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【発明の名称】 金属材料の押出成形用ダイス
【発明者】 【氏名】平本 公寿

【氏名】崎浜 秀和

【要約】 【課題】耐久性に優れ、高い品質の押出成形品が得られる金属材料の押出成形用ダイスを提供する。

【解決手段】ダイス10は、受圧部21の金属材料受圧面を押出方向に対向させて後向きに配置されるダイスケース20と、ダイスケース20内に設けられるオス型ダイス30およびメス型ダイス40と、を備える。受圧面が後方に向けて突出する凸面形状に形成される。受圧部21の外周に、金属材料導入用のポート孔24が設けられる。ポート孔24が、その入口部24eの開口面積が内部の通路断面積よりも大きく形成される。そして、ダイス10は、金属材料受圧面に押圧された金属材料が、ポート孔24を通ってダイスケース20内に導かれて、押出孔11を通過するよう構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面を金属材料受圧面とする受圧部を有し、金属材料受圧面を金属材料の押出方向に対向させるように後方に向けて配置されるダイスケースと、
ダイスケース内に設けられるオス型ダイスと、
ダイスケース内に設けられ、かつオス型ダイスとの間で押出孔を形成するメス型ダイスと、を備え、
受圧面が後方に向けて突出する凸面形状に形成されるとともに、受圧部の外周に、金属材料導入用のポート孔が設けられる一方、ポート孔が、その入口部の開口面積が内部の通路断面積よりも大きく形成されて、
金属材料受圧面に押圧された金属材料が、ポート孔を通ってダイスケース内に導かれて、押出孔を通過するよう構成されたことを特徴とする金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項2】
ポート孔はその入口部から内部にかけて通路断面積が漸次小さくなるように形成される請求項1に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項3】
ポート孔における入口部の径方向長さ(厚さ)が内部の厚さよりも大きく設定される請求項1または2に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項4】
ポート孔における入口部の周方向長さ(幅)が内部の幅よりも大きく設定される請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項5】
ポート孔の入口部周縁における外側部に面取り部が形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項6】
ポート孔の入口部周縁における内側部に面取り部が形成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項7】
ポート孔内周面の内側面における軸心に対する傾斜角度に対し、ポート孔内周面の外側面における傾斜角度が大きく設定される請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項8】
金属材料受圧面が、1/6〜4/6球体の凸球面によって構成された請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項9】
ポート孔は、ダイスケースの軸心回りに周方向に等間隔おきに複数形成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項10】
押出孔は、幅が厚さよりも大きい偏平形状に形成されて、
ポート孔が押出孔の厚さ方向両側に対応する位置に形成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項11】
オス型ダイスと、メス型ダイスとによって、高さ(厚さ)が幅に対し小さい偏平な環状の押出孔が形成されるとともに、
オス型ダイスの押出孔に対応する部分が、幅方向に併設された複数の通路形成用凸部を有する櫛歯状に形成されて、
金属材料が押出孔を通過することによって、複数の通路が幅方向に併設された多孔中空材が成形される請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項12】
オス型ダイスと、メス型ダイスとによって、環状の押出孔が形成され、
金属材料が押出孔を通過することによって、断面環状のチューブ材が成形される請求項1〜11のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項13】
金属材料が、アルミニウムまたはその合金である請求項1〜12のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載された押出成形用ダイスを用いて押出成形品を成形することを特徴とする押出成形品の製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載された押出成形用ダイスを用いて多孔中空材を成形することを特徴とする多孔中空材の製造方法。
【請求項16】
請求項12に記載された押出成形用ダイスを用いて押出チューブ材を成形することを特徴とする押出チューブ材の製造方法。
【請求項17】
外表面を金属材料受圧面とする受圧部を有し、金属材料受圧面が金属材料の押出方向に対向させるように後方に向けて配置される一方、内部にオス型ダイスおよびメス型ダイスが設けられる押出成形用ダイスのダイスケースであって、
受圧面が後方に向けて突出する凸面形状に形成されるとともに、受圧部の外周に、金属材料導入用のポート孔が設けられる一方、ポート孔が、その入口部の開口面積が内部の通路断面積よりも大きく形成されて、
金属材料受圧面に押圧された金属材料が、ポート孔を通ってダイスケース内に導かれて、押出孔を通過するよう構成されたことを特徴とする押出成形用ダイスのダイスケース。
【請求項18】
金属材料受圧面が、1/6〜4/6球体の凸球面によって構成された請求項17に記載の押出成形用ダイスのダイスケース。
【請求項19】
金属材料の押出成形方法であって、
外表面を金属材料受圧面とする受圧部を有し、金属材料受圧面を金属材料の押出方向に対向させるように後方に向けて配置されるダイスケースと、
ダイスケース内に設けられるオス型ダイスと、
ダイスケース内に設けられ、かつオス型ダイスとの間で押出孔を形成するメス型ダイスと、を準備しさらに、
受圧面を後方に向けて突出する凸面形状に形成するとともに、受圧部の外周に、金属材料導入用のポート孔を設ける一方、ポート孔を、その入口部の開口面積を内部の通路断面積よりも大きく形成しておき、
金属材料受圧面に押圧された金属材料を、ポート孔に通してダイスケース内に導いて、押出孔に通過させることを特徴とする金属材料の押出成形方法。
【請求項20】
コンテナと、そのコンテナにセットされる押出成形用ダイスと、を備え、コンテナ内の金属材料を押出成形用ダイスに供給するようにした金属材料の押出成形機であって、
押出成形用ダイスは、
外表面を金属材料受圧面とする受圧部を有し、金属材料受圧面を金属材料の押出方向に対向させるように後方に向けて配置されるダイスケースと、
ダイスケース内に設けられるオス型ダイスと、
ダイスケース内に設けられ、かつオス型ダイスとの間で押出孔を形成するメス型ダイスと、を備え、
受圧面が後方に向けて突出する凸面形状に形成されるとともに、受圧部の外周に、金属材料導入用のポート孔が設けられる一方、ポート孔が、その入口部の開口面積が内部の通路断面積よりも大きく形成されて、
金属材料受圧面に押圧された金属材料が、ポート孔を通ってダイスケース内に導かれて、押出孔を通過するよう構成されたことを特徴とする金属材料の押出成形機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、金属材料の押出加工に用いられる金属材料の押出成形用ダイスおよびその関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カーエアコン用熱交換器におけるアルミニウム製熱交換チューブなどの金属製中空押出品を製造する際に用いられる押出成形用ダイスは、図26(a)に示すポートホールダイス、同図(b)に示すスパイダダイス、同図(c)に示すブリッジダイスと称されるものがある。
【0003】
これらの押出成形用ダイスは、オス型ダイス(1)とメス型ダイス(2)とが組み合わされて構成され、オス型ダイス(1)のマンドレル(1a)が、メス型ダイス(2)のダイス孔(2a)に対応して配置されて、マンドレル(1a)およびダイス孔(2a)によって環状の押出孔が形成される。そしてオス型ダイス(1)のビレット受圧面(金属材料受圧面1b)に押圧された金属ビレット(金属材料)が、材料導入部(1c)を通って両ダイス(1)(2)内に流入されて、上記押出孔を塑性変形しつつ通過することによって、押出孔の形状に対応した断面形状の押出材が成形加工されるよう構成されている。
