トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 マグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体と、柱状体とのカシメ組付品およびその製造方法、並びに製造装置。
【発明者】 【氏名】渡邉 泰之

【氏名】川崎 久則

【氏名】渡邉 秀満

【要約】 【課題】軸体等の柱状体の途中部にフランジ部を設けたり、複雑な特殊形状を作製する必要がなく、また、ポンチの回転等も必要でなく、軸を変形させることなく、加工性の悪いマグネシウム或いはマグネシウム合金素材を容易に且つ低コストでカシメ加工できるとともに、薄いマグネシウム或いはマグネシウム合金の板状体であっても、十分な組付強度を維持できるカシメ組付品およびその製造方法を提供せんとする。

【構成】板状体に柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設け、該取付穴の内周縁に沿って温間プレス加工により厚肉部を形成し、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成し、前記柱状体を板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットし、厚肉部を軸方向から圧縮プレスして取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する軸部の周溝内に食い込ませる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体と中空又は中実の柱状体とのカシメ組付品の製造方法であって、
前記板状体に、柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに、該取付穴の内周縁に沿って温間プレス加工により厚肉部を形成する工程と、
前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する工程と、
前記柱状体を板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットする工程と、
前記厚肉部を軸方向から圧縮プレスして取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する軸部の周溝内に食い込ませるカシメ工程と、
よりなることを特徴とするカシメ組付品の製造方法。
【請求項2】
前記取付穴の厚肉部を温間のバーリング加工により形成してなる請求項1記載のカシメ組付品の製造方法。
【請求項3】
前記カシメ工程において、厚肉部を軸方向から温間で圧縮プレスしてなる請求項1又は2記載のカシメ組付品の製造方法。
【請求項4】
前記軸部を摺動案内する挿通穴を有し、該軸部にセットされる板状体の厚肉部を軸方向一方側から当接支持する加熱された支持具と、前記厚肉部を軸方向他方側から直接的または間接的にプレスする加熱された加圧パンチとにより前記厚肉部を圧縮プレスしてなる請求項1〜3の何れか1項に記載のカシメ組付品の製造方法。
【請求項5】
マグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体と中空又は中実の柱状体とのカシメ組付品の製造装置であって、
前記板状体に、柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに、該取付穴の内周縁に沿って温間プレス加工により厚肉部を形成する手段と、
前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する手段と、
前記柱状体を板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットする手段と、
前記厚肉部を軸方向から圧縮プレスして取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する軸部の周溝内に食い込ませるカシメ手段と、
よりなることを特徴とするカシメ組付品の製造装置。
【請求項6】
前記取付穴の厚肉部を温間のバーリング加工により形成してなる請求項5記載のカシメ組付品の製造装置。
【請求項7】
前記カシメ手段が、厚肉部を軸方向から温間で圧縮プレスしてなる請求項5又は6載のカシメ組付品の製造方法。
【請求項8】
