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【発明の名称】 線材成形機
【発明者】 【氏名】大林 栄次

【氏名】野島 高志

【要約】 【課題】従来のものより剛性を高めることが可能な線材成形機の提供を目的とする。

【解決手段】本発明の線材成形機10は、ベースプレート11Aとベースプレート11Aから起立した起立壁11B,11Bと、起立壁11B,11Bを挟んでベースプレート11Aに上方から対向した天井壁11Cとを一体に固定してなるベースフレーム11に、線材送給装置12と切断ツール駆動機構50と成形ツール駆動機構20とが保持され、しかも、成形ツール駆動機構20は、ベースプレート11Aと天井壁11Cとに上下の両端部が保持されたから、線材送給装置12と成形ツール駆動機構20との間に剛性が従来より高められる。これにより、線材90の径が太くなってもコイルばねを安定して成形することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材を水平方向に送給すると共に、線材が挿通されて前記線材の側方への移動を規制する線材送給ガイドを有した線材送給装置と、
前記線材送給装置から送給された線材に衝合されて前記線材を成形するための成形ツールと、
前記成形ツールが取り付けられ、その成形ツールを位置決制御するための成形ツール駆動機構と、
前記線材送給装置から送給された線材を切断する切断ツールと、
前記切断ツールが取り付けられ、その切断ツールを駆動するための切断ツール駆動機構と、
前記線材送給装置と前記成形ツール駆動機構と前記切断ツール駆動機構とを保持するためのベースフレームとを備えてなる線材成形機において、
前記ベースフレームには、ベースプレートと、前記ベースプレートから起立した起立壁と、前記起立壁を挟んで前記ベースプレートに上方から対向した天井壁とを一体に固定して備え、
前記線材送給装置は、前記起立壁に保持され、
前記切断ツール駆動機構は、前記起立壁に保持されると共に、前記線材送給装置の前方領域に側方から前記切断ツールを進退させるように構成され、
前記成形ツール駆動機構は、前記線材送給装置に対して線材送給方向の前方に配置されると共に、上下の両端部を前記ベースプレートと前記天井壁とに保持されたことを特徴とする線材成形機。
【請求項2】
前記成形ツール駆動機構に、水平方向を向いた第1直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第1可動ベースを備えて、その第1直動方向に前記成形ツールを直動可能とすると共に、その第1直動方向で、前記第1可動ベースの上下の両端部を、前記ベースプレートと前記天井壁とにそれぞれ直動可能に連結した第1直動ガイドを設けたことを特徴とする請求項1に記載の線材成形機。
【請求項3】
前記成形ツール駆動機構に、前記第1直動方向と直交する第2直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第2可動ベースを備えて、その第2直動方向に前記成形ツールを直動可能とし、
前記第1可動ベースに、前記第2可動ベースを間に挟んで対向した1対の第1対向支持部を設けて、前記第2直動方向で、前記第2可動ベースを前記1対の第1対向支持部の両方に直動可能に連結した第2直動ガイドとを備えたことを特徴とする請求項2に記載の線材成形機。
【請求項4】
前記成形ツール駆動機構に、水平方向を向いた第1直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第1可動ベースと、前記第1直動方向と直交する第2直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第2可動ベースと、前記第1直動方向と前記第2直動方向とにそれぞれと直交する第3直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第3可動ベースとを備えて、それら第1、第2及び第3の直動方向に前記成形ツールを直動可能とし、
前記第1直動方向で、前記第1可動ベースの上下の両端部を、前記ベースプレートと前記天井壁とにそれぞれ直動可能に連結した第1直動ガイドと、
前記第1可動ベースに形成されて、前記第2可動ベースを間に挟んで対向した1対の第1対向支持部と、
前記第2直動方向で、前記第2可動ベースを前記1対の第1対向支持部の両方にそれぞれ直動可能に連結した第2直動ガイドと、
前記第2可動ベースに形成されて、前記第3可動ベースを間に挟んで対向した1対の第2対向支持部と、