【0004】
このような押出成形用ダイスにおいては、オス型ダイス(1)のビレット受圧面(1b)に、金属ビレットの押圧による多大な応力が加わるため、その応力によって、受圧部周辺に亀裂が発生し易く、十分なダイス寿命を得ることが困難になるおそれがある。
【0005】
そこで従来においては、下記特許文献1,2に示す金属材料の押出成形用ダイスが提案されている。このダイスは、オス型ダイスのビレット受圧面がビレットの押出方向に対し反対側(後側)に突出する凸面形状に形成されており、このビレット受圧面に加わる金属ビレットの押圧力をオス型ダイスのブリッジ部によって受け止めるように構成されている。
【特許文献1】実開昭53−102938号(請求の範囲、第3−5図)
【特許文献2】特公平6−81644号(請求の範囲、図面)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2に示す従来の押出成形用ダイスは、ビレット受圧面を凸面形状に形成しているため、金属ビレットに対する耐圧性など、オス型ダイスの強度をある程度向上させることができるものの、依然としてブリッジ部に強度的に不安を抱えている。このためブリッジ部の強度を十分に確保するには、オス型ダイスにおけるブリッジ部の肉厚などのサイズを大きくせざるを得ず、大型化および高重量化を来すばかりか、コストの増大も招くという問題が発生する。
【0007】
また押出成形用ダイスにおいて、特に複雑な形状に押出加工するような場合には、金属材料をオス型ダイスの材料導入部から押出孔にかけて安定状態にスムーズに導入する必要があるが、上記従来の押出成形用ダイスにおいては、オス型ダイスの材料導入部からオス型ダイスおよびメス型ダイス間に流入される金属材料がオス型ダイスのブリッジ部によって乱されて、金属材料のスムーズな導入が妨げられ、押出成形品の寸法精度が低下して、高い品質を得ることが困難になるおそれがあった。
【0008】
この発明の主たる目的は、上記従来技術の問題を解消し、十分な強度および耐久性を確保しつつ、コストの削減および小型軽量化を図ることができるとともに、高い品質の押出成形品を得ることができる金属材料の押出成形用ダイスを提供することである。
【0009】
この発明の他の目的は、上記目的を達成可能な押出成形品の製造方法、押出チューブ材の製造方法、多孔中空材の製造方法、押出成形用ダイスのダイスケース、金属材料の押出成形方法および金属材料の押出成形機などの関連技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
【0011】
[1] 外表面を金属材料受圧面とする受圧部を有し、金属材料受圧面を金属材料の押出方向に対向させるように後方に向けて配置されるダイスケースと、
ダイスケース内に設けられるオス型ダイスと、
ダイスケース内に設けられ、かつオス型ダイスとの間で押出孔を形成するメス型ダイスと、を備え、
受圧面が後方に向けて突出する凸面形状に形成されるとともに、受圧部の外周に、金属材料導入用のポート孔が設けられる一方、ポート孔が、その入口部の開口面積が内部の通路断面積よりも大きく形成されて、
金属材料受圧面に押圧された金属材料が、ポート孔を通ってダイスケース内に導かれて、押出孔を通過するよう構成されたことを特徴とする金属材料の押出成形用ダイス。
【0012】
[2] ポート孔はその入口部から内部にかけて通路断面積が漸次小さくなるように形成される前項1に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0013】
[3] ポート孔における入口部の径方向長さ(厚さ)が内部の厚さよりも大きく設定される前項1または2に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0014】
[4] ポート孔における入口部の周方向長さ(幅)が内部の幅よりも大きく設定される前項1〜3のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0015】
[5] ポート孔の入口部周縁における外側部に面取り部が形成される前項1〜4のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0016】
[6] ポート孔の入口部周縁における内側部に面取り部が形成される前項1〜5のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0017】
[7] ポート孔内周面の内側面における軸心に対する傾斜角度に対し、ポート孔内周面の外側面における傾斜角度が大きく設定される前項1〜6のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
[8] 金属材料受圧面が、1/6〜4/6球体の凸球面によって構成された前項1〜7のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0018】
[9] ポート孔は、ダイスケースの軸心回りに周方向に等間隔おきに複数形成される前項1〜8のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0019】
[10] 押出孔は、幅が厚さよりも大きい偏平形状に形成されて、
ポート孔が押出孔の厚さ方向両側に対応する位置に形成される前項1〜9のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0020】
[11] オス型ダイスと、メス型ダイスとによって、高さ(厚さ)が幅に対し小さい偏平な環状の押出孔が形成されるとともに、
オス型ダイスの押出孔に対応する部分が、幅方向に併設された複数の通路形成用凸部を有する櫛歯状に形成されて、
金属材料が押出孔を通過することによって、複数の通路が幅方向に併設された多孔中空材が成形される前項1〜10のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0021】
[12] オス型ダイスと、メス型ダイスとによって、環状の押出孔が形成され、
金属材料が押出孔を通過することによって、断面環状のチューブ材が成形される前項1〜10のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0022】
[13] 金属材料が、アルミニウムまたはその合金である前項1〜12のいずれか1項に記載の金属材料の押出成形用ダイス。
【0023】
[14] 前項1〜11のいずれかに記載された押出成形用ダイスを用いて押出成形品を成形することを特徴とする押出成形品の製造方法。
【0024】
[15] 前項11に記載された押出成形用ダイスを用いて多孔中空材を成形することを特徴とする多孔中空材の製造方法。
【0025】
[16] 前項12に記載された押出成形用ダイスを用いて押出チューブ材を成形することを特徴とする押出チューブ材の製造方法。
【0026】
[17] 外表面を金属材料受圧面とする受圧部を有し、金属材料受圧面が金属材料の押出方向に対向させるように後方に向けて配置される一方、内部にオス型ダイスおよびメス型ダイスが設けられる押出成形用ダイスのダイスケースであって、
受圧面が後方に向けて突出する凸面形状に形成されるとともに、受圧部の外周に、金属材料導入用のポート孔が設けられる一方、ポート孔が、その入口部の開口面積が内部の通路断面積よりも大きく形成されて、
金属材料受圧面に押圧された金属材料が、ポート孔を通ってダイスケース内に導かれて、押出孔を通過するよう構成されたことを特徴とする押出成形用ダイスのダイスケース。
[18] 金属材料受圧面が、1/6〜4/6球体の凸球面によって構成された前項17に記載の押出成形用ダイスのダイスケース。
【0027】
[19] 金属材料の押出成形方法であって、
外表面を金属材料受圧面とする受圧部を有し、金属材料受圧面を金属材料の押出方向に対向させるように後方に向けて配置されるダイスケースと、
ダイスケース内に設けられるオス型ダイスと、
ダイスケース内に設けられ、かつオス型ダイスとの間で押出孔を形成するメス型ダイスと、を準備しさらに、
受圧面を後方に向けて突出する凸面形状に形成するとともに、受圧部の外周に、金属材料導入用のポート孔を設ける一方、ポート孔を、その入口部の開口面積を内部の通路断面積よりも大きく形成しておき、
金属材料受圧面に押圧された金属材料を、ポート孔に通してダイスケース内に導いて、押出孔に通過させることを特徴とする金属材料の押出成形方法。
【0028】
[20] コンテナと、そのコンテナにセットされる押出成形用ダイスと、を備え、コンテナ内の金属材料を押出成形用ダイスに供給するようにした金属材料の押出成形機であって、
押出成形用ダイスは、
外表面を金属材料受圧面とする受圧部を有し、金属材料受圧面を金属材料の押出方向に対向させるように後方に向けて配置されるダイスケースと、
