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【発明の名称】 熱交換器用コルゲートフィンの成形方法、およびコルゲートフィン成形用ローラ
【発明者】 【氏名】神谷 善彦

【氏名】大野 哲生

【要約】 【課題】フィンの湾曲を防止するための別個の工程や専用装置を必要としない熱交換器用コルゲートフィンの成形方法、およびコルゲートフィン成形用ローラを提供する。

【構成】成形用のローラ50は、その回転軸56方向に伸長する所定の幅を有して回転軸56の外方周囲に交互に連続して設けられた頂部51と底部52を有し、この頂部51と底部52との間の斜面部57にヘリカル状に切り起こして設けられたルーバ3を成形するためのルーバ切り刃(図示せず)と、を有しており、ローラ50の各頂部51の外形は、回転軸56方向の正面側頂部53と背面側頂部54とが異なる形状であり、さらに正面側頂部53から背面側頂部54に至るまで徐々に変化するように形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(56)方向に伸長する幅を有して前記回転軸(56)の外方周囲に交互に設けられた頂部(51)および底部(52)を備えた一対のローラ(50)が、それぞれの前記頂部(51)と前記底部(52)とが噛み合って互いに逆回りに回転し、前記ローラ(50)間で押圧する金属製の板材(20)を波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される前記板材(20)の傾斜面にルーバ(3)を切り起こして成形する成形工程と、
前記成形工程で波形状に形成された前記板材(20)の山部(2)間の直線距離が縮まるように成形する縮め工程と、を有する熱交換器用コルゲートフィンの成形方法であって、
前記成形工程に用いられる前記ローラ(50)は、前記頂部(51)の外形が、前記回転軸(56)方向の一方側頂部(53)と他方側頂部(54)とで異なる形状であり、さらに前記一方側頂部(53)から前記他方側頂部(54)に至るまで徐々に変化するように形成されていることを特徴とする熱交換器用コルゲートフィンの成形方法。
【請求項2】
前記ローラ(50)の前記頂部(51)における先端の外形は、前記一方側頂部(53)と前記他方側頂部(54)とが異なる半径寸法の円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用コルゲートフィンの成形方法。
【請求項3】
前記ローラ(50)の前記頂部(51)の先端部分は、前記一方側頂部(53)と前記他方側頂部(54)とにおいて寸法の異なる形状であり、前記一方側頂部(53)または前記他方側頂部(54)の先端部分のうちその断面積が大きい方のいずれか一方が、他方よりも半径方向外方に突出していないことを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器用コルゲートフィンの成形方法。
【請求項4】
回転軸(56)方向に伸長する幅を有して前記回転軸(56)の外方周囲に交互に複数個ずつ設けられた頂部(51A)および底部(52A)を備えた一対のローラ(50A)が、それぞれの前記頂部(51A)と前記底部(52A)とが噛み合って互いに逆回りに回転し、前記ローラ(50A)間で押圧する金属製の板材(20)を波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される前記板材(20)の傾斜面にルーバ(3)を切り起こして成形する成形工程と、
前記成形工程で波形状に形成された前記板材(20)の山部(2)間の直線距離が縮まるように成形する縮め工程と、を有する熱交換器用コルゲートフィンの成形方法であって、
前記成形工程に用いられる前記ローラ(50A)の頂部(51A)は、前記回転軸(56)の一方側頂部(53A)と他方側頂部(54A)の両先端を結ぶ直線(10)が前記回転軸(56)に対して回転方向に傾くように形成されていることを特徴とする熱交換器用コルゲートフィンの成形方法。
【請求項5】
回転軸(56)方向に伸長する幅を有して前記回転軸(56)の外方周囲に交互に設けられた頂部(51)および底部(52)と、隣り合う前記頂部(51)と前記底部(52)の間に形成された斜面部(57)に設けられたルーバ切り刃と、を備えており、
