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【発明の名称】 板金成形品の製造方法及び板金成形品
【発明者】 【氏名】小幡 健治

【氏名】下田 武人

【要約】 【課題】コストを抑えつつも第2舌片部の強度低下を抑えて、品質の向上を図ることができる板金成形品の製造方法及び板金成形品を提供する。

【構成】金属板30から溝を打ち抜くことにより、金属板30の板厚方向に屈曲される第1舌片部40が金属板30に一体成形される。屈曲状態における第1舌片部40の板厚方向に金属板30を圧縮することにより、第1舌片部40の側方には、金属板30の所定位置を金属板30の板厚方向に潰し加工、曲げ加工を行うことにより、第2舌片部42が金属板30と一体形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板から第1舌片部を切り起こして屈曲させ、屈曲状態における前記第1舌片部の板厚方向に前記平板を圧縮して前記第1舌片部の屈曲により生じる開口部を縮小し、更に前記第1舌片部の板厚方向と交差する方向がその板厚方向となる第2舌片部を前記開口部の周縁に備える板金成形品の製造方法であって、
前記第1舌片部及び前記第1舌片部の屈曲により生じる前記開口部の周縁部から内側に突出する凸部を形成するための溝及び前記平板の端部に前記凸部側に窪む凹部を前記平板から打ち抜く工程と、
前記溝の打ち抜きにより形成される前記第1舌片部を基端部から前記平板の板厚方向に屈曲させる工程と、
屈曲状態における前記第1舌片部の板厚方向に前記平板を圧縮して前記開口部を縮小させるとともに、その圧縮変形を前記凸部及び前記凹部に作用させその圧縮により前記開口部の周縁から内側に延出される前記凸部に基づいた内側延出部を形成する工程と、
前記内側延出部を成形して前記第2舌片部を形成する工程と、
前記第2舌片部を前記平板の板厚方向に屈曲させる工程と
を備えたことを特徴とする板金成形品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の板金成形品の製造方法において、
前記内側延出部から第2舌片部を成形する工程は、前記内側延出部を板厚方向に潰す工程を含んでいることを特徴とする板金成形品の製造方法。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の板金成形品の製造方法において、
前記平板の板厚方向に屈曲させた前記第2舌片部の基端にリブを形成する工程を有することを特徴とする板金成形品の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の板金成形品の製造方法において、
モータに用いられる給電ブラシを保持するためのブラシホルダに埋設されるターミナル一体部品であることを特徴とする板金成形品の製造方法。
【請求項5】
平板から第1舌片部を切り起こして屈曲させ、屈曲状態における前記第1舌片部の板厚方向に前記平板を圧縮して前記第1舌片部の屈曲により生じる開口部を縮小し、更に前記第1舌片部の板厚方向と交差する方向がその板厚方向となる第2舌片部を前記開口部の周縁に備える板金成形品であって、
前記第2舌片部は前記平板の前記開口部の周縁に一体形成されたことを特徴とする板金成形品。
【請求項6】
請求項5に記載の板金成形品において、
第2舌片部は板厚方向に潰す工程を経て形成されたことを特徴とする板金成形品。
【請求項7】
請求項5及び請求項6に記載の板金成形品において、
前記平板の板厚方向に屈曲させた前記第2舌片部の基端にリブが形成されたことを特徴とする板金成形品。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の板金成形品において、
モータに用いられる給電ブラシを保持するためのブラシホルダに埋設されるターミナル一体部品であることを特徴とする板金成形品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、板金成形品の製造方法及び板金成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家電、OA機器及び自動車関連製品の小型化が進む傾向にあり、それに伴い、各種電気製品の小型化が要求されている。例えば、図16に示すような、金属板62から略直角に切り起こされた対向する一対の第1舌片部63と、その第1舌片部63の対向方向に直行する方向に対向する一対の第2舌片部64とがそれぞれ形成されるプレス加工部品61では、第1舌片部63の幅L1と第2舌片部64間の距離L2との差(L1<L2)をできるだけ小さくし、第1舌片部63の切り起こしにより形成される開口部65を小さくしたいという要求がある。
