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【発明の名称】 転造装置
【発明者】 【氏名】長澤 秀紀

【氏名】大地 英吾

【氏名】池田 孝一

【要約】 【課題】ボールネジ軸が熱膨張しても、転造刃具のピッチ誤差の変動及び増加を抑制し、精度良く加工できる転造装置を提供する。

【構成】本発明の転造装置は、転造加工時に下に向かって移動する第1転造刃具41を保持する第1保持台31を摺動自在に保持する第1ボールネジ軸21の上部側フレーム101への取り付けを軸方向に不動とし、前記第1ボールネジ軸21の下部側フレーム102への取り付けを軸方向に可動とし、転造加工時に下から上に向かって移動する第2転造刃具42を保持する第2保持台32を摺動自在に保持する第2ボールネジ軸22の上部側フレーム101への取り付けを軸方向に可動とし、前記第2ボールネジ軸22の下部側フレーム102への取り付けを軸方向に不動とすることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を隔てて対向する1組の上部側及び下部側の対向フレームを備えた本体と、
一組の該対向フレームに端部がそれぞれ回転自在にかつ互いに並列して保持される第1ボールネジ軸及び第2ボールネジ軸と、
該第1ボールネジ軸に摺動自在に保持され軸方向に移動してワークを転造加工する、第1転造刃具を保持する第1保持台と、
該第2ボールネジ軸に摺動自在に保持され該第1保持台と同期して軸方向にかつ第1保持台と逆方向に移動してワークを転造加工する第2転造刃具を保持する第2保持台と、
前記第1ボールネジ軸及び/又は前記第2ボールネジ軸を同期回転させる駆動手段と、
からなる転造装置において、
前記第1ボールネジ軸の上部側の該端部は該上部側の対向フレームに軸方向不動に回転自在に保持され、前記第1ボールネジ軸の下部側の該端部は該下部側の対向フレームに軸方向可動に回転自在に保持され、前記第2ボールネジ軸の該上部側の該端部は該上部側の対向フレームに軸方向可動に回転自在に保持され、前記第2ボールネジ軸の該下部側の該端部は該下部側の対向フレームに軸方向不動に回転自在に保持されていることを特徴とする転造装置。
【請求項2】
前記軸方向不動に回転自在に保持される前記第1ボールネジ軸及び前記第2ボールネジ軸の端部は、軸受け及び軸方向係止手段を介して保持されている請求項1記載の転造装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記対向フレームに設置された駆動モーターと、前記駆動モーターのモーター軸と嵌合される駆動ギヤと、前記駆動ギヤとかみ合わされる第1従動ギヤ及び第2従動ギヤと、で構成され、
該駆動ギヤと該第1従動ギヤ及び該第2従動ギヤとが同期回転するための該駆動ギヤ、該第1従動ギヤ及び該第2従動ギヤの同期回転位置をずらすことなく該駆動モーターのモーター軸を該駆動ギヤから着脱することができる請求項1又は2に記載の転造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールネジ軸の熱膨張による誤差変動を抑制した転造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より刃具を有する一対の転造ダイスを上下対称に配置し、駆動モーターによって一対のボールネジ軸を駆動し各ボールネジ軸に摺動可能に保持された転造ダイスを互いに平行なすれ違い運動をさせ、ワークを両転造ダイスの間で転動させながら塑性変形させワークを転造ダイスとかみ合う形状に転造加工する転造装置が知られている。ここで一般的にボールネジ軸は駆動モーターが取り付けられる上部側は、軸方向に移動しないように保持された状態になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的にボールネジ軸には、加工の際に生じる摺動摩擦熱、モーターの発熱、外気温などの温度上昇の影響により熱膨張が生じる。従来の転造装置では、一対のボールネジ軸は駆動モーターが取り付けられる上部側が軸方向に移動しないように保持されており、かつ一対のボールネジ軸には上下対称に各転造ダイスが配置されており、各転造ダイスはお互いにすれ違う移動をする。
【0004】
ボールネジ軸の熱膨張の方向は軸方向に移動しないように保持された上側から下側に向かう。そのため上から下へと移動する一方の転造ダイスにとっては、ボールネジ軸の熱膨張による膨張方向は転造するワークに対して近づく方向となり、反対に下から上へと移動する他方の転造ダイスにとっては、ボールネジ軸の熱膨張による膨張方向はワークに対して離れる方向となる。
