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【発明の名称】 コイルバネ形成装置およびコイルバネ
【発明者】 【氏名】江藤 賢

【要約】 【課題】種々のピッチおよびピッチ角のコイルバネも正確に製造できるコイルバネ形成装置の提供。

【解決手段】軸線の周りに回転するとともに線材供給手段から供給される線材Wが巻回される芯金2と、芯金2と一体的に回転するとともに、線材Wの一端を芯金2上に把持するクランプ部22と、線材Wを芯金2上に誘導する第1ガイドローラ30および第2ガイドローラ40とを有し、第1ガイドローラ30および第2ガイドローラは、互いに独立に芯金2の軸線に対して平行に移動可能に設けられているコイルバネ形成装置、前記コイルバネ形成装置で形成されるコイルバネ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の周りに回転するとともに線材供給手段から供給される線材が巻回される芯金と、
前記芯金と一体的に回転するとともに、線材の一端を前記芯金上に把持するクランプ部と、
前記線材を前記芯金上に誘導する第1ガイド部材および第2ガイド部材と
を有し、
前記第1ガイド部材と第2ガイド部材とは、互いに独立に芯金の軸線に対して平行に移動可能に設けられてなることを特徴とするコイルバネ形成装置。
【請求項2】
前記第1ガイド部材および第2ガイド部材のうち、前記芯金に近い側に配設された第1ガイド部材は、前記線材の巻回開始時において、前記線材の前記クランプ部で芯金上に把持された部分に隣接する部分を保持する請求項1に記載のコイルバネ形成装置。
【請求項3】
前記第1ガイド部材および第2ガイド部材は、何れも前記線材の経路を挟むように配設された1対のガイドローラを備えるとともに、前記ガイドローラは前記第1ガイド部材においては上方から、前記第2ガイド部材においては下方から前記線材に当接する請求項1または2に記載のコイルバネ形成装置。
【請求項4】
前記芯金から遠い側に配設された第2ガイド部材は、前記線材の経路を挟むように配設された1対のガイドローラを備えるとともに、前記第1ガイド部材は、前記線材に嵌合する溝を有するガイドローラと、前記ガイドローラを軸線の周りに回転可能に支持するとともに、前記ガイドローラの軸線および前記線材の供給経路に対して直交する回転軸の周りに回動可能に形成されたガイドローラ支持部材とを備える請求項1または2に記載のコイルバネ形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のコイルバネ形成装置で形成されたコイルバネ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルバネ形成装置およびコイルバネに係り、特に種々のピッチおよびピッチ角のコイルバネを正確に形成できるコイルバネ形成装置および前記コイルバネ形成装置で形成されたコイルバネに関する。
【背景技術】
【0002】
コイルバネ形成装置としては、たとえば芯金と、前記芯金に平行に設けられたリードスクリューとを有するものが知られている。前記コイルバネ形成装置のリードスクリューには、形成しようとするコイルバネのピッチおよびピッチ角に対応する螺旋状の溝が形成されている。前記コイルバネ形成装置においては、芯金とリードスクリューとを回転させつつ、リードスクリューの螺旋溝によって線材を芯金上に案内することにより、線材を所定のピッチおよびピッチ角で芯金に巻回してコイルバネを製造する。
【0003】
しかしながら、前記コイルバネ成形装置は、リードスクリューの設計や製作に著しく手間が掛かること、リードスクリューの螺旋溝に対応するピッチおよびピッチ角を有するコイルバネしか製造できないので汎用性に欠けること、および途中でピッチやピッチ角が大きく変化するコイルバネの製造が極めて困難であることなど、種々の問題点がある。
【0004】
