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【発明の名称】 異形管の曲げ加工方法および曲げ加工装置、並びに加工された自動車用部品
【発明者】 【氏名】富澤 淳

【氏名】亀岡 徳昌

【氏名】山田 吾郎

【要約】 【課題】強度レベルに拘わらず、加工限界を大幅に向上させることができ、曲げ精度に優れる異形管の圧縮曲げ加工方法を提供する。

【構成】テーパ形状の異形管に適した曲げ加工方法であって、異形管の加工端およびその対極の送り端からなる両端を保持し、異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、前記異形管の送り端を加工端の移動速度より速く移動させ、または/および前記異形管の側面に押し当てられた、当該異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドを前記異形管の送り速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする異形管の曲げ加工方法である。また、これらの加工法によって得られる自動車用部品である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方から他方にかけて周長が漸次増加または減少する異形管の曲げ加工方法であって、
当該異形管の加工端およびその対極の送り端からなる両端を保持し、
前記異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、
前記異形管の送り端を加工端の移動速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする異形管の曲げ加工方法。
【請求項2】
前記回転曲げダイスと、異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドとで前記異形管を挟持して曲げ加工を行うことを特徴とする請求項1に記載の異形管の曲げ加工方法。
【請求項3】
軸方向の一方から他方にかけて周長が漸次増加または減少する異形管の曲げ加工方法であって、
当該異形管の加工端およびその対極の送り端からなる両端を保持し、
前記異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、
前記異形管の側面に押し当てられた、当該異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドを前記異形管の送り速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする異形管の曲げ加工方法。
【請求項4】
軸方向の一方から他方にかけて周長が漸次増加または減少する異形管の曲げ加工方法であって、
当該異形管の加工端およびその対極の送り端からなる両端を保持し、
前記異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、
前記異形管の送り端を加工端の移動速度より速く移動させ、かつ前記異形管の側面に押し当てられた、当該異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドを前記異形管の送り速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする異形管の曲げ加工方法。
【請求項5】
前記異形管の割れを防止するように前記圧縮応力を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の異形管の曲げ加工方法。
【請求項6】
前記異形管の曲げ加工の内周側の一部または全部に尖り部を形成させつつ、圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の異形管の曲げ加工方法。
【請求項7】
前記異形管の加工端または/および送り端に平行部を設け、この平行部に中子を装着して当該平行部をクランプし、加工端の移動時、または送り端の移動時のすべりを防止することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の異形管の曲げ加工方法。
【請求項8】
前記異形管の内面に芯金を装着して内面を拘束しつつ、曲げ加工を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の異形管の曲げ加工方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の異形管の曲げ加工方法を用いる装置であって、
前記異形管の曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスと、
前記異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドと、
前記孔型ガイドを前記異形管の側面に押し当てながら所定の速度で当該孔型ガイドを移動可能とする移動手段と、
前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスに嵌合させ、これと同調して移動させる加工端の保持手段と、
前記異形管の送り端を所定の速度で移動可能とする送り端の保持手段と具備し、
