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【発明の名称】 転造装置及び転造型の位置補正方法
【発明者】 【氏名】長澤 秀紀

【氏名】大地 英吾

【氏名】池田 孝一

【氏名】西坂 良文

【要約】 【課題】刃具の位置補正を機械的に簡単に行える転造装置及び転造型の位置補正方法を提供する。

【解決手段】本発明の転造装置は、フレームと、スライド部材3と、転造型部材2と、スライド部材3及び転造型部材2の間に挟持されるくさび部材7と、くさび部材7を駆動するくさび駆動手段1と、スライド部材3、くさび部材7及び転造型部材2を固定(或いはさらに解除)する複数個の固定部材と、を有する転造装置であって、当接部を有する軸部材110と付勢手段140とを有する固定部材160とこの固定本体部160の該軸部材110を軸方向に駆動して該当接部及び該付勢手段の少なくとも一方を解放する軸部材駆動部230とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、該フレームが有するガイドに案内されるスライド部材と、該スライド部材に案内保持された転造型部材と、該スライド部材及び該転造型部材の間に在り該スライド部材と該転造型部材の間隔を規定するくさび部材と、該くさび部材を駆動し該スライド部材と該転造型部材の間隔を変えるくさび駆動手段と、該スライド部材、該くさび部材及び該転造型部材を固定する複数個の固定部材と、を有する転造装置であって、
前記固定部材は、前記スライド部材及び前記転造型部材の一方に当接して他方側に押圧する当接部を持つ軸部材と、該軸部材の軸方向に相当移動可能に該軸部材に保持され該スライド部材及び該転造型部材の他方に当接して一方側に押圧し該スライド部材及び該転造型部材で該くさび部材を挟持して固定する付勢部材と、を有し、
さらに、全ての該固定部材の該軸部材及び該付勢部材の少なくとも一方を相対的に離間あるいは近づくように駆動して前記くさび部材の挟持固定を開放するくさび開放固定手段を有することをことを特徴とする転造装置。
【請求項2】
前記くさび開放固定手段は、前記フレームに設けられる請求項1に記載の転造装置。
【請求項3】
前記軸部材は該軸部材が軸方向に駆動される被押圧部をもち、前記フレームが有する前記ガイドは固定ガイドレールであり、前記くさび開放固定手段は、前記固定ガイドレールに設けられ個々の該軸部材の該被押圧部と個々に当接する複数個のカム面と、該スライド部材を前記固定ガイドレールに対して相対駆動するボールネジ手段と、で構成される請求項2に記載の転造装置。
【請求項4】
前記くさび開放固定手段は、前記スライド部材に可動に保持されている請求項1に記載の転造装置。
【請求項5】
前記くさび開放固定手段は、少なくとも2個の軸部材を駆動する第1リンク部材と、該スライド部材に可動に保持され少なくとも2個の該第1リンク部材を駆動する第2リンク部材と、該スライド部材に保持され該第2リンク部材を駆動する駆動手段と、からなる請求項4に記載の転造装置。
【請求項6】
前記くさび開放固定手段は、軸部材押圧部材と軸部材押圧部材駆動手段とからなり、前記軸部材押圧部材は前記スライド部材に可動に保持され、前記軸部材押圧部材駆動手段は前記フレームに保持されている請求項1に記載の転造装置。
【請求項7】
前記軸部材は該軸部材が軸方向に駆動される被押圧部をもち、前記軸部材押圧部材は前記スライド部材に可動に保持されたカム軸に設けられ個々の該軸部材の該被押圧部と個々に当接する複数個のカム面であり、
前記フレームは前記カム軸に押し当てられることによって該カム軸を上又は下に動かすことが出来る押し当て具を有し、前記軸部材押圧部材駆動手段は該カム軸が該押し当て具に押し当てられるように該スライド部材を駆動するボールネジ手段である請求項6に記載の転造装置。
【請求項8】
フレームと、該フレームが有するガイドに案内されるスライド部材と、該スライド部材に案内保持された転造型部材と、該スライド部材及び該転造型部材の間に在り該スライド部材と該転造型部材の間隔を規定するくさび部材と、該くさび部材を駆動し該スライド部材と該転造型部材の間隔を変えるくさび駆動手段と、該スライド部材及び該転造型部材の一方に当接して他方側に押圧する当接部を持つ軸部材及び該軸部材の軸方向に相当移動可能に該軸部材に保持され該スライド部材及び該転造型部材の他方に当接して一方側に付勢押圧し該スライド部材及び該転造型部材で該くさび部材を所定付勢力で挟持する付勢力付与部材を有するくさび付勢挟持手段と、を有することを特徴とする転造装置。
【請求項9】
前記付勢力付与部材は、付勢力を変える付勢力調節手段を有する請求項8記載の転造装置。
【請求項10】
前記軸部材はボルトであり、前記付勢力付与部材部材は圧縮バネと該ボルトに螺合するナットである請求項8記載の転造装置。
【請求項11】
フレームと、該フレームが有するガイドに案内されるスライド部材と、該スライド部材に案内保持された転造型部材と、該スライド部材及び該転造型部材の間に在り該スライド部材と該転造型部材の間隔を規定するくさび部材と、該くさび部材を駆動し該スライド部材と該転造型部材の間隔を変えるくさび駆動手段と、該スライド部材及び該転造型部材の一方に当接して他方側に押圧する当接部を持つ軸部材及び該軸部材の軸方向に相当移動可能に該軸部材に保持され該スライド部材及び該転造型部材の他方に当接して一方側に付勢押圧し該スライド部材及び該転造型部材で該くさび部材を所定付勢力で挟持する付勢力付与部材を有するくさび挟持付勢手段と、を有する転造装置を用い、
前記くさび挟持付勢手段を操作することなく、前記くさび駆動手段を駆動し、該くさび挟持付勢手段による該くさび部材の挟持を所定付勢力で付勢しつつ該くさび挟持付勢手段の前記軸部材及び前記付勢力付与部材の間隔を調整し、前記転造型部材の位置を補正することを特徴とする転造型の位置補正方法。
【請求項12】
前記付勢力付与部材は、付勢力を変える付勢力調節手段を有する請求項11記載の転造型の位置補正方法。
【請求項13】
前記付勢力付与部材は、付勢力を維持するバネ手段を有する請求項12記載の転造型の位置補正方法。
【請求項14】
前記軸部材はボルトであり、前記付勢力付与部材部材は圧縮バネと該ボルトに螺合するナットである請求項13記載の転造型の位置補正方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、転造刃具などの一対の転造型の相対間隔を調整する機構を有する転造装置及び転造型の位置補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の転造装置は、フレームと、該フレームが有するガイドに案内されるスライド部材と、該スライド部材に案内保持された転造型部材と、該スライド部材及び該転造型部材の間に在り該スライド部材と該転造型部材の間隔を規定するくさび部材と、該くさび部材を駆動し該スライド部材と該転造型部材の間隔を変えるくさび駆動手段と、該スライド部材、該くさび部材及び該転造型部材を固定する複数個の固定部材と、を有する。この転造装置を用い、一対の転造刃具などの一対の転造型を上下対称に配置し、駆動モーターを用いて互いに平行なすれ違い運動をさせ、ワークを両転造型の間で転動させながら塑性変形させワークを転造型とかみ合う形状に転造加工している。
