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【発明の名称】 線材切断装置
【発明者】 【氏名】大林 栄次

【氏名】野島 高志

【要約】 【課題】従来よりコンパクトにすることが可能な線材切断装置を提供する。

【解決手段】本発明の線材切断装置40によれば、第1及び第2の切断工具61,62を線材90の直径より厚い板材で構成し、それら第1と第2の切断工具61,62の板厚面に備えた切断角部61S,62Sの間で線材90を切断する構成であるので、線材90の線径に応じて第1及び第2の切断工具61,62を構成する板材の厚さ又は幅を大きくすることで強度アップを図ることができる。これにより、従来のように切断工具が回動軸を中心に径方向全体に大きくなることがなくなる。即ち、本発明の線材切断装置40によれば、従来よりコンパクトにすることが可能になる。また、第1及び第2の切断工具61,62の交換も容易に行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送給された線材に対して側方から宛がわれる第1切断工具と、前記第1切断工具に対して回動し、前記第1切断工具との間で前記線材を切断する第2切断工具とを有した線材切断装置において、
線材送給方向と直交する回動軸を中心に回動しかつ前記線材送給方向と平行な第2切断工具固定面を有した回動部材と、
前記回動部材を回動可能に支持する支持ベースと、
前記支持ベースに設けられ、前記回動部材に側方から対峙しかつ前記第2切断工具固定面と平行な第1切断工具固定面を有した側方対峙壁とを備え、
前記第2切断工具は、前記線材の直径より厚い板材で構成されかつ、その板厚面を前記線材に側方から対向させた状態にして前記第2切断工具固定面における回動中心から離れた位置に固定され、
前記第1切断工具は、前記線材の直径より厚い板材で構成されかつ、一端部が前記第1切断工具固定面に固定された片持ち梁状となって、他端部の板厚面が前記線材に側方から対向配置され、
前記第1及び第2の切断工具の各板厚面にそれぞれ備えた切断角部の間で、前記線材を切断することを特徴とする線材切断装置。
【請求項2】
前記第2切断工具の前記切断角部における頂点の回動軌跡円の外側に、前記第1切断工具の前記切断角部における頂点を配置し、
前記第2切断工具が前記第1切断工具に接近して、前記第2切断工具の前記切断角部における頂点が、前記第1切断工具の前記切断角部における頂点より回動中心側に進入した位置を、前記第2切断工具の回動範囲における一端側の死点とし、前記第2切断工具が仮に死点を超えて回動した場合の通過領域内に前記第1切断工具を配置したことを特徴とする請求項1に記載の線材切断装置。
【請求項3】
前記第2切断工具のうち前記切断角部との対角位置に配置された位置決角部と、
前記第2切断工具固定面から突出し、前記第2切断工具のうち前記位置決角部の両側の1対の板厚面に当接して前記第2切断工具を位置決めする位置決金具と、
前記第2切断工具固定面との間に前記第2切断工具を挟んで固定する第2工具固定部材とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の線材切断装置。
【請求項4】
前記第1切断工具には、前記線材と平行になって前記線材に側方から対面し、前記線材の切断時に前記線材を支持する線材位置決部が形成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の線材切断装置。
【請求項5】
前記側方対峙壁には、前記線材送給方向と直交する方向で前記第1切断工具の一端部に当接する突当位置決部と、前記第1切断工具固定面から起立して前記線材送給方向で対向し、前記第1切断工具を間に受容して位置決めする1対の側方位置決部と、前記第1切断工具固定面との間に前記第1切断工具を挟んで固定する第1工具固定部材とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の線材切断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、線材に対して側方から宛がわれる第1切断工具と、回動して第1切断工具との間で線材を切断する第2切断工具とを有した線材切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の線材切断装置として、図11に示すように、第1円筒切断工具1の内側に第2円筒切断工具2を回動可能に備えたものが知られている。