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【発明の名称】 コイルばね製造機およびコイルばね製造方法。
【発明者】 【氏名】野島 高志

【氏名】杉山 寛

【要約】 【課題】形成されたコイルばねの切断工程において、切断工具の駆動源であるモータの動作負荷を抑え、かつコイルばねの高速生産が可能となるコイルばね製造機ならびにコイルばね製造方法を提供すること。

【解決手段】線材90を送給可能な線材送給装置20と、線材送給装置20から送給された線材90を巻回するための成形工具35a,35bと、成形工具35a,35bを進退移動させる成形工具駆動装置30a,30bと、成形されたコイルばねを切り離すための切断工具47と、切断工具駆動用モータ55の回転動力をクランク機構部52を介して直線動力として切断工具47に伝達し、切断工具47をコイルばねの切断位置に対して進退移動させる線材切断装置40とを備え、切断工具駆動用モータ55をコイルばねの切断位置を中間点として往復回転運動させると共に、切断工具駆動用モータ55の往動時かつ復動時にコイルばねの切り離しがなされるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材をコイルばね成形空間に向けて送給可能な線材送給装置と、該コイルばね成形空間において該線材送給装置から送給された前記線材を巻回するための成形工具と、該成形工具を前記コイルばね成形空間に対して進退移動させる成形工具駆動手段と、前記線材から成形されたコイルばねを切り離すための切断工具と、該切断工具の駆動源である切断工具駆動用モータの回転動力をクランク機構部を介して直線動力として該切断工具に伝達し、該切断工具を前記コイルばねの切断位置に対して進退移動させる切断工具駆動手段と、前記切断工具駆動用モータを前記コイルばねの切断位置を中間点として往復回転運動させると共に、前記切断工具駆動用モータの往動時かつ復動時に前記コイルばねの切り離しがなされるように前記切断工具駆動手段を制御する切断工具制御手段とが備えられていることを特徴とするコイルばね製造機。
【請求項2】
前記成形工具によって巻回された線材の円弧状部分の内側に接触され、前記切断工具と協働して前記コイルばねを切断する心金工具が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のコイルばね製造機。
【請求項3】
前記クランク機構部は、前記切断工具駆動用モータによって回転するシャフトから偏心し、該シャフトと一体的に回転する偏心支柱と、前記切断工具が固定され前記コイルばねの切断位置に対してリニア駆動するスライド部と、前記偏心支柱と前記スライド部とを接続するリンク部材とからなることを特徴とする請求項1または2に記載のコイルばね製造機。
【請求項4】
前記切断工具がコイルばねを切り離す際の線材の剪断強度に合わせて前記切断工具駆動用モータの1サイクル当たり発生させる回転衝撃力を調整可能な構成とすることを特徴とする請求項1〜3に記載のコイルばね製造機。
【請求項5】
線材をコイルばね成形空間に向けて送給する線材送給工程と、該コイルばね成形空間において前記線材を巻回しコイルばねを成形する成形工程と、切断工具駆動用モータの回転動力をクランク機構によって直線動力に変換し切断工具に伝達すると共に、該切断工具駆動用モータが前記コイルばねの切断位置を中間点として往復回転動作することによって、該切断工具駆動用モータの往動時かつ復動時に前記切断工具により前記コイルばねを前記線材から切り離すようにした切断工程とからなることを特徴とするコイルばね製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルばね製造機およびコイルばね製造方法に関し、更に詳しくは、線材を巻回することによって成形されたコイルばねを線材から切断してコイルばねを製造するコイルばね製造機およびコイルばね製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に示されるように、線材送給装置から送給されたコイルばねの材料である金属製の線材が円弧状に成形された後、切断工具によって線材からコイルばねを切り離すようにしたコイルばね製造機およびコイルばね製造方法が知られている。
