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【発明の名称】 スプリング製造装置及びその制御方法
【発明者】 【氏名】板屋 一郎

【要約】 【課題】複雑な形状のスプリングを、従来より少ないツールで簡単に成形することができるスプリング製造技術を実現する。

【構成】スプリング製造装置100は、ワイヤを送り出すワイヤフィーダ300と、送り出されたワイヤを成形テーブル200上のスプリング成形空間に案内するワイヤガイド320と、スプリング成形空間を中心に放射状に複数配置可能とされ、スプリング成形空間に向けてツールを出没可能に支持するツールユニット400B,400Dと、ワイヤガイドの先端部に対向配置され、途中形状まで一次成形された切断前のスプリングの一部を把持するグリップユニット500と、グリップユニットによるワイヤ軸線に沿った往復動作とワイヤ軸線まわりの回転動作とを行うグリップ駆動部520,530と、その先端部に固定されるホルダ550を介してグリップユニット及びグリップ駆動部を保持するアーム部540と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤを送り出すワイヤフィーダと、
前記ワイヤフィーダから送り出されたワイヤを成形テーブル上のスプリング成形空間に案内するワイヤガイドと、
前記成形テーブルに対して前記スプリング成形空間を中心に放射状に複数配置可能とされ、前記スプリング成形空間に向けてツールを出没可能に支持するツールユニットと、
前記ワイヤガイドの先端部に近接して対向配置され、前記スプリング成形空間において途中形状まで一次成形された切断前のスプリングの一部を把持するフィンガを有するグリップユニットと、
前記グリップユニットによるワイヤ軸線に沿った往復動作と、当該グリップユニットによる前記ワイヤ軸線まわりの回転動作とを行うグリップ駆動部と、
前記成形テーブル上から前方に延設されて、その先端部に固定されるホルダを介して前記グリップユニット及び前記グリップ駆動部を保持するアーム部と、を備えることを特徴とするスプリング製造装置。
【請求項2】
前記グリップ駆動部は、前記グリップユニットをワイヤ軸線に沿って往復動作させる第1のサーボモータと、当該グリップユニットを前記ワイヤ軸線まわりに回転動作させる第2のサーボモータと、を有し、
前記第1及び第2の各サーボモータが前記ホルダに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のスプリング製造装置。
【請求項3】
前記アーム部は、その一端部が前記成形テーブルに固定され、他端部が前記成形テーブルから前方に片持ち梁状に延びる複数のロッドが鉛直方向に配列されて構成されており、
前記ホルダは、前記第1及び第2のサーボモータを保持する複数の板材で構成されることを特徴とする請求項1に記載のスプリング製造装置。
【請求項4】
エアーを用いて前記一次成形されたスプリングを把持又は解放するように前記フィンガを動作させるエア駆動部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスプリング製造装置。
【請求項5】
ワイヤを送り出すワイヤフィーダと、前記ワイヤフィーダから送り出されたワイヤを成形テーブル上のスプリング成形空間に案内するワイヤガイドと、前記成形テーブルに対して前記スプリング成形空間を中心に放射状に複数配置可能とされ、前記スプリング成形空間に向けてツールを出没可能に支持するツールユニットと、前記ワイヤガイドの先端部に近接して対向配置され、前記スプリング成形空間において途中形状まで成形された切断前のスプリングの一部を把持するフィンガを有するグリップユニットと、を備えるスプリング製造装置の制御方法であって、
前記ワイヤガイドの先端部から送出されたワイヤを前記ツールによって途中形状まで成形する一次成形工程と、
一次成形されたスプリングの一部を前記グリップユニットのフィンガによって把持するグリップ工程と、
前記フィンガにより把持された状態で前記一次成形されたスプリングから前記ワイヤガイドに延びるワイヤを切断する切断工程と、