第1円筒切断工具1の先端部には、その周方向の一部を切除して円弧状の外側先端突部1Aが形成され、第2円筒切断工具2の先端部にも同様に円弧状の内側先端突部2Aが形成されている。また、外側先端突部1Aの中央には、径方向に溝部3が貫通形成され、そこに線材を側方から挿通させた状態にして第2円筒切断工具2を回動させることで、外側先端突部1Aと内側先端突部2Aとの間で線材を切断する構成になっていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−277170号公報(段落[0021]〜[0024]、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、切断対象となる線材の線径を大きくした場合には、外側先端突部1A及び内側先端突部2Aの強度アップが必要になる。しかしながら、上述した従来の線材切断装置では、強度アップのために内側先端突部2Aの肉厚を大きくすると、これに伴って第2円筒切断工具2全体が径方向に大きくなり、その外側の第1円筒切断工具1も径方向に大きくなる。これに加えて、外側先端突部1Aの肉厚を大きくすることで第1円筒切断工具1全体がさらに径方向に大きくなり、線材切断装置が第2円筒切断工具2の回転軸を中心にして径方向全体に巨大化するという問題が生じていた。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来よりコンパクトにすることが可能な線材切断装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る線材切断装置は、送給された線材に対して側方から宛がわれる第1切断工具と、第1切断工具に対して回動し、第1切断工具との間で線材を切断する第2切断工具とを有した線材切断装置において、線材送給方向と直交する回動軸を中心に回動しかつ線材送給方向と平行な第2切断工具固定面を有した回動部材と、回動部材を回動可能に支持する支持ベースと、支持ベースに設けられ、回動部材に側方から対峙しかつ第2切断工具固定面と平行な第1切断工具固定面を有した側方対峙壁とを備え、第2切断工具は、線材の直径より厚い板材で構成されかつ、その板厚面を線材に側方から対向させた状態にして第2切断工具固定面における回動中心から離れた位置に固定され、第1切断工具は、線材の直径より厚い板材で構成されかつ、一端部が第1切断工具固定面に固定された片持ち梁状となって、他端部の板厚面が線材に側方から対向配置され、第1及び第2の切断工具の各板厚面にそれぞれ備えた切断角部の間で、線材を切断するところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の線材切断装置において、第2切断工具の切断角部における頂点の回動軌跡円の外側に、第1切断工具の切断角部における頂点を配置し、第2切断工具が第1切断工具に接近して、第2切断工具の切断角部における頂点が、第1切断工具の切断角部における頂点より回動中心側に進入した位置を、第2切断工具の回動範囲における一端側の死点とし、第2切断工具が仮に死点を超えて回動した場合の通過領域内に第1切断工具を配置したところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の線材切断装置において、第2切断工具のうち切断角部との対角位置に配置された位置決角部と、第2切断工具固定面から突出し、第2切断工具のうち位置決角部の両側の1対の板厚面に当接して第2切断工具を位置決めする位置決金具と、第2切断工具固定面との間に第2切断工具を挟んで固定する第2工具固定部材とを備えたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の線材切断装置において、第1切断工具には、線材と平行になって線材に側方から対面し、線材の切断時に線材を支持する線材位置決部が形成されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の線材切断装置において、側方対峙壁には、線材送給方向と直交する方向で第1切断工具の一端部に当接する突当位置決部と、第1切断工具固定面から起立して線材送給方向で対向し、第1切断工具を間に受容して位置決めする1対の側方位置決部と、第1切断工具固定面との間に第1切断工具を挟んで固定する第1工具固定部材とを備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
