トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 絞り成形品モデル作成システムとそれを備えた絞り成形品モデル解析システム、および絞り成形品モデル作成プログラムとそれを備えた絞り成形品解析プログラム。
【発明者】 【氏名】梅津 康義

【氏名】麻 寧緒

【氏名】渡辺 祐子

【要約】 【課題】実際に近い形状のダイフェース部を備える絞り成形品のモデルを作成する。

【構成】本発明の絞り成形品モデル作成システムは、製品形状データに基づく製品部と仮形状のダイフェース部とを備えた仮絞り成形品モデルを作成する仮絞り成形品モデル作成手段と、仮絞り成形品モデルをひずみエネルギーが最小になるように平面に展開して展開平面モデルを作成する展開平面モデル作成手段と、絞り成形品の素材である板材を展開平面モデル内に配置し、板材の輪郭が通過する展開平面モデルの要素を特定する輪郭要素特定手段と、前記輪郭要素特定手段で特定された展開平面モデルの各要素と対応する仮絞り成形品モデルの要素を見出し、見出した要素を通過するトリミングラインを設定し、このトリミングラインでトリミングして仮絞り成形品モデルのダイフェース部の仮の形状を適当な形状に修正し、適当な絞り成形品を得る絞り成形品モデル修正手段を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品部とその周囲にダイフェース部とを備える絞り成形品の有限要素モデルを作成する絞り成形品モデル作成システムであって、
3次元の有限要素モデルであって、与えられた製品形状データに基づく製品部と仮の形状のダイフェース部とを備えた仮絞り成形品モデルを作成する仮絞り成形品モデル作成手段と、
仮絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである展開平面モデルを作成する展開平面モデル作成手段と、
絞り成形品の素材である板材を展開平面モデル内に配置し、板材の輪郭が通過する展開平面モデルの要素を特定する輪郭要素特定手段と、
前記輪郭要素特定手段で特定された展開平面モデルの各要素と対応する仮絞り成形品モデルの要素を見出し、見出した要素を通過するトリミングラインを設定し、このトリミングラインでトリミングして仮絞り成形品モデルのダイフェース部の仮の形状を適当な形状に修正し、適当な絞り成形品を得る絞り成形品モデル修正手段を有することを特徴とする絞り成形品モデル作成システム。
【請求項2】
製品部とその周囲にダイフェース部とを備えた絞り成形品の有限要素モデルに対して有限要素法に基づく解析を実行する絞り成形品解析システムであって、
3次元の有限要素モデルであって、与えられた製品形状データに基づく製品部と仮の形状のダイフェース部とを備えた仮絞り成形品モデルを作成する仮絞り成形品モデル作成手段と、
仮絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである第1の展開平面モデルを作成する第1の展開平面モデル作成手段と、
絞り成形品の素材である板材を展開平面モデル内に配置し、板材の輪郭が通過する展開平面モデルの要素を特定する輪郭要素特定手段と、
前記輪郭要素特定手段で特定された展開平面モデルの各要素と対応する仮絞り成形品モデルの要素を見出し、見出した要素を通過するトリミングラインを設定し、このトリミングラインでトリミングして仮絞り成形品モデルのダイフェース部の仮の形状を適当な形状に修正し、適当な絞り成形品を得る絞り成形品モデル修正手段と、
修正された絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである第2の展開平面モデルを作成する第2の展開平面モデル作成手段と、
第2の展開平面モデルの板厚分布を修正された絞り成形品モデルの製品部の板厚分布に反映させる板厚分布反映手段とを有することを特徴とする絞り成形品解析システム。
【請求項3】
製品部とその周囲にダイフェース部とを備える絞り成形品の有限要素モデルを、コンピュータに作成させるための絞り成形品モデル作成プログラムであって、
コンピュータを、
3次元の有限要素モデルであって、与えられた製品形状データに基づく製品部と仮の形状のダイフェース部とを備えた仮絞り成形品モデルを作成する仮絞り成形品モデル作成手段と、
仮絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである展開平面モデルを作成する展開平面モデル作成手段と、