【0003】
図9は、このようなコイルばね製造機における上記切断工具の動作を説明するためのモデル図である。シャフト94は、駆動源であるモータの駆動力を得て、その中心軸Xを回転中心軸として回転する。この時、シャフト94と連結され、シャフト94の中心軸Xから偏心させた偏心支柱96は、その中心軸Pではなく、X軸を回転中心軸として軌道C2上を回転する。この偏心支柱96に加えられた回転動力は、図示されないクランク機構部を介し、回転動力が直線動力に変換され、切断工具98に伝達される。そして、切断工具98は、成形されたコイルばねの切断位置に対して軌道L2上を進退することとなる。
【0004】
具体的に切断工具98の動作を説明すると、コイルばね成形完了後、偏心支柱96は、原位置であるP1からモータの正転方向に回転する。これに伴い、切断工具98も原位置であるQ1から前進し、偏心支柱96が下死点であるP2に達したとき、切断工具98も下死点であるQ2に達し、コイルばねを線材から切り離す。そして、そのまま偏心支柱96は回転し、原位置P1と中心軸Dに対して対称である点P3を通過した時(切断工具98は後退しQ3に位置する)の信号をコイルばね切断完了信号とし、この信号をもって次サイクルのコイルばねの成形が開始される。
【0005】
この後、偏心支柱96が点P3から原位置P1に復帰するまでの間にコイルばねが成形され、その成形後、再びコイルばねが線材から切り離される。この場合、偏心支柱96を点P3から原位置P1に復帰させる方法としては、切断工程時のモータの回転方向と同様の方向に一回転させて原位置P1に復帰させるか、あるいは偏心支柱96が点P3に達した時点でモータを逆転させて原位置P1に復帰させるという、いずれかの方法が採用される。
【0006】
【特許文献1】特開2006−167770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、1サイクル(1個のコイルばねの成形から切断までを1サイクルとする。以下同じ。)毎にモータを一回転させる前者の方法であれば、偏心支柱96を原位置P1に復帰させるまでのモータの回転量が大きくなり、原位置P1に復帰させるまでの時間が必要以上に長くなるため、コイルばね1個あたりのタクトタイムが大きくなってしまうという問題がある。
【0008】
また、モータを逆転させて原位置まで戻すという後者の方法であれば、1サイクル毎にモータの正転/逆転動作が繰り返されるため、モータの制御プログラムが複雑になると共に、モータへの負荷が大きくなるという問題がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、形成されたコイルばねの線材からの切断工程において、切断工具の駆動源であるモータの動作負荷を抑え、かつコイルばねの高速生産が可能となるコイルばね製造機ならびにコイルばね製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明のコイルばね製造機は、請求項1に記載のように、線材をコイルばね成形空間に向けて送給可能な線材送給装置と、該コイルばね成形空間において該線材送給装置から送給された前記線材を巻回するための成形工具と、該成形工具を前記コイルばね成形空間に対して進退移動させる成形工具駆動手段と、前記線材から成形されたコイルばねを切り離すための切断工具と、該切断工具の駆動源である切断工具駆動用モータの回転動力をクランク機構部を介して直線動力として該切断工具に伝達し、該切断工具を前記コイルばねの切断位置に対して進退移動させる切断工具駆動手段と、前記切断工具駆動用モータを前記コイルばねの切断位置を中間点として往復回転運動させると共に、前記切断工具駆動用モータの往動時かつ復動時に前記コイルばねの切り離しがなされるように前記切断工具駆動手段を制御する切断工具制御手段とが備えられていることを要旨とするものである。
【0011】
この場合、請求項2に記載のように、前記成形工具によって巻回された線材の円弧状部分の内側に接触され、前記切断工具と協働して前記コイルばねを切断する心金工具が備えられていることが好ましい。