前記第3直動方向で、前記第3可動ベースを前記1対の第2対向支持部の両方にそれぞれ直動可能に連結した第3直動ガイドとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の線材成形機。
【請求項5】
前記成形ツール駆動機構には、前記線材送給方向と平行な第1回転軸の回りに回転駆動される回転ヘッドと、
前記回転ヘッドのうち前記第1回転軸からオフセットした外縁部から前記線材送給装置に向かって突出したヘッド支持突部と、
前記ヘッド支持突部に対して回転可能に取り付けられ、前記第1回転軸と直交する第2回転軸の回りに回転駆動されかつ、前記成形ツールが固定された固定テーブルとが備えられたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の線材成形機。
【請求項6】
前記線材が前記成形ツールを素通りした場合にその線材が突き当てられる保護壁を設けたことを特徴とする請求項1乃至5に記載の線材成形機。
【請求項7】
前記成形ツール駆動機構の一部で前記保護壁を構成したことを特徴とする請求項6に記載の線材成形機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、線材を送給する線材送給装置と、線材送給装置から送給された線材を成形するための成形ツールと、線材送給装置から送給された線材を切断する切断ツールとを備えた線材成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の線材成形機として、図11に示したものは、線材送給装置1の前面壁1Aに成形ツール駆動機構2が取り付けられている。成形ツール駆動機構2は、前面壁1Aに取り付けられた直動機構に対して上下方向にスライド可能に取り付けられた第一台盤4と、第一台盤4上で線材の送給方向と直交する水平方向にスライド可能に取り付けられた第二台盤5と、第二台盤5上で、線材の送給方向と平行な水平方向にスライド可能に取り付けられたメインボディ6とを備え、そのメインボディ6の先端に成形ツールが取り付けられていた。
【特許文献1】特許3839338号公報(段落[0018]〜[0036]、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述した従来の線材成形機では、第一台盤4が片持ち状態に支持されているため、線材の径が太くなって成形ツール駆動機構2にかかる負荷が増大した場合に、線材送給装置1と成形ツール駆動機構2との間の剛性が問題となり得た。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来のものより剛性を高めることが可能な線材成形機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る線材成形機は、線材を水平方向に送給すると共に、線材が挿通されて線材の側方への移動を規制する線材送給ガイドを有した線材送給装置と、線材送給装置から送給された線材に衝合されて線材を成形するための成形ツールと、成形ツールが取り付けられ、その成形ツールを位置決制御するための成形ツール駆動機構と、線材送給装置から送給された線材を切断する切断ツールと、切断ツールが取り付けられ、その切断ツールを駆動するための切断ツール駆動機構と、線材送給装置と成形ツール駆動機構と切断ツール駆動機構とを保持するためのベースフレームとを備えてなる線材成形機において、ベースフレームには、ベースプレートと、ベースプレートから起立した起立壁と、起立壁を挟んでベースプレートに上方から対向した天井壁とを一体に固定して備え、線材送給装置は、起立壁に保持され、切断ツール駆動機構は、起立壁に保持されると共に、線材送給装置の前方領域に側方から切断ツールを進退させるように構成され、成形ツール駆動機構は、線材送給装置に対して線材送給方向の前方に配置されると共に、上下の両端部をベースプレートと天井壁とに保持されたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の線材成形機において、成形ツール駆動機構に、水平方向を向いた第1直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第1可動ベースを備えて、その第1直動方向に成形ツールを直動可能とすると共に、その第1直動方向で、第1可動ベースの上下の両端部を、ベースプレートと天井壁とにそれぞれ直動可能に連結した第1直動ガイドを設けたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