それぞれの前記頂部(51)と前記底部(52)とが噛み合って互いに逆回りに回転しながら金属製の板材(20)を押圧して波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される前記板材(20)の傾斜面にルーバ(3)を切り起こして成形するコルゲートフィン成形用ローラであって、
前記頂部(51)の外形は、前記回転軸(56)方向の一方側頂部(53)と他方側頂部(54)とが異なる形状であり、さらに前記一方側頂部(53)から前記他方側頂部(54)に至るまで徐々に変化するように形成されていることを特徴とするコルゲートフィン成形用ローラ。
【請求項6】
前記ローラ(50)の前記頂部(51)における先端の外形は、前記一方側頂部(53)と前記他方側頂部(54)とが異なる半径寸法の円弧形状であることを特徴とする請求項5に記載のコルゲートフィン成形用ローラ。
【請求項7】
前記ローラ(50)の前記頂部(51)の先端部分は、前記一方側頂部(53)と前記他方側頂部(54)において寸法の異なる形状であり、前記一方側頂部(53)または前記他方側頂部(54)の先端部分のうちその断面積が大きい方のいずれか一方が、他方よりも半径方向外方に突出していないことを特徴とする請求項5または6に記載のコルゲートフィン成形用ローラ。
【請求項8】
回転軸(56)方向に伸長する幅を有して前記回転軸(56)の外方周囲に交互に複数個ずつ設けられた頂部(51A)および底部(52A)と、隣り合う前記頂部(51A)と前記底部(52A)の間に形成された斜面部(57)に設けられたルーバ切り刃と、を備えており、
それぞれの前記頂部(51)と前記底部(52)とが噛み合って互いに逆回りに回転しながら金属製の板材(20)を押圧して波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される前記板材(20)の傾斜面にルーバ(3)を切り起こして成形するコルゲートフィン成形用ローラであって、
前記頂部(51A)は、前記回転軸(56)の一方側頂部(53A)と他方側頂部(54A)の両先端を結ぶ直線(10)が前記回転軸(56)に対して回転方向に傾くように形成されていることを特徴とするコルゲートフィン成形用ローラ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱促進のために熱交換器に設けられる熱交換器用コルゲートフィンの成形方法、およびこのコルゲートフィン成形用ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の熱交換器用コルゲートフィンは、熱交換器のチューブ間に介在させるものであり、全体として波形状を呈するように長手方向に連続する山部および谷部と、この山部と谷部の間に等しい角度で傾斜するように切り起こされた複数個のルーバとから構成されており、その成形方法については、ローラによる成形加工によって製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この成形方法に用いられるローラは、図11に示すような形状のローラ100である。このローラ100は、回転する回転軸部105の外方の円周上に等間隔に設けられた頂部101および底部102と、この頂部101と底部102とを連絡するように形成された傾斜面106と、この傾斜面106上に回転軸方向に複数個並んで配列された切り刃(図示せず)と、を有して形成されている。この頂部101は、回転軸方向の一端部103と他端部104において、両者の山の形状、つまり外形寸法が等しくなるように形成されている。
【0004】
そして、このローラ100を用いた成形加工によると、コルゲートフィンは、図12に示すように、加工時に発生する残留応力によってルーバの切り起こし方向に捩れることになる。この捩れによって、コルゲートフィン110は、その短手方向の一方側における山部111と谷部112との間隔f1に比べて、他方側における山部111と谷部112との間隔f2の方がその寸法が大きくなり、長手方向に対して一方側に湾曲した状態に形成されてしまう。このように湾曲したコルゲートフィンは、チューブ間に接合される工程において作業性や接合の品質に影響を与えることになる。