前記送り端の保持手段を前記加工端の保持手段の移動速度より速く移動させ、または/および前記孔型ガイドの移動手段を前記加工端の保持手段の移動速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする異形管の曲げ加工装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の曲げ加工方法によって加工され、ブレーキペダルおよびシートフレームなどの車体基材、またはリインフォースなどの車体骨格部材に用いられることを特徴とする自動車用部品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、異形管に圧縮応力を付与した曲げ加工方法およびそれで加工された自動車用部品に関し、さらに詳しくは、高強度の部材の曲げ加工限界を大幅に向上させることができる異形管の圧縮曲げ加工方法、およびこの加工方法を用いる曲げ加工装置、並びにこの加工方法で加工された自動車用部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車業界においては、地球環境への配慮とともに車体に対する安全性の要求が高まり、自動車部品の軽量化および高強度化に対する要請がますます厳しくなっており、燃費向上や衝突安全性の向上といった観点から、自動車用部品の開発が進められている。このような要請に対応するため、従来とは全く異なる強度レベルからなる高張力鋼板、例えば、引張強さが440MPa以上、780MPa以上、または900MPa以上という高強度の素材が広く用いられるようになっている。
【0003】
一方、これらの素材の高強度化とともに、従来の自動車用部品の構造を見直すことも行われている。例えば、特許文献1には、センターピラーを対象にして部品構造を見直す提案が示されている。具体的には、車体のセンターピラー部は、上端側が小径、下端側が大径であり、上端側から下端側へ向かい外周形状(断面)が漸次変化する細長の形状をなしていることから、通常のプレス品のスポット溶接による組み立て構造を、テーパ形状の異形管を用いた閉断面構造に変更することにしている。
【0004】
従来から用いられていた開断面構造の部品を閉断面にすることにより、部品全体としての剛性や衝突特性が大幅に向上させることができる。また、特許文献1に開示される例によれば、通常のストレート管の形状に替えて、断面形状が長手方向に変化するテーパ形状の異形管を素材に用いることにより、部品の製造工程を簡略化できるとともに、剛性を高め必要な部品強度を確保できることから、自動車用部品の装着スペースや重量を減少させることができるとしている。
【0005】
ところで、上述の通り、製造工程上のメリットを有する異形管であっても、多様な自動車用部品に適用しようとすると、所定形状の異形管に曲げ加工を施すことが必要になる。また、曲げ加工を施した異形管をハイドロフォームの素材として用いることによって、さらに適用範囲を拡大することが可能になり、優れた性能を有する自動車用部品を得ることができる。
【0006】
このような異形管の曲げ加工技術の開発要求に対して、特許文献2には、テーパ管の如き棒状素材の曲げ加工方法として、素材と同一の半円形の溝を有し、かつこの溝が周上除々に半径を変え、素材と接触する部分の半径が素材の半径と常に等しくなるように成形されているローラとダイスとによって、テーパ形状の棒状素材を挟み、ローラを回転させながらダイスに沿わせて曲げ変形を行う方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、テーパ管を所定の形状に折り曲げるための曲げ金型と、この曲げ金型に添設したテーパ管を回転ベースにより曲げ金型に沿って加圧しつつ回動するロールガイドとを設けて、このロールガイドの凹溝曲面を曲げ加工後のテーパ管の形状に略同じ曲面により形成し、これらの曲げ金型とロールガイドとによって曲げ加工するテーパ管の曲げ加工装置が提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2001−321842号公報
【特許文献2】特開昭49−94347号公報
【特許文献3】特開2001−47141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の通り、自動車用部品の加工技術の多様化にともなう、テーパ形状の異形管の曲げ加工技術の開発要求に対応し、異形管の加工方法や加工装置が提案されている。しかし、特許文献2、3で提案されているのは、いずれも街路灯等に使用されるテーパ丸管の曲げ加工であり、それほどの加工精度や加工限界が要求される技術ではなく、いわゆる押し付け曲げ加工に基づく加工方法や加工装置である。
【0010】
図1は、特許文献2、3で提案される押し付け曲げ加工の内容を説明する図である。同(a)はローラ2とダイス3との間の溝空間にテーパ丸管(異形管)1を挿入した状態を示し、(b)は曲げ加工の進行状態を示し、(c)は曲げ加工が終了した状態を示している。しかし、押し付け曲げ加工は、単に素管をダイス型に押し付けながら成型する方法であるため、曲げ外周側の割れが発生し易く、また、曲げ内周側に座屈が生じ易く、高強度異形管の曲げ加工に適用するのは困難である。
【0011】
特に、自動車車体の軽量化に対応するため、引張強さが440MPa級以上となるような高強度の異形管を曲げ加工する場合には、材料の延性が乏しいため、曲げ外周側に発生する割れが顕著となり、曲げ成形法として採用することができないという問題がある。
【0012】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、異形管の曲げ加工に際して、自動車用部品の加工技術の多様化にともない、高強度(引張強さが440MPa級以上)の異形管を成形加工する場合であっても、加工性能を確保することができるとともに、作業能率に優れた異形管の曲げ加工方法、およびこの加工法により得られた自動車用部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前述の課題を達成するため、異形管の曲げ加工限界について各種の曲げ加工方法に基づいて検討を加えた。曲げ加工限界には管の肉厚/外径比(t/D)または矩形断面などの異形管の場合は肉厚/曲げ平面内の製品の幅(t/W)、および曲げ半径/外径比(r/D)または異形管の場合は曲げ半径/曲げ平面内の製品の幅(r/W)、そして異形管の材質が大きく影響を与えることになる。
