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歯車の転造方法 - 特開2008−49384 | j-tokkyo
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【発明の名称】 歯車の転造方法
【発明者】 【氏名】鈴木 登史克

【氏名】梅林 義弘

【要約】 【課題】製造コストを低く抑えつつ、歯面に高精度なクラウニング形状が成形される歯車の転造方法を提供する。

【構成】歯車の転造方法は、外周面20aを含むワーク15を準備する工程と、平形ダイス51および56により、外周面20aに歯車の歯形を転造する工程とを備える。平形ダイス51および56は、外周面20aに歯車の歯面を成形する転造面を含む。転造面は、歯車の歯すじ方向に平行に延在する。歯車の回転軸方向において外周面20aの幅B1よりも転造面の幅B2の方が大きい。歯車の歯形を転造する工程は、歯車の歯面にクラウニング形状を成形する工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面を含むワークを準備する工程と、
転造ダイスにより、前記外周面に歯車の歯形を転造する工程とを備え、
前記転造ダイスは、前記外周面に前記歯車の歯面を成形する転造面を含み、
前記転造面は、前記歯車の歯すじ方向に平行に延在し、かつ前記歯車の回転軸方向において前記外周面よりも大きい長さを有し、
前記歯車の歯形を転造する工程は、前記歯車の歯面にクラウニング形状を成形する工程を含む、歯車の転造方法。
【請求項2】
前記ワークを準備する工程は、前記外周面の直径が前記歯車の回転軸方向に沿った中心部から端部に向かうに従って徐々に減じるように、前記外周面をテーパ形状に加工する工程を含む、請求項1に記載の歯車の転造方法。
【請求項3】
前記ワークは、前記歯車の回転軸方向に間隔を設けて並び、前記外周面が形成される第1歯車形成部および第2歯車形成部と、前記外周面よりも小さい直径を有し、前記第1歯車形成部と前記第2歯車形成部との間を連結するシャフト部とをさらに含み、
前記歯車の歯形を転造する工程は、前記第1歯車形成部の前記外周面に第1歯車の歯形を転造すると同時に、前記第2歯車形成部の前記外周面に第2歯車の歯形を転造する工程を含む、請求項1または2に記載の歯車の転造方法。
【請求項4】
1組の前記転造ダイスにより、前記第1歯車の歯形および前記第2歯車の歯形を転造する、請求項3に記載の歯車の転造方法。
【請求項5】
前記シャフト部は、前記第1歯車および前記第2歯車の歯底よりも小さい直径を有する、請求項3または4に記載の歯車の転造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、歯車の転造方法に関し、より特定的には、歯車の転造工程と同時に歯面にクラウニング形状を施す歯車の転造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯車の転造方法に関して、たとえば、特開2005−81391号公報には、外歯車を押出し成形により形成する際の押出し成形工程において、同時にクラウニング加工を施すことを目的とした外歯車の押出し成形方法が開示されている(特許文献1)。素材の塑性加工速度を速くすると、素材のダイスに対する加工抵抗が高くなり、素材の充填率が低下するため、型転写性が悪くなる。一方、素材の塑性加工速度を遅くすると、素材のダイスに対する変形抵抗は低く、素材の充填率が向上するため、型転写性が良くなる。特許文献1では、この原理を利用して、ダイスに対する素材の送り速度を変化させることによって、外歯車にクラウニング形状を与える。
【0003】
また、特開2000−129312号公報には、焼結歯車の表面密度の向上を図り、かつ歯車部を高精度に仕上げ転造し、さらに汎用性を有することを目的とした焼結歯車の仕上げ転造方法が開示されている(特許文献2)。特許文献2では、ワークの移動軌跡を制御可能とする転造装置を用いて、歯車の歯面にクラウニング形状を形成する。
【特許文献1】特開2005−81391号公報
【特許文献2】特開2000−129312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯車作製時の歯すじ方向の形状誤差、軸ずれ、組み付け誤差、運転時の歯車や軸のたわみ等に起因して、歯車の歯面同士の接触面積が小さくなる片当たり状態が生じることがある。これに対して、上述の特許文献1および2に開示されるように歯面にクラウニング形状を施すことによって、この片当たり状態を抑制することができる。