絞り成形品の素材である板材を展開平面モデル内に配置し、板材の輪郭が通過する展開平面モデルの要素を特定する輪郭要素特定手段と、
前記輪郭要素特定手段で特定された展開平面モデルの各要素と対応する仮絞り成形品モデルの要素を見出し、見出した要素を通過するトリミングラインを設定し、このトリミングラインでトリミングして仮絞り成形品モデルのダイフェース部の仮の形状を適当な形状に修正し、適当な絞り成形品を得る絞り成形品モデル修正手段として機能させることを特徴とする絞り成形品モデル作成プログラム。
【請求項4】
製品部とその周囲にダイフェース部とを備えた絞り成形品の有限要素モデルに対して有限要素法に基づく解析をコンピュータに実行させる絞り成形品解析プログラムであって、
コンピュータを、
3次元の有限要素モデルであって、与えられた製品形状データに基づく製品部と仮の形状のダイフェース部とを備えた仮絞り成形品モデルを作成する仮絞り成形品モデル作成手段と、
仮絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである第1の展開平面モデルを作成する第1の展開平面モデル作成手段と、
絞り成形品の素材である板材を展開平面モデル内に配置し、板材の輪郭が通過する展開平面モデルの要素を特定する輪郭要素特定手段と、
前記輪郭要素特定手段で特定された展開平面モデルの各要素と対応する仮絞り成形品モデルの要素を見出し、見出した要素を通過するトリミングラインを設定し、このトリミングラインでトリミングして仮絞り成形品モデルのダイフェース部の仮の形状を適当な形状に修正し、適当な絞り成形品を得る絞り成形品モデル修正手段と、
修正された絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである第2の展開平面モデルを作成する第2の展開平面モデル作成手段と、
第2の展開平面モデルの板厚分布を修正された絞り成形品モデルの製品部の板厚分布に反映させる板厚分布反映手段として機能させることを特徴とする絞り成形品解析プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、製品部とその周囲にダイフェース部とを備える絞り成形品の有限要素モデルに対して有限要素法に基づく解析を実行するためのシステムやプログラムに関し、コンピュータを用いた金属加工技術の分野に属する。
【0002】
プレス製品の板厚分布などをシミュレーションする場合、有限要素法に基づく解析方法が用いられ、例えば非特許文献1によれば、その具体的解法として、動的陽解法、静的陽解法、静的陰解法等が挙げられており、この静的陰解法に属するものとしてワンステップ法が存在する。
【0003】
この、ワンステップ法は、いわゆる逆解析法であって、板厚分布等を知りたい製品の有限要素モデルを作成し、これをひずみエネルギーが最小になるように(要素同士が重なることなく、また各要素の変形が最小ですむように)平面に展開し、展開した平面の有限要素モデルの各要素の変形や板厚等の状態を対応する製品の有限要素モデルの要素に反映させることにより、実際の製品の板厚分布状態などを得ようとするものである。
【0004】
その場合、絞り製品においては、前記ワンステップ法等の逆解析法は、製品部の周囲にダイフェースがついた状態、すなわち、ダイフェースが切り落とされて絞り製品となる前の絞り加工直後の絞り成形品に対して行われる。これは、絞り製品の板厚や応力の分布を正確に解析しようとすると、製品部周囲のダイフェースからの流れ込みなどを考慮することが重要だからである。
【0005】
なお、逆解析法に関連する従来技術としては、本件出願人の出願に係る特許文献1、2が存在する。
【0006】
【非特許文献1】日本塑性加工学会編「わかりやすいプレス加工」P159〜173(日刊工業新聞社、2000年5月23日出版)
【特許文献1】特開2004−148381公報
【特許文献2】特開2006−139447公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、絞り成形品の有限要素モデルにおいて、製品部の形状は与えられた製品形状のデータから正しくモデル化されるが、ダイフェースの形状はあいまいに(仮的に)モデル化される、すなわち実際の絞り成形品のダイフェースの形状が特定できないために、実際とは異なる形状にモデル化される。例えば、ダイフェースの形状は、絞り製品となる素材(ブランク)の板形状と同一にされる。したがってダイフェースの形状があいまいにモデル化された絞り成形品の有限要素モデルに対してワンステップ法などの逆解析を行うと、その解析精度が低下し、解析結果の絞り製品の板厚分布が実際の板厚分布を正しく反映しないことがある。
