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【発明の名称】 ワイヤガイド装置
【発明者】 【氏名】中野 祐

【氏名】梶川 寿夫

【氏名】林 浩

【氏名】板津 博典

【氏名】滝 俊弘

【要約】 【課題】線材を安定した状態でスムーズに通過させることが可能なワイヤガイド装置を提供すること。

【解決手段】ガイド装置3は、下側ガイド部材30及び上側ガイド部材40を備えている。下側ガイド部材30の上面には、下側ガイド部材30の長手方向、つまり線材2の送り方向に沿って、断面コ字形状をなすガイド溝31が延設されるとともに、上側ガイド部材40の下面には、上側ガイド部材40の長手方向、つまり線材2の送り方向に沿って、断面V字形状をなすガイド溝41が延設されている。そして、これらガイド溝31,41は、互いの開口同士が突き合わせられている。その結果、ガイド装置3には、線材2の送り方向に沿って通路50が延設されるとともに、その中を線材2が通過するようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガイド部材と第2のガイド部材とが突き合わせられることで、線材の送り方向に沿って通路が延設されるとともに、その中を線材が通過するワイヤガイド装置において、
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の少なくとも一方には、断面V字形状をなすガイド溝が設けられるとともに、そのガイド溝を含む前記通路の中を線材が通過することを特徴とするワイヤガイド装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤガイド装置において、
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の一方には、断面V字形状をなすガイド溝が設けられるとともに、前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の他方における該一方に対する接合面は、平面であり、
前記ガイド溝を形成する2つの斜面と前記接合面とを合わせた3つの面で線材がガイドされるようにして前記通路の中を線材が通過することを特徴とするワイヤガイド装置。
【請求項3】
請求項1に記載のワイヤガイド装置において、
前記第1のガイド部材には第1のガイド溝が設けられるとともに、前記第2のガイド部材には第2のガイド溝が設けられ、
前記第1のガイド溝及び前記第2のガイド溝の一方が断面V字形状をなすとともに、前記第1のガイド溝及び前記第2のガイド溝の他方が断面コ字形状をなし、互いの開口同士が突き合わせられて前記通路が形成され、その中を線材が通過することを特徴とするワイヤガイド装置。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤガイド装置において、
断面コ字形状をなす前記第1のガイド溝を有する前記第1のガイド部材が下側に配置されるとともに、断面V字形状をなす前記第2のガイド溝を有する前記第2のガイド部材が上側に配置され、互いの開口同士が突き合わせられていることを特徴とするワイヤガイド装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、線材の送り方向に沿って通路が延設されるとともに、その中を線材が通過するワイヤガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2には、線材を加工してコイルバネを製造するバネ製造装置に関する技術が開示されている。
図5に示すように、バネ製造装置101では、線材102がガイド装置103でガイドされるとともに、それが図示しない送り装置により加工空間へ向かって送り出され、その加工空間では、芯金104が供されて線材102が曲げダイス装置105でバネ形状に曲げられる。そして、こうした曲げ加工が施された線材102に対して、ピッチツール106によりバネのピッチが付与されるとともに、最終的にバネ形状の線材102が切断ツール107で切断されると、コイルバネが完成する。
【0003】
図6に示すように、ガイド装置103は、下側ガイド部材130及び上側ガイド部材140を備えている。下側ガイド部材130の上面には、下側ガイド部材130の長手方向、つまり線材102の送り方向に沿って、断面半円形状をなすガイド溝131が延設されるとともに、上側ガイド部材140の下面には、上側ガイド部材140の長手方向、つまり線材102の送り方向に沿って、断面半円形状をなすガイド溝141が延設されている。そして、これらガイド溝131,141が突き合わせられると、ガイド装置103には、線材102の送り方向に沿って、断面円形状をなす通路150が延設されるとともに、その中を線材102が通過するようになっている。