の線材成形機において、成形ツール駆動機構に、第1直動方向と直交する第2直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第2可動ベースを備えて、その第2直動方向に成形ツールを直動可能とし、第1可動ベースに、第2可動ベースを間に挟んで対向した1対の第1対向支持部を設けて、第2直動方向で、第2可動ベースを1対の第1対向支持部の両方に直動可能に連結した第2直動ガイドとを備えたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1に記載の線材成形機において、成形ツール駆動機構に、水平方向を向いた第1直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第1可動ベースと、第1直動方向と直交する第2直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第2可動ベースと、第1直動方向と第2直動方向とにそれぞれと直交する第3直動方向の任意の位置に位置決め制御可能な第3可動ベースとを備えて、それら第1、第2及び第3の直動方向に成形ツールを直動可能とし、第1直動方向で、第1可動ベースの上下の両端部を、ベースプレートと天井壁とにそれぞれ直動可能に連結した第1直動ガイドと、第1可動ベースに形成されて、第2可動ベースを間に挟んで対向した1対の第1対向支持部と、第2直動方向で、第2可動ベースを1対の第1対向支持部の両方にそれぞれ直動可能に連結した第2直動ガイドと、第2可動ベースに形成されて、第3可動ベースを間に挟んで対向した1対の第2対向支持部と、第3直動方向で、第3可動ベースを1対の第2対向支持部の両方にそれぞれ直動可能に連結した第3直動ガイドとを備えたところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の線材成形機において、成形ツール駆動機構には、線材送給方向と平行な第1回転軸の回りに回転駆動される回転ヘッドと、回転ヘッドのうち第1回転軸からオフセットした外縁部から線材送給装置に向かって突出したヘッド支持突部と、ヘッド支持突部に対して回転可能に取り付けられ、第1回転軸と直交する第2回転軸の回りに回転駆動されかつ、成形ツールが固定された固定テーブルとが備えられたところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至5に記載の線材成形機において、線材が成形ツールを素通りした場合にその線材が突き当てられる保護壁を設けたところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6に記載の線材成形機において、成形ツール駆動機構の一部で保護壁を構成したところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
線材成形機では、成形ツール駆動機構によって所定位置に位置決めされた成形ツールに、線材送給装置から送給された線材が衝合して塑性変形され、所定の形状に成形される。成形が完了すると、切断ツール駆動機構によって線材送給装置の前方領域に側方から切断ツールが進入して、線材の基端部を切断する。ここで、線材の径を太くした場合には、成形時に成形ツール駆動機構にかかる負荷が大きくなるので、線材送給装置と成形ツール駆動機構との間には高い剛性が要求される。これに対し、本発明によれば、ベースプレートとベースプレートから起立した起立壁と、起立壁を挟んでベースプレートに上方から対向した天井壁とを一体に固定してなるベースフレームに、線材送給装置と切断ツール駆動機構と成形ツール駆動機構とが保持され、しかも、成形ツール駆動機構は、ベースプレートと天井壁とに上下の両端部が保持されたから、線材送給装置と成形ツール駆動機構との間の剛性が従来より高められる。よって、線材の径を太くしても、安定して成形することが可能となる。
【0013】
ここで、本発明の「ベースプレート」には、地面又は床面や、地面又は床面上に設置された「台」が含まれる。
【0014】