【0003】
その形成方法として、例えば、まず、金属板62から溝を打ち抜き、金属板62の板厚方向に屈曲させることで第1舌片部63を形成する。次に、金属板62の平面方向に沿って各第1舌片部63が接近する方向(屈曲状態における第1舌片部63の板厚方向)へ金属板62を圧縮することで、第1舌片部63の切り起こしにより形成される開口部65を小さくする。そして、トリム加工により、金属板62において圧縮により湾曲した部分を直線に切断する(特許文献1参照)。このように第1舌片部63を成形した後、金属板62に第2舌片部64を溶接及びリベットかしめ等によって接合し、プレス加工部品61を成形する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2004−237330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の形成方法では第1舌片部63の幅L1と第2舌片部64間の距離L2との差を小さくするために、金属板62とは別の金属板からなる第2舌片部64を用いるため、例えば、材料費、金型費及び加工費等に掛かるコストが高くなってしまう。また、金属板62と第2舌片部64との溶接部分の強度が低下し、プレス加工部品61の品質が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、平板から第1舌片部を切り起こして屈曲させ、屈曲状態における第1舌片部の板厚方向に平板を圧縮して前記第1舌片部の屈曲により生じる開口部を縮小し、更に第1舌片部の板厚方向と交差する方向がその板厚方向となる第2舌片部を開口部の周縁に備える板金成形品であって、コストを抑えつつも第2舌片部の強度低下を抑えて、品質の向上を図ることができる板金成形品の製造方法及び板金成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、平板から第1舌片部を切り起こして屈曲させ、屈曲状態における前記第1舌片部の板厚方向に前記平板を圧縮して前記第1舌片部の屈曲により生じる開口部を縮小し、更に前記第1舌片部の板厚方向と交差する方向がその板厚方向となる第2舌片部を前記開口部の周縁に備える板金成形品の製造方法であって、前記第1舌片部及び前記第1舌片部の屈曲により生じる前記開口部の周縁部から内側に突出する凸部を形成するための溝及び前記平板の端部に前記凸部側に窪む凹部を前記平板から打ち抜く工程と、前記溝の打ち抜きにより形成される前記第1舌片部を基端部から前記平板の板厚方向に屈曲させる工程と、屈曲状態における前記第1舌片部の板厚方向に前記平板を圧縮して前記開口部を縮小させるとともに、その圧縮変形を前記凸部及び前記凹部に作用させその圧縮により前記開口部の周縁から内側に延出される前記凸部に基づいた内側延出部を形成する工程と、前記内側延出部を成形して前記第2舌片部を形成する工程と、前記第2舌片部を前記平板の板厚方向に屈曲させる工程とを備えたことをその要旨とする。
【0007】
この発明では、第1舌片部の板厚方向への平板の圧縮が、開口部の周縁部から内側に突出する凸部及び平板の端部に凸部側に窪む凹部に作用して形成される内側延出部が成形される。そして、この内側延出部を成形することで第2舌片部が形成されることにより、平板から切り起こし形成された第1舌片部と、第1舌片部の板厚方向と交差する方向がその板厚方向となる第2舌片部とが平板に一体成形される。このため、例えば溶接及びリベットかしめ等の加工が不要であり、板金成形品を成形するコストを抑えつつも第2舌片部の強度低下を抑えて、品質の向上を図ることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の板金成形品の製造方法において、前記内側延出部から第2舌片部を成形する工程は、前記内側延出部を板厚方向に潰す工程を含んでいることをその要旨とする。