[請求項1の発明]
請求項1の線材切断装置は、第1及び第2の切断工具を線材の直径より厚い板材で構成し、それら第1と第2の切断工具の板厚面に備えた切断角部の間で線材を切断する構成であるので、線材の線径に応じて第1及び第2の切断工具を構成する板材の厚さ又は幅を大きくすることで強度アップを図ることができ、従来のように切断工具が回動軸を中心に径方向全体に大きくなることがなくなる。即ち、本発明の線材切断装置によれば、従来よりコンパクトにすることが可能になる。
【0011】
[請求項2の発明]
請求項2の構成では、第2切断工具が回動範囲における一端側の死点に到達したときには、その第2切断工具の切断角部における頂点が、第1切断工具の切断角部における頂点より回動中心側に進入し、このとき両切断角部が擦れ違って線材を確実に切断することができる。また、第2切断工具が仮に死点を超えて回動した場合の通過領域内に第1切断工具を配置したので、従来のように、一方の切断工具の通過領域の外側に他方の切断工具を配置した構成のものに比べて、線材切断装置をコンパクトにすることができる。
【0012】
[請求項3の発明]
請求項3の構成によれば、第2切断工具には切断角部との対角位置に位置決角部が設けられると共に、第2切断工具固定面から突出した位置決金具が、位置決角部の両側の1対の板厚面に当接する。これにより、第2切断工具が位置決めされる共に、線材を切断する際に第2切断工具にかかる切断反力を位置決金具で受け止めることができる。また、その切断反力は第2切断工具固定面との対向方向には作用しないので、第2切断工具を第2切断工具固定面と第2工具固定部材との間の摩擦のみで容易に固定することができる。
【0013】
[請求項4の発明]
請求項4の構成によれば、線材を切断する際に、第1切断工具に備えた線材位置決部が線材を側方から支持するので線材が安定する。
【0014】
[請求項5の発明]
請求項5の構成によれば、第1切断工具は、第1切断工具固定面とその第1切断工具固定面とから起立した1対の側方位置決面と、側方対峙壁に備えた突当位置決部とによって位置決めされる。そして、線材を切断する際に第1切断工具にかかる切断反力が突当位置決部で受け止められる。また、その切断反力は第1切断工具固定面との対向方向には作用しないので、第1切断工具は第1切断工具固定面と第1工具固定部材との間の摩擦のみで固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1に示された線材成形機10は、線材送給装置17と、ユニバーサル機構30と、本発明に係る線材切断装置40とを支持フレーム11に組み付けてなる。支持フレーム11は、ベースプレート11Aからメイン起立壁11Bとサブ起立壁11Cとを垂直に起立し、それらメインとサブの両起立壁11B,11Cの上端部に天井壁11Fを固定した構造になっている。また、天井壁11Fは、メイン起立壁11Bより前方(サブ起立壁11Cと反対側)に延びている。
【0016】
メイン及びサブの両起立壁11B,11Cには、水平方向を向いた共通の軸線上に線材挿通孔11D,11Dが貫通形成され、図示しないボビンから引き出された線材90がサブ起立壁11Cの線材挿通孔11Dからメイン起立壁11Bの線材挿通孔11Dの順番に挿通されている。また、メイン起立壁11Bに前面(サブ起立壁11Cと反対側を向いた面)には、線材ガイド16(一般に「クイル」と呼ばれている)が備えられている。線材ガイド16は、円錐台形状になっており、その中心には線材挿通孔11Dに連通した線材ガイド孔(図示せず)が形成されている。
【0017】
メイン及びサブの両起立壁11B,11Cの間には、ローラー支持盤11Eが設けられ、そのローラー支持盤11Eには、線材90を挟んで対峙した複数対の送給ローラー15が組み付けられている。そして、ローラー支持盤11Eに固定されたサーボモータ15Mにて送給ローラー15を回転駆動することで、線材90が線材ガイド16を通過してユニバーサル機構30へと送給される。