【0012】
さらに、請求項3に記載のように、前記クランク機構部は、前記切断工具駆動用モータによって回転するシャフトから偏心し、該シャフトと一体的に回転する偏心支柱と、前記切断工具が固定され前記コイルばねの切断位置に対してリニア駆動するスライド部と、前記偏心支柱と前記スライド部とを接続するリンク部材とからなることが好ましい。
【0013】
また、請求項4に記載のように、前記切断工具がコイルばねを切り離す際の線材の剪断強度に合わせて前記切断工具駆動用モータの1サイクル当たり発生させる回転衝撃力を調整可能な構成とするのがよい。
【0014】
また、請求項5に記載のコイルばね製造方法は、線材をコイルばね成形空間に向けて送給する線材送給工程と、該コイルばね成形空間において前記線材を巻回しコイルばねを成形する成形工程と、切断工具駆動用モータの回転動力をクランク機構によって直線動力に変換し切断工具に伝達すると共に、該切断工具駆動用モータが前記コイルばねの切断位置を中間点として往復回転動作することによって、該切断工具駆動用モータの往動時かつ復動時に前記切断工具により前記コイルばねを前記線材から切り離すようにした切断工程とからなることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係るコイルばね製造機によれば、駆動源である切断工具駆動用モータの回転動力をクランク機構部により変換し、直線動力としてコイルばねを線材から切り離すための切断工具に伝達する切断工具駆動手段において、切断工具駆動用モータは、コイルばねの切断位置を中間点として往復回転運動し、切断工具駆動用モータの往動時だけでなく、復動時にも前記コイルばねの切断がなされるよう制御される。そのため、コイルばね切断後、すぐに次のサイクルに移行することができ、より高速な生産が可能となる。また、切断工具駆動用モータが1サイクル中に逆転動作することがないため、簡単なシーケンスプログラムで切断工具駆動用モータを制御することができると共に、切断工具駆動用モータの動作負荷を低く抑えることができる。
【0016】
また、請求項2に記載のように、巻回された線材の円弧状部分の内側に位置され、上記切断工具と協働してコイルばねを切断する心金工具が備えられておれば、成形されたコイルばねの円弧形状が崩れることなく、コイルばねを線材から切り離すことができる。
【0017】
そして、請求項3に記載のように、クランク機構部は、駆動源である切断工具駆動用モータによって回転するシャフトから偏心した偏心支柱、切断工具が固定されコイルばねの切断位置に対してリニア駆動するスライダ、この偏心支柱とスライダを接続するリンク部材で構成されておれば、切断工具駆動用モータの回転動作を円滑に切断工具の直線動作に変換することができる。
【0018】
また、請求項4に記載のように、コイルばねの材料である線材の剪断強度が大きいほど切断工具駆動用モータの1サイクル当たりの回転量や回転速度を大きくすれば、切断工具およびそれを固定する工具固定ブラケットなどを持つスライダの移動速度が大きくなり、回転衝撃力を大きくすることができ、切断工具からの線材に対する剪断力が大きくなるため、コイルばねの線材からの切り離しがスムーズに行われる。
【0019】
また、本発明の請求項5に係るコイルばね製造方法によれば、クランク機構によって駆動源である切断工具駆動用モータの回転動力を直線動力に変換して切断工具に伝達し、この切断工具駆動用モータが前記コイルばねの切断位置を中間点として往復回転動作することで、切断工具駆動用モータの往動時かつ復動時にコイルばねを前記線材から切り離すようにしているため、コイルばね切断工具の駆動源である切断工具駆動用モータへの負荷を小さく抑えることができると共に、大幅なタクトタイムの減縮が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るコイルばね製造機およびコイルばね製造方法の一実施形態を図1〜図8を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明における上下左右方向とは、図1における上下左右方向をいうものとする。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態に係るコイルばね製造機10は、鉛直に起立した板状の基台11に、線材送給装置20、成形工具駆動装置30a,30b、線材切断装置40を組み付けてなる。以下、各部位について具体的に説明する。