【0014】
図2は、異形管の曲げ加工方法によって加工された自動車の骨格部品の補強材(レインフォース)の外観構成を示す図である。一般的には、異形管を用いて曲げ加工を行う場合には、その加工限界の要因となるのは、曲げ外周側のA部での引張応力による破断(割れ発生)、曲げ内周側のB部での圧縮応力による座屈(しわ発生)、さらに偏平などにみられる断面形状の変形発生である。
【0015】
特に、高強度管になると延性が乏しくなるため、高強度の異形管では、曲げ半径Rが小さい場合には曲げ外周側のA部での引張応力による割れの発生が問題になる。このため、異形管の曲げ加工において圧縮力を作用させることによって、曲げ外周側に発生する割れを回避することができる。
【0016】
ところが、従来では、このような高強度の異形管の曲げ加工において精度の良い加工方法の要求がなされなかったために、このような異形管の曲げ方法は実用化されなかった。さらに、異形管の曲げ加工において曲げ外周側のA部での割れを避けるため、圧縮力を付加する場合には、曲げ内周側のB部には圧縮応力による座屈(しわ発生)が生じ易くなり、この座屈(しわ発生)が加工限界を低下させることになる。
【0017】
この圧縮応力による座屈(しわ発生)を防止するには、異形管の曲げ加工の内周側に尖り部を形成させるのが有効である。このことから、圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行う場合に、異形管の曲げ内周側に尖り部を形成させつつ曲げ加工を行うことにより、効果的に圧縮応力による座屈(しわ発生)を防止でき、曲げ加工限界を著しく改善できることを明らかにした。
【0018】
さらに、異形管の曲げ加工を行う場合には、管端部をクランプ等で保持しながら曲げ加工を行うため、クランプ力が足りないと、被加工管材を保持できず、加工中にすべり、金型から抜けるおそれがある。また、薄肉管の場合には、内面の保持工具がないとクランプで被加工管材そのものが、潰れてしまう場合がある。厚肉管の場合にはクランプによる潰れのおそれは少ないが、薄肉でも厚肉でも加工中に材料が滑らないように、一定以上の保持力が必要になる。すなわち、内面に保持工具を挿入することによって、内面からの摩擦力が期待できるため、比較的大きなクランプ力を得ることができる。
【0019】
圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行う場合において、より現実的な方法として、テーパ形状の被加工管材(以下、「テーパ素管」という)の両端のうち、外径または周長が漸次減少する側の管端部(以下、「小周長側端部」という)を加工端または送り端とする場合には、小周長側端に平行部を設け、内面に中子を装着して圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことにより、テーパ素管を滑らせることなく、へこみの発生防止を図りつつ良好な曲げ加工ができる。
【0020】
一方、テーパ素管の小周長側端部の対極となる、外径または周長が漸次増加する側の管端部(以下、「大周長側端部」という)を加工端または送り端とする場合には、大周長側端に平行部を設け、内面に中子を装着して圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うのが、へこみの発生防止を図りつつ良好な曲げ成形を図るのに有効である。
【0021】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)〜(5)の異形管の曲げ加工方法、および(6)の異形管の曲げ加工装置、並びに(7)の自動車用部品を要旨としている。
(1)軸方向の一方から他方にかけて周長が漸次増加または減少する異形管の曲げ加工方法であって、当該異形管の加工端およびその対極の送り端からなる両端を保持し、前記異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、前記異形管の送り端を加工端の移動速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする異形管の曲げ加工方法である(以下、単に「バックブースタータイプの加工方法」という)。
【0022】
上記バックブースタータイプの加工方法では、前記回転曲げダイスと、異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドとで前記異形管を挟持して曲げ加工を行うことが望ましい。
(2)軸方向の一方から他方にかけて周長が漸次増加または減少する異形管の曲げ加工方法であって、当該異形管の加工端およびその対極の送り端からなる両端を保持し、前記異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、前記異形管の側面に押し当てられた、当該異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドを前記異形管の送り速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする異形管の曲げ加工方法である(以下、単に「サイドブースタータイプの加工方法」という)。