【0018】
ベースプレート11Aのうちメイン起立壁11Bの前方には、レール支持台20Aが固定されている。レール支持台20Aは線材送給方向と直交した水平方向(以下、「Y軸方向」という)に延びている。そして、レール支持台20A上部にメイン起立壁11Bに向かってユニバーサル機構30が設けられている。
【0019】
ユニバーサル機構30は、線材送給装置17から送給された線材90に衝合させるための成形工具31を備えると共に、その成形工具31を任意の位置に位置決めするための複数(例えば、5つ)の駆動軸を有している。具体的には、ユニバーサル機構30には、線材送給方向に両端が開放した角筒形状の第1可動ベース21と、その内側に配置されて、同様の角筒形状となった第2可動ベース22と、さらに、その内側に配置された第3可動ベース23とを備えている。
【0020】
また、第1可動ベース21の上下の両端部は、Y軸方向に延びた直動ガイド機構20G,20Gを介してレール支持台20A及び天井壁11Fに連結され、第2可動ベース22の左右の両側部は、上下方向に延びた図示しない直動ガイド機構を介して第1可動ベース21の両内面に連結され、さらに、第3可動ベース23の上下の両端部は、線材送給方向に延びた直動ガイド機構23G,23Gを介して第2可動ベース22の両内面に連結されている。
【0021】
そして、第1可動ベース21とベースプレート11Aとの間に備えたボールネジ機構21Bを図示しないY軸サーボモータにて作動させて、第1可動ベース21がY軸方向で位置決め制御され、第1と第2の可動ベース21,22の間に備えた図示しないボールネジ機構を図示しないZ軸サーボモータにて作動させて、第2可動ベース22が上下方向で位置決め制御され、さらに、第2と第3の可動ベース22,23の間に備えたボールネジ機構23BをX軸サーボモータ23Mにて作動させて、第3可動ベース23が線材送給方向で位置決め制御されるようになっている。なお、第1と第2の可動ベース21,22との間にはそのZ軸サーボモータを補助するためにカウンタバランサ22Bが取り付けられている。
【0022】
第3可動ベース23のうち線材ガイド16と対向した前面には、ヘッド部24が線材送給方向と平行なツイスト軸を中心に回転可能に備えられ、そのヘッド部24から突出したテーブル支持突部24Aには、旋回テーブル25がツイスト軸と直交したリスト軸J1を中心に回転可能に備えられている。そして、第3可動ベース23の後面に備えたサーボモータ24M,25Mにてそれらヘッド部24及び旋回テーブル25が任意の回転位置に位置決め制御されるようになっている。
【0023】
成形工具31は、その旋回テーブル25に固定され、その成形工具31のうち線材ガイド16との対向面には、図示しない成形溝が上下方向に延びた状態に形成されている。そして、線材90を成形溝の内面に衝合させて送給することで、例えばコイルばねが成形されてY軸方向に成長するように成形される。
【0024】
さて、線材切断装置40は、図2に示すように、メイン起立壁11Bの前面に取り付けられ、線材ガイド16の側方に配置されている。また、線材切断装置40は、図1に示すように、線材送給装置17から送給された線材90を切断するための第1及び第2の切断工具61,62を備え、それら第1及び第2の切断工具61,62をメイン起立壁11Bの前面と平行な2次元平面で任意の位置に位置決めするために2つの駆動軸を有している。
【0025】
具体的には、図3に示すように、線材切断装置40には、上下動可能な第1直動ベース41と、Y軸方向(前述したように線材送給方向と直交する水平方向)に直動可能な第2直動ベース80(本発明に係る「支持ベース」に相当する)とが備えられている。第1直動ベース41は、Y軸方向に延びた横長ベース部材45と、横長ベース部材45を間に挟んで上下に配置された1対の縦長ベース部材42,42とを結合してなる。各縦長ベース部材42は、上下方向に延びた矩形板状をなし、その縦長ベース部材42のうちメイン起立壁11Bとの対向面には、上下方向に延びた1対のガイドレール43R,43Rが取り付けられている。また、各ガイドレール43Rには、スライダ43Sが直動可能に連結され、それら各スライダ43Sが、図4に示すように、メイン起立壁11Bの前面から突出した台座部43Dの先端に固定されている。これにより、第1直動ベース41が、メイン起立壁11Bに対して上下動可能になっている。
