Warning: copy(htaccessbak): failed to open stream: No such file or directory in /home/jtokkyo/public_html/header.php on line 10
撚回状ビードワイヤの製造装置 - 特開2008−18433 | j-tokkyo
トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 撚回状ビードワイヤの製造装置
【発明者】 【氏名】丹羽 友道

【要約】 【課題】鋼線を環状芯金に一様な螺旋状に絡み付けることができると共に、その撚回状ビードワイヤの生産効率を向上し得る撚回状ビードワイヤの製造装置を提案する。

【構成】環状芯金2を横切るように配設された回転円盤40に、リール支持部材32を遊転可能に支持すると共に、環状芯金2の内側と外側とに、リール支持部材32を環状芯金2の内外に案内する案内シャフト60a,60bが夫々配設されてなり、回転円盤40の回動に従って、リール支持部材32の上下方向への変位に伴って案内シャフト60a,60bが昇降することにより、リール31を、リール軸線を転倒させることなく、環状芯金2の内外に公転させるリール公転装置30を備える製造装置10とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環形の環状芯金を、その周方向に沿って回動させる芯金回動装置を備えると共に、
環状芯金を挿通する挿通孔が中央に形成され、環状芯金を横切るように配設された回転円盤と、
回転円盤を回動させる円盤駆動手段と、
回転円盤の盤面に遊転可能に支持されたリール支持部材と、
リール支持部材に自転可能に支持され、環状芯金に巻き取られる鋼線が巻回された、環状芯金の円環径に比して小径のリールと、
リール支持部材が配された回転円盤の盤面側の、環状芯金の内側と外側とに、環状芯金が通過可能な間隔を置いて環状芯金の径方向に沿って同軸状に配設され、リール支持部材を、環状芯金の径方向に沿って環状芯金の内外に案内する二本の案内シャフトと、
二本の案内シャフトを同期して回転円盤の盤面と略平行に昇降移動させるシャフト昇降手段とを具備し、
回転円盤の回動に伴って回転するリール支持部材の上下方向への変位に伴って、案内シャフトを昇降移動させるようにして、リールを、そのリール軸線が環状芯金に対して転倒しないように公転させるリール公転装置を備えてなり、
芯金回動装置により環状芯金を回転させながら、リール公転装置によりリールを公転させることによって、リールに巻回された鋼線を環状芯金に螺旋状に絡み付けるようにしたものであることを特徴とする撚回状ビードワイヤの製造装置。
【請求項2】
シャフト昇降装置の案内シャフトが丸棒形であると共に、該案内シャフトを支軸として、リールをリール支持部材に遊転可能に軸支するようにしたものであることを特徴とする請求項1に記載の撚回状ビードワイヤの製造装置。
【請求項3】
回転円盤が、その径方向に沿った長孔からなる遊動孔を備えると共に、リール支持部材を回転円盤に遊転可能に支持する遊転軸が、前記遊動孔に従って移動可能とするように支持されてなるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撚回状ビードワイヤの製造装置。
【請求項4】
回転円盤が、その外周縁から中央に設けられた挿通孔に至るスリットを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の撚回状ビードワイヤの製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、バイク、又は航空機等のタイヤのビード部に埋設され、該タイヤとホイールとの接合力を高める撚回状ビードワイヤの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤのビード部に埋設されるビードワイヤは、タイヤをホイールに装着した場合に、ホイールを周方向に締付けることにより、タイヤとホイールとの接合力を高めることができるため、優れた走行安定性を発揮するために必要なものである。このようなビードワイヤとして、図1のように、円環形の環状芯金に、鋼線を螺旋状に巻き付けた撚回状の構成のものが存在する。
【0003】
上記した撚回状ビードワイヤを製造する製造装置としては、例えば、特許文献1に、鋼線を巻き付けたリールを、環状芯金の内外で公転させるようにしたものが開示されている。この製造装置では、リールがスプールにより支持され、このスプールを回転させることにより、リールを公転させるようになっている。この製造装置によれば、リールを、回転する環状芯金の内外に公転させることによって、鋼線を環状芯金に螺旋状に巻き付けることができる。
【0004】
また、撚回状ビードワイヤの製造装置として、例えば、特許文献2に、鋼線を巻き付けたリールを、環状芯金を横断する面に対して平行に環状芯金の外側から内側へ向かって移動させ、環状芯金の輪の中を通して環状芯金の反対側に直角に移動させ、環状芯金を横断する面と平行に環状芯金の内側から外側へ移動させ、環状芯金の反対側から始点位置に直角に移動させて戻すようにしたものが提案されている。かかる製造装置は、リールを、いわゆる細長いボックス型の軌跡に沿って移動させるようにしたことにより、リールが環状芯金を横断する面とほぼ平行を保ったまま移動することから、鋼線を環状芯金に巻き付ける時に、鋼線の断面を捻り回すこともなく、鋼線に無用な力が作用することを抑止できる。したがって、この製造装置によれば、鋼線を環状芯金に螺旋状に巻き付け易く、かつ鋼線を所望の配列状態に揃え易いことから、所望の撚回状ビードワイヤを適正に得ることができる。尚、この製造装置としては、リールを、環状芯金を横断する面に対して直角に移動させる場合に、環状芯金の両側で受け渡す機構を備えたものとなっている。
【特許文献1】特開2001−47169号公報