【0009】
この発明では、平板を第1舌片部の板厚方向に圧縮することで形成される内側延出部を板厚方向に潰すことにより、第2舌片部が成形される。このため、内側延出部を形成する際の平板に対する圧縮量と内側延出部を潰す際の潰し量により、第2舌片部の基端からの高さを容易に設定することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1及び請求項2に記載の板金成形品の製造方法において、前記平板の板厚方向に屈曲させた前記第2舌片部の基端にリブを形成する工程を有することをその要旨とする。
【0011】
この発明では、第2舌片部の基端にリブが設けられる。このため、第2舌片部基端の屈曲部分の剛性が上がる。特に上記請求項2に適用すれば、板厚が薄くなるために曲げ強度低下が予測される第2舌片部基端の屈曲部分の剛性が上がる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の板金成形品の製造方法において、モータに用いられる給電ブラシを保持するためのブラシホルダに埋設されるターミナル一体部品であることをその要旨とする。
【0013】
この発明では、ターミナル一体部品が1枚の平板から成形され、例えば溶接及びリベットかしめ等の加工が不要である。このため、ターミナル一体部品を成形するコストを抑えつつも、品質の向上を図ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、平板から第1舌片部を切り起こして屈曲させ、屈曲状態における前記第1舌片部の板厚方向に前記平板を圧縮して前記第1舌片部の屈曲により生じる開口部を縮小し、更に前記第1舌片部の板厚方向と交差する方向がその板厚方向となる第2舌片部を前記開口部の周縁に備える板金成形品であって、前記第2舌片部は前記平板の前記開口部の周縁に一体形成されたことをその要旨とする。
【0015】
この発明では、平板から切り起こし形成された第1舌片部と、第1舌片部の板厚方向と交差する方向がその板厚方向となる第2舌片部とが平板に一体成形される。このため、第2舌片部の形成にあたり、例えば溶接及びリベットかしめ等の加工が不要な、低コストで品質の高い板金成形品となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の板金成形品において、第2舌片部は板厚方向に潰す工程を経て形成されたことをその要旨とする。
この発明では、平板を第1舌片部の板厚方向に圧縮することで形成される内側延出部を板厚方向に潰すことにより、第2舌片部が成形される。このため、内側延出部を形成する際の平板に対する圧縮量と内側延出部を潰す際の潰し量により、第2舌片部の基端からの高さを容易に設定することができるので、寸法設定が容易な板金成形品となる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項5及び請求項6に記載の板金成形品において、前記平板の板厚方向に屈曲させた前記第2舌片部の基端にリブが形成されたことをその要旨とする。
【0018】
この発明では、第2舌片部の基端にリブが形成される。このため、第2舌片部基端の屈曲部分の剛性が上がる。特に上記請求項6に適用すれば、板厚が薄くなるために曲げ強度低下が予測される第2舌片部基端の屈曲部分の剛性が上がる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれかに記載の板金成形品において、モータに用いられる給電ブラシを保持するためのブラシホルダに埋設されるターミナル一体部品であることをその要旨とする。
【0020】
この発明では、ターミナル一体部品が1枚の平板から成形される。このため、第2舌片部の形成にあたり、例えば溶接及びリベットかしめ等の加工の不要な、低コストで品質の高いターミナル一体部品となる。
【発明の効果】
【0021】