ダイスケース内に設けられるオス型ダイスと、
ダイスケース内に設けられ、かつオス型ダイスとの間で押出孔を形成するメス型ダイスと、を備え、
受圧面が後方に向けて突出する凸面形状に形成されるとともに、受圧部の外周に、金属材料導入用のポート孔が設けられる一方、ポート孔が、その入口部の開口面積が内部の通路断面積よりも大きく形成されて、
金属材料受圧面に押圧された金属材料が、ポート孔を通ってダイスケース内に導かれて、押出孔を通過するよう構成されたことを特徴とする金属材料の押出成形機。
【発明の効果】
【0029】
発明[1]の金属材料の押出成形用ダイスによれば、受圧面を凸面形状に形成しているため、金属材料が受圧面に押圧された際に、金属材料の押圧力を受圧面によって分散させて受け止めることができて、受圧面の各部分での法線方向の押圧力を低減することができる。このため金属材料の押圧力に対する強度を向上できて、十分な耐久性を得ることができる。すなわち、金属材料が凸面形状に形成された受圧面に押圧された場合、受圧面の各部位には受圧部の軸心に向かう方向の圧縮力が加わるため、押出成形時にダイスケースに生じる剪断力が低減される。その結果、このダイスケースにおいて最も剪断力が大きく生じる部位である、ダイスケースの中空部に露出した部位について、該部位に生じる剪断力を低減でき、もって金属材料の押圧力に対するダイスの強度を向上させることができる。
【0030】
さらに本発明においては、オス型ダイスおよびメス型ダイスを覆うダイスケースの受圧部に、材料流入用のポート孔を形成するものであるため、つまり受圧部の前端(下流側)壁部が周方向に連続して一体に形成されるため、この連続周壁部の存在によって、ダイスケース、ひいては押出成形用ダイス全体の強度を一段と向上させることができる。このように本発明のダイスは、従来におけるブリッジ部などの強度的に弱い部分が存在せず、強度向上のために必要以上に肉厚などのサイズを大きく形成する必要もないため、小型軽量化を図ることができるとともに、コストも削減することができる。
【0031】
また本発明においては、ポート孔をその入口部の開口面積を内部の通路断面積よりも大きく形成しているため、金属材料を入口部からスムーズに取り込むことができ、金属材料の受圧面に対する押圧力(押出荷重)を低減できて、押出加工を効率良くスムーズに行うことができる。
【0032】
しかもポート孔の内部の通路断面積は小さくなっているため、ダイスケースのポート孔による空隙率も小さくなり、ダイスケースの強度、ひいてはダイス全体の強度を一層向上させることができる。
【0033】
発明[2]の金属材料の押出成形用ダイスによれば、ポート孔が漸次小さくなるようにしているため、ポート孔を通過する金属材料の流動抵抗等が急変することがなく、金属材料をより一層スムーズにポート孔に通過させることができる。
【0034】
発明[3]〜[7]の金属材料の押出成形用ダイスによれば、上記の効果をより確実に得ることができる。
発明[8]の金属材料の押出成形用ダイスによれば、金属材料の受圧面への押圧力をより確実にバランス良く分散できて、金属材料の押圧力に対する強度をより確実に向上させることができる。すなわち、金属材料が特定の凸球面によって構成された受圧面に押圧された場合、受圧面の各部位には受圧部の中心に向かう方向の圧縮力がより確実に加わるため、押出成形時にダイスケースに生じる剪断力がより確実に低減される。その結果、このダイスケースにおいて最も剪断力が大きく生じる部位である、ダイスケースの中空部に露出した部位について、該部位に生じる剪断力をより確実に低減でき、もって金属材料の押圧力に対するダイスの強度をより確実に向上させることができる。
【0035】
発明[9]の金属材料の押出成形用ダイスによれば、金属材料を周方向から均等に押出孔に向けて導入できて、押出成形をより安定した状態で行うことができる。
【0036】
発明[10]の金属材料の押出成形用ダイスによれば、偏平形状の押出製品を精度良く形成することができる。
【0037】
発明[11]の金属材料の押出成形用ダイスによれば、幅方向に複数の通路が並列に配置された多孔中空材を確実に形成することができる。
【0038】
発明[12]の金属材料の押出成形用ダイスによれば、断面環状のチューブ材を確実に形成することができる。
【0039】
発明[13]の金属材料の押出成形用ダイスによれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出成形品を製造することができる。
【0040】
発明[14]によれば、上記と同様の効果を奏する押出成形品の製造方法を提供することができる。
【0041】
発明[15]によれば、上記と同様の効果を奏する多孔中空材の製造方法を提供することができる。
【0042】
発明[16]によれば、上記と同様の効果を奏する押出チューブ材の製造方法を提供することができる。
【0043】
発明[17]によれば、上記と同様の効果を奏する押出成形用ダイスのダイスケースを提供することができる。
発明[18]によれば、上記発明[8]と同様の理由により、金属材料の受圧面への押圧力をより確実にバランス良く分散できて、金属材料の押圧力に対する強度をより確実に向上させることができる。
【0044】
発明[19]によれば、上記と同様の効果を奏する金属材料の押出成形方法を提供することができる。
【0045】
発明[20]によれば、上記と同様の効果を奏する金属材料の押出成形機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態の一例としての金属材料の押出成形用ダイス(10)は、図10,11に示す多孔中空材(扁平多孔チューブ)(60)を押出成形するものである。
【0047】
中空材(60)は、金属製のもので、本実施形態において具体的には、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の熱交換チューブを構成している。
【0048】
この中空材(60)は、カーエアコン用のコンデンサなどの熱交換器に採用されるもので、幅が厚さに対し大きく設定された偏平な形状を有している。中空材(60)の中空部(61)は、チューブ長さ方向に延び、かつ互いに平行に配置された複数の隔壁(62)によって、複数の熱交換用通路(63)に仕切られている。これらの通路(63)は、チューブ長さ方向に延び、かつ互いに平行に配置されている。
【0049】
なお本実施形態においては、チューブ長さ方向に対し直交し、かつ通路(63)が並列される方向を「幅方向」または「横方向」とし、チューブ長さ方向に対し直交し、かつ幅方向に対し直交する方向を「高さ方向(厚さ方向)」または「縦方向」として説明する。さらに本実施形態では、押出方向の「上流側」を「後側」とし、「下流側」を「前側」として説明する。
【0050】
図1〜6はこの発明の実施形態の一例とする押出成形用ダイス(10)を示す図である。これらの図に示すように本実施形態の押出成形用ダイス(10)は、ダイスケース(20)と、オス型ダイス(30)と、メス型ダイス(40)と、流動制御板(50)と、を備えている。
【0051】
ダイスケース(20)は、中空構造を有しており、金属材料としての金属ビレットの押出方向に対し、上流側(後側)に設けられるドーム形状の受圧部(21)と、下流側(前側)に設けられるベース部(25)とを有している。
【0052】
受圧部(21)は、金属ビレットの押出方向に対向する面(後面)が、金属材料受圧面としてのビレット受圧面(22)に形成されている。このビレット受圧面(22)は、押出方向に対向する方向(後方向)に突出する凸面形状として形成されており、具体的には半球面形状の凸球面に形成されている。このようにして受圧部(22)は後方に向けて突出するように形成されている。
【0053】
受圧部(21)の周壁中央には、内部の中空部(ウェルドチャンバ12)に連通するオス型ダイス保持孔(23)が軸心(A1)に沿って設けられている。このオス型ダイス保持孔(23)は、オス型ダイス(30)の断面形状に対応して、偏平な矩形状に形成されている。さらに図5に示すようにオス型ダイス保持孔(23)の後端側における両側部には、後述するオス型ダイス(30)を係合するための係合手段として係合段部(23a)(23a)が設けられている。
【0054】
受圧部(21)の周壁両側には、軸心(A1)を挟んで両側に一対のポート孔(24)(24)が形成されている。各ポート孔(24)の入口部(24e)は、軸心方向の上流側から見た状態で、略台形状に形成されている。
【0055】
図4に示すように各ポート孔(24)は、下流側に向かうに従って受圧部(21)の軸心(A1)に近づくように、ポート孔(24)の軸心(A2)が受圧部(21)の軸心(A1)に対し交差しかつ傾斜して配置されている。なおこのポート孔(24)の軸心(A2)の傾斜角度(θ)等の詳細な構成については、後に詳述する。
【0056】