前記軸部を摺動案内する挿通穴を有し、該軸部にセットされる板状体の厚肉部を軸方向一方側から当接支持する加熱された支持具と、前記厚肉部を軸方向他方側から直接的または間接的にプレスする加熱された加圧パンチとにより前記厚肉部を圧縮プレスしてなる請求項5〜7の何れか1項に記載のカシメ組付品の製造装置。
【請求項9】
マグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体と中空又は中実の柱状体とよりなるカシメ組付品であって、前記板状体に、柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに、該取付穴の内周縁に沿って温間プレス加工により厚肉部を形成し、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成し、前記柱状体を板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットした状態で、前記厚肉部を軸方向から圧縮プレスして取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する軸部の周溝内に食い込ませて固定したことを特徴とするカシメ組付品。
【請求項10】
前記柱状体が、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる部材である請求項9記載のカシメ組付品。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体と中空又は中実の柱状体を強固に固定できる高強度のカシメ加工技術に関する。
【背景技術】
【0002】
板状体と柱状体とのカシメ加工は、従来、特許文献1のように軸カシメとして軸体側の途中部にフランジ部を形成するとともに、組み付け対象のプレス部品である板状体側に丸穴を穿設し、この丸穴を挿通させた軸体の先端部を専用のカシメ機械で潰し、潰された軸体頭部とフランジ部との間にプレス部品を挟みこむようにして組み付けるか、或いは、軸体側に更に複雑な特殊形状を形成しておき、プレス部品に開いた丸穴に軸体を圧入することで接合していた。
【0003】
しかしながら、潰した軸体頭部との間でプレス部品を挟み込むためには大きなフランジ部を軸体途中部に設けなければならず、製品使用上必要な軸径よりも50%程度太い軸材料から削り出してフランジ形状を作製する必要があり、材料コストおよび加工コストが増大する。また、特殊形状の形成にも製造コストが嵩み、コスト低減に限界があった。
【0004】
一方、近年、軽量で振動や衝撃を吸収しやすく、また電磁波遮蔽能も高く、リサイクル性にもすぐれたマグネシウム或いはマグネシウム合金が特に携帯電話用の筐体用途として注目されているが、その加工性の悪さのため、特に薄板状のものに対して軸物をカシメ加工することは極めて困難である。このマグネシウム或いはマグネシウム合金素材のカシメ加工として、特許文献2には、かしめ用ポンチを予熱し、該予熱されたかしめ用ポンチを回転させながら成形品のかしめピンの頂部に押し当てることによりカシメ加工を行うことが提案されているが、これは上記特許文献1と同様、軸を変形させて加工するものであり、大掛かりな装置が必要であり製造コストが嵩み、軸変形が必須であることから設計の自由度も低いといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2003−260529号公報
【特許文献2】特開2003−266136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、軸体等の柱状体の途中部にフランジ部を設けたり、複雑な特殊形状を作製する必要がなく、また、ポンチの回転等も必要でなく、軸を変形させることなく、加工性の悪いマグネシウム或いはマグネシウム合金素材を容易に且つ低コストでカシメ加工できるとともに、薄いマグネシウム或いはマグネシウム合金の板状体であっても、十分な組付強度を維持できるカシメ組付品およびその製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題解決のために、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体と中空又は中実の柱状体とのカシメ組付品の製造方法であって、前記板状体に、柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに、該取付穴の内周縁に沿って温間プレス加工により厚肉部を形成する工程と、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する工程と、前記柱状体を板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットする工程と、前記厚肉部を軸方向から圧縮プレスして取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する軸部の周溝内に食い込ませるカシメ工程と、よりなることを特徴とするカシメ組付品の製造方法を提供する。