従って、上記記載の発明によれば、平板から第1舌片部を切り起こして屈曲させ、屈曲状態における第1舌片部の板厚方向に平板を圧縮して前記第1舌片部の屈曲により生じる開口部を縮小し、更に第1舌片部の板厚方向と交差する方向がその板厚方向となる第2舌片部を開口部の周縁に備える板金成形品であって、コストを抑えつつも第2舌片部の強度低下を抑えて、品質の向上を図ることができる板金成形品の製造方法及び板金成形品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1に示すモータ1は、車両に搭載されるパワーウィンドウ装置の駆動源として用いられている。モータ1は、モータ本体2及び減速部3から構成されている。モータ本体2は、ヨークハウジング4、一対のマグネット5、電機子6、ブラシホルダ7及び一対の給電ブラシ8を備えている。
【0023】
ヨークハウジング4は略有底円筒状をなしており、その内側面に一対のマグネット5が固着されている。マグネット5の内側には、電機子6が回転可能に収容されている。電機子6は回転軸9を有し、その回転軸9はヨークハウジング4の底部中央に組み付けた軸受10により回転可能に支持されている。
【0024】
ヨークハウジング4の開口部4aには、径方向外側に延びる一対のフランジ部4bが形成されている。フランジ部4bは、ヨークハウジング4を後記するギヤハウジング12に対してネジ11にて固定するために設けられている。
【0025】
前記減速部3は、ギヤハウジング12、ウォーム軸13、ウォームホイール14及びクラッチ15を備えている。ギヤハウジング12は、合成樹脂製であって、内部にウォーム軸13、ウォームホイール14及びクラッチ15を収容可能に形成されている。また、ギヤハウジング12は、ヨークハウジング4の開口部4a(フランジ部4b)と対向する開口部12aを有している。そして、このギヤハウジング12とヨークハウジング4とは、両ハウジング4,12間にブラシホルダ7が挟持された状態で前記ネジ11にて固定される。
【0026】
ウォーム軸13は、ギヤハウジング12内の所定位置に設けた軸受16,17により回転可能に支持され、前記モータ本体2から延びる回転軸9とクラッチ15を介して駆動連結されている。このクラッチ15は、回転軸9からの駆動力をウォーム軸13に伝達し、逆にウォーム軸13からの駆動力が回転軸9に伝達しないようウォーム軸13の回転をロックするように作動する。つまり、このクラッチ15は、負荷側(出力軸18側)からのモータ1の回転を防止するために設けられている。
【0027】
ウォーム軸13は、ウォームホイール14と噛合されている。ウォームホイール14は、ウォーム軸13と直交するように配置された出力軸18と駆動連結されている。出力軸18は、ウィンドウガラス(図示略)を開閉させる周知のXアーム式レギュレータ(図示略)と駆動連結されている。そして、出力軸18が回転することによりレギュレータが作動し、ウィンドウガラスが開閉するようになっている。
【0028】
図2に示すように、ヨークハウジング4の開口部4a(フランジ部4b)とギヤハウジング12の開口部12aとの間には、ブラシホルダ7が挟持される。ブラシホルダ7は、ヨークハウジング4の開口部4aをほぼ塞ぐ形状をなすブラシホルダ本体部(ホルダ本体部)7aと、同ホルダ本体部7aから径方向外側に延びる延出部7bと、同延出部7bからモータ1外に露出し、外部との電気的な接続を図るコネクタ部7cとを備えている。
【0029】
ホルダ本体部7aの外周部には、延出部7bと繋がるように全周にわたって挟持部7dが設けられている。挟持部7dは、延出部7bとともにヨークハウジング4の開口部4a(フランジ部4b)とギヤハウジング12の開口部12aとの間に挟持される。
【0030】
ホルダ本体部7aの中央には、前記回転軸9の先端側の所定部位を回転可能に支持する軸受19が組み付けられている。また、ホルダ本体部7aには、一対のブラシ8を保持するためのブラシ保持部7eが形成されている。ブラシ8は、ブラシ保持部7eにて保持されて、回転軸9と一体回転する整流子20に摺接するようになっている。
【0031】
ホルダ本体部7aのブラシ保持部7eとは反対側には、収容凹部7fが形成されている。収容凹部7fには、回路基板21が取り付けられている。回路基板21には、一対のホール素子磁気センサ22が設けられている。ここで、回転軸9の先端部には、前記クラッチ15の駆動側回転体23が回転軸9と一体回転するように連結されており、駆動側回転体23には、周方向に多極着磁されたリング状のセンサマグネット24が固着されている。つまり、センサマグネット24は、回転軸9とともに回転するようになっている。ホール素子磁気センサ22は、回転軸9とともに回転するセンサマグネット24の磁界の変化に基づいて、回転軸9の回転情報(回転数や回転速度等)を検出する。
