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【発明の名称】 切断装置
【発明者】 【氏名】田中 敏喜

【氏名】田中 洋輔

【要約】 【課題】線条材のルートを変更することなく、あらゆる圧延機排出速度にて確実に作動することが可能な切断装置を提供する。

【解決手段】シヤー本体1Aは、パスラインを挟んで当該パスラインと直交する方向に平行に配置された一対の回転軸11u,11dをそれぞれ中心軸として互いに反対方向に連続回転するナイフホルダ12u,12dと、一対の回転軸11u,11dを駆動する駆動機構と、ナイフホルダ12u,12dを回転軸11u,11dの軸方向に移動させるリニアモータ16とから概略構成されている。ナイフホルダ12u,12dの先端部には、切断された線条材10の新しい先端部が上方を指向するように配置された第一の切刃13と、切断された線条材10の新しい先端部が下方を指向するように配置された第二の切刃14とが所定の間隔をあけて並設され、第一の切刃13と第二の切刃14との間の空間は線条材10の搬送路となっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線条材を切断するシヤー本体と、前記シヤー本体の前面に設置され、前記シヤー本体に線条材を送り込むスイッチトラフと、前記シヤー本体の後面に設置され、切断された線条材を案内する出口ガイドおよび線条材の先・後端部をライン外へ排出するクロップシュートを有するセパレータとを備える切断措置において、
線条材のパスラインを挟んで当該パスラインと直交する方向に平行配置された一対の回転軸の周りにそれぞれ連続回転するナイフホルダの先端部に、切断された線条材の新しい先端部が一方向を指向するように配置された第一の切刃と、切断された線条材の新しい先端部が他方向を指向するように配置された第二の切刃とが、それらの間に線条材が自由に通過できる空間を有して並設されてなり、
前記ナイフホルダが前記回転軸の軸方向に移動することにより、前記パスラインに進入した前記第一の切刃または前記第二の切刃が、前記パスラインに沿って搬送される線条材を切断することを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記ナイフホルダの基端部外周面と、当該基端部外周面に面して設けられた治具との間にリニアモータが配され、前記リニアモータにより、前記ナイフホルダが前記回転軸の軸方向に移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記ナイフホルダに連結された係合部材に偏芯カムが係合し、前記偏芯カムが前記回転軸に平行な平面内で回動することにより、前記係合部材を介して前記ナイフホルダが前記回転軸の軸方向に移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項4】
中心部を前記回転軸が貫通するボスの外周部に、前記ナイフホルダの基端部がクリアランスを有する状態で環装され、前記基端部の一端が前記ボスに軸支されるとともに、当該基端部の中間部が前記回転軸内を軸方向に摺動する摺動棒の一端にリンク材で連結され、
前記摺動棒が前記回転軸内を軸方向に摺動することにより、前記ナイフホルダが軸支部を揺動中心として前記回転軸の軸方向に揺動することを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項5】
前記回転軸の一端にフライホイルを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延機から排出される圧延棒鋼材や圧延線材等の線条材を切断するための切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延機から排出される圧延棒鋼材や圧延線材等の線条材の先端部および後端部は形状不良となることが多く、クロップとして切捨て処理される。線条材の先端部および後端部の切捨て処理(クロップカット処理)は、パスライン(圧延ライン)上を走行する線条材に対して行われており、例えば特許文献1や特許文献2に示すフライングシヤーと呼ばれる切断装置が利用されている。
【0003】