【0005】
しかしながら、歯車の転造時に歯面にクラウニング形状を形成するため、その逆形状が加工されたクラウニングダイスを用いると、ダイス自体が高価になる。また、クラウニングダイス全体に均一な転造荷重が負荷しないため、ダイスの位置によって摩耗の進行に差が生じる。このため、高精度なクラウニング形状を安定して得ることが難しくなる。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、製造コストを低く抑えつつ、歯面に高精度なクラウニング形状が成形される歯車の転造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った歯車の転造方法は、外周面を含むワークを準備する工程と、転造ダイスにより、外周面に歯車の歯形を転造する工程とを備える。転造ダイスは、外周面に歯車の歯面を成形する転造面を含む。転造面は、歯車の歯すじ方向に平行に延在し、かつ歯車の回転軸方向において外周面よりも大きい長さを有する。歯車の歯形を転造する工程は、歯車の歯面にクラウニング形状を成形する工程を含む。
【0008】
このように構成された歯車の転造方法によれば、歯車の回転軸方向において、転造面が外周面よりも長いため、転造工程時、塑性変形するワークの材料が、歯すじ方向に制約を受けることなく伸びる。この際、歯厚方向における両端部の伸びが中心部の伸びよりも小さくなり、結果、歯面にクラウニング形状が成形される。
【0009】
本発明では、転造面にクラウニング形状の逆形状が加工されたクラウニングダイスではなく、転造面が歯すじ方向に平行に延在する転造ダイスを用いる。このため、ダイスの費用を安価にし、歯車の製造コストを低く抑えることができる。また、クラウニングダイスを用いる場合と比較して、ダイスに負荷する転造荷重を均一化できる。このため、高精度なクラウニング形状を安定して歯面に成形することができる。
【0010】
また好ましくは、ワークを準備する工程は、外周面の直径が歯車の回転軸方向に沿った中心部から端部に向かうに従って徐々に減じるように、外周面をテーパ形状に加工する工程を含む。このように構成された歯車の転造方法によれば、外周面に加工されるテーパ形状を通じて、歯面に成形されるクラウニング形状の大きさを調整することができる。
【0011】
また好ましくは、ワークは、第1歯車形成部および第2歯車形成部と、シャフト部とをさらに含む。第1歯車形成部および第2歯車形成部は、歯車の回転軸方向に間隔を設けて並ぶ。第1歯車形成部および第2歯車形成部には、外周面が形成される。シャフト部は、外周面よりも小さい直径を有する。シャフト部は、第1歯車形成部と第2歯車形成部との間を連結する。歯車の歯形を転造する工程は、第1歯車形成部の外周面に第1歯車の歯形を転造すると同時に、第2歯車形成部の外周面に第2歯車の歯形を転造する工程を含む。
【0012】
このように構成された歯車の転造方法によれば、シャフト部を設けることによって、転造工程時に歯すじ方向に流動するワークの材料が、第1歯車形成部と第2歯車形成部との間で干渉することを抑制できる。これにより、高精度な歯形形状を備える第1歯車および第2歯車を作製することができる。
【0013】
また好ましくは、1組の転造ダイスにより、第1歯車の歯形および第2歯車の歯形を転造する。このように構成された歯車の転造方法によれば、転造面が歯すじ方向に平行に延在する転造ダイスを用いることにより、1組の転造ダイスによって第1歯車および第2歯車の歯形を同時に転造することができる。これにより、歯車の製造コストをさらに低く抑えることができる。
【0014】
また好ましくは、シャフト部は、第1歯車および第2歯車の歯底よりも小さい直径を有する。このように構成された歯車の転造方法によれば、転造工程時に歯すじ方向に流動するワークの材料が、第1歯車形成部と第2歯車形成部との間で干渉することをさらに効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、この発明に従えば、製造コストを低く抑えつつ、歯面に高精度なクラウニング形状が成形される歯車の転造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における歯車の転造方法の工程を示すフローチャート図である。図1を参照して、本実施の形態における歯車の転造方法は、ワークを準備する工程(S1000)と、ワークに歯車の歯形を転造する工程(S2000)と、歯形が転造されたワークに仕上げ加工を実施する工程(S3000)とを備える。