【0003】
転造加工をする前に、一対の転造型の間隔はワークの寸法等に応じて所定間隔に調節する必要がある。かかる転造型の間隔の調節は、作業者が手作業で全ての固定部材を操作してくさび部材の固定を開放し、その後、くさび駆動手段でくさび部材の位置を調節して転造型の位置を調整し、その後、再び全ての固定部材を操作して、くさび部材を固定する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような転造装置では、一対の転造型の補正作業は転造装置本体の機上作業となるため作業性が悪い。また上記作業は作業者の経験が頼りとなり、作業時間もかかる。そのため一対の転造型の位置補正を、作業性良く、作業時間を短縮して行える転造装置が求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、一対の転造型の位置補正を簡単に行える転造装置及び転造型の位置補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の転造装置は、フレームと、該フレームが有するガイドに案内されるスライド部材と、該スライド部材に案内保持された転造型部材と、該スライド部材及び該転造型部材の間に在り該スライド部材と該転造型部材の間隔を規定するくさび部材と、該くさび部材を駆動し該スライド部材と該転造型部材の間隔を変えるくさび駆動手段と、該スライド部材、該くさび部材及び該転造型部材を固定する複数個の固定部材と、を有する転造装置であって、
前記固定部材は、前記スライド部材及び前記転造型部材の一方に当接して他方側に押圧する当接部を持つ軸部材と、該軸部材の軸方向に相当移動可能に該軸部材に保持され該スライド部材及び該転造型部材の他方に当接して一方側に押圧し、該スライド部材及び該転造型部材で該くさび部材を挟持して固定する付勢部材と、を有し、
さらに、全ての該固定部材の該軸部材及び該付勢部材の少なくとも一方を相対的離間するように駆動して前記くさび部材の挟持固定を開放するくさび開放固定手段を有することをことを特徴とする。
【0007】
この転造装置では、くさび開放固定手段により全ての固定部材を一度に開放できる。このため、固定部材の開放後直ちにくさび駆動手段を操作してくさび部材を移動させると共に転造型部材の位置を補正する。その後再びくさび開放固定手段を操作して、全ての固定部材でくさび部材を挟持固定する。全ての固定部材の開放固定をくさび開放固定手段が一度に実行するため、作業が簡単になる。これにより煩雑な転造型の位置補正を容易に行うことができるようになる。
【0008】
本発明の第二の転造装置は、フレームと、該フレームが有するガイドに案内されるスライド部材と、該スライド部材に案内保持された転造型部材と、該スライド部材及び該転造型部材の間に在り該スライド部材と該転造型部材の間隔を規定するくさび部材と、該くさび部材を駆動し該スライド部材と該転造型部材の間隔を変えるくさび駆動手段と、該スライド部材及び該転造型部材の一方に当接して他方側に押圧する当接部を持つ軸部材及び該軸部材の軸方向に相当移動可能に該軸部材に保持され該スライド部材及び該転造型部材の他方に当接して一方側に付勢押圧し該スライド部材及び該転造型部材で該くさび部材を所定付勢力で挟持する付勢力付与部材を有するくさび挟持付勢手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
この転造装置ではくさび挟持付勢手段は所定付勢力でくさびを挟持して固定している。本発明者はくさび挟持付勢手段でくさびを所定付勢力で挟持している状態でくさび駆動手段を駆動することによりくさび部材が駆動され、くさび挟持付勢手段を構成する軸部材と付勢力付与部材が相対的に移動してそれらの間隔を広げ、逆に狭くすることができることを見いだした。しかも、同じくさび挟持付勢手段でくさび部材を挟持した状態で転造加工を実施しても、くさび挟持付勢手段を構成する軸部材と付勢力付与部材が相対的に移動せず、当然に転造型部材も移動することがなかった。このため、この転造装置では、転造型の位置補正において、くさび挟持付勢手段の操作が不要になる。このため転造型の位置補正を極めて容易に行うことができる。
【0010】
さらに本発明の転造型の位置補正方法は、本発明の第二の転造装置を用い、前記くさび挟持付勢手段を操作することなく、前記くさび駆動手段を駆動し、該くさび挟持付勢手段による該くさび部材の挟持を所定付勢力で付勢しつつ該くさび挟持付勢手段の前記付勢力付与部材を伸縮あるいは伸張させてスライド部材と転造型部材の間隔を調整し、前記転造型部材の位置を補正することを特徴とする。
【0011】
この転造型の位置補正方法では、くさび挟持付勢手段の操作を行うことなく、くさび駆動手段の操作のみで転造型の位置補正ができる。このため転造型の位置補正を極めて容易に行うことができる。
【0012】
本発明の前記した2つの第一の転造装置、第二の転造装置及び本発明の転造型の位置補正方法で使用する転造装置は、いずれも、フレームと、スライド部材と、転造型部材と、くさび部材と、くさび部材駆動手段とを有する。
【0013】
フレームは転造装置本体フレームを意味し、このフレームは一対のスライド部材を案内する一対のガイドを有する。スライド部材はガイドに保持されガイドの延びる方向に移動可能とされている。転造型部材は転造型を有する。この転造型部材はスライド部材に相対間隔が変更可能に保持されている。くさび部材はくさび形状をした部品でスライド部材と転造型部材の間に相対移動可能に接触し、くさび部材の侵入あるいは後退により、転造型部材はスライド部材に対して互いに平行位置関係を維持した状態で、相対的に間隔が広がりあるいは間隔が狭まる。くさび駆動手段はくさび部材をスライド部材に対してくさびの延びる方向及びその逆方向に駆動する手段である。なお、これらフレームと、スライド部材と、転造型部材と、くさび部材と、くさび部材駆動手段とは、従来の転造装置に使用されている物と基本的には同じ物を使用できる。
【0014】