【0005】
従ってボールネジ軸の熱膨張によって、上から下へと移動する一方の転造ダイスにとってはワークまでの距離が短くなり、下から上へと移動する他方の転造ダイスにとってはワークまでの距離が長くなる。この各距離の差がボールネジ軸の熱膨張と共に大きくなっていく。
【0006】
各転造ダイスからワークまでの上記距離の差が大きくなるにつれ、転造刃具のピッチ誤差が変動していき精度の許容値を超えて不良品が発生する。そのためボールネジ軸が熱膨張しても不良品がでない転造装置が要望されていた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、ボールネジ軸が熱膨張しても、転造刃具のピッチ誤差の変動及び増加を抑制し、精度良く加工できる転造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者はこの課題を解決すべく研究した結果、一対のボールネジ軸の熱膨張を互いに相殺することにより一対のボールネジ軸の熱膨張変位量の差を少なくし、精度の良い加工ができると考え、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の転造装置は、所定間隔を隔てて対向する1組の上部側及び下部側の対向フレームを備えた本体と、一組の該対向フレームに端部がそれぞれ回転自在にかつ互いに並列して保持される第1ボールネジ軸及び第2ボールネジ軸と、該第1ボールネジ軸に摺動自在に保持され軸方向に移動してワークを転造加工する、第1転造刃具を保持する第1保持台と、該第2ボールネジ軸に摺動自在に保持され該第1保持台と同期して軸方向にかつ第1保持台と逆方向に移動してワークを転造加工する第2転造刃具を保持する第2保持台と、前記第1ボールネジ軸及び/又は前記第2ボールネジ軸を同期回転させる駆動手段と、からなる転造装置において、前記第1ボールネジ軸の上部側の該端部は該上部側の対向フレームに軸方向不動に回転自在に保持され、前記第1ボールネジ軸の下部側の該端部は該下部側の対向フレームに軸方向可動に回転自在に保持され、前記第2ボールネジ軸の該上部側の該端部は該上部側の対向フレームに軸方向可動に回転自在に保持され、前記第2ボールネジ軸の該下部側の該端部は該下部側の対向フレームに軸方向不動に回転自在に保持されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成を採用したことにより上部側の対向フレームには第1ボールネジ軸の端部が軸方向不動に、また第2ボールネジ軸の端部が軸方向可動に保持される。また相対する下部側の対向フレームには第1ボールネジ軸の端部が軸方向可動に、また第2ボールネジ軸の端部が軸方向不動に保持される。そのため、各ボールネジ軸の対向フレームへの軸方向不動の保持箇所が相対する位置関係となる。
【0011】
各ボールネジ軸の熱膨張の方向は軸方向不動に保持された端部を基点に軸方向可動に保持された端部へと方向付けられるので、各ボールネジ軸の熱膨張の方向は相対する方向となる。各ボールネジ軸の熱膨張の方向が相対する方向となるため、各転造刃具のワークとの熱膨張による位置の変位も相対する方向となる。各転造刃具は相対移動してワークを転造するので、熱膨張による相対する変位があっても、その熱膨張変位による各転造刃具の変位方向は各転造刃具の移動方向と両方とも同じか又は両方とも反対方向となり、そのためワークと各転造刃具との距離の差は大きく変わらない。
【0012】
このようにボールネジ軸の熱膨張があってもワークと各転造刃具との距離の差が大きく変わらず、転造精度の良い転造装置が提供出来る。
【0013】
また前記軸方向不動に回転自在に保持される前記第1ボールネジ軸及び前記第2ボールネジ軸の端部は、軸受け及び軸方向係止手段を介して保持されている構成を取ることが出来る。
【0014】
軸受けを介すことにより、第1ボールネジ軸及び第2ボールネジ軸の端部は、軸の回転方向の負荷に加えて軸方向のうちの一定の向きの負荷を受け止めることが出来る。さらに軸方向係止手段を介して端部を保持されることにより、各ボールネジ軸の端部は軸方向に不動に保持される。
【0015】
上記のような構成を取ることにより軸方向に不動な側の端部保持の剛性が向上する。
【0016】