特許文献1に記載されている切断装置は、並設された一対のロータリーシヤーを備え、ロータリーシヤーの前面に設置された切替パイプを用いて、いずれかのロータリーシヤーに選択的に線材を送り込む機構になっている。また、一対のロータリーシヤーの直後の線材パスラインの上方にはセパレーターが配置され、セパレーターの下方には、切り落とされた線材をクロップシュートに案内するデフレクターが備えられている。各ロータリーシヤーは、1組の切刃を備え、この1組の切刃が回転して互いに噛み合い、その間に挟んだ線材を切断する。一方のロータリーシヤー(上向きシヤー)の切刃の配置は、後続する線材の新しい先端部が自動的に上方に傾斜するようになっており、他方のロータリーシヤー(下向きシヤー)の切刃の配置は、後続する線材の新しい先端部が自動的に下側を指向するようになっている。
圧延機から送り出された線材は、切替パイプにより、静止状態にある上向きシヤーに案内され、線材の先端部は、デフレクターの下側に当たって下方に偏向されてクロップシュートに入っていく。線材が一定長さ通過すると、上向きシヤーが作動して線材の先端部が切り落とされ、切り落とされた先端部はクロップシュートを介してクロップ箱に送られる。一方、後続する線材の新しい先端部は、切刃の作動により上方に傾斜し、セパレーターの上側へ案内される。
また、線材の後端部を切り落とす場合は、切替パイプにより、線材が下向きシヤーに案内され、後端部が切り落とされる。切り落とされた後端部の先端は、切刃の作動により下方に傾斜し、セパレーターの下側を通ってデフレクターに当接し、クロップシュートに送られる。
【0004】
特許文献2に記載されている切断装置は、シヤー本体の前面にラインセレクターが、後面にラインセパレータがそれぞれ配置されている。ラインセパレータは、上部が線条材を案内する出口ガイドとされ、下部はクロップシュートになっている。一方、ラインセレクターには、線条材が出口ガイドとクロップシュートのいずれかを指向するように、線条材を案内してその走行方向を規制する入口ガイドが設けられている。シヤー本体は、平行な上下一対の回転刃軸を有し、各回転刃軸には径方向に突出する1枚刃からなる回転刃が装着されている。また、このシヤー本体では、上下一対の回転刃の先端が噛合する位置(線条材の切断位置)を上下方向に調整できるように、回転刃軸が上下方向に可動するようになっている。
線条材の先端部を切断する場合、ラインセレクターの入口ガイドは、クロップシュートを指向するように下方に傾斜した状態に維持される。また、線条材の切断位置が圧延ライン上となるように回転刃軸の上下高さが調整される。入口ガイドを通過した線条材の先端部はシヤー本体を通過してクロップシュートに導かれる。その後、回転刃軸が起動され、下側の回転刃が線条材を圧延ラインまで蹴り上げ、上側の回転刃と噛合して先端部を切断する。この時、入口ガイドは出口ガイドを指向するように位置変更され、後続の線条材は出口ガイドを通って下流側へ流れる。一方、切断された先端部はクロップシュート内を落下してライン外に排出される。
また、線条材の後端部を切断する場合は、それまで出口ガイドを指向していた入口ガイドがクロップシュートを指向するように位置変更する。それと同時に、回転刃の切断位置が圧延ラインよりも下方になるように回転刃軸の上下方向の位置を調整する。回転刃が起動して圧延ラインより下方の切断位置において線条材の後端部が切断されると、切断が完了した先行する線条材は出口ガイドを通って下流に流れていき、線条材の後端部はクロップシュートに案内される。
【0005】
上述した従来の切断装置は、圧延機の排出速度に合わせてロータリーシヤーが起動・停止するようになっている。このため、圧延機の排出速度が20m/秒程度以下であれば適切に作動するが、それ以上の排出速度ではロータリーシヤーが起動して排出速度に達するまでの時間的余裕が無く、排出速度が高くなるに従い対応できないという問題がある。
そこで、特許文献3では、あらゆる圧延機排出速度にて確実に作動することが可能なフライングシヤーが提案されている。
このフライングシヤーは、水平面の上方および下方に位置する上部シャフトおよび下部シャフトを回転軸として互いに反対方向に連続的に回転する先行刃と追随刃を有している。先行刃の回転半径は追随刃の回転半径より長めに形成され、先行刃および追随刃は、水平面から鉛直方向に間隔を空けて設けられた切断領域Z1,Z2内で、半径方向に重複する位置関係にて協働するよう構成・配置されている。また、切断領域Z1,Z2の上流には、切断領域Z1,Z2を迂回する迂回経路a,b,cに線条材を誘導するよう動作したり、迂回経路a,b,cから偏向して切断領域Z1,Z2内に線条材を誘導し、先行刃および追随刃によって線条材が前セグメントと後セグメントに切断されるよう動作するスイッチパイプが配置され、切断領域Z1,Z2の下流には、水平棚部を有する中間壁によって内部が三つの案内経路A,B,Cに分割された固定収容樋が配置されている。