【0026】
図3に示すように、メイン起立壁11Bの前面には、縦長ベース部材42と線材ガイド16との間に、上下方向に延びたボールネジシャフト52Bが設けられている。ボールネジシャフト52Bの両端部は、メイン起立壁11Bの前面から突出した軸受突部51,51にて回転可能に支持され、一方の軸受突部51に取り付けられたサーボモータ53Mによって回転駆動される。また、ボールネジシャフト52Bの途中部分には、図4に示すように、ボールナット52Nが螺合され、そのボールナット52Nが、横長ベース部材45に備えたナット固定部45Tに固定されている。そして、サーボモータ53Mにてボールネジシャフト52Bを回転駆動し、第1直動ベース41が上下方向に位置決め制御される。
【0027】
横長ベース部材45における幅方向(図4の上下方向)の両縁部にはガイドレール44R,44Rが固定されている。また、横長ベース部材45のうち線材ガイド16側の端部には、ガイドレール44R,44Rの間を切除して溝部45Mが形成されている。そして、第2直動ベース80の両側部に固定されたスライダ44S,44Sが、両ガイドレール44R,44Rに直動可能に連結されると共に、第2直動ベース80のナット固定部80Nが溝部45Mに受容されている。
【0028】
また、図2に示すように、横長ベース部材45にはボールネジシャフト47Bの両端部が回転可能に軸支されており、このボールネジシャフト47Bの中間部分に螺合したボールネジナット47Nが第2直動ベース80のナット固定部80Nに固定されている。さらに、横長ベース部材45のうち線材ガイド16と反対側の端部には、サーボモータ48Mが取り付けられ、このサーボモータ48Mによってボールネジ47Bを回転駆動し、第2直動ベース80がY軸方向に位置決め制御される。
【0029】
さて、第2直動ベース80には、図2に示すように、メイン起立壁11Bから離れる側に突出した支持突部81が備えられている。支持突部81の内部にはギヤ収容空間が形成され、そこに第1と第2のギヤ71G,72Gとが収容されて噛合している。また、支持突部81の基端部のうち線材ガイド16と反対側を向いた面には、減速機49Gを介してサーボモータ49Mが取り付けられ、その減速機49Gの出力部に前記第1ギヤ71Gが固定されている。さらに、支持突部81の先端部からは線材ガイド16に向けて切断ヘッド部82が突出している。そして、切断ヘッド部82内にベアリング(図示せず)にて回転可能に軸支された回動シャフト72の基端部に前記第2ギヤ72Gが固定されている。
【0030】
切断ヘッド部82は、線材送給方向(図2の左右方向)においては線材ガイド16の先端部よりメイン起立壁11Bから離れた位置に配置されている。そして、前記したサーボモータ48Mにより第1直動ベース41をY軸方向(図2の上下方向)に駆動することで、切断ヘッド部82が線材ガイド16の前方領域に進入した状態(図示せず)と、そこから退避した状態(図2の状態)とに変更される。
【0031】
図5には、切断ヘッド部82の先端部に固定された固定盤63が示されている。固定盤63は、矩形の平板部63Aの上端から支持突壁63B(本発明に係る「側方対峙壁」に相当する)をY軸方向で線材ガイド16側に突出させた構造になっている。そして、図2に示すように、平板部63Aに形成された貫通孔(図示せず)を通して回動シャフト72の先端部が平板部63Aの前方に僅かに突出し、その回動シャフト72の先端部に回動盤65(本発明に係る「回動部材」に相当する)が固定されている。
【0032】
図6に示すように、回動盤65は、矩形の板材の4つの角部のうち下端側の一角部を除く3つの角部を面取りした多角形構造になっている。また、その面取りされずに直角な状態に残された一角部は、線材ガイド16から離れた側に配置されている。
【0033】
回動盤65のうち回動シャフト72への取り付け面と反対の面は、本発明に係る第2切断工具固定面65Kになっている。そして、第2切断工具固定面65Kの下端部には、本発明に係る位置決金具66が固定されている。位置決金具66は、板材を略L字形に切断してなり、回動盤65の直角の角部に位置決金具66の角部を一致させた状態にして位置決金具66が回動盤65に固定されている。また、位置決金具66の下辺部分には、本発明に係る第2工具固定部材67が固定されている。第2工具固定部材67は、矩形の板状をなし、下端部が位置決金具66にボルトで固定されている。さらに、位置決金具66の側辺部分には、螺子孔が貫通形成され、そこに調節用螺子66Sが螺合している。