【0022】
線材送給装置20には、コイルばねの材料である線材90を上下方向で挟み込む対になった送りローラ21,21が設けられている。そして、上下の送りローラ21,21を送給される線材90の軸に対して対称に回転させることで、線材90を成形空間Rに向けて送給したり、あるいは逆に引き戻すことができるようになっている。なお、送りローラ21,21は、図示されないサーボモータである、送りローラ21用モータによって駆動されるため、成形空間Rへの線材90の送給量を制御することができる。
【0023】
また、線材90の送給路において、送りローラ21,21の手前側には、ガイド部材12が設けられている。さらに、送りローラ21,21と成形空間Rの間には、送給ノズル13が配設されている。このガイド部材12および送給ノズル13には、共に線材90が挿通可能な案内路(図示せず)が形成されており、線材90はこの案内路を経て成形空間Rに送給されることとなる。
【0024】
成形工具駆動装置30a,30bは、線材90の送給軸に対して対称に2台配設されている。一方の成形駆動装置30aは、基台11上に固定台31aを介して、線材90の送給軸に対して斜め下方に配設され、他方の成形駆動装置30bは、固定台31bを介して、線材90の送給軸に対して斜め上方に配設されている。
【0025】
各固定台31a,31b上には、成形空間R側にスライダ32a,32bが直線動作可能に係合し、その反対側にサーボモータである成形工具駆動用モータ34a,34bが備えられている。そして、スライダ32a,32bの成形空間R側には、送給される線材90を成形するための成形工具35a,35bが備えられ、反対側はボールネジ機構部33a,33bにより成形工具駆動用モータ34a,34bと連結されている。
【0026】
このように成形工具駆動装置30a,30bが構成されることで、成形工具35a,35bは、成形工具駆動用モータ34a,34bの駆動により、成形工具35aが成形空間Rに対して右側斜め下方から進退動作し、他方の成形工具35bが成形空間Rに対して右側斜め上方から進退動作する。
【0027】
図2は、成形空間Rの拡大斜視図である。図に示されるように、角柱状の各成形工具35a,35bの先端面には、巻回されるコイルに沿うように形成された線材摺接溝39a,39bが形成されている。そして、成形空間Rに送給された線材90が、円弧状に塑性変形された状態で、各成形工具35a,35bの線材摺接溝39a,39bの内面に押しつけられる。この状態で線材90が送給されることにより、後続の線材90が円弧状に塑性変形する。この時、線材摺接溝39a,39bにより、線材90が基台11から離れる方向に案内されることで、コイルばねの軸心方向にコイルが形成される。なお、この工程は、コイルばねの側面からコイルピッチを形成するためのピッチ工具を挿入して、コイルばねの軸心方向にコイルを形成する方法にしてもよい。また、コイルばねの直径は、成形工具駆動用モータ34a,34bを駆動し、成形工具35a,35bを成形空間Rに対して進退移動させることで調節することができる。
【0028】
図3は、図1におけるA−A断面、すなわち成形空間Rおよび線材切断装置40の断面図である。図から分かるように、成形空間Rには、基台11上に心金固定ブラケット44を介して心金工具42が配設されている。なお、コイルばねは、この心金工具42の周りを囲むようにして成形されるため、心金工具42は、成形されるコイルばね径等に応じて、交換可能となっている。
【0029】
線材切断装置40は、基台11上に固定されたベース部材41に種々の構成部品が取り付けられることにより構成されている。以下、この構成について説明する。
【0030】
ベース部材41のモータ固定部41Aの基台11側には、後方突壁54が形成され、この後方突壁54に切断工具47の駆動源である切断工具駆動用モータ55が減速機60を介して取り付けられている。この切断工具駆動用モータ55はサーボモータであり、そのモータ出力軸55Jが減速機60の図示されない入力軸と連結され、減速機60の出力軸60Jにモータ回転ギヤ56が一体回転可能に固定されている。