さらに各ポート孔(24)は、その通路断面積が入口部(24e)から内部に向かうに従って漸次小さくなるように形成されて、入口部(24e)の開口面積が内部の通路断面積よりも大きく形成されている。すなわち本実施形態においては、ポート孔(24)がその内周面のうち、内側面(24a)の軸心(A1)に対する傾斜角度(θa)が、外側面の軸心(A1)に対する傾斜角度(θb)よりも小さく形成されている。
【0057】
また一対のポート孔(24)(24)は、出口部(前端部)が、後述の押出孔(11)に対応して配置されている。
【0058】
さらに本実施形態において、ダイスケース(20)の軸心と受圧部(21)の軸心とは一致するよう構成されている。
【0059】
ベース部(25)は、受圧部(21)に対し一体に形成されており、軸心を中心とする円環状に形成されている。このベース部(25)は、直径が受圧部(21)よりも長く設定されている。
【0060】
なお本発明においては、ベース部(25)と受圧部(21)とを必ずしも一体に形成する必要はなく、両部材(21)(25)を別体に形成しても良い。さらに両部材(21)(25)を一体にするか分割にするかは、そのメンテナンス性等を考慮して適宜選択することができる。
【0061】
ベース部(25)の内側には、内部のウェルドチャンバ(12)に連通し、かつメス型ダイス(40)の断面形状に対応する円筒形のメス型ダイス保持孔(26)が形成されている。このメス型ダイス保持孔(26)の軸心は、ダイスケース(20)の軸心(A1)に一致するように構成されている。
【0062】
またメス型ダイス保持孔(26)の内周面における後端側には図4などに示すように、後述するメス型ダイス(40)を流動制御板(50)を介して係合する係合段部(26a)が形成されている。
【0063】
オス型ダイス(30)は、その前半の主要部がマンドレル(31)として構成されている。図2,5に示すようにマンドレル(31)の前端部は、中空材(60)の中空部(61)を成形するもので、中空材(60)の各通路(63)に対応した複数個の通路成形用凸部(33)を有している。これら複数の通路成形用凸部(33)は、マンドレル(31)の幅方向に所定間隔おきに並んで配置されている。さらにこれらの通路成形用凸部(33)の各間に設けられた隙間は、中空材(60)の隔壁(62)を形成する隔壁成形用溝(32)として構成されている。
【0064】
オス型ダイス(30)の後端部における幅方向両側縁には、ダイスケース(20)におけるオス型ダイス保持孔(23)の上記係合段部(23a)(23a)に対応して、係合凸部(33a)(33a)が側方突出状に一体に形成されている。
【0065】
このオス型ダイス(30)が、上記ダイスケース(20)のオス型ダイス保持孔(23)に、そのビレット受圧面(22)側から挿入されて固定される。このときオス型ダイス(30)の係合凸部(33a)(33a)が、オス型ダイス保持孔(23)内の係合段部(23a)(23a)に係合されて、オス型ダイス(30)の位置決めが図られることにより、オス型ダイス(30)のマンドレル(31)が、ダイスケース(20)の内部におけるオス型ダイス保持孔(23)から内部に所定量突出した状態に保持される。
【0066】
なおオス型ダイス(30)の基端面(後端面)は、ダイスケース(20)のビレット受圧面(22)に倣う半球凸面の一部に形成されており、オス型ダイス(30)の基端面(後端面)と、ビレット受圧面(22)とにより協同で所望の円滑な半球凸面が形成されている。
【0067】
メス型ダイス(40)は、円柱形状を有しており、図2に示すように外周面の両側部には、軸心と平行なキー突起(47)(47)が形成されている。
【0068】
メス型ダイス(40)には、後端面側に開放し、かつオス型ダイス(30)のマンドレル(31)に対応して形成されるダイス孔(ベアリング孔41)と、ダイス孔(41)に連通し、かつ前端面側に開放するレリーフ孔(42)とが設けられている。
【0069】
ダイス孔(41)は、その内周縁部に沿って内方突出部が設けられて、中空材(60)の外周部を成形できるよう構成されている。さらにレリーフ孔(42)は、前端側(下流側)に向かうに従って次第に厚さ(高さ)が大きくなるように末広がりのテーパ状に形成されて、下流側に開放されている。
【0070】
流動制御板(50)は、その外周形状が、上記ダイスケース(20)におけるメス型ダイス保持孔(26)の断面形状に対応して円形に形成されている。さらに流動制御板(50)の中央には、オス型ダイス(30)のマンドレル(31)およびメス型ダイス(40)のダイス孔(41)に対応して、中央貫通孔(51)が形成されている。
【0071】
なお図2に示すように、流動制御板(50)における外周縁部の両側部には、上記メス型ダイス(40)のキー突起(47)(47)に対応して、キー突起(57)(57)が形成されている。
【0072】
そして図3〜5に示すように上記メス型ダイス(40)が、ダイスケース(20)のメス型ダイス保持孔(26)に、流動制御板(50)を介して収容されて固定される。このときメス型ダイス(40)の一端面(後端面)外周が流動制御板(50)の外周縁部を介して、メス型ダイス保持孔(26)の係合段部(26a)に係合されることにより、メス型ダイス(40)および流動制御板(50)の軸心方向の位置決めが図られるとともに、メス型ダイス(40)のキー突起(47)(47)および流動制御板(50)のキー突起(57)(57)がメス型ダイス保持孔(26)の内周面に設けられたキー溝(図示省略)に係合されることにより、軸心回り方向の位置決めが図られる。
【0073】
これにより、オス型ダイス(30)のマンドレル(31)およびメス型ダイス(40)のダイス孔(41)が流動制御板(50)の中央貫通孔(51)内に対応して配置される。このときオス型ダイス(30)のマンドレル(31)が、メス型ダイス(40)のダイス孔(41)の内側に配置されて、マンドレル(31)およびダイス孔(41)間で偏平環状の押出孔(11)が形成される。さらにこの押出孔(11)は、マンドレル(31)の複数の隔壁形成溝(32)が幅方向に並列に配置されて、成形加工される上記中空材(60)の断面形状に対応して形成される。
【0074】
ここで本実施形態において図4に示すように、外側面(24b)の傾斜角度(θb)と、内側面(24a)の傾斜角度(θa)との角度差(θb−θa)を3〜37°、より好ましくは5〜25°に設定するのが良い。すなわちこの角度差(θb−θa)が上記特定範囲内に設定されている場合には、ポート孔入口部(24e)の開口面積を十分に大きく確保しつつ、金属材料としてのビレットを、安定状態にポート孔(24)の入口部(24e)から内部に導くことができ、高い品質の押出製品を得ることができる。
【0075】
換言すれば、上記の角度差(θb−θa)が大き過ぎる場合には、ポート孔(24)の通路断面積が入口部(24e)に比べて内部が極端に小さくなり、ビレットがポート孔(24)を通過する際に圧力が急変し、ビレットを安定状態にダイス内に導入することが困難になるおそれがある。逆に上記角度差(θb−θa)が小さ過ぎる場合には、入口部(24e)の開口面積を大きく確保できず、ビレットのダイスへの圧力(押出荷重)が過度に大きくなって、押出加工をスムーズに行うことが困難になるおそれがある。また上記の角度差(θb−θa)を小さくした上で、入口部(24e)の開口面積を大きく確保しようとすると、ポート孔自体が大きくなり、ダイス内のポート孔(24)による空隙率が多くなってダイス強度を低下させてしまうので、好ましくない。
【0076】
なお後述の第2〜4実施形態で明示するように、本発明においては、上記角度差(θb−θa)を0°に設定して、入口部(24e)の開口面積を大きくすることも可能である。
【0077】
また本実施形態において、ポート孔(24)における内側面(24a)の傾斜角度(θa)は、3〜30°、より好ましくは5〜25°に設定するのが良い。さらに外側面(24b)の傾斜角度(θb)は、10〜40°、より好ましくは20〜30°に設定するのが良い。すなわち内側面(24a)の傾斜角度(θa)が大き過ぎたり、外側面(24b)の傾斜角度(θb)が小さ過ぎたりする場合には、入口部(24e)の開口面積を十分に確保できず、ビレットの押出荷重が過度に大きくなって、押出加工をスムーズに行うことが困難になるおそれがある。また内側面(24a)の傾斜角度(θa)が小さ過ぎたり、外側面(24b)の傾斜角度(θb)が大きい過ぎたりする場合には、ポート孔(24)の通路断面積が入口部(24e)に比べて内部が極端に小さくなるおそれがあり、ビレットがポート孔(24)を安定状態に通過させることができなくなるおそれがある。
【0078】