請求項2の発明によれば、成形ツールを第1可動ベースと共に、水平方向を向いた第1直動方向に直動させて、任意の位置に位置決めすることができる。ここで、第1可動ベースは、その上下の両端部をベースプレートと天井壁とに直動可能に連結されているから、何れか一端部のみで連結した場合より、第1可動ベースとベースフレームとの間の剛性を高めることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、成形ツールを第2可動ベースと共に、第1直動方向と直交する第2直動方向に直動させて、任意の位置に位置決めすることができる。ここで、第2可動ベースは、第1可動ベースのうち第2可動ベースを挟んで対向した1対の第1対向支持部の両方に直動可能に連結されているから、第1対向支持部の何れか一方のみに連結した場合より、第1可動ベースと第2可動ベースとの間の剛性を高めることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、成形ツールを、互いに直交する三方向、即ち、水平方向を向いた第1直動方向と、第1直動方向と直交する第2直動方向と、第1直動方向と第2直動方向とにそれぞれ直交する第3直動方向とに直動させて、任意の位置に位置決めすることができる。ここで、第1可動ベースは、その上下の両端部をベースプレートと天井壁とに直動可能に連結され、第2可動ベースは、第1可動ベースのうち第2可動ベースを挟んで対向した1対の第1対向支持部の両方に直動可能に連結され、第3可動ベースは、第2可動ベースのうち第3可動ベースを挟んで対向した1対の第2対向支持部の両方に直動可能に連結されている。これにより、ベースフレームと第1可動ベースとの間及び、第1〜第3の各可動ベース間の剛性が高められ、成形ツール駆動機構自体の剛性を高めることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、成形ツールが固定された固定テーブルを、線材送給方向と平行な第1回転軸の回りと、その第1回転軸と直交した第2回転軸の回りに回転させることができる。これにより、成形ツールの位置及び姿勢を変更することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、万が一、線材が成形ツールを素通りしても、保護壁で受け止めることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、別途、保護壁を設ける必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1に示すように線材成形機10は、成形ツール駆動機構20と線材送給装置12とが水平方向で対峙し、図2に示すように、成形ツール駆動機構20と線材送給装置12との間に、切断ツール駆動機構50が配置されている。そして、これら成形ツール駆動機構20と線材送給装置12と切断ツール駆動機構50とが、共通のベースフレーム11に保持されている。
【0021】
ベースフレーム11は、地面又は床面に固定されたベースプレート11Aと、ベースプレート11Aから鉛直に起立して成形ツール駆動機構20と線材送給装置12とが対峙した水平方向に並んだ1対の起立壁11B,11Bと、それら1対の起立壁11B,11Bを挟んでベースプレート11Aに上方から対向した天井壁11Cとを一体に固定した構造をなしている。
【0022】
図3に示すように、線材送給装置12は、ベースフレーム11のうち、1対の起立壁11B,11Bに保持されている。線材送給装置12には、上下に並んで対をなした送りローラ13,13が水平方向に3対設けられている。これら各対の送りローラ13,13の間に線材90を挟み、上下の送りローラ13,13を対称回転させることで線材90を成形ツール駆動機構20側に送給したり、或いは、その逆向きに引き戻すことができる。また、各送りローラ13は、それぞれ別々のサーボモータ16によって駆動されるようになっており、これにより線材90の送給量を制御することができる。
【0023】
図1に示すように、1対の起立壁11B,11Bのうち、成形ツール駆動機構20に近い側の起立壁11Bの前面には、クイル14(本発明の「線材送給ガイド」に相当する)が固定されている。クイル14には、線材90の断面形状に対応した、例えば、断面円形の線材挿通孔が貫通形成されている。そして、線材送給装置12により起立壁11Bを貫通して送給された線材90は、この線材挿通孔を通して成形ツール駆動機構20側に送給される。このクイル14により線材90の側方への移動が規制される。
【0024】
図4に示すように、切断ツール駆動機構50は、成形ツール駆動機構20に対峙した起立壁11Bの前面で、クイル14の側方位置に取り付けられている。切断ツール駆動機構50のうちクイル14側を向いた前端部には切断ツール54が備えられ、起立壁11Bとの間に設けられた第1直動部51によって、切断ツール54を上下方向に往復駆動させる。第1直動部51は、ボールネジ機構52とスライダ機構53とから構成され、サーボモータ51M1に、ボールネジ機構52のボールネジ52Bの一端部が連結されている。そして、サーボモータ51M1がボールネジ52Bを回転させると、スライダ機構53に案内されて切断ツール54が上下方向に移動する。
