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回転部材の塑性結合構造 - 特開2008−18457 | j-tokkyo
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【発明の名称】 回転部材の塑性結合構造
【発明者】 【氏名】橋本 優

【要約】 【課題】シャフトとハブとの塑性結合において、回転力に対する強度を高める。

【構成】シャフト5の結合部8の外周面にセレーション9を形成する。セレーション9の歯面14の歯末側の面14Aの傾斜角γを150°程度の鈍角とし、歯元側の面14Bを円周方向に対して垂直とする。シャフト5よりも硬度の低いハブ6の結合部10にシャフト5の結合部8を圧入して、セレーション9の歯形をハブ6の結合部10の内周面に食込ませると共に、ハブ6側の材料をセレーション9の歯形間に塑性流動させてシャフト5とハブ6とを結合する。シャフト5とハブ6との間に回転力が作用したとき、セレーション9の歯先部15に生じる力と歯末側の面14Aに生じる力とが打消し合ってハブ6の結合部10の拡径を防止することにより、回転力に対する強度を高める。歯元側の面14Bを設けて歯形の基部の幅Wを大きくすることによってセレーション9の強度を高める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転部材の結合部の外周面にセレーションを形成し、前記第1部材よりも硬度が低い第2回転部材の結合部の内周面に、前記第1回転部材の結合部の外周面を圧入して、前記セレーションの歯形を前記内周面に食込ませると共に前記第2部材側の材料を前記歯形間に塑性流動させることによって前記第1回転部材と前記第2回転部材とを結合する回転部材の塑性結合構造において、前記歯形の一方の歯面は、前記第1回転部材の円周方向に対する傾斜角が鋭角となるように形成され、前記歯形の他方の歯面は、歯末側の面の前記第1回転部材の円周方向に対する傾斜角が鈍角となり、歯元側の面が前記第1回転部材の円周方向に対して略垂直となるように形成されていることを特徴とする回転部材の塑性結合構造。
【請求項2】
前記傾斜角は、120°〜160°の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の回転部材の塑性結合構造。
【請求項3】
前記第1回転部材はシャフトであり、前記第2回転部材はハブであることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転部材の塑性結合構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ハブとシャフト等の回転力を伝達する部材間を塑性結合によって互いに結合するための回転部材の塑性結合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用自動変速機に使用されて回転力を伝達するシャフトとハブとを結合する構造として塑性結合構造が知られている。塑性結合構造は、シャフト側の結合部の外周面にセレーションを形成し、シャフトよりも硬度の低い部材で形成されたハブ側の結合部の内周面にシャフト側の結合部の外周面を圧入して、セレーションの歯形をハブ側の結合部の内周面に食込ませると共にハブ側の材料を歯形間に塑性流動させることによって、これらを互いに結合するものである。これにより、セレーション側の歯形と塑性流動によって形成されたハブ側の歯形との噛合い結合が生じて大きな回転力を伝達することができる。
【0003】
また、特許文献1には、上述の塑性結合構造において、図7に示すように、シャフト1側に形成されたセレーション2の歯形における一方の歯面2Aのシャフト1の円周方向に対する傾斜角αを鈍角とした構造が記載されている。これにより、シャフト1とハブ3との間に正方向の回転力Tが作用したとき、セレーション2の歯形に作用する力Fは、歯面2Aに沿った方向の分力F1と歯面2Aに垂直な方向の分力F2とに分解することができ、このうち、歯面2Aに沿った方向の分力F1がハブ3を縮径させる方向に作用するため、シャフト1とハブ2との間の捻り強度を向上させることができる。
【特許文献1】特開2004−195475号公報
【0004】
しかしながら、図7に示す塑性結合構造では、次のような問題がある。セレーション2の歯形における一方の歯面2Aの傾斜角αを鈍角としたことにより、セレーション2の歯形の基部の幅Wが小さくなり、また、歯面2Aの基部の歯底側が鋭角となって応力が集中しやすくなるので、セレーション2の強度が低下することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、互いに結合された部材間に作用する回転力に対する強度を高めることができる回転部材の塑性結合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、第1回転部材の結合部の外周面にセレーションを形成し、前記第1部材よりも硬度が低い第2回転部材の結合部の内周面に、前記第1回転部材の結合部の外周面を圧入して、前記セレーションの歯形を前記内周面に食込ませると共に前記第2部材側の材料を前記歯形間に塑性流動させることによって前記第1回転部材と前記第2回転部材とを結合する回転部材の塑性結合構造において、前記歯形の一方の歯面は、前記第1回転部材の円周方向に対する傾斜角が鋭角となるように形成され、前記歯形の他方の歯面は、歯末側の面の前記第1回転部材の円周方向に対する傾斜角が鈍角となり、歯元側の面が前記第1回転部材の円周方向に対して略垂直となるように形成されていることを特徴とする