【0031】
このモータ回転ギヤ56は、伝達ギヤ53と噛合している。一方、ベース部材41のモータ固定部41Aの中心部には、貫通孔41Bが形成され、その貫通孔41Bにベアリング49が嵌合されている。このベアリング49内には、伝達シャフト50のベアリング支持部50Aが嵌合され、伝達シャフト50がベース部材41に回転可能に支持されている。そして、この伝達シャフト50のギア固定部50Dが伝達ギヤ53に一体回転可能に固定されている。
【0032】
また、この伝達シャフト50のギア固定部の反対側には、ベアリング支持部50Aと同心の円形形状をなす円板部50Bが設けられている。そして、この円板部50Bの中心から偏心した位置に偏心支柱50Cが立設されている。偏心支柱50Cは、断面円形状であり、ベアリング支持部50Aと平行な中心軸を有する。
【0033】
一方、ベース部材41の基台11への取付面の反対面には、直動ガイドレール43が図示されないボルトによって固定されている。直動ガイドレール43は、ベース部材41の長手方向に延びて設けられており、この直動ガイドレール43上には、スライダ45が成形空間Rに対して進退移動可能に設けられている。
【0034】
このスライダ45には、そのベース部45Aの成形空間R側の端部に工具固定ブラケット46が固定され、その工具固定ブラケット46に切断工具47が固定されている。図2に示されるように、切断工具47は、角柱状をなしており、工具固定ブラケット46から長手方向を成形空間Rに向けて取り付けられる。
【0035】
また、スライダ45には、ベース部45Aの略中央から起立し、途中で偏心支柱50C側に向かって垂直に屈曲した支持壁45Bが形成されている。そして、ベース部45Aと支持壁45Bとの間に、偏心支柱50Cと平行となるよう支持ピン48が差し渡されている。
【0036】
この支持ピン48は、偏心支柱50Cとリンク部材51により連結されている。リンク部材51は、両端部に貫通孔51A,51Bが形成されており、一方の貫通孔51Aにはベアリング51Cを介して偏心支柱50Cが嵌合され、他方の貫通孔50Bにはメタル軸受51Dを介して支持ピン48が嵌合されている。
【0037】
この偏心支柱50C、リンク部材51、スライダ45等によって、本発明に係るクランク機構部52が構成され、切断工具駆動用モータ55の回転動作が切断工具47の直線動作に変換される。
【0038】
具体的には、切断工具駆動用モータ55の出力トルクが伝達ギヤ53を介して伝達シャフト50に伝達されると、伝達シャフト50は、ベアリング支持部50A,ギア固定部50Dの中心軸Xを回転中心軸として回転する。よって、伝達シャフト50の偏心支柱50Cは、その中心軸Pではなく、ベアリング支持部50A,ギア固定部50Dの中心軸Xを回転中心軸として回転することとなる。
【0039】
偏心支柱50Cに伝達された回転動作は、リンク部材51および支持ピン48を介してスライダ45に伝達されることで直線動作に変換され、スライダ45は、成形空間Rに対して直動ガイドレール43上を進退動作する。
【0040】
そして、スライダ45の進退動作と共に切断工具47も成形空間Rに向かって進退動作することとなる。これにより、所定形状のコイルばねが形成された後、切断工具47が成形空間R側に進入した時に、切断工具47のエッジと心金工具42のエッジとの間で線材90が切断(具体的には「剪断」)され、コイルばねが後続の線材90から切り離されることとなる。
【0041】
図4は、コイルばね製造機10の電気的な構成図である。前述したように、送りローラ21、成形工具35a,35b、切断工具47は、それぞれ送りローラ21用モータ、成形工具駆動用モータ34a,34b、切断工具駆動用モータ55を駆動源として動作する。これらのモータのサーボアンプ60,61,62,63がメイン制御回路65と共に制御盤67に収納されている。メイン制御回路65には、ディスプレイ68およびキーボード69が接続されている。
【0042】