【0025】
図示しないが、切断ツール駆動機構50は、上述した第1直動部51と同様のボールネジ機構及びスライダ機構を水平方向に延ばした構造の第2直動部を備えており、ボールネジ機構に備えたボールネジの一端部に、サーボモータ51M2が連結されている。そして、サーボモータ51M2がボールネジを回転させると、切断ツール54がスライダ機構に案内されて水平方向に移動し、クイル14前方の成形領域Rに対して側方から進退するようになっている。
【0026】
この切断ツール駆動機構50は、図8に示す後述の成形ツールT1〜T3によって線材90が成形されている間は、切断ツール54を成形領域Rの側方に退避させており、成形が完了すると、成形ツールT1〜T3に換わって切断ツール54を成形領域Rに進入させる。そして、ツール駆動サーボモータ55により切断ツール54が作動して、成形領域Rに排出された線材90の基端部が切断される。
【0027】
次に、成形ツール駆動機構20について図5〜図7を参照しつつ詳説する。図6に示すように、ベースフレーム11のうち、線材送給方向の前方には、ベースプレート11Aと天井壁11Cとの間に挟まれて一体に固定されたハウジング11Hが備えられている。ハウジング11Hは線材送給方向に貫通した門形構造をなしている。そして、成形ツール駆動機構20は、このハウジング11Hの内側に収容され、上下の両端部が、ハウジング11Hの天板を介してベースフレーム11の天井壁11Cとベースプレート11Aとに直動可能に連結されている。
【0028】
成形ツール駆動機構20は、線材送給方向に貫通した角筒構造の第1可動ベース40を備え、その第1可動ベース40の内側空間に、第1可動ベース40と同じく角筒構造をなした第2可動ベース41を備え、さらに、第2可動ベース41の内側空間に、成形ツールT1〜T3を保持した第3可動ベース42を備えている。そして、ベースプレート11A及びハウジング11Hと第1可動ベース40との間に設けられた第1直動ガイドと、第1可動ベース40と第2可動ベース41との間に設けられた第2直動ガイドと、第2可動ベース41と第3可動ベース42との間に設けられた第3直動ガイドとによって、第3可動ベース42に備えた成形ツールT1〜T3を、互いに直交する3方向に直動させる構成になっている。
【0029】
第1直動ガイドの具体的な構成は以下の通りである。即ち、図5及び図6に示すように、ベースプレート11Aの上面及びハウジング11Hの天板下面には、線材90の送給方向と直交した水平方向(図5における紙面に直交する方向、図6における左右方向)に延びて平行に並んだ1対のレール22S1,22S1がそれぞれ備えられ、第1可動ベース40のうち上下に対向した上壁40A及び下壁40Bには、それらレール22S1,22S1に直動可能に係合したスライダ22S2,22S2が備えられている。また、ベースプレート11Aにはレール22S1と平行に延びたボールネジ22B1が回転可能に支持されており、第1可動ベース40の下面から垂下した支持壁40Cには、ボールネジ22B1に螺合したボールナット22B2が固定されている。
【0030】
さらに、ベースプレート11Aには、第1直動ガイドの駆動源である第1直動軸サーボモータ22Mが取り付けられ、その第1直動軸サーボモータ22Mの出力回転軸にボールネジ22B1の一端部がギヤ連結されている。これらにより第1直動ガイドが構成され、第1直動軸サーボモータ22Mがボールネジ22B1を回転させると、第1可動ベース40がレール22S1,22S1上をスライドする。即ち、第1可動ベース40と共に第3可動ベース42が、線材90の送給方向と直交する水平方向(以下「第1直動方向Z」という)に往復動し、その第1直動方向Zの任意の位置に成形ツールT1〜T3を位置決め可能となっている。
【0031】
第1可動ベース40と第2可動ベース41との間に備えた第2直動ガイドも、上記第1直動ガイドと同様な構造をなしている。即ち、図6に示すように、第1可動ベース40のうち水平方向で対向した両側壁40D,40D(本発明の「1対の第1対向支持部」に相当する)には、上下方向に延びた1対のレール23S1,23S1が設けられており、第2可動ベース41の両側辺には、それらレール23S1,23S1に直動可能に係合したスライダ23S2,23S2が備えられている。また、第1可動ベース40の一方の側壁40Dには、レール23S1と平行に延びたボールネジ23B1が回転可能に支持されており、第2可動ベース41の一側辺にはボールネジ23B1に螺合したボールナット23B2が設けられている。