【0008】
そこで、本発明は、絞り製品の板厚分布の解析等に用いられる絞り成形品の有限要素モデルとして、実際に近い適当な形状のダイフェースを備えた絞り成形品の有限要素モデルを作成することができる絞り成形品モデル作成システムおよび絞り成形品モデル作成プログラムと、適当な形状のダイフェースを備えた絞り成形品の有限要素モデルを作成して解析し、実際の結果に精度よく対応する解析結果を出力することができる絞り成形品解析システムおよび絞り成形品解析プログラムとを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、請求項1に記載の発明は、製品部とその周囲にダイフェース部とを備える絞り成形品の有限要素モデルを作成する絞り成形品モデル作成システムであって、3次元の有限要素モデルであって、与えられた製品形状データに基づく製品部と仮の形状のダイフェース部とを備えた仮絞り成形品モデルを作成する仮絞り成形品モデル作成手段と、仮絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである展開平面モデルを作成する展開平面モデル作成手段と、絞り成形品の素材である板材を展開平面モデル内に配置し、板材の輪郭が通過する展開平面モデルの要素を特定する輪郭要素特定手段と、前記輪郭要素特定手段で特定された展開平面モデルの各要素と対応する仮絞り成形品モデルの要素を見出し、見出した要素を通過するトリミングラインを設定し、このトリミングラインでトリミングして仮絞り成形品モデルのダイフェース部の仮の形状を適当な形状に修正し、適当な絞り成形品を得る絞り成形品モデル修正手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、製品部とその周囲にダイフェース部とを備えた絞り成形品の有限要素モデルに対して有限要素法に基づく解析を実行する絞り成形品解析システムであって、3次元の有限要素モデルであって、与えられた製品形状データに基づく製品部と仮の形状のダイフェース部とを備えた仮絞り成形品モデルを作成する仮絞り成形品モデル作成手段と、仮絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである第1の展開平面モデルを作成する第1の展開平面モデル作成手段と、絞り成形品の素材である板材を展開平面モデル内に配置し、板材の輪郭が通過する展開平面モデルの要素を特定する輪郭要素特定手段と、前記輪郭要素特定手段で特定された展開平面モデルの各要素と対応する仮絞り成形品モデルの要素を見出し、見出した要素を通過するトリミングラインを設定し、このトリミングラインでトリミングして仮絞り成形品モデルのダイフェース部の仮の形状を適当な形状に修正し、適当な絞り成形品を得る絞り成形品モデル修正手段と、修正された絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである第2の展開平面モデルを作成する第2の展開平面モデル作成手段と、第2の展開平面モデルの板厚分布を修正された絞り成形品モデルの製品部の板厚分布に反映させる板厚分布反映手段とを有することを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項3に記載の発明は、製品部とその周囲にダイフェース部とを備える絞り成形品の有限要素モデルを、コンピュータに作成させるための絞り成形品モデル作成プログラムであって、コンピュータを、3次元の有限要素モデルであって、与えられた製品形状データに基づく製品部と仮の形状のダイフェース部とを備えた仮絞り成形品モデルを作成する仮絞り成形品モデル作成手段と、仮絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである展開平面モデルを作成する展開平面モデル作成手段と、絞り成形品の素材である板材を展開平面モデル内に配置し、板材の輪郭が通過する展開平面モデルの要素を特定する輪郭要素特定手段と、前記輪郭要素特定手段で特定された展開平面モデルの各要素と対応する仮絞り成形品モデルの要素を見出し、見出した要素を通過するトリミングラインを設定し、このトリミングラインでトリミングして仮絞り成形品モデルのダイフェース部の仮の形状を適当な形状に修正し、適当な絞り成形品を得る絞り成形品モデル修正手段として機能させることを特徴とする。
【0013】