【0032】
また、ブラシホルダ7の挟持部7d、延出部7b及びコネクタ部7cは、弾性及び絶縁性を有するエラストマ材料よりなる被覆部25にて被覆されている。挟持部7d及び延出部7bを被覆する被覆部25は、両ハウジング4,12の開口部4a,12a間に挟持されることにより両開口部4a,12aを密閉し、両ハウジング4,12内に水滴や塵埃といった異物の侵入を防止している。また、コネクタ部7cを被覆する被覆部25は、コネクタ部7cの開口部7g内への異物の侵入を防止するものである。
【0033】
図3に示すように、ブラシホルダ7のホルダ本体部7a、延出部7b及びコネクタ部7cの内部には、図4に示すように、6本のターミナル26が埋設されている。これら6本のターミナル26のうち4本が信号出力用ターミナル26aであり、残りの2本が給電用ターミナル26bとなっている。そして、これら信号出力用ターミナル26a及び給電用ターミナル26bは、それらを一体化した板金成形品としてのターミナル一体部品27(図5(a),(b)参照)から形成される。ターミナル一体部品27は、後記する金属板30をプレス加工機により打ち抜き、所定形状に折り曲げることにより形成されている。
【0034】
信号出力用ターミナル26aは、回路基板21からの検出信号を外部に出力するものである。図3に示すように、信号出力用ターミナル26aは、コネクタ部7cから延出部7bを介してホルダ本体部7aの所定位置まで延び、前記回路基板21と接続するように所定形状に形成されている。信号出力用ターミナル26aは、コネクタ部7cの開口部7g内で露出する部分(図2参照)が給電用ターミナル26bと同じ幅で形成され、これ以外の埋設する部分が給電用ターミナル26bより幅狭に形成されている。
【0035】
給電用ターミナル26bは、コネクタ部7cから延出部7bを介してホルダ本体部7aの所定位置まで延び、同所定位置において前記ブラシ8と接続するために直角に屈曲される第1舌片部40を備えている。第1舌片部40は、軸受19に支持される回転軸9の軸方向に平行に延びている。各第1舌片部40の折り曲げ部分近傍から側方に所定位置まで延びる各支持部41には、第2舌片部42が第1舌片部と同様に軸受19に支持される回転軸9の軸方向に平行に延びるように、各支持部41から第1舌片部40と同方向直角に折り曲げられている。第1舌片部40と第2舌片部42は、その厚み方向が直交するように設けられている。給電用ターミナル26bは、外部から電源供給を受け、その電源を第1舌片部40を通じてブラシ8に供給する。第2舌片部は雑防素子としてのコンデンサ43と電気的に接続される。
【0036】
これら信号出力用ターミナル26a及び給電用ターミナル26bは、互いに間隔をもってほぼ平行に配置され、互いに絶縁されている。また、2本の給電用ターミナル26b同士も互いに絶縁されている。
【0037】
ところで、図5(a)に示すように、このような各ターミナル26a,26bとなる前の前記ターミナル一体部品27には、コネクタ部7cの基端部7h及び延出部7bに対応する位置において、それぞれ隣接するターミナル26a,26b間で連結する連結部29a,29bが設けられている。また、前記支持部41の先端には、各給電用ターミナル26b同士を連結する連結部29cが設けられている。図5(b)に示すように、2本の給電用ターミナル26bには、前記第1舌片部40がそれぞれ屈曲形成されている。各給電用ターミナル26bの支持部41には、前記第2舌片部42が屈曲形成されている。
【0038】
次に、ターミナル一体部品27を形成するのに用いられる平板状の金属板30から、第1舌片部40及び第2舌片部42を形成工程について、図6から図11まで順をおって説明する。尚、図6から図11は、金属板30において各第1舌片部40及各第2舌片部42が形成される部分を強調して示した概略図である。
【0039】
