トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 プレス金型
【発明者】 【氏名】高橋 慎二

【要約】 【課題】パンチハイトの調整作業が簡便なプレス金型を提供する。

【構成】リング状のパンチヘッド2と、そのパンチヘッド2の内周に形成された雌ねじ3に螺合するパンチボディ1とを有し、パンチヘッド2がストライカで打圧されてパンチボディ1がパンチヘッド2と一体に下降し、そのパンチボディ1の下端がワークに加圧接触するプレス金型において、パンチヘッド2に形成された貫通孔16に係合部材15の棒部14を挿入し、その棒部14を、パンチボディ1の外周の溝5に入り込む係合位置と溝5から抜け出る係合解除位置との間で移動可能とし、係合位置にある状態の棒部14を係止して棒部14の係合解除位置への移動を阻止するロックピン20を設け、そのロックピン20を、棒部14を係止するロック位置とその係止を解除するロック解除位置との間で移動可能とし、そのロックピン20をロック解除位置からロック位置に向けて付勢するロックスプリング21を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状のパンチヘッド(2)と、そのパンチヘッド(2)の内周に形成された雌ねじ(3)に螺合するパンチボディ(1)とを有し、前記パンチヘッド(2)がストライカで打圧されて前記パンチボディ(1)が前記パンチヘッド(2)と一体に下降し、そのパンチボディ(1)の下端がワークに加圧接触するプレス金型において、前記パンチヘッド(2)に形成された半径方向の貫通孔(16)に係合部材(15)を挿入し、その係合部材(15)を、前記パンチボディ(1)の外周に形成された軸方向に延びる溝(5)に入り込む係合位置とその溝(5)から抜け出る係合解除位置との間で移動可能とし、係合位置にある状態の前記係合部材(15)を係止して係合部材(15)の係合解除位置への移動を阻止するロック部材(20)を設け、そのロック部材(20)を、前記係合部材(15)を係止するロック位置とその係止を解除するロック解除位置との間で移動可能とし、そのロック部材(20)をロック解除位置からロック位置に向けて付勢するロックスプリング(21)を設け、前記ロック部材(20)がロック位置にある状態では前記パンチボディ(1)に対する前記パンチヘッド(2)の回転操作が阻止され、前記ロック部材(20)をロック位置からロック解除位置に押し動かす操作によって前記パンチボディ(1)に対する前記パンチヘッド(2)の回転操作が許容されるようにしたことを特徴とするプレス金型。
【請求項2】
前記パンチヘッド(2)が大径部(11)と、その大径部(11)よりも外径が小さく、大径部(11)の下側に連なる小径部(12)とからなり、その小径部(12)に前記貫通孔(16)を形成し、前記係合部材(15)を、前記貫通孔(16)にスライド可能に挿入される棒部(14)と、前記小径部(12)の外周に沿って前記棒部(14)に連なる円弧状のばね部(13)とで構成し、前記棒部(14)が前記溝(5)に入り込む位置と前記溝(5)から抜け出る位置の間で移動可能であり、その棒部(14)を前記ばね部(13)によって前記溝(5)から抜け出る位置から前記溝(5)内に入り込む位置に向かって付勢し、前記溝(5)を前記パンチボディ(1)の外周に周方向に一定の間隔をおいて形成し、その各溝(5)に前記係合部材(15)の棒部(14)が係脱してパンチボディ(1)に対するパンチヘッド(2)の回転抵抗を一定の回転角ごとに変化させるようにした請求項1に記載のプレス金型。
【請求項3】
前記ロック部材(20)を、前記大径部(11)の下端面に形成された収容穴(19)に上下方向にスライド可能に挿入したロックピン(20)で構成し、そのロックピン(20)が前記ばね部(13)の半径方向外方への可動範囲を規制して前記棒部(14)の係合解除位置への移動を阻止するようにした請求項2に記載のプレス金型。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、プレス加工に用いられるプレス金型に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス加工は、一般に、パンチボディの上端に取り付けられたパンチヘッドをプレス機械のストライカで打圧し、その打圧によってパンチボディを下降させてパンチボディの下端をワークに加圧接触させることによって行なう。このプレス加工に用いられるプレス金型は、プレス機械に取り付けるときに、パンチヘッドの上端からパンチボディの下端までの距離(パンチハイト)をプレス機械の寸法に応じて調整する必要がある。