切断後に前記フィンガに把持された一次成形されたスプリングを前記ツールによって最終形状にまで成形する二次成形工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スプリングとなるワイヤを連続して送り出しながら、その送り出されたワイヤをスプリング成形空間において、ツールにより強制的に折曲、湾曲あるいは捲回させてスプリングを製造する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスプリング製造装置として、成形テーブル上のスプリング成形空間に送り出されるワイヤを中心として、成形テーブル上に45°ごとに放射状に複数のツールを配置し、各々のツールをツール支持機構により支持してサーボモータにて独立して駆動制御する構成にすることで、多様な形状のスプリングを数値制御により成形可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2675523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のスプリング製造装置は、切断後のワイヤを加工するために、ワイヤガイドから送出されるワイヤを把持する手段が搭載されていないため、途中形状まで成形したワイヤを切断した後は、残りのワイヤに対して同一の装置で再度加工を行い、最終形状まで成形することは不可能である。このため、複雑な形状のスプリング、例えばワイヤの両端部にコイル部分を持つダブルトーションスプリング(ねじりコイルばね)を切断せずに成形する場合には、図11及び図12に例示するように複数のツールを精密且つ複雑に動作させる必要があるため、生産性に改善の余地がある。また、専用のツールが必要であったり、使用するツール数が多いほどツールを駆動するためのサーボモータ数が多くなるため、装置の加工能力は高くなるものの、コスト面で改善の余地がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、複雑な形状のスプリングを、従来より少ないツールで簡単に成形することができるスプリング製造技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明のスプリング製造装置100は、ワイヤを送り出すワイヤフィーダ300と、前記ワイヤフィーダから送り出されたワイヤを成形テーブル200上のスプリング成形空間に案内するワイヤガイド320と、前記成形テーブルに対して前記スプリング成形空間を中心に放射状に複数配置可能とされ、前記スプリング成形空間に向けてツールTA,TC,TDを出没可能に支持するツールユニット400A〜400Dと、前記ワイヤガイドの先端部に近接して対向配置され、前記スプリング成形空間において途中形状まで一次成形された切断前のスプリングの一部を把持するフィンガ511a,511bを有するグリップユニット500,510と、前記グリップユニットによるワイヤ軸線に沿った往復動作と、当該グリップユニットによる前記ワイヤ軸線まわりの回転動作とを行うグリップ駆動部520,530と、前記成形テーブル上から前方に延設されて、その先端部に固定されるホルダ550を介して前記グリップユニット及び前記グリップ駆動部を保持するアーム部540と、を備える。
【0006】
また、上記構成において、前記グリップ駆動部は、前記グリップユニットをワイヤ軸線に沿って往復動作させる第1のサーボモータ521と、当該グリップユニットを前記ワイヤ軸線まわりに回転動作させる第2のサーボモータ531と、を有し、前記第1及び第2の各サーボモータが前記ホルダに取り付けられる。
【0007】
また、上記構成において、前記アーム部540は、その一端部541に形成されたネジ部分により前記成形テーブルに固定され、他端部542が前記成形テーブルから前方に片持ち梁状に延びる複数のロッドが鉛直方向に配列されて構成されており、前記ホルダは、前記第1及び第2のサーボモータを保持する複数の板材551,552で構成される。
【0008】
また、上記構成において、エアーを用いて前記一次成形されたスプリングを把持又は解放するように前記フィンガを動作させるエア駆動部510を更に備える。
【0009】
本発明は、ワイヤを送り出すワイヤフィーダ300と、前記ワイヤフィーダから送り出されたワイヤを成形テーブル上のスプリング成形空間に案内するワイヤガイド320と、前記成形テーブルに対して前記スプリング成形空間を中心に放射状に複数配置可能とされ、前記スプリング成形空間に向けてツールTA,TC,TDを出没可能に支持するツールユニット400A〜400Dと、前記ワイヤガイドの先端部に近接して対向配置され、前記スプリング成形空間において途中形状まで成形された切断前のスプリングの一部を把持するフィンガ511a,511bを有するグリップユニット500,510と、を備えるスプリング製造装置の制御方法であって、前記ワイヤガイドの先端部から送出されたワイヤを前記ツールによって途中形状まで成形する一次成形工程S1と、一次成形されたスプリングの一部を前記グリップユニットのフィンガによって把持するグリップ工程S2,S3と、前記フィンガにより把持された状態で前記一次成形されたスプリングから前記ワイヤガイドに延びるワイヤを切断する切断工程S4,S5と、切断後に前記フィンガに把持された一次成形されたスプリングを前記ツールによって最終形状にまで成形する二次成形工程S6〜S12と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複雑な形状のスプリングを、従来より少ないツールで簡単に成形することができ、生産性を高め且つコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0012】