第1の工程として、図6に示すように、金属板30に略H状の溝31をプレス加工機により打ち抜くことにより、各々の基端から先端までの距離が略同じ長さになる2つの第1舌片部40が形成される。溝31は、第1舌片部40先端の両側方において、第1舌片部40の屈曲により生じる開口部34(図7参照)の内側に突出する(第1舌片部40の突出方向の直行方向に突出する)凸部32を備える形状をなしている。また、溝31を形成するプレス加工の際、金属板30の端面30a,30bにおける凸部32に対応する位置には、該開口部34方向に窪む凹部33が溝31と同時に形成される。
【0040】
第2の工程として、図7(a),(b)に示すように、第1舌片部40が金属板30の板厚方向に、金属板30に対して略直角に屈曲される。また、この屈曲により、略長方形状の開口部34が形成される。この工程の時点では、各第1舌片部40間の距離Wと、各第1舌片部40の高さH(基端から先端までの距離)の合計(H×2)とは略等しくなっている。
【0041】
第3の工程として、図8(a),(b)に示すように、金属板30は、後記する金型装置44により、その金属板30の平面方向に沿って各第1舌片部40が近接する方向(屈曲状態における第1舌片部40の板厚方向)に圧縮される。ここで、ターミナル一体部品27の第1舌片部40及び第2舌片部42を形成するための金型装置44について説明する(図12及び図13参照)。
【0042】
図12(b)に示すように、金型装置44は上型44a及び下型44bによって形成されている。図12(a)に示すように、下型44bは、金属板保持台45、金属板保持部46及び圧縮カム47を備えている。金属板保持部46は、金属板保持台45に固定されており、金属板30の端面30a,30b,30c等を保持する保持凹部46aを有している。圧縮カム47は、金属板保持台45において金属板保持部46に対して接離可能に配置されている。圧縮カム47は、金属板30の端面30a,30b,30d等を保持する保持凹部47aを有している。
【0043】
圧縮カム47には、金属板保持台45に固定された壁部51を貫通するロッド52が固定されており、ロッド52には、バネ53が取り付けられている。バネ53は、金属板30を圧縮させる方向とは反対側に圧縮カム47を付勢するようになっている。そのため、上型44aが上昇すると、圧縮カム47は壁部51側に移動する。
【0044】
図12(b)に示すように、上型44aは、作動カム48、押さえバネ49及び金属板押さえ部材50を備えている。作動カム48は、基台54に取り付けられており、作動カム48に設けた斜面48aとそれに対応して設けた圧縮カム47の斜面47bにより、圧縮カム47の移動方向と直交する方向に圧縮カム47を押圧することで、圧縮カム47を金属板保持部46側に移動させるようになっている。それにより、金属板30の平面方向に沿って各第1舌片部40が近接する方向に、金属板30が圧縮される。また、基台54に対する作動カム48の取付位置により作動カム48の下降量が調整可能なため、圧縮カム47の移動量の調整が可能、即ち、金属板30の圧縮量の調整が可能となっている。基台54には、押さえバネ49を介して金属板押さえ部材50が取り付けられている。金属板押さえ部材50は、金属板30の平面方向に沿って各第1舌片部40が近接する方向に、金属板30を圧縮させるときに、押さえバネ49の付勢力によって金属板30を金属板保持台45及び圧縮カム47側に押圧して浮き上がりを防止するためのものである。
【0045】
金型装置44による、金属板30の平面方向に沿って各第1舌片部40が近接する方向への圧縮により、各第1舌片部40間の距離Wは、各第1舌片部40の高さの合計(H×2)よりも小さくなる。それに加えて、前記プレス加工機による打ち抜きにより形成された各凸部32及び、金属板における凸部32と凹部33との間の各屈曲部30eが、開口部34方向に流れるように圧縮され、内側延出部35が形成される。
【0046】
第4の工程として、図9(a),(b)に示すように、各内側延出部35を前記プレス加工機により板厚方向に圧縮し潰すことにより、略円弧状の潰し部36が形成される。尚、圧縮形成されるために、潰し部36の板厚は金属板30の板厚に比べて薄くなっている。その後、潰し部36を略四角形状に切削加工し、第2舌片部42が形成される。尚、第3工程における金属板30への圧縮量と潰し部を形成する際の潰し量により、第2舌片部42の高さを設定する。
【0047】
