宜設計し得るものである。
【0051】
本実施例は、このように予め歯と位相関係にある位置に基準係合部4をロールダイス2に予め設けておき、この基準係合部4を係合するピッチ合せ用係止部5を適切な位置に設けてロールダイス2を位置決めすることで転造に際してのロールダイス2のピッチズレを防止するピッチ合せ作業を行うものである。
【0052】
本実施例では、この各主軸1の双方に対してこのピッチ合せ用係止部5を設けたピッチ合せ装置8を設けている。
【0053】
具体的には、本実施例のピッチ合せ装置8は、ピッチ合せ作業する際にロールダイス2を軸支する機体6の主軸台6Aに取り付ける機体固定部7と、この機体固定部7の所定位置に設けたピッチ合せ用係止部5とから構成している。
【0054】
特に本実施例では、機体固定部7を各主軸1を回転自在に設けた機体6の主軸台6Aに夫々設けてピッチ合せ装置8を双方の主軸1に対して設け、この各ピッチ合せ装置8のピッチ合せ用係止部5が各主軸1のロールダイス2を位置決めする際のピッチズレの生じないピッチ合せ目標位置に夫々配設されるように構成している。
【0055】
更に説明すると、主軸1に設ける前記補助軸受装置9を主軸台6Aから取り外し、この補助軸受装置9を取り付けていた主軸台6Aの補助軸受装置取付部10に前記ピッチ合せ装置8の機体固定部7を着脱自在に設けて、機体固定部7に設けたピッチ合せ用係止部5が、主軸1のロールダイス2を位置決めする際のピッチ合せ目標位置に配設されるように構成している。
【0056】
従って、前述したように主軸1の双方に対して補助軸受装置9に替えてピッチ合せ用装置8を着脱自在に設け、一方の主軸1に設けたロールダイス2の基準係合部4を、この主軸1のロールダイス2を位置決めする際のピッチ合せ目標位置に配設されるピッチ合せ装置8のピッチ合せ用係止部5に主軸1を回動して係合し、この一方の主軸1によって伝達同期回転する他方の主軸1のカップリング14を緩めて回転伝達を解除した状態で回動して、この他方の主軸1に設けたロールダイス2の基準係合部4を、ピッチ合せ目標位置に配設されるピッチ合せ装置8のピッチ合せ用係止部5に係合し、カップリング14を再び締めて伝達連結することでピッチ合せ作業が終了するように構成している。
【0057】
この本実施例のピッチ合せ装置8について更に具体的に説明すると、機体固定部7は、主軸台6Aの補助軸受装置9を着脱自在に取り付ける補助軸受装置取付部10に、補助軸受装置9と同様に着脱自在に取り付ける取付部7Aを主体部7Bに設け、この主体部7Bにピッチ合せ用係止部5を設けた構成としている。
【0058】
この取付部7Aは補助軸受装置9と同様主軸台6AのT溝状の補助軸受装置取付部10に先端側から抜け止め状態にして姿勢位置決め状態にスライド係合して所定位置で締め付け固定する構成とし、補助軸受装置9と同様にして取付部7Aをスライド係合して締め付け固定するだけでピッチ合せ用係止部5を所定位置、即ち主軸1(ロールダイス2)に対するピッチ合せ目標位置に精度良くガタ付きなく強固に簡単に取り付けることができる構成としている。
【0059】
従って、特にピッチ合せ装置8(ピッチ合せ用係止部5)を取り付けるためのスペースを設計することもなく、ピッチ合せ作業時には特に必要でなく、またロールダイス2を交換するときに一旦取り外すことにもなる補助軸受装置9を取り外してこれに替えてピッチ合せ装置8を取り付ける構成としたため、ピッチ合せ装置8の取り付けスペースを簡単に得ることができると共に、この補助軸受装置9の補助軸受装置取付部10をそのまま利用して特別に取付構造を設計加工することなく既存の転造装置の補助軸受装置9の取付構造をそのまま利用して同構造の取付部7Aによりピッチ合せ用係止部5を適切な位置に精度良くガタ付くことなく強固に配設することができる。
【0060】
また、ピッチ合せ用係止部5に、主軸1を回動することでロールダイス2の基準係合部4を係合した状態で、主軸1の回動を阻止する主軸固定部11を固定解除切り替え自在に設けている。
【0061】
具体的にはピッチ合せ用係止部5を設けた機体固定部7の主体部7Bに主軸1を半抱持する半抱持固定部7Cを設け、この半抱持固定部7Cに対向して半抱持可動部7Dを主体部7Bの支承面に沿って可動自在に設け、前記基準係合部4とピッチ合せ用係止部5とが係合した状態の主軸1を固定する場合は、この半抱持可動部7Dを押し付けて半抱持固定部7Cと半抱持可動部7Dとで主軸1を抱持して締め付け固定し、一度基準係合部4とピッチ合せ用係止部5とから係合した適切な位置決め状態の主軸1をカップリング14を再び締め付けてピッチ合せ作業が終えるまで固定ロックできるように構成している。
【0062】
また、ピッチ合せ用係止部5を係合付勢する係合弾性部12をピッチ合せ装置8に設け、この係合弾性部12の係合付勢により主軸1の回動によってピッチ合せ用係止部5がロールダイス2の表面を相対摺動し前記基準係合部4に位置すると付勢突出して係合するように構成している。
【0063】