【特許文献1】特開2004−291015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記特許文献1に記載のコルゲートフィンの成形方法では、この長手方向に対する湾曲を防止するために、ローラによる成形加工を施した後にコルゲートフィンの形状を矯正する工程を実施している。
【0006】
この工程は、成形加工後のコルゲートフィンを対向配置させた複数の回転ローラ間に通過させるものである。具体的には、コルゲートフィンの山部と谷部との間隔が狭い側の短手方向一方側における回転ローラの周速度を他方側の回転ローラの周速度よりも速くし、さらに、対向配置させた回転ローラ間の間隔を入口側よりも出口側の方を狭くして、山部および谷部の短手方向両端部が長手方向にオフセットするようにコルゲートフィンに外力を付与するものである。
【0007】
しかしながら、このような工程を実施することは、工程が増えて工数を要するという問題があり、また、専用の矯正装置が必要になるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、フィンの湾曲を防止するための別個の工程や専用装置を必要としない熱交換器用コルゲートフィンの成形方法、およびコルゲートフィン成形用ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。第1の発明は、回転軸(56)方向に伸長する幅を有して回転軸(56)の外方周囲に交互に設けられた頂部(51)および底部(52)を備えた一対のローラ(50)が、それぞれの当該頂部(51)と当該底部(52)とが噛み合って互いに逆回りに回転し、当該ローラ(50)間で押圧する金属製の板材(20)を波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される板材(20)の傾斜面にルーバ(3)を切り起こして成形する成形工程と、この成形工程で波形状に形成された板材(20)の山部(2)間の直線距離が縮まるように成形する縮め工程と、を有する熱交換器用コルゲートフィンの成形方法であって、
成形工程で用いられるローラ(50)は、その頂部(51)の外形が、回転軸(56)方向の一方側頂部(53)と他方側頂部(54)とで異なる形状であり、さらに当該一方側頂部(53)から当該他方側頂部(54)に至るまで徐々に変化するように形成されている。
【0010】
この成形方法の発明によれば、頂部の外形を回転軸方向の両端部において異なった形状にするとともに、一方側から他方側に至るまで徐々に変化するように形成されたローラを用いてフィンを成形することにより、ルーバの切り起こしによって加工時に通常発生する残留応力を打ち消すような応力がフィンに与えられるので、フィン形状の形成と同時にフィンの捩れが矯正されて成形後に湾曲しないフィンを製造することができる。
【0011】
さらに、上記第1の発明において、当該ローラ(50)の頂部(51)における先端の外形は、一方側頂部(53)と他方側頂部(54)とが異なる半径寸法の円弧形状であることが好ましい。
【0012】
この成形方法の発明によれば、頂部における先端の外形を回転軸方向の一方側から他方側に至るまで徐々に変化する円弧形状で形成されたローラを用いることにより、成形後のフィンの山部の外形を滑らかな形状に形成することができる。
【0013】
さらに、上記発明のいずれかにおいて、当該ローラ(50)の頂部(51)における先端部分は、一方側頂部(53)と他方側頂部(54)とにおいて寸法の異なる形状であり、一方側頂部(53)または他方側頂部(54)の先端部分のうちその断面積が大きい方のいずれか一方が、他方よりも半径方向外方に突出していないことが好ましい。
【0014】
この成形方法の発明によれば、成形工程後の縮め工程において山部間の直線距離が縮められるとき、先端部分の断面積が大きい方の頂部(突出していない方の頂部)により形成されたフィンの山部の方が、他方の山部よりも半径方向の外方に向けて突出量が大きくなるので、縮め工程後のフィンの山部の高さを山部の延設方向において均一に近づけることができる。そして、これにより、熱交換器のチューブにフィンを接合するときの接合部の面積を確保することができる。