【特許文献2】特開2005−342746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、環状芯金に巻き付ける鋼線としては、一般的に、比較的高い剛性と強力とを有するものが用いられる。このような鋼線を環状芯金に巻き付ける過程で、鋼線を変形させるような力が作用すると、その力に反発する力が生じる。このため、鋼線を環状芯金に巻き付け難くなり、螺旋状に巻き付けられる配列状態に乱れが生じることとなってしまう。
【0006】
上述した特許文献1の撚回状ビードワイヤの製造装置にあっては、リールがスプールに支持されている形態が説明されていないが、普通に考えれば、リールがスプールに固定的に支持されている構成であると言える。この構成では、スプールの回転に伴って、リールが、そのリール軸線を回転するように公転する。これはすなわち、リールが、そのリール軸線を環状芯金の中心軸線に対して転倒するように公転することである。このように公転すると、リールから巻き出された鋼線は、その断面を捻り回しながら、環状芯金に巻き付いていくこととなるため、鋼線に比較的大きなねじり力が作用する。このねじり力は、鋼線に残留応力として蓄積され、鋼線を巻き付けた形態から反発させるように働くこととなるから、鋼線が環状芯金に巻き付け難くなると共に、鋼線の配列が乱れたり鋼線が環状芯金から浮く等の成形不具合を生じる。また、スプールを回動させるために、鋼線を捻り回すための力を必要とすることとなるため、リールの公転に大きな回動力を要し、製造コストの向上や生産性の低下等の問題を生じる。
【0007】
一方、上述した特許文献2の撚回状ビードワイヤの製造装置にあっては、リールを細長いボックス型の軌跡に沿って移動していることから、リールが、そのリール軸線を常にほぼ一定に保持したまま移動する。すなわち、リール軸線が環状芯金の中心軸線に対して転倒しないのである。このため、かかる製造装置は、上記した特許文献1のように鋼線を捻り回すことがないから、鋼線を環状芯金に螺旋状に巻き付け易いという良好な巻き付け性と、鋼線が螺旋状に整列して環状芯金の表面からの浮きも抑制できるという良好な成形性とを発揮し得るものである。ところが、この製造装置は、上述したように、細長いボックス型の軌跡に沿って移動させるために、リールを環状芯金の両側で受け渡す機構を備えているものであるから、リールを、環状芯金を横断する面に対して平行移動させる作動と、リールを受け渡す作動との二つの作動を要する。そのため、前記二作動の変換点で、リールは非連続的な移動する。環状芯金はほぼ一定速度で回転することから、リールの移動が非連続となるところで、鋼線が環状芯金に巻き付く巻き付け角が、比較的急激に変化することとなってしまう。このような巻き付け角の変化は定期的に生じるため、鋼線は、環状芯金の周方向で一様な螺旋状に巻き付くこととなっていないのである。そして、巻き付け角が変化すれば、この変化に伴う力が鋼線に作用することとなり、これに反発する力によって鋼線の配列に乱れが生じ易くなる。さらに、巻き付け角の変化に従って、製品としての撚り角(環状芯金の長手方向に対する鋼線の傾斜角)も変化するため、撚回状ビードワイヤは、その周方向に沿って均一なものとならず、上記したタイヤとホイールの接合性を高める作用が充分に発揮し得ないものとなっている。また、リールを平行移動させる作動と受け渡す作動との二作動を有する構成では、各作動の変換に時間を要することとなり、総じてビードワイヤの製造時間が長くなり、生産効率が悪いという問題もあった。
【0008】
本発明は、優れた巻き付け性と成形性を発揮して、鋼線を環状芯金に一様な螺旋状に巻き付けることができると共に、生産効率を向上し得る撚回状ビードワイヤの製造装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の撚回状ビードワイヤの製造装置は、円環形の環状芯金を、その周方向に沿って回動させる芯金回動装置を備えると共に、環状芯金を挿通する挿通孔が中央に形成され、環状芯金を横切るように配設された回転円盤と、回転円盤を回動させる円盤駆動手段と、回転円盤の盤面に遊転可能に支持されたリール支持部材と、リール支持部材に自転可能に支持され、環状芯金に巻き取られる鋼線が巻回された、環状芯金の円環径に比して小径のリールと、リール支持部材が配された回転円盤の盤面側の、環状芯金の内側と外側とに、環状芯金が通過可能な間隔を置いて環状芯金の径方向に沿って同軸状に配設され、リール支持部材を、環状芯金の径方向に沿って環状芯金の内外に案内する二本の案内シャフトと、二本の案内シャフトを同期して回転円盤の盤面と略平行に昇降移動させるシャフト昇降手段とを具備し、回転円盤の回動に伴って回転するリール支持部材の上下方向への変位に伴って、案内シャフトを昇降移動させるようにして、リールを、そのリール軸線が環状芯金に対して転倒しないように公転させるリール公転装置を備えてなり、芯金回動装置により環状芯金を回転させながら、リール公転装置によりリールを公転させることによって、リールに巻回された鋼線を環状芯金に螺旋状に絡み付けるようにしたものである。
【0010】
ここで、二本の案内シャフトは、環状芯金の径方向に沿って同軸状に配された状態で、回転円盤の盤面と略平行に昇降移動するものであるから、リール支持部材を、その上下方向への変位に伴って、環状芯金の内側と外側とに比較的円滑に案内できるようになっている。そして、二本の案内シャフトが、所定の間隙を隔てていることから、環状芯金の上下に昇降移動する時に、この間隙を環状芯金が通過できるようにしているのである。
【0011】
かかる構成にあって、リール公転装置は、リール支持部材を、回転円盤に対して遊転可能とし、かつ、回転円盤の盤面と略平行に昇降する二本の案内シャフトにより環状芯金の径方向に沿って案内させるようにしたものであるから、回転円盤の回動に従って、リール支持部材は所定方向に向いた状態で維持されたまま、環状芯金の内外に公転することとなる。これにより、リール支持部材に支持されているリールを、そのリール軸線が環状芯金の中心軸線に対して転倒することなく、環状芯金の内外で公転させることができる。したがって、リールから環状芯金に巻き取られる鋼線に、その断面を捻り回すようなねじり力が作用せず、鋼線を巻き付け易く、かつ良好な成形性を得られる。