【0032】
さらに、第1可動ベース40には、第2直動ガイドの駆動源である第2直動軸サーボモータ23Mが取り付けられ、その第2直動軸サーボモータ23Mの出力回転軸にボールネジ23B1の一端部が連結されている。これらにより第2直動ガイドが構成され、第2直動軸サーボモータ23Mがボールネジ23B1を回転させると、第2可動ベース41がレール23S1,23S1上をスライドする。即ち、第2可動ベース41と共に第3可動ベース42が、線材90の送給方向と直交する上下方向(以下、「第2直動方向Y」という)に往復動し、その第2直動方向Yの任意の位置に成形ツールT1〜T3を位置決め可能となっている。
【0033】
ここで、第2可動ベース41の上壁41Aには、1対の直動シリンダ60,60(油圧シリンダ、エアシリンダなど)から延びたシリンダロッド61,61の先端部が連結されており、これら直動シリンダ60,60と第2直動軸サーボモータ23Mとが協働して、第2可動ベース41を上下動させるようになっている。
【0034】
第3直動ガイドの具体的な構成は以下の通りである。即ち、第2可動ベース41のうち、上下に対向した上壁41Aと下壁41B(本発明の「1対の第2対向支持部」に相当する)とには、それぞれ線材90の送給方向に延びて平行に並んだレール21S1,21S1が備えられ、第3可動ベース42の上壁及び下壁にそれぞれ設けられたスライダ21S2,21S2が、それらレール21S1,21S1に直動可能に係合している。
【0035】
また、図5に示すように第2可動ベース41の下壁41Bから起立して線材90の送給方向で対向した1対の壁部の間には、レール21S1,21S1と平行に延びたボールネジ21B1が差し渡されて回転可能に支持されている。そして、第3可動ベース42から垂下した支持壁42A(図6を参照)にボールナット21B2が固定され、そのボールナット21B2とボールネジ21B1とが螺合している。さらに、第2可動ベース41には、第3直動ガイドの駆動源である第3直動軸サーボモータ21Mが取り付けられ、その第3直動軸サーボモータ21Mの出力回転軸にボールネジ21B1の一端部が連結されている。これらにより第3直動ガイドが構成され、第3直動軸サーボモータ21Mがボールネジ21B1を回転させると、第3可動ベース42がレール21S1,21S1上をスライドする。即ち、第3可動ベース42が線材90の送給方向と平行な第3直動方向X(図5の左右方向)に往復動して、その第3直動方向Xの任意の位置に成形ツールT1〜T3を位置決め可能となっている。
【0036】
第3可動ベース42には、成形ツールT1〜T3を固定するための固定テーブル30が取り付けられている。固定テーブル30は、第3可動ベース42に備えた以下に説明する第1回転機構及び第2回転機構によって互いに直交する第1回転軸J1と第2回転軸J2の回りに回転可能な構成になっている。
【0037】
第1回転機構の具体的な構成は以下の通りである。即ち、図7に示すように、第3可動ベース42には、線材90の送給方向に延びた円筒シャフト31Sがベアリングによって回転可能に軸支され、円筒シャフト31Sのうちクイル14側の端部には、線材送給装置12と対向した前面壁42Bからクイル14側に突出した回転ヘッド32が固定されている。第3可動ベース42のうち、クイル14とは反対側の後面には、第1回転機構の駆動源である第1回転駆動サーボモータ24Mが取り付けられ、その第1回転駆動サーボモータ24Mの出力回転軸と円筒シャフト31Sとが平ギヤ24G1,24G2を介して連結されている。これらにより第1回転機構が構成され、第1回転駆動サーボモータ24Mによって円筒シャフト31Sを回転させると、回転ヘッド32が線材90の送給方向と平行な第1回転軸J1の回りに回動する。
【0038】
第2回転機構の具体的な構成は以下の通りである。即ち、図7に示すように円筒シャフト31Sの内側には、ベアリングによりインナーシャフト33Sが回転可能に軸支されている。また、回転ヘッド32のうち、第1回転軸J1から外側にオフセットした(円筒シャフト31Sの回転中心から外側にずれた)外縁部からはクイル14に向かって旋回支持台34(本発明の「ヘッド支持突部」に相当する)が突出している。そして、回転ヘッド32の内部には、第1回転軸J1と直交する軸回りに回転する中継シャフト35が備えられ、旋回支持台34には、中継シャフト35と平行な軸回りに回転する旋回シャフト36が備えられている。
【0039】