【0018】
図2は、図1中のS1000に示す工程を説明するための粗材の断面図である。図2を参照して、まず、粗材11を旋削加工することによって、歯車の基材となるワーク15を準備する。
【0019】
ワーク15は、中心軸101を中心に延在する外周面20aを含む。中心軸101は、ワーク15から作製される歯車の回転軸となる。ワーク15は、中心軸101の軸方向、すなわち歯車の回転軸方向において幅B1を有する。外周面20aは、歯車の回転軸方向において幅B1を有する。
【0020】
ワーク15は、大径部20および小径部25を含んで構成されている。大径部20には、外周面20aが形成されている。大径部20には、図1中のS2000に示す転造工程において歯車の歯形が転造される。小径部25は、中心軸101の軸方向において大径部20の両側に形成されている。小径部25の直径は、大径部20の直径、すなわち外周面20aの直径よりも小さい。
【0021】
図3は、図1中のS2000に示す工程を説明するための歯車転造装置の図である。図4は、図3中のIV−IV線上に沿った歯車転造装置の図である。図3および図4を参照して、次に、ワーク15を歯車転造装置50にセッティングし、ワーク15の外周面20aに歯車の歯形を転造する。
【0022】
歯車転造装置50は、平形ダイス51および56を備える。平形ダイス51と平形ダイス56とは、組になって外周面20aに歯車の歯形を転造する。平形ダイス51および56は、ラック形ダイスである。平形ダイス51と平形ダイス56とは、互いに間隔を隔てて向い合って配置されている。平形ダイス51および56は、ワーク15に転造する歯形が加工された歯形部60を含む。平形ダイス51の歯形部60と平形ダイス56の歯形部60とは、互いに対向して配置されている。
【0023】
転造工程時、平形ダイス51と平形ダイス56とは、間隔を保ったまま互いに反対方向に平行移動される。ワーク15は、平形ダイス51と平形ダイス56との間に挟持された状態で、中心軸101を中心に回転する。この回転とともに、平形ダイス51および56の歯形部60がワーク15の大径部20を塑性変形させ、外周面20aに歯形を転造する。
【0024】
図5は、図3中の平形ダイスの斜視図である。歯形部60は、ワーク15に歯車の歯面を成形する転造面65を含む。歯面は、歯車の噛み合い面を構成する表面である。転造工程時、ワーク15に成形される歯車の歯面と、転造面65とが向い合う。転造面65は、ワーク15から作製される歯車の歯すじ方向に平行に延在する。歯すじ方向は、歯車の歯の山あるいは谷が延びる方向である。転造面65は、歯車の歯すじ方向に沿って平面状に延在する。転造面65は、歯車の歯すじ方向に沿って湾曲しない。複数の転造面65が、歯車の歯すじ方向に沿って互いに平行に延在する。歯形部60は、歯車の歯すじ方向に直交する平面で切断された場合に、いずれの断面位置においても同一形状を有する。歯形部60は、ワーク15に歯車の歯底を成形する頂面66と、歯車の歯先を成形する底面67とをさらに含む。
【0025】
平形ダイス51および56は、中心軸101の軸方向、すなわち歯車の回転軸方向において幅B2を有する。転造面65は、歯車の回転軸方向において幅B2を有する。幅B2は、幅B1よりも大きい。歯車の回転軸方向における外周面20aの全幅が、転造面65に重なる。
【0026】
図6は、図4中の2点鎖線VIで囲まれた範囲を示すワークの断面図である。図中において、転造前のワーク15の形状が実線で示され、転造後のワーク15の形状が点線で示されている。図7は、図6中のVII−VII線上に沿ったワークの断面図である。
【0027】
図6および図7を参照して、外周面20aに歯形が転造される際、歯形部60によって塑性変形されたワーク15の材料が、歯車の歯すじ方向(矢印103に示す方向)と、中心軸101を中心とする半径方向との双方に流動する。結果、ワーク15は、歯車の歯すじ方向に長さL1だけ伸び、中心軸101を中心とする半径方向に長さL2だけ伸びる。このとき、流動するワーク15の材料にダレが生じる結果、歯車の歯すじ方向において、歯車の歯厚方向(図7中の矢印102に示す方向)の両端部における伸び量が、中心部における伸び量よりも小さくなる。このため、ワーク15に転造される歯面31にクラウニング形状が成形される。
【0028】