さらにポート孔(24)(24)は既述したようにその軸心(A2)が、ダイスケース(20)の軸心(A1)に対し傾斜するように設定されている。本実施形態において、ダイスケース(20)の軸心(A1)に対するポート孔(24)の軸心(A2)の傾斜角度(θ)は、3〜45°に設定するのが良く、好ましくは10〜35°、より好ましくは15〜30°に設定するのが良い。すなわちこの傾斜角度(θ)を上記特定の範囲内に設定する場合には、金属材料がポート孔(24)(24)およびウェルドチャンバ(12)を安定した状態で流通して、さらに金属材料が押出孔(11)をその全周にわたってバランス良くスムーズに通過して、寸法精度に優れた高品質の押出成形品(押出加工品)を形成することができる。換言すれば、上記傾斜角度(θ)が小さ過ぎる場合には、ポート孔(24)(24)およびウェルドチャンバ(12)を流通した金属材料が、押出孔(11)にスムーズに導入されず、高品質の押出成形品を安定して得ることが困難になるおそれがある。逆に傾斜角度(θ)が大き過ぎる場合には、材料押出方向に対し、ポート孔(24)の材料流通方向が大きく傾斜するため、金属材料の押出抵抗が大きくなるので、好ましくない。
【0079】
また本実施形態において、ダイスケース(20)におけるビレット受圧面(22)を1/6〜4/6球体の凸球面によって構成するのが良い。ビレット受圧面(22)を上記特定の凸球面によって構成する場合には、ビレット受圧面(22)によって金属ビレットの押圧力をより確実にバランス良く分散して受け止めることができ、十分な強度を確保できて、ダイス寿命をより確実に向上させることができる。すなわち、ビレットが特定の凸球面によって構成された受圧面(22)に押圧された場合、受圧面(22)の各部位には受圧部(21)の中心に向かう方向の圧縮力がより確実に加わるため、押出成形時にダイスケース(20)に生じる剪断力がより確実に低減される。その結果、このダイスケース(20)において最も剪断力が大きく生じる部位である、ダイスケース(20)の中空部に露出した部位について、該部位に生じる剪断力をより確実に低減でき、もってビレットの押圧力に対するダイス(10)の強度をより確実に向上させることができる。そればかりかダイス形状の簡素化、小型軽量化およびコストの削減を図ることができる。換言すれば、ビレット受圧面の形状を、1/6球体に満たない球体、たとえば1/8球体の凸球面形状によって構成した場合には、ビレットの押圧力に対し十分な強度を得ることができず、亀裂の発生によるダイス寿命の低下を来すおそれがある。逆にビレット受圧面の形状を、4/6球体を超える球体、たとえば5/6球体の凸球面形状によって構成した場合には、形状の複雑化によるコストの増大を来すおそれがある。
【0080】
ここで本実施形態においてたとえば、1/8球体、1/6球体、4/6球体などの割合付きの球体は、完全球体を軸心に対し直交する方向に切断して切り取った際の部分球体によって構成されるものである。すなわち本実施形態において「n/m球体(ただしm、nは自然数、n<mである)」とは、完全球体の軸心長さ(直径)を「1」として、完全球体の端縁からの軸心(直径)方向の長さがn/mの位置で、その完全球体を、軸心に対し直交する方向に切り取った際の部分球体によって構成されるものである。
【0081】
以上の構成の押出成形用ダイス(10)は、図7〜9に示すように押出成形機にセットされる。すなわち本実施形態の押出成形用ダイス(10)が、プレート(5)の中央に設けられたダイス設置孔(5a)に取り付けられた状態で、コンテナ(6)にセットされる。なお押出成形用ダイス(10)は、プレート(5)によって押出方向に対し直交する方向に対し固定されるとともに、図示しないバッカーによって押出方向に対し固定されている。
【0082】
そしてコンテナ(6)内に挿入されたアルミニウムビレットなどの金属ビレット(金属材料)を、ダミーブロック(7)を介して図7の右方向(押出方向)に押し込む。これにより金属ビレットは、押出成形用ダイス(10)におけるダイスケース(20)のビレット受圧面(22)に押し付けられて塑性変形する。こうして金属材料が塑性変形しつつ、一対のポート孔(24)(24)を流通してダイスケース(20)のウェルドチャンバ(12)に導入されさらに、押出孔(11)を通って前方へ押し出されることにより、金属材料が押出孔(11)の開口形状に対応した断面形状に成形されて、金属製押出成形品(中空材60)が製造される。
【0083】
本実施形態の押出成形用ダイス(10)によれば、ビレット受圧面(22)を半球凸面形状に形成しているため、金属ビレットがビレット受圧面(22)に押圧された際に、その押圧力を受圧面(22)によって分散させて受け止めることができる。従ってビレット受圧面(22)の各部分での法線方向の押圧力を低減することができ、金属材料の押圧力に対する強度を向上できて、十分な耐久性を得ることができる。
【0084】
また本実施形態においては、ポート孔(24)をその入口部(24e)の開口面積を内部の通路断面積よりも大きく形成しているため、ビレットを入口部(24e)からスムーズに取り込むことができ、ビレットの受圧面(22)に対する押圧力(押出荷重)を適度に低減することができ、押出加工を効率良くスムーズに行うことができ、良好な品質の押出製品を製造することができる。
【0085】
特に本実施形態においては、ポート孔(24)が入口部(24e)から内部に向けて漸次に小さくなるようにしているため、ポート孔(24)を通過するビレットの流動抵抗等が急変することがなく、ビレットをより一層スムーズにポート孔(24)に通過させることができ、押出加工をより一層効率良く行うことができる。
【0086】
さらにポート孔(24)の内部の通路断面積は小さくなっているため、ポート孔(24)の容積(大きさ)を比較的小さくできて、ダイスケース(20)のポート孔(24)による空隙率も小さくなり、ダイスケース(20)の強度、ひいてはダイス全体の強度を十分に向上させることができる。
【0087】
さらに本実施形態においては、オス型ダイス(30)およびメス型ダイス(40)を覆うダイスケース(20)の受圧部(21)に、材料流入用のポート孔(24)を形成するものであるため、つまり受圧部(21)の前端壁部や、ベース部(25)の壁部が周方向に連続して一体に形成されるため、この連続周壁部の存在によって、ダイスケース(20)、ひいては押出成形用ダイス全体の強度を一段と向上させることができる。従って、従来におけるブリッジ部などの強度的に弱い部分が存在せず、強度向上のために必要以上に肉厚などのサイズを大きく形成する必要もないため、小型軽量化を図ることができるとともに、コストも削減することができる。
【0088】
また本実施形態においては、受圧部(21)の軸心(A1)から逸脱した位置、つまり外周にポート孔(24)(24)を形成するとともに、そのポート孔(24)(24)の軸心(A2)を下流側に向かうに従ってダイスケース(20)の軸心に次第に近づくように、ダイスケース(20)の軸心(A1)に対し傾斜させているため、ポート孔(24)(24)を流通する金属材料は、ダイスケース(20)の軸心(A1)、つまり押出孔(11)にスムーズに導かれていき、安定状態に押出加工することができる。さらに本実施形態においては、ポート孔(24)(24)の下流側端部(出口)を押出孔(11)に向けて配置しているため、金属材料を一層スムーズに押出孔(11)に導くことができる。
【0089】
その上さらに本実施形態においては、ポート孔(24)(24)を、偏平な押出孔(11)の高さ方向(厚さ方向)両側に対応させて配置しているため、金属材料を押出孔(11)に対し厚さ方向両側から、一層スムーズに安定した状態で導入することができる。従って押出孔(11)の全域を均等にバランス良く金属材料が通過して押し出されることにより、高品質の押出中空材(60)を得ることができる。
【0090】
特に本実施形態のように、偏平なハモニカチューブ形状のような複雑な形状の中空材(60)を押出成形する場合であっても、金属材料を押出孔(11)の全域にバランス良く導入することができるため、高い品質を確実に維持することができる。
【0091】
参考までに、高さおよび幅が0.5mmの矩形断面通路(63)を複数並列に形成されたアルミニウム製熱交換チューブ(中空体)を製造する場合、従来の押出成形用ダイスにおいては、強度が不十分であるため、オス型ダイスに発生する亀裂が、ダイス寿命の要因となっていた。これに対し、本発明に準拠した押出成形用ダイス(10)においては、強度が十分であるため、オス型ダイス(30)に亀裂が発生するようなことがなく、オス型ダイス(30)の磨耗が、ダイス寿命の要因となり、飛躍的にダイス寿命を向上させることができる。
【0092】
たとえば本発明者によるダイス寿命に関連した実験結果によると、本発明の押出成形用ダイスにおいては、従来品に比べて、3倍程度もダイス寿命を延ばすことができた。
【0093】
また本発明においては、十分な耐圧性(強度)を有しているため、押出限界速度もかなり向上させることができる。たとえば従来の押出成形用ダイスでは、押出速度の上限値が60m/minであったのに対し、本発明の押出成形用ダイスにおいては、押出速度の上限値を150m/minまで高めることができ、2.5倍程度も押出限界速度を高めることができ、生産効率の向上をさらに期待することができる。