【0015】
第2の発明は、回転軸(56)方向に伸長する幅を有して当該回転軸(56)の外方周囲に交互に複数個ずつ設けられた頂部(51A)および底部(52A)を備えた一対のローラ(50A)が、それぞれの当該頂部(51A)と当該底部(52A)とが噛み合って互いに逆回りに回転し、ローラ(50A)間で押圧する金属製の板材(20)を波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される板材(20)の傾斜面にルーバ(3)を切り起こして成形する成形工程と、この成形工程で波形状に形成された板材(20)の山部(2)間の直線距離が縮まるように成形する縮め工程と、を有する熱交換器用コルゲートフィンの成形方法であって、
成形工程で用いられるローラ(50A)の頂部(51A)は、回転軸(56)の一方側頂部(53A)と他方側頂部(54A)の両先端を結ぶ直線(10)が回転軸(56)に対して回転方向に傾くように形成されている。
【0016】
この成形方法の発明によれば、回転軸の一方側頂部と他方側頂部とを結ぶ直線が回転軸に対して回転方向に傾くように形成されるローラを用いてフィンを成形することにより、ルーバの切り起こしによって加工時に通常発生する残留応力を打ち消すような応力がフィンに与えられるので、フィン形状の形成と同時にフィンの捩れが矯正されて成形後に湾曲しないフィンを製造することができる。
【0017】
第3の発明は、回転軸(56)方向に伸長する幅を有して回転軸(56)の外方周囲に交互に設けられた頂部(51)および底部(52)と、隣り合う頂部(51)と底部(52)の間に形成された斜面部(57)に設けられたルーバ切り刃と、を備え、それぞれの頂部(51)と底部(52)とが噛み合って互いに逆回りに回転しながら金属製の板材(20)を押圧して波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される前記板材(20)の傾斜面にルーバ(3)を切り起こして成形するコルゲートフィン成形用ローラであって、
頂部(51)の外形は、回転軸(56)方向の一方側頂部(53)と他方側頂部(54)とが異なる形状であり、さらに当該一方側頂部(53)から当該他方側頂部(54)に至るまで徐々に変化するように形成されている。
【0018】
この発明によれば、頂部の外形を回転軸方向の両端部において異なった形状にするとともに、その外形が一方側から他方側に至るまで徐々に変化するように形成されたローラを提供することにより、ルーバの切り起こしによって加工時に通常発生する残留応力を打ち消すような応力をフィンに与えられることができ、フィン形状の形成と同時にフィンの捩れを矯正することができる。
【0019】
さらに第3の発明において、ローラ(50)の頂部(51)における先端の外形は、一方側頂部(53)と他方側頂部(54)とが異なる半径寸法の円弧形状であることが好ましい。この発明によれば、フィン形状の形成と同時にフィンの捩れを矯正できるとともに、成形後のフィンの山部の外形を滑らかな形状に形成することができる。
【0020】
さらに第3の発明以下に記載のすべての発明のいずれかにおいて、ローラ(50)の頂部(51)の先端部分は、一方側頂部(53)と他方側頂部(54)とにおいて寸法の異なる形状であり、一方側頂部(53)または他方側頂部(54)の先端部分のうちその断面積が大きい方のいずれか一方が、他方よりも半径方向外方に突出していないことが好ましい。
【0021】
この発明によれば、先端の断面積が大きい方の頂部(突出していない方の頂部)によって形成されたフィンの山部は、他方の山部よりも半径方向外方に突出していないように形成されるので、後にフィンを所定の長さに縮めたときの山部の高さを山部の延設方向において均一な状態に近づけることができる。そして、これにより、熱交換器のチューブにフィンを接合するときの接合部の面積を確保することができる。
【0022】
