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【発明の名称】 リング成形機
【発明者】 【氏名】西村 重夫

【要約】 【課題】従来より効率良くリングを生産可能なリング成形機を提供する。

【構成】本発明のリング成形機10では、線材90を心金17の周りに螺旋状に巻回して、線材1巻き分のリング91を成形する。そして、リング91が後続の線材90から切り離されて下方に移動する途中で、心金17の先端面17Aと始端部保持ロッド42との間にリング91の始端部91Aを挟持する。この状態で当接部材51がリング91の終端部91Bを心金17の先方側に押圧し、リング91の始端部91Aと終端部91Bとのずれを除去する。このように、本発明によれば、リング91を後続の線材90から切り離した直後にリング91の始端部91Aと終端部91Bとのずれを除去するので、従来のように一定長の線材を金型に逐一セットする手間が不要となり、リング91の生産効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に送給した線材を成形工具に衝合して片持ち梁状の心金の周りに螺旋状に巻回された線材1巻き分のリングを成形し、そのリングの終端部を上方から降下した切断工具と前記心金との間で切断して後続の前記線材から切り離すと共に前記リングの始端部と終端部とのずれを除去するリング成形機であって、
前記成形工具及び前記心金は、前記リングの終端部が後続の前記線材から切り離される際に、前記リングの始端部を前記心金の先端面より先方に位置させかつ前記リングの終端部を前記心金上に位置させるように構成され、
前記心金の先端面に接離可能に直動し、前記心金の先端面との間で前記リングの始端部を挟持可能な始端部保持部材と、
前記心金の側方で前記心金の軸方向に直動し、前記リングの始端部が前記心金及び前記始端部保持部材に挟持された状態で前記リングの終端部を前記心金の先方側に押圧して、前記リングの始端部と終端部とのずれを除去する終端部押圧部材とを備えたことを特徴とするリング成形機。
【請求項2】
前記切断工具は、前記リングの終端部を後続の前記線材から切り離した後に下方に押し、自由落下より早く前記リングを下方に強制移動することを特徴とする請求項1に記載のリング成形機。
【請求項3】
前記終端部押圧部材の先端面に対向配置され、前記終端部押圧部材との間で前記リングの終端部を挟持した状態で前記終端部押圧部材に押されて後退する従動部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のリング成形機。
【請求項4】
前記リングの終端部が後続の前記線材から切り離されたときに、前記リングの始端部の端面は、前記従動部材の側面に対向状態になって案内され、前記リングの終端部の端面は、前記心金の側面に対向状態になって案内されるように構成したことを特徴とする請求項3に記載のリング成形機。
【請求項5】
前記従動部材は、前記始端部保持部材に直動可能に保持されると共に弾性部材によって前記終端部押圧部材側に付勢されたことを特徴とする請求項3又は4に記載のリング成形機。
【請求項6】
前記従動部材と前記終端部押圧部材との間に前記リングの終端部が保持された状態で、前記切断工具は、前記リングの終端部を後続の前記線材から切り離すと共に下方に押して、自由落下より早く前記リングを下方に強制移動することを特徴とする請求項5に記載のリング成形機。
【請求項7】
前記終端部押圧部材には、その直動方向に伸縮可能な押圧弾性部材と、前記押圧弾性部材の一端部に設けられて前記リングの終端部に当接する当接部材とが備えられたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のリング成形機。
【請求項8】
前記終端部押圧部材は、前記リングの終端部を前記始端部より前記心金の先端面から離れた位置まで押圧すると共に、前記終端部押圧部材には、下方に向かうに従って前記リングから離れる側に傾斜し、押圧されて傾動した前記リングの終端部から中間部に亘って面当接可能な傾斜面が備えられたことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のリング成形機。
【請求項9】
前記心金の下方に配置されて鉛直方向に起立し、前記リングを挿通可能なリング挿通シャフトと、