請求項2の発明に係る回転部材の塑性結合構造は、上記請求項1の構成において、前記傾斜角は、120°〜160°の範囲であることを特徴とする。
請求項3の発明に係る回転部材の塑性結合構造は、上記請求項1又は2の構成において、前記第1回転部材はシャフトであり、前記第2回転部材はハブであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る回転部材の塑性結合構造によれば、セレーションの歯形の歯末側の面の円周方向に対する傾斜角を鈍角としたことによって、回転力が作用したとき、第2回転部材を縮径させる方向の分力を発生させることができ、また、セレーションの歯形の歯元側の面を円周方向に対して略垂直としたことによって、歯形の基部の幅を大きくして歯形の強度を高めることができるので、回転力に対する強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る塑性結合構造によって組立てられたシャフト−ハブアセンブリを図4及び図5に示す。図4及び図5に示すように、シャフト−ハブアセンブリ4は、自動車用自動変速機に使用して回転力を伝達する部品であって、略円筒状のシャフト5(第1回転部材)の一端部に略有底円筒状のハブ6(第2回転部材)の底部を本発明に係る塑性結合構造によって結合したものである。
【0009】
シャフト5は、一端部が拡径されて大径部7が形成され、更に大径部7の端部が拡径されてフランジ状の結合部8が形成されている。結合部8の外周面には、セレーション9が形成されている。シャフト5は、例えばSMC420H(浸炭処理されたクロムモリブデン鋼)からなり、ビッカース硬さがHv800程度となっている。
【0010】
ハブ6の底部の中央部には、シャフト5の結合部8が嵌合される円筒状の結合部10が形成されている。結合部10の両端の内周部には、結合部10内に嵌合されたシャフト5の結合部8の両端部に当接するフランジ状のカシメ部11、12が形成されている。ハブ6は、例えばSPHD(熱間圧延鋼板)からなり、ビッカース硬さがHv100程度であり、シャフト5よりも硬度が低くなっている。
【0011】
次にシャフト5とハブ6との結合構造について図1乃至図3を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、シャフト5の結合部8の外周面にはセレーション9が形成されている。セレーション9の歯形は、図中右側の歯面13のシャフト5の結合部8の円周方向に対する傾斜角βが35°程度の鋭角となっている。また、図中左側の歯面14は、歯末側の面14Aの結合部8の円周方向に対する傾斜角γが150°程度の鈍角となっており、歯元側の面14Bが結合部8の円周方向に対して略垂直となっている。歯末側の面14Aの傾斜角γは、鈍角であり、好ましくは120°〜160°とする。セレーション9の歯形の歯先部15には、半径R1=0.3mm程度の丸みが形成されている。また、歯面14の基部には、半径R2の丸みが形成されており、この半径R2は好ましくはできるだけ大きくするとよい。
【0012】
そして、シャフト5の結合部8がハブ6の結合部10に圧入され、セレーション9の歯形がハブ6の結合部10の内周面に食込み、ハブ6側の材料がセレーション9の歯形間に塑性流動して、ハブ6側の結合部10に形成された歯形とセレーション9の歯形とが互いに噛合う。また、ハブ6の結合部10の両端部に形成されたカシメ部11、12によってシャフト5の結合部8が挟持されて軸方向に固定されている。
【0013】
次に、シャフト5とハブ6との塑性結合による組立工程について、図6を参照して説明する。図6(A)に示すように、セレーション9を形成するための歯切り部16を有するダイス17にシャフト5を挿入し、ポンチ18によってシャフト5の結合部8を歯切り部16に押し込むことによって結合部8の外周面にセレーション9を形成する。
【0014】
図6(B)に示すように、ダイス18、19にハブ6をセットし、ダイス18、19にシャフト5を挿入し、ポンチ20によって、セレーション9が形成されたシャフト5の結合部8をハブ6の結合部10に圧入する。これにより、セレーション9の歯形がハブ6の結合部10に食込み、ハブ6側の材料がセレーション9の歯形間に塑性流動して、ハブ6の結合部10に形成された歯形とセレーション9の歯形とが互いに噛合う。また、ハブ6の結合部10の下端部にカシメ部11が形成される。
【0015】