【特許文献1】特開2006−912号公報
【特許文献2】特開平9−168836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したようにガイド装置103の通路150は、断面円形状をなしているが、その中を線材102が通過するのであるから、線材102の径の最大値を考慮したものでなければならない。つまり、予め想定されているものの中で最も太い径を有する線材102が通過できる円を断面形状とする通路150が要求される。
【0005】
そうすると、こうした通路150の中を、該最も太い径を有する線材102よりも細い径を有する線材102が通過するようなとき、この線材102の外周面と、通路150を形成するガイド装置103の内周面との間には、隙間が生じることとなる。すると、図7に一点鎖線で示すように、線材102は、この隙間の存在により通路150の中をいわばふらつくようにして自由に動き回り、これは線材102に対して不均一な線癖を作り込むことに繋がり、こうしたことに起因して巻線の安定性が阻害されてしまう。
【0006】
また、下側ガイド部材130や上側ガイド部材140の加工精度に起因して、ガイド溝131,141の形成位置や寸法がばらつくと、図8に示すように、通路150内にエッジが存在することとなる。そして、その中を通過する線材102がこのエッジに干渉すると、線材102の表面が傷付いたり、或いは摩擦力が増して線材102が通路150の中をスムーズに通過できなくなったりする。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、線材を安定した状態でスムーズに通過させることが可能なワイヤガイド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、第1のガイド部材と第2のガイド部材とが突き合わせられることで、線材の送り方向に沿って通路が延設されるとともに、その中を線材が通過するワイヤガイド装置において、前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の少なくとも一方には、断面V字形状をなすガイド溝が設けられるとともに、そのガイド溝を含む前記通路の中を線材が通過することをその要旨としている。
【0009】
同構成によると、第1のガイド部材及び第2のガイド部材の少なくとも一方に断面V字形状をなすガイド溝が設けられるということは、第1のガイド部材及び第2のガイド部材の他方側と合わせて、少なくとも3つの面で線材がガイドされるということになる。このため、線材が通路内でふらつくようなことはなく、よって線材は安定した状態でガイドされる。
【0010】
また、第1のガイド部材及び第2のガイド部材の少なくとも一方に断面V字形状をなすガイド溝が設けられるということは、その溝幅が第1のガイド部材及び第2のガイド部材の他方側へ向かうにつれて次第に広げられるとともに、開口付近では線材の径よりも幅広となる。このため、開口付近にエッジが存在しようとも、線材がそれに干渉するようなことはなく、よって線材はスムーズに通過される。
【0011】
従って、線材を安定した状態でスムーズに通過させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイヤガイド装置において、前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の一方には、断面V字形状をなすガイド溝が設けられるとともに、前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の他方における該一方に対する接合面は、平面であり、前記ガイド溝を形成する2つの斜面と前記接合面とを合わせた3つの面で線材がガイドされるようにして前記通路の中を線材が通過することをその要旨としている。
【0012】
同構成によると、線材は3点支持により通路内にすっぽり納まることとなり、しかも両サイドにエッジが存在しないから、線材はそれによる影響を受けない。従って、線材が損傷するのを防止できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のワイヤガイド装置において、前記第1のガイド部材には第1のガイド溝が設けられるとともに、前記第2のガイド部材には第2のガイド溝が設けられ、前記第1のガイド溝及び前記第2のガイド溝の一方が断面V字形状をなすとともに、前記第1のガイド溝及び前記第2のガイド溝の他方が断面コ字形状をなし、互いの開口同士が突き合わせられて前記通路が形成され、その中を線材が通過することをその要旨としている。
【0014】