さらにまた、請求項4に記載の発明は、製品部とその周囲にダイフェース部とを備えた絞り成形品の有限要素モデルに対して有限要素法に基づく解析をコンピュータに実行させる絞り成形品解析プログラムであって、コンピュータを、3次元の有限要素モデルであって、与えられた製品形状データに基づく製品部と仮の形状のダイフェース部とを備えた仮絞り成形品モデルを作成する仮絞り成形品モデル作成手段と、仮絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである第1の展開平面モデルを作成する第1の展開平面モデル作成手段と、絞り成形品の素材である板材を展開平面モデル内に配置し、板材の輪郭が通過する展開平面モデルの要素を特定する輪郭要素特定手段と、前記輪郭要素特定手段で特定された展開平面モデルの各要素と対応する仮絞り成形品モデルの要素を見出し、見出した要素を通過するトリミングラインを設定し、このトリミングラインでトリミングして仮絞り成形品モデルのダイフェース部の仮の形状を適当な形状に修正し、適当な絞り成形品を得る絞り成形品モデル修正手段と、修正された絞り成形品モデルを、ひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである第2の展開平面モデルを作成する第2の展開平面モデル作成手段と、第2の展開平面モデルの板厚分布を修正された絞り成形品モデルの製品部の板厚分布に反映させる板厚分布反映手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記請求項1〜4における「展開平面モデル作成手段」は、前述のワンステップ法等の既存の逆解析法をコンピュータを用いて実行するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、請求項1に記載するように、仮絞り成形品モデル作成手段が作成した仮絞り成形品モデルの仮の形状のダイフェースが、絞り成形品モデル修正手段により、適当な形状に修正される。これにより、実際の形状と近いダイフェースを備える絞り成形品モデルが得られる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載するように、実際の形状と近いダイフェースを備える絞り成形品モデルを得て、その得たモデルから第2の展開平面モデル作成手段によりひずみエネルギーが最小になるように絞り方向と直交する平面に展開して2次元の有限要素モデルである第2の展開平面モデルが作成され、第2の展開平面モデルの板厚分布が板厚分布反映手段により修正された絞り成形品モデルの製品部の板厚分布に反映される。その結果、実際に近い絞り製品の板厚分布が解析結果として出力される。
【0017】
一方、請求項3と4に記載の発明によれば、これらの発明に係るプログラムをコンピュータに搭載して実行すれば、請求項1と2に記載のシステムと同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、本発明がすることは、絞り製品の板厚や応力分布を有限要素法に基づく解析(例えば、ワンステップ法などの逆解析)するための前段階として、絞り製品となる前の製品部とダイフェース部とを備える絞り成形品の有限要素モデル、特にダイフェース部のモデル形状が適当である有限要素モデルを作成することである。また、適当な形状のダイフェース部を備えた絞り成形品の有限要素モデルを使用して絞り製品の応力や板厚分布を正確に知るような解析を実行することである。
【0019】
本発明の一実施形態として、絞り成形品モデル作成システムは、絞り成形品解析システムに組み込まれている。絞り成形品解析システムは、図1に示すように、コンピュータ10を中心として構成され、コンピュータ10は、中央処理装置12と、キーボードや記憶媒体(図示せず)などの絞り成形品の解析に必要なデータや情報がユーザから入力されるための入力装置14と、解析結果をユーザに出力するための出力装置16と、絞り成形品モデルの作成や絞り成形品を解析するために必要なプログラムやテーブルを記憶する記憶装置18とを有する。
【0020】
中央処理装置12は、入力装置14や出力装置16を制御するとともに、記憶装置18にアクセス可能に構成されており、具体的に言えば、入力装置14を介して入力された情報やデータと記憶装置18に記憶されているプログラムやデータを用いて絞り成形品の有限要素モデルを作成したりまたは絞り成形品を解析し、その結果を出力装置16に出力するように構成されている。
【0021】