本実施例では、前記機体固定部7の主体部7Bにコイルバネを採用した係合弾性部12によってピッチ合せ用係止部5を弾圧支承している。言い換えるとコイルバネによる拡縮弾性によってピン状のピッチ合せ用係止部5を支持し、前記ロールダイス2の表面にこのピッチ合せ用係止部5の先端が弾圧当接して常に突出付勢状態となるように構成し、前記ピッチ合せに際して主軸1を回動してロールダイス2が回動すると、このピッチ合せ用係止部5の先端が弾圧当接状態でロールダイス2の表面を相対的に摺動し、基準係合部4と合致すると突出付勢によって弾圧状態で係合するように構成している。
【0064】
また、ピッチ合せ装置8に前記ピッチ合せ用係止部5に前記基準係合部4が係合したことを検知するピッチ合せ係合検知装置13を設けている。
【0065】
具体的には、前記基準係合部4とピッチ合せ用係止部5とが合致して係合したことを検知する手段として、基準係合部4にピッチ合せ用係止部5を落ち込みピッチ合せ用係止部5が突出移動したことを検知する構成としている。
【0066】
本実施例では、機体固定部7の主体部7Bに設けた収納孔18に前記係合弾性部12と共にピッチ合せ用係止部5を内装し、このピッチ合せ用係止部5の基端部を収納孔18の外側に配設すると共に、このピッチ合せ用係止部5の基端部に検出部19を設け、ピッチ合せ用係止部5が係合弾性部12の突出付勢によって基準係合部4に合致したときに突出して基準係合部4に落ち込み係合するがこの時ピッチ合せ用係止部5が突出方向に移動することで検出部19が移動し、この検出部19の移動を検出するように構成している。
【0067】
本実施例では、この検出部19を検出板とし、リミットスイッチをピッチ合せ係合検知装置13として設け、これにより例えばLEDやライトなどの表示灯16を点灯させて報知するように構成している。
【0068】
このピッチ合せ係合検知装置13や表示灯16の電源部17もこのピッチ合せ装置8に設け、ピッチ合せ作業を終えた後は、この電源部17も備えたピッチ合せ装置8を取り外して再び補助軸受装置9を取り付けるように構成している。
【0069】
本実施例はワーク3にネジを転造する例について説明したが、ネジに限られず、例えばローレット,セレーション,スプライン,フォーミング,ウォーム等も含まれる。
【0070】
また、このように本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施例の本発明を適用する転造装置の構成例を示す要部の説明斜視図である。
【図2】本実施例の本発明を適用する転造装置の構成例を示す転造加工時の要部の動作説明正面図である。
【図3】本実施例の本発明を適用する転造装置の構成例を示す説明平面図である。
【図4】本実施例の本発明を適用する転造装置の構成例を示す回転伝達を示す説明正面図である。
【図5】本実施例の本発明を適用する転造装置の構成例を示す他方の主軸に設けるカップリング部の説明正面図である。
【図6】本実施例のピッチ合せ装置の説明斜視図である。
【図7】本実施例のピッチ合せ装置を取り付けるに際して補助軸受装置を取り外した状態の要部の説明斜視図である。
【図8】本実施例のピッチ合せ装置を補助軸受装置に替えて取り付けた状態の要部の説明斜視図である。
【図9】本実施例の図8の状態とした後ピッチ合せ用係止部と基準係合部とが係合した状態を示した要部の説明斜視図である。
【図10】本実施例の図9の状態での説明平断面図である。
【図11】本実施例のピッチ合せ装置のピッチ合せ用係止部の取付構造を示す説明側断面図である。
【図12】本実施例のロールダイスに予め基準係合部を設けておくことを示すロールダイスの一部の説明正面図及び説明断面図である。
【図13】本実施例の基準係合部の別例1を示すロールダイスの一部の説明正面図及び説明断面図である。
【図14】本実施例の基準係合部の別例2を示すロールダイスの一部の説明平面図,説明正面図及び説明断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 主軸
2 ロールダイス
3 ワーク(ネジ素材)
4 基準係合部
5 ピッチ合せ用係止部
6 機体
6A 主軸台
7 機体固定部
8 ピッチ合せ装置
9 補助軸受装置
10 補助軸受装置取付部
11 主軸固定部
12 係合弾性部
13 ピッチ合せ係合検知装置
14 カップリング
【出願人】 【識別番号】000133593
【氏名又は名称】株式会社ツガミ
【出願日】 平成18年10月25日(2006.10.25)
【代理人】 【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛

【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄


【公開番号】 特開2008−105049(P2008−105049A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−289642(P2006−289642)