本実施の形態では、平形ダイス51および56の幅B2が外周面20aの幅B1よりも大きく設定されている。このため、歯形の転造時、歯すじ方向に伸びるワーク15の材料の流動が、塑性変形されないワーク15によって妨げられるということがない。このため、ワーク15の材料に生じるダレが促進され、歯面31により積極的にクラウニング形状を成形することができる。
【0029】
図8は、クラウニング形状が成形された歯車の歯の斜視図である。図7および図8を参照して、クラウニング形状が形成された歯車では、一対の歯面31間の長さC、すなわち歯厚が、歯すじ方向に沿った歯の中心部から両端部に向かうに従って徐々に小さくなる。歯面31は、歯すじ方向に沿って湾曲する表面を含む。
【0030】
図9は、図1中のS3000に示す工程を説明するためのワークの図である。図9を参照して、外周面20aに歯形が転造されたワーク15を旋盤にセッティングし、ワーク15に突切り加工を実施する。これにより、大径部20から小径部25を分離する。以上の工程により、歯面31にクラウニング形状が成形された平歯車30が完成する。
【0031】
本実施の形態では、平歯車30が、平形ダイス51および56によって転造された大径部20の全体または一部から形成されている。すなわち、S3000に示す工程において、製品に必要な大径部20の軸方向寸法と、クラウニング形状とが満足されれば、大径部20の一部が除去されても良い。
【0032】
平歯車30は、たとえば、車両やそのエンジンに搭載される各種アクチュエータ機器に組み込まれる。平歯車30は、これに限られず、動力の伝達を行なう各種機構に組み込まれる。また、本実施の形態では、粗材11から平歯車30を作製する場合について説明したが、これに限られず、たとえば、はすば歯車の作製に本発明における歯車の転造方法を適用することもできる。
【0033】
この発明の実施の形態1における歯車の転造方法は、外周面20aを含むワーク15を準備する工程(S1000)と、転造ダイスとしての平形ダイス51および56により、外周面20aに歯車の歯形を転造する工程(S2000)とを備える。平形ダイス51および56は、外周面20aに歯車の歯面31を成形する転造面65を含む。転造面65は、歯車の歯すじ方向に平行に延在し、かつ歯車の回転軸方向において外周面20aよりも大きい長さを有する。歯車の歯形を転造する工程(S2000)は、歯車の歯面31にクラウニング形状を成形する工程を含む。
【0034】
図10は、クラウニングダイスの斜視図である。図10は、図5に対応する図である。図10を参照して、クラウニングダイス151は、ワークに歯車の歯面を成形する転造面165を含む。転造面165は、歯面にクラウニング形状を転写する逆クラウニング形状を有する。転造面165は、歯面に成形されるクラウニング形状に倣った形状を有する。転造面165は、歯車の歯すじ方向に沿って湾曲する。
【0035】
この発明の実施の形態1における歯車の転造方法によれば、転造工程時、流動するワーク15の材料のダレを利用して、平形ダイス51および56により歯面31にクラウニング形状を成形する。このため、図10中のクラウニングダイス151を用いる場合と比較して、ダイス費用を安価にし、歯車の製造コストを低く抑えることができる。また、クラウニングダイス151を用いた場合、転造時にダイスに負荷する転造荷重が不均一となり、ダイスの転造面165に偏摩耗が生じる。これに対して、本実施の形態では、ダイスに負荷する転造荷重がより均一になるため、歯面31に高精度なクラウニング形状を安定して成形することができる。
【0036】
図11は、図3中の歯車転造装置の変形例を示す図である。図11を参照して、本変形例では、歯車転造装置70が、歯車形ダイス71および76を備える。歯車形ダイス71および76により、ワーク90の外周面90aに歯車の歯形が転造される。外周面90aは、歯車の回転軸方向において幅B3を有する。
【0037】
歯車形ダイス71と歯車形ダイス76とは、互いに距離を隔てて配置されている。歯車形ダイス71および76は、ワーク90に転造する歯形が加工された歯形部80を含む。歯形部80は、歯車形ダイス71および76の外周面に形成されている。歯形部80は、歯車の歯すじ方向に平行に延在する転造面を含む。歯車形ダイス71および76は、歯車の回転軸方向において、幅B3よりも大きい幅B4を有する。
【0038】