本発明の第一の転造装置は、スライド部材及び転造型部材の一方に当接して他方側に押圧する当接部を持つ軸部材と、この軸部材の軸方向に相当移動可能にこの軸部材に保持されスライド部材及び転造型部材の他方に当接して一方側に押圧し、スライド部材及び転造型部材でくさび部材を挟持して固定する付勢部材と、を有する固定部材と、全ての固定部材の該軸部材及び該付勢部材の少なくとも一方を相対的離間するように駆動してくさび部材の挟持固定を開放するくさび開放固定手段を有する。
【0015】
本発明の第一の転造装置の固定部材は、軸部材と付勢部材を持つ。軸部材はスライド部材及び転造型部材の一方に当接して他方側に押圧する当接部を持ち、また付勢部材は軸方向に移動可能でスライド部材及び転造型部材の他方に当接して固定している。固定部材は軸部材の当接部と付勢手段とによってスライド部材及び転造型部材とを互いに近づく方向に押圧し、スライド部材とび転造型部材との間にくさび部材を挟持固定している。
【0016】
軸部材駆動部は、軸部材を軸方向に駆動する。軸部材が軸方向に駆動されることにより、軸部材の当接部及び付勢手段の少なくとも一方が解放され、固定部材の押圧が無くなる。従って、固定部材の固定及び解放の制御を軸部材駆動部の制御で行うことが出来る。
【0017】
固定部材は、スライド部材、くさび部材及び転造型部材を固定しているため、固定部材を開放することにより、スライド部材と転造型部材との間に在るくさび部材が開放され、くさび部材を容易に駆動することができるようになる。くさび部材の駆動によってスライド部材と転造型部材の間隔が変動し、それに伴って転造型部材がくさび部材に押し出される又は押し戻される形で平行移動し、一対の転造型部材の相対位置を調整出来る。
【0018】
この調整量は作業者が機外からくさび駆動手段への指示によって決めることが出来るため、機上作業せず、また作業時間も短縮出来る。又移動量も定量化でき経験のない作業者でも容易に作業できる。
【0019】
また前記軸部材駆動部は、前記フレームに設けられる構成を取ることが出来る。
【0020】
軸部材駆動部をフレームに設けることによってスライド部材がフレームのガイドに案内されるのと同じ方法で固定部材の固定及び解除も制御出来、転造型部材の位置補正作業をより短時間で行うことが出来る。
【0021】
また前記軸部材は該軸部材が軸方向に駆動される被押圧部をもち、前記フレームが有するガイドは固定ガイドレールであり、前記軸部材駆動部は、前記固定ガイドレールに設けられ個々の該軸部材の該被押圧部と個々に当接する複数個のカム面と、該スライド部材を前記固定ガイドレールに対して相対駆動するボールネジ手段とで構成されることが出来る。
【0022】
この構成によると軸部材駆動部はフレームが有する固定ガイドレールに設けられているカム面とスライド部材を駆動する、フレームに保持されているボールネジ手段とからなる。軸部材は被押圧部を有し、被押圧部は固定ガイドレールに設けられたカム面に当接している。スライド部材はボールネジ手段によって固定ガイドレールと相対移動する。従って、スライド部材に保持される軸部材の被押圧部と、固定ガイドレールに設けられているカム面との関係によって軸部材駆動部は軸部材を軸方向に駆動することが出来る。
【0023】
この構成によるとスライド部材を移動するために用いるボールネジ手段の移動と同じボールねじ手段で固定部材の固定及び解除も制御出来、転造型部材の位置補正作業をより短時間で行うことが出来る。
【0024】
また前記軸部材駆動部は、前記スライド部材に可動に保持されている構成を取ることが出来る。この場合には軸部材駆動部をスライド部材のフレーム内の位置に関係なく任意に駆動させることが出来、転造型部材の位置補正作業を必要なときにタイミング良く行うことが出来る。
【0025】
また前記軸部材駆動部は前記スライド部材に可動に保持され、少なくとも2個の軸部材を駆動する第1リンク部材と、該スライド部材に可動に保持され少なくとも2個の該第1リンク部材を駆動する第2リンク部材と、該スライド部材に保持され該第2リンク部材を駆動する駆動手段と、からなる構成を取ることが出来る。
【0026】
このような構成をとることにより、第1リンク部材は少なくとも2個の軸部材を駆動出来る。そして第1リンク部材に第2リンク部材をリンクさせ、第2リンク部材を駆動する駆動手段を持つことにより、第2リンク部材を駆動する駆動手段によって複数の軸部材を一度に駆動することが出来る。従ってこのような構成の軸部材駆動部は一度の動作で複数の固定本体部の軸部材の固定又は解放を行うことが出来る。一度の動作で複数の固定部材の固定又は解除ができることにより、より短時間に転造型部材の位置調整をすることが出来る。
【0027】
また前記軸部材駆動部は、軸部材押圧部材と軸部材押圧部材駆動手段とからなり、前記軸部材押圧部材は前記スライド部材に可動に保持され、前記軸部材押圧部材駆動手段は前記フレームに保持されている構成を取ることが出来る。
【0028】
軸部材駆動部のうち軸部材押圧部材がスライド部材に可動に保持され、軸部材押圧部材駆動手段がフレームに設けられていることによって、特に問題なく動いているときにはスライド部材がフレームが有するガイドに案内されるのと同じ方法で固定部材の固定及び解除の制御が出来るし、必要に応じてスライド部材に可動に保持されている軸部材押圧部材を何らかの方法で駆動することによってスライド部材のフレーム内の位置に関係なく任意に固定部材の固定及び解除の制御が出来る。
【0029】
また前記軸部材は該軸部材が軸方向に駆動される被押圧部をもち、前記軸部材押圧部材は前記スライド部材に可動に保持されたカム軸に設けられ個々の該軸部材の該被押圧部と個々に当接する複数個のカム面であり、前記フレームは前記カム軸に押し当てられることによって該カム軸を上又は下に動かすことが出来る押し当て具を有し、前記軸部材押圧部材駆動手段は該カム軸が該押し当て具に押し当てられるように該スライド部材を駆動するボールネジ手段である構成を取ることが出来る。
【0030】
このような構成をとることにより軸部材は被押圧部を有し、被押圧部はスライド部材に保持されたカム軸に設けられたカム面に当接している。フレームにはカム軸に押し当てられることによってカム軸を動かすことが出来る押し当て具が保持されており、スライド部材はフレームに保持されたボールネジ手段によって移動する。スライド部材の移動によってカム軸に押し当て具が押し当てられカム軸が動いてカム面の当接位置がずれることによって軸部材の被押圧部が押圧され、固定部材が解除される。またカム軸を、他の何らかの方法で動かすことによっても固定部材が解除されるため、スライド部材のフレーム内での位置が任意の場所でも固定部材の解除及び固定の制御が出来る。
【0031】
この構成によるとスライド部材を移動するために用いるボールネジ手段の移動に同期して固定部材の固定及び解除も制御出来るし、スライド部材の移動位置によらず任意の場所でも固定部材の固定及び解除の制御が出来る。