【0012】
さらに、リール公転装置にあっては、リールを、回転円盤の回動に従って公転させるようにしたものであるから、リールが連続的に回転する。これにより、上述した従来の、リールを平行移動させる作動と受け渡す作動とを行う構成のように、その作動変換に伴って生じる鋼線を変形させる力が発生しない。そのため、本発明の構成では、鋼線を環状芯金に一様な螺旋状に整然と配列するように巻き付けることができる。このように成形された撚回状ビードワイヤは、その周方向でほぼ均一な剛性及び強力を発揮するものとなり得る。したがって、本構成の製造装置によれば、上述した従来構成の製造装置で成形した製品に対して、タイヤとホイールとの接合力を高めることができ、優れた走行安定性を発揮し得る撚回状ビードワイヤを製造することができる。
【0013】
そして、リールを回転円盤の回動により公転させることは、上述した従来の、リールを平行移動させる作動と受け渡す作動とを行う構成で生じる、作動の変換に伴う時間ロスがない。すなわち、ほぼ一定の作動速度でリールを公転させることができるものである。このため、本発明の製造装置は、この従来構成に比して、撚回状ビードワイヤの生産効率を向上させることができる。尚、リールの公転速度は、回転円盤の回転速度と同じであるから、該回転速度を高速化することにより、比較的容易に生産効率をさらに高めることが可能である。
【0014】
本発明のリール公転装置にあって、リールが支持されるリール支持部材の構成として、リールがそのリール軸線に対して遊転可能に支持される構成や、自転に所定の負荷が掛かるようにした構成等とすることができる。
【0015】
また、リール公転装置にあって、円盤駆動装置としては、モータ等の駆動源と、その駆動を回転円盤に伝達する伝達機構を備える構成が好適に用いられる。ここで、伝達機構が、回転円盤の回動時に、環状芯金と接触しないようにすることが必要である。このような円盤駆動装置として、例えば、回転円盤を歯車として構成し、この回転円盤に、モータ等の駆動源により回動する駆動歯車を噛み合わせることにより、回転円盤を回動することができるようにしたものが、好ましい。
【0016】
また、シャフト昇降手段としては、上述したように、環状芯金の内側と外側とに夫々に配した二本の案内シャフトを、同軸状とした状態に保持したまま、回転円盤の盤面と略平行に昇降移動するようにしたものであることを要する。ここで、シャフト昇降手段は、案内シャフトを可及的に自由に昇降移動できるようにした構成が好ましい。これにより、案内シャフトが、回転するリール支持部材の変位に伴って、円滑に昇降移動できることとなり、リール支持部材の変位を妨げる力が作用することを抑止でき、リールを可及的に連続かつ円滑に公転させることができ得る。このような構成として、例えば、昇降方向に沿って配設されたシリンダ形の円筒体に、二本の案内シャフトを配設したピストン形の支持杆を、摺動可能に遊嵌した構成とすることができる。
【0017】
さらにまた、本発明にあっては、リールの公転半径をできるだけ小さくすることが好ましい。ここで、鋼線は、環状芯金の長手方向に対して傾斜して、環状芯金に巻き付いていく。この鋼線が環状芯金に巻き付く巻き付け角は、リールの公転半径が小さくなるに従って小さくなるのである。また、環状芯金は、その周方向に回転していることから、環状芯金に螺旋状に巻き付いた後の、環状芯金の長手方向に対する鋼線の傾斜角(いわゆる、撚り角)は、前記巻き付け角に対して小さくなっている。この巻き付け角と撚り角との差が大きいと、巻き付け時に鋼線を環状芯金の長手方向に向けようとする曲げ力が生じ、この曲げ力が鋼線に作用することとなってしまう。そのため、巻き付け角を小さくすることにより、撚り角との差が小さくなり、前記した曲げ力の発生を抑止できることから、鋼線を一層巻き付け易く、かつ一様な螺旋状の配列となる成形性をさらに向上させることができ得る。
【0018】
上述した撚回状ビードワイヤの製造装置にあって、シャフト昇降装置の案内シャフトが丸棒形であると共に、該案内シャフトを支軸として、リールをリール支持部材に遊転可能に軸支するようにしたものである構成が提案される。
【0019】
リールが環状芯金の内外を公転する場合について詳細に検討すると、リールと環状芯金とが同一平面上に存在する場合には、環状芯金の周方向とリールに巻回された鋼線の巻回方向とがほぼ同じ平面上となるため、比較的円滑に絡み付き易い。ところが、リールが環状芯金の上下方向に位置する場合には、両者が位置する高低差に基づく巻き付け角が生ずることとなる。この上下方向の巻き付け角により、鋼線を曲げ変形しようする力が生じてしまうのである。
【0020】
かかる構成にあっては、上記した、上下方向の巻き付け角を小さくすることができるように、所定方向に向いた状態で維持されたまま回動するリール支持部材に対して、リールを、環状芯金の径方向に沿った案内シャフトの両側方に揺動可能としたものである。
【0021】
ここで、環状芯金は、その回転により鋼線を巻き取っていくから、鋼線をリールから引っ張り出している。すなわち、リールは、環状芯金の回転方向に鋼線を介して引っ張られているのである。そして、この環状芯金から作用する引張力により、リールは、環状芯金の上方に在る場合には、環状芯金に巻き取られる側へ下方傾斜し、また、環状芯金の下方に在る場合には、環状芯金に巻き取られる側へ上方傾斜する。尚、リールは、環状芯金と同じ平面上に在る場合には、同じ平面に沿うこととなる。
【0022】
このように、リールが、環状芯金から作用する引張力に従って、環状芯金に鋼線が巻き付く側に傾斜することにより、環状芯金の上方又は下方にリールが在る場合に、上下方向の、鋼線の巻き付け角を小さくすることができる。したがって、本構成にあっては、鋼線の巻き付け時に、該鋼線を変形する力が生じることを抑制できるため、鋼線を環状芯金に、一層巻き付け易くなり、成形性も向上する。さらに、リールの公転中における、巻き付け角の変動幅を小さくすることもできることから、鋼線を安定的に巻き付けることができ得る。