【0003】
このパンチハイトを調整可能なプレス金型として、図6に示すように、リング状のパンチヘッド31と、パンチヘッド31の内周に形成された雌ねじ32に螺合するパンチボディと33を有し、パンチヘッド31が上下に分割して形成され、パンチヘッド31の上側部分31Aと下側部分31Bをボルト34で上下方向に締め付けたプレス金型が知られている。
【0004】
このプレス金型は、ボルト34を緩めると、パンチボディ33に対するパンチヘッド31の回転操作が許容され、その状態でパンチヘッド31を回転操作することによりパンチハイトを調整することができる。パンチハイトを調整した後は、ボルト34を締めることによって、パンチボディ33に対するパンチヘッド31の回転操作が阻止された状態となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このパンチ金型は、レンチを用いてボルト34を締めたり緩めたりする作業が面倒であり、パンチハイトの調整作業が煩雑であった。
【0006】
また、このパンチ金型は、分度器などの角度計を用いないとパンチヘッド31の回転量が分からないので、パンチヘッド31を回転させる毎にパンチハイトをノギス等の測長器で計測する必要があり、パンチハイトの調整作業が煩雑であった。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、パンチハイトの調整作業が簡便なプレス金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、リング状のパンチヘッドと、そのパンチヘッドの内周に形成された雌ねじに螺合するパンチボディとを有し、前記パンチヘッドがストライカで打圧されて前記パンチボディが前記パンチヘッドと一体に下降し、そのパンチボディの下端がワークに加圧接触するプレス金型において、前記パンチヘッドに形成された半径方向の貫通孔に係合部材を挿入し、その係合部材を、前記パンチボディの外周に形成された軸方向に延びる溝に入り込む係合位置とその溝から抜け出る係合解除位置との間で移動可能とし、係合位置にある状態の前記係合部材を係止して係合部材の係合解除位置への移動を阻止するロック部材を設け、そのロック部材を、前記係合部材を係止するロック位置とその係止を解除するロック解除位置との間で移動可能とし、そのロック部材をロック解除位置からロック位置に向けて付勢するロックスプリングを設け、前記ロック部材がロック位置にある状態では前記パンチボディに対する前記パンチヘッドの回転操作が阻止され、前記ロック部材をロック位置からロック解除位置に押し動かす操作によって前記パンチボディに対する前記パンチヘッドの回転操作が許容されるようにした。
【0009】
このパンチ金型は、前記パンチヘッドが大径部と、その大径部よりも外径が小さく、大径部の下側に連なる小径部とからなり、その小径部に前記貫通孔を形成し、前記係合部材を、前記貫通孔にスライド可能に挿入される棒部と、前記小径部の外周に沿って前記棒部に連なる円弧状のばね部とで構成し、前記棒部が前記溝に入り込む位置と前記溝から抜け出る位置の間で移動可能であり、その棒部を前記ばね部によって前記溝から抜け出る位置から前記溝内に入り込む位置に向かって付勢し、前記溝を前記パンチボディの外周に周方向に一定の間隔をおいて形成し、その各溝に前記係合部材の棒部が係脱してパンチボディに対するパンチヘッドの回転抵抗を一定の回転角ごとに変化させるようにすると好ましい。
【0010】
前記ロック部材は、たとえば、前記大径部の下端面に形成された収容穴に上下方向にスライド可能に挿入したロックピンで構成し、そのロックピンが前記ばね部の半径方向外方への可動範囲を規制して前記棒部の係合解除位置への移動を阻止するように構成することができる。
【0011】
この発明を適用可能なプレス金型としては、たとえば、ワークを打ち抜く打ち抜き用金型や、ワークに円錐状の窪みを形成するセンターポンチ用金型、ワークの厚さよりも小さい突起を形成するダボ出し用金型が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
この発明のパンチ金型は、ロック部材を押し動かす操作によりパンチヘッドの回転操作が許容された状態となるので、レンチを用いてボルトを緩める作業やボルトを締め込む作業を必要とせず、パンチハイトの調整作業が簡便である。
