トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 複合材用打ち抜き装置
【発明者】 【氏名】池内 壽孝

【要約】 【課題】複合材を打抜き加工の対象とし、この複合材に打抜き孔を形成させたり、或いは前記型孔に対応した打抜き片を複合材から打抜いたりさせる際に、加工不良が生じることなく、きれいなせん断面で打ち抜くことができる複合材打抜き装置の提供。

【構成】金属板30の片面に形成した粘着剤層31の上に離型シート32が剥離可能に貼り付けられている複合材3を打抜き加工の対象とし、離型シートをダイ1に対向させるように複合材をダイ上にセットした状態で打抜く複合材用打抜き装置であり、パンチ2の端面周縁部にランド刃部20を形成させるように、このランド刃部の内部に凹部21が形成され、ランド刃部の高さが前記複合材における粘着剤層と離型シートを合わせた厚みと同一又は厚みよりも高く形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の片面に形成した粘着剤層の上に離型シートが剥離可能に貼り付けられている複合材を打抜き加工の対象とし、
型孔を有するダイと、前記型孔内に挿抜させるパンチを備え、離型シートをダイに対向させるように前記複合材をダイ上にセットした状態で、ダイの型孔内にパンチを挿入させることにより、複合材に打抜き孔を形成させたり、或いは前記型孔に対応した打抜き片を複合材から打抜いたりさせる複合材用打抜き装置であって、
前記パンチの端面周縁部にランド刃部を形成させるように、このランド刃部の内部に凹部が形成され、
前記ランド刃部の高さが前記複合材における粘着剤層と離型シートを合わせた厚みと同一又は厚みよりも高く形成されていることを特徴とする複合材用打抜き装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板の片面に形成した粘着剤層の上に離型シートが剥離可能に貼り付けられている複合材を打抜き加工の対象とした複合材用打抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる複合材を打抜き加工の対象とし、ダイとパンチを用いて複合材に打抜き孔を形成させたり、或いはダイの型孔に対応した打抜き片を複合材から打抜いたりさせる打抜き加工に際し、従来、使用するパンチとしては、その端面がフラットに形成された通常のパンチが用いられていた。
【0003】
このような複合材を打抜き加工の対象とした場合、パンチの端面がフラットに形成されていると、ダイ上にセットした複合材にパンチが接触する際にパンチの端面が全面的に複合材に接触し、その圧力で離型シートと金属板とが粘着剤層によってズレ動いてしまう。このため離型シートが切れないうちに金属板が型孔に向けて押し込まれ、その際に周りの金属肉が引き込まれ、この結果、金属板に割れが生じたり、せん断面にシャープさがなかったり、加工不良を生じてしまうという問題があった。
特に、アモルファス金属板のように、強靭性の金属板には、このような傾向が強く、加工個数の全体の半数以上が加工不良になるといった問題があった。
【0004】
なお、従来、パンチの端面周縁部にランド刃部を形成させるように、このランド刃部の内部に凹部を形成させた打抜き装置が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
この打抜き装置は、シート材からICカードなどを打ち抜くためのシート打ち抜き装置であり、パンチの端面に凹部を形成させることにより、パンチの端面とカード表面との接触を回避させ、これによりカード表面やカードに埋め込んだICを傷付けるのを防止することを目的としている。
【0006】
即ち、従来の打抜き装置は、その打抜き加工の対象をICカードなどのシート材とし、又、凹部を形成させた目的は、パンチの端面とカード表面との接触を回避させてカード表面やカードに埋め込んだICを傷付けるのを防止することにあり、本発明とは異なる。
【特許文献1】特許公開平11−333799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複合材を打抜き加工の対象とし、この複合材に打抜き孔を形成させたり、或いは前記型孔に対応した打抜き片を複合材から打抜いたりさせる際に、加工不良が生じることなく、きれいなせん断面で打ち抜くことができる複合材打抜き装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明(請求項1)の複合材打抜き装置は、
金属板の片面に形成した粘着剤層の上に離型シートが剥離可能に貼り付けられている複合材を打抜き加工の対象とし、
型孔を有するダイと、前記型孔内に挿抜させるパンチを備え、離型シートをダイに対向させるように前記複合材をダイ上にセットした状態で、ダイの型孔内にパンチを挿入させることにより、複合材に打抜き孔を形成させたり、或いは前記型孔に対応した打抜き片を複合材から打抜いたりさせる複合材用打抜き装置であって、
前記パンチの端面周縁部にランド刃部を形成させるように、このランド刃部の内部に凹部が形成され、
前記ランド刃部の高さが前記複合材における粘着剤層と離型シートを合わせた厚みと同一又は厚みよりも高く形成されている構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の複合材打抜き装置は、パンチの端面周縁部にランド刃部が形成され、このランド刃部の内部に凹部が形成されている。
【0010】
そして、複合材は、離型シートをダイに対向させるようにダイ上にセットされているため、パンチをダイの型孔に挿入させると、その型孔の内周部分においてランド刃部が金属板に接触し、その圧力により、まず先にダイの型孔との間で離型シートがせん断される。