そこで、上記リードスクリューに代えてプーリ状のガイドを使用する巻線機が開発された。前記巻線機は、芯金と、前記芯金の径方向に離間した位置に配設された1個のプーリ状ガイドとを有し、前記プーリ状ガイドは芯金の軸線方向に沿って所定の速度で移動する。線材は、前記プーリ状ガイドに案内されつつ芯金に巻回されるが、このとき前記プーリ状ガイドの移動速度を制御することにより、得られるコイルバネのピッチやピッチ角を制御できる。
【0005】
しかしながら、前記巻線機においては、プーリ状ガイドは芯金から離れた位置に配設されているので、線材は、芯金上を直接案内されるわけではない。したがって、線材が実際に芯金上に巻回されるときのピッチおよびピッチ角を予想しながらプーリ状ガイドの動きを制御する必要があった。
【0006】
このため、プーリ状ガイドを制御するための入力データの作成に手間がかかるだけでなく、得られるコイルバネのピッチがばらつくという問題もあった。また、前述のようにプーリ状ガイドと芯金とは互いに離間しているから、線材の動きを芯金上で直接には制御できない故に、ピッチが急激に変化するコイルバネを形成する場合、ピッチの変化にガイドの動きを追従させることが困難であった。そして、無理にガイドを移動させてピッチの変化に追従させようとすると、線材が芯金上でスリップしてピッチがばらつく原因になった。
【0007】
前記巻線機の問題点を解決するものとして、芯金と、芯金駆動機構と、線材の先端部をつかんで芯金に固定するチャックと、前記芯金と平行に配置された案内部材と、前記案内部材に保持されて芯金と平行な方向に移動自在な可動ヘッドと、前記可動ヘッドに設けられ、前記芯金に対して接離する方向に往復動自在であるとともに芯金の径方向に延びる軸線を中心として旋回可能な第1のホルダと、前記第1のホルダを芯金に対して接離する方向に往復動するガイド駆動機構と、前記第1のホルダに設けられてコイルバネの材料に嵌合する溝部を有する第1のガイドと、前記第1のガイドがコイルバネのピッチに応じて芯金の回転速度と関連した速度で芯金の軸線方向に移動するように前記可動ヘッドを動かす軸方向駆動機構と、前記第1のホルダと一体に旋回する第2のホルダと、前記第2のホルダに設けられていて材料が外れないように材料に転接するとともに材料を前記第1のガイドに向かって送り出す第2のガイドと、第1のガイドと第2のガイドとが互いに連動してコイルバネのピッチ角に応じた方向に向くように前記ホルダの向きを制御する角度変更用アクチュエータとを備える巻線機が提案された(特許文献1)。
【特許文献1】特公平2−33460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記巻線機においては、線材の先端をチャックで把持して芯金上に固定してから線材の巻回を開始するが、前述のように、第1のガイドは芯金に接離する第1のホルダに設けられ、第1のガイドとともに線材を案内する第2のガイドは、前記第1のホルダと一体に旋回する第2のホルダに設けられている。したがって、線材の巻回を開始するときは、前記第1のガイドおよび第2のガイドは芯金から離間した位置に退避させる必要があるから、線材の巻回開始直後においては、コイルバネの形状を正確に制御することは困難であった。
【0009】
また、第1のホルダと第2のホルダとは芯金の径方向に延びる軸線の周りに一体的に旋回する動きしかできないから、第1のガイドと第2のガイドとがとることのできる位置関係も限られている。したがって、製造されるコイルバネのピッチおよびピッチ角も自ずから限定される。
【0010】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、種々のピッチおよびピッチ角のコイルバネを正確に製造できるコイルバネ形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、軸線の周りに回転するとともに線材供給手段から供給される線材が巻回される芯金と、前記芯金と一体的に回転するとともに、線材の一端を前記芯金上に把持するクランプ部と、前記線材を前記芯金上に誘導する第1ガイド部材および第2ガイド部材とを有し、前記第1ガイド部材と第2ガイド部材とは、互いに独立に芯金の軸線に対して平行に移動可能に設けられてなることを特徴とするコイルバネ形成装置に関する。
【0012】