[スプリング製造装置の全体構成(図1〜図4)]
図1は、本発明に係る実施形態のスプリング製造装置の正面図である。図2は、本発明に係る実施形態のスプリング製造装置の左側面図である。図3は、本発明に係る実施形態のスプリング成形テーブルの斜視図である。図4は、本発明に係る実施形態のスプリング成形テーブルであって二次成形グリップユニットを除いた状態の正面図である。
【0013】
図1乃至図4に示すように、本実施形態のスプリング製造装置100は、箱体状のベース101から垂直上方に立設される成形テーブル200と、この成形テーブル200の背面に配置されたワイヤフィーダ300と、この成形テーブル200の前面にワイヤ軸線を中心として放射状に配置される複数のツールユニット400A,400B,400C,400Dと、途中形状まで成形されたスプリングの一部を把持する二次成形グリップユニット500と、成形テーブル200からベース101の側方に配設されたコントロールユニット600とを備える。
【0014】
成形テーブル200は、円形部201と、この円形部201の下半円部分から下方に延びる延長部202とを備え、延長部202がベース101に取り付けられる。また、円形部201の中心部にはワイヤガイド320が配設され、このワイヤガイド320のワイヤ送出孔(ワイヤ軸線)を中心に放射状に複数のツールユニット400A〜400Dが配設されてスプリング成形空間を画定している。
【0015】
ワイヤフィーダ300は、スプリングとなるワイヤを供給する供給元(不図示)からワイヤを送り出す一対の対向するフィードローラ対310を複数対備え、このフィードローラ対310により押し出されるワイヤがワイヤガイド320によりスプリング成形空間に送出される。
【0016】
フィードローラ対310は、一対の向かい合うローラ対によりワイヤを挟圧した状態で、各ローラをワイヤ送出方向に回転させることによりワイヤガイド320に設けられたワイヤ送出孔321の先端部からワイヤを送出する。
【0017】
また、ワイヤガイド320は、不図示のサーボモータによりワイヤ送出孔321(ワイヤ軸線)を中心として正逆両方向に回転制御可能に構成されている。また、フィードローラ対310は、不図示のサーボモータによりワイヤ送出方向への回転が制御される。
【0018】
ツールユニット400A,400B,400C,400Dは、上記ワイヤガイド320のワイヤ送出孔321付近のスプリング成形空間に対して出没可能にスライド動作で各種加工ツールを移動可能に支持するスライドツールユニット400A,400Bと、上記スプリング成形空間に対して出没可能にスライド動作で切断ツールを移動可能に支持する切断ツールユニット400Cと、上記スライド動作に加えてツール軸まわりにツールを回転可能な回転ツールユニット400Dと、を備える。
【0019】
これらのツールユニット400A〜400Dは夫々成形テーブル200の円形部201に対して着脱可能に設けられ、全てのツールユニットを合計して最大8個まで成形テーブル200に取り付け可能である。
【0020】
スライドツールユニット400A,400Bには、ワイヤガイド320のワイヤ送出孔321からスプリング成形空間に送出されるワイヤを強制的に折曲、湾曲、捲回するツールがスライド可能に搭載される。
【0021】
切断ツールユニット400Cには、ワイヤガイド320のワイヤ送出孔321からスプリング成形空間に送出されるワイヤをワイヤガイド320と協働したせん断力により切断するツールがスライド可能に搭載される。
【0022】
回転ツールユニット400Dには、ワイヤガイド320のワイヤ送出孔321からスプリング成形空間に送出されるワイヤを強制的に捲回するツールがスライドと回転動作が可能に搭載される。
【0023】
各ツールユニット400A〜400Dに搭載されたツールのスライド動作は、全てのツールユニットに対して共通の駆動源となる成形テーブル200に配置された単一のリングギア210と、このリングギア210の回転力を各ツールユニット400A〜400Dに伝達するカムシャフトブロック220と、各ツールユニットに搭載されてカムシャフトブロック220により駆動されるカム401A〜401Dと、ツールを保持するスライダ402A〜402Dとによって実現される。また、回転ツールユニット400Dの回転動作は各ツールユニットに設けられたサーボモータ403Dにより実現される。
【0024】