前記リング挿通シャフトの上端部と前記心金の先端部との間を接続し、後続の前記線材から切り離された前記リングを前記リング挿通シャフトに案内する線状ガイドとを備えたことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のリング成形機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、線材からリングを成形するリング成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のリング成形機として、一定の長さに切断した線材を金型でプレスしてリングに成形するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−90573号公報(段落[0014],[0015],第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のリング成形機では、一定長の線材を金型に逐一セットする必要があり、生産効率が低かった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より効率良くリングを生産可能なリング成形機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るリング成形機は、水平方向に送給した線材を成形工具に衝合して片持ち梁状の心金の周りに螺旋状に巻回された線材1巻き分のリングを成形し、そのリングの終端部を上方から降下した切断工具と心金との間で切断して後続の線材から切り離すと共にリングの始端部と終端部とのずれを除去するリング成形機であって、成形工具及び心金は、リングの終端部が後続の線材から切り離される際に、リングの始端部を心金の先端面より先方に位置させかつリングの終端部を心金上に位置させるように構成され、心金の先端面に接離可能に直動し、心金の先端面との間でリングの始端部を挟持可能な始端部保持部材と、心金の側方で心金の軸方向に直動し、リングの始端部が心金及び始端部保持部材に挟持された状態でリングの終端部を心金の先方側に押圧して、リングの始端部と終端部とのずれを除去する終端部押圧部材とを備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のリング成形機において、切断工具は、リングの終端部を後続の線材から切り離した後に下方に押し、自由落下より早くリングを下方に強制移動するところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1に記載のリング成形機において、終端部押圧部材の先端面に対向配置され、終端部押圧部材との間でリングの終端部を挟持した状態で終端部押圧部材に押されて後退する従動部材を設けたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載のリング成形機において、リングの終端部が後続の線材から切り離されたときに、リングの始端部の端面は、従動部材の側面に対向状態になって案内され、リングの終端部の端面は、心金の側面に対向状態になって案内されるように構成したところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載のリング成形機において、従動部材は、始端部保持部材に直動可能に保持されると共に弾性部材によって終端部押圧部材側に付勢されたところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載のリング成形機において、従動部材と終端部押圧部材との間にリングの終端部が保持された状態で、切断工具は、リングの終端部を後続の線材から切り離すと共に下方に押して、自由落下より早くリングを下方に強制移動するところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載のリング成形機において、終端部押圧部材には、その直動方向に伸縮可能な押圧弾性部材と、押圧弾性部材の一端部に設けられてリングの終端部に当接する当接部材とが備えられたところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載のリング成形機において、終端部押圧部材は、リングの終端部を始端部より心金の先端面から離れた位置まで押圧すると共に、終端部押圧部材には、下方に向かうに従ってリングから離れる側に傾斜し、押圧されて傾動したリングの終端部から中間部に亘って面当接可能な傾斜面が備えられたところに特徴を有する。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載のリング成形機において、心金の下方に配置されて鉛直方向に起立し、リングを挿通可能なリング挿通シャフトと、リング挿通シャフトの上端部と心金の先端部との間を接続し、後続の線材から切り離されたリングをリング挿通シャフトに案内する線状ガイドとを備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