前記コイルバネ形成装置においては、線材供給手段から供給された線材は、第2ガイド部材と第1ガイド部材とによって芯金上の巻回開始位置に向かって案内される。そして、先端部がクランプ部によって芯金上に固定される。
【0013】
線材の先端部が芯金上に固定されたら、芯金はコイルバネの巻回方向に回転し、同時に第1ガイド部材と第2ガイド部材とが芯金の軸線に対して平行に移動して線材が所定のピッチおよびピッチ角で芯金上に巻回されるように線材を案内する。
【0014】
前記コイルバネ形成装置においては、第1ガイド部材と第2ガイド部材とを互いに等しい一定速度で移動させることにより、一定のピッチおよびピッチ角のコイルバネを形成できる。また、第1ガイド部材と第2ガイド部材とを互いに等しい速度で移動させるとともに前記速度を増加させると、第1ガイド部材および第2ガイド部材の移動方向に沿ってピッチおよびピッチ角を増加させることができる。反対に、また、第1ガイド部材と第2ガイド部材とを互いに等しい速度で移動させるとともに前記速度を減少させると、第1ガイド部材および第2ガイド部材の移動方向に沿ってピッチおよびピッチ角を減少させることができる。
【0015】
また、第1ガイド部材を所定の速度で移動させつつ、第2ガイド部材を第1ガイド部材よりも高い速度で移動させると、第1ガイド部材を中心にして線材が屈曲し、前記屈曲部を境にして第1ガイド部材および第2ガイド部材の移動方向に沿って下流側においてより大きなピッチおよびピッチ角で線材が巻回される。反対に、第1ガイド部材を所定の速度で移動させつつ、第2ガイド部材を第1ガイド部材よりも低い速度で移動させると、前記線材の屈曲部を境にして第1ガイド部材および第2ガイド部材の移動方向に沿って下流側においてより小さなピッチおよびピッチ角で線材が巻回される。
【0016】
このように、前記コイルバネ形成装置においては、第1ガイド部材および第2ガイド部材の移動速度を設定することにより、ピッチが一定のコイルバネだけでなく、軸線方向に沿ってピッチが増加するコイルバネおよび減少するコイルバネ、軸線方向に沿って所定の位置を境にしてより大きなピッチまたは小さなピッチで線材が巻回されたコイルバネなどを形成できる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記第1ガイド部材および第2ガイド部材のうち、前記芯金に近い側に配設された第1ガイド部材が、前記線材の巻回開始時において、前記線材の前記クランプ部で芯金上にクランプされた部分に隣接する部分を保持する請求項1に記載のコイルバネ形成装置に関する。
【0018】
前記コイルバネ形成装置においては、第1ガイド部材は、巻回開始時において、線材の巻回開始位置から線材供給手段に近い側にオフセットした位置を保持する。したがって、線材は、巻回開始時から第1ガイド部材および第2ガイド部材によって所定の経路に沿って案内されるから、巻回開始時においてもコイルバネのピッチおよびピッチ角を正確に制御できる。したがって、自動車のサスペンション用コイルバネのように両端部にフラット座を有するものも正確に形成できる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記第1ガイド部材および第2ガイド部材が、何れも前記線材の経路を挟むように配設された1対のガイドローラを備えるとともに、前記ガイドローラは前記第1ガイド部材においては上方から、前記第2ガイド部材においては下方から前記線材に当接する請求項1または2に記載のコイルバネ形成装置に関する。
【0020】
前記コイルバネ形成装置においては、第1ガイド部材および第2ガイド部材の何れも前記線材の経路を挟むように配設された1対のガイドローラを備えるから、第1ガイド部材および第2ガイド部材の何れにおいても、線材との相対角度に関係なく、円滑に線材を送出できる。また、芯金に近い側の第1ガイド部材においては、線材を上側から押圧するから、コイルバネがより安定に形成できる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記第2ガイド部材が前記線材の経路を挟むように配設された1対のガイドローラを備えるとともに、前記第1ガイド部材が、前記線材に嵌合する溝を有するガイドローラと、前記ガイドローラを軸線の周りに回転可能に支持するとともに、前記ガイドローラの軸線および前記線材の供給経路に対して直交する回転軸の周りに回動可能に形成されたガイドローラ支持部材とを備える請求項1または2に記載のコイルバネ形成装置に関する。