このとき、ランド刃部の高さが複合材における粘着剤層と離型シートを合わせた厚みと同一又は厚みよりも高く形成されているため、離型シートを確実にせん断することができる。
【0011】
このようにして離型シートが先にせん断されたのち、引き続きランド刃部とダイの型孔との間で金属板がせん断されるもので、このとき離型シートは既にせん断されているため、この離型シートの存在が金属板のせん断に何らの影響を及ぼすことはなく、これにより加工不良が生じることなく、きれいなせん断面で確実に打ち抜くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の実施例にかかる複合材打ち抜き装置を示す断面図である。
この複合材打ち抜き装置Aは、型孔10を有するダイ1と、前記型孔10内に挿抜させるパンチ2を備え、ダイ1とパンチ2で複合材3に打抜き孔を形成させるように形成されている。
なお、ダイ1の型孔10の内周面と、パンチ2の外周面とのクリアランスは、複合材3の板厚の3%〜5%程度に設定するのが一般的である。
【0013】
打ち抜き対象となる複合材3は、金属板30の片面に形成した粘着剤層31の上に離型シート32が剥離可能に貼り付けられたもので、この実施例では、金属板30として板厚0.02mmのアモルファス金属板を用い、このアモルファス金属板の片面に0.05mm程度の厚みで粘着剤層31が形成され、この粘着剤層31に0.1mm厚の離型シート32が剥離可能に貼り付けられている。
【0014】
前記パンチ2には、その端面周縁部にランド刃部20を形成させるように、このランド刃部20の内部に凹部21が形成されている。
この場合、ランド刃部20は、せん断の切れ味から言えば、その先端を鋭利に形成させるのが好ましいが、鋭利過ぎるとランド刃部20の加工が難しくなる。
また、ランド刃部20の先端幅Tを広くさせると、せん断の切れ味が劣ることになるが、ランド刃部20の加工が容易になる。
このためせん断の切れ味と、ランド刃部20の加工容易性を勘案してランド刃部20の先端幅Tを設定することになるが、0.05〜0.5mm程度が一般的であり、0.2mm程度が良好であった。
【0015】
前記ランド刃部20の高さHは、複合材3における粘着剤層31と離型シート32を合わせた厚みと同一又は厚みよりも高く形成されるもので、前記凹部21の深さがランド刃部20の高さになる。
この場合、ランド刃部20は、その根元側が幅広になるように内周面20aが傾斜して形成され、実施例では、ランド刃部20の高さHを0.3mmとし、内周面20aの傾斜を水平に対し45度に形成させている。
【0016】
なお、ランド刃部20の高さHを高く形成させると、それだけ凹部21を深く形成させる必要が生じ、加工費が高くなるため、必要最小限の高さに形成するのが好ましい。
【0017】
図2はランド刃部の他例を示す部分断面図である。
このランド刃部20は、その先端面20bが若干に傾斜(水平に対し略15度)して形成されている。
このように先端面20bを傾斜面に形成させると、加工に手間がかかるが、図1に示したランド刃部20のように先端面を水平面に形成したものに比べてせん断の切れ味を向上させることができる。
【0018】
上記した複合材打抜き装置Aを使用する場合、離型シート32をダイ1に対向させる状態で複合材3をダイ1上にセットさせ、パンチ2をダイ1の型孔10に挿入させる。
これにより、型孔10の内周部分においてランド刃部20が金属板30に接触し、その圧力により、まず先にダイ1の型孔10との間で離型シート32がせん断される。
【0019】
このようにして離型シート32を先にせん断させたのち、引き続きランド刃部20とダイ1の型孔10との間で金属板30がせん断されるもので、このときは金属板30に対してのみせん断を行なうことから離型シート32によって金属板30のせん断に影響が生じることなく、従って、加工不良が生じることはないし、きれいなせん断面で確実に打ち抜くことができる。
【0020】
なお、実施例では、ダイ1とパンチ2で複合材3に打抜き孔を形成させるように形成しているが、型孔10に対応した打抜き片を商品(部品)として使用するために複合材から打抜く場合も本発明の複合材打抜き装置を適用できるのは勿論である。
【0021】
又、本発明において、複合材を構成する金属板としては、アモルファス金属板に限定されるものではなく、その他の金属(鋼板、ステンレス板等)を用いることができるし、その板厚も特には制限はないが、一般的には0.3mm程度以下の薄板に対して本発明の複合材打ち抜き装置は好適である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例にかかる複合材打ち抜き装置を示す断面図である。
【図2】ランド刃部の他例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ダイ
10 型孔
2 パンチ
20 ランド刃部
20a 内周面
20b 先端面
21 凹部
3 複合材
30 金属板
31 粘着剤層
32 離型シート
A 複合材打抜き装置
【出願人】 【識別番号】506221723
【氏名又は名称】株式会社熊本精研工業
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100081592
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 義則


【公開番号】 特開2008−6449(P2008−6449A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176725(P2006−176725)