なお、これらリングギア210とカムシャフトブロック220の詳細については、特開2004−122195号公報に記載されているので、ここでの説明は省略する。
【0025】
コントロールユニット600は、後述するような装置全体の動作を制御するコントローラ601と、このコントローラ601にパラメータなどを入力したり、動作の開始/停止などを指示するキーボードや各種スイッチ類からなる操作部602と、装置の動作状態などを表示するLCDなどからなる表示部603とを有する。
【0026】
[二次成形グリップユニット(図5〜図7)]
図5(a)〜(d)は、本実施形態のスプリング成形装置に搭載される二次成形グリップユニット、エアチャック、前後サーボユニット、回転サーボユニットの各斜視図である。図6(a)〜(c)は、図5(a)の平面図、左側面図、及び右側面図である。図7(a)、(b)は、図6(b)のi−i断面図、及び(a)のii−ii断面図である。
【0027】
図2と図5乃至図7に示すように、二次成形グリップユニット500は、ワイヤガイド320の先端部に近接して対向配置され、スプリング成形空間において途中形状まで一次成形された切断前のスプリングの一部を挟むように把持する一対のフィンガ511a,511bを有するエアチャック510と、エアチャック510をワイヤ軸線に沿って往復動作させる前後サーボユニット520と、エアチャック510をワイヤ軸線まわりに回転動作させる回転サーボユニット530と、成形テーブル上から前方に延設されて、その先端部に固定されるホルダ550を介してエアチャック510、前後サーボユニット520、回転サーボユニット530を保持するアーム部540と、を備える。
【0028】
図5(b)に示すエアチャック510は、フィンガ511a,511bと不図示のコンプレッサに接続されるコネクタ512を有するチャック本体513と、このチャック本体513を可動ロッド515にビス等を締結して固定するジョイント514と、を備える。チャック本体513は、不図示のコンプレッサからコネクタ512を介して導入されるエア圧を用いてフィンガ511a,511bを当接又は離間させることで一次成形されたスプリングを把持又は解放する。ジョイント514はブラケット516を介して可動ロッド515の一端部に固定される。ジョイント514とブラケット516には貫通穴が形成されており、ジョイント514とブラケット516とはこれら貫通穴に共通の棒部材517を挿通させ、互いの位置や姿勢を適宜調整した上でビス等で固定される。
【0029】
図5(c)に示す前後サーボユニット520は、サーボモータ521、サーボモータ512の駆動軸に固定された駆動プーリ522、タイミングベルト523を介して駆動プーリ522の回転力が伝達されて駆動される従動プーリ524と、を備える。
【0030】
図5(d)に示す回転サーボユニット530は、サーボモータ531、サーボモータ532の駆動軸に固定された駆動プーリ532、タイミングベルト533を介して駆動プーリ532の回転力が伝達されて駆動される従動プーリ534と、を備える。
【0031】
前後サーボユニット520と回転サーボユニット530とは、2枚の対向する板材551,552とケース体553とからなるホルダ550により保持される。
【0032】
ケース体553には、前後サーボユニット520を駆動源とした可動ロッド515のワイヤ軸線に沿った往復動作と、回転サーボユニット530を駆動源とした可動ロッド515のワイヤ軸線まわりの回転動作とを同時に行えるボールネジスプライン軸受560が内蔵されている。
【0033】
アーム部540は、その一端部541が成形テーブル200に固定され、他端部542が成形テーブル200から前方に片持ち梁状に延びる複数(2本)のロッドが鉛直方向に配列されて構成されている。アーム部540の他端部542は、上記2枚のホルダ550にビス等で締結されて固定されている。
【0034】
そして、コントロールユニット600が、上記エアチャック510(コンプレッサ)、前後サーボユニット520、回転サーボユニット530の各動作を制御することで、後述するように一次成形されたスプリングの把持又は解放動作、エアチャック510の前後方向及び回転動作が実行される。
【0035】
[コントロールユニットの構成(図8)]
図8は、本実施形態のスプリング製造装置のコントロールユニットの構成示すブロック図である。
【0036】
図8において、コントローラ601は、装置全体を統括制御するCPU611、CPU611のスプリング製造処理プログラム等を記憶しているプログラムメモリ(ROM)612、CPU611のワークエリアとして使用され、ROM612からダウンロードされる制御プログラムや位置データ等の記憶に用いられるRAM613を備える。
【0037】