【0022】
前記コイルバネ形成装置においては、第2ガイド部材と線材との相対角度に関係なく、円滑に線材を送出できるから、第1ガイド部材と第2ガイド部材とを互いに異なる速度で移動させた場合においても第2ガイド部材で線材の折れが生じることがない。また、前記コイルバネ形成装置において第1ガイド部材と第2ガイド部材とを互いに異なる速度で移動させると、線材は第1ガイド部材の位置で屈曲されるが、そのとき、線材をガイドローラの溝から脱落させる力が線材とガイドローラとの間に作用する。しかしながら、第1ガイド部材においては、ガイドローラ支持部材が回転軸周りに回動してガイドローラの溝の方向と屈曲後の線材の方向とを一致させるから、前記力によって線材がガイドローラから脱落したり、線材がガイドローラの溝に強く擦られてガイドローラが損傷したりすることが防止される。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載のコイルバネ形成装置で形成されたコイルバネに関する。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明によれば、種々のピッチおよびピッチ角のコイルバネが正確に製造できるコイルバネ形成装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
1.実施形態1
本発明のコイルバネ形成装置の一例である巻線機について以下に説明する。
実施形態1に係る巻線機1は、図1および図2に示すように、線材Wが巻回される円柱状の芯金2と、供給手段(図示せず。)から供給された線材Wを芯金2に向かって案内する第1ガイド部3および第2ガイド部4とを備える。
【0026】
第1ガイド部3と第2ガイド部4とは、ボール螺子機構5およびボール螺子機構6によって芯金2の軸線に対して平行に移動する。ボール螺子機構5およびボール螺子機構6は、芯金2に対して平行に設けられた板状の基板9上に設けられている。基板9におけるボール螺子機構5およびボール螺子機構6が設けられた側の面の下縁部には芯金2に対して平行にガイドレール7が設けられ、前記面の上縁部近傍にはガイドレール8が設けられている。ガイドレール7には第1ガイド部3と第2ガイド部4の下縁部が摺動可能に係合し、ガイドレール8には第1ガイド部3と第2ガイド部4の上縁部が摺動可能に係合している。これによって第1ガイド部3と第2ガイド部4は、基板9に対して平行な面内を移動するように案内される。
【0027】
以下、巻線機1の各部分の詳細について説明する。
図1〜図4に示すように、芯金2の一端部には半径方向に沿って外側に向かってフランジ部20が突設され、他端部にはモータ24が取り付けられている。芯金2は、モータ24によって線材Wを巻回する方向に沿って軸線の周りに回転する。芯金2の一端部には、芯金2に接離するとともに、芯金2と一体的に回転するクランプ部22がフランジ部20に隣接して設けられている。クランプ部22が芯金2に近接することにより、線材Wが芯金2上に把持される。
【0028】
第1ガイド部3は、図1〜図3に示すように、線材Wに当接して回転する1対の第1ガイドローラ30と、第1ガイドローラ30が軸支されている支持板32と、ボール螺子機構5とガイドレール7およびガイドレール8とによって上下端が支持、案内される基台34と、一端部において基台34に支持され、他端において支持板32を垂直な回転軸の周りに回転可能に支持する腕状部材36とを有する。
【0029】
図1および図2に示すように、基台34には、ガイドレール7上を走行するブロック34Aおよびガイドレール8上を走行するブロック34Bが固定されている。基台34は、ブロック34Aおよびブロック34Bによってガイドレール7およびガイドレール8に沿って案内される。