線条材の先端部を切断する場合、スイッチパイプは迂回経路aに設定される。これにより、線条材の先端部は、切断領域Z1を迂回して固定収容樋の案内経路Aを通過する。適切な時点でスイッチパイプは、迂回経路aから迂回経路bへ横断移動される。それにより、線条材は切断領域Z1を通過するよう誘導され、切断領域Z1において、線条材は、案内経路Aに進む前セグメントと、案内経路Bを通過する後セグメントとに分割される。
また、線条材の後端部を切断する場合は、スイッチパイプが迂回経路bから迂回経路cへ移動し、切断領域Z2内で、線条材の後端部が切断される。前セグメントは、案内経路Bを進行しつづけ、後セグメントは、案内経路Cへ誘導される。
【特許文献1】特開昭50−37663号公報
【特許文献2】特開昭62−199314号公報
【特許文献3】特開2000−317718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載された切断装置は、スイッチパイプにより線条材を曲げて走行ルートを変更する方式であるため、スイッチパイプと線条材との接触によって線条材に擦り傷が発生するという問題がある。また、排出速度が高速であるため、ルート変更時に線条材がパスラインから飛び出してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、線条材のルートを変更することなく、あらゆる圧延機排出速度にて確実に作動することが可能な切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、線条材を切断するシヤー本体と、前記シヤー本体の前面に設置され、前記シヤー本体に線条材を送り込むスイッチトラフと、前記シヤー本体の後面に設置され、切断された線条材を案内する出口ガイドおよび線条材の先・後端部をライン外へ排出するクロップシュートを有するセパレータとを備える切断措置において、線条材のパスラインを挟んで当該パスラインと直交する方向に平行配置された一対の回転軸の周りにそれぞれ連続回転するナイフホルダの先端部に、切断された線条材の新しい先端部が一方向を指向するように配置された第一の切刃と、切断された線条材の新しい先端部が他方向を指向するように配置された第二の切刃とが、それらの間に線条材が自由に通過できる空間を有して並設されてなり、前記ナイフホルダが前記回転軸の軸方向に移動することにより、前記パスラインに進入した前記第一の切刃または前記第二の切刃が、前記パスラインに沿って搬送される線条材を切断することを特徴としている。
即ち、切刃を回転する駆動系と、切刃を軸方向に移動する駆動系とを別々に設けることにより、切刃を回転する慣性モーメントの大きな駆動系は切断モードに入る前に排出速度に見合った速度まで十分時間をかけて加速しておき、切刃を軸方向に移動する慣性モーメントの小さな駆動系のみを瞬時に起動停止するところに本発明の特徴がある。
【0009】
スイッチトラフから送り出された線条材は、シヤー本体内において、第一の切刃と第二の切刃の間の空間を直線的に通過する。線条材の先端部もしくは中間部を切断する場合は、第一の切刃がパスラインの位置に来るように、一対の回転軸をそれぞれ中心軸として互いに反対方向に連続回転するナイフホルダを当該回転軸に沿って移動させ、パスラインに進入した第一の切刃によって線条材を切断する。切り落とされた先端部はクロップシュートに送られ、後続する線条材の中間部は、第一の切刃の作動により出口ガイドへ案内される。
一方、線条材の後端部を切断する場合は、第二の切刃がパスラインの位置に来るように、一対の回転軸をそれぞれ中心軸として互いに反対方向に連続回転するナイフホルダを当該回転軸に沿って移動させ、パスラインに進入した第二の切刃によって線条材を切断する。切り落とされた後端部は、第二の切刃の作動によりクロップシュートに送られる。
【0010】