インナーシャフト33Sと中継シャフト35との間は、回転ヘッド32の内部で1対のベベルギヤ33G1,35G1により連結されており、中継シャフト35と旋回シャフト36との間は、旋回支持台34の内部で平ギヤ35G2,36G1により連結されている。
【0040】
図7に示すように第3可動ベース42の後面側には、第2回転機構の駆動源である第2回転駆動サーボモータ25Mがインナーシャフト33Sと同軸上に取り付けられ、その第2回転駆動サーボモータ25Mの出力回転軸とインナーシャフト33Sの一端部とが連結されている。これらにより第2回転機構が構成され、第2回転駆動サーボモータ25Mがインナーシャフト33Sを回転させると、回転ヘッド32の内部で中継シャフト35が連動回転し、さらに旋回シャフト36が第1回転軸J1と直交した第2回転軸J2の回りに連動回転する。
【0041】
旋回シャフト36のうち、第1回転軸J1(回転ヘッド32の回転中心)側の端部は、旋回支持台34を貫通しており、ここに成形ツールT1〜T3を固定するための固定テーブル30が固定されている。固定テーブル30は、図8に示すように、例えば、平面形状が略三角形をなしており、その各角部にそれぞれ異なる成形ツールT1〜T3がボルト固定されている。
【0042】
線材成形機10には、上記した各サーボモータ21M〜25MをNC制御する図示しない制御部が備えられている。この制御部がNCプログラムを実行することで、上述した第1〜第3直動ガイド、第1及び第2回転機構が駆動し、固定テーブル30の姿勢及び位置が変えられる。これにより、線材90と衝合する成形ツールT1〜T3が順次切り替えられて、例えば、コイルばねが製造される。
【0043】
より具体的には、成形ツールT1〜T3のうち、成形ツールT1の先端面には、線材90を案内するための線材摺接溝Tzが形成されている。線材90は、成形ツールT2によって予め先端部が曲げられた状態で成形ツールT1の線材摺接溝Tzの内面に押し付けられ、この状態で線材送給装置12が線材90を送給することにより、図9(A)から図9(B)の変化に示すように、後続の線材90が円弧状に塑性変形され、コイルばねが成形される。成形ツールT1〜T3による成形が完了すると、第3可動ベース42が後退して成形ツールT1〜T3が成形領域Rから退避し、代わりに、切断ツール54が成形領域Rに進入する。そして切断ツール54によって、線材90のクイル14側の基端部が切断される。これによりコイルばねが1つ完成し、以下、このNCプログラムを繰り返して実行することで、線材90から複数のコイルばねを連続して製造することができる。
【0044】
ここで、線材送給装置12から送給された線材90が、万が一、成形ツールT1〜T3に衝合せず素通りした場合でも、固定テーブル30の後方に備えた回転ヘッド32に突き当たるので、線材90が線材成形機10の外側に飛び出すことはない。なお、回転ヘッド32の外面を構成する外殻壁は本発明の「保護壁」に相当する。
【0045】
ところで、コイルばねを成形するための線材90の径を太くした場合には、成形時に成形ツール駆動機構20にかかる負荷が増大するので、線材送給装置12と成形ツール駆動機構20との間には高い剛性が要求される。これに対し、本実施形態によれば、ベースプレート11Aとベースプレート11Aから起立した起立壁11B,11Bと、起立壁11B,11Bを挟んでベースプレート11Aに上方から対向した天井壁11Cとを一体に固定してなるベースフレーム11に、線材送給装置12と切断ツール駆動機構50と成形ツール駆動機構20とが保持され、しかも、成形ツール駆動機構20は、ベースプレート11Aと天井壁11Cとに上下の両端部が保持されたから、線材送給装置12と成形ツール駆動機構20との間に剛性が従来より高められる。これにより、線材90の径が太くなってもコイルばねを安定して成形することができる。
【0046】
また、第1可動ベース40の上下両端部は、ベースフレーム11のうちハウジング11Hの天板とベースプレート11Aとに直動可能に連結され、第2可動ベース41の左右両側部は、第1可動ベース40の両側壁40D,40Dに直動可能に連結され、第3可動ベース42の上下両端部は、第2可動ベース41の上壁41A及び下壁41Bに直動可能に連結されたので、ベースフレーム11と第1可動ベース40との間、第1可動ベース40と第2可動ベース41との間及び、第2可動ベース41と第3可動ベース42との間の剛性がそれぞれ向上する。即ち、成形ツール駆動機構20自体の剛性が向上し、第1直動方向Z、第2直動方向Y及び第3直動方向Xにおける成形ツールT1〜T3の位置制御を精度よく行うことができ、コイルばねを精度よく成形することができる。