コントローラ601は、ワイヤフィーダ300のフィードローラ駆動モータ、ワイヤガイド320を駆動するガイド駆動モータ、各ツールユニット400A〜400Dをスライド動作させるリングギア駆動モータ、回転ツールユニット400Dを回転駆動する回転ツール駆動モータ、エアチャック510を駆動するコンプレッサ、エアチャック510を前後方向に駆動する前後サーボモータ、エアチャック510を回転駆動する回転サーボモータの夫々を、上記スプリング製造処理プログラムに従って所定のタイミングで制御する。
【0038】
[スプリング製造方法(図4、図9、図10)]
次に、図4、図9、及び図10を参照して本実施形態のスプリング成形装置によるスプリング製造手順について説明する。
【0039】
図9及び図10は、本実施形態のスプリング成形装置によりダブルトーションスプリングを製造する手順を例示する図である。なお、図9及び図10では、図4の矢視方向から見たスプリング成形空間に対応して各構成要素が示されている。
【0040】
また、以下の各ステップは、コントローラ601のCPU611がROM612に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0041】
S1(一次成形):先ず、ワイヤフィーダ300により順次送り出されるワイヤをスライドツールTAとワイヤガイド320とに当接させることにより、ワイヤを強制的に巻回させてコイル部分を成形する。
【0042】
S2,S3(グリップ):次に、エアチャック510を前方に移動させてワイヤガイド320の先端部に近接させ、フィンガ511a,511bにより上記第1のコイル部分C1を把持する。
【0043】
S4(ワイヤの送り出し):次に、フィンガ511a,511bにより上記第1のコイル部分C1を把持した状態で、エアチャック510を後方に移動させて二次成形用のワイヤを所定長さだけ送り出す。このとき、エアチャックの後方への移動速度とワイヤのフィード速度とが同期するように制御される。
【0044】
S5(切断):次に、フィンガ511a,511bにより上記第1のコイル部分C1を把持した状態で、ワイヤガイド320を所定角度回転させると共に、切断ツールTCをスライドさせてワイヤガイド320と協働でワイヤを切断する。
【0045】
S6,S7(二次成形(巻き付け)):次に、フィンガ511a,511bにより上記第1のコイル部分C1を把持した状態で、ワイヤガイド320を所定角度回転させると共に、回転ツールTDをスライドさせて上記切断したワイヤ端部に係止させる。その後、エアチャック510を前方へ移動させると共に、回転ツールTDを回転させてS4で引き出したワイヤをツール軸に巻回させて第2のコイル部分C2を成形する。このとき、エアチャックの前方への移動速度と回転ツールTDの回転によるワイヤの巻回速度とが同期するように制御される。
【0046】
S8,S9(二次成形(ワイヤ回転)):次に、フィンガ511a,511bにより上記第1のコイル部分C1を把持した状態で、回転ツールTDを第2のコイル部分C2から退避させた後、エアチャック510を右に90°回転させる。
【0047】
S10〜S12(二次成形(ワイヤ折り曲げ)):次に、フィンガ511a,511bにより上記第1のコイル部分C1を把持した状態で、再度回転ツールTDをスライドさせて上記第1及び第2のコイル部分C1、C2間のワイヤに係止させる(S10)。次に、回転ツールTDを90°回転させて第2のコイル部分C2側のワイヤを直角に折り曲げる(S11)。その後、回転ツールTDを逆に90°回転させてS10の係止位置に戻すと共に、エアチャック510を所定距離だけ前方へ移動させ、回転ツールTDを再度90°回転させることにより第1のコイル部分C1側のワイヤを直角に折り曲げて最終形状に成形し、両端に互いに対向する第1及び第2のコイル部分C1、C2を持つダブルトーションスプリングが完成する。
【0048】
[従来のスプリング製造方法(図11及び図12)]
次に、図11及び図12を参照して従来のスプリング成形装置によるスプリング製造手順について説明する。
【0049】
図11は、従来のスプリング成形装置の正面図、図12は従来のスプリング製造装置によりダブルトーションスプリングを製造する手順を例示する図である。なお、図12では、図11の矢視方向から見たスプリング成形空間に対応して各構成要素が示されている。
【0050】
S21(一次成形(コイリング)):先ず、ワイヤを順次送り出しながらスライドツールTEとワイヤガイド320’とに当接させることにより、ワイヤを強制的に巻回させて第1のコイル部分C1を成形する。
【0051】
S22,S23(予備の曲げ加工):次に、ワイヤを所定距離送り出した後、両側から折り曲げツールTF,TGを前方に移動させてワイヤの中央部付近を30°程度折り曲げる。これは、次の工程で第1のコイル部分C1がワイヤガイドやツールと干渉しないようにするためである。