【0032】
本発明の第二の転造装置は、スライド部材及び転造型部材の一方に当接して他方側に押圧する当接部を持つ軸部材及びこの軸部材の軸方向に相当移動可能にこの軸部材に保持されスライド部材及び転造型部材の他方に当接して一方側に付勢押圧しスライド部材及び転造型部材でくさび部材を所定付勢力で挟持する付勢力付与部材を有するくさび挟持付勢手段を有する。本発明の第二の転造装置の他の構成部分である、フレームと、このフレームが有するガイドに案内されるスライド部材と、このスライド部材に案内保持された転造型部材と、これらスライド部材及び転造型部材の間に在りスライド部材と転造型部材の間隔を規定するくさび部材と、このくさび部材を駆動しスライド部材と転造型部材の間隔を変えるくさび駆動手段は、本発明の第一の転造装置の構成要素と機能的に同じであり、従来の転造装置の構成要素と機能的に同じである。
【0033】
この第二の転造装置は、第一の転造装置と比較し、第一の転造装置の固定部材に代えてくさび挟持付勢手段を用いている。また、第一の転造装置には必須とされたくさび開放固定手段を必要としない。
【0034】
第二の転造装置のくさび挟持付勢手段は軸部材と付勢力付与部材とからなり、所定の付勢力の範囲でスライド部材及び転造型部材を互いに近づく方向に付勢し、スライド部材及び転造型部材の間にくさび部材を所定の付勢力の範囲で挟持付勢している。この第二の転造装置では、くさび駆動手段でくさび部材をスライド部材及び転造型部材に対して相対移動させることができる。即ち、スライド部材及び転造型部材は、くさび部材の移動により、互いに近づいたり遠ざかったりできる。この場合、くさび挟持付勢手段はその付勢力付与部材が押し縮められたり逆に伸張することによりスライド部材と転造型部材との相対間隔の変動を吸収している。
【0035】
付勢力付与部材は、付勢力を変える付勢力調節手段を有する構造を持つものとするのが好ましい。くさび駆動手段の駆動力の範囲でスライド部材及び転造型部材を押圧付勢する必要があり、また、転造作業中にスライド部材と転造型部材とに対してくさび部材が移動するような弱い力での押圧では転造作業はできない。最適の付勢力を与えるため付勢力調節手段を有する構造とするのが好ましい。
【0036】
付勢力付与部材を構成する軸部材にボルトを採用し、付勢力付与部材部材に圧縮バネとボルトに螺合するナットを採用することができる。ボルトとナットの締め付けで圧縮バネの圧縮量を調節しその付勢力を調節することができる。これらボルトナット及び圧縮バネは最適の付勢力を与えるための付勢力調節手段としても機能する。
【0037】
本発明の転造型の位置補正方法は、本発明の第二の転造装置の持つ機能を方法としたもので、第二の転造装置のくさび挟持付勢手段を操作することなく、くさび駆動手段を駆動し、くさび挟持付勢手段によるくさび部材の挟持を所定付勢力で付勢しつつくさび挟持付勢手段の付勢力付与部材を伸縮あるいは伸張させて転造型部材とスライド部材間の間隔を調整するものである。
【0038】
この方法では、転造装置のくさび駆動手段の駆動のみで転造型部材とスライド部材間の間隔を調整することができ極めて簡易となるさらに、スライド部材、くさび部材及び転造型部材は常に押圧されて閉じた状態にあり、これらが開いたときに起こり得るゴミ等の介在の問題も無い。
【発明の効果】
【0039】
本発明の第一の転造装置によれば、複数個の固定部材の解除及び固定をを一度に行うことができる。そのため転造型部材とスライド部材との間に挟持されるくさび部材の移動をくさび駆動手段により容易に機械的に調節出来、スライド部材に対する転造型部材の位置補正を簡単に行うことが出来る。
【0040】
本発明の第二の転造装置によれば、くさび付勢挟持手段を操作することなく、くさび駆動手段を操作して転造型部材とスライド部材との間に挟持されるくさび部材の移動が可能で、スライド部材に対する転造型部材の位置補正を簡単に行うことが出来る。
【0041】
本発明の転造型の位置補正方法は、本発明の第二の転造装置の機能を方法として規定したもので、スライド部材に対する転造型部材の位置補正を簡単に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の転造装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0043】
本発明の第一の転造装置の第一の実施形態の要部断面図を図1に示す。この転造装置は、固定ガードレール200を持つフレーム(図示せず)と、ガイドレール200に案内されるスライド部材3と、このスライド部材3に案内保持された転造型部材2と、これらスライド部材3及び転造型部材2の間に在り、これらスライド部材3と転造型部材2の間隔を規定するくさび部材7と、このくさび部材7を駆動しスライド部材3と転造型部材2の間隔を変えるくさび駆動手段1と、スライド部材3、くさび部材7及び転造型部材2を固定する3個の固定部材100と、くさび開放部材210とを有する。
【0044】
固定ガイドレール200は、所定間隔を隔てて対向するフレームの一対の対向面にそれぞれ1個づつ対向するように固定されている。図1は一対をなす一方のガイドレール200のみを示している。他方のガイドレール(図示せず)は、図1上、左側に所定間隔を隔ててフレームに固定されている。
【0045】
スライド部材3は、ガイドレール200に摺動自在に案内保持されている。なお、スライド部材3も他方のガイドレールに摺動自在に案内保持された他方のスライド部材(図示せず)と一対をなす。他方のスライド部材は、図1上、対向する他方のガイドレールの下方側でフレームの中心部にあるワーク保持部(図示せず)に対して対象の位置に位置している。そして一対のスライド部材3はスライド部材駆動手段(図示せず)により、同時にワーク保持部を対象中心として、ガイドレール200上を摺動駆動される。即ち、スライド部材3が図1上、下方に駆動されると、他方のスライド部材(図示せずは)図1上、左下位置から上方に駆動され、両スライド部材3は常にワーク保持部(図示せず)に対して対象の位置に位置することになる。
【0046】
スライド部材3の上端及び下端には、上方固定枠31及び下方固定枠32が一体的に固定されている。これら上方固定枠31及び下方固定枠32の対向面にそれぞれスライド部材3の延びる方向と直行する方向に延びるガイド部(図示せず)が設けられている。
【0047】
上方固定枠31の上側にくさび駆動手段1が固定保持され、くさび駆動手段1の駆動ねじ軸11が上方固定枠31に設けられた貫通孔(図示せず)を通って下方に延び、くさび部材7の上端部に形成された軸孔(図示せず)に螺合している。
【0048】