同構成によると、線材は3点支持により通路内にすっぽり納まることとなり、両サイドにエッジが存在しようとも、線材はそれによる影響を受けない。従って、線材が損傷するのを防止できる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のワイヤガイド装置において、断面コ字形状をなす前記第1のガイド溝を有する前記第1のガイド部材が下側に配置されるとともに、断面V字形状をなす前記第2のガイド溝を有する前記第2のガイド部材が上側に配置され、互いの開口同士が突き合わせられていることをその要旨としている。
【0016】
同構成によると、第1のガイド溝において線材の両サイドには、スペースが存在することになるが、このスペースを線材に付着している油を逃がす油よけのスペースとして活用できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
本発明によれば、線材を安定した状態でスムーズに通過させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について説明する。
図1に示すように、バネ製造装置1では、線材2がガイド装置3でガイドされるとともに、それが図示しない送り装置により加工空間へ向かって送り出され、その加工空間では、芯金4が供されて線材2が曲げダイス装置5でバネ形状に曲げられる。そして、こうした曲げ加工が施された線材2に対して、ピッチツール6によりバネのピッチが付与されるとともに、最終的にバネ形状の線材2が切断ツール7で切断されると、コイルバネが完成する。
【0019】
図2に示すように、ガイド装置3は、下側ガイド部材30及び上側ガイド部材40を備えている。下側ガイド部材30の上面には、下側ガイド部材30の長手方向、つまり線材2の送り方向に沿って、断面コ字形状をなすガイド溝31が延設されるとともに、上側ガイド部材40の下面には、上側ガイド部材40の長手方向、つまり線材2の送り方向に沿って、断面V字形状をなすガイド溝41が延設されている。そして、これらガイド溝31,41は、互いの開口同士が突き合わせられている。その結果、ガイド装置3には、線材2の送り方向に沿って通路50が延設されるとともに、その中を線材2が通過するようになっている。
【0020】
線材2は、通路50の中を通過するとき、ガイド溝31を形成する下側ガイド部材30の内底面32と、ガイド溝41を形成する2つの斜面42,43とを合わせた合計3つの面でガイドされるようになっている。尚、2つの斜面42,43のなす角度は、90度に設定されている。
【0021】
斜面42,43は、上側ガイド部材40の内奥部で繋がるとともに、開口へ向かうにつれてガイド溝41の溝幅が次第に広げられ、開口付近ではガイド溝41の溝幅が線材2の径よりも幅広となっている。尚、ガイド溝31の溝幅は、ガイド溝41の溝幅よりもさらに幅広となっており、その結果、下側ガイド部材30と上側ガイド部材40との接合面に沿って、上側ガイド部材40側にエッジ44が存在している。しかし、線材2は、内底面32及び斜面42,43による3点支持により通路50内にすっぽり納まっており、よってエッジ44による影響を受けない。つまり、線材2はエッジ44に干渉することなく通路50内を通過できるようになっている。
【0022】
ガイド溝31において線材2の両サイドには、スペース33,34が存在するとともに、これらのスペース33,34が、線材2に付着している油を逃がす油よけのスペースとなっている。そして、これにより、油に含まれる金属カス等が線材2とガイド装置3の内面との間に挟まるようなことが回避され、よって線材2がスムーズに通路50の中を通過できるようになっている。
【0023】
図3に示すように、曲げダイス装置5は、断面V字形状をなす受け溝51を備えている。そして、この受け溝51を形成する曲げダイス装置5の外面によって線材2が芯金4に押し当てられるとともに、これにより線材2がバネ形状に曲げられるようになっている。
【0024】
受け溝51を形成する2つの斜面52,53のなす角度は、90度に設定されるとともに、受け溝51を形成する2つのエッジ54,55のうち、線材2の送り先側に位置するエッジ55を形成する2つの斜面53,56のなす角度は、90度よりも小さなものとされている。
【0025】
尚、斜面53,56のなす角度が、斜面52,53のなす角度と等しいものであったり、或いは斜面53,56のなす角度が、斜面52,53のなす角度よりも大きなものであるとき、一巻前の線材2がエッジ55に干渉することになるが、本実施形態では、そのようなことが回避されるようになっている。つまり、本実施形態では、曲げに供されている線材2が斜面52,53で受けられていることを前提とし、その線材2が一巻前の線材2と密着される、いわゆる密着巻が行われる場合でも、該一巻前の線材2が斜面56、ひいてはエッジ55に干渉しないように、斜面53,56のなす角度が狭められている。