【0094】
<第2実施形態>
図12〜15はこの発明の第2実施形態の一例とする押出成形用ダイス(10)を示す図である。これらの図に示すようにこの第2実施形態の押出成形用ダイス(10)は、上記第1実施形態の押出成形用ダイス(10)に対し、ポート孔(24)の形状(構成)が相違している。
【0095】
すなわち本実施形態の押出成形用ダイス(10)において、受圧部(21)の周壁両側には、偏平な押出孔(11)の厚さ方向両側に対応して、一対のポート孔(24)(24)が形成されている。各ポート孔(24)は、軸心方向の上流側から見た状態で、略台形状に形成されている。このポート孔(24)はその入口部(24e)の周方向寸法(幅)が大きく、径方向寸法(厚さ)が小さい偏平な長孔形状に形成されている。
【0096】
さらにこのポート孔(24)は図14,15に示すように、入口部(24e)の幅が内部の幅大きい略扇型形状に形成されている。すなわちポート孔(24)の幅が、入口部(24e)から内部に向かうに従って漸次小さくなるように形成されて、入口部(24e)の開口面積が内部の通路断面積よりも大きく形成されている。
【0097】
なお本実施形態においては、ポート孔(24)の内周面における内側面(24a)と外側面(24b)とはほぼ平行に配置されており、内側面(24a)の軸心(A1)に対する傾斜角度(θa)と外側面(24b)の軸心(A1)に対する傾斜角度(θb)とはほぼ等しくなっている。
【0098】
ここで図15に示すようにポート孔(24)の内周面における両側縁(24c)(24c)間の交差角度(幅方向開き角度)を「θw」としたとき、その開き角度(θw)を5〜45°、より好ましくは10〜40°に設定するのが良い。すなわちこの開き角度(θw)が上記特定範囲内に設定されている場合には、ポート孔入口部(24e)の開口面積を十分に大きく確保しつつ、金属材料としてのビレットを、安定状態にポート孔(24)の入口部(24e)から内部に導くことができ、高い品質の押出製品を得ることができる。
【0099】
換言すれば、上記の開き角度(θw)が大き過ぎる場合には、ポート孔(24)の通路断面積が入口部(24e)に比べて内部が極端に小さくなり、ビレットがポート孔(24)を通過する際に圧力が急変し、ビレットを安定状態にダイス内に導入することが困難になるおそれがある。逆に上記の開き角度(θw)が小さ過ぎる場合には、入口部(24e)の開口面積を大きく確保できず、ビレットのダイスへの圧力(押出荷重)が過度に大きくなって、押出加工をスムーズに行うことが困難になるおそれがある。なお上記の開き角度(θw)を小さくした上で、入口部(24e)の開口面積を大きく確保しようとすると、ポート孔自体が大きくなり、ダイス内のポート孔による空隙率が多くなってダイス強度を低下させてしまうので、好ましくない。
【0100】
この第2実施形態において、他の構成は上記第1実施形態と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0101】
この第2実施形態の押出成形用ダイス(10)においても、上記図7〜9に示す第1実施形態と同様の押出成形機にセットされて、同様に押出成形される。
【0102】
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に同様の作用効果を有する。
【0103】
<第3実施形態>
図16〜20はこの発明の第3実施形態の一例とする押出成形用ダイス(10)を示す図である。これらの図に示すようにこの第3実施形態の押出成形用ダイス(10)は、上記第1,2実施形態の押出成形用ダイス(10)に対し、ポート孔(24)の形状(構成)が相違している。
【0104】
すなわち本実施形態の押出成形用ダイス(10)において、受圧部(21)の周壁両側には、偏平な押出孔(11)の厚さ方向両側に対応して、一対のポート孔(24)(24)が形成されている。このポート孔(24)の入口部(24e)は、上記第1実施形態と同様、軸心方向の上流側から見た状態で、略台形状に形成されている。
【0105】
さらにこのポート孔(24)は、内周面のうち外側面(24b)と、受圧面(22)との間のコーナー部が切り取られるように外側面取り部(242)が形成されている。
【0106】
ここで図20に示すように外側面取り部(242)の軸心(A1)に対する傾斜角度を「θ2」としたとき、その傾斜角度(θ2)を25〜50°、より好ましくは30〜45°に設定するのが良い。
【0107】
さらに外側面取り部(242)が形成されない状態でのポート孔内周面における外側面(24b)の長さを「Lb」として、その長さ(Lb)に対する面取りを行った長さ(L2)の割合を、外側面取り部(242)の面取り割合としたとき、その面取り割合(L2/Lb)は、0.2/1〜0.9/1、より好ましくは0.4/1〜0.8/1に設定するのが良い。
【0108】
すなわち外側面取り部(242)の傾斜角度(θ2)および面取り割合(L2/Lb)が上記特定範囲内に設定されている場合には、ポート孔入口部(24e)の開口面積を大きくして押出荷重を抑制しつつ、ビレットを、安定状態にポート孔(24)の入口部(24e)から内部に導くことができる。
【0109】
なお本実施形態においては、ポート孔(24)の内周面における外側面(24b)に外側面取り部(242)を形成する前の状態では、ポート孔(24)の内周面における内側面(24a)と外側面(24b)とは互いにほぼ平行に配置されており、内側面(24a)の軸心(A1)に対する傾斜角度(θa)と外側面(24b)の軸心(A1)に対する傾斜角度(θb)とはほぼ等しくなっている。
【0110】
この第3実施形態において、他の構成は上記第1,2実施形態と実質的に同様である。さらにこの第3実施形態の押出成形用ダイス(10)においても、上記と同様に押出成形されるとともに、上記と同様の作用効果を有する。
【0111】
<第4実施形態>
図21〜25はこの発明の第4実施形態の一例とする押出成形用ダイス(10)を示す図である。これらの図に示すようにこの第4実施形態の押出成形用ダイス(10)において、受圧部(21)の両側には、上記第3実施形態と同様に一対のポート孔(24)(24)が形成されている。そしてこのポート孔(24)の内周面のうち内側面(24a)と、受圧面(22)との間のコーナー部が切り取られようにる内側面取り部(241)が形成されている。
【0112】
ここで図25に示すように内側面取り部(241)の軸心(A1)に対する傾斜角度を「θ1」としたとき、その傾斜角度(θ1)を−10〜10°、より好ましくは−3〜5°に設定するのが良い。
【0113】
さらに内側面取り部(241)が形成されない状態でのポート孔内周面における内側面(24a)の長さを「La」として、その長さ(La)に対する面取りを行った長さ(L1)の割合を、内側面取り部(241)の面取り割合としたとき、その面取り割合(L1/La)は、0.2/1〜0.9/1、より好ましくは0.4/1〜0.8/1に設定するのが良い。
【0114】
すなわち内側面取り部(241)の傾斜角度(θ1)および面取り割合(L1/La)が上記特定範囲内に設定されている場合には、ポート孔入口部(24e)の開口面積を大きくして押出荷重を抑制しつつ、ビレットを、安定状態にポート孔(24)の入口部(24e)から内部に導くことができる。
なお本実施形態においては、ポート孔(24)の内周面における内側面(24a)に内側面取り部(241)を形成する前の状態では、ポート孔(24)の内周面における内側面(24a)と外側面(24b)とは互いにほぼ平行に配置されており、内側面(24a)の軸心(A1)に対する傾斜角度(θa)と外側面(24b)の軸心(A1)に対する傾斜角度(θb)とはほぼ等しくなっている。
【0115】
この第4実施形態において、他の構成は上記第1,2実施形態と実質的に同様である。さらにこの第4実施形態の押出成形用ダイス(10)においても、上記と同様に押出成形されるとともに、上記と同様の作用効果を有する。
【0116】
<変形例>
上記実施形態において、受圧面(22)は、半球凸球面に形成されているが、本発明において、受圧面の形状はそれだけに限られることはない。
【0117】
例えば受圧面を、多数の面によって構成された多面体形状に形成しても良い。すなわち、周方向に複数の面が並んで配置される多角錐形状などの多面体形状や、径方向に複数の面が並んで配置される多面体形状等に形成するようにしても良い。この場合、受圧面を構成する各面は、平坦面であっても湾曲面であっても良い。
【0118】
さらに受圧部を、軸心方向に対し直交する縦方向および横方向のうち横方向が縦方向よりも長い横長形状例えば、軸心方向上流側から見た状態で横長の楕円形状や、軸心方向上流側から見た状態で横長の長円形状等に形成するようにしても良い。
【0119】
さらに受圧部を、その軸心方向への突出寸法が軸心方向に対し直交する半径寸法よりも長く形成された形状例えば、長軸方向に二分割された半楕円体形状等に形成するようにしても良い。