【0030】
第1ガイドローラ30は、本発明における第1ガイド部材に相当し、図2〜図6に示すように、円筒状の側面を有し、回転軸31によって支持板32に軸支されている。回転軸31は側面から見て逆V字型即ちハの字型に配設されているから、第1ガイドローラ30は側面から見てV字型即ち逆ハの字型に配設されている。したがって、第1ガイドローラ30は線材Wの経路を両側から挟むように配設され、同時に線材Wの上側の面、言い換えれば芯金2に当接する側とは反対側の面に当接する。また、図3および図7に示すように、第1ガイドローラ30は、支持板32、腕状部材36、および基台34によって芯金2の端面から見て巻回開始位置の近傍における線材供給手段側、言い換えれば第2ガイド部4側にオフセットした位置に保持された状態で、芯金2の軸線に対して平行に移動する。
【0031】
腕状部材36は、図1および図2に示すように基台34に設けられたボール螺子機構35によって上下可能に支持されている。ボール螺子機構35は基台34に支承されたボール螺子35Aと、腕状部材36に固定されているとともにボール螺子35Aに螺合するナット部35Bと、ボール螺子35Aを回転させるモータ35Cとから構成されている。モータ35Cが回転することにより、ナット部35Bが上下し、腕状部材36および支持板32の高さが設定される。これによって第1ガイドローラ30の高さも設定される。
【0032】
第2ガイド部4は、図1〜図3に示すように、1対の回転軸41の周りに回転可能に支持された1対の第2ガイドローラ40と、第2ガイドローラ40が軸支されている板状の支持板42と、ボール螺子機構6とガイドレール7およびガイドレール8とによって上下端が支持、案内される基台44と、根元部において基台44に水平に支持され、先端部において支持板42を垂直面に対して平行に支持する腕状部材46とを有する。
【0033】
基台44には、ガイドレール7上を走行するブロック44Aおよびガイドレール8上を走行するブロック44Bが固定されている。基台44は、ブロック44Aおよびブロック44Bによってガイドレール7およびガイドレール8に沿って案内される。
【0034】
第2ガイドローラ40は、本発明における第2ガイド部材に相当し、図1〜図3に示すように、円筒状の側面を有し、回転軸41によって支持板42に軸支されている。第2ガイドローラ40、回転軸41、およびローラ支持板42は、図4〜図6に示す第1ガイド部3における第1ガイドローラ30、回転軸31、および支持板32の配置を上下逆転させた配置を取っている。したがって回転軸31は側面から見てV字型即ち逆ハの字型に配設されているから、第2ガイドローラ40は側面から見て逆V字型即ちハの字型に配設されている。したがって、第2ガイドローラ30は線材Wの経路を両側から挟むように配設され、同時に線材Wの下側の面、言い換えれば芯金2に当接する側の面に当接する。また、図3および図7に示すように、第2ガイドローラ40は、支持板42、腕状部材46、および基台44によって第1ガイドローラ30よりも線材供給手段側、言い換えれば芯金から遠ざかったに配設され、芯金2の軸線に対して平行に移動する。
【0035】
図1および図2に示すように、腕状部材46は基台44に設けられたボール螺子機構45によって上下可能に支持されている。ボール螺子機構45は基台44に支承されたボール螺子45Aと、腕状部材46に固定されているとともにボール螺子45Aに螺合するナット部45Bと、ボール螺子45Aを回転させるモータ45Cとから構成されている。モータ45Cが回転することにより、ナット部45Bが上下し、腕状部材46および支持板42の高さが設定される。これによって第1ガイドローラ40の高さも設定される。
【0036】
ボール螺子機構5は、図1および図2に示すように、両端において基板9に対して平行に、しかも水平に支承されたボール螺子50と、ボール螺子50に螺合するとともに第1ガイド部3の基台34の上端部に固定されたナット部52と、ボール螺子50を回転させるモータ54とを備える。
【0037】