【0026】
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)下側ガイド部材30の内底面32と、上側ガイド部材40の斜面42,43とを合わせた合計3つの面で線材2がガイドされる。このため、線材2が通路50内でふらつくようなことはなく、よって線材2を安定した状態でガイドできる。
【0027】
(2)ガイド溝31の溝幅がガイド溝41側へ向かうにつれて次第に広げられるとともに、開口付近では線材2の径よりも幅広となる。このため、開口付近にエッジ44が存在しようとも、線材2がそれに干渉するようなことはなく、よって線材2をスムーズに通過させることができる。
【0028】
(3)上記(1)及び(2)より、ガイド装置3は、線材2を安定した状態でスムーズに通過させることができる。
(4)線材2は3点支持により通路50内にすっぽり納まることとなり、両サイドにエッジ44が存在しようとも、線材2はそれによる影響を受けない。従って、線材2が損傷するのを防止できる。
【0029】
(5)ガイド溝31において線材2の両サイドには、スペース33,34が存在することになるが、このスペース33,34を線材2に付着している油を逃がす油よけのスペースとして活用できる。
【0030】
(6)線材2は、断面V字形状をなす受け溝51を形成する2つの斜面52,53にあてがわれるようにして曲げられる。このため、線材2が受け溝51内でふらつくようなことはなく、よって線材2を安定した状態で曲げることができる。
【0031】
(7)受け溝51を形成する2つのエッジ54,55のうち、線材2の送り先側に位置するエッジ55を形成する2つの斜面53,56のなす角度が、受け溝51を形成する2つの斜面52,53のなす角度よりも小さなものとされている。このため、両角度が等しい、或いは前者が後者よりも大きなものとされている構成とは異なり、一巻前の線材2がエッジ55に干渉されることはなく、よって密着巻を好適に実現できる。
【0032】
(8)上記(6)及び(7)より、線材2を安定した状態で曲げられるとともに、一巻前の線材2がエッジに干渉しないようにすることができる。
(9)受け溝51を形成する2つの斜面52,53のなす角度を90度よりも大きなものとした場合、その角度が大きくなる程、線材2がふらつきやすくなる。一方、受け溝51を形成する2つの斜面52,53のなす角度を90度よりも小さなものとした場合、その角度が小さくなる程、受け溝51が深くなって曲げダイス装置5が大型化してしまう。こうしたことから、受け溝51を形成する2つの斜面52,53のなす角度が90度に設定された本実施形態の構成は、好適である。
【0033】
(10)密着巻を好適に実現できるので、初張力を0に近付けるための調整が容易となり、よって精密なコイルバネを簡単に製造できる。
尚、前記第1実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0034】
・ガイド装置3に関して、ガイド溝41は断面V字形状をなしているが、それを形成する斜面42,43のなす角度は、90度に限定されず、鋭角でも鈍角でも構わない。
・ガイド装置3に関して、断面V字形状をなすガイド溝が上側に設けられることを前提としたとき、下側のガイド溝は、断面コ字形状に限定されず、断面V字形状でも断面円弧形状でも構わない。
【0035】
・ガイド装置3に関して、断面V字形状をなすガイド溝は、上側に設けられることに限定されず、下側に設けられても構わない。そして、断面V字形状をなすガイド溝が下側に設けられることを前提としたとき、上側のガイド溝は、断面コ字形状でも断面V字形状でも断面円弧形状でも構わない。
【0036】
・ガイド装置3は、上下に分割された構成に限定されず、左右に分割された構成でも斜めに分割された構成でも構わない。要は、ガイド装置3を構成する2つのガイド部材の少なくとも一方に、断面V字形状をなすガイド溝が設けられるとともに、他方側と合わせて少なくとも3つの面で線材2がガイドされる構成であればよい。
【0037】
・ガイド装置3に関して、斜面42,43が繋がっている部分は、丸みを帯びていてもよい。
・曲げダイス装置5に関して、受け溝51を形成する2つの斜面52,53のなす角度は、90度に限定されず、鈍角でも鋭角でも構わない。ただし、受け溝51を形成する2つのエッジ54,55のうち、線材2の送り先側に位置するエッジ55を形成する2つの斜面53,56のなす角度が、受け溝51を形成する2つの斜面52,53のなす角度(これが90度でも鈍角でも鋭角でも構わないとされている。)よりも小さなものとされる必要がある。
【0038】
・曲げダイス装置5に関して、斜面52,53が繋がっている部分やエッジ54,55は、丸みを帯びていてもよい。
(第2実施形態)