【0047】
なお、本実施形態の線材成形機10では、線材90の送給方向で、クイル14を挟んで線材送給装置12と対向した位置に成形ツール駆動機構20が設けられ、そこに成形ツールT1〜T3が保持されている。即ち、クイル14が取り付けられた起立壁11Bの前面には、成形ツールを直動させる成形スライド等、他の部材を取り付けるためのスペースが不要なので、本実施形態では、起立壁11Bのうち、切断ツール駆動機構50が取り付けられていない側の壁体(図4の二点鎖線で示した部分)を切除した構造となっている。これにより、作業者は、線材送給方向の側方から成形領域Rの近傍まで近づくことが可能となり(図2を参照)、成形ツールT1〜T3の取り替えや、成形ツール駆動機構20のメンテナンス作業等を、効率よくかつ安全に行うことができる。
【0048】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0049】
(1)上記実施形態では、固定テーブルに固定された成形ツールの数は3つに限るものではなく、1つ或いは3つ以外の複数の成形ツールを固定してもよい。
【0050】
(2)インナーシャフト33Sと中継シャフト35との間は、ベベルギヤ33G1,35G1によって連結されていたが、例えば、ウォームとウォームホイールによって連結してもよい。また、中継シャフト35と旋回シャフト36との間は、平ギヤ35G2,36G1によって連結されていたが、例えば、プーリーとベルトで連結してもよい。
【0051】
(3)切断ツール駆動機構50に備えた切断ツール54は、以下のような構成でもよい。即ち、線材90の送給方向で互いにずらして上下に配置された1対の切断刃を設け、上側の切断刃と下側の切断刃とが重なるようにして擦れ違う際に、両切断刃のエッジ部の間で線材90を切断する構成でもよい。
【0052】
また、固定刃と可動刃とを備え、可動刃を固定刃に対して相対回転させることで、可動刃が固定刃の内側に重なるようにすれ違い、その際に可動刃と固定刃のエッジ部の間で線材90を切断する構成でもよい。
【0053】
(4)上記実施形態では、旋回シャフトのうち、第1回転軸J1側の端部にのみ固定テーブル30を取り付けていたが、図10に示すように、固定テーブル30とは反対側の端部にサブ固定テーブル30Bを取り付けてもよい。このようにすれば、より多くの成形ツールを保持可能となり、より複雑な形状の成形品を成形することが可能となる。また、固定テーブル30の後方には、回転ヘッド32が位置しているため空きスペースが狭いが、サブ固定テーブル30Bの後方には回転ヘッド32が位置していない分、空きスペースが広くなっている。よって、サブ固定テーブル30B側では、固定テーブル30側より長尺の成形品(例えば、コイルばねやトーションばね)を成形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態に係る線材成形機の側断面図
【図2】線材成形機の平面図
【図3】線材送給装置の部分断面図
【図4】線材切断装置の側面図
【図5】成形ツール駆動機構の側断面図
【図6】成形ツール駆動機構の背面図
【図7】第3可動ベースの拡大側断面図
【図8】固定テーブルの平面図
【図9】コイルばねの成形過程を示す図
【図10】他の実施形態(4)に係る第3可動ベースの拡大側断面図
【図11】従来の線材成形機の側断面図
【符号の説明】
【0055】
10 線材成形機
11 ベースフレーム
11A ベースプレート
11B 起立壁
11C 天井壁
12 線材送給装置
14 クイル(線材送給ガイド)
20 成形ツール駆動機構
30 固定テーブル
32 回転ヘッド
34 旋回支持台
40 第1可動ベース
42 第3可動ベース
40A 上壁
40D,40D 側壁(1対の第1対向支持部)
41 第2可動ベース
41A 上壁(第2対向支持部)
41B 下壁(第2対向支持部)
50 切断ツール駆動機構
54 切断ツール
90 線材
J1 第1回転軸
J2 第2回転軸
R 成形領域
T1〜T3 成形ツール
【出願人】 【識別番号】000116976
【氏名又は名称】旭精機工業株式会社
【出願日】 平成18年11月22日(2006.11.22)
【代理人】 【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘


【公開番号】 特開2008−126289(P2008−126289A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−315155(P2006−315155)