【0013】
また、前記パンチボディの外周に周方向に一定の間隔をおいて形成された前記各溝に前記係合部材の棒部が係脱してパンチボディに対するパンチヘッドの回転抵抗を一定の回転角ごとに変化させるようにしたものは、パンチヘッドを回転させたときに、パンチヘッドの回転抵抗の変化回数を数えることによって、パンチハイトの変化量を知ることができる。そのため、パンチヘッドを回転させる前のパンチハイトが分かれば、パンチヘッドの回転抵抗の変化回数を数えることによって、パンチヘッドを回転させた後のパンチハイトを計測しないで知ることができ、パンチハイトの調整作業がより簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に、この発明の実施形態のプレス金型を示す。このプレス金型は、パンチボディ1と、パンチボディ1の上端に取り付けられたリング状のパンチヘッド2を有する。
【0015】
パンチボディ1は、パンチヘッド2の内周に形成された雌ねじ3に螺合するねじ軸部4を有し、ねじ軸部4の外周には、軸方向に延びる溝5が周方向に一定の間隔をおいて形成されている。
【0016】
また、パンチボディ1は、止めねじ6の操作によって着脱可能なワーク当接部7を有し、ワーク当接部7の下端面に形成された穴8内に、エジェクタピン9が上下方向にスライド可能に組み込まれている。エジェクタピン9は、穴8内に組み込まれた弾性体10で下方に付勢されている。
【0017】
パンチヘッド2は、図2に示すように、大径部11と、大径部11の下側に連なる小径部12とからなり、小径部12は大径部11よりも外径が小さい。小径部12には、図3に示すように、小径部12の外周に沿って設けられた円弧状のばね部13と、ばね部13の一端に連なり、ばね部13から半径方向内方に延びる棒部14とからなる係合部材15が装着されている。
【0018】
棒部14は、小径部12に形成された半径方向の貫通孔16にスライド可能に挿入され、ねじ軸部4の外周の溝5に入り込む位置(以下、「係合位置」という)と、溝5から抜け出る位置(以下、「係合解除位置」という)の間で移動可能となっている。また、棒部14は、ばね部13の弾性により係合解除位置から係合位置に向かって付勢されている。
【0019】
小径部12の外周には、図2に示すように、周方向に延びる突条17が形成され、この突条17がばね部13を下側から支持している。また、大径部11の下端面には、ばね部13の中央部分を間に挟んで小径部12の外周と向き合う割りピン18が打ち込まれ、この割りピン18で、ばね部13の半径方向外方への可動範囲を規制して、係合部材15の脱落を防止している。
【0020】
大径部11の下端面に形成された収容穴19には、ばね部13の一端を間に挟んで小径部12の外周と向き合うロックピン20が挿入されている。ロックピン20は、ばね部13の半径方向外方への可動範囲を規制し、係合位置にある状態の棒部14が係合解除位置に移動するのを阻止している。
【0021】
ロックピン20は、収容穴19内を上下方向にスライド可能となっており、ばね部13を係止して棒部14が係合位置から係合解除位置に移動するのを阻止する位置(以下、「ロック位置」という)と、ばね部13の係止を解除して棒部14が係合位置から係合解除位置に移動するのを許容する位置(以下、「ロック解除位置」という)の間で移動可能となっている。また、ロックピン20は、収容穴19内に組み込まれたロックスプリング21でロック解除位置からロック位置に向かって付勢されている。
【0022】
このように構成したパンチ金型は、ロックピン20がロック位置にある状態では、図2、図3に示すように、ロックピン20がばね部13を係止して棒部14の係合解除位置への移動を阻止しているので、パンチボディ1に対してパンチヘッド2を回転操作することができない。
【0023】
一方、ロックピン20をロック位置からロック解除位置に押し上げた状態では、図4に示すように、ロックピン20によるばね部13の係止が解除されて棒部14が係合解除位置に移動可能となるので、パンチボディ1に対するパンチヘッド2の回転操作が可能となる。
【0024】