【0120】
また上記実施形態においては、ダイスケース(20)を一体に形成しているが、それだけに限られず、本発明においては、ダイスケースを2つ以上の部材に分割できるように構成しても良い。例えばダイスケースを、オス型ダイスを保持するオス型ダイスケースと、メス型ダイスを保持するメス型ダイスケースとの2つの部材により構成しても良い。
【0121】
また上記実施形態においては、オス型ダイス、メス型ダイス、流動制御板をダイスケースに対し別体に構成しているが、それだけに限られず、本発明においては、オス型ダイス、メス型ダイス、および流動制御板の少なくともいずれか1つをダイスケースと一体に形成するようにしても良い。さらに本発明においては、流動制御板は必要に応じて省略することも可能である。
【0122】
また上記実施形態においては、偏平な多孔チューブ材を押出成形するダイスを例に挙げて説明したが、本発明において、押出製品の形状(押出孔の形状)は特に限定されるものではない。例えば本発明においては、オス型ダイスに円形のマンドレルを設けるとともに、メス型ダイスに円形のダイス孔を設けて、円環状の押出孔を形成することによって、円形チューブ材を押出成形するようにしても良い。
【0123】
また上記実施形態においては、ポート孔を軸心の両側に2つ形成する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、ポート孔を1つまたは3つ以上設けるようにしても良い。
【0124】
特に円形のチューブ材を押出成形するような場合には、周方向に等間隔おきに3つ以上のポート孔を形成するのが望ましい。
【0125】
また上記実施形態においては、ダイスケースにおける前端部にベース部が設けられているが、本発明においては、ベース部を必ずしも設ける必要はない。
【0126】
さらに記実施形態においては、コンテナに押出成形用ダイスを1つセットする場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、コンテナに押出成形用ダイスを2つ以上セットできる押出成形機を採用することもできる。
また、本発明では、上記実施形態のように、オス型ダイス(30)の後端面(基端面)は、受圧部(21)のビレット受圧面(22)に倣う凸面(球面)の一部に形成されており、オス型ダイス(30)の後端面とビレット受圧面(22)とにより協同で所望の円滑な凸面(球面)が形成されるよう構成されていることが望ましいが、本発明では、オス型ダイス(30)の後端面(基端面)はこのように形成されることに限定されるものではなく、その他に、例えば次のように形成されていても良い。すなわち、本発明では、オス型ダイス(30)の後端面の表面積がダイス(10)のビレット受圧面(22)の表面積に対して例えば1/3以下である場合には、オス型ダイス(30)の後端面を、その幅方向(長手方向)がビレット受圧面(22)に倣って円弧状に形成され、かつ短手方向(厚さ方向)が直線状に形成された円柱外周面の一部によって構成するようにしても良い。オス型ダイス(30)の後端面の表面積がこの程度に小さい場合には、オス型ダイス(30)の後端面が凸面(球面)の一部ではなく円柱の外周面の一部に形成されることによるダイス寿命、押出荷重への影響が少ない一方で、オス型ダイス(30)の後端面の加工コストを下げることができるからである。
【実施例】
【0127】
【表1】


【0128】
<実施例1>
表1に示すように、上記第1実施形態(図1〜5参照)に対応する押出成形用ダイス(10)を準備した。このダイス(10)のダイスケース(20)における受圧部(21)のポート孔(24)は、押出孔(11)の厚さ方向両側に対応して2つ形成されている。各ポート孔(24)は、その内側面(24a)の傾斜角度(θa)が10°、外側面(24b)の傾斜角度(θb)が25°に調整されている。さらに各ポート孔(24)の幅寸法は、入口部(24e)から内部にかけて一定に設定されている。
【0129】
ビレット受圧面(22)は、半径30mmの1/2球体の凸球面に形成されている。またオス型ダイス(30)としては、マンドレル(31)の厚さ2.0mm、マンドレル(31)の幅が19.2mm、通路成形用凸部(33)の高さが1.2mm、通路成形用凸部(33)の幅0.6mm、隔壁成形用溝(32)の幅0.2mmに調整されている。
【0130】
さらにメス型ダイス(40)は、ダイス孔(41)の高さが1.7mm、ダイス孔(41)の幅が20.0mmに調整されている。
【0131】
この押出成形用ダイス(10)を図7〜9に示すように上記実施形態と同様な押出成形機にセットして、押出成形を行って図10,11に示すような偏平多孔チューブ(熱交換器用チューブ)を製造した。
【0132】
そしてダイス寿命(ダイスに亀裂や磨耗が発生するまでの材料導入量(ton))および押出荷重を測定し、さらにダイス寿命の制限要因を調査した。その結果を表1に示す。
【0133】
<実施例2>
表1に示すように、上記第2実施形態(図12〜15参照)に対応する押出成形用ダイス(10)を準備した。すなわち受圧部(21)におけるポート孔(24)がその入口部(24e)から内部にかけて幅が次第に小さく形成されている。このとき幅方向開き角度(θw)が15°に設定されている。またポート孔内周面における内側面(24a)および外側面(24b)は、その傾斜角度(θa)(θb)が共に10°に設定されて互いに平行に配置されている。
【0134】
これ以外の構成は上記と同様の押出成形用ダイス(10)を準備し、上記と同様に押出成形を行って同様の評価を行った。
【0135】
<実施例3>
表1に示すように、上記第3実施形態(図16〜20参照)に対応する押出成形用ダイス(10)を準備した。すなわち受圧部(21)のポート孔内周面における内側面(24a)および外側面(24b)は、その傾斜角度(θa)(θb)が共に10°で平行に配置されている。さらにポート孔(24)における入口部(24e)の外側に面取り部(242)が形成されている。この外側面取り部(242)は、その傾斜角度(θ2)が45°に設定されるとともに、長さが5mmに設定されている。なおこの面取り部(242)面取り割合(L2/Lb)は、0.23/1となっている。
【0136】
またポート孔(24)の幅寸法は、入口部(24e)から内部にかけて一定に設定されている。
【0137】
これ以外の構成は上記と同様の押出成形用ダイス(10)を準備し、上記と同様に押出成形を行って同様に評価した。
【0138】
<実施例4>
表1に示すように、上記第4実施形態(図21〜25参照)に対応する押出成形用ダイス(10)を準備した。すなわち受圧部(21)のポート孔内周面における内側面(24a)および外側面(24b)は、その傾斜角度(θa)(θb)が共に10°で平行に配置されている。さらにポート孔(24)における入口部(24e)の内側に面取り部(241)が形成されている。この内側面取り部(241)は、その傾斜角度(θ1)が0°(軸心A1に対し平行)に設定されるとともに、長さ(L1)が10mmに設定されている。なお面取り部(241)の面取り割合(L1/La)は、0.35/1となっている。
【0139】
またポート孔(24)の幅寸法は、入口部(24e)から内部にかけて一定に設定されている。
【0140】
これ以外の構成は上記と同様の押出成形用ダイス(10)を準備し、上記と同様に押出成形を行って同様に評価した。
【0141】
<参考例>
表1に示すように、受圧部が、半径30mm、高さ(軸心方向の長さ)15mmの半球体形状に形成されている。
【0142】
また受圧部のポート孔内周面における内側面および外側面は、その傾斜角度(θa)(θb)が共に10°で平行に配置されるとともに、ポート孔(24)の幅寸法は、入口部(24e)から内部にかけて一定に設定されている。
【0143】
これ以外の構成は上記と同様の押出成形用ダイス(10)を準備し、上記と同様に押出成形を行って同様に評価した。
【0144】
<比較例>
表1に示すように、半径30mm、高さ(押出方向の長さ)50mmで、受圧面が押出方向に対し直交する平坦面に仕上げられたブリッジタイプの押出成形用ダイスを準備した。なお金属材料導入方向の軸心に対する傾斜角度は、実質的に0°になっている。その他の構成は上記実施例と同様である。
【0145】
この成形用ダイスを、上記と同様に押出成形機にセットして押出製品を製造し、上記と同様に評価した。
【0146】
<評価>
表1に示すように、実施例1〜4のものは、オス型ダイスの磨耗が寿命制限要因であり、十分に長いダイス寿命を有している。さらに実施例のものは押出荷重も比較的低く、押出成形をスムーズに行うことができた。
【0147】
これに対し、比較例のものはオス型ダイスの亀裂が寿命制限要因となり、ダイス寿命が短く、さらに押出荷重も大きくなっている。
【0148】
なお参考例のものは、オス型ダイスの磨耗が寿命制限要因であり、寿命も比較的長いものであったが、押出荷重に関しては、実施例のものよりも大きくなっていた。