作動シーケンスプログラムが保存されたメイン制御回路65は、図示されない各種センサー等からの入力信号を得て、上記サーボアンプ60,61,62,63に作動指令を出す。この指令を元にサーボアンプ60,61,62,63は、送りローラ21用モータ、成形工具駆動用モータ34a,34b、切断工具駆動用モータ55に駆動電力を供給する。ディスプレイ68は、現在のコイルばね生産数や、生産しているコイルばねの種別等を表示する。また、キーボード69を操作することによって、コイルばね製造機10の生産スタートおよび停止、手動/自動運転の切替、目標生産数の入力や、生産するコイルばねの形状、長さ等の種別に応じて制御プログラムをメイン制御回路に入力、保存することが可能となっている。
【0043】
以下、このように構成されるコイルばね製造機10を用いたコイルばねの製造方法の一例について具体的に説明する。
【0044】
上記メイン制御回路65により制御されるコイルばねの製造方法を説明するためのフローチャートを図5に示す。また、線材切断装置40における切断工具駆動用モータ55による、偏心支柱50Cおよび切断工具47の動作を説明するためのモデル図を図6〜8に示す。なお、図6〜8中の円弧C1は、偏心支柱50Cの中心軸Pの回転軌道を示しており、L1は、偏心支柱50Cの中心軸Pの位置に対する切断工具47の先端位置Qの軌道を示している。円弧C1上の偏心支柱50Cの原位置1および原位置2は、図中の下死点と上死点を結ぶ中心軸Dに対して左右対称に位置している。また、以下の説明における切断工具駆動用モータ55の回転方向については、図に向かって左回りを正転方向とする。
【0045】
まず、キーボード69の操作により、目標生産数(N)およびスタート信号がメイン制御回路65に送られる(S501)と、メイン制御回路65は、成形工具35a,35b、切断工具47等が原位置であるか確認する(S502)。ここで、切断工具47の先端Qおよび偏心支柱50Cの中心軸Pの位置としては、図6に示される原位置1、もしくは図8に示される原位置2のいずれでもよい。なお、成形工具35a,35b、切断工具47の原位置1および原位置2は、成形工具35a,35b、切断工具47が成形空間Rから十分に待避し、成形工具35a,35bと切断工具47が干渉することがない位置となっている。
【0046】
この時、成形工具35a,35bや切断工具47等のいずれかが原位置でない(S502「NO」)場合には、インターロック機構によりコイルばね製造機10が始動することはない(S503)。
【0047】
成形工具35a,35bおよび切断工具47等のいずれもが原位置に位置すると確認された場合(S502「YES」)には、メイン制御回路65のからの動作指令により、送りローラ21が始動し、線材90が成形空間Rに送給されると共に、成形工具35a,35b等のコイリングツールが成形空間Rに進入し、所定の形状にコイルばねが成形される(S504)。
【0048】
このコイルばねの成形工程は、成形されるコイルばねに必要な所定量の線材90が送給されたこと、すなわち、送りローラ21用モータが所定量回転したことをもって完了する(S505)。
【0049】
この完了信号を得た後、メイン制御回路65は、線材切断装置40の切断工具駆動用モータ55に線材切断装置作動指令を出す(S506)と共に、偏心支柱50C(切断工具47)が原位置1または原位置2のどちらに位置しているのかを切断工具駆動用モータ55の位置情報より確認する。
【0050】
例えばここで、偏心支柱50Cが、図6に示される原位置1に位置する場合(S507「YES」)について説明する。まず、切断工具駆動用モータ55を正転させ、偏心支柱50Cを原位置1から下死点まで回転させる。この時、図7に示されるように、切断工具47は、原位置1から下死点まで前進し、心金工具42との協働で形成されたコイルばねと線材90を切り離す。ついで、図8に示されるように、偏心支柱50Cの中心軸Pが原位置2に位置するまで偏心支柱50Cを回転させる(S508)と、切断工具47は、原位置2まで後退することとなる。
【0051】
そして、偏心支柱50Cを原位置1から原位置2まで回転させた切断工具駆動用モータ55は、偏心支柱50Cを始動開始点である原位置1まで復帰させることはなく、コイルばね切断後、偏心支柱50Cを原位置2に待機させ、メイン制御回路65からの次の作動指令を待つ。