【0034】
図5に示すように、支持突壁63Bには、上下方向に貫通した工具取付溝63Mが形成されている。この工具取付溝63Mは、図6に示すように、回動シャフト72の回動中心72Cに対して線材送給方向で線材ガイド16側にずらして配置されている。そして、工具取付溝63Mの底面が本発明に係る第1切断工具固定面63Kになっており、工具取付溝63Mの両内側面が、本発明に係る1対の側方位置決面63L,63Lになっている。また、支持突壁63Bの上面には、工具取付溝63Mの上面開口を覆うようにして上端位置決部材64(本発明に係る「突当位置決部」に相当する)が複数のボルトにて固定されている。また、上端位置決部材64には、工具取付溝63Mの上面開口と対向した位置に螺子孔が貫通形成され、そこに調節用螺子64Sが螺合している。さらに、支持突壁63Bの前面には、工具取付溝63Mの前面開口を覆うように第1工具固定部材68が、複数のボルトにて固定されている。
【0035】
第1と第2の切断工具固定面63K,65Kは、互いに平行かつ線材送給方向に対して平行になっている。また、Y軸方向において第1切断工具固定面63Kが第2切断工具固定面65Kより僅かに線材ガイド16側に位置している。そして、第1切断工具61が第1切断工具固定面63Kに押しつけられて固定され、第2切断工具62が第2切断工具固定面65Kに押しつけられて固定されている。
【0036】
図5に示すように、第1及び第2の切断工具61,62は、共に切断対象の線材90の直径より厚い板材で構成されて、その板厚面が線材90に向けられている。詳細には、第1切断工具61は、全体が上下方向に延びた帯板状をなし、上端部が工具取付溝63M内に配置されている。これにより、第1切断工具61の上端部が、第1切断工具固定面63K、側方位置決面63L,63L及び上端位置決部材64の下面とによって位置決めされると共に、第1切断工具固定面63Kと第1工具固定部材68との間に挟まれて固定されている。そして、第1切断工具61は、下方に片持ち梁状になって延び、第2切断工具固定面65Kに前方から対面している。また、図6に示すように、第1切断工具61の下端一角部は、回動シャフト72の回動中心と同心の円弧状に切除されている。そして、第1切断工具61のうち前記下端一角部の円弧面と下面との間の角部が、本発明に係る切断角部61Sになっている。また、第1切断工具61の下端部は、本発明に係る線材位置決部61Uになっており、線材位置決部61Uの下面は線材送給方向と平行になっている。
【0037】
一方、第2切断工具62は、矩形の板材の一部を切除して異形多角形になっている。具体的には、第2切断工具62のうち下端側の一角部が直角な状態に残されて、本発明に係る位置決角部62Tをなし、その位置決角部62Tの両側の板厚面が位置決金具66に押しつけられている。また、位置決角部62Tと対角の位置にある角部は鋭角にされ、本発明に係る切断角部62Sになっている。また、その切断角部62Sを一端に有した上辺は位置決金具66の下辺部分と平行になっており、切断角部62Sを一端に有した側辺は、位置決金具66の下辺部分に対して傾斜している。また、第2切断工具62は、第2切断工具固定面65Kと、位置決金具66のL字の2面とによって位置決めされて、第2切断工具固定面65Kにおける回動中心から離れた位置に配置され、第2切断工具固定面65Kと第2工具固定部材67との間に挟まれて固定されている。
【0038】
回動盤65の回動範囲は、サーボモータ49Mによって規制されており、その回動範囲の始端側の死点では、図6に示すように、第1切断工具61の下面と第2切断工具62の上面とが線材送給方向と平行になり、回動範囲の終端側の死点では、図8に示すように、第2切断工具62の切断角部62Sにおける頂点が、第1切断工具61の切断角部61Sにおける頂点より回動中心72C側に進入した状態になる。