【0149】
【表2】


【0150】
<実施例5>
表2に示すように、上記第1実施形態(図1〜5参照)に対応する押出成形用ダイス(10)を準備した。このダイス(10)のダイスケース(20)における受圧部(21)のポート孔(24)は、押出孔(11)の厚さ方向両側に対応して2つ形成されている。各ポート孔(24)は、その内側面(24a)の傾斜角度(θa)が10°、外側面(24b)の傾斜角度(θb)が25°に調整されている。さらに各ポート孔(24)の幅寸法は、入口部(24e)から内部にかけて一定に設定されている。
また、ビレット受圧面(22)は、1/8球体の凸球面によって構成され、その球面半径が45.4mmに設定されている。この受圧部(21)の直径は60mmに調整されている。
またオス型ダイス(30)は、マンドレル(31)の高さ(厚さ)が2.0mm、マンドレル(31)の幅が19.2mm、通路成形用凸部(33)の高さが1.2mm、通路成形用凸部(33)の幅が0.6mm、隔壁成形用溝(32)の幅が0.2mmのものを用いた。
さらにメス型ダイス(40)は、ダイス孔(41)の高さが1.7mm、ダイス孔(41)の幅が20.0mmのものを用いた。
この押出成形用ダイス(10)を図7〜9に示すように上記第1実施形態と同様な押出成形機にセットして、押出成形を行って、図10,11に示すようなアルミニウム合金製の扁平多孔チューブ(熱交換チューブ)を製造した。
そしてダイス寿命(ton/ダイス)を測定した。その結果を表2に示す。
【0151】
<実施例6>
表2に示すように、ビレット受圧面(22)を、1/6球体の凸球面によって構成し、かつその球面半径を40.3mmに設定し、それ以外は、上記実施例5と同様の押出成形用ダイス(10)を準備し、同様の押出成形機にセットして、同様に押出成形を行って、扁平多孔チューブを製造した。
【0152】
<実施例7>
表2に示すように、ビレット受圧面(22)を、1/3球体の凸球面によって構成し、かつその球面半径を32.0mmに設定し、それ以外は、上記実施例5と同様の押出成形用ダイス(10)を準備し、同様の押出成形機にセットして、同様に押出成形を行って、扁平多孔チューブを製造した。
【0153】
<実施例8>
表2に示すように、ビレット受圧面(22)を、1/2球体の凸球面によって構成し、かつその球面半径を30.0mmに設定し、それ以外は、上記実施例5と同様の押出成形用ダイス(10)を準備し、同様の押出成形機にセットして、同様に押出成形を行って、扁平多孔チューブを製造した。
【0154】
<実施例9>
表2に示すように、ビレット受圧面(22)を、4/6球体の凸球面によって構成し、かつその球面半径を32.0mmに設定し、それ以外は、上記実施例5と同様の押出成形用ダイス(10)を準備し、同様の押出成形機にセットして、同様に押出成形を行って、扁平多孔チューブを製造した。
【0155】
<実施例10>
表2に示すように、ビレット受圧面(22)を、5/6球体の凸球面によって構成し、かつその球面半径を40.3mmに設定し、それ以外は、上記実施例5と同様の押出成形用ダイス(10)を準備し、同様の押出成形機にセットして、同様に押出成形を行って、扁平多孔チューブを製造した。
【0156】
<評価>
表2に示すように、ビレット受圧面(22)における球面半径が大きくて突出量が比較的小さいもの(実施例5)では、ダイス寿命が少し短くなっていた。
さらにビレット受圧面(22)における球面半径が小さくて球体の突出量が比較的大きいもの(実施例10)では、ダイス寿命を長く確保できるが、ビレット受圧面(22)の加工が若干困難であると考えられる。
これに対し、ビレット受圧面(22)が、適度な凸面形状に設定されたもの、つまり1/6〜4/6球体の凸球面に設定されたもの(実施例6〜9)では、ダイス寿命を長くできる上さらに、ダイス制作費も抑えることができた。中でも特にビレット受圧面(22)が、1/2球体の凸球面に設定されたもの(実施例8)では、十分なダイス寿命を確保しつつ、ダイス制作費も抑えることができ、優れた結果が得られた。
なお実施例8のものと比較すると、ビレット受圧面(22)が、4/6球体の凸球面に設定されたもの(実施例9)では多少、ダイス制作費が高くなり、実施例6〜9の中では、若干見劣りした結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0157】
この発明の金属材料の押出成形用ダイスは、中空チューブなどの押出製品、たとえば自動車エアコン用ガスクーラー、エバポレータ、家庭用給湯機などの熱交換チューブを製造する際に適用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】この発明の第1実施形態の一例である押出成形用ダイスを示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の一例である押出成形用ダイスを分解して示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の一例である押出成形用ダイスを切り欠いて示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の一例である押出成形用ダイスを示す一側断面図である。
【図5】第1実施形態の一例である押出成形用ダイスを示す他側断面図である。
【図6】第1実施形態の一例である押出成形用ダイスの内部を拡大して示す斜視図である。
【図7】第1実施形態の一例である押出成形用ダイスが適用された押出成形機の主要部を切り欠いて示す斜視図である。
【図8】第1実施形態の一例である押出成形機におけるダイス周辺を示す一側断面図である。
【図9】第1実施形態の一例である押出成形機におけるダイス周辺を示す他側断面図である。
【図10】第1実施形態の一例である押出成形機によって押出成形された多孔中空材を示す斜視図である。
【図11】第1実施形態の一例である押出成形機によって押出成形された多孔中空材を示す正面断面図である。
【図12】この発明の第2実施形態の一例である押出成形用ダイスを示す斜視図である。
【図13】第2実施形態の一例である押出成形用ダイスを分解して示す斜視図である。
【図14】第2実施形態の一例である押出成形用ダイスを切り欠いて示す斜視図である。
【図15】第2実施形態の一例である押出成形用ダイスを示す断面図である。
【図16】この発明の第3実施形態の一例である押出成形用ダイスを示す斜視図である。
【図17】第3実施形態の一例である押出成形用ダイスを分解して示す斜視図である。
【図18】第3実施形態の一例である押出成形用ダイスを切り欠いて示す斜視図である。
【図19】第3実施形態の一例である押出成形用ダイスを示す断面図である。
【図20】第3実施形態の一例である押出成形用ダイスのダイスケースを示す断面図である。
【図21】この発明の第4実施形態の一例である押出成形用ダイスを示す斜視図である。
【図22】第4実施形態の一例である押出成形用ダイスを分解して示す斜視図である。
【図23】第4実施形態の一例である押出成形用ダイスを切り欠いて示す斜視図である。
【図24】第4実施形態の一例である押出成形用ダイスを示す断面図である。
【図25】第4実施形態の一例である押出成形用ダイスのダイスケースを示す断面図である。
【図26】従来の押出成形用ダイスを示す斜視図であって、同図(a)はポートホールダイスを分解して示す斜視図、同図(b)はスパイダダイスを分解して示す斜視図、同図(c)はブリッジダイスを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0159】
6…コンテナ
10…押出成形用ダイス
11…押出孔
20…ダイスケース
21…受圧部
22…ビレット受圧面(金属材料受圧面)
24…ポート孔
24a…内側面
24b…外側面
24e…入口部
241,242…面取り部
30…オス型ダイス
33…通路形成用凸部
40…メス型ダイス
60…中空材
63…通路
A1…ダイスケース(受圧部)の軸心
θa…内側面の傾斜角度
θb…外側面の傾斜角度
【出願人】 【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【出願日】 平成19年3月7日(2007.3.7)
【代理人】 【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義

【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市

【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁


【公開番号】 特開2008−110395(P2008−110395A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2007−56953(P2007−56953)