同様に、ボール螺子機構6は、図1および図2に示すように、両端において基板9に対して平行に、しかも水平に支承されたボール螺子60と、ボール螺子60に螺合するとともに第2ガイド部4の基台44の上端部に固定されたナット部62と、ボール螺子60を回転させるモータ64とを備える。
【0038】
以下、巻線機1の作用について説明する。
巻回開始前には、第1ガイド部3および第2ガイド部4は、夫々ボール螺子機構5およびボール螺子機構6によって巻回開始位置に移動する。これにより、図7において(A)に示すように、第1ガイドローラ30および第2ガイドローラ40は、芯金2のフランジ部20に隣接する位置に保持される。
【0039】
供給手段によって線材Wを供給すると、供給された線材Wは、第1ガイドローラ30と第2ガイドローラ40とフランジ部20とによって芯金2の軸線に直交する方向に沿って誘導され、芯金2とクランプ部22との間に導入される。
【0040】
線材Wが芯金2とクランプ部22との間に導入されたら、線材Wをクランプ部22と芯金2とで巻回開始位置に把持し、芯金2を矢印aに示すようにコイルバネの巻回方向に回転させる。同時に、第1ガイド部3および第2ガイド部4を夫々矢印bおよび矢印cで示すように芯金2の他端部、即ちモータ24が設けられた側の端部に向かって所定の速度で移動させることにより、図7の(B)および図8の(A)に示すように線材は一定のピッチ角θ1で芯金2の表面に螺旋状に巻回され、コイルバネが形成される。
【0041】
途中でピッチ角をθ1からθ2に増加させるには、図8において(B)に示すように、最初に第2ガイド部4の移動速度vcを増加させる。これにより、線材Wは第1ガイド部3の第1ガイドローラ30を中心にして矢印cの方向に屈曲される。線材Wが屈曲され、ピッチ角がピッチ角はθ2に増加したら、第1ガイド部3の移動速度vbを、第2ガイド部4の移動速度vcに等しい速度まで増加させ、線材Wの巻回を継続する。
【0042】
また、図10のように、両端にフラット座を有するコイルバネを形成するときは以下の手順で線材Wの巻回を開始すればよい。先ず、図9において(A)に示すように、第1ガイド部3および第2ガイド部4を芯金2のフランジ部20に隣接する位置に停止させた状態で芯金2を回転させ、フランジ部20に沿って線材Wを巻回する。これにより、フラット座が形成される。フラット座が形成されたら、図9の(B)に示すように先ず、第2ガイド部4の移動を開始させ、ピッチ角がθ1になるまで線材Wを屈曲させる。線材Wが屈曲されたら、第1ガイド部3を第2ガイド部4と等しい速度で移動させる。線材Wが所定の巻数だけ芯金2に巻回されたら、先ず、第2ガイド部4を停止させ、芯金2に巻回される線材のピッチ角が0になったら第1ガイド部3を停止させる。
【0043】
実施形態1の巻線機1においては、ボール螺子機構5およびボール螺子機構6を駆動、停止することにより、第1ガイド部3における第1ガイドローラ30および第2ガイド部4における第2ガイドローラ40の移動速度を独立に制御できる。また、第1ガイドローラ30は、クランプ部22の巻回開始位置からオフセットした位置において線材Wを保持するから、巻回開始時から線材Wのピッチおよびピッチ角を制御できる。
【0044】
したがって、コイルバネの両端にフラット座を容易に形成でき、また、図9に示すように、フラット座から直ちに所定のピッチ角θ1でコイルバネを立ち上げることができる。したがって、安定したバネ特性を有し、収縮したときに線材同士が擦れて表面の塗装が剥れることが無く、腐食に強いコイルバネが得られる。
【0045】
更に、図11において実線で示すように、コイルバネの巻回途中でピッチ角をθ1からθ2に増加させ、再びθ1に戻す場合においてコイルバネのピッチ角を正確に制御できる。これに対して、従来の巻線機においては、同図において破線または二点鎖線で示すようにコイルバネのピッチの変化する部分にピッチ角がθ1からθ2に移行し、またはθ2からθ1に移行する移行部を設ける必要がある。
【0046】
加えて、第1ガイド部3においては、1対のガイドローラ30によって上方から線材Wを押圧し、第2ガイド部4においては、1対のガイドローラ40によって下方から線材Wを支持しているから、線材Wの送りが円滑に行われる。