【0023】
上述した撚回状ビードワイヤの製造装置にあって、回転円盤が、その径方向に沿った長孔からなる遊動孔を備えると共に、リール支持部材を回転円盤に遊転可能に支持する遊転軸が、前記遊動孔に従って移動可能とするように支持されてなるものである構成が提案される。
【0024】
かかる構成にあっては、鋼線を環状芯金に巻き付ける時に、鋼線に作用する力を、リール支持部材が遊動孔に従って摺動することにより、緩和できるようにしたものである。これにより、鋼線に無用な力が作用することを抑制でき、鋼線の巻き付け性を良好に保つことができると共に、鋼線を螺旋状に巻き付けるという成形性を良好に保つことができ得る。したがって、鋼線を一様な螺旋状に巻き付ける、上述した本発明の作用効果が一層高まる。
【0025】
上述した撚回状ビードワイヤの製造装置にあって、回転円盤が、その外周縁から中央に設けられた挿通孔に至るスリットを備えている構成が提案される。
【0026】
かかる構成は、撚回状ビードワイヤを製造する場合に、円環形の環状芯金を、スリットを通して、芯金回動装置の所定位置に配置できるようにしたものである。そして、成形した撚回状ビードワイヤを、このスリットから取り出すことができる。これにより、環状芯金のセット作業と、撚回状ビードワイヤの取出し作業を容易に行うことができるため、これら作業の作業性が向上し、総じて生産効率が向上する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の撚回状ビードワイヤの製造装置は、環状芯金を横切るように配設された回転円盤に、リール支持部材を遊転可能に支持すると共に、リール支持部材を環状芯金の内外に案内する案内シャフトが、環状芯金の内側と外側とに配設されてなり、回転円盤の回動に従って回転するリール支持部材の上下方向の変位に伴って、案内シャフトが昇降移動することにより、リール支持部材に自転可能に支持されたリールを、環状芯金の内外に公転させるリール公転装置を備えるものであるから、このリールは、リール軸線が環状芯金の中心軸線に対して転倒することなく、環状芯金の内外で公転することとなるため、リールから環状芯金に巻き取られる鋼線に、その断面を捻り回すようなねじり力が作用せず、鋼線を巻き付け易く、かつ良好な成形性を得られる。また、リールは、回転円盤の回動に従って連続的に公転するため、鋼線を環状芯金に一様な螺旋状に整列させることができ得る。さらに、リールを、ほぼ一定の作動速度で公転させることができるため、公転速度の高速化を容易に実施可能であり、上述した従来の、リールを受け渡す構成に比して、撚回状ビードワイヤの生産効率を向上させることができ得る。
【0028】
上述した撚回状ビードワイヤの製造装置にあって、シャフト昇降装置の案内シャフトが丸棒形であると共に、該案内シャフトを支軸として、リールをリール支持部材に遊転可能に軸支するようにした構成は、リールが、環状芯金から作用する引張力に従って揺動可能となるから、上下方向の、鋼線の巻き付け角を小さくすることができると共に、巻き付け角の変動幅を小さくすることができるため、鋼線を環状芯金に、一層巻き付け易くなり、かつ成形性をさらに高め得る。
【0029】
上述した撚回状ビードワイヤの製造装置にあって、回転円盤が、その径方向に沿った長孔からなる遊動孔を備えると共に、リール支持部材を回転円盤に遊転可能に支持する遊転軸が、前記遊動孔に従って移動可能とするように支持されてなる構成は、リールの公転時に鋼線に作用する力を、リール支持部材の遊動により緩和できるから、鋼線の巻き付け性と成形性とを良好に保持でき、鋼線を一様な螺旋状に巻き付けるという本発明の作用効果を一層高め得る。
【0030】
上述した撚回状ビードワイヤの製造装置にあって、回転円盤が、その外周縁から中央に設けられた挿通孔に至るスリットを備えている構成では、環状芯金をセットし易く、成形した撚回状ビードワイヤを取り出し易くなるため、生産効率の向上につながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施例を添付図面を用いて説明する。
図1に、円環形の環状芯金2に、鋼線3を螺旋状に絡み付けてなる撚回状ビードワイヤ1を示す。この撚回状ビードワイヤ1は、環状芯金2に鋼線3が螺旋状に複数周回絡み付けられてなるものであり、環状芯金2の縦断面を囲繞するように、環状芯金2の表面上に鋼線3が並んで配列されている。このように環状芯金2は鋼線3により被覆されている。尚、環状芯金2の長手方向に対する鋼線3の傾斜角が、鋼線3の撚り角である。
【0032】
上記した撚回状ビードワイヤ1を製造する製造装置10は、図2〜4にように、環状芯金2を回動させる芯金回動装置20と、鋼線3が巻回されたリール31を、環状芯金2の内外に公転させるリール公転装置30とを備えてなる。ここで、芯金回動装置20と、リール公転装置30とは、床面に固定される架台11に配設されている。
【0033】
芯金回動装置20にあっては、環状芯金2を水平方向に支持し、その周方向に所定回転速度で回動させるものである。環状芯金2を水平方向に支持する構成として、上記した架台11上に、水平方向に沿ってテーブル21が設けられており、このテーブル21上に、二本の円弧状の芯金案内レール22a,22bが設置されている。二本の芯金案内レール22a,22bは、環状芯金2を摺動可能に収納する摺動溝23a,23bを夫々備えており、この摺動溝23a,23bが環状芯金2と同心状となるように、テーブル21に配設されている。そして、この芯金案内レール22a,22bの摺動溝23a,23bに、環状芯金2を配置することにより、該環状芯金2が水平方向に支持された状態となる。尚、テーブル21は、その四隅で脚柱29により架台11に固定されており、また、芯金案内レール22a,22bは、図示しない固定脚によりテーブル21上に固定されている。
【0034】