転造工程時、歯車形ダイス71と歯車形ダイス76とは、間隔を保ったまま、それぞれ中心軸112および中心軸113を中心に回転する。ワーク90は、歯車形ダイス71と歯車形ダイス76との間に挟持された状態で、中心軸101を中心に回転する。この回転とともに、歯車形ダイス71および76の歯形部80がワーク90を塑性変形させ、外周面90aに歯形を転造する。
【0039】
このような構成を備える歯車転造装置70を用いた場合にも、上述の効果を同様に得ることができる。なお、本発明において用いられる歯車転造装置は、図3および図11に示す装置に限られず、これ以外の各種の転造装置が用いられる。
【0040】
続いて、本実施の形態における歯車の転造方法によって作製された歯車の形状を評価した実施例について説明する。図12は、図1中に示す歯車の転造方法の工程により作製された平歯車の正面図である。図13は、図12中の平歯車の歯面形状を測定した結果を示すグラフである。
【0041】
図12および図13を参照して、ステンレス鋼からなる粗材から、図1中に示す工程に従って平歯車30を作製した。3次元測定器を用いて平歯車30の歯面形状を測定した。測定は、略90°ずつ位相がずれた4箇所の歯で行なった。測定により得られた各歯の歯面31の形状を、4箇所の測定結果を平均した歯面31の形状とともに、図13中のグラフに示した。図13から分かるように、本実施の形態における歯車の転造方法によれば、歯面31にクラウニング形状が成形されることを確認できた。
【0042】
(実施の形態2)
図14は、この発明の実施の形態2における歯車の転造方法の工程を説明するためのワークの断面図である。図14は、実施の形態1における図6に対応する図である。本実施の形態における歯車の転造方法は、実施の形態1における歯車の転造方法と比較して、基本的には同様の工程を備える。以下、重複する工程については説明を繰り返さない。
【0043】
図14を参照して、本実施の形態では、図1中のS1000に示す工程において、ワーク15の外周面20aをテーパ形状に加工する。このテーパ形状は、中心軸101の軸方向、すなわち歯車の回転軸方向に沿った中心部から両端部に向かうに従って、外周面20aの直径(=2R)が徐々に小さくなるように加工される。
【0044】
図15は、図14中のワークから作製される歯車の形状を示す断面図である。図15中では、実施の形態1における図7中のクラウニング形状の軌跡が2点鎖線により示されている。図15を参照して、外周面20aをテーパ形状に加工することによって、転造工程時、流動するワーク15の材料のダレを大きくすることができる。このため、外周面20aに加工するテーパ形状を通じて、歯面31に成形されるクラウニング量を調整することができる。
【0045】
このように構成された、この発明の実施の形態2における歯車の転造方法によれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。加えて、外周面20aに加工するテーパ形状の傾き、大きさ等を変更することにより、歯車に要求されるクラウニング形状を歯面31に任意に成形することができる。
【0046】
(実施の形態3)
図16は、この発明の実施の形態3における歯車の転造方法の工程を説明するための歯車転造装置の図である。図16は、実施の形態1における図4に対応する図である。本実施の形態における歯車の転造方法は、実施の形態1における歯車の転造方法と比較して、基本的には同様の工程を備える。以下、重複する工程については説明を繰り返さない。
【0047】
図16を参照して、本実施の形態では、ワーク15から複数個の歯車を同時に作製する。まず、図1中のS1000に示す工程において、第1歯車形成部としての大径部20mと、第2歯車形成部としての大径部20nと、シャフト部としての小径部25とを含むワーク15を準備する。
【0048】
大径部20mと大径部20nとは、中心軸101の軸方向において互いに離間している。大径部20mおよび20nには、外周面20aが形成されている。外周面20aは、直径D1を有する。小径部25は、中心軸101の軸方向に延びる。小径部25は、大径部20mと大径部20nとの間を連結する。小径部25は、直径D1よりも小さい直径D2を有する。直径D2は、図6中に示す歯底の直径D3よりも小さい。小径部25の直径D2は、転造工程時にワーク15の姿勢が不安定にならない範囲で極力小さく設定される。
【0049】
本実施の形態では、1組の平形ダイス51および56により、大径部20mの外周面20aに歯車の歯形を転造すると同時に、大径部20nの外周面20aに歯車の歯形を転造する。