[請求項1及び8の発明]
請求項1のリング成形機によれば、水平方向に送給した線材を成形工具に衝合して片持ち梁状の心金の周りに螺旋状に巻回された線材1巻き分のリングを成形する。そして、リングの終端部を上方から降下した切断工具と心金との間で切断して後続の線材から切り離す。このとき、リングの始端部は心金の先端面より先方に位置しかつリングの終端部は心金上に位置した状態で、リングの終端部が後続の線材から切り離される。これにより、リングの始端部及び終端部が共に心金に掛かることなくなり、リングは後続の線材から切り離されると同時に下方に移動する。そして、リングが下方に移動する途中で心金の先端面と始端部保持部材との間にリングの始端部が挟持され、この状態で、心金の側方の終端部押圧部材が直動してリングの終端部を心金の先方側に押圧する。これにより、リングの始端部と終端部とのずれが除去される。このように、本発明によれば、送給した線材からリングを成形し、そのリングを後続の線材から切り離した直後にリングの始端部と終端部とのずれを除去するので、従来のように一定長の線材を金型に逐一セットする手間が不要となり、リングの生産効率を向上させることができる。
【0015】
なお、スプリングバックを考慮して、終端部押圧部材が、リングの終端部を始端部より心金の先端面から離れた位置まで押圧するように構成することが好ましい。この場合、請求項8のように終端部押圧部材に傾斜面を設ければ、押圧されて傾動したリングの終端部から中間部に亘る部分に終端部押圧部材の傾斜面が面当接し、リングの表面における傷の発生を防ぐことができる。
【0016】
[請求項2の発明]
請求項2の構成によれば、切断工具が、リングの終端部を後続の線材から切り離した後、下方に押して、自由落下より早くリングを下方に強制移動するので、生産性が更に向上する。
【0017】
[請求項3の発明]
請求項3の構成によれば、リングの終端部を終端部押圧部材と従動部材との間で挟持した状態で押圧するので、リングの終端部の挙動が安定し、リングの形状の品質が安定する。
【0018】
[請求項4及び5の発明]
請求項4の構成によれば、リングの終端部が後続の線材から切り離されたときに、リングの始端部の端面は、従動部材の側面に対向状態になって案内され、リングの終端部の端面は、心金の側面に対向状態になって案内されるので、リングが心金及びリング保持部材に挟持される位置が安定し、リングの形状の品質が向上する。ここで、従動部材は、終端部押圧部材の動作に連動するようにモータで駆動される構成にしてもよいし、請求項5の構成のように、始端部保持部材に直動可能に保持されかつ弾性部材によって終端部押圧部材側に付勢された構成にしてもよい。
【0019】
[請求項6の発明]
請求項6の構成によれば、従動部材と終端部押圧部材との間にリングの終端部を保持した状態で、切断工具がリングの終端部を後続の線材から切り離すので、後続の線材から切り離された後のリングの位置が安定する。しかも、切断工具がリングを下方に押して自由落下より早く下方に強制移動するので、生産性が更に向上する。
【0020】
[請求項7の発明]
請求項7の構成によれば、リングの終端部に当接して押圧する当接部材が押圧弾性部材の一端部に設けられているので、リングに当接した際の衝撃が押圧弾性部材で吸収され、衝撃によるリングの位置ずれを防止することができる。
【0021】
[請求項9の発明]
請求項9の構成によれば、後続の線材から切り離されたリングを、心金の先端部に接続された線状ガイドに沿わせて下方に案内し、リング挿通シャフトに集めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るリング成形機10を図1〜図10に基づいて説明する。図1に示すように、リング成形機10は、鉛直に起立した基盤11に、線材送給装置12、成形工具駆動機構部13及び切断工具駆動機構部14等を組み付けて備えている。
【0023】