第4の発明は、回転軸(56)方向に伸長する幅を有して回転軸(56)の外方周囲に交互に複数個ずつ設けられた頂部(51A)および底部(52A)と、隣り合う頂部(51A)と底部(52A)の間に形成された斜面部(57)に設けられたルーバ切り刃と、を備え、それぞれの頂部(51)と底部(52)とが噛み合って互いに逆回りに回転しながら金属製の板材(20)を押圧して波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される前記板材(20)の傾斜面にルーバ(3)を切り起こして成形するコルゲートフィン成形用ローラであって、
当該頂部(51A)は、回転軸(56)の一方側頂部(53A)と他方側頂部(54A)の両先端を結ぶ直線(10)が回転軸(56)に対して回転方向に傾くように形成されている。この発明によれば、上記第3発明と同様の作用効果が得られる。
【0023】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1から図10を用いて説明する。図1は、本実施形態におけるコルゲートフィンの成形工程を示す概略図である。図1に示すように、まず、コルゲートフィンの材料である金属製の板材20は、ロール材30としてコルゲートフィンの製造工程のはじめに設置されている。このようにあらかじめロール材30として巻かれている板材20は、アンコイラー40によって巻き戻されて直線上の条材となる。この板材20はアルミニウムまたは銅で構成されている。
【0025】
次に、板材20をローラ50によって成形する成形工程を実施する。この成形工程では、板材20は一対の成形ローラ間を通過するときに押圧されて波形状に折り曲げられるとともに、波形の山部2と谷部4との間にルーバ3が切り起こし形成される。
【0026】
そして、成形工程の次は、ローラ50によって成形されたコルゲートフィンの隣り合う山部2間の直線距離が縮まるように成形する縮め工程を実施する。縮め工程は、送りローラ(図示せず)によってコルゲートフィンを摩擦ブレーキ60間に供給して、摩擦ブレーキ60の摩擦力により、隣り合う山部2間の直線距離(フィンピッチ)、換言すれば、隣り合う山部2の先端同士の間隔を縮めるように成形する工程である。
【0027】
本実施形態のコルゲートフィン1は、少なくともこの成形工程と縮め工程を経ることによって成形される。この成形方法によって成形されたコルゲートフィン1は、図8から図10に示すような形態を呈する。図8は成形後のコルゲートフィン1の形状を示した正面図であり、図9は、コルゲートフィン1に形成されたルーバの向きを示す断面図であり、図10はコルゲートフィン1を示す平面図である。
【0028】
成形後のコルゲートフィン1は、山部2と谷部4が交互に連続する全体として波形形状を呈し、隣り合う山部2の間には谷部4が形成され、さらにこの山部2と谷部4の間には傾斜面が形成され、山部2と谷部4を接続している。この傾斜面には、ローラ50による成形工程で切り起こされた複数個のルーバ3が山部2の延設方向(図8の奥行き方向)に所定間隔を設けて配列されている。
【0029】
図9は、このルーバ3が形成されている部位をルーバ3の配列方向(図8の奥行き方向)に平行な平面で切断した断面を示している。図9に示すように、ルーバ3は、コルゲートフィン1の基材を構成する板材20を挟んでそれぞれ反対側に位置し、その切り起こし方向は板材20の表面側と裏面側においてそれぞれ反対方向となる。
【0030】
図10は、成形後のコルゲートフィン1を山部2の突出側からみた状態を示しており、山部2の延設方向(図10の上下方向)の両端側における隣り合う山部2の間隔は、前述した図12に示すコルゲートフィンと違って、等しくなるように成形されている。本発明は、図10に示すように、成形後のコルゲートフィン1がその長手方向(図の左右方向)に対して湾曲しないように成形することを目的とし、そのための別個の工程や専用装置を必要としない成形方法、およびコルゲートフィン成形用ローラを提供するものである。
【0031】
次に、成形工程で用いられるローラ50について図2から図4を用いて説明する。図2はローラ50の形状を示す斜視図である。ローラ50は円盤状の高速度鋼から構成され、その大きさは例えば、約直径12cm、厚さ数mmである。ローラ50は、その回転軸56方向に伸長する所定の幅を有して回転軸56の外方周囲(ローラ50の外周部)に交互に連続して設けられた頂部51と底部52を有し、この頂部51と底部52との間の斜面部57にヘリカル状に切り起こして設けられたルーバ3を成形するためのルーバ切り刃(図示せず)と、を有している。