また前記駆動手段は、前記対向フレームに設置された駆動モーターと、前記駆動モーターのモーター軸と嵌合される駆動ギヤと、前記駆動ギヤとかみ合わされる第1従動ギヤ及び第2従動ギヤと、で構成され、該駆動ギヤと該第1従動ギヤ及び該第2従動ギヤとが同期回転するための該駆動ギヤ、該第1従動ギヤ及び該第2従動ギヤの同期回転位置をずらすことなく該駆動モーターのモーター軸を該駆動ギヤから着脱することができる構成を取ることが出来る。
【0017】
モーター軸を駆動ギヤから各ギヤの同期回転位置をずらすことなく着脱することができることによって、駆動モーターの着脱時に駆動ギヤ、第1従動ギヤ及び第2従動ギヤの同期回転するための歯車の位置がずれることがない。駆動ギヤ、第1従動ギヤ及び第2従動ギヤが配置された同期回転位置からずれないことによってボールネジ軸も配置された同期回転位置からずれることなく、駆動モーターの再組み付け時に精度良くもとの組み付けの状態に復元できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の転造装置によればボールネジ軸の熱膨張によって刃具の位置が移動しても、各転造刃具から加工中心との距離の差が大きくならず、精度良く転造加工できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の転造装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1に本発明の転造装置の一実施形態の模式図を示す。図2は図1の転造装置においてAで囲われた部分の拡大図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の一実施形態の転造装置の本体100は、所定間隔を隔てて対向する一組の対向フレームである上部側フレーム101と下部側フレーム102を有する。本体100は、箱型形状であり、上部側フレーム101と下部側フレーム102とは、本体の上下方向に対向して配設されている。
【0022】
上部側フレーム101には開口部があり、上部側フレーム101の上面に、下側が開口部に一部はめ込まれ、上側が開放されている上部支持部材110がボルトで取り付けられている。上部支持部材110は、上部支持部材110の開放面に蓋として取り付けられた天板120と共に内部に空間を有する筐体を形成している。天板120の上面にはボールネジ軸の駆動手段である駆動モーター10が設置されている。天板120には駆動モーター10の下部が挿通出来るような穴が形成されており、駆動モーター10は天板120を挿通し、筐体内に下部が配置されている。
【0023】
上部側フレーム101と下部側フレーム102には、互いに並列して1組の第1ボールネジ軸21及び第2ボールネジ軸22が保持されている。第1ボールネジ軸21及び第2ボールネジ軸22は同じ大きさの径を有する。上部側フレーム101に第1ボールネジ軸21の端部は軸方向不動に、第2ボールネジ軸22の端部は軸方向可動に保持されている。下部側フレーム102に第1ボールネジ軸21の端部は軸方向可動に、第2ボールネジ軸22の端部は軸方向不動に保持されている。
【0024】
各ボールネジ軸の端部の保持について図2を用いて説明する。図2は図1のAで囲った部位の拡大図であり上部側フレーム101側の各ボールネジ軸の端部側が図示されている。
【0025】
図1と図2に示すように、上部側フレーム101とその上面に取り付けられた上部支持部材110とは一体的にボルトで固定されている。図2において上部側フレーム101は図示されていないが図1と同様に上部支持部材110は上部側フレーム101の上面に取り付けられている。
【0026】
上部支持部材110は下面に各ボールネジ軸及び駆動ギヤ11が挿通出来る各穴が形成されており、また軸端部及び駆動モーター軸を覆い筐体をなすように下面から側面壁が垂直に立ち上がっている。側面壁の上方端面に天板120が取り付けられ、天板120に形成された穴に加え、下面側にも穴の在る筐体が形成される。
【0027】
駆動モーター10のモーター軸は駆動ギヤ11と嵌合している。駆動ギヤ11はキー材を介して駆動モーター10のモーター軸に一体回転するように締結され、駆動モーター10と一体的に回転する。駆動ギヤ11は第1従動ギヤ51と第2従動ギヤ52とかみ合い、駆動ギヤ11の回転は各従動ギヤに伝えられる。第1ボールネジ軸21は第1従動ギヤ51と一体回転するようにキー材を介して締結されている。従って第1従動ギヤ51と第1ボールネジ軸21は駆動モーター10の回転に同期して一体回転する。同様に第2ボールネジ軸22は第2従動ギヤ52と一体回転するようにキー材を介して締結されており、第2従動ギヤ52と第2ボールネジ軸22は駆動モーター10の回転に同期して一体回転する。