【0008】
ここで、前記取付穴の厚肉部を温間のバーリング加工により形成することが好ましい。
【0009】
また、前記カシメ工程において、厚肉部を軸方向から温間で圧縮プレスすることが好ましい。
【0010】
また、前記軸部を摺動案内する挿通穴を有し、該軸部にセットされる板状体の厚肉部を軸方向一方側から当接支持する加熱された支持具と、前記厚肉部を軸方向他方側から直接的または間接的にプレスする加熱された加圧パンチとにより前記厚肉部を圧縮プレスすることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体と中空又は中実の柱状体とのカシメ組付品の製造装置であって、板状体に、柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに、該取付穴の内周縁に沿って温間プレス加工により厚肉部を形成する手段と、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する手段と、前記柱状体を板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットする手段と、前記厚肉部を軸方向から圧縮プレスして取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する軸部の周溝内に食い込ませるカシメ手段とよりなることを特徴とするカシメ組付品の製造装置をも提供する。
【0012】
ここで、前記取付穴の厚肉部を温間のバーリング加工により形成するものが好ましく、また、前記カシメ手段が、厚肉部を軸方向から温間で圧縮プレスしてなるものが好ましい。
【0013】
具体的には、前記軸部を摺動案内する挿通穴を有し、該軸部にセットされる板状体の厚肉部を軸方向一方側から当接支持する加熱された支持具と、前記厚肉部を軸方向他方側から直接的または間接的にプレスする加熱された加圧パンチとにより前記厚肉部を圧縮プレスしてなるものが好ましい。
【0014】
本発明は、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体と中空又は中実の柱状体とよりなるカシメ組付品であって、板状体に、柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに、該取付穴の内周縁に沿って温間プレス加工により厚肉部を形成し、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成し、前記柱状体を板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットした状態で、前記厚肉部を軸方向から圧縮プレスして取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する軸部の周溝内に食い込ませて固定したことを特徴とするカシメ組付品、とくに前記柱状体もマグネシウム又はマグネシウム合金からなる部材であるカシメ組付品をも提供する。
【発明の効果】
【0015】
以上にしてなる本願発明によれば、柱状体の途中部にフランジ部を設けたり、複雑な特殊形状を作製する必要がなく、柱状体に形成が容易に周溝を設け、板状体の取付穴周囲に温間プレス加工により厚肉部を設けるだけで、簡単なプレス加工で且つ低コストで、加工性の悪いマグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体と柱状体とのカシメ組付が可能となる。
【0016】