本発明では、一対のナイフホルダを回転軸の周りにそれぞれ連続回転させておき、線条材を切断する際に、当該ナイフホルダを回転軸の軸方向に移動させて、第一の切刃または第二の切刃で線条材を切断するようにしているので、100m/秒に達するような排出速度を有する圧延機にも対応することができる。また、本発明では、線条材のルートを変更させないので、スイッチトラフと線条材が接触して線条材に擦り傷が発生するという問題が無いうえ、パスラインから線条材が飛び出してしまうこともない。
【0011】
また、本発明に係る切断装置では、前記ナイフホルダの基端部外周面と、当該基端部外周面に面して設けられた治具との間にリニアモータが配され、前記リニアモータにより、前記ナイフホルダが前記回転軸の軸方向に移動可能とされていてもよい。
本発明では、リニアモータを用いてナイフホルダを回転軸の軸方向に移動させるようにしているので、歯車などの伝達機構が不要となり、駆動機構が簡単になる。その結果、駆動機構の小型軽量化、高速化、高い切断精度を実現することができる。また、リニアモータの場合、非接触で経年変化も少ないので、メンテナンスも容易である。
【0012】
また、本発明に係る切断装置では、前記ナイフホルダに連結された係合部材に偏芯カムが係合し、前記偏芯カムが前記回転軸に平行な平面内で回動することにより、前記係合部材を介して前記ナイフホルダが前記回転軸の軸方向に移動可能とされていてもよい。
本発明では、偏芯カムを回転軸に平行な平面内で回動させることにより、偏芯カムと係合する係合部材が回転軸の軸方向に移動し、当該係合部材と連結されているナイフホルダが係合部材とともに回転軸の軸方向に移動する。本発明の場合、カム軸を介して偏芯カムを回動させるようにしているので、駆動機構がシンプルであり、コストが掛からず、信頼性も高い。
【0013】
また、本発明に係る切断装置では、中心部を前記回転軸が貫通するボスの外周部に、前記ナイフホルダの基端部がクリアランスを有する状態で環装され、前記基端部の一端が前記ボスに軸支されるとともに、当該基端部の中間部が前記回転軸内を軸方向に摺動する摺動棒の一端にリンク材で連結され、前記摺動棒が前記回転軸内を軸方向に摺動することにより、前記ナイフホルダが軸支部を揺動中心として前記回転軸の軸方向に揺動するようにしてもよい。
本発明では、摺動棒が回転軸内を軸方向に摺動することにより、リンク材を介して摺動棒に連結されたナイフホルダが、軸支部を揺動中心として回転軸の軸方向に揺動する。ナイフホルダの中間部に比べて先端部では、変位量が増幅されるため、本発明の場合、摺動棒の移動量を小さくすることができるという利点がある。
【0014】
また、本発明に係る切断装置では、前記回転軸の一端にフライホイルを備えていてもよい。フライホイルにより切断エネルギーを増加させることで、太径・低速線条材を切断することが可能となる。
本発明では、切刃の連続回転が可能なため、切断の瞬間に、切刃を回転する駆動系を起動する必要が無く、慣性モーメントの大きさによる制約を受けない。因って、切刃を回転する駆動系の慣性モーメントを大きくすることも可能であり、切刃を回転する駆動系の慣性モーメントを積極的に大きくして、その慣性エネルギーで太径・低速線条材を切断することが可能となる。これにより、太径・低速線条材の切断から前記した細径高速線条材の切断まで1台の切断機でカバーすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る切断装置では、一対のナイフホルダを回転軸の周りにそれぞれ連続回転させておき、線条材を切断する際に、当該ナイフホルダを回転軸の軸方向に移動させて、パスラインに進入した第一の切刃または第二の切刃で線条材を切断するようにしているので、あらゆる圧延機排出速度に対して確実に作動することが可能である。また、本発明では、線条材のルートを変更させないので、スイッチトラフと線条材が接触して線条材に擦り傷が発生したり、パスラインから線条材が飛び出したりすることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、便宜上、線条材の進行方向を「先」、その逆方向を「後」と呼ぶことにする。また、特に断りのない限り、線条材の搬送方向は、図の左から右に向かう方向とする。
[第一の実施形態]
図1に本切断装置の側断面図を示す。また、図3に第一の実施形態におけるシヤー本体を正面から見た図を示す。