【0032】
ローラ50は、回転軸56を中心として回転するシャフトが挿入されるシャフト口55を備えている。それぞれの頂部51と底部52とが噛み合うように上下方向に配置された一対のローラ50は、シャフト口55に固定されたシャフトが外部から駆動力を受けて回転することによって、互いに逆回りに回転することになる。
【0033】
ローラ50の各頂部51の外形は、回転軸56方向の一方側頂部である正面側頂部53と他方側頂部である背面側頂部54とが異なる形状であり、さらに正面側頂部53から背面側頂部54に至るまで徐々に変化するように形成されている。なお、正面側頂部53と背面側頂部54とが異なる形状であるとは、両者の形状が同様の形であるが寸法が異なる相似形の関係であることや、両者の形自体が別の形であることを含んでいる。両者の形自体が別の形であることとは、例えば、両者の先端部分が円弧状と台形状の場合である。
【0034】
このような構成のローラ50がフィンの成形工程に使用されることすることによって、ルーバ切り刃による切り起こしによって加工時にフィンに通常発生する残留応力を打ち消すような応力を与えることができる。
【0035】
ローラ50は、所定の形状の薄板部材を積層したものをフィン幅(山部の延設方向幅)に相当するような厚さ寸法にしてこれらの薄板部材を締結することにより一体化して構成してもよい。この場合には、正面側頂部53を構成する薄板部材58から背面側頂部54を構成する薄板部材59に至るまでに積層された複数個の薄板部材のそれぞれは、それぞれの頂部の外形が徐々に変化するように段階的な寸法差を設けて形成されている。そして、これらの薄板部材を一体化すると、ローラ50の正面側頂部53から背面側頂部54に至って形成される頂部の外形は、徐々に変化するような形状(徐変する形状)、換言すれば、微小の寸法差によって段階的に形状が変化し、全体として滑らかに変位する形状を呈する。
【0036】
また、ローラ50は、1個のブロック状のローラを切削することによって、頂部の外形が正面側頂部53から背面側頂部54に至って徐々に変化する形状を形成するように構成してもよい。
【0037】
ローラ50を図2のA方向からみた図3、およびローラ50を図2のB方向からみた図4に示すように、ローラ50の一方側頂部である正面側頂部53の先端の外形は半径寸法R1の円弧形状とし、他方側頂部である背面側頂部54の先端の外形はR1よりも大きい半径寸法R2の円弧形状とするのが好ましい。
【0038】
この構成を採用する場合には、頂部51の先端の外形は、回転軸56方向において、正面側頂部53の断面半径寸法R1から背面側頂部54の断面半径寸法R2に到達するように徐々に変化するように構成されている。また、このときの正面側頂部53と背面側頂部54のそれぞれの先端は、ともに回転軸56から伸長する基準線X上にあり、ローラ50の回転方向(周方向)における両者の位置は一致している。
【0039】
なお、頂部の外形を正面側頂部53から背面側頂部54にかけて徐々に変化するように形成する構成としては、前述の先端を円弧形状とする他に、頂部全体を台形状としその先端の上辺の長さを正面側頂部53から背面側頂部54にかけて徐変させていく構成、例えば先端の上辺の長さを長くしていく構成でもよい。また、頂部をテーパ形状(先細り形状)としそのテーパを構成する交線のなす角度を正面側頂部53から背面側頂部54にかけて徐変させていく構成、例えば交線のなす角度を大きくしていく構成であってもよい。
【0040】
また、ローラ50の頂部51の先端部分は、正面側頂部53の先端と背面側頂部54の先端とが寸法の異なる形状で形成されており、正面側頂部53または背面側頂部54の先端のうち、断面半径寸法が大きくその断面積が大きい背面側頂部54の先端の方が、正面側頂部53の先端よりも半径方向外方に突出していないことが好ましい。換言すれば、断面積の小さい正面側頂部53の先端の方が、背面側頂部54の先端よりも半径方向外方に突出しており、回転軸から先端までの距離が長いことが好ましい。この構成のロータ50を使用すると、成形工程後の縮め工程を実施したときに、フィンの山部2の高さを山部2の延設方向(フィンの幅方向)についてほぼ均等にすることができる。