線材送給装置12は、線材90を上下方向で挟む1対のローラ20,20を備え、これらローラ20,20の前後に送給ノズル21A,21Bが設けられている。これらローラ20,20は対称回転し、これにより線材90が送給ノズル21A,21Bに案内されて基盤11の前面11Aと平行な水平第1方向H1に送給される。そして、一方の送給ノズル21Bの先端から排出された線材90が、基盤11の前側に設けた成形空間Rで図10(A)に示したリング91に形成される。
【0024】
図2に示すように、基盤11の前面11Aからは、片持ち梁状の心金17が成形空間Rに向けて突出している。心金17は、図3に示すように、送給ノズル21Bより上方に位置し、図4に示すように、線材90の送給方向(水平第1方向H1)と直交した水平第2方向H2に延びている。また、心金17は断面が略半円形状をなし、心金17の平坦な側面17Sは線材90の送給元側を向いている。
【0025】
図1に示すように、成形工具駆動機構部13は、送給ノズル21Bに対して前側斜め下方に延びた直動ガイド22を備え、その直動ガイド22には、スライダ23が直動可能に係合している。スライダ23の上端部には、成形工具18が固定され、その成形工具18の先端面には図3に示すように案内溝18Mが形成されている。そして、送給ノズル21Bから送給された線材90が、心金17の下方を通過してから案内溝18Mの内面に衝合し、心金17を取り巻く円弧状に成形される。このとき、成形工具駆動機構部13にて成形工具18の位置を変えることで、成形された線材90の円弧の曲率を変えることができる。その成形工具18を位置制御するために、図2に示すように、スライダ23にはリンク機構を介してサーボモータ26J1が連結されている。具体的には、スライダ23の下端部にリンク24の上端部がピン結合され、そのリンク24の下端部が偏心回転盤25における偏心位置にピン結合され、さらに偏心回転盤25にサーボモータ26J1の出力軸が連結されている。そして、サーボモータ26J1の回転がスライダ23及び成形工具18の直動に変換されるようになっている。
【0026】
成形工具18の案内溝18Mは、線材90を上方に案内すると共に、基盤11から離れる側に僅かに傾けて案内している。これにより、線材90は心金17の周りに螺旋状に巻回され、その線材90の成形済み部分が、基盤11から離れる側に成長していく。そして、線材90が心金17の周りを略1周してリング91になり、線材90が心金17の周りを略1.5周した状態で、図7(A)に示すように、そのリング91の始端部91A及び終端部91Bが共に心金17より上側に位置する。このとき、本実施形態のリング成形機10では、リング91の始端部91Aが、心金17の先端面17Aより先方に外れた位置に配置されかつリング91の終端部91Bが心金17上(詳細には、心金17の上側エッジ17E上)に配置される。この状態で、リング91の終端部91Bが次述する切断工具19にて後続の線材90から切断される。
【0027】
図1に示すように、切断工具駆動機構部14は、成形工具駆動機構部13と同様の構造をなし、心金17の上方に配置されて上下方向に延びている。そして、前記成形工具18の代わりに切断工具19をスライダ23に固定して備え、サーボモータ26J2(図5参照)の駆動により、切断工具19を成形空間Rに対して上方から進退させる。
【0028】
図4に示すように、切断工具19は、先端が楔状になった角柱構造をなし、楔のテーパ面19Tが線材90の送給元側に配置され、そのテーパ面19Tと反対側の側面19Sが心金17の側面17Sと擦れ違うように上下動する。このとき、心金17の上側エッジ17E上に配置されたリング91の終端部91Bが、上側エッジ17Eと切断工具19との協働により切断されて後続の線材90から切り離される。また、図3に示すように、切断工具19の上下ストロークの下死点P1は、心金17の上側エッジ17Eより下方に位置している。これにより、切断工具19は、切断した直後のリング91の終端部91Bを押してリング91を強制的に下方に移動する。
【0029】
さて、図5に示すように、リング成形機10には、基板11を前後方向(水平第2方向H2)で挟むように第1と第2の補正工具駆動機構部15A,15Bが備えられている。これら第1と第2の補正工具駆動機構部15A,15Bは、成形工具駆動機構部13と同様の構造を有し、第1補正工具駆動機構部15Aのスライダ23には、図4に示すように第1補正工具40が固定され、第2補正工具駆動機構部15Bのスライダ23には第2補正工具50(本発明に係る「終端部押圧部材」に相当する)が固定されている。
【0030】