この状態でパンチボディ1に対してパンチヘッド2を回転させると、図5に示すように、溝5の内面との接触により棒部14が溝5から抜け出て、さらにパンチヘッド2を回転させると、ばね部13の弾性力によって棒部14が隣の溝5に入り込む。このように、このパンチ金型は、パンチボディ1に対してパンチヘッド2を回転操作すると、各溝5に棒部14が係脱して、パンチヘッド2の回転抵抗が一定の回転角ごとに変化する。
【0025】
また、パンチボディ1に対してパンチヘッド2を回転操作すると、パンチヘッド2の内周の雌ねじ3に対するねじ軸部4のねじ込み量が変化するので、パンチヘッド2の上端からワーク当接部7の下端までの距離(パンチハイト)が変化する。このとき、パンチヘッド2の回転抵抗の変化回数を数えることにより、パンチハイトの変化量を知ることができる。
【0026】
たとえば、パンチヘッド2の内周の雌ねじ3のリードを1.5mm、パンチヘッド2を1回転させたときの回転抵抗の変化回数を6回とすると、パンチヘッド2の回転抵抗が1回変化するごとのパンチハイトの変化量は、(1.5mm)/(6回)=0.25mmとなり、パンチハイトを0.5mm変化させるためには、パンチヘッド2を回転操作して回転抵抗を2回変化させればよい。
【0027】
パンチハイトの調整を行なった後に、押し上げた状態のロックピン20から手を離すと、ロックスプリング21の付勢力によってロックピン20がロック位置に戻り、パンチボディ1に対するパンチヘッド2の回転操作が阻止された状態になる。
【0028】
このプレス金型によるプレス加工時の動作例を説明する。まず、パンチハイトの調整を行なったプレス金型をプレス機械に装着し、パンチボディ1と、パンチボディ1の下方に配置されたダイ(図示せず)との間にワーク(図示せず)を配置する。つぎに、パンチヘッド2の上端面をストライカ(図示せず)で打圧すると、パンチボディ1がパンチヘッド2と一体に下降し、ワーク当接部7の下端面がワークに加圧接触する。このとき、ダイの上端面からピン(図示せず)が突出し、そのピンがワークの下面を窪ませてワークの上面に突起を形成する。その後、ストライカが上昇すると、エジェクタピン9が、弾性体10の付勢力によって穴8内からワークの上面の突起を押し出し、ワーク当接部7からワークを離反させる。
【0029】
このパンチ金型を用いると、ロックピン20を手で直接押し上げる操作によりパンチヘッド2の回転操作が許容された状態となり、レンチを用いずにパンチハイトを調整することができる。そのため、レンチを用いてボルトを緩める作業やボルトを締め込む作業を必要とせず、パンチハイトの調整作業が簡便である。
【0030】
また、パンチヘッド2の回転抵抗の変化回数を数えることによって、パンチヘッド2を回転させたときのパンチハイトの変化量を知ることができる。そのため、パンチヘッド2を回転させる前のパンチハイトをノギス等の計測器で計測すれば、パンチヘッド2の回転抵抗の変化回数に基づいて、パンチヘッド2を回転させた後のパンチハイトを計測器で計測しないで知ることができ、パンチハイトの調整作業が簡単である。
【0031】
また、ワーク当接部7の下端面を研磨してパンチハイトが短縮した場合にも、パンチハイトの短縮量が予め分かれば、パンチヘッド2の回転抵抗の変化回数がパンチハイトの短縮量に相当する回数に至るまでパンチヘッド2を回転させることにより、ノギス等の計測器を用いずにパンチハイトを研磨前の大きさに戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施形態のプレス金型を示す断面図
【図2】図1のプレス金型のパンチヘッド近傍の拡大断面図
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図
【図4】図2のロックピンをロック解除位置に押し上げた状態を示す図
【図5】図4のパンチヘッドをパンチボディに対して回転させた状態を示す図
【図6】従来のプレス金型を示す断面図
【符号の説明】
【0033】
1 パンチボディ
2 パンチヘッド
3 雌ねじ
11 大径部
12 小径部
13 ばね部
14 棒部
15 係合部材
16 貫通孔
19 収容穴
20 ロックピン
21 ロックスプリング
【出願人】 【識別番号】391019304
【氏名又は名称】株式会社コニック
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎


【公開番号】 特開2008−12560(P2008−12560A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185411(P2006−185411)