下方固定枠32には、スライド部材3をガイドレール200に沿って駆動する転造駆動装置のボールねじ手段18が固定されている。
【0049】
転造型部材2は、刃具21,刃具保持部22及び2個の固定具23,24とからなり、刃具21はその上端部及び下端部がそれぞれ固定具23,24で挟持された状態で刃具保持部22に固定されている。なお、刃具保持部22の刃具21と対向する面は、図1上、右下側に延びる傾斜面となっている。この転造型部材2は、スライド部材3の上方固定枠31及び下方固定枠32の対向するガイド部(図示せず)にその上端及び下端が摺動自在に保持されている。これにより転造型部材2はスライド部材3に対して摺動し、転造型部材2とスライド部材3とはその間隔が可変となる。
【0050】
くさび部材7は、スライド部材3と転造型部材2の間に挟持され、下端に進むに従い厚さが薄くなるくさび形状となっている。即ち、くさび部材7の、転造型部材2の傾斜面と当接する面は、図1上、左上側に延びる傾斜面となっている。このくさび部材7はくさび駆動手段1により、スライド部材3及び転造型部材2に対して、上下方向に駆動され、スライド部材3と転造型部材2の間隔を規定する。
【0051】
なお、これまで説明したガイドレール200を有するフレーム、スライド部材3、転造型部材2、くさび部材3等は、従来の転造装置の物と同じである。
【0052】
固定部材100は、その詳細が図2に示されているように、軸部110と係止部120とボルト130と圧縮バネ140とバネケース150とからなる。軸部110は一端が半球状の先端111を持ちその先端111より少し離れた位置に同心状のフランジ112が設けられている。軸部110の他端端面には雌ねじ穴が設けられている。係止部120は径の大きい頭部分121と径の小さい軸部分122とからなり、軸方向の中間部分に内周径の小さい段部123を持つ軸孔124が設けられている。軸部110の他端側の部分は係止部120の軸部分122の軸孔に挿入され、頭部分121の軸孔に挿入されたボルト130が軸部110の雌ねじ穴に螺合し、軸部110と係止部120とは一体的固定される。
【0053】
なお、転造型部材2の刃具保持部22には、一端側が径の小さく他端側が径の大きい段付き孔221が形成されている。固定部材100の係止部120はその段付き孔221に軸方向に相対移動可能に挿入され、係止部120の頭部分121が段付き孔221の段部123に当接するようになっている。
【0054】
また、くさび部材7には、その厚さ方向に貫通し、くさびの延びる方向に幅広のスリット71が形成されている。固定部材100の軸部110はこのスリット71を貫通している。くさび部材7は、転造型部材2及びスライド部材3に対して、固定部材100の軸部110がスリット71の両側の端面に当接するまで、相対移動可能となる。
【0055】
バネケース150は一端開口で中央に軸孔を有する有底の容器状のものである。このバネケース150には圧縮バネ140が同軸的に収納される。その後、バネケース150の開口、圧縮バネ及び有底の軸孔を通して軸部110の他端が挿入される。この状態でバネケース150はスライド部材3に設けられたくさび部材7との摺接面に開口する有底穴151に挿入され、図示しないボルトでスライド部材3に固定される。この状態で、圧縮バネ140はスライド部材3の有底穴151の底面と軸部110のフランジ112の間で圧縮され、圧縮状態で有底穴151内に保持される。
【0056】
バネケース150をスライド部材3に固定する方法を説明したのに続けて固定部材100をスライド部材3,くさび部材7及び転造型部材2の刃具保持部22に組み付ける方法を説明する。
【0057】
バネケース150をスライド部材3に固定した後、スライド部材3の摺動面から突出する軸部110をくさび部材7のスリット71に挿入するようにしてくさび部材7をスライド部材3の摺動面に当接させる。この後、転造型部材2の刃具保持部22の段付き孔221に軸部110の他端を挿入するようにして刃具保持部22をくさび部材7に重ねる。そして段付き孔221の他端側から係止部120を挿入し、係止部120先端側の軸孔に軸部110の他端を挿入する。その後、係止部120の他端側の軸孔にボルト130を挿入すると共にボルト130と軸部110の雌ねじ穴を螺合させ、軸部110の他端に係止部120を固定する。これで固定部材100は所定位置に配置固定されたことになる。図2はこの状態を示している。
【0058】
固定部材100の機能であるスライド部材3と転造型部材2によるくさび部材7の挟持は次の通りである。圧縮バネ140がスライド部材3に固定されたバネケース150の有底穴の底面と軸部110のフランジ112の間で圧縮状態で保持されるため、圧縮バネ140はバネケース150を介してスライド部材3をくさび部材7の方向に押圧する。一方圧縮バネ140は軸部110のフランジ112を押圧しており、この押圧力は軸部110及び係止部120を介して転造型部材2をくさび部材7の方向に押圧する。即ち、圧縮バネ140のバネ力によりくさび部材7はスライド部材3と刃具保持部22とで挟持付勢されていることになる。
【0059】
くさび開放部材210は、図1にその縦断面が示されているように、ガイドレール200に3個設けられている。各くさび開放部材210はそれぞれた3個の各固定部材100と近接して設けられている。くさび開放部材210は、上端より下端に向かって傾斜面となるカム面を持つ部材で構成され、その両端部がボルトによりフレームのガイドレール200に固定されている。3個のくさび開放部材210の各カム面は、スライド部材3(及びくさび部材7と転造型部材2)がガイドレール200に沿って転造駆動装置(図示せず)により駆動されることにより3個の固定部材100の軸部110の球状の各先端111と当接する。そして、カム面上を軸部110の先端111が滑ることにより軸部110が図1上左方向に移動する。そして、軸部110の他端に固定された係止部120が刃具保持部22の段付き孔221の段部123から離れる。段部123から離れることにより軸部110が刃具保持部22をくさび部材7に付勢する力が無くなり、くさび部材7のスライド部材3と刃具保持部22による挟持から開放される。これによりくさび部材7はスライド部材3と刃具保持部22に対して容易に相対移動可能となる。
【0060】
なお、くさび開放部材210がガイドレール200に固定されている位置は、通常の転造加工時にスライド部材3がガイドレール200上を移動する部分とは離れた、位置に設けられている。従って、転造加工時にくさび開放部材210が固定部材100の軸部110と当接することはない。
【0061】