【0052】
切断工具47(偏心支柱50C)が原位置2に位置したことが切断工具駆動用モータ55の位置情報からメイン制御回路65により確認された場合には、線材切断装置40は停止する(S510)。
【0053】
線材切断装置40の停止後、コイルばね生産数がカウントアップされ(S511)、このカウントアップされた生産数(n+1)が目標生産数(N)に達したかどうかが判定される(S512)。目標生産数(N)に達したとされた場合(S512「YES」)には、コイルばね製造機10は停止し、生産を終了する(S513)。
【0054】
一方、未だ目標生産数Nに達していないとされた場合(S512「NO」)には、ステップS504に戻り、次のサイクルのコイルばねの成形が行われる(S504、S505)。
【0055】
ここで、メイン制御回路65は、再び切断工具駆動用モータ55に作動指令を出し(S506)、切断工具駆動用モータ55の位置情報から偏心支柱50Cの中心軸Pが原位置2に位置することを確認する(S507「NO」)。そして、切断工具駆動用モータ55を逆転させ、原位置2から下死点を経て原位置1まで偏心支柱50Cを回転させる(S509)。この場合も切断工具47は、原位置2から下死点まで前進し、形成されたコイルばねと線材90を切り離した後、原位置1まで往復進退動作する。そして、切断工具駆動用モータ55によって原位置2から原位置1まで回転した偏心支柱50Cは、原位置1に待機して、次の作動指令を待つこととなる。
【0056】
このように、偏心支柱50Cは、切断工具駆動用モータ55の回転動力により、原位置1と原位置2の間を1サイクル(1個のコイルばねの成形から切断まで)毎に原位置を変化させて動作する。つまり、切断工具駆動用モータ55は、偏心支柱50Cを2サイクルで原位置1と原位置2の間を往復回転運動させるように回転し、その往動時かつ復動時に、切断工具47によりコイルばねが線材90から切断されるようにメイン制御回路65により制御される。
【0057】
なお、上述したように、偏心支柱50Cの中心軸Pの原位置1および原位置2は、中心軸Dに対して、左右対称であればよい。ここで、コイルばねに使用される線材90の径が大きくなれば、その切断に必要な剪断力が大きくなるため、原位置1および原位置2の位置を上死点側に移動させる。切断工具駆動用モータ55の回転量を大きくすれば、切断工具47およびそれを固定する工具固定ブラケット46などを持つスライダ45の移動速度が大きくなり、より大きな剪断力が線材90に働くことで、スムーズにコイルばねを切断することができるためである。
【0058】
このように、本実施形態に係るコイルばね製造機10およびコイルばね製造方法によれば、駆動源である切断工具駆動用モータ55の回転動力をクランク機構部によって変換し、直線動力として切断工具47に伝達する線材切断装置40において、切断工具駆動用モータ55は、コイルばねの切断位置、すなわち下死点を中間点として往復回転運動し、切断工具駆動用モータ55の往動時だけでなく、復動時にもコイルばねの切断がなされるようにメイン制御回路65により制御される。
【0059】
そのため、従来技術のように、コイルばね切断後、切断工具駆動用モータ55を一回転させて始動開始点に復帰させる必要がなく、すぐに次のサイクルに移行することができ、より高速なコイルばねの生産が可能となる。また、切断工具駆動用モータ55の逆転動作により始動開始点に復帰させる場合のように、切断駆動用モータ55が1サイクル中に逆転動作することがないため、簡単なシーケンスプログラムでコイルばね切断工程を制御することができると共に、切断工具駆動用モータ55の動作負荷を低く抑えることができる。さらに、上記プログラムは成形工具35a,35bの動作と切断工具47の動作とを切り離して制御できるため、例えば切断工具47の動作を単独で変更することが可能となり、コイルばね成形の操作性がよくなる。
【0060】
また、このコイルばね製造機10には、巻回された線材90の円弧状部分の内側に位置され、切断工具47と協働してコイルばねを切断する心金工具42が備えられている。そのため、成形されたコイルばねの円弧形状が崩れることなくコイルばねを線材から切り離すことができると共に、コイルばねの切断面を滑らかなものとすることができる。