【0028】
上部支持部材110の下面の穴には第1ボールネジ軸21、第1ボールネジ軸21に締結されている第1従動ギヤ51、第2ボールネジ軸22、第2ボールネジ軸22に締結されている第2従動ギヤ52、及びモーター軸に締結されている駆動ギヤ11が挿通している。
【0029】
駆動モーター10のモーター軸は駆動ギヤ11の内部に嵌合されている。モーター軸は側面がテーパーとなっており、テーパーとなっている側面で駆動ギヤ11の内部側面と図示されていない三日月形状のキー材を介して一体回転するように締結されている。モーター軸の先端にはネジ709が螺合されている。ネジ709が螺合されているモーター軸の先端は、径の大きな円筒と径の小さな円柱が連続している形状の延長ボルト706の円筒部分にはめ込まれている。
【0030】
延長ボルト706は駆動ギヤ11の内部に嵌合されており、モーター軸及び駆動ギヤ11と一体的に回転する。延長ボルト706は円柱部分の先端部分が駆動ギヤ11の最下部の穴を挿通して駆動ギヤ11の外部へ突出している。突出している円柱部分にはカラー708に続いて2つのナット707が螺合されており、このナット707を締め付けることによって延長ボルト706を引っ張り、延長ボルト706、モーター軸及び駆動ギヤ11を一体的に締結する。
【0031】
駆動ギヤ11は5つの段に分かれた筒形状をしている。5つの段は筒の径がそれぞれ異なり、上から2つめの筒の径が一番大きく3段目以降は段階的に小さい径になっている。上から2つめの筒の径の側面は歯車となっており、この側面の歯車で駆動ギヤ11は第1従動ギヤ51及び第2従動ギヤ52とかみ合っている。
【0032】
駆動ギヤ11の上から4段目と5段目の円筒の側面は、上部支持部材110の穴の内壁に固定された軸受け63と当接している。この軸受け63は図2では2個となっているが、軸受けの個数は特に限定されない。この軸受け63を介して一体的に締結されている駆動モーター10、駆動ギヤ11、延長ボルト706、カラー708及びナット707は上部支持部材110に保持されている。
【0033】
またこの駆動モーター10は交換時にナット707をゆるめて延長ボルト706を上側に押し上げると、駆動ギヤ11から着脱して上側に外すことが出来る。駆動ギヤ11は軸受け63を介して上部支持部材110に保持されているため、駆動ギヤ11と第1従動ギヤ51及び第2従動ギヤ52との歯車のかみ合いを外すことなく、駆動モーター10の交換をすることが出来る。そのため第1従動ギヤ51と締結されている第1ボールネジ軸21及び第2従動ギヤ52と締結されている第2ボールネジ軸22の同期回転位置を動かすことなく駆動モーター10の交換をすることが出来、駆動モーター10の再組み付け時に元の組み付け状態を精度良く復元できる。
【0034】
第1従動ギヤ51及び第2従動ギヤ52は上段、中段、下段で径の大きさの異なる筒形となっている。第1従動ギヤ51及び第2従動ギヤ52の上段は、上段筒形状の表面が歯車となっており、内部に各ボールネジ軸が挿通している。各ギヤの上段の歯車となっている外部側面で駆動ギヤ11の歯車とかみ合っている。
【0035】
第1従動ギヤ51及び第2従動ギヤ52の中段は、上段筒形状より外径の小さな、下段筒形状より外径の大きな筒形状であり、内部にボールネジ軸が挿通している。第1従動ギヤ51及び第2従動ギヤ52の中段筒形状と下段筒形状の境は段差になっている。第1従動ギヤ51を例にとって説明すると、第1従動ギヤ51の外側の中段筒形状と下段筒形状の段差にOリングを下段筒形状に当接するように介してカラー703がとりつけられている。カラー703は第1従動ギヤ51と一体的に回転する。第2従動ギヤにも同様にカラーが取りつけられている。
【0036】
第1従動ギヤ51及び第2従動ギヤ52の下段は中段より外径の小さな筒形状であり、内部に各ボールネジ軸が挿通している。
【0037】
第1従動ギヤ51の下段筒形状の外部側面には軸受け61が当接している。軸受け61は複数個(本実施形態では4個)が、上部支持部材110の穴の内壁面に設置されている。軸受け61の外輪は前記内壁面に固定され、軸受け61の内輪が第1従動ギヤ51の下段筒形状の側面と当接し、軸方向の荷重を良好に受け止める構成になっている。
【0038】