また、環状芯金2を回動させる構成として、上記したテーブル21上に回動ローラ26と支持ローラ27とが配設されており、回動ローラ26を回動する駆動モータ25が架台11に配設されている。ここで、回動ローラ26と支持ローラ27は、芯金案内レール22a,22b間に配設されており、環状芯金2の、芯金案内レール22a,22bに支持されていない部分を、その内外から挟圧し、回動ローラ26の回動に従って環状芯金2を周方向に回動させるものである。この回動ローラ26は、駆動モータ25の駆動軸(図示省略)に、駆動伝達シャフト28を介して連結されており、駆動モータ25の駆動に従って回動するようになっている。また、支持ローラ27は、遊転可能にテーブル21上に配設されており、回動ローラ26と共に環状芯金2を挟圧して、回動ローラ26の回動に伴って回転するようになっている。
【0035】
一方、上記したリール公転装置30にあっては、鋼線3が巻回されたリール31を、上記した芯金案内レール22a,22bに支持された環状芯金2の内外に公転させるようにしたものである。このリール公転装置30は、リール31がリール支持部材32を介して支持された回転円盤40と、リール支持部材32を環状芯金2の内外に案内させる案内シャフト60a,60bとを備えている。ここで、回転円盤40には、その中央に、芯金案内レール22a,22bに支持された環状芯金2を挿通する挿通孔41が形成されていると共に、この挿通孔41を外周縁から開口するスリット42が形成されている。そして、回転円盤40は、芯金案内レール22a,22b間で、芯金案内レール22a,22bに支持された環状芯金2を横切るようにして垂直方向に沿って配設されており、環状芯金2が挿通孔41内を通って回転円盤40を板厚方向に貫通している。ここで、回転円盤40の盤面方向は、後述する案内シャフト60a,60bが配された環状芯金2の径方向と平行に配されているのである。尚、上記した二本の芯金案内レール22a,22b間には、環状芯金2を直接支持しない二領域が存在し、この二領域の一方に、上記した回動ローラ26及び支持ローラ27が配設されており、他方に回転円盤40が配設されている。
【0036】
上記した回転円盤40は、その外周縁に連続的に歯(ギア)が設けられた歯車となっている。そして、回転円盤40の下方に、主駆動歯車46が噛み合わされて設けられている。この主駆動歯車46は、駆動モータ45の駆動軸(図示省略)に連結されており、駆動モータ45の回転駆動を回転円盤40に伝達して、回転円盤40をその周方向に沿って回動させるものである。また、主駆動歯車46と同形状の副駆動歯車47,47が、回転円盤40の周方向に沿って並設されており、夫々に回転円盤40と噛み合わされている。そして、主駆動歯車46、副駆動歯車47,47の各間には、伝達歯車48,48が配設されており、主駆動歯車46と副駆動歯車47,47とが同じ回転方向に同速度で回動するようになっている。すなわち、回転円盤40は、主駆動歯車46と副駆動歯車47,47とにより、安定的に回動するようになっている。そして、回転円盤40のスリット42が主駆動歯車46に対向した場合にも、副駆動歯車47,47により回転円盤40を安定して回動できるようにしている。
【0037】
また、回転円盤40の上方には、回転円盤40を支持する上部支持ブロック49が配設されている。この回転円盤40は、上記した主駆動歯車46及び副駆動歯車47,47、上部支持ブロック49により上下で支持されており、垂直方向に沿って保持されている。このように、回転円盤40が、その回動中に、横振れを生じないようにしている。尚、上部支持ブロック49は、架台11上に起立して固定されている支持板50に設けられている。
【0038】
上記したように、回転円盤40は、そのほぼ中心を回転中心(以下、中心軸線)として、その周方向に沿って回動する。この回転円盤40の一側の盤面には、リール支持部材32が遊転可能に支持されている。このリール支持部材32の支持位置は、回転円盤40が回動した時に、該リール支持部材32に支持されたリール31が環状芯金2に接触することなく、該環状芯金2の内外を公転可能であるように、回転円盤40の中心から所定距離だけ離れた位置となっている。尚、本実施例にあっては、回転円盤40の中心からの距離を、できるだけ短くするように設定している。
【0039】
このリール支持部材32は、略U形状を成し、回転円盤40の盤面から突出するように設けられている。そして、その一端が回転円盤40に遊転軸34により軸支されており、その他端でリール31を支持している(図5〜7参照)。ここで、リール支持部材32は、リール31が回転円盤40に軸支された位置に対向する位置となるように、略U形状の寸法形状を設定している。これにより、回転円盤40の回動に伴って、リール31も、回転円盤40の中心軸線の回りを、一定の回転半径で公転することとしている。
【0040】
リール31は、鋼線3が巻回されるスプール形の巻回滑車35と、該巻回滑車35を遊転可能とする自転軸36とを備えてなる。ここで、リール31の巻回滑車35の外径は、環状芯金2の環径比して小径としており、装置構造に基づいて環状芯金2の環径に対して約0.3倍〜0.8倍の径寸法としている。また、自転軸36は、その回りを巻回滑車35が遊転するものであるから、リール軸線と同義である。
【0041】
上記のリール31は、その自転軸36が巻回滑車35から下方へ突出しており、自転軸36の下部が、前記したリール支持部材32の他端に、円筒形の軸受け管(図示省略)により軸支されている。この軸受け管は、回転円盤40の盤面と平行とし、かつリール31の巻回滑車35と平行とするように設けられている。このように、リール31は、リール支持部材32に、自転可能に支持されていると共に、軸受け管に対して遊転可能に支持されている。尚、この軸受け管には、後述する案内シャフト60a,60bが遊嵌される。
【0042】
また、回転円盤40の、リール支持部材32と同じ側には、上記した芯金案内レール22a,22bに支持された環状芯金2の内側と外側とに、回転円盤40と平行に上下方向に移動可能なシャフト支持柱61a,61bが設けられている。ここで、各シャフト支持柱61a,61bは、回転円盤40の盤面から等距離にあり、かつ、回転円盤40の中心軸線に対して、リール支持部材32の回転半径よりも外側となる位置に設けられている。すなわち、シャフト支持柱61a,61b間の距離は、リール支持部材32の回転する直径よりも広くなっている。