図1に示すように、本切断装置は、線条材を切断するシヤー本体1Aと、シヤー本体1Aの前面に設置され、シヤー本体1Aに線条材を送り込むスイッチトラフ2と、シヤー本体1Aの後面に設置されるセパレータ3とから概略構成される。
【0017】
スイッチトラフ2は、後端部4bが軸支され、後端部4bに比べて細くなった先端部4aを有するスイッチパイプ4と、スイッチパイプ4の先端部4aに連結された「く」の字形のレバー6を介して、スイッチパイプ4の先端部4aを上下方向に駆動するアクチュエータ5とから構成されている。
【0018】
セパレータ3は、切断された線条材を案内する出口ガイド7と、線条材の先端部および後端部をライン外に排出するクロップシュート8から構成されている。出口ガイド7は、後端部7bに比べて先端部7aが細くなっており、パスラインPに沿って略水平に設置されている。また、クロップシュート8は、出口ガイド7の後端部7b直下から下方に向けて設置され、クロップシュート8の出口付近には、切り落とされた線条材を細かく切り刻むチョッピングシヤー9が設置されている。
【0019】
図3に示すように、シヤー本体1Aは、パスラインPを挟んで当該パスラインPと直交する方向に平行に配置された一対の回転軸11u,11dをそれぞれ中心軸として互いに反対方向に連続回転するナイフホルダ12u,12dと、一対の回転軸11u,11dを駆動する駆動機構と、ナイフホルダ12u,12dを回転軸11u,11dの軸方向に移動させるリニアモータ16とから概略構成されている。
【0020】
ナイフホルダ12は、円筒状の基端部と、当該基端部から外方に突出するアーム部から構成されている。アーム部の先端部には、切断された線条材10の新しい先端部が上方を指向するように配置された第一の切刃13u,13dと、切断された線条材10の新しい先端部が下方を指向するように配置された第二の切刃14u,14dとが、所定の間隔をあけて並設され、第一の切刃13と第二の切刃14との間の空間Kは、線条材10の搬送路となっている(図4参照)。
第一の切刃13と第二の切刃14の刃先は、図2に示すように、傾斜面を有しており、傾斜面の向きは、第一の切刃13と第二の切刃14とで逆向きになっている。線条材10を切断する場合、上側のナイフホルダ12uと下側のナイフホルダ12dが互いに逆向きに回転して、上側の切刃13u,14uと下側の切刃13d,14dが互いに噛み合い、その間に挟んだ線条材10を切断する。この際、第一の切刃13では、切断された線条材10の新しい先端部は、下側の切刃13dによって上方を指向し(図2(a)参照)、第二の切刃14では、切断された線条材10の新しい先端部は、上側の切刃14uによって下方を指向する(図2(b)参照)。
【0021】
駆動機構は、モータ20と、モータ20の回転力をベルトを介して下側の回転軸11dに伝達する伝達装置21と、一対の回転軸11u,11dにそれぞれ環装された歯車22,22とから構成されている。モータ20の回転は、伝達装置21を介して下側の回転軸11dに伝達されるとともに、歯車22,22を介して上側の回転軸11uに伝達される。また、上側の回転軸11uの一端には、上側のナイフホルダ12uの切刃13u,14uの位置を検出するための切刃位置検出器19が、モータ20の回転軸には、モータの回転を検出するためのモータ回転検出器23がそれぞれ取付けられている。
【0022】
リニアモータ16は、図4に示すように、ナイフホルダ12の基端部外周面に装着された可動子16bと、当該基端部外周面に面して設けられた治具17に固定された固定子16aとから構成される。可動子16bは永久磁石からなり、N極とS極が回転軸11の軸方向に交互に配置されている。一方、固定子16aは電磁石からなり、回転軸11の軸方向にN極とS極が配置されている。可動子16bと固定子16aとの間に発生する吸引力と反発力を利用して推力を発生させるものであり、固定子16aの磁極を変化させることで、可動子16bが装着されたナイフホルダ12が回転軸11の軸方向に移動する。
なお、上記実施形態では、リニアモータを同期型としたが、誘導型など他のタイプのリニアモータでも良いことは言うまでもない。
【0023】
図4に示すように、回転軸11は、当該回転軸11を巻装する円筒状のボス15によって保持されており、ボス15の外周部に装着されたスライドブッシュ24を介して、ボス15の外周部にナイフホルダ12が取り付けられている。ボス15の外周面およびナイフホルダ12の基端部内周面には、それぞれ回転軸11方向に延在する突条部15a,12aが周方向に複数形成されており、この突条部同士15a,12aが嵌合することにより、ナイフホルダ12は、回転軸11周りに回転するだけでなく、回転軸11の軸方向に移動することができる。