(3)軸方向の一方から他方にかけて周長が漸次増加または減少する異形管の曲げ加工方法であって、当該異形管の加工端およびその対極の送り端からなる両端を保持し、前記異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、前記異形管の送り端を加工端の移動速度より速く移動させ、かつ前記異形管の側面に押し当てられた、当該異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドを前記異形管の送り速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする異形管の曲げ加工方法である。すなわち、この(3)で規定する曲げ加工方法は、バックブースタータイプの加工方法とサイドブースタータイプの加工方法とを組み合わせた加工方法と言える。
(4)上記(1)〜(3)の異形管の曲げ加工方法においては、前記異形管の割れを防止するように前記圧縮応力を制御すること、さらには、前記異形管の曲げ加工の内周側の一部または全部に尖り部を形成させつつ、圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことが望ましい。
(5)上記(1)〜(4)の異形管の曲げ加工方法では、前記異形管の加工端または/および送り端に平行部を設け、この平行部に中子を装着して当該平行部をクランプすることにより、加工端の移動時、または送り端の移動時のすべりを防止することができる。さらに、前記異形管の内面に芯金を装着して内面を拘束しつつ、曲げ加工を行うのが望ましい。
(6)上記(1)〜(3)の異形管の曲げ加工方法を用いる装置であって、前記異形管の曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスと、前記異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドと、前記孔型ガイドを前記異形管の側面に押し当てながら所定の速度で当該孔型ガイドを移動可能にする移動手段と、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスに嵌合させ、これと同調して移動させる加工端の保持手段と、前記異形管の送り端を所定の速度で移動可能にする送り端の保持手段と具備し、前記送り端の保持手段を前記加工端の保持手段の移動速度より速く移動させ、または/および前記孔型ガイドの当接手段を前記加工端の保持手段の移動速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする異形管の曲げ加工装置である。
(7)上記(1)〜(5)の異形管の曲げ加工方法によって加工され、ブレーキペダルおよびシートフレームなどの車体基材、またはリインフォースなどの車体骨格部材に用いられることを特徴とする自動車用部品である。
【0023】
本発明で規定する「異形管」とは、断面形状が軸方向に変化することにより、軸方向の一方から他方にかけて周長が漸次増加または減少するテーパ丸管、テーパ角管、およびこれらの組み合わせからなるテーパ管を意味する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の異形管の曲げ加工方法によれば、バックブースタータイプの加工方法、またはサイドブースタータイプの加工方法、さらにこれらの組み合わせの加工方法によって、圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことにより、さらに望ましくは圧縮応力を制御し、また曲げ加工の内周側の一部または全面に尖り部を形成させつつ曲げ加工を行うことにより、高強度(引張強さが440MPa級以上)の異形管を成形加工する場合であっても、曲げ外周側で発生する破断(割れ発生)や、曲げ内周側で発生する座屈(しわ発生)を抑制し、曲げ加工限界を大幅に向上させることができる。
【0025】
しかも、成形加工後の曲げ精度に優れ、加工欠陥の少ない自動車用部品を曲げ成形できる。これにより、一層、車体の軽量化とともにコスト低減が図れ、益々、高度化する自動車用部品に対する要求レベルにも対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の具体的な内容を(曲げ加工装置および加工方法)、(圧縮応力の制御)、(尖り部の形成)および(端部保持、クランプ方法)に区分して説明する。
(曲げ加工装置および加工方法)
図3は、本発明の曲げ加工方法を実施するための装置構成を示す図であり、(a)は曲げ加工前に異形管をセットした状態を示し、(b)は曲げ加工が進行している状態を示している。図3(a)に示すように、異形管1の先端側にセットされる加工端は、小周長側端部からなり、回転曲げダイス3に設けられた金型クランプ4と締め付けダイ5とでクランプされる。
【0027】
一方、異形管1の後端側となる送り端は、大周長側端部からなり、図示されない送り装置に接続されたロッド7に取り付けられた保持装置6と後端クランプダイ8とに挟み込まれた状態で加工装置にセットされる。
【0028】
図3に示す加工装置では、異形管1の側面は、別の送り装置(図示せず)に接続されたロッド10に接続された孔型ガイド9に保持されている。孔型ガイド9は、回転曲げダイス3に油圧などで異形管1を押し付けられながら、移動することができる。孔型ガイド9は、異形管1の曲げ加工部を外周側から保持することによって、曲げ外周側での加工形状の変形を防止すると同時に、所定の速度で移動させることによって、異形管1の外表面に圧縮応力を付加させることができる。
【0029】
一方、孔型ガイド9の送り速度を異形管1の送り端の送り速度と同じにする場合には、孔型ガイド9と保持装置6とを一体構造することができる。このとき、孔型ガイド9は回転曲げダイス3へ押し付けられるが、リリーフ弁の機構などを用いてこのときの押し付け力が一定になるように制御を行えば、単一の半径R管の曲げだけではなく、複雑な形状の曲げを行うことも可能になる。
【0030】