また、板状体の厚肉部を形成し、塑性変形して周溝に食い込ませているので、十分なカシメ強度が得られると同時に、板状体自体の強度も得られることから、従来よりも薄い板状体であっても従来と同様の高いカシメ強度を得ることができる。このように軸の形状を単純化することにより大幅なコストダウンが図れる。温間プレス加工で亀裂や破断等を起こすことなく完全な厚肉部を形成できるため、これを周溝に綺麗に食い込ますことが可能となるのであり、温間プレス加工による厚肉部の形成はマグネシウム又はマグネシウム合金素材のカシメに関する本願発明においては、重要な要素である。かりに厚肉部に亀裂や破断等があると、カシメ部に十分な強度が得られないこととなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るカシメ組付品に用いる板状体2と柱状体3を示し、図1〜6は製造方法の第1実施形態、図7は第2実施形態、図8は第3実施形態、図9は第4実施形態を示す。図中符号1はカシメ組付品、2は板状体、3は柱状体をそれぞれ示している。
【0019】
本発明に係るカシメ組付品1は、図1に示すように、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる板状体2と中空又は中実の柱状体3とをカシメ加工により組みつけたカシメ組付品であり、とくに電子部品などに好適であるが、その他種々の部品、製品に適用できることは勿論である。以下の実施形態においては、柱状体もマグネシウム又はマグネシウム合金からなる部材とした例について説明するが、柱状体はこれに限らず、他の金属からなる部材や、その他、合成樹脂、セラミックス、木製、複合繊維など種々の素材からなるものを適用することができる。
【0020】
マグネシウム又はマグネシウム合金製の板状体2には、柱状体3を挿入して組み付けるための取付穴20が設けられ、該取付穴の内周縁に沿って厚肉部21が形成される。以下の説明では、温間のバーリング加工により穴縁部を一方向に起立させて厚肉部21を形成しているが、温間プレス加工によりその他の形状に加工してもよい。また、柱状体3には、外周面に所定深さの周溝30が形成される。
【0021】
そして、第1〜第4実施形態で説明するように、柱状体3を板状体2の取付穴20に挿入し、厚肉部21と周溝30とが対向した状態で厚肉部21を軸方向から圧縮プレスすることにより、該厚肉部21が穴中心方向に塑性変形し、周溝30内の隙間sに食い込むことにより固定されることになる。
【0022】
具体的には、板状体2に、柱状体3を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに、該取付穴の内周縁に沿って厚肉部を温間のバーリング加工により形成するバーリング加工部と、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する溝加工手段と、前記柱状体3を板状体2の取付穴20に挿入し、厚肉部21と周溝30とが対向した組付位置にセットする取付手段と、厚肉部21を軸方向から好ましくは温間で圧縮プレスして取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する軸部の周溝内に食い込ませるカシメ部を備えた製造装置を用いて加工される。
【0023】
カシメ部の構造は、図2〜4にも示すように、柱状体3を内部に摺動案内できる挿通穴40を有しかつ板状体2の厚肉部21を下方から当接支持する下受け支持具41、および柱状体3を取付穴20の内部にて上方にばね付勢しながら支持する弾性支持具44と、ヒータ等の加熱手段を備えるとともに前記下受け支持具41を支持する加熱基台45と、同じく加熱手段を備え、厚肉部21を軸方向他方側から直接的または間接的にプレスする加圧パンチ43とより構成されている。
【0024】
以下、図1〜6に基づき第1実施形態の製造方法を説明する。
【0025】
まず、マグネシウム又はマグネシウム合金製の板状体2に対して、柱状体3を挿入して組み付けるための取付穴20が設けられ、該取付穴20の内周縁に沿って温間プレス加工により亀裂や破断等を起こすことなく厚肉部21が形成される。板状体2には、少なくとも板状部分に開けられた取付穴20およびその厚肉部21が存在すればよく、他の部分に板状以外の構造があってもよい。
【0026】
温間プレス加工は、本例では温間でのバーリング加工が採用されている。具体的には、図6に示すように、加圧パンチ70とともに上下に移動するストリッパ71と支持ダイ72との間で取付穴20を有する板状体2を挟持しつつ加圧パンチ70を押下することでバーリング加工を行うバーリング加工装置7を用いることができる。加圧パンチ70と支持ダイ72にはそれぞれ加熱手段73、74が設けられ、加工前に予め300℃程度に加熱できるように構成されている。その他、従来から公知のバーリング加工装置を用いることもできる。
【0027】