第5の工程として、図10(a),(b)に示すように、第2舌片部42が第1舌片部40と略同方向に屈曲される。尚、第2舌片部42の高さは第1舌片部40の高さよりも低く形成される。この屈曲の際、図11及び図14に示すように、第2舌片部42の基端には、三角形状のリブ37が開口部34の外側に向けて突出形成される。リブ37を形成することにより、第2舌片部42基端の屈曲部分の剛性が上がる。その後、トリム加工により、金属板30の内側に湾曲した端面30a,30bを、直線にすべく切断する(図11参照)。
【0048】
以上の工程を経て、ターミナル一体部品27を形成するのに用いられる平板状の金属板30から第1舌片部40及び第2舌片部42が一体成形される。尚、これらの工程により、第2舌片部42を金属板30と一体に形成しつつも、第1舌片部40の幅L1と第2舌片部42間の距離L2との差(L1<L2)をできるだけ小さくできる。そして、第1舌片部40及び第2舌片部42が形成された金属板30を所定形状に折り曲げることによって、ターミナル一体部品27が形成される。
【0049】
ターミナル一体部品27が前記ブラシホルダ7にインサートされた後、図示しない治具によりターミナル一体部品27の各連結部29a,29b,29cが切断されることにより(図4参照)、信号出力用ターミナル26a及び給電用ターミナル26bがそれぞれ切り離されるとともに、各給電用ターミナル26b同士も切り離されて、それぞれ絶縁される。
【0050】
次に、本実施の形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)平板状の金属板30から溝31を打ち抜くことにより形成され金属板30の板厚方向に屈曲される第1舌片部40が、第1舌片部40の屈曲により生じる開口部34において第1舌片部40の側方には、第2舌片部42が金属板30に一体成形される。このため、例えば溶接及びリベットかしめ等の加工が不要であり、板金成形品としてのターミナル一体部品27を成形するコストを抑えつつも第2舌片部42の強度低下を抑えて、品質の向上を図ることができる。
【0051】
(2)第2舌片部42は、金属板30に対する圧縮により開口部34の開口方向に突出形成される内側延出部35を、金属板30の板厚方向に潰すことにより形成される。このため、内側延出部35を形成する際の圧縮量と潰し部36を形成する際の潰し量により、第2舌片部42の高さを容易に設定することができる。
【0052】
(3)第2舌片部42基端の屈曲部分には、三角形状のリブ37が開口部34の外側に向けて突出形成される。これにより、板厚が薄くなるために曲げ強度低下が予測される第2舌片部42基端の屈曲部分の剛性が上がる。
【0053】
(4)金型装置44の作動カム48は、圧縮カム47の移動方向と直交する方向に移動することにより、圧縮カム47を移動させるようになっている。よって、基台54に対する作動カム48の取付位置により、作動カム48の下降量が設定されるため、圧縮カム47の移動量の設定が可能になる。ゆえに、作動カム48の下降量の設定による金属板30の圧縮量の設定が可能になる。よって、各第1舌片部40間の距離W及び内側延出部35を形成する際の圧縮量を容易に調整することができる。
【0054】
(5)第5工程において、トリム加工により、金属板30の内側に湾曲した端面30a,30bは直線にすべく切断される。このため、曲げ加工や圧縮成形加工等によって金属板30に生じた寸法精度のバラツキを補正することができる。
【0055】
尚、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態の、平板状の金属板30は非鉄金属材料であってもよい。
・上記実施の形態の、ターミナル一体部品27を形成する方法を、パワーウィンドウ装置以外の自動車関連製品、家電、OA機器等に用いられている電気部品を形成するのに用いてもよい。
【0056】
・上記実施の形態では、第2舌片部は雑防素子部材としてのコンデンサ43と電気的に接続されたが、モータ内の接続端子や外部部品と接続する構成としてもよい。
・上記実施の形態では、金属板30に略H状の溝31を打ち抜くことにより、2つの第1舌片部40が形成されるが、金属板30に略コ字状の溝を打ち抜き、1つの第1舌片部40を形成してもよい。
【0057】