図4は、本発明が採用する加工装置の回転曲げダイス、締め付けダイおよび孔型ガイドの構成を示す斜視図であり、(a)は回転曲げダイスの構成、(b)は締め付けダイの構成、(c)孔型ガイドの構成をそれぞれ示している。回転曲げダイス3には金型クランプ4が設けられており、これらの内周面には異形管の曲げ加工後の形状と略同一の孔型3aが設けられている。また、締め付けダイ5には異形管の先端部の形状と略同一の孔型5aが設けられ、金型クランプ4とで異形管1の加工端を挟み込む。さらに、孔型ガイド9には異形管の形状と略同一の孔型9aが設けられている。
【0031】
図4に示す構成からなる金型クランプ4および締め付けダイ5でクランプされた異形管1は、図3(b)に示すように、回転曲げダイス3により加工端が回転され、曲げ加工に進行する。すなわち、異形管1を孔型3aを有する回転曲げダイス3に嵌合させつつ、異形管1の加工端を回転曲げダイス3の回転にともなって移動させ、曲げ加工が進むにつれて、異形管1の曲げ内周部が回転曲げダイス3の孔型3aに拘束され製品形状に保持される。
【0032】
後述するように、異形管の曲げ加工に際し、曲げ内周側に尖り部を形成させつつ加工を行うためには、図4(a)に示す回転曲げダイス3の孔型3aに所定寸法の凹み部を設けて、異形管の加工面を孔型3aに拘束させた状態で回転曲げダイスの回転に同調して移動させることが必要になる。
【0033】
本発明のバックブースタータイプの加工方法では、異形管の加工端およびその対極の送り端からなる両端を保持し、異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、前記異形管の送り端を加工端の移動速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴としている。
【0034】
通常、高強度の異形管では、曲げ内周側での圧縮応力による座屈(しわ発生)が問題になる場合が多いが、高強度でも厚肉からなるテーパ素管を用いて曲げ加工を行う場合には、比較的、曲げ内周側に発生する座屈は問題とならない。このため、高強度でも厚肉からなるテーパ素管を用いる場合に、圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことにより、曲げ外周側で引張応力によって発生する割れやへこみを抑制でき、加工限界を向上させることができる。
【0035】
すなわち、本発明のバックブースタータイプの加工方法は、特に、引張強さが440MPa級以上の高強度の異形管を曲げ加工する場合に、テーパ素管の両端をクランプし、送り端を加工端の移動速度より速く移動させて圧縮応力を付与した状態で曲げ成形することにより、異形管の外周表面に圧縮応力を生じさせながら曲げ加工が施されることから、曲げ外周側での引張応力による割れやへこみが発生し難く、加工限界を向上できる。
【0036】
また、本発明のバックブースタータイプの加工方法は、前記図3に示す孔型ガイド9を必須とするものではないが、回転曲げダイス3と、この孔型ガイド9とで前記異形管を挟持して曲げ加工を行うことにより、曲げ外周側で発生する割れやへこみを抑制できることから、孔型ガイド9を用いるのが望ましい。
【0037】
本発明のサイドブースタータイプの加工方法は、異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、前記異形管の側面に押し当てられた、当該異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドを前記異形管の送り速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴としている。
【0038】
異形管1の側面に押し当てられた孔型ガイド9は、異形管の断面形状に応じて、異形管1の送り方向に自由に移動させることができる。例えば、後述する図5〜図8に示すように、異形管1の断面形状が、幅方向の厚みTが均一であり、または断面形状が曲げ内周側から曲げ外周側に亘り厚みTが増大する異形管1を曲げ加工する場合には、孔型ガイド9は移動させることができ、異形管1の送り速度と孔型ガイド9の送り速度を個別に設定できる。
【0039】
この場合に、孔型ガイド9を異形管1の側面に図示しない油圧シリンダーにより押し当てると同時に、異形管の加工端の移動速度より速く移動させることによって、異形管1の曲げ外周側に摩擦力による圧縮力を付加し、外周表面に圧縮応力を発生されることができる。本発明のサイドブースタータイプの加工方法では、このような曲げ外周側に圧縮力を付加する作用により、異形管の曲げ外周側の引張応力による割れ発生を抑制することができる。
【0040】
図5〜図8は、異形管の断面形状に応じて本発明のサイドブースタータイプの加工方法を実施する構成を説明する図である。図5は、異形管の断面形状が、幅方向の厚みTが一定であり、かつ異形管の外周側がフラットにセットできる場合の構成を説明する図であり、(a)はその方法を実施するための装置構成を、(b)はA−A部位が曲げ加工位置に送られたときの孔型ガイドの保持断面を示している。図5に示す構成においては、孔型ガイド9は水平方向への移動となり、比較的に簡易な構造にできる。
【0041】
図6は、異形管の断面形状が、幅方向の厚みTが一定でありかつ異形管の外周側がテーパである場合の構成を説明する図であり、(a)はその方法を実施するための装置構成を、(b)はA−AおよびB−B部位が曲げ加工位置に送られたときの孔型ガイドの保持断面を示している。図6に示す構成においては、孔型ガイド9が異形管のテーパ外周面に沿って移動するように、孔型ガイド9の断面構成を変化させる必要がある。
【0042】
図7は、異形管の断面形状が、幅方向の厚みTが一定でありかつ異形管の外周側がテーパである場合に適用できる他の構成を説明する図であり、(a)はその方法を実施するための装置構成を、(b)はA−A、B−BおよびC−C部位が曲げ加工位置に送られたときの孔型ガイドの保持断面を示している。