くさび部材7が開放された状態で、くさび駆動手段1によりくさび部材7を図1上、上方向又は下方向の所定位置に駆動する。そして、再び転造駆動装置(図示せず)によりスライド部材3(及びくさび部材7と転造型部材2)をガイドレール200に沿って駆動することにより3個の固定部材100の各軸部110の先端111が3個のくさび開放部材210の各カム面上を滑り、カム面から離れる。これにより3個の全ての固定部材100の軸部110が圧縮バネ140の付勢力で図2上右方向に動き、軸部110の他端に固定された係止部120が刃具保持部22の段付き孔221の段部123に当接し、段部123を図2上、右方向に付勢する。即ち、刃具保持部22を持つ転造型部材2が図2上、右方向に付勢され、再びくさび部材7はスライド部材3と転造型部材2とで挟持されることになる。この状態で転造型部材2はくさび部材7が動いた距離に応じてスライド部材より離れあるいは近接することになる。これにより転造型部材2の位置を調節することができる。
【0062】
本発明の第一実施形態の転造装置は、転造装置が持つ転造駆動装置の動きを利用し、転造駆動装置によりスライド部材7を所定位置に駆動することにより、全ての固定部材100を同時に作用させたり逆に作用を無くしたりすることができる。これにより転造型部材2のスライド部材に対する位置調節が容易となる。
【0063】
本発明の第一の転造装置の第二の実施形態の転造装置を図3を用いて説明する。なお、第一実施形態の転造装置と同じ部分については同じ符号を使用し、同じ部分についての説明を簡略する。
【0064】
この第二実施態様の転造装置は、そのくさび開放部材230及び固定部材160が第一実施態様の転造装置と異なり、その他の部材は第一実施態様の転造装置とほぼ同じである。
【0065】
この転造装置の固定部材160は、第一実施態様の固定部材100のバネケース150を採用していない。バネケース150に代えて、スライド部材3に設けた段付き孔穴135と軸孔166を有するストッパ165を採用している。段付き孔135は、第一実施態様と同じ軸部110の半球状の先端111部分が挿通する径小孔部と、これに続く軸部110のフランジ112及び圧縮バネ140が収納される中央孔部と、これに続きストッパ165が配置固定される径大孔部との2段孔となっている。この段付き孔135には、図3に示すように、軸部110の先端部分及びフランジ部112及び圧縮バネ140を挿通収納し、最後にストッパ165で圧縮バネ140を圧縮した状態としながらその径大孔部に装着し図示しないボルトでスライド部材3に固定する。この状態で軸部110は圧縮バネに付勢されてその先端111が段付き孔135より突出している。固定部材160の他の部分は第一実施態様の固定部材100の部分と同じである。
【0066】
くさび開放部材230はガイドレール(図示せず)と別体のカム棒で構成されている。このカム棒からなる開放部材230はスライド部材3にくさび部材7の移動方向と平行に移動可能に保持されている。さらに、スライド部材3に保持されている各固定部材160に対向するそれぞれの部分に所定長さの浅溝231が形成されている。固定部材160がスライド部材3と転造型部材2とでくさび部材7を挟持付勢する状態では、固定部材160の軸部110の先端111はこの浅溝231の底面と当接することなく浅溝231内に位置している。また、このくさび開放部材230は図示しない圧縮バネで図3の位置に下方向に付勢されている。
【0067】
くさび開放部材230はこの転造装置のフレーム(図示せず)に固定された当接棒240を必要とする。当接棒240は、転動駆動装置(図示せず)によりフレームのガイドレールに沿ってスライド部材3が移動することにより共に移動するくさび開放部材230の先端と当接して開放部材230を止めるものである。スライド部材3は転動駆動装置によりさらに移動するがくさび開放部材230が当接棒240で止められているため、くさび開放部材230は図示しない圧縮バネの付勢力に逆らい、スライド部材3に対して相対移動する。図3上では、スライド部材3に対して、くさび開放部材230が下方に動く。このくさび開放部材230の動きは、その浅溝231内を固定部材160の軸部110の先端111が移動し下方に下がり、浅溝231から出てくさび開放部材230の表面により押し込まれ、軸部110は図3上、右方向に押される。そして固定部材230の係止部120が刃具保持部22の段付き孔221の段部123から離れる。これにより固定部材160の固定が解除され、くさび部材7はスライド部材3及び転造型部材2に対して容易に相対移動可能となる。
【0068】
転動駆動装置によりフレームのガイドレールに沿ってスライド部材3を下方に移動させることにより、くさび開放部材230と当接棒240との当接を断つ。これによりくさび開放部材230は、図示しない圧縮バネに付勢されて、スライド部材3に対して相対移動し、図3の位置に戻る。これにより固定部材160は本来の機能を発揮し、スライド部材3と転造型部材2とでくさび部材7を挟持固定する。
【0069】
この第二実施態様も、第一実施態様の転造装置と同じく、転動駆動装置の駆動によりくさび開放部材230が働き、全ての固定部材160を同時に開放あるいは機能させることができる。これにより転造型部材2のスライド部材3に対する位置調節が容易となる。
【0070】
本発明の第一の転造装置の第三実施形態の転造装置を図4及び図5を用いて説明する。なお、第一実施形態の転造装置と同じ部分については同じ符号を使用し、同じ部分についての説明を簡略する。
【0071】
この第三実施態様の転造装置は、そのくさび開放部材250及び固定部材170が第一実施態様の転造装置と異なり、その他の部材は第一実施態様の転造装置とほぼ同じである。
【0072】
この転造装置の固定部材170は、第一実施態様の固定部材100のバネケース150を採用していない。バネケース150に代えて、図5に示す、スライド部材3に設けた段付き孔穴136を採用している。段付き孔136は、くさび部材7側に開口する小径孔137と反対側に開口する大径孔138とからなる。また、第一実施態様の軸部110に対応する軸部171は一端側がフランジ部172となり、先端面はフランジ面となっている。固定部材170の他の部分は、第一実施態様の固定部材100と同じである。
【0073】
段付き孔136の大径孔136には圧縮バネ140が同軸的に収納され、軸部171の他端側が圧縮バネ140の中心を通り、大径部136及び小径部137を挿通している。軸部171の他端側は第一実施態様の固定部材100と同じである。
【0074】
この固定部材170は圧縮バネ140の付勢力により、直接スライド部材3がくさび部材7側に押圧され、圧縮バネ140の他端側でフランジ172が図5上、右方向に押圧され、その押圧力は軸部171及び係止部120を介して転造型部材2をくさび部材7側に押圧し、くさび部材7をスライド部材3と転造型部材2で挟持固定している。
【0075】