・上記実施の形態では、金属板30の端面30a,30bにおける凸部32に対応する位置には、該開口部34方向に窪む凹部33が形成され、その後の工程により、2つの第2舌片部42が形成されるが、凸部32及び凹部33を端面30a,30b側のどちらか一方に形成し、1つの第2舌片部42を形成してもよい。
【0058】
・上記実施の形態では、第2舌片部42は第1舌片部40と略同方向に屈曲されるが、図15のように、第1舌片部40と略反対方向に屈曲してもよい。尚、第2舌片部42が第1舌片部40と略反対方向に屈曲された場合に、第2舌片部42の基端に三角形状のリブ37を開口部34の外側に向けて突出形成させた構成としてもよい。
【0059】
・上記実施の形態では、第2舌片部42の高さは第1舌片部40の高さよりも低く形成されるが、第1舌片部40が第2舌片部42よりも高い、若しくはそれぞれ略同じ高さでもよい。
【0060】
・上記実施の形態では、金属板30をプレス加工機により打ち抜くことにより、凸部32及び凹部33が形成されるが、プレス加工機により金属板30を凸部32、凹部33及び屈曲部30eのない真っ直ぐな形状に打ち抜き、その後、金属板30の端面30a,30bの所定位置を該溝方向に圧縮することにより、凸部32、凹部33及び屈曲部30eを形成してもよい。
【0061】
・上記実施の形態において、金属板30からの溝31の打ち抜き工程と、端面30a,30bの形成工程は同時でなくてもよい。
・上記実施の形態において、トリム加工により、金属板30の内側に湾曲した端面30a,30bを、直線にすべく切断する工程は省略してもよい。
【0062】
・上記実施の形態において、金属板保持部46及び圧縮カム47のうち少なくともいずれか一方によって、金属板30の端面30a,30c全体を保持するようにしてもよい。このように構成すれば、内側延出部35を形成する際の圧縮における、各凸部32及び各屈曲部30eの開口部34方向への流れがより確実になる。
【0063】
・上記実施の形態において、作動カム48を省略し、ロッド52を押圧することによって圧縮カム47を移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施の形態におけるモータの断面図である。
【図2】モータの要部を示す断面図である。
【図3】ブラシホルダの説明図である。
【図4】ブラシホルダ内のターミナルを示す図である。
【図5】(a)はターミナル一体部品の平面図であり、(b)はターミナル一体部品の正面図である。
【図6】ターミナル一体部品の要部の形成工程を示す平面図である。
【図7】(a)及び(b)は、ターミナル一体部品の要部の形成工程を示す説明図である。
【図8】(a)及び(b)は、ターミナル一体部品の要部の形成工程を示す説明図である。
【図9】(a)及び(b)は、ターミナル一体部品の要部の形成工程を示す説明図である。
【図10】(a)及び(b)は、ターミナル一体部品の要部の形成工程を示す説明図である。
【図11】(a)及び(b)は、ターミナル一体部品の要部の形成工程を示す説明図である。
【図12】(a)及び(b)は、金型装置の説明図である。
【図13】(a)及び(b)は、金型装置の説明図である。
【図14】ターミナル一体部品の要部を示す斜視図である。
【図15】別例のターミナル一体部品の要部を示す斜視図である。
【図16】従来におけるプレス加工部品の斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
4…モータハウジングを構成するヨークハウジング、7…ブラシホルダ、8…給電ブラシ(ブラシ)、12…モータハウジングを構成するギヤハウジング、26…ターミナル、27…板金成形品としてのターミナル一体部品、30…金属板、30a,30c…端面、31…溝、32…凸部、33…凹部、34…開口部、35…内側延出部、37…リブ、40…第1舌片部、42…第2舌片部、W…第1舌片部間の距離、H…第1舌片部の高さ。
【出願人】 【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠


【公開番号】 特開2008−6457(P2008−6457A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178380(P2006−178380)