【0043】
図8は、異形管の断面形状が曲げ内周側から曲げ外周側に亘り厚みTが増大する場合に適用できる構成を説明する図であり、(a)はその方法を実施するための装置構成を、(b)はA−A、B−BおよびC−C部位が曲げ加工位置に送られたときの孔型ガイドの保持断面を示している。
【0044】
図7、図8に示す構成では、加工後の異形管1のほぼ全幅に、曲げ内周側から外周側の全域に亘り厚みT方向に拘束する孔型を有する回転曲げダイス3を用いて引張曲げ加工を行うが、孔型ガイド9には孔型を設けておらず、単に異形管1の外周面を保持する。そこで、孔型ガイド9を異形管1の側面に図示しない油圧シリンダーにより押し当てることにより、異形管1の曲げ外周側に摩擦力による圧縮力を付加し、外周表面に圧縮応力を発生されることができる。
【0045】
本発明の加工方法は、バックブースタータイプの加工方法とサイドブースタータイプの加工方法とを組み合わせることができる。すなわち、異形管の加工端およびその対極の送り端からなる両端を保持し、前記異形管をその曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスに嵌合させつつ、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスの回転に同調して移動させるとともに、前記異形管の送り端を加工端の移動速度より速く移動させ、かつ前記異形管の側面に押し当てられた、当該異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドを前記異形管の送り速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とすることができる。
【0046】
本発明のバックブースタータイプの加工方法とサイドブースタータイプの加工方法とを組み合わせることにより、より効果的に異形管の曲げ外周側に摩擦力による圧縮力を付加することができ、異形管の曲げ外周側の引張応力による割れ発生を抑制することができる。
【0047】
本発明の曲げ加工装置は、上述したバックブースタータイプの加工方法、またはサイドブースタータイプの加工方法、さらにこれらを組み合わせた曲げ加工方法を適用できる装置であって、異形管の曲げ加工後の形状と略同一の孔型を有する回転曲げダイスと、前記異形管の形状と略同一の孔型を有する孔型ガイドと、前記孔型ガイドを前記異形管の側面に押し当てながら所定の速度で当該孔型ガイドを移動可能とする移動手段と、前記異形管の加工端を前記回転曲げダイスに嵌合させ、これと同調して移動させる加工端の保持手段と、前記異形管の送り端を所定の速度で移動可能とする送り端の保持手段と具備し、前記送り端の保持手段を前記加工端の保持手段の移動速度より速く移動させ、または/および前記孔型ガイドの移動手段を前記加工端の保持手段の移動速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことを特徴とする。
(圧縮応力の制御)
本発明の曲げ加工方法は、異形管の送り端を加工端の移動速度より速く移動させ、または/および異形管の側面に押し当てられた孔型ガイドを異形管の送り速度より速く移動させることによって圧縮応力を付与した状態とし、当該異形管の割れを防止するように圧縮応力を制御することを特徴としている。
【0048】
すなわち、特に、引張強さが440MPa級以上と高強度の異形管を成形加工する場合に、被加工材の両端をクランプ等によって保持し、送り端を加工端の移動速度より速く移動させことにより、または/および孔型ガイドを異形管の送り速度より速く移動させることによって、曲げ外周側に発生する割れを回避することができる。
【0049】
図9は、本発明のバックブースタータイプの加工方法に適用できる圧縮応力の制御装置の構成例を示す図である。同図では、異形管1の圧縮曲げ加工が進行している状態を示しており、異形管1の先端側にセットされる加工端は、小周長側端部からなり、回転曲げダイス3に設けられた金型クランプ4と締め付けダイ5とでクランプされる。
【0050】
一方、異形管1の後端側となる送り端は、大周長側端部からなり、ロッド7に取り付けられた保持装置6と後端クランプダイ8とに挟み込まれた状態で曲げ加工装置にセットされ、ロッド7は応力制御装置13に連結されている。図示する孔型ガイド9は保持装置6と別個に構成される。
【0051】
応力制御装置13は、油圧ポンプに接続された油圧シリンダー14で構成されており、異形管1の曲げ加工部に圧縮応力を付与する必要がある場合には、切替弁の作動により流量調節弁を通じて作動油が油圧シリンダーの下部14bに供給される。このとき、応力制御装置13はリリーフ弁を設定できる構成とし、一定の圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことができる。一方、異形管1の曲げ加工部に引張応力を付与する必要がある場合には、切替弁の作動により流量調節弁を通じて作動油が油圧シリンダーの上部14bに供給される。
【0052】
本発明のサイドブースタータイプの加工方法で圧縮応力制御を適用する場合には、孔型ガイド9を異形管1の側面に所定の押付力Pで押し当てるための油圧シリンダーを設けるとともに、孔型ガイド9に設けられるロッド10を、図示しない応力制御装置に連結する必要がある。このロッド10に連結する応力制御装置は、図9に示す応力制御装置13と同様の構成とすることができる。
(尖り部の形成)
本発明の曲げ加工方法では、異形管の送り端を加工端の移動速度より速く移動させ、または/および異形管の側面に押し当てられた孔型ガイドを異形管の送り速度より速く移動させ、圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行う際に、回転曲げダイスに嵌合させて異形管の曲げ加工の内周側の一部または全部に尖り部を形成させるのが望ましい。