一方、この取付穴20に挿入される同じくマグネシウム又はマグネシウム合金製の柱状体3の外周面には、板状体2が取付けられる予定の組付位置に、所定深さの周溝30が形成される。
【0028】
周溝30の深さは、板状体2の厚肉部21が食い込んで固定された状態で十分な強度を維持できるように、板状体2の厚み、軸の外径などの大きさに応じて適宜設定される。柱状体3には少なくとも外周面に形成された周溝30が存在すればよく、他の部分に軸状以外の構造があってもよい。
【0029】
本例では、板状体2の厚肉部21が形成された取付穴20の形状を円形とし、柱状体をそれに嵌挿される断面視円形の外周面を有する軸体としたが、本発明はこのような形状になんら限定されず、たとえば断面視異形状、円弧状、あるいは角型形状等の柱状体3でも、図10に示すように、それに応じた形状の取付穴20を形成することにより板状体2を組付けることが可能である。また、双方の形状が同じでなくてもよく、たとえば柱状体3が断面視多角形であり、取付穴20がこれに外接する円形のものや、柱状体3が断面視円形で、取付穴20をこれに外接する多角形としたものなども好ましい。柱状体3は中実であってもよいし、薄板を筒状にした、例えば自動車のフレーム、ピラーなどの筒状体であってもよく、この場合、周溝はプレス加工で容易に形成できる。
【0030】
次に、図2に示すように、柱状体3を内部に摺動案内できる挿通穴40を有しかつ板状体2の厚肉部21を下方から当接支持する下受け支持具41、柱状体3を取付穴20の内部にて上方にばね付勢しながら支持する弾性支持具44、およびヒータ等の加熱手段46を備えるとともに前記下受け支持具41を支持する加熱基台45より構成されるカシメ治具4に、板状体2が取り付けられ、該板状体2の取付穴20と下受け支持具41の挿通穴40に柱状体3が周溝30を上にして挿入され、上端面が板状体2と面一であり、厚肉部21と周溝30とが対向した状態にセットされる。
【0031】
なお、本例では図6のバーリング加工により形成された厚肉部31が下向きとなり、その端部が下受け支持具41に当接するようにセットされているが、上向きにセットすることも勿論可能である。
【0032】
そして、カシメ治具4にセットされた板状体2および柱状体3に対し、上方から同じく加熱手段47を備えた加圧パンチ43を押下し、柱状体3のフランジ部31を介して厚肉部21が下受け支持具41との間で温間圧縮プレスされる。加工の際には、予め上記加熱手段46、47により下受け支持具41や加圧パンチ43が300℃程度に加熱されており、温間圧縮プレスにより、厚肉部21は、図3に示すように取付穴中心方向に塑性変形して亀裂や破断等を起こすことなく対向する軸部の周溝30内の隙間sに食い込んでゆき、最終的には、図4、5に示すように塑性変形した厚肉部21が周溝30内部を満たし、板状体2と軸部3が強固に一体化したマグネシウム又はマグネシウム合金製のカシメ組付品1が得られる。
【0033】
次に、図7に基づき第2実施形態の製造方法を説明する。
【0034】
第1実施形態では柱状体3を弾性支持するカシメ治具4を用いた例について説明したが、本実施形態ではこのような弾性支持具44を設けるかわりに、板状体3を弾性支持しながら柱状体3と板状体2を組み付ける方法を説明する。
【0035】
本実施形態のカシメ治具4は、図7(a)に示すように、柱状体3を内部に摺動案内できる挿通穴40を有しかつ板状体2の厚肉部21を下方から当接支持する下受け支持具41、該板状体3を取付穴20の周辺部で上方にばね付勢しながら支持する外形保持具42、およびヒータ等の加熱手段46を備えるとともに前記下受け支持具41を支持する加熱基台45より構成されている。加熱基台45に生じた熱は下受け支持具41に伝熱される。
【0036】
そして、このカシメ治具4に上記第1実施形態と同様、温間のバーリング加工が施されたマグネシウム又はマグネシウム合金製の板状体2が取り付けられ、セットされた板状体2および柱状体3に対し、上方から加熱手段47を備えた加圧パンチ43を押下し、厚肉部21が加熱された下受け支持具41と加圧パンチ43との間で温間圧縮プレスされる。これにより、図中(b)に示すように、取付穴中心方向に塑性変形した厚肉部21が周溝30内部を満たし、板状体2と軸部3が強固に一体化したマグネシウム又はマグネシウム合金製のカシメ組付品1が得られる。
【0037】
本例では柱状体3も同時に圧縮されるが、第1実施形態と同様、板状体2と同じように柱状体下端をばね付勢により支持しておき、加圧パンチ43と一緒に下方に移動可能として圧縮させないように構成することも好ましい例である。また、後述の第4実施形態と同様、厚肉部21に下端部が当接するスペーサ部材を介して圧縮プレスしたり、加圧パンチ43の下端に厚肉部にのみ当接する筒状部を一体的に形成するようにしても良い。柱状体3、板状体2の素材や構造その他の変形例などは、第1実施形態と同様に適用できる。