【0041】
さらに、加工時にフィンに通常発生する残留応力を打ち消すような応力を与えるために、以下に詳述するローラ50Aを使用して成形工程を実施してもよい。
【0042】
ローラ50Aは、頂部51Aが、回転軸56の一方側頂部である正面側頂部53Aの先端と他方側頂部である背面側頂部54Aの先端とを結ぶ直線10が回転軸56に対して回転方向に傾くように形成されている構成を備えている。換言すれば、正面側頂部53Aの先端は基準線Xよりも回転方向前側にα[mm]ずれた位置のY線上にあり、背面側頂部54Aの先端は基準線Xよりも回転方向後ろ側にβ[mm]ずれた位置のZ線上にある。
【0043】
また、ローラ50Aは、所定の形状の薄板部材を積層し、フィン幅に相当するような厚さ寸法にして複数個の薄板部材を締結することにより一体化して構成してもよい。この場合には、正面側頂部53Aを構成する薄板部材58Aから背面側頂部54Aを構成する薄板部材59Aに至るまでに積層された複数個の薄板部材のそれぞれは、それぞれの頂部の先端の位置が、基準線Xよりも回転方向前側にα[mm]ずれた位置から基準線Xよりも回転方向後ろ側にβ[mm]ずれた位置に徐々に変化するように段階的な回転方向の位置変化を設けて形成されている。
【0044】
そして、これらの薄板部材を一体化すると、ローラ50Aの正面側頂部53Aから背面側頂部54Aに至って形成される頂部の先端は、徐々に回転方向に位置変化するような形状(徐変する形状)、換言すれば、回転方向に微小移動しながら全体として直線状の軌跡10を描くような形態を呈する。
【0045】
さらに、ローラ50Aは、前述のローラ50と同様に、1個のブロック状のローラを切削することによって、頂部51Aの先端が正面側頂部53Aから背面側頂部54Aに至るように徐々に位置変化する構成としてもよい。
【0046】
また、ローラ50Aの頂部51Aの外形は、前述の頂部51と同様に、正面側頂部53Aと背面側頂部54Aとが異なる形状とし、さらに正面側頂部53Aから背面側頂部54Aに至るまで徐々に変化するように形成してもよい。
【0047】
本実施形態の成形方法における成形工程は、上記構成の一対のローラ50、50Aをそれぞれの頂部51、51Aと底部52、52Aとが噛み合って互いに逆回りに回転させながら、この一対のローラ50、50A間で板材20を押圧して波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される板材20の傾斜面にルーバ3を切り起こして成形する工程である。
【0048】
このような成形工程と縮め工程とを経て成形されたコルゲートフィン1を用いて製造される熱交換器は、例えば、車両用エアコン装置、庫内温度を低温に維持するために低温環境下で使用される冷凍車や冷凍機、エンジン冷却用のラジエータなどに用いられるものであり、ヒータコア、コンデンサ、およびエバポレータとして機能する。このような熱交換器のコア部を構成する複数のチューブ間には、コルゲートフィン1が配置される。さらに、コルゲートフィン1は、チューブ、コアプレート、およびサイドプレートなどとともに一体的に半田付けまたはろう付けされる。半田付けやろう付けは、コルゲートフィン1やチューブの表面にクラッドされた半田またはろう材が炉内で溶けてコルゲートフィン1とチューブとの接触部にフレッドを形成することによりなされる。
【0049】
このように本実施形態の成形方法は、回転軸56の外方周囲に交互に設けられた頂部51および底部52を備えた一対のローラ50が、それぞれの頂部51と底部52とが噛み合って互いに逆回りに回転し、ローラ50間で押圧する金属製の板材20を波形状に折り曲げるとともに、波形状に形成される板材20の傾斜面にルーバ3を切り起こして成形する成形工程と、さらに波形状に形成された板材20の山部2間の直線距離が縮まるように成形する縮め工程と、を有する熱交換器用コルゲートフィンの成形方法である。そして、成形工程で用いられるローラ50は、その頂部51の外形が、回転軸56方向における正面側頂部53と背面側頂部54とで異なる形状であり、さらに正面側頂部53から背面側頂部54に至るまで徐々に変化するように形成されている。