【0052】
S24(二次成形(コイリング)):次に、S1と同様に、ワイヤを順次送り出しながらスライドツールTEとワイヤガイド320’とに当接させることにより、ワイヤを強制的に巻回させて第2のコイル部分C2を成形する。
【0053】
S25〜S27(二次成形(折り曲げ)):次に、上記ワイヤの予備折り曲げ部分近傍にツールTHの溝部を係止させた状態で、折り曲げツールTIにより第1のコイル部分C1側のワイヤを直角に折り曲げる(S26)。次に、ワイヤを所定距離送り出した後、同様に折り曲げツールTIにより第2のコイル部分C2側のワイヤを直角に折り曲げる(S27)。
【0054】
S28(二次成形(曲げ)):次に、第2のコイル部分C2にスライドツールTEとワイヤガイド320’とに当接させることにより、第1及び第2の各コイル部分C1、C2の切断片の角度を揃える。
【0055】
S29(切断):最後に、切断ツールTCによりワイヤを切断し、両端に互いに対向する第1及び第2のコイル部分C1、C2を持つダブルトーションスプリングが完成する。
【0056】
上記実施形態によれば、途中形状まで成形されたスプリングの一次成形部分をエアチャックにより把持できるので、ワイヤを切断した後に未加工のワイヤ部分に対して同一の装置で更に加工を行い(二次成形)、最終形状に成形することができる。
【0057】
このため、複雑な形状のダブルトーションスプリングを成形する場合等には、従来は図11及び図12で説明したように多数(TC,TE,TF,TG,TH,TIの5種類)のツールを精密且つ複雑に動作(例えば、S22〜S23での予備加工等)させる必要があるのに対して、本実施形態では図9及び図10で説明したように少数(TA,TC,TDの3種類)のツールを動作させるだけで良く、更に、従来のように専用のツール(例えば、TH)が不要となり、複雑な形状のスプリングを従来より少ないツールで簡単に成形することができ、生産性の向上を実現する。
【0058】
また、使用するツール数が少なくなるため、ツールを駆動するためのサーボモータ数も少なくなり、装置の加工能力は高めつつ装置コストや生産コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る実施形態のスプリング製造装置の正面図である。
【図2】本発明に係る実施形態のスプリング製造装置の左側面図である。
【図3】本発明に係る実施形態のスプリング成形テーブルの斜視図である。
【図4】本発明に係る実施形態のスプリング成形テーブルであって二次成形グリップユニットを除いた状態の正面図である。
【図5】本実施形態のスプリング成形装置に搭載される二次成形グリップユニット(a)、エアチャック(b)、前後サーボユニット(c)、回転サーボユニット(d)の各斜視図である。
【図6】図5(a)の平面図(a)、左側面図(b)、及び右側面図(c)である。
【図7】図6(b)のi−i断面図(a)、(a)のii−ii断面図(b)である。
【図8】本実施形態のスプリング製造装置のコントロールユニットの構成示すブロック図である。
【図9】本実施形態のスプリング成形装置によりダブルトーションスプリングを製造する手順を例示する図である。
【図10】本実施形態のスプリング成形装置によりダブルトーションスプリングを製造する手順を例示する図である。
【図11】従来のスプリング成形装置の正面図である。
【図12】従来のスプリング製造装置によりダブルトーションスプリングを製造する手順を例示する図である。
【符号の説明】
【0060】
100 スプリング製造装置
101 ベース
200 成形テーブル
300 ワイヤフィーダ
310 フィードローラ対
320 ワイヤガイド
400A〜400D ツールユニット
500 二次成形グリップユニット
510 エアチャック
520 前後サーボユニット
530 回転サーボユニット
540 アーム部
600 コントロールユニット
【出願人】 【識別番号】392020026
【氏名又は名称】株式会社板屋製作所
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳

【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎

【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘

【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二


【公開番号】 特開2008−30058(P2008−30058A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−203670(P2006−203670)