次に、バネ製造装置の第2実施形態について説明する。尚、本実施形態では、図2に示される前記第1実施形態のガイド装置3に代えて、図4に示されるガイド装置8が適用される。
【0039】
ガイド装置8は、下側ガイド部材60及び上側ガイド部材70を備えている。下側ガイド部材60の上面には、図2に示される前記第1実施形態の下側ガイド部材30とは異なり、ガイド溝が設けられておらず、よって下側ガイド部材60における上側ガイド部材70に対する接合面61は、平面となっている。一方、上側ガイド部材70の下面には、図2に示される前記第1実施形態の上側ガイド部材40と同様に、上側ガイド部材70の長手方向、つまり線材2の送り方向に沿って、断面V字形状をなすガイド溝71が延設されている。その結果、ガイド装置8には、ガイド溝71を形成する2つの斜面72,73と接合面61とを合わせた3つの面で囲まれた空間により、線材2の送り方向に沿って通路80が延設されるとともに、その中を線材2が通過するようになっている。
【0040】
線材2は、通路80の中を通過するとき、2つの斜面72,73と接合面61とを合わせた3つの面でガイドされるようになっている。尚、2つの斜面72,73のなす角度は、90度に設定されている。
【0041】
斜面72,73は、上側ガイド部材70の内奥部で繋がるとともに、開口へ向かうにつれてガイド溝71の溝幅が次第に広げられ、開口付近ではガイド溝71の溝幅が線材2の径よりも幅広となっている。尚、下側ガイド部材60の上面は平面となっているので、下側ガイド部材60と上側ガイド部材70との接合面に沿った部分には、エッジは存在していない。従って、線材2は、接合面61及び斜面72,73による3点支持により通路80内にすっぽり納まることとなり、しかも両サイドにエッジが存在しないから、線材2はそれによる影響を受けない。つまり、線材2はエッジに干渉することなく通路80内を通過できるようになっている。
【0042】
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(11)下側ガイド部材60の接合面61と、上側ガイド部材70の斜面72,73とを合わせた合計3つの面で線材2がガイドされる。このため、線材2が通路80内でふらつくようなことはなく、よって線材2を安定した状態でガイドできる。
【0043】
(12)ガイド溝71の溝幅が下側ガイド部材60側へ向かうにつれて次第に広げられるとともに、開口付近では線材2の径よりも幅広となる。そして、線材2の両サイドにはエッジが存在しないことから、線材2がそれに干渉するようなことはなく、よって線材2をスムーズに通過させることができる。
【0044】
(13)上記(11)及び(12)より、ガイド装置8は、線材2を安定した状態でスムーズに通過させることができる。
(14)線材2は3点支持により通路80内にすっぽり納まることとなり、しかも両サイドにエッジが存在しないから、線材2はそれによる影響を受けない。従って、線材2が損傷するのを防止できる。
【0045】
(15)通路80内において線材2の両サイドには、スペースが存在することになるが、このスペースを線材2に付着している油を逃がす油よけのスペースとして活用できる。
(16)前記第1実施形態に記載の(6)〜(10)の作用、効果と同様の作用、効果を得ることができる。
【0046】
(17)下側ガイド部材60にガイド溝を設けなくても事が足りるため、その分、寸法管理が楽であり、よって下側ガイド部材60、ひいてはガイド装置8を簡単に製造できる。
【0047】
尚、前記第2実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ガイド装置8に関して、ガイド溝71は断面V字形状をなしているが、それを形成する斜面72,73のなす角度は、90度に限定されず、鋭角でも鈍角でも構わない。
【0048】
・ガイド装置8に関して、断面V字形状をなすガイド溝は、上側に設けられることに限定されず、下側に設けられても構わない。その代わり、上側のガイド部材における下側のガイド部材に対する接合面を平面とすればよい。
【0049】
・ガイド装置8は、上下に分割された構成に限定されず、左右に分割された構成でも斜めに分割された構成でも構わない。要は、ガイド装置8を構成する2つのガイド部材の少なくとも一方に、断面V字形状をなすガイド溝が設けられるとともに、他方側と合わせて少なくとも3つの面で線材2がガイドされる構成であればよい。
【0050】
・ガイド装置8に関して、斜面72,73が繋がっている部分は、丸みを帯びていてもよい。
・曲げダイス装置5に関して、前記第1実施形態の別例として記載した内容の如く構成してもよいことは勿論である。
【0051】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