くさび開放部材250は、一側面が欠けた円柱状のカム251と、このカム251を回動自在に収納保持する一側面側及び両端が開口する円柱状孔252を持ち、スライド部材3の段付き孔136の大径孔136の開口から装着され図示しないボルトでスライド部材3に固定された軸受け部253と、図4に示す、カム251の一端に固定されたアーム254とアーム254の他端を揺動自在に係合する連結棒255と連結棒255を軸方向に移動させる駆動部255とからなる。連結棒255には、図4に示すように、3個の固定部材170に対応するカム251が係合し、駆動部256の押すあるいは引く動作により連結棒255が図4上、下方あるいは上方に移動し、これにより3個のカム251が同時に左方向あるいは右方向に回動する。カム251の回動により、図5に示す、カム251の欠損部が軸部171のフランジ172の端面に対向していた状態から、カム251の回転によりフランジ172の端面は欠損部から円柱面に当接するようになり、円柱面に押されてフランジ172及び軸部171が図5上、下方に押され、軸部171の下端に固定された係止部120が刃具保持部22の段付き孔221の段部123から離れる。これにより固定部材170の固定が解除され、くさび部材7はスライド部材3及び転造型部材2に対して容易に相対移動可能となる。
【0076】
駆動部255を逆方向に駆動し、カム251の欠損部をフランジ172の端面と対向する位置に回動するとカム251による軸部の移動が解除され、フランジ172を持つ軸部171が図5上、上方向に復帰し、固定部材170は本来の機能を発揮し、スライド部材3と転造型部材2とでくさび部材7を挟持固定する。
【0077】
この第三実施態様も、第一実施態様の転造装置と同じように、駆動部255の駆動によりくさび開放部材250が働き、全ての固定部材170を同時に開放あるいは機能させることができる。これにより転造型部材2のスライド部材3に対する位置調節が容易となる。
【0078】
本発明の第二の転造装置の第一実施態様の転造装置を図6及び図7により説明する。この転造装置は、前記した第一の転造装置の第一実施態様の転造装置と同じく、固定ガードレール200を持つフレームと、固定ガイドレール200に案内されるスライド部材3と、このスライド部材3に案内保持された転造型部材2と、これらスライド部材3及び転造型部材2の間に在り、これらスライド部材3と転造型部材2の間隔を規定するくさび部材7と、このくさび部材7を駆動しスライド部材3と転造型部材2の間隔を変えるくさび駆動手段1とを有する。しかしこの転造装置は、第一の転造装置の第一実施態様の転造装置に用いられている固定部材に代えて、スライド部材3、くさび部材7及び転造型部材2を所定付勢力で挟持付勢するくさび挟持付勢手段400を有する。また、この転造装置は第一の転造装置の第一実施態様の転造装置が有するくさび開放部材を持たない。
【0079】
くさび挟持付勢手段400は、図2に示す固定部材100を利用して作ったもので、多くの部分で共通している。このくさび挟持付勢手段400は、図7に示すように、軸部410と係止部420とボルト430と圧縮バネ440とバネケース450とからなる。軸部410はその一端に同心状のフランジ412が設けられている。軸部410の他端端面には雌ねじ穴が設けられている。係止部420は径の大きい頭部分421と径の小さい軸部分422とからなり、軸方向の中間部分に内周径の小さい段部423を持つ軸孔424が設けられている。軸部410の他端側の部分は係止部420の軸部分422の軸孔に挿入され、頭部分421の軸孔に挿入されたボルト430が軸部410の雌ねじ穴に螺合し、軸部410と係止部420とは一体的固定される。
【0080】
バネケース450は一端開口で中央に軸孔を有する有底の容器状のものである。このバネケース450には圧縮バネ440が同軸的に収納される。その後、バネケース450の開口、圧縮バネ及び有底の軸孔を通して軸部410の他端が挿入される。この状態でバネケース450はスライド部材3に設けられたくさび部材7との摺接面に開口する有底穴151に挿入され、図示しないボルトでスライド部材3に固定される。この状態で、圧縮バネ440はスライド部材3の有底穴151の底面と軸部410のフランジ412の間で圧縮され、圧縮状態で有底穴451内に保持される。
【0081】
なお、このくさび挟持付勢手段400が配置される転造型部材2の刃具保持部22、くさび部材7及びスライド部材3は、図2に示す転造型部材2の刃具保持部22、くさび部材7及びスライド部材3とほぼ同一である。異なる部分は、この実施態様のスライド部材3の有底穴451は図2の有底穴151の底に開口する通孔を有しない点のみである。従ってその説明は省略する。
【0082】
くさび挟持付勢手段400の機能であるスライド部材3と転造型部材2によるくさび部材7の挟持は次の通りである。圧縮バネ440がスライド部材3に固定されたバネケース450の有底穴451の底面と軸部410のフランジ412の間で圧縮状態で保持されるため、圧縮バネ440はバネケース450を介してスライド部材3をくさび部材7の方向に押圧する。一方圧縮バネ440は軸部410のフランジ412を押圧しており、この押圧力は軸部410及び係止部420を介して転造型部材2をくさび部材7の方向に押圧する。即ち、圧縮バネ440のバネ力によりくさび部材7はスライド部材3と刃具保持部22とで挟持付勢されていることになる。
【0083】
さらに、このくさび挟持付勢手段400では圧縮バネ450の軸方向の伸張及び伸縮を活用している。即ち、くさび挟持付勢手段400は、くさび部材7はスライド部材3と刃具保持部22を挟持付勢の機能を維持した状態で、スライド部材3と刃具保持部22との間の間隔を変えることができることである。間隔が広がる場合には、圧縮バネは450はさらに圧縮されて軸方向に伸縮し、スライド部材3と刃具保持部22との間の間隔の広がりを許容する。逆に狭まる場合は、圧縮バネは450は圧縮が緩和され軸方向に伸張してスライド部材3と刃具保持部22との間の間隔の狭まりを許容する。
【0084】
本発明の第二の転造装置の第一実施態様の転造装置は上記した構成を持つ。
【0085】
本発明の転造型の位置補正方法は、この転造装置を用いている。そしてこの転造装置の転造加工のなされていないときに、くさび挟持付勢手段400を操作することなく、直ちにくさび駆動手段1を駆動して、くさび部材7をスライド部材3及び転造型部材2に対して相対移動させスライド部材3と転造型部材2の間隔を調整するものである。
【0086】
転造型の位置補正がくさび駆動手段1の駆動のみで達成でき、極めて簡単になる。
【0087】