【0061】
そして、本実施形態に係るコイルばね製造機10のクランク機構部52は、切断工具駆動用モータ55によって回転するシャフトから偏心した偏心支柱50Cと、切断工具47が固定され、コイルばねの切断位置に対してリニア駆動するスライダ45と、この偏心支柱50Cとスライダ45を接続するリンク部材51とで構成されており、切断工具駆動用モータ55の回転動作を円滑に切断工具47の直線動作に変換することができる。
【0062】
また、コイルばねの材料である線材90の剪断強度が大きいほど切断工具駆動用モータ55の1サイクル当たりの回転量や回転速度を大きくすれば、切断工具47およびそれを固定する工具固定ブラケット46などを持つスライダ45の移動速度が大きくなり、回転衝撃力を大きくすることができ、切断工具47からの線材90に対する剪断力が大きくなるため、コイルばねの線材90からの切り離しをスムーズに行うことができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、線材切断装置40は、図1における上側に一台のみ設けられていたが、心金工具42を用いず、線材90の送給軸に対して対称位置にカットツール用とダイ用の線材切断装置を設けてもよい。このようにすることで、様々な種類のコイルばねの切断に対応可能となる。
【0065】
また、上記実施形態では、コイルばねを成形する方法として、送給する線材90の圧力によって、成形空間Rで待機している成形工具35a,35bに線材90が押しつけられることで線材90が円弧状に塑性変形され、コイルばねが成形されることを説明したが、これとは逆に、成形空間Rにおいて、成形工具を動作させ、その動力によって線材90が円弧状に塑性変形されるようにしてもよい。また、成形工具35a,35bは、線材径に合わせた線材摺接溝39a,39bが形成された角柱状の成形工具35a,35bであることを説明したが、線材摺接溝39a,39bが形成されたローラ形状のものであってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、成形工具35a,35b、切断工具47は、成形工具駆動用モータ34a,34b、切断工具駆動用モータ55によって駆動される構成であったが、電気モータ以外のアクチュエータ、例えば、油圧モータ、エアモータ等によって駆動される構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態に係るコイルばね製造機の正面図である。
【図2】コイルばね製造機におけるコイルばね成形空間を示した斜視図である。
【図3】コイルばね製造機における線材切断装置の断面図である。
【図4】コイルばね製造機の電気制御図である。
【図5】コイルばね製造機の動作フローチャートである。
【図6】切断工具47(偏心支柱50C)が原位置1に位置する場合のモデル図である。
【図7】切断工具47(偏心支柱50C)が下死点に位置する場合のモデル図である。
【図8】切断工具47(偏心支柱50C)が原位置2に位置する場合のモデル図である。
【図9】従来のコイルばね製造機における線材切断装置の動作を説明するためのモデル図である。
【符号の説明】
【0068】
10 コイルばね製造機
20 線材送給装置
30a,30b 成形工具駆動装置
35a,35b 成形工具
40 線材切断装置
42 心金工具
45 スライダ
47 切断工具
50C 偏心支柱
51 リンク部材
52 クランク機構部
55 切断工具駆動用モータ
90 線材
【出願人】 【識別番号】000116976
【氏名又は名称】旭精機工業株式会社
【出願日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【代理人】 【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登


【公開番号】 特開2008−80386(P2008−80386A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−265363(P2006−265363)