〔1〕第1のガイド部材と第2のガイド部材とが突き合わせられることで、線材の送り方向に沿って通路が延設されるとともに、その中を線材が通過するワイヤガイド装置により線材がガイドされ、それが送り装置により加工空間へ向かって送り出され、その加工空間では、線材が曲げダイス装置によりバネ形状に曲げられるバネ製造装置において、
前記ワイヤガイド装置に関して、前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の少なくとも一方には、断面V字形状をなすガイド溝が設けられるとともに、そのガイド溝を含む前記通路の中を線材が通過することを特徴とするバネ製造装置。
【0052】
〔2〕上記〔1〕に記載のバネ製造装置において、
前記ワイヤガイド装置に関して、前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の一方には、断面V字形状をなすガイド溝が設けられるとともに、前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の他方における該一方に対する接合面は、平面であり、
前記ガイド溝を形成する2つの斜面と前記接合面とを合わせた3つの面で線材がガイドされるようにして前記通路の中を線材が通過することを特徴とするバネ製造装置。
【0053】
〔3〕上記〔1〕に記載のバネ製造装置において、
前記ワイヤガイド装置に関して、前記第1のガイド部材には第1のガイド溝が設けられるとともに、前記第2のガイド部材には第2のガイド溝が設けられ、
前記第1のガイド溝及び前記第2のガイド溝の一方が断面V字形状をなすとともに、前記第1のガイド溝及び前記第2のガイド溝の他方が断面コ字形状をなし、互いの開口同士が突き合わせられて前記通路が形成され、その中を線材が通過することを特徴とするバネ製造装置。
【0054】
〔4〕上記〔3〕に記載のバネ製造装置において、
前記ワイヤガイド装置に関して、断面コ字形状をなす前記第1のガイド溝を有する前記第1のガイド部材が下側に配置されるとともに、断面V字形状をなす前記第2のガイド溝を有する前記第2のガイド部材が上側に配置され、互いの開口同士が突き合わせられていることを特徴とするバネ製造装置。
【0055】
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のバネ製造装置において、
前記曲げダイス装置に関して、曲げに供される線材を受ける受け溝が断面V字形状をなすとともに、その受け溝を形成する2つのエッジのうち、線材の送り先側に位置するエッジを形成する2つの面のなす角度が、前記受け溝を形成する2つの面のなす角度よりも小さなものとされていることを特徴とするバネ製造装置。
【0056】
〔6〕上記〔5〕に記載のバネ製造装置において、
前記曲げダイス装置に関して、前記受け溝を形成する2つの面のなす角度が90度に設定されるとともに、その受け溝を形成する2つのエッジのうち、線材の送り先側に位置するエッジを形成する2つの面のなす角度が90度よりも小さなものとされていることを特徴とするバネ製造装置。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1実施形態のバネ製造装置の概略構成を示す模式図。
【図2】第1実施形態のガイド装置の断面図。
【図3】各実施形態共通の曲げダイス装置の断面図。
【図4】第2実施形態のガイド装置の断面図。
【図5】従来のバネ製造装置の概略構成を示す模式図。
【図6】従来のガイド装置の断面図。
【図7】従来のガイド装置の問題点を説明するための説明図。
【図8】従来のガイド装置の問題点を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0058】
2…線材、3,8…ガイド装置(ワイヤガイド装置)、30,60…下側ガイド部材(第1のガイド部材)、31…ガイド溝(第1のガイド溝)、40,70…上側ガイド部材(第2のガイド部材)、41…ガイド溝(第2のガイド溝)、50,80…通路、61…接合面、71…ガイド溝、72,73…斜面。
【出願人】 【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
【識別番号】507174101
【氏名又は名称】株式会社江南発条
【出願日】 平成19年5月28日(2007.5.28)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠


【公開番号】 特開2008−290140(P2008−290140A)
【公開日】 平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願番号】 特願2007−140768(P2007−140768)