【0024】
次に、上記構成からなる本切断装置による線条材の切断方法について、図5を用いて説明する。なお、図5において、切刃内の三角形は切刃の向きを示している。
線条材10の先端部を切断する場合、スイッチパイプ4の先端部4aがクロップシュート8を指向するように、先端部4aを下方に傾斜した状態に維持する。スイッチパイプ4の先端部4aを通過した線条材10の先端部は、第一の切刃13と第二の切刃14の間の空間Kを通過してクロップシュート8に導かれる(図5(a)参照)。一定長さの線条材10が通過すると、第一の切刃13がパスラインPの位置に来るように、回転軸11u,11dをそれぞれ中心軸として互いに反対方向に連続回転するナイフホルダ12u,12dを回転軸11u,11dに沿って移動させ、パスラインPに進入した第一の切刃13によって線条材10を切断する(図5(b)参照)。線条材10の切断が完了すると同時に、ナイフホルダ12u,12dを元の位置に復帰させるとともに(図5(c)参照)、スイッチパイプ4の先端部4aが出口ガイド7を指向するように位置変更する。切断された先端部はクロップシュート8内を落下してライン外に排出され、後続の線条材10は第一の切刃13の作動により上方に傾斜し、出口ガイド7を通って下流側へ流れる。なお、線条材10の中間部を切断する場合は、切断された先端部を通させたい方向によって、第一の切刃13または第二の切刃14を選択使用することができる。
一方、線条材10の後端部を切断する場合は、それまで出口ガイド7を指向していたスイッチパイプ4の先端部4aがクロップシュート8を指向するように位置変更する。第二の切刃14がパスラインPの位置に来るように、回転軸11u,11dをそれぞれ中心軸として互いに反対方向に連続回転するナイフホルダ12u,12dを回転軸11u,11dに沿って移動させ、パスラインPに進入した第二の切刃14によって線条材10を切断する(図5(d)参照)。線条材10の切断が完了すると同時に、ナイフホルダ12u,12dを元の位置に復帰させる(図5(e)参照)。切断が完了した先行する線条材10は出口ガイドを通って下流に流れていき、線条材10の後端部は第二の切刃14の作動により下方に傾斜し、クロップシュート8に案内される。
【0025】
本実施形態による切断装置1Aでは、一対のナイフホルダ12u,12dを回転軸11u,11dの周りにそれぞれ連続回転させておき、線条材10を切断する際に、当該ナイフホルダ12u,12dを回転軸11u,11dの軸方向に移動させて、パスラインPに進入した第一の切刃13または第二の切刃14で線条材10を切断するようにしているので、100m/秒に達するような排出速度を有する圧延機にも対応することができる。また、本発明では、線条材10のルートを変更させないので、スイッチパイプ4と線条材10が接触して線条材10に擦り傷が発生するという問題が無いうえ、パスラインPから線条材10が飛び出してしまうこともない。
【0026】
[第二の実施形態]
図6に第二の実施形態におけるシヤー本体を正面から見た図を、図7にその矢視断面図を示す。
本実施形態におけるシヤー本体1Bでは、回転軸11を環装する係合部材31が、軸受けからなる連結部33を介してナイフホルダ12の基端部に連結された構成とされている。プレート状の係合部材31の中心部を回転軸11が貫通し、係合部材31の一方の端部には鉛直方向に長い長孔31aが形成され、長孔31aの内部には、パスラインPの方向にカム軸34を有する偏芯カム35が配置されている。また、係合部材31が回転軸11の周りを回転しないように、係合部材31の他方の端部は、フレーム18に一端が固定された棒状の治具32と係合している。
上側のカム軸34uと下側のカム軸34dは歯車37,37で連動しており、モータ36に連結された下側のカム軸34dが回動すると、歯車37,37を介して上側のカム軸34uは逆方向に回動する。
【0027】