【0038】
次に、図8に基づき第3実施形態の製造方法を説明する。
【0039】
本実施形態では、柱状体3の端部に、板状体2の取付穴20に係止されるフランジ部31が形成されている。カシメ加工の際には、図8(a)に示すように、第2実施形態と同じカシメ治具4に温間のバーリング加工が施されたマグネシウム又はマグネシウム合金製の板状体2が取り付けられ、該板状体2の取付穴20と下受け支持具41の挿通穴40に柱状体3が前記フランジ部31を上にして挿入され、フランジ部31が取付穴20の上面に係止した状態にセットされる。これにより厚肉部21と周溝30とが対向した状態となる。
【0040】
そして、カシメ治具4にセットされた板状体2および柱状体3に対し、上方から加熱手段47を備えた加圧パンチ43を押下し、柱状体3のフランジ部31を介して厚肉部21が加熱された下受け支持具41と加熱された加圧パンチ43との間で温間圧縮プレスされる。これにより、図中(b)に示すように取付穴中心方向に塑性変形した厚肉部21が周溝30内部を満たし、板状体2と軸部3が強固に一体化したマグネシウム又はマグネシウム合金製のカシメ組付品1が得られる。このようなカシメ組付品1は、フランジ部31にある程度の厚みを確保できれば、フランジ部がないものに比べて、抜け強度をより高めることが可能となる。
【0041】
本例においても、柱状体3が同時に圧縮されるが、第1実施形態と同様、板状体2と同じように柱状体下端をばね付勢により支持しておき、加圧パンチ43と一緒に下方に移動可能として圧縮させないように構成することも好ましい例である。また、その他の変形例などは第1実施形態と同様に適用できる。
【0042】
次に、図9に基づき第4実施形態の製造方法を説明する。
【0043】
上記の第1〜第3実施形態では、板状体2を柱状体3の端部に組み付ける例について説明したが、本実施形態では柱状体3の端部ではなく途中部に板状体2を組み付ける例について説明する。
【0044】
図9(a)に示すように、柱状体3の軸方向途中部に周溝30が形成され、これに第1実施形態と同様の温間のバーリング加工が施されたマグネシウム又はマグネシウム合金製の板状体2が組み付けられる。柱状体3は、第2実施形態のカシメ治具4により周溝30と厚肉部21が対向する位置にセットされるとともに、周溝30よりも上側で板状体2よりも上方に突出した部分に、下端部50が厚肉部21の上端面に当接する筒状部を備えたスペーサ部材5が別途被着される。
【0045】
そして、上方から加熱された加圧パンチ43で前記スペーサ部材5を押下することにより、該スペーサ部材5を介して厚肉部21が加熱された下受け支持具41との間で圧縮プレスされ、これにより第1実施形態と同様、図9(b)に示すように塑性変形した厚肉部21が周溝30内部の隙間sを満たし、板状体2と軸部3が強固に一体化したマグネシウム又はマグネシウム合金製のカシメ組付品1が得られる。
【0046】
ここで、スペーサ部材5を下側に開口した有底の形状に構成しているが、上側も開口した筒形状に構成してもよい。また、スペーサ部材5により柱状体3も途中から一緒に圧縮しているが、スペーサ部材5と柱状体3上端面との隙間を十分にとって柱状体3に圧縮力が作用しないように構成してもよい。また、加圧パンチ43に加熱手段を設ける代わりに、前記スペーサ部材5に加熱手段を設けることも好ましい。
【0047】
さらには、板状体2と同じように、第1実施形態の治具と同様、柱状体下端をばね付勢により支持しておき、スペーサ部材5と一緒に下方に移動可能として圧縮させないように構成することも好ましい例である。
本例では、加圧パンチ43と厚肉部21との間に別途スペーサ部材5を介装したが、加圧パンチ43の下端部にスペーサ部材5と同様の筒状部を一体的に形成したものも好ましい。その他の変形例などは、第1実施形態と同様に適用できる。
【実施例】
【0048】
次に、本発明の製造方法により組み付けられた実施例1〜4、従来のカシメ方法による比較例1の各マグネシウム合金カシメ組付品について強度試験を行った結果を説明する。
【0049】