【0047】
2.実施形態2
本発明のコイルバネ形成装置に包含される巻線機の別の例について以下に説明する。以下、図1〜図9と同一の符号はこれらの図面に示される要素と同一の要素を示す。
実施形態2に係る巻線機10は、図12に示すように、線材Wが巻回される円柱状の芯金2と、供給手段(図示せず。)から供給された線材Wを芯金2に向かって案内する第1ガイド部3および第2ガイド部4とを備える。
【0048】
第1ガイド部3は、図12、図13、および図14に示すように、線材Wに当接して回転する第1ガイドローラ130と、第1ガイドローラ130を水平な回転軸131の周りに回転するように支持する支持板32と、ボール螺子機構5とガイドレール7およびガイドレール8とによって上下端が支持、案内される基台34と、一端部において基台34に支持され、他端において支持板32を垂直な回転軸の周りに回転可能に支持する腕状部材36とを有する。
【0049】
第1ガイドローラ130は、本発明における第1ガイド部材に相当し、図14に示すように、側面が円弧状に凹陥するプーリ状に形成され、円弧状に凹陥した側面において線材Wに当接する。また、図13および図16に示すように、第1ガイドローラ130は、支持板32、腕状部材36、および基台34によって芯金2の端面から見て巻回開始位置の近傍における線材供給手段側、言い換えれば第2ガイド部4側にオフセットした位置に保持された状態で、芯金2の軸線に対して平行に移動する。
【0050】
腕状部材36は図12に示すように高さ調整部材37を介して基台34に支持されている。高さ調整部材35は高さ調整螺子(図示せず。)によって基台34に対して上下可能に構成されている。高さ調整部材37を上下させることにより、腕状部材36および支持板32の高さを設定でき、これによって第1ガイドローラ130の高さも設定される。
【0051】
第2ガイド部4は、図12、図13、および図15に示すように、1対の回転軸141の周りに回転可能に支持された1対の第2ガイドローラ140と、前記1対の回転軸141を正面から見て「ハ」の字型に支持する板状の支持板42と、ボール螺子機構6とガイドレール7およびガイドレール8とによって上下端が支持、案内される基台44と、根元部において基台44に水平に支持され、先端部において支持板42を垂直面に対して平行に支持する腕状部材46とを有する。
【0052】
第2ガイドローラ140は、図15に示すように円筒状の側面を有し、前述のように2つの第2ガイドローラ140が回転軸141によって上方に向かって間隔が開くように軸支されている。これにより、第2ガイドローラ140は線材Wの経路を両側から挟むように配設され、同時に線材Wの上側の面、言い換えれば芯金2に当接する側とは反対側の面に当接する。
【0053】
腕状部材46は図12に示すように螺子45Bによって高さ調整部材47に装着され、高さ調整部材47は、高さ調整螺子47Aによって基台44に対して上下可能に取り付けられている。また、腕状部材46の根元部には螺子47Bが挿通される長孔が水平方向に沿って開口している。第2ガイドローラ140は、高さ調整螺子47Aによって高さ調整部材47を基台44に対して上下させることにより高さを設定でき、螺子47Bを緩めて腕状部材46を水平方向に移動させることにより水平方向の位置を設定できる。第2ガイドローラ140は、第1ガイド部3における第1ガイドローラ130よりも芯金2から遠ざかった位置に保持される。
【0054】
以上の点を除いて、巻線機10は実施形態1に係る巻線機1と同様の構成を有する。
【0055】
以下、巻線機10の作用について説明する。
巻回開始前には、第1ガイド部3および第2ガイド部4は、夫々ボール螺子機構5およびボール螺子機構6によって巻回開始位置に移動する。これにより、図16において(A)に示すように、第1ガイドローラ130および第2ガイドローラ140は、芯金2のフランジ部20に隣接する位置に保持される。
【0056】
供給手段によって線材Wを供給すると、供給された線材Wは、第1ガイドローラ130と第2ガイドローラ40とフランジ部20とによって芯金2の軸線に直交する方向に沿って誘導され、芯金2とクランプ部22との間に導入される。