【0050】
この成形方法またはコルゲートフィン成形用ローラ50によれば、ルーバ3の切り起こし加工によって発生する残留応力と、頂部51と底部52の噛み合いにより成形されるフィンに発生する残留応力とが打ち消しあうことによってフィンの捩れが矯正され、成形後に湾曲しないコルゲートフィン1が得られる。
【0051】
また、頂部51、51Aにおける先端の外形は、正面側頂部53、53Aと背面側頂部54、54Aとが異なる半径寸法の円弧形状であることが好ましい。この成形方法または構成を採用した場合には、成形後のコルゲートフィン1の山部2の外形を滑らかな形状に形成することができる。
【0052】
また、頂部51における先端部分は、正面側頂部53と背面側頂部54とにおいて寸法の異なる形状であり、正面側頂部53または背面側頂部54の先端部分のうちその断面積が大きい方のいずれか一方が、他方よりも半径方向外方に突出していないことが好ましい。
【0053】
この成形方法または構成を採用した場合には、縮め工程後のコルゲートフィン1の山部2の高さを山部の延設方向において均一に近づけることができる。そして、熱交換器のチューブにコルゲートフィン1を接合するときの接合部の面積を確保することができる。
【0054】
また、本実施形態の成形方法またはコルゲートフィン成形用ローラ50Aは、成形工程で用いられるローラ50Aの頂部51Aが回転軸56の正面側頂部53Aと背面側頂部54Aの両先端を結ぶ直線10が回転軸56に対して回転方向に傾くように形成されている。
【0055】
この成形方法またはコルゲートフィン成形用ローラ50Aによれば、ルーバ3の切り起こし加工によって発生する残留応力と、頂部51Aと底部52Aの噛み合いにより成形されるフィンに発生する残留応力とが打ち消しあうことによってフィンの捩れが矯正され、成形後に湾曲しないコルゲートフィン1が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態におけるコルゲートフィンの成形工程を示す概略図である。
【図2】第1実施形態におけるコルゲートフィンの成形工程で用いられるコルゲートフィン成形用ローラの形状を示す斜視図である。
【図3】図2のA方向からみたコルゲートフィン成形用ローラの形状を示す正面図である。
【図4】図2のB方向からみたコルゲートフィン成形用ローラの形状を示す背面図である。
【図5】第1実施形態におけるコルゲートフィンの成形工程で用いられるその他のコルゲートフィン成形用ローラの形状を示す斜視図である。
【図6】図5のC方向からみたコルゲートフィン成形用ローラの形状を示す正面図である。
【図7】図5のD方向からみたコルゲートフィン成形用ローラの形状を示す背面図である。
【図8】第1実施形態における成形後のコルゲートフィンの形状を示す正面図である。
【図9】第1実施形態における成形後のコルゲートフィンに形成されたルーバの向きを示す断面図である。
【図10】第1実施形態における成形後のコルゲートフィンの状態を示す平面図である。
【図11】従来のコルゲートフィン成形用ローラの形状を示す斜視図である。
【図12】図11のコルゲートフィン成形用ローラによって成形されたコルゲートフィンの状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0057】
2 山部
3 ルーバ
10 直線
20 板材
50、50A ローラ
51、51A 頂部
52、52A 底部
53、53A 正面側頂部(一方側頂部)
54、54A 背面側頂部(他方側頂部)
56 回転軸
57 斜面部
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行

【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平


【公開番号】 特開2008−812(P2008−812A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175802(P2006−175802)