実施例1〜4は、それぞれ上記第1実施形態の方法(300℃の温間で薄板バーリング加工とカシメ加工を行ったもの)でマグネシウム合金の柱状体(軸体)の端部にマグネシウム合金の板状体をカシメ加工により組み付けたものであり、比較例1は、従来の軸頭部を潰すカシメ加工方法により同じくマグネシウム合金の薄板をマグネシウム合金軸に組み付けたものである。それぞれの軸体の外径、長さ、板状体の板厚は表1のとおり。
【0050】
【表1】


【0051】
加工後のカシメ部(接合部)の様子を図12、13に示している。図12(a)は、実施例1のカシメ部、図12(b)は、実施例3のカシメ部、図13は比較例1のカシメ部をそれぞれ示している。図12(a),(b)の図中に示した破線は軸体外形の延長線を示している。図12(a),(b)に示すように、実施例のカシメ組付品ではマグネシウム合金薄板に形成された厚肉部が同じくマグネシウム合金の軸体端部に形成された周溝に塑性変形によって綺麗に嵌まり込み、破断や亀裂等がなく確実に組み付けられていることが分かる。一方、図13(a),(b)(拡大写真)の比較例1ではカシメた軸頭部に亀裂・破断が生じ、製品として満足できるカシメ組付品が得られなかった。
【0052】
実施例1〜4のカシメ組付品について、それぞれ垂直度、押込強度、回転強度を試験した。垂直度はX、Y方向を測定した最大値とした。押込強度は、図11(a)に示すように逃げ穴60を設けた基台6に板状体2を載せ、上方に立設されている軸体3が逃げ穴の真上になる位置で板状体を基台6に固定する。そして、軸体の上端にブロックを積むなどして叙々に下方に垂直荷重を負荷して軸体の抜けの有無をみて、抜けたときの数値を記録する。回転強度は、図11(b)に示すように基台61から上方に延びる支持板62に板状体2を固定し、軸体に対して回転トルクを叙々に負荷して軸体の相対回転の有無をみて回転開始時のトルク数値を記録する。なお、押込強度、回転強度については、各実施例とも5つのサンプルの平均値を下記表2に示した。
【0053】
各試験の結果は表2のとおりであり、マグネシウム合金のカシメ組付品として各試験とも製品化に十分なデータが得られており、高い加工性能を示すことができた。
【0054】
【表2】


【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、例えばカシメ加工を温間で行わないもの等、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカシメ組付品の各部材を示す斜視図。
【図2】同じく第1実施形態において、各部材をカシメ治具に取り付けた状態を示す断面図。
【図3】厚肉部が塑性変形して柱状体の周溝に食い込んでゆく過程を示す断面図。
【図4】カシメ加工が完了した状態を示す断面図。
【図5】第1実施形態のカシメ組付品を示す斜視図。
【図6】(a),(b)はバーリング加工の様子を示す断面図。
【図7】(a)および(b)は第2実施形態の製造方法を示す断面図。
【図8】(a)および(b)は第3実施形態の製造方法を示す断面図。
【図9】(a)および(b)は第4実施形態の製造方法を示す断面図。
【図10】カシメ組付品の各部材の変形例を示す説明図。
【図11】(a),(b)は、それぞれ押込強度、回転強度の方法を示す説明図。
【図12】(a)は実施例1のカシメ接合部の断面写真,(b)は実施例3のカシメ接合部の断面写真。
【図13】(a)は比較例1のカシメ部を示す写真、(b)は同じく拡大写真。
【符号の説明】
【0057】
1 カシメ組付品
2 板状体
3 柱状体
4 カシメ治具
5 スペーサ部材
6 基台
7 バーリング加工装置
20 取付穴
21 厚肉部
30 周溝
31 フランジ部
31 厚肉部
40 挿通穴
41 支持具
42 外形保持具
43 加圧パンチ
44 弾性支持具
45 加熱基台
46,47 加熱手段
50 下端部
60 穴
61 基台
62 支持板
70 加圧パンチ
71 ストリッパ
72 支持ダイ
73,74 加熱手段
H 距離
s 隙間

【出願人】 【識別番号】506095456
【氏名又は名称】APSジャパン株式会社
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生

【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫

【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由


【公開番号】 特開2008−23556(P2008−23556A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198309(P2006−198309)