【0053】
前述の通り、圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行う場合には、曲げ内周側での圧縮応力による座屈(しわ発生)が生じ易く、これが加工限界を低下させる要因になる。この圧縮応力による座屈(しわ発生)を防止するには、異形管の曲げ加工の内周側に尖り部を形成させるのが有効になる。したがって、テーパ素管に圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行う場合には、曲げ内周側に尖り部を形成させつつ曲げ加工を行うことにより、加工限界を著しく向上させることができる。
【0054】
図10は、本発明の曲げ加工方法によって曲げ内周側に尖り部が形成されたリインフォースの外観構成を示す図であり、(a)は外観正面図であり、(b)は曲げ内周側を示す平面図であり、(c)は平面図のX−X矢視による断面図である。同図に示すように、座屈か発生し易い曲げ内周側のB部に尖り部1aを形成することにより、曲げ内周側に発生し易い座屈を防止することができる。曲げ内周側に尖り部1aを形成するには、前記図4(a)に示す回転曲げダイス3の孔型3aに所定寸法の凹み部を設けて、異形管1を孔型3aを有する回転曲げダイス3に嵌合させつつ曲げ加工が行われる。
【0055】
曲げ内周側における座屈発生は、図10(c)に示すように、異形管1の曲げ加工の内周側に形成された尖り部1aの尖り量δの影響を受ける。例えば、尖り量δを1mmから3mmに増加し、尖り角度を増加させることにより、内周側の座屈発生の防止を図ることが有効であり、著しく圧縮曲げの加工限界を向上させることができる。
(端部保持、クランプ方法)
異形管の圧縮曲げ加工の際し、その両端をクランプするのにともない加工端または送り端の移動時にすべりが発生し、曲げ加工部に充分な圧縮応力を付与することができない事態が発生するおそれがある。これに対し、本発明の曲げ加工方法では、圧縮応力を付与するに際し、実操業を想定した場合により実現可能な対策として、異形管の加工端または/および送り端に平行部を設け、この平行部に中子を装着して当該平行部をクランプし、加工端の移動時、または送り端の移動時のすべりを防止する手段を採用できる。
【0056】
図11は、本発明の曲げ方法で採用できる保持工具とその装着要領を説明する斜視図である。より現実的な方法として、テーパ素管1の両端のうち、小周長側端部または大周長側端部に拘わらず、加工端または/および送り端に平行部1bを設け、内面に円筒状の中子15を装着する。そして、曲げ加工にともなって、金型クランプ4および締め付けダイス5で平行部1bをクランプすることにより、テーパ素管1の加工端または/および送り端がすべらず良好な曲げ加工ができる。
【0057】
図11に示す構成では、小周長側端部を加工端とし、この加工端に平行部1bを設けている。そして、図示するように、中子15を保持工具として用いれば、テーパ素管1の小周長側端部の管端から中子を挿入することができ、作業能率を落とすことなく曲げ加工を行うことができる。
【0058】
図12は、本発明が採用する芯金の断面構成を示す図である。本発明の圧縮曲げ加工方法では、図7に示すような異形管の内面形状に略一致した曲げに追従可能な芯金16を用いることによって、異形管の内面を拘束しつつ圧縮曲げ加工を行うことができる。このため、芯金16の追従作用により曲げ加工限界を大幅に拡大することが可能になる。
【0059】
さらに、本発明に適用できる芯金は、図12に示す構造の芯金16に限定されず、例えば、ウレタンゴムや複層にした弾性体を異形管の内面形状に略一致した形状に加工し、それを芯金として用いることもできる。
【0060】
本発明の圧縮曲げ加工方法では、高強度で、かつ成形加工後の曲げ精度に優れることから、自動車用部品を曲げ成形に最適であり、例えば、図2に示すレインフォースの他にも、ブレーキペダルおよびシートフレームなどの車体基材としても適用することができる。
【実施例】
【0061】
本発明の曲げ加工方法による効果を確認するため、表1に示す特性の薄鋼板を用いて、供試用の異形管として3種類のテーパ管を作製した。そのうち薄鋼板Cはテーラード鋼板とし、先端板厚を1.2mm、後端板厚を3.0mmとした。
【0062】
【表1】


【0063】
(実施例1)
表1に示す薄鋼板A、Bを用いて、UO成形ののちレーザ溶接を行い、小周長側端部がφ26mm、大周長側端部がφ48mmで、管長さが420mmのテーパ管を作製した。これらのテーパ管を高さ25mmの矩形断面(コーナR約6mm)を有する角管のテーパ管に成形し曲げの素材(以下、「テーパ管A、B」という)とした。 得られたテーパ管A、Bを用いて、表2および表3に示す各条件で前記図2に示す車体骨格部材のリインフォースの曲げ加工を実施し、曲げ加工後の表面状況を目視観察した。
【0064】
表2に示す条件でリインフォースの曲げ加工するに際しては、前記図11に示すように、小周長側端部を加工端とし、この加工端に平行部1bを設け、中子15を保持工具として管端から挿入した。また、リインフォースの内周側に尖り部を形成する場合にはその尖り量δは3mmとした。また、表3に示す条件でリインフォースの曲げ加工するに際しては、前記図12に示す芯金を用いた。目視観察の結果を表4に示す。
【0065】
【表2】


【0066】
【表3】


【0067】
【表4】


【0068】
表4に示す結果から、従来法(押し付け曲げ加工)では、いずれのテーパ管も外周側に割れが発生したが、発明法(1)〜(6)によれば、供試されたテーパ管の強度レベルに拘わらず、外周側に割れを発生することがなく、良好な加工精度で曲げ成形が可能になることが分かる。