【0039】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態の作用効果に関する説明を行う。線材成形機10にて線材90からコイルを成形するには、図2に示すように、線材切断装置40の第1及び第2の切断工具61,62を線材ガイド16の前方領域から側方に退避させる一方、ユニバーサル機構30の成形工具31を線材ガイド16の前面に接近させる。そして、線材送給装置17にて線材90をユニバーサル機構30側に送給する。すると、その線材90が成形工具31に備えた図示しない成形溝の内面に衝合し、コイルばねが成形される。このとき、ユニバーサル機構30に備えたヘッド部24(図1参照)の回転位置を変更することで、コイルばねのピッチを変更することができ、成形工具31の上下方向における位置を変更することでコイル径を変更することができる。そして、コイルばねは図2に示すように、線材切断装置40と反対側のY軸方向に成長していく。
【0040】
所定長のコイルばねが成形されたら、線材切断装置40にて切断する。この場合は、図1に示すように、成形工具31を線材ガイド16から離れる側に後退させると共に、線材90を所定長だけ送給し、線材90のうち線材切断装置40との対向した部分を直線状態にする。次いで、線材切断装置40の第2切断工具62を回動範囲の始端側の死点に配置し、線材切断装置40の第2直動ベース80を線材ガイド16側に前進させる。すると、図5に示すように、第1と第2の切断工具61,62との間に線材90の直線部分が配置され、第1と第2の切断工具61,62の板厚面が線材90に対して側方から対向する。また、線材90の中間部分が第1切断工具61の線材位置決部61Uにて側方から支持される。
【0041】
この状態で第2切断工具62を回動範囲の終端側の死点に向けて回動する。すると、図7に示すように、第2切断工具62の切断角部62Sにおける頂点が線材90に押し付けられて線材90が切断される。このとき、第1切断工具61に備えた線材位置決部61Uが、線材90を側方から支持しているので線材90が安定する。また、第2切断工具62が回動範囲における終端側の死点に到達したときには、図8に示すように、第2切断工具62の切断角部62Sにおける頂点が、第1切断工具61の切断角部61Sにおける頂点より回動中心側に進入し、両切断角部61S,62Sが擦れ違って線材90を確実に切断することができる。ここで、本実施形態の線材切断装置40では、第2切断工具62が仮に死点を超えて回動した場合の通過領域内に第1切断工具61が配置されているので、従来のように、一方の切断工具の通過領域の外側に他方の切断工具を配置した構成のものに比べて、第1と第2の切断工具61,62自体を大きくすることができかつそれら第1と第2の切断工具61,62が取り付けられた線材切断装置40の切断ヘッド部82はコンパクトにすることができる。
【0042】
なお、線材切断装置40により線材90を切断したら、線材送給装置17にて線材90を引き戻し、成形工具31を線材ガイド16側に前進させて再び線材90からコイルばねを成形すればよい。
【0043】
さて、第1切断工具61は、以下のようにして新品に交換することができる。即ち、図6に示した第1工具固定部材68を支持突壁63Bに固定してあるボルトを緩める。すると、第1切断工具61を工具取付溝63Mから下方に容易に引き抜くことができる。そして、新しい第1切断工具61を工具取付溝63M内に挿入し、第1切断工具61の上端部を上端位置決部材64に下面に押し付けた状態にする。このとき、上端位置決部材64の螺子孔に螺合した調節用螺子64Sを上端位置決部材64の下面から突出させて第1切断工具61に突き当てることで、第1切断工具61の位置を上下方向で微調節することができる。また、第1工具固定部材68のボルトを締めることにより、第1切断工具61が支持突壁63Bに固定され、第1切断工具61の交換が完了する。なお、線材90を切断するときに第1切断工具61にかかる切断反力は、上端位置決部材64(調節用螺子64Sを含む)で受け止めることができ、その切断反力は第1切断工具固定面63Kとの対向方向には作用しないので、第1切断工具61は第1切断工具固定面63Kと第1工具固定部材68との間の摩擦のみで固定することができる。
【0044】