詳細には、基盤11の前面11Aには、送給ノズル21Bを上下方向で挟んだ2位置から1対の支持突壁31,31が突出しており、それら支持突壁31,31の先端間にベース板32が固定されている。ベース板32は、基盤11から離れる側に延びた長板形状をなし、第1補正工具駆動機構部15Aの直動ガイド22がこのベース板32に固定されて水平第2方向H2に延びている。そして、ベース板32のうち基盤11から離れた側の端部に取り付けられたサーボモータ26J3にてスライダ23と共に第1補正工具40を、心金17の先端面17Aに対して接離可能に直動する。
【0031】
また、基盤11の後方には後方基盤11Xが対向配置され、これら基盤11と後方基盤11Xとの間に第2補正工具駆動機構部15Bの直動ガイド22が差し渡されている。そして、スライダ23に固定された第2補正工具50が、基盤11に形成された貫通孔11Bを通して成形空間Rに臨んでいる。また、後方基盤11Xの後面から起立したブラケット33にサーボモータ26J4及び偏心回転盤25が組み付けられ、後方基盤11Xに形成された貫通孔11Cを介してリンク24が偏心回転盤25とスライダ23との間を連結している。
【0032】
第1補正工具40は、図7(A)に示すように、始端部保持ロッド42(本発明に係る「始端部保持部材」に相当する)に、従動部材41及び圧縮コイルバネ43(本発明に係る「弾性部材」に相当する)を組み付けてなる。図4に示すように、始端部保持ロッド42は角柱構造をなし、図6(A)に示すように、始端部保持ロッド42における幅方向(水平第1方向H1)のうち心金17から離れた一端寄り位置には、始端部保持ロッド42の先端面42Aに開放した角孔40Aが形成されている。図7(A)に示すように、この角孔40Aの奥部は段付き状に広くなっている。これに対し、従動部材41は、角柱体の後端部から側方に後端突部41Bを張り出した構造をなしている。そして、従動部材41が角孔40A内に収容されて後端突部41Bが角孔40Aの奥部に配置され、これにより従動部材41が始端部保持ロッド42に対して心金17の軸方向に直動可能に保持されている。
【0033】
ここで、従動部材41が直動ストロークの前方(図7(A)における右側)に位置すると、角孔40Aの奥部の段付き部分に従動部材41の後端突部41Bが係止し、これにより従動部材41が角孔40Aに抜け止めされる。また、角孔40Aの奥壁と従動部材41との間には、圧縮コイルバネ43が突っ張り状態に収容され、この圧縮コイルバネ43の弾発力によって従動部材41が前方に付勢され、通常は、従動部材41の先端部が、始端部保持ロッド42の先端面42Aから前方に突出している。そして、図6(B)に示すように、第1補正工具40が心金17側に移動したときには、従動部材41における心金17側の側面41Sと、心金17の側面17Sとが隣接すると共に、始端部保持ロッド42の先端面42Aと心金17の先端面17Aとが隙間を空けて対向し、その隙間内に上方から降下したリング91の始端部91Aが受容される。
なお、始端部保持ロッド42は縦割りに2分割可能になっており、2分割された状態で側方に開放した角孔40Aに従動部材41及び圧縮コイルバネ43を収容してから合体した状態に固定されている。
【0034】
第2補正工具50は、図7(A)に示すように、心金側方ロッド52に当接部材51及び圧縮コイルバネ53(本発明の「押圧弾性部材」に相当する)を組み付けてなる。図4に示すように、心金側方ロッド52は角柱構造をなして心金17における側面17Sに隣接配置されている。図6(A)に示すように、心金側方ロッド52の心金17寄り位置には、心金側方ロッド52の先端面52A及び心金17側の側面に開放した角孔50Aが形成され、そこに当接部材51及び圧縮コイルバネ53が収容されている。なお、角孔50Aの側面の開放口は、そこから当接部材51及び圧縮コイルバネ53を収容した後、心金17によって閉じられる。
【0035】
図7(A)に示すように、第2補正工具50における角孔50A、当接部材51及び圧縮コイルバネ53は、第1補正工具40の角孔40A、従動部材41及び圧縮コイルバネ43と同様の構成をなし、当接部材51は角孔50Aに収容されて圧縮コイルバネ53により前方(基盤11から離れる側)に付勢されている。また、当接部材51の先端部は、心金側方ロッド52の先端面52Aから常時前方に突出し、当接部材51の先端面51Aは、下端側に向かうに従って従動部材41から離れるように傾斜している。さらに、第2補正工具50の当接部材51と、第1補正工具40の従動部材41とは同軸上に配置されて突き合わされ、第2補正工具50が直動ストロークの後端側に位置したときには、図6(B)に示すように、当接部材51の先端面51Aは、心金17の先端面17Aより後側(基盤11側)に配置され、従動部材41の先端面41Aとの間に隙間を空けて対向し、その隙間内に上方から降下したリング91の終端部91Bが受容される。