第1従動ギヤ51の下段筒形状の外部側面には図2にみられるようにカラー704が軸受け61の下部に設置され、カラー704はカラー703と同様に第1従動ギヤ51と一体的に回転する。カラー703及びカラー704はカラー側の側面が軸受け61の内輪の側面に当接している。カラー703の反対側側面は、第1従動ギヤ51の中段と下段との段差に当接し、カラー704の反対側の側面はカラー704の下部に取り付けられたナット705に当接している。
【0039】
ナット705は、カラー704を軸受け61とはさんで保持する。軸受け61の外輪が上部支持部材110に固定されているので、軸受け61は上下方向に不動である。第1従動ギヤ51は軸受け61にカラー704及びナット705によって締め付けられることによって上部支持部材110に上下方向不動に保持される。このカラーと軸受けとナットとの構成は第2従動ギヤ52でも同様となっており、第2従動ギヤ52は上部支持部材110に上下方向不動に保持される。
【0040】
また本実施形態では軸受け61を4個用いているが、軸受け61の個数は4個に限られるものではない。荷重が小さい場合は2、3個でもよく、また荷重が多い場合には5個以上でも良い。軸受け61の種類も特に限定されない。
【0041】
第1ボールネジ軸21はその径が4段階に端から大きくなっており、各径の変わるところは段になっている。第1ボールネジ軸21の最端部は、軸の径が最も小さくなっている。径が最も小さい第1ボールネジ軸21の最端部にはナット701が螺合され、第1従動ギヤ51の上面に配設されたフランジ702を介してナット701を締め付けて固定し、第1ボールネジ軸21は軸方向に動かないように第1従動ギヤ51に保持されている。ナット701とフランジ702がこの実施形態の場合軸方向係止手段にあたる。
【0042】
また第1ボールネジ軸21は、第1従動ギヤ51の上段と中段とに当たる部分に挿通している部分の径より下段に挿通している部分の径が大きくなっており、第1従動ギヤ51より抜け出た下部の部分の径が更に大きくなっている。第1ボールネジ軸21には第1従動ギヤ51の下段に挿通している部分と第1従動ギヤ51より抜け出た部分との境界部分で段差81が形成されている。この段差81が第1従動ギヤ51の端部下面と当接することによって、第1ボールネジ軸51は上方向に動かないように係止されている。
【0043】
このようにして第1ボールネジ軸21は第1従動ギヤ51に軸方向に動かないように保持されている。第1従動ギヤ51は上記のように上部支持部材110に上下方向不動に保持されており、また上部支持部材110は上部側フレーム101に固定されているので、第1ボールネジ軸21も軸方向不動に上部側フレーム101に保持されていることになる。
【0044】
次に第2ボールネジ軸22の端部側の説明をする。第2ボールネジ軸22の端部には上記第1ボールネジ軸21で説明した径の小さい軸の最端部、ナット701及びフランジ702にあたるものは存在しない。またボールネジ軸22にも第1ボールネジ軸21と同様に段差82は存在するが、第2従動ギヤ52の端部下面と当接しておらず、第2従動ギヤ52の端部下面と段差82との間には隙間90が存在する。
【0045】
第2ボールネジ軸22の端部は従動ギヤ52の上部面とほぼつらなる様に配置されている。上部支持部材110の第2ボールネジ軸22の挿通している穴の内壁面には複数(本実施形態では2個)の軸受け62が設けられている。軸受け62は、第2ボールネジ軸22と一体回転している第2従動ギヤ52の下段に当接し、軸方向の荷重を良好に受け止める配置になっている。軸受け61と同様に軸受け62の数、種類共に特に限定されない。
【0046】
第2ボールネジ軸22は、第2従動ギヤ52に軸方向に動かないように保持されていないので、第2ボールネジ軸22は軸方向に移動可能である。したがって第2ボールネジ軸22の場合、ボールネジ軸の熱膨張による膨張は軸方向に移動可能な端部側である上部側フレーム101側へ伸びていくことになる。
【0047】
第2ボールネジ軸22の端部が上部側フレーム101側へ移動出来るように、上部支持部材110と天板120とで形成された筐体内の、第2ボールネジ軸22の上部には移動可能空間が設けられている。第2従動ギヤ52は第1従動ギヤ51と同様に上部支持部材110に軸方向に動かないように保持されているため、熱膨張により第2ボールネジ軸22は第2従動ギヤ52から突出して上部側フレーム101側へ段差82が第2従動ギヤ52の端部下面と当接するまで、つまり隙間90の分だけ伸張することが出来る。
【0048】