【0057】
線材Wが芯金2とクランプ部22との間に導入されたら、線材Wをクランプ部22と芯金2とで巻回開始位置に把持し、芯金2を矢印aに示すようにコイルバネの巻回方向に回転させる。同時に、第1ガイド部3および第2ガイド部4を夫々矢印bおよび矢印cで示すように芯金2の他端部、即ちモータ24が設けられた側の端部に向かって所定の速度で移動させることにより、図16の(B)に示すように線材は一定のピッチ角θ1で芯金2の表面に螺旋状に巻回され、コイルバネが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、実施形態1に係る巻線機の全体的な構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る巻線機の全体的な構成を示す正面図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る巻線機の第1ガイドローラ、第2ガイドローラ、芯金、およびその周辺の構成を示す概略図である。
【図4】図4は、図1に示す巻線機の備える第1ガイドローラおよびその周辺の構成を示す拡大断面図である。
【図5】図5は、図1に示す巻線機の備える第1ガイドローラおよびその周辺の構成を示す拡大側面図である。
【図6】図6は、図1に示す巻線機の備える第1ガイドローラおよびその周辺の構成を示す拡大上面図である。
【図7】図7は、図1に示す巻線機において芯金に線材を供給して巻回を開始するまでの手順を示す説明図である。
【図8】図8は、図1に示す巻線機において芯金に線材を巻回するピッチ角をθ1からθ2に変更するときの第1ガイドローラおよび第2ガイドローラの動きを示す説明図である。
【図9】図9は、図1に示す巻線機において端部にフラット座のあるコイルバネを形成するときの手順を示す説明図である。
【図10】図10は、両端にフラット座のあるコイルバネの一例を示す側面図である。
【図11】図11は、実施形態1の巻線機と従来の巻線機とについて、コイルバネを形成するときに途中でピッチ角をθ1からθ2に増加させ、再びθ1に戻したときのコイルバネのピッチと線材の巻数との関係を示す説明図である。
【図12】図12は、実施形態2に係る巻線機の全体的な構成を示す斜視図である。
【図13】図13は、実施形態2に係る巻線機の第1ガイドローラ、第2ガイドローラ、芯金、およびその周辺の構成を示す概略図である。
【図14】図14は、図12に示す巻線機の備える第1ガイドローラおよびその周辺の構成を示す拡大図である。
【図15】図15は、図12に示す巻線機の備える第2ガイドローラおよびその周辺の構成を示す拡大図である。
【図16】図16は、図12に示す巻線機において芯金に線材を供給して巻回を開始するまでの手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 巻線機
2 芯金
3 第1ガイド部
4 第2ガイド部
5 ボール螺子機構
6 ボール螺子機構
7 ガイドレール
8 ガイドレール
9 基板
10 巻線機
20 フランジ部
22 クランプ部
24 モータ
30 第1ガイドローラ
32 ローラ支持部
34 基台
35 高さ調整部材
36 腕状部材
40 第2ガイドローラ
41 回転軸
42 支持板
44 基台
45 ボール螺子機構
45A ボール螺子
45B ナット部
45C モータ
46 腕状部材
47 高さ調整部材
50 ボール螺子
52 ナット部
54 モータ
60 ボール螺子
62 ナット部
64 モータ
130 第1ガイドローラ
140 第2ガイドローラ
【出願人】 【識別番号】000176833
【氏名又は名称】三菱製鋼株式会社
【出願日】 平成18年11月6日(2006.11.6)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−114263(P2008−114263A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−300210(P2006−300210)