【0050】
この際、大径部20mおよび20nにそれぞれ歯形が転造されるのに従って、大径部20mで塑性変形されたワーク15の材料と、大径部20nで塑性変形されたワーク15の材料とが、中心軸101の軸方向に沿って流動する。この材料の流動は、特に転造面の周辺で活発になる。この場合、ワーク15の材料流れが、大径部20mと大径部20nとの間で干渉し合って、歯形不良や歯面の面粗度の不良、応力集中などが生じるおそれがある。これに対して、本実施の形態では、歯車の歯底の直径D3よりも小さい直径D2を有する小径部25が、大径部20mと大径部20nとの間に形成されているため、大径部20mと大径部20nとの間で干渉し合うワーク15の材料流れを効果的に抑制することができる。
【0051】
このように構成された、この発明の実施の形態3における歯車の転造方法によれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施の形態では、1組の平形ダイス51および56により多数個の歯車を同時に転造するため、歯車の製造コストをさらに低く抑えることができる。これに対して、クラウニングダイスを用いると、大径部20mの外周面20aに歯形を転造するダイスと、大径部20nの外周面20aに歯形を転造するダイスとを準備する必要が生じる。
【0052】
また、大径部20mと大径部20nとの間に形成された小径部25によって、高精度な歯形形状を備える歯車を作製することができる。ワーク15の材料流れの干渉を避ける手段として、大径部20mと大径部20nとの間の距離を大きく設定する方法が考えられるが、この場合、材料の歩留まりが低下する。これに対して、本実施の形態では、大径部20mと大径部20nとの間の距離が、図1中のS3000に示す工程において突切り加工が可能な程度に確保されれば良く、材料の歩留まりを向上させることができる。また、高精度な歯形形状が得られることで歯面の修正加工が不要となる。このため、歯車の加工費を低減させることができる。
【0053】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の実施の形態1における歯車の転造方法の工程を示すフローチャート図である。
【図2】図1中のS1000に示す工程を説明するための粗材の断面図である。
【図3】図1中のS2000に示す工程を説明するための歯車転造装置の図である。
【図4】図3中のIV−IV線上に沿った歯車転造装置の図である。
【図5】図3中の平形ダイスの斜視図である。
【図6】図4中の2点鎖線VIで囲まれた範囲を示すワークの断面図である。
【図7】図6中のVII−VII線上に沿ったワークの断面図である。
【図8】クラウニング形状が成形された歯車の歯の斜視図である。
【図9】図1中のS3000に示す工程を説明するためのワークの図である。
【図10】クラウニングダイスの斜視図である。
【図11】図3中の歯車転造装置の変形例を示す図である。
【図12】図1中に示す歯車の転造方法の工程により作製された平歯車の正面図である。
【図13】図12中の平歯車の歯面形状を測定した結果を示すグラフである。
【図14】この発明の実施の形態2における歯車の転造方法の工程を説明するためのワークの断面図である。
【図15】図14中のワークから作製される歯車の形状を示す断面図である。
【図16】この発明の実施の形態3における歯車の転造方法の工程を説明するための歯車転造装置の図である。
【符号の説明】
【0055】
15,90 ワーク、20a,90a 外周面、20,20m,20n 大径部、25 小径部、30 平歯車、31 歯面、51,56 平形ダイス、65 転造面、71,76 歯車形ダイス、101 中心軸。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【識別番号】000103367
【氏名又は名称】オーエスジー株式会社
【出願日】 平成18年8月28日(2006.8.28)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100112852
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 正


【公開番号】 特開2008−49384(P2008−49384A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−230501(P2006−230501)