図2において上部側フレーム101側の説明をしたが同様のことが下部側フレーム102側でも言える。下部側フレーム102側について上部側フレーム101側と異なる部分のみ説明する。下部側フレーム102側では第1ボールネジ軸21の端部が軸方向に可動に保持されており、第2ボールネジ軸22の端部が軸方向に不動に保持されている。
【0049】
下部側フレーム102には中央部に開口部があり、開口部を塞ぐように下部側フレーム102に下部支持部材112が固定されている。
【0050】
下部側フレーム102側には駆動モーターが設置されていないので、従動ギヤも設置されていない。従動ギヤに代わり第1ボールネジ軸21の端部にはスリーブ71が、第2ボールネジ軸22の端部にはスリーブ72が連設され、第1ボールネジ軸21とスリーブ71及び第2ボールネジ軸22とスリーブ72とはキー材を介して締結され一体回転する。スリーブ71及びスリーブ72は上記第1従動ギヤ51及び第2従動ギヤ52が上部支持部材110に軸方向に不動に保持されているのと同じ構成で、下部支持部材112に軸方向不動に保持されている。
【0051】
第2ボールネジ軸22の最端部にはナットが螺合され、ナットはスリーブ72の端部下面に当接し係止されている。
【0052】
このように上部側フレーム101に軸方向不動に、下部側フレーム102に軸方向可動に保持された第1ボールネジ軸21には、第1転造刃具41を保持している第1保持台31が軸方向に摺動自在に保持されている。同様に上部側フレーム101に軸方向可動に、下部側フレーム102に軸方向不動に保持された第2ボールネジ軸22には、第2転造刃具42を保持している第2保持台32が軸方向に摺動自在に保持されている。
【0053】
第1保持台31と第2保持台32とは上下対称になるように第1保持台31が上側、第2保持台32が下側に保持され、又各ボールネジ軸の軸方向に不動に保持されている端部からの距離が同じになるように各ボールネジ軸に配置されている。
【0054】
第1保持台31と第2保持台32とは逆方向に互いに平行なすれ違い運動をするので、第1転造刃具41と第2転造刃具42とは、図示されていない各ボールネジ軸の間に設置されたワークを各刃具とかみ合う形状に転造加工する。
【0055】
ボールネジ軸が熱膨張によって膨張した場合でも、その熱膨張により第1転造刃具41はワークに近づく方向への移動をし、第2転造刃具42もワークへ近づく方向への移動をすることになる。また各々の軸方向に不動に保持された端部から各保持台の取り付けを同じ距離としたので、その熱膨張による移動距離は同程度である。そのため第1転造刃具41からワークへの距離と第2転造刃具42からワークへの距離との差は変わらず、熱膨張によって精度が変わることなく転造加工出来る。
【0056】
本発明の実施形態では、駆動モーターが本体の上部に設置されていたが、駆動モーターの位置は本体の下部に設置されていても良く、複数の駆動モーターで各ボールネジ軸を駆動してもよい。また本発明の実施形態では転造方向は上下方向であったが、転造方向が左右となる態様もとることが出来る。
【0057】
本発明の転造装置は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の転造装置の一実施形態の模式図を示す。
【図2】図1の転造装置においてAで囲われた部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0059】
10、駆動モーター、11、駆動ギヤ、21,第1ボールネジ軸、
22、第2ボールネジ軸、31、第1保持台、32、第2保持台、41、第1転造刃具、42、第2転造刃具、51、第1従動ギヤ、52、第2従動ギヤ、
61、軸受け、62、軸受け、71、72、スリーブ、81、82、段差、90、隙間
100、本体、101、上部側フレーム、102、下部側フレーム、110、上部支持部材、112、下部支持部材、120、天板、701、ナット、702、フランジ、
703、704、カラー、705、ナット、706、延長ボルト、707、ナット、
708、カラー、709、ナット。
【出願人】 【識別番号】591139574
【氏名又は名称】株式会社CNK
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏


【公開番号】 特開2008−43961(P2008−43961A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−219992(P2006−219992)