次に、本発明の第二の転造装置の第二実施形態の転造装置を説明する。この転造装置は、前記した図6に示す、第一実施態様の転造装置と同じく、固定ガードレール200を持つフレームと、固定ガイドレール200に案内されるスライド部材3と、このスライド部材3に案内保持された転造型部材2と、これらスライド部材3及び転造型部材2の間に在り、これらスライド部材3と転造型部材2の間隔を規定するくさび部材7と、このくさび部材7を駆動しスライド部材3と転造型部材2の間隔を変えるくさび駆動手段1とを有する。
【0088】
しかしこの第二実施形態の転造装置は、第一実施態様のくさび挟持付勢手段400に代えて、図8に示すくさび挟持付勢手段500を採用している。
【0089】
この転造装置の固定ガードレールを持つフレームと、ガイドレールに案内されるスライド部材3と、このスライド部材3に案内保持された転造型部材2と、これらスライド部材3及び転造型部材2の間に在り、これらスライド部材3と転造型部材2の間隔を規定するくさび部材7と、このくさび部材7を駆動しスライド部材3と転造型部材2の間隔を変えるくさび駆動手段1とは、第一実施態様の転造装置と同じであるので説明を省略する。
【0090】
この転造装置を特色づけるくさび挟持付勢手段500は、ボルト510と四角柱状のナット520と圧縮バネ530とからなる。このくさび挟持付勢手段500が取り付けられる転造型部材2の刃具保持部22には、くさび部材7側が径の小さく他端側が径の大きい段付き孔221が形成されている。また、くさび部材7には、その厚さ方向に貫通し、くさびの延びる方向に幅広のスリット71が形成されている。スライド部材3には、くさび部材7側が径の小さい断面円形の通孔311と他端側が断面正方形で他端に開口するバネ室312とからなる段付き孔31が形成されている。
【0091】
くさび挟持付勢手段500のボルト510は、その軸部先端より挿入され、刃具保持部22の段付き孔221の径の大きい端面側から段付き孔221を挿通し、さらにくさび部材7のスリット71を通り、最後にスライド部材3の段付き孔221の通孔311を通りバネ室312に延びている。ボルト510の頭部は刃具保持部22の段付き孔221の径の大きい孔内に収納され段付き孔221の段部と当接している。
【0092】
ボルト510の軸部の先端部分が収容されたスライド部材3のバネ室312には、その開口より圧縮バネ530を構成する巻きバネがボルト510の軸部に装着され、その後断面正方形のナット520が挿入される。その後、刃具保持部22に収納されているボルト510の頭部をネジ締め方向に回転し、ボルト510とナット520とを螺合させ、さらにネジ締めを行い、圧縮バネ530を段付き孔31の段部とナット520との間で圧縮し、所定の圧縮力を付与させる。これにより圧縮バネ530によりスライド部材3はその段付き孔の段部よりくさび部材7側に付勢され、刃具保持部22はその段付き孔221の段部よりくさび部材7側に付勢され、くさび部材7はスライド部材3と刃具保持部22とで所定付勢力で挟持付勢される。
【0093】
このくさび挟持付勢手段500も第一実施態様の転造装置と同じく、3個のくさび挟持付勢手段500が用いられ、3個のくさび挟持付勢手段500でくさび部材7をスライド部材3と刃具保持部22とで挟持付勢している。
【0094】
この第二実施態様の転造装置は上記した構成を持つ。この転造装置では、くさび挟持付勢手段500の付勢力を適切に調節することにより、転造可能な状態でくさび駆動手段を駆動し、くさび部材7をスライド部材3及び刃具保持部22に対して摺動させ、スライド部材3と刃具保持部22との間隔を調整できる。くさび駆動手段によるくさび部材の駆動が困難である場合にはくさび挟持付勢手段500のボルト510とナット520とを閉め戻し、圧縮バネ530の圧縮程度を低くすることにより容易に対応できる。
【0095】
この第二実施態様の転造装置では、ボルト510の頭部を刃具保持部22に係止させナット520をスライド部材3に係止させたが、当然にボルト510の頭部をスライド部材3に係止させるものでも良い。
【0096】
また、第一の転造装置の第一、第二及び第三実施態様の転造装置の固定部材100、160及び170も圧縮バネ140を用いている。従って、この圧縮バネ140の圧縮量を調節することができ、所定の圧縮力を得ることができる。従って、第一、第二及び第三実施態様の転造装置の固定部材100、160及び170も第二の転造装置の実施態様の転造装置のくさび挟持付勢手段としての機能を持つ。即ち、第一、第二及び第三実施態様の転造装置の固定部材100、160及び170の圧縮バネ140を所定圧縮量とし、くさび部材7をスライド部材3と刃具保持部22とで所定付勢力で挟持付勢することにより、くさび開放部材210、230および250を使用することなく、くさび駆動手段を駆動し、スライド部材3と刃具保持部22との間隔を調整できる。
【0097】
本発明の転造型の位置補正方法は、本発明の第二の転造装置を用いている。そしてこの転造装置の転造加工のなされていないときに、くさび挟持付勢手段を操作することなく、直ちにくさび駆動手段を駆動して、くさび部材をスライド部材及び転造型部材に対して相対移動させスライド部材と転造型部材の間隔を調整するものである。
【0098】
転造型の位置補正がくさび駆動手段の駆動のみで達成でき、極めて簡単になる。
【0099】
本発明の転造装置は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第一の転造装置の第一実施形態の要部断面図である。
【図2】図1に示した固定部材を示す一部拡大断面図である。
【図3】本発明の第一の転造装置の第二実施形態の要部断面図である。
【図4】本発明の第一の転造装置の第三実施形態の要部断面図である。
【図5】図4で示した固定部材を示す一部拡大断面図である。
【図6】本発明の第二の転造装置の第一実施形態の要部断面図である。
【図7】図6に示したくさび挟持付勢手段を示す一部拡大図である。
【図8】本発明の第二の転造装置の第二実施形態の要部断面図である。
【符号の説明】
【0101】
1:くさび駆動手段、2:転造型部材、3:スライド部材、4:駆動手段、
7:くさび部材、18:ボールネジ手段、21:刃具、22:刃具保持部、
100、160、170:固定部材、400、500:くさび挟持付勢手段
【出願人】 【識別番号】591139574
【氏名又は名称】株式会社CNK
【出願日】 平成19年7月27日(2007.7.27)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏


【公開番号】 特開2008−80399(P2008−80399A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2007−196590(P2007−196590)