【0036】
図1に示すように、基盤11の下端部を支持するベース板11Dには、シャフト支持台63が載置され、そのシャフト支持台63に形成された図示しない支持孔に、リング挿通シャフト61の下端部が着脱可能に挿入されている。リング挿通シャフト61は、上端部がテーパ状になっており、下端部が段差状に太くなっている。そして、リング挿通シャフト61は、シャフト支持台63に保持されて鉛直方向に起立し、リング91が上端部から挿通されて下端部の段差部分に係止するようになっている。また、図4に示すように、心金17の先端面17Aにおける下端位置には、線状ガイド62の一端部が固定されている。その線状ガイド62は、斜め下方に湾曲して延び、リング挿通シャフト61の上端部に着脱可能に取り付けられている。これにより、リング成形機10による成形を終えたリング91が、線状ガイド62に案内されて下方に落下し、リング挿通シャフト61に集められる。
【0037】
本実施形態のリング成形機10の構成に関する説明は以上である。次に、このリング成形機10の動作について説明する。リング成形機10を起動すると、水平方向に送給された線材90が成形工具18に衝合して心金17の周りに螺旋状に巻回され、線材90を1巻きした分のリング91が成形される。このとき、第1補正工具40は、例えば直動ストロークの前端位置(基盤11側位置)より若干後ろ寄りに配置され、第2補正工具50は直動ストロークの後端位置(基盤11側位置)に配置されている。
【0038】
図7(A)に示すように、心金17の周りに線材90が略1.5周巻回されると、その線材90の先頭から1巻き分のリング91の終端部91Bが心金17の上側エッジ17E上に位置し、リング91の始端部91A(線材90の先頭)が心金17の先端面17Aより先方に外れた状態になる。この状態で図8(A)及び図8(B)に示すように切断工具19が降下し、リング91の終端部91Bを後続の線材90から切り離す。これにより、リング91の始端部91A及び終端部91Bが共に心金17に掛かることがなくなり、リング91が後続の線材90から切り離されると同時に下方に移動する。
【0039】
このとき、切断工具19は、図3に示すように、心金17の上側エッジ17Eより下方の下死点P1まで移動し、線材90から切り離された直後のリング91を下方に強制移動する。これにより、リング91が自由落下するより早く下方に移動し、生産性が向上する。また、リング91は下方に移動する際に、図6(B)に示すように、リング91における始端部91Aの端面が従動部材41の側面41Sに対向状態になって案内され、リング91における終端部91Bの端面が、心金17の側面17Sに対向状態になって案内される。これにより、リング91は傾動せずに安定した状態で下方に平行移動する。
【0040】
切断工具19がリング91を下方に強制移動すると同時に第1補正工具40は直動ストロークの前端位置に移動し、これにより、第1補正工具40における始端部保持ロッド42の先端面42Aと心金17の先端面17Aとの間でリング91の始端部91Aを挟持する。この状態で心金17の側方の第2補正工具50が直動し、その第2補正工具50の当接部材51がリング91の終端部91Bを心金17の先方側に押圧する。ここで、当接部材51は圧縮コイルバネ53によって押圧方向に付勢された構成になっているので、当接部材51がリング91の終端部91Bに当接する際の衝撃がその圧縮コイルバネ53によって吸収され、心金17と始端部保持ロッド42とによるリング91の挟持位置を安定させることができる。また、リング91の終端部91Bは、第2補正工具50の当接部材51と従動部材41との間で挟持された状態で押圧されるので挙動が安定する。
【0041】
第2補正工具50が直動ストロークの前端位置まで移動すると、図9(A)及び図10(B)に示すように、リング91の終端部91Bは当接部材51により始端部91Aより心金17の先端面17Aから離れた位置まで押圧された状態になる。ここで、当接部材51の先端面51Aは下方に向かうに従ってリング91から離れる傾斜面になっているので、押圧されて傾動したリング91の終端部91Bから中間部に亘る部分が、当接部材51の先端面51Aに面当接し(図9(A)参照)、リング91の表面における傷の発生を防ぐことができる。