図6(C)に示すように、ポンチ21によってハブ6の結合部10の上端部をプレスしてカシメ部12を形成し、ハブ6の結合部10の両端部に形成されたカシメ部11、12によってシャフト5の結合部8を軸方向に固定する。このようにして、シャフト5とハブ6とを塑性結合によって互いに結合させることができる。
【0016】
以上のように構成して本実施形態の作用について次に説明する。
シャフト5側の結合部8に形成されたセレーション9の歯形とハブ6側の結合部10に塑性流動によって形成された歯形との噛合いによって、シャフト5とハブ6とを結合して、これらの間で回転力を伝達することができる。
【0017】
そして、図3に示すように、シャフト5とハブ6との間に正方向の回転力Tが作用したとき、セレーション9の歯形の歯先部15に作用する力fは、その傾斜面に沿った方向の分力f1と傾斜面に垂直な方向の分力f2とに分解することができ、このうち、傾斜面に沿った方向の分力f1がハブ5の結合部10を拡径させる方向に作用する。ここで、歯先部15は、その製法上、最低限R1=0.3mm程度の丸みが生じることになり、完全に尖端形状にすることは非常に困難であることから、ハブ5の結合部10を拡径させる方向に作用する分力f1を解消することはできない。
【0018】
また、シャフト5とハブ6との間に正方向の回転力Tが作用したとき、セレーション9の歯形の歯末側の面14Aに作用する力Fは、歯末側の面14Aに沿った方向の分力F1と歯末側の面14Aに垂直な方向の分力F2とに分解することができ、このうち、歯末側の面14Aに沿った方向の分力F1は、歯末側の面14Aの傾斜角γが鈍角であるため、ハブ6の結合部10を縮径させる方向に作用する。
【0019】
その結果、セレーション9の歯形の歯先部15で生じるハブ5の結合部10を拡径させる方向に作用する分力f1と、歯末側の面14Aで生じるハブ6の結合部10を縮径させる方向に作用する分力F1とが打消し合うので、ハブ6の結合部10の拡径を防止することができる。これにより、シャフト5とハブ6との間に作用する回転力Tに対する強度を高めることができる。
【0020】
また、セレーション9の歯形の歯元側の面14Bをシャフト5の結合部8の円周方向に対して略垂直としたので、歯形の基部の幅Wを充分大きくすることができ、セレーション9の強度を高めることができる。なお、歯元側の面14Bは、シャフト5の結合部8の円周方向に対して略垂直であるから、回転力Tが作用したとき、ハブ6の結合部10を縮径させる方向に作用する分力を発生させることはできないが、塑性流動したハブ6側の材料は歯元側の面14Bに殆ど接触しないため、セレーション9の噛合いの強度に影響を与えることはない。更に、歯元側の面14Bの基部の丸みの半径R2を充分大きくすることにより、応力の集中を防止してセレーション9の強度を高めることができる。
【0021】
なお、上記実施形態では、本発明を自動車用自動変速機のシャフト5とハブ6との結合に適用した場合について説明しているが、本発明は、これに限らず、他の回転力を伝達する回転部材間の結合にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転部材の塑性結合構造によるシャフト側とハブ側の結合部を拡大して示す概略図である。
【図2】図1に示す結合部を更に拡大して示す概略図である。
【図3】図1に示す結合部に作用する力の方向及び大きさを示す説明図である。
【図4】図1に示す塑性結合構造を用いて組立てられたシャフト−ハブアセンブリの縦断面図である。
【図5】図4に示すシャフト−ハブアセンブリの結合部を拡大して示す縦断面図である。
【図6】図1に示すシャフト−ハブアセンブリのシャフトとハブとの塑性結合による組立工程を示す図である。
【図7】従来の塑性結合による結合部を拡大して示す概略図である。
【符号の説明】
【0023】
5 シャフト(第1回転部材)、6 ハブ(第2回転部材)、8 結合部、9 セレーション、10 結合部、13 歯面、14 歯面、14A 歯末側の面、14B 歯元側の面、β 傾斜角、γ 傾斜角
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫

【識別番号】100093193
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 壽夫

【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫

【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫

【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫

【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏


【公開番号】 特開2008−18457(P2008−18457A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−192773(P2006−192773)