【0043】
このようなシャフト支持柱61a,61bは、架台11に夫々配設されたシリンダ62,62に上下方向に摺動自在に遊嵌されている。そして、シリンダ62,62の下方に突出して、シャフト支持柱61a,61bの下端が連結されている。すなわち、シャフト支持柱61a,61bは、一体的に移動するようになっている。また、このシャフト支持柱61a,61bの上端部には、案内シャフト60a,60bが、互いに同軸状となるように、夫々に片持ち梁状に設けられている。ここで、二本の案内シャフト60a,60bは、回転円盤40の盤面と平行であり、かつ環状芯金2の径方向に沿うように配されている。さらに、案内シャフト60a,60bは、環状芯金2を通過可能な間隙を有して対向するようにして設けられていることから、シャフト支持柱61a,61bの上下方向の移動に伴って、環状芯金2の内側と外側とをそれぞれ昇降した場合に、環状芯金2に接触しないようになっている。尚、環状芯金2の内側に設けられたシリンダ62を摺動するシャフト支持柱61aの案内シャフト60aは、環状芯金2の内側を昇降移動し、外側に設けられたシリンダ62を摺動するシャフト支持柱61bの案内シャフト60bは、外側を昇降移動する。
【0044】
案内シャフト60a,60bは、リール31がその下方からリール支持部材32により支持された状態で保持されるようにして、上述した軸受け管(図示省略)に遊嵌されている。これは、案内シャフト60a,60bにより、軸受け管を介して、リール31をリール支持部材32に軸支していることと同じである。そして、リール支持部材32は、案内シャフト60a,60bに従って、環状芯金2の径方向に沿って摺動自在となる。
【0045】
このようなリール公転装置30にあっては、回転円盤40が回動すると、リール支持部材32が回転して上下方向に変位し、これに従って案内シャフト60a,60bが昇降することとなる。そして、リール支持部材32は、案内シャフト60a,60bにより水平方向に案内されることから、常に同一方向を向いた状態で、回転円盤40と共に回転することとなる。これにより、リール31は、その自転軸36(リール軸線)を、芯金案内レール22a,22bに支持された環状芯金2の中心軸線に対して転倒することなく、該環状芯金2の内外を公転するようになっている。
【0046】
ここで、リール31が、回転円盤40の回動に伴って回転した場合に、最も下方となる位置を下死位置(図6参照)とし、最も上方となる位置を上死位置(図8参照)とする。すなわち、リール31は、上死位置と下死位置との間で、昇降するのである。尚、リール31は、案内シャフト60a,60bに軸支されているのであるから、案内シャフト60a,60bの両側には揺動可能となっている。
【0047】
本実施例にあって、上記した主駆動歯車46、副駆動歯車47,47、伝達歯車48,48、駆動モータ45により、本発明にかかる円盤駆動手段が構成されている。また、シャフト支持柱61a,61b、シリンダ62,62により、本発明にかかるシャフト昇降手段が構成されている。
【0048】
次に、上述した撚回状ビードワイヤの製造装置の作動態様を説明する。
尚、本実施例にあっては、鋼線3を、ビードワイヤに一般的に用いられる硬鋼線とし、その線径を指定してメーカーから購入したものを、リール31に巻回している。
【0049】
予め定められた円環径の環状芯金2を、回転円盤40に形成されたスリット42から挿入し、芯金回動装置20の芯金案内レール22a,22bに設けられた摺動溝23a,23b内に配置する。このように環状芯金2が芯金案内レール22a,22bに支持された状態は、回転円盤40の挿通孔41に環状芯金2が挿通されており、回転円盤40が環状芯金2をその内外に横切った状態となる。
【0050】
環状芯金2が芯金案内レール22a,22bに支持された後に、リール31から鋼線3を引き出して、その先端を環状芯金2に仮止めする。ここで、仮止めする位置は、リール31に対して回転円盤40と反対側とする(図2の紙面上で下側)。仮止めには、テープやクリップ等を用いることができる。本実施例にあっては、クッリプを用いており、回転ローラ26の前方で該クリップを解除できるようにしている(図示省略)。
【0051】
鋼線3を環状芯金2に仮止めした後、芯金回動装置20の駆動モータ25を駆動開始すると同期して、リール公転装置30の駆動モータ45を駆動開始する。芯金回動装置20の駆動モータ25の駆動に従って、回動ローラ26が回動することにより、環状芯金2が、その周方向に沿って回転する。ここで、環状芯金2の回転方向は、鋼線3が回転円盤40と反対側へ引き出されるように、図2の紙面上で時計回りとしている。これにより、リール31から引き出された鋼線3が回転円盤40と接触しないようにしている。一方、リール公転装置30の駆動モータ45の駆動に従って、主駆動歯車46及び副駆動歯車47,47が回動し、回転円盤40が回動する。ここで、回転円盤40の回転方向は、リール31が環状芯金2の内側を下方から上方へくぐるように、図3の紙面上で時計回りとしている。
【0052】
尚、環状芯金2の回転速度と回転円盤40の回転速度は、環状芯金2の円環径や、環状芯金2の一周回毎に鋼線3を絡ませる回数等に従って、適宜設定される。この設定により、製品としての、環状芯金2の長手方向に対して鋼線3が傾いた撚り角が定まることとなる。また、環状芯金2を所定の回転速度で回転させ、回転円盤40を所定の回転速度で回動することにより、リール31から引き出された鋼線3が環状芯金2に巻き付く位置がほぼ一定となり得る。これは、リール31が、回転円盤40の回動に伴って、一定の回転速度で公転することから、巻き付け位置が安定することによるためである。
【0053】