入力装置14は、ユーザから絞り成形品の形状データ(例えば、CADデータ)や、絞り成形条件(例えば、絞り成形品の応力分布を解析するのに必要なホールド圧やビード圧などの条件)などをコンピュータ10に取り込むためのものである。例えば、入力装置14がキーボ−ドであって、出力装置16がディスプレイである場合、ディスプレイに絞り成形条件の入力を促し、ユーザに絞り成形に関する情報をキーボードによって入力させる。また、コンピュータ10が例えばCD−ROMなどの記憶媒体を読み書きできる装置を有する場合、これらの装置を入力装置14として、絞り成形品の形状データが記憶されたCD―ROMなどの記憶媒体から該絞り成形品の形状データを取得する。
【0022】
出力装置16は、ディスプレイやプリンタなどであって、適当な形状のダイフェース部を備える絞り成形品の画像を出力したり、適当な形状のダイフェース部を備えた絞り成形品の有限要素モデルについての解析結果を出力したりするように構成されている。
【0023】
記憶装置18には、図2に示すように、コンピュータを機能させるためのメインプログラムがあって、サブプログラムとしてユーザから与えられた有限要素モデルを作成する有限要素モデル作成プログラムと、絞り成形品の有限要素モデルを平面展開して平面の有限要素モデルを作成する展開平面モデル作成プログラムと、絞り成形品の有限要素モデルをトリミングするトリミング実行プログラムと、絞り成形品の板厚分布を解析する板厚分布解析プログラムとが記憶されている。また、ユーザから入力装置14を介して取得した仮絞り成形品の形状情報(CADデータ)を記憶する仮絞り成形品形状情報テーブルと、絞り成形品にされる素材(ブランク)の特徴の情報を含むブランク情報テーブルと、平面の有限要素モデルの作成や板厚分布の解析などに必要なホールド圧、ビード力などの情報を含む成形条件情報テーブルが記憶される。これらのテーブルの情報は、予め記憶装置18が保持していてもよいし、解析を実行するたびに、ユーザによって入力装置14を介して記憶装置18に入力されて記憶してもよい。これらのプログラム、テーブルは後述にて詳細する。
【0024】
ここからは、本システムの動作(メインプログラムがコンピュータにさせる動作)、すなわち、ユーザが板厚の分布を知りたい絞り製品に関して、ユーザから仮の形状のダイフェースが製品の周囲に付いている仮絞り成形品のデータを取得し、仮の形状のダイフェース部を適当なダイフェース部に修正して絞り製品の板厚分布を解析するまでの動作について、図3に示すフローを参照しながら説明する。
【0025】
図3に示すように、システム(コンピュータ10)は、まず、ステップ100において、ユーザから入力装置14を介して、図4に示すような製品部a1の周囲に仮の形状のダイフェース部a2を備えた仮絞り成形品Aの形状データを取得する。
【0026】
次に、ステップ110において、ユーザから入力装置14を介してユーザが板厚の分布を知りたい絞り製品を成形するためのブランクに関する情報、具体的には材料のヤング率などの機械的性質や板厚、さらに、図5に示すようにブランクの輪郭Xなどの情報を取得して記憶装置18に記憶する。
【0027】
ステップ120において、ユーザから入力装置14を介して絞り成形条件に関する情報を取得して記憶装置18に記憶する。取得する情報としては、絞り成形時にブランクを保持するときのホールド圧やビード力、製品部を形作るためにブランクに押し当てられるポンチの移動量(ストローク量)などがある。
【0028】
ユーザから様々な情報を取得すると、ステップ130において、システムは、有限要素モデル作成プログラムによりステップ100で取得した仮の形状のダイフェース部を備えた仮絞り成形品Aの形状データから図6に示すような有限要素モデルBを作成する。参考までに、上方から見た仮絞り成形品の有限要素モデルを図7に示す。
【0029】
ステップ140において、システムは、展開平面モデル作成プログラムにより、仮絞り成形品の有限要素モデルBから、ワンステップ法で行われるような、ステップ120で取得した絞り成形条件やブランクの機械的性質を考慮しつつひずみエネルギーが最小になるように(要素同士が重なることなく、また各要素の変形が最小ですむように)絞り方向に対して直交する平面に展開してなる、図8に示すような第1の平面有限要素モデル(請求の範囲の第1の展開平面モデルに対応。)Cを作成する。
【0030】
ステップ150において、図9に示すように、ステップ110で取得したブランクの輪郭Xをステップ140で作成した第1の平面有限要素モデルCに配置(投影)する。
【0031】