【0042】
次いで、図9(B)及び図10(C)に示すように、第1補正工具40及び第2補正工具50が互いに離れるように共に後退する。すると、当接部材51に押圧されていたリング91の終端部91Bが、スプリングバックによって始端部91A側に戻り、リング91の始端部91Aと終端部91Bとのずれが除去された状態になる。そして、リング91は、線状ガイド62に案内されてリング挿通シャフト61に集められる。
【0043】
このように、本実施形態のリング成形機10によれば、送給した線材90からリング91を成形し、そのリング91を後続の線材90から切り離した直後にリング91の始端部91Aと終端部91Bとのずれを除去するので、従来のように一定長の線材を金型に逐一セットする手間が不要となり、リング91の生産効率を向上させることができる。
【0044】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0045】
(1)前記実施形態では、当接部材51と従動部材41との間でリング91の終端部91Bを挟持して押圧する構成になっていたが、従動部材41を設けずに、当接部材51を単に押圧する構成にしてもよい。
【0046】
(2)前記実施形態では、当接部材51が圧縮コイルバネ53により押圧方向に付勢されていたが、当接部材51及び圧縮コイルバネ53を設けずに、例えば、第2補正工具駆動機構部15Bのスライダ23に固定された心金側方ロッド52でリング91の終端部91Bを押圧する構成にしてもよい。
【0047】
(3)前記実施形態における始端部保持ロッド42の先端面42Aから図示しないリング係止突起を突出させ、リング91が後続の線材90から切り離されたときに、このリング係止突起にリング91が係止するように構成してもよい。
【0048】
(4)前記実施形態では、線材90が心金17の下方を通過して成形工具18に衝合し、心金17の周りに巻回されたが、線材90が心金17の上方を通過して成形工具18に衝合し、心金17の周りに巻回される構成にしてもよい。
【0049】
(5)前記実施形態では、切断工具19がリング91を後続の線材90から切り離した後下方に強制移動すると同時に、第1補正工具40が移動して始端部保持ロッド42と心金17との間でリング91の始端部91Aを挟持する構成であったが、以下のように構成してもよい。即ち、リング91を後続の線材90から切断する前に、当接部材51と従動部材41との間でリング91の終端部91Bを挟持しておく。また、心金17の先端面17Aと始端部保持ロッド42の先端面42Aとの間隔は、リング91の始端部91Aの線径より僅かに大きくしておく。そしてこの状態で、切断工具19が、リング91の終端部91Bを後続の線材90から切り離しかつ下方に押すことで、当接部材51及び従動部材41による挟持状態を保持してリング91を自由落下より早く下方に強制移動する構成にしてもよい。この構成によれば、後続の線材90から切り離された後のリング91の位置が安定すると共に、自由落下より早く下方に強制移動するので生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るリング成形機の正面図
【図2】成形工具駆動機構部の側断面図
【図3】成形空間の正面図
【図4】心金、第1及び第2の補正工具の斜視図
【図5】リング成形機の部分側断面図
【図6】心金、第1及び第2の補正工具の平面図
【図7】第1及び第2の補正工具の側断面図
【図8】第1及び第2の補正工具の側断面図
【図9】第1及び第2の補正工具の側断面図
【図10】心金及び第2補正工具の斜視図
【符号の説明】
【0051】
10 リング成形機
17 心金
18 成形工具
18M 案内溝
19 切断工具
41 従動部材
42 始端部保持ロッド(始端部保持部材)
43 圧縮コイルバネ(弾性部材)
50 第2補正工具(終端部押圧部材)
51 当接部材
52 心金側方ロッド
53 圧縮コイルバネ(押圧弾性部材)
61 リング挿通シャフト
62 線状ガイド
90 線材
91 リング
91A 始端部
91B 終端部
R 成形空間
【出願人】 【識別番号】000116976
【氏名又は名称】旭精機工業株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘


【公開番号】 特開2008−798(P2008−798A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173545(P2006−173545)