一方、第2切断工具62は、以下のようにして新品に交換することができる。即ち、図6に示した第2工具固定部材67を位置決金具66に固定してあるボルトを緩める。すると、第2切断工具62を第2切断工具固定面65Kに沿ってずらして、回動盤65から容易に離脱させることができる。また、新しい第2切断工具62を第2切断工具固定面65Kと第2工具固定部材67との間にセットし、第2切断工具62における位置決角部62Tの両側の板厚面を、位置決金具66に当接させ位置決めする。このとき、位置決金具66の螺子孔に螺合した調節用螺子66Sを位置決金具66の内側面から突出させて第2切断工具62に突き当てることで、第2切断工具62の位置を微調節することができる。また、第2工具固定部材67のボルトを締め付けることにより、第2切断工具62が回動盤65に固定される。なお、線材90を切断するときに第2切断工具62にかかる切断反力は、位置決金具66(調節用螺子66Sを含む)で受け止めることができ、その切断反力は第2切断工具固定面65Kとの対向方向には作用しないので、第2切断工具62は第2切断工具固定面65Kと第2工具固定部材67との間の摩擦のみで固定することができる。
【0045】
このように本実施形態の線材切断装置40によれば、第1及び第2の切断工具61,62を線材90の直径より厚い板材で構成し、それら第1と第2の切断工具61,62の板厚面に備えた切断角部61S,62Sの間で線材90を切断する構成であるので、線材90の線径に応じて第1及び第2の切断工具61,62を構成する板材の厚さ又は幅を大きくすることで強度アップを図ることができる。これにより、従来のように切断工具が回動軸を中心に径方向全体に大きくなることがなくなる。即ち、本実施形態の線材切断装置40によれば、従来よりコンパクトにすることが可能になる。また、第1及び第2の切断工具61,62の交換も容易に行うことができる。
【0046】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0047】
(1)前記実施形態では、第1切断工具61の切断角部61Sを第2切断工具62の切断角部62Sの回動領域より外側に配置していたが、第1切断工具の切断角部を第2切断工具の切断角部の回動領域の内側に配置した構成にしてもよい。
【0048】
(2)前記実施形態では、第1切断工具61の切断角部61Sが、第1切断工具61の幅方向における略中央部に配置されていたが、図9に示した第1切断工具61Vのように全体を帯板状とし、一角部を切断角部61Sとしてもよい。
【0049】
(3)前記実施形態の第1切断工具61には、線材送給方向と平行になって線材90に側方から宛がわれる線材位置決部61Uが備えられていたが、図10に示した第1切断工具61Wのように、線材90との対向面が線材送給方向に対して斜めなった構造にして、線材位置決部を有しない構造にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る線材成形装置の側断面図
【図2】線材成形装置の平面図
【図3】線材切断装置の側面図
【図4】線材切断装置の側断面図
【図5】線材切断装置のうち切断工具が取り付けられた部分の斜視図
【図6】線材切断装置のうち切断工具が取り付けられた部分の正面図
【図7】線材を切断する直前の切断工具の正面図
【図8】線材を切断した直後の切断工具の正面図
【図9】切断工具の変形例1を示した正面図
【図10】切断工具の変形例2を示した正面図
【図11】(A)従来の線材切断装置の側断面図、(B)その正面図
【符号の説明】
【0051】
10 線材成形機
40 線材切断装置
61 第1切断工具
61S,62S 切断角部
61U 線材位置決部
62 第2切断工具
62T 位置決角部
63 固定盤
63A 平板部
63B 支持突壁(側方対峙壁)
63K 第1切断工具固定面
63L,63L 側方位置決面
64 上端位置決部材
65 回動盤(回動部材)
65K 第2切断工具固定面
66 位置決金具
67 第2工具固定部材
68 第1工具固定部材
80 第2直動ベース(支持ベース)
90 線材
【出願人】 【識別番号】000116976
【氏名又は名称】旭精機工業株式会社
【出願日】 平成18年11月22日(2006.11.22)
【代理人】 【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘


【公開番号】 特開2008−126287(P2008−126287A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−315153(P2006−315153)