上記したように回転円盤40が回動すると、図5〜図8のように、この回動に伴ってリール支持部材32が回転する。リール支持部材32は、その回転に従い上下方向に変位し、案内シャフト60a,60bに従って環状芯金2の径方向に沿って案内される。ここで、案内シャフト60a,60bは、リール支持部材32の上下方向の変位に伴って昇降移動する。このように、リール支持部材32は、回転円盤40の回動に従って案内シャフト60a,60bに案内されながら回転するのであるから、リール31をその下方から支持した状態のまま回転することとなっている。尚、リール支持部材32は、環状芯金2の内側に在る場合、環状芯金2の内側で昇降する案内シャフト60aに支持され、環状芯金2の外側に在る場合、環状芯金2の外側で昇降する案内シャフト60bに支持される。そして、環状芯金2の内側から外側、又は外側から内側へ移動する場合に、案内シャフト60a,60b間を移ることとなっている。ここで、案内シャフト60a,60bの間隙は、環状芯金2を通過可能とする、比較的狭い間隔としており、リール支持部材32が滑らかに移動できるようになっている。
【0054】
リール31は、上記したリール支持部材32の回転と共に回転し、環状芯金2の内外を公転する。そして、リール31がその自転軸36により遊転可能であることから、環状芯金2の回転に従って、鋼線3が引き出されていく。このリール31は、上述したように、リール支持部材32に案内シャフト60a,60bにより軸支されていることから、案内シャフト60a,60bの両側に揺動可能となっている。このため、鋼線3が、環状芯金2の回転により引っ張られると、リール31が、その方向へ傾斜することとなる。そして、このリール31の傾斜する方向は、リール31が環状芯金2の上方、下方に在る場合で反対となることから、リール31は一公転毎に揺動する。
【0055】
このように、環状芯金2がその周方向に回動すると共に、リール31が環状芯金2の内外に公転することによって、鋼線3が環状芯金2に螺旋状に絡み付いていく。そして、環状芯金2を複数周回させることにより、鋼線3を順次隣接するように絡み付けていき、撚回状ビードワイヤ1(図1参照)を成形するのである。
【0056】
次に、リール31が、環状芯金2の内外を公転する過程について詳細に説明する。
図5のように、リール31を、環状芯金2と同じ水平面上の、外側に在る位置から、巻き付けスタートしたとする。この位置では、環状芯金2とリール31とが同一平面上に存在することから、リール31は水平方向に沿った状態となる。そして、環状芯金2を回転開始すると共に、回転円盤40を回動開始する。
【0057】
回転円盤40の回転開始に伴って、リール31は、環状芯金2の下方へ変位していく。リール31は、環状芯金2の下方に在る場合に、鋼線3が環状芯金2に引っ張られることにより、巻き付け側に上方傾斜する。リール31の傾斜角は、リール31が下方へ変位するに従って徐々に大きくなり、図6のように、下死位置となった場合に最も大きくなる。このようにリール31が上方傾斜することにより、リール31の巻回滑車35が環状芯金2の方向を向くこととなるから、上下方向における、鋼線3の環状芯金2への巻き付け角を小さくできる。これにより、鋼線3を、水平方向に沿った環状芯金2に、比較的円滑に絡み付けることができる。
【0058】
さらに回転円盤40が回転していくと、リール31が下死位置(図6参照)から上昇していく。この上昇に従って、リール31の上方傾斜角が徐々に小さくなる。そして、リール31が、図7のように、環状芯金2の内側で、該環状芯金2と同一平面上となると、鋼線3が水平方向に引っ張られることから、このリール31は水平方向に沿った状態となる。
【0059】
その後、リール31は、環状芯金2の上方へ変位していくと、鋼線3が環状芯金2に引っ張られることにより、巻き付け側に下方傾斜する。ここで、リール31の傾斜角は、リール31が上方へ変位するに従って徐々に大きくなり、図8のように、上死位置となった場合に、最も大きくなる。このようにリール31が下方傾斜することにより、下方傾斜する場合と同様に、上下方向における、鋼線3の環状芯金2への巻き付け角を小さくできることから、鋼線3を、水平方向に沿った環状芯金2に、比較的円滑に絡み付けることができる。そして、リール31が上死位置から降下していくと、リール31の下方傾斜角が徐々に小さくなり、図5のように、環状芯金2の外側で同一平面上となると、リール31は水平方向に沿った状態となる。
【0060】
このように、リール31は、回転円盤40の回動に伴って環状芯金2の内外に公転することにより、環状芯金2の下方に在る場合に上方傾斜し、上方に在る場合に下方傾斜し、環状芯金2と同一平面上に在る場合に水平方向に沿った状態となる。すなわち、リール31は、案内シャフト60a,60bを支軸として、その両側に揺動する。リール31の揺動は、水平面に沿った環状芯金2により、鋼線3が引っ張られるためである。
【0061】
ここで、リール31と環状芯金2とが同一平面上に存在する場合(図5,7参照)には、環状芯金2の周方向とリール31に巻回された鋼線3の巻回方向とがほぼ同じ平面上となるため、比較的円滑に絡み付き易い。ところが、リール31が環状芯金2の上下方向に位置する場合(図6,8参照)には、両者が位置する高低差に基づく巻き付け角が生ずる。この上下方向の巻き付け角を、リール31を傾斜することにより小さくできるから、上下方向の巻き付け角によって生ずる曲げ力が鋼線3に作用することを抑制できる。これにより、リール31が環状芯金2の上下方向に位置する場合(図6,8参照)にあっても、鋼線3を環状芯金2に比較的円滑に絡み付けることができることとなる。さらに、上下方向の巻き付け角を小さくできることから、リール31の公転中の巻き付け角の変動幅も小さくなる。したがって、本構成の撚回状ビードワイヤの製造装置10は、優れた巻き付け性と成形性を安定して発揮できる。
【0062】
尚、リール31から鋼線3が引き出される離脱位置に着目すると、リール31が所定の回転半径により公転するに伴って、楕円状の軌跡を移動している。すなわち、リール31が揺動することにより、離脱位置を、環状芯金2の水平面に近づけているのである。
【0063】