ナイフホルダ12を回転軸11の軸方向に移動させる場合は、モータ36の駆動力を利用してカム軸34を所定の角度だけ回動させればよい。カム軸34が所定の角度だけ回動することにより、係合部材31の長孔31a内で偏芯カム35が回転軸11に平行な平面内で回動して係合部材31を回転軸11の軸方向に押圧する。これにより、係合部材31が回転軸11の軸方向に移動し、連結部33を介して係合部材31と連結されているナイフホルダ12が、係合部材31とともに回転軸11の軸方向に移動する。
【0028】
[第三の実施形態]
図8に第三の実施形態におけるシヤー本体のナイフホルダ部分の正面図を、図9にナイフホルダ部分の側面図を示す。
本実施形態におけるシヤー本体1Cでは、回転軸41を保持するボス45の外周部に、ナイフホルダ42の基端部がクリアランスCを有する状態で環装される。ナイフホルダ42の基端部は略U字状とされ、その上端部はピン46でボス45に軸支され、当該基端部の中間部は、回転軸41内を軸方向に摺動する摺動棒48の一端にリンク材47で連結されている。なお、摺動棒48の他端には、摺動棒48を押し引きするための駆動装置(図示省略)が連結されており、駆動装置としては、油圧シリンダーや電磁石などを利用することができる。
【0029】
図示しない駆動装置により、摺動棒48が回転軸41内を軸方向に摺動すると、リンク材47を介して摺動棒48に連結されたナイフホルダ42が、軸支部42aを揺動中心として回転軸41の軸方向に揺動する。
【0030】
[第四の実施形態]
図10に、第四の実施形態におけるシヤー本体を正面から見た図を示す。
本実施形態におけるシヤー本体は、第二の実施形態におけるシヤー本体1Bに加えて、下側の回転軸11dの一端にフライホイル25を備えた構成とされており、フライホイル25の大きな慣性モーメントを利用して、太径・低速線条材を切断することができる。
なお、上記実施形態では、シヤー本体を第二の実施形態のものとしたが、第一や第三の実施形態のものでもよいことは言うまでもない。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、一対の回転軸は水平に配置されているが、一対の回転軸を鉛直方向に配置し、ナイフホルダが水平面内で回転するようにして、切断された線条材を左右に振り分けるようにしてもよい。要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る切断装置の側断面図である。
【図2】(a)は第一の切刃の模式図、(b)は第二の切刃の模式図である。
【図3】第一の実施形態におけるシヤー本体を正面から見た図である。
【図4】図3におけるA部の詳細図である。
【図5】線条材の切断方法を説明するための模式図である。
【図6】第二の実施形態におけるシヤー本体を正面から見た図である。
【図7】図6におけるB−B矢視断面図である。
【図8】第三の実施形態におけるシヤー本体のナイフホルダ部分の正面図である。
【図9】第三の実施形態におけるシヤー本体のナイフホルダ部分の側面図である。
【図10】第四の実施形態におけるシヤー本体を正面から見た図である。
【符号の説明】
【0033】
1A,1B,1C シヤー本体
2 スイッチトラフ
3 セパレータ
4 スイッチパイプ
5 アクチュエータ
6 レバー
7 出口ガイド
8 クロップシュート
9 チョッピングシヤー
10 線条材
11,11u,11d,41,41u,41d 回転軸
12,12u,12d,42,42u,42d ナイフホルダ
13,13u,13d,14,14u,14d 切刃
15,45 ボス
16 リニアモータ
16a 固定子
16b 可動子
17,32 治具
18 フレーム
19 切刃位置検出器
20,36 モータ
21 伝達装置
22,37 歯車
23 モータ回転検出器
24 スライドブッシュ
25 フライホイル
31 係合部材
31a 長孔
33 連結部
34,34u,34d カム軸
35 偏芯カム
42a 軸支部
46 ピン
47 リンク材
48 摺動棒
P パスライン
K 空間
C クリアランス
【出願人】 【識別番号】507013464
【氏名又は名称】田中 敏喜
【出願日】 平成19年1月15日(2007.1.15)
【代理人】 【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘


【公開番号】 特開2008−168326(P2008−168326A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−5268(P2007−5268)