ステップ160において、図9に示すように、ブランクの輪郭Xのラインが通過する第1の平面有限要素モデルCの複数の要素e1、e2、e3、…を特定するとともに、各要素をどのような方向でラインが通過するかを内挿関数を用いて算出する(各要素内においてライン輪郭Xのラインが通過する点の内部パラメータを算出する。)。
【0032】
ステップ170において、ステップ160において特定した第1の平面有限要素モデルCの各要素e1、e2、e3…と同一対応する仮絞り成形品の有限要素モデルBの要素e1’、e2’、e3’、…を見出すとともに、第1の平面有限要素モデルCの各要素を所定の方向で通過する輪郭Xと同様に、対応する要素を所定の方向で通過するライン(以下、「トリミングライン」と称する。)X’を、図10に示すように設定する。
【0033】
ステップ180において、仮絞り成形品の有限要素モデルBをトリミングラインX’に沿ってトリミングする。その結果、図11に示すような絞り成形品の有限要素モデルDが作成される。この絞り成形品の有限要素モデルDが示す形状が、ステップ110において取得したブランクをステップ120において取得した絞り成形条件に基づいて絞り成形することにより実際に得られる形状であって、ユーザが所望する絞り製品部を備える形状である。こうして得られた形状の絞り成形品を、ステップ190において本絞り成形品と決定する。
【0034】
ここからは、ユーザが知りたい絞り製品(本絞り成形品の製品部)の板厚分布を、本絞り成形品の有限要素モデルDを用いてワンステップ法により求めていく。
【0035】
まず、ステップ200において、ステップ140で仮絞り成形品の有限要素モデルBを平面展開して第1の平面有限要素モデルCを作成したように、本絞り成形品の有限要素モデルDから図12に示すような第2の平面有限要素モデル(請求の範囲の第2の展開平面モデルに対応。)Eを作成する。
【0036】
次に、ステップ210において、板厚分布解析プログラムが第2の平面有限要素モデルにおいて板厚の分布を解析する。
【0037】
続いて、ステップ220において、第2の平面有限要素モデルFにおける板厚の分布の解析結果を本絞り成形品の有限要素モデルDに反映させる。反映させた結果を図13に示す。
【0038】
最後に、ステップ230において、ステップ220の本絞り成形品の解析結果をユーザに出力することにより、ユーザに絞り製品の板厚分布を知らせる。
【0039】
本実施形態によれば、実際に使用するブランクから、適当な形状のダイフェース部備える絞り成形品の有限要素モデルを作成し、その有限要素モデルにワンステップ法を適用することにより、製品部周囲のダイフェースからの流れ込みなどが正しく解析結果に反映され、その結果、板厚分布などの解析結果は実際の結果に近いものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ダイフェースに関するものであるため、絞り製品の形状に限定されず、例えば円筒や半球などでもよく、また、絞り成形法を問わず、例えばヘラ絞りなどにも実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る絞り成形品解析システムの構成を示す図である。
【図2】記憶装置の構成を示す図である。
【図3】絞り製品の板厚分布を解析する動作のフローを示す図である。
【図4】仮絞り成形品の形状を示す図である。
【図5】ブランクの形状を示す図である。
【図6】仮絞り成形品の有限要素モデルを示す図である。
【図7】上方から見た仮絞り成形品の有限要素モデルを示す図である。
【図8】仮絞り成形品の有限要素モデルを平面展開してなる第1の平面有限要素モデルを示す図である。
【図9】ブランクの輪郭が投影された第1の平面有限要素モデルを示す図である。
【図10】トリミングラインX’が示された仮絞り成形品有限要素モデルを示す図である。
【図11】本絞り成形品有限要素モデルを示す図である。
【図12】本絞り成形品の有限要素モデルを平面展開してなる第2の平面有限要素モデルを示す図である。
【図13】本絞り成形品上での板厚分布を示す図である。
【出願人】 【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100083013
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 正明


【公開番号】 特開2008−6464(P2008−6464A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179281(P2006−179281)