【0069】
特に、曲げ内周側に尖り部を形成する発明法(2)、(4)は、高強度で薄肉であるテーパ管Aにおいても、内周側にしわ状の模様を生ずることもなく、良好な圧縮曲げの成形状況であった。
(実施例2)
図13は、実施例2でテーラード鋼板を用いたテーパ管から曲げ加工したレインフォースの形状を示す図であり、(a)は全長に亘る外観形状および端面形状を、(c)は全長に亘る板厚構成を示している。表1に示す薄鋼板Cを用いて、UO成形ののちレーザ溶接を行い、小周長側端部がφ22mm、大周長側端部がφ51mmで、管長さが440mmのテーパ管を作製した。
【0070】
作製されたテーパ管を高さ20mmの矩形断面(コーナR約5mm)を有する角管のテーパ管に成形し曲げの素材(以下、「テーパ管C」という)とした。テーパ管Cは板厚1.2mmと板厚3.0mmのテーラード鋼板を用い、先端部(細径部)板厚tを12mm、テーパ管の後端部(大径部)板厚tをとした。
【0071】
得られたテーパ管Cを用いて、図13に示すレインフォースの曲げ加工を実施し、圧縮応力を制御する場合と圧縮応力を制御しない場合の曲げ加工後の表面状況を目視観察した。このときの基準曲げ半径Rを120mmとした。なお、先端部のクランプ長は40mm、後端部のクランプ長は60mmとしている。
【0072】
圧縮応力を制御する場合では、先端部は小さい張力からスタートし、後部側に進むにつれ座屈を発生させない大きな圧縮力(スタート時の2.5倍)を高めるように制御した。その結果、良好な曲げ加工の結果であった。
【0073】
一方、圧縮応力を制御しない場合では、後部側の外周側が割れを発生させない大きな圧縮力を先端側から後端側に至るまで一定値で付与した。その結果、レインフォースの先端側内周部に座屈が大きく発生し、製品として不良判定であった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の異形管の曲げ加工方法によれば、バックブースタータイプの加工方法、またはサイドブースタータイプの加工方法、さらにこれらの組み合わせの加工方法によって、圧縮応力を付与した状態で曲げ加工を行うことにより、さらに望ましくは圧縮応力を制御し、また曲げ加工の内周側の一部または全面に尖り部を形成させつつ曲げ加工を行うことにより、高強度(引張強さが440MPa級以上)の異形管を成形加工する場合であっても、曲げ外周側で発生する破断(割れ発生)や、曲げ内周側で発生する座屈(しわ発生)を抑制し、曲げ加工限界を大幅に向上させることができる。
【0075】
しかも、成形加工後の曲げ精度に優れ、加工欠陥の少ない自動車用部品を曲げ成形できる。これにより、一層、車体の軽量化とともにコスト低減が図れ、益々、高度化する自動車用部品に対する要求レベルにも対応することができるので、自動車用部品の加工技術として広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】先行技術である押し付け曲げ加工の内容を説明する図であり、(a)はローラ2とダイス3との間の溝空間にテーパ丸管(異形管)1を挿入した状態を示し、(b)は曲げ加工の進行状態を示し、(c)は曲げ加工が終了した状態を示している。
【図2】異形管の曲げ加工方法によって加工されたレインフォースの外観構成を示す図である。
【図3】本発明の曲げ加工方法を実施するための装置構成を示す図であり、(a)は曲げ加工前に異形管をセットした状態を示し、(b)は曲げ加工が進行している状態を示している。
【図4】本発明が採用する加工装置の回転曲げダイス、締め付けダイおよび孔型ガイドの構成を示す斜視図であり、(a)は回転曲げダイスの構成、(b)は締め付けダイの構成、(c)孔型ガイドの構成をそれぞれ示している。
【図5】異形管の断面形状が、幅方向の厚みTが一定であり、かつ異形管の外周側がフラットにセットできる場合の構成を説明する図である。
【図6】異形管の断面形状が、幅方向の厚みTが一定であり、かつ異形管の外周側がテーパである場合の構成を説明する図である。
【図7】異形管の断面形状が、幅方向の厚みTが一定であり、かつ異形管の外周側がテーパである場合に適用できる他の構成を説明する図である。
【図8】異形管の断面形状が曲げ内周側から曲げ外周側に亘り厚みTが増大する場合に適用できる構成を説明する図である。
【図9】本発明のバックブースタータイプの加工方法に適用できる圧縮応力の制御装置の構成例を示す図である。
【図10】本発明の曲げ加工方法によって曲げ内周側に尖り部が形成されたリインフォースの外観構成を示す図であり、(a)は外観正面図であり、(b)は曲げ内周側を示す平面図であり、(c)は平面図のX−X矢視による断面図である。
【図11】本発明の曲げ方法で採用できる保持工具とその装着要領を説明する斜視図である。
【図12】本発明が採用する芯金の断面構成を示す図である。
【図13】実施例2でテーラード鋼板を用いたテーパ管から曲げ加工したレインフォースの形状を示す図であり、(a)は全長に亘る外観形状および端面形状を、(c)は全長に亘る板厚構成を示している。
【符号の説明】
【0077】
1:異形管、テーパ管、 2:ロール
3:ダイス、回転曲げダイス、 4:金型クランプ
5、締め付けダイ、 6:保持装置
7:ロッド、 8:後端クランプダイ
9:孔型ガイド、 10:ロッド
11:保持工具、 12:ストッパー
15:中子、 16:芯金
1a:尖り部、 1b:平行部
【出願人】 【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100103481
【弁理士】
【氏名又は名称】森 道雄


【公開番号】 特開2008−6450(P2008−6450A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177071(P2006−177071)