さらに、リール31は、上述したように、環状芯金2の内外に公転することに伴って揺動するが、この揺動は鋼線3が引っ張られることによるものであるから、リール31の自転軸36(リール軸線)が環状芯金2の中心軸線に対して転倒しない。したがって、リール31が公転しても、鋼線3の断面を捻り回すようななじり力は生じないため、鋼線3を、反発して切れたり離間することもなく、環状芯金2の表面に連続的に滑らかに絡み付け易い。
【0064】
本実施例の製造装置10は、上述したように、芯金回動装置20により環状芯金2を回動させると共に、リール公転装置30によりリール31を環状芯金2の内外に公転させることによって、鋼線3を環状芯金2に一様な螺旋状に絡み付けて撚回状ビードワイヤ1を製造するものである。リール公転装置30は、回転円盤40の回動により、リール31を公転させるようにしたものであるから、リール31がほぼ一定速度で連続的に公転することとなる。このため、鋼線3が環状芯金2に巻き付く時の巻き付け角に急激な変化を生じることもなく、連続的に絡み付いていくこととなるから、鋼線3の螺旋状態が、環状芯金2の周方向に沿ってほぼ一様に整然と配列された状態として形成され得る。したがって、撚回状ビードワイヤ1は、その周方向に沿ってほぼ均一に、優れた強力と剛性とを発揮し得るものとなる。
【0065】
そして、本実施例の製造装置10は、回転円盤40の回動によりリール31を公転させるものであるから、回転円盤40の回動速度を高速化し、この回動速度に応じて環状芯金2の回転速度を高速化すれば、撚回状ビードワイヤ1を高速成形することが可能となる。このように、比較的容易に高速成形することができ、生産効率を高めることができ得る。
【0066】
一方、上述した実施例にあっては、リール31をリール支持部材32に丸棒形の案内シャフト60a,60bにより軸支し、揺動可能としたリール公転装置30を備えた構成であるが、その他の構成として、例えば、案内シャフトを断面矩形とし、リールが揺動しないようにした構成が提案される。かかる構成にあっては、回転円盤の回動に伴って、リールが公転した場合に、環状芯金に鋼線が引っ張られても、リールは常に一定の向きに保持されたままとなる。これにより、リールを安定して公転させることができるのである。
【0067】
また、上述した実施例と別の構成として、図9のように、回転円盤91に、その径方向に沿った長孔の遊動孔92が形成され、この遊動孔92に、リール支持部材93が遊動軸94により遊嵌されたリール公転装置90を備えた構成が提案される。ここで、リール支持部材93は、回転円盤91に対して遊転可能とすると共に、遊動孔92に沿って摺動自在である。かかる構成にあっては、環状芯金2の回転に伴って鋼線3が引っ張られることにより、該鋼線3に作用する力を、リール支持部材93が遊動孔92に沿って摺動することにより、緩和することができる。これにより、リール31の公転に伴って、鋼線3に作用する力を、リール支持部材93の摺動と、リール31の揺動とにより緩和できることから、環状芯金2に巻き付く時に鋼線3に無用な力が作用することを抑制できる。したがって、この構成では、鋼線3を環状芯金2に一層巻き付け易く、かつ一層良好な成形性を発揮でき得る。尚、ここで、上述した実施例と同じ構成部位には、同じ符号を記し、その説明を省略している。
【0068】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で適宜用いることができる。例えば、本実施例では、環状芯金2に鋼線3を一階層に巻き付けた撚回状ビードワイヤ1を成形するように説明しているが、これを複数階層状とするように、鋼線3を連続して巻き付ける成形も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】撚回状ビードワイヤ1の一部分を表す説明図である。
【図2】撚回状ビードワイヤの製造装置10の平面図である。
【図3】撚回状ビードワイヤの製造装置10の側面図である。
【図4】撚回状ビードワイヤの製造装置10のリール公転装置30の、回転円盤40とリール支持部材32とリール31とを表す正面図である。
【図5】リール公転装置30のリール31が、環状芯金2とほぼ同じ平面上でその外側に在る場合を表す説明図である。
【図6】上記図5から回転円盤40が回転し、リール31が下死位置に在る場合を表す説明図である。
【図7】上記図6から回転円盤40が回転し、リール31が環状芯金2とほぼ同じ平面上でその内側に在る場合を表す説明図である。
【図8】上記図7から回転円盤40が回転し、リール31が上死位置に在る場合を表す説明図である。
【図9】別例の構成として、回転円盤91に設けた遊動孔92にリール支持部材93を遊転可能かつ摺動自在に支持するようにしたリール公転装置90を表す概略図である。
【符号の説明】
【0070】
1 撚回状ビードワイヤ
2 環状芯金
3 鋼線
10 撚回状ビードワイヤの製造装置
20 芯金回動装置
30 リール公転装置
31 リール
32 リール支持部材
40 回転円盤
41 挿通孔
42 スリット
45 駆動モータ(円盤駆動手段)
46 主駆動歯車(円盤駆動手段)
47 主駆動歯車(円盤駆動手段)
48 伝達歯車(円盤駆動手段)
60a,60b 案内シャフト
61a,61b シャフト支持柱(シャフト昇降手段)
62 シリンダ(シャフト昇降手段)
【出願人】 【識別番号】503085377
【氏名又は名称】有限会社丹羽商工
【識別番号】503086499
【氏名又は名称】株式会社メタルワン
【出願日】 平成18年7月11日(2006.7.11)
【代理人】 【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男

【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利

【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優


【公開番号】 特開2008−18433(P2008−18433A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−189924(P2006−189924)