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【発明の名称】 非晶質薄帯の巻取ロール切り替え方法および切り替え装置
【発明者】 【氏名】尾崎 茂克

【氏名】今井 武

【要約】 【課題】本発明は、表面に磁性を帯びた複数の巻取ロールを備えた巻取装置を用い、非晶質合金薄帯を巻取るに際し、簡便かつ安価で、しかも薄帯の破断なく確実に巻取ロールを切り替えることができる非晶質薄帯の巻取ロール切り替え方法および装置を提供する。

【解決手段】急冷ロールを用いて鋳造した非晶質薄帯を2台以上の巻取ロールを用いて巻き取る方法において、次の巻取ロールに切り替える際に、切り替え後の非晶質薄帯の先端部分をガイド装置により前記次の巻取ロール表面に押さえつけた後に巻き込み、巻取ロールを切り替えることを特徴とする非晶質薄帯の切り替え方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急冷ロールを用いて鋳造した非晶質薄帯を2台以上の巻取ロールを用いて巻き取る方法において、次の巻取ロールに切り替える際に、切り替え後の非晶質薄帯の先端部分をガイド装置により前記次の巻取ロール表面に押さえつけた後に巻き込み、巻取ロールを切り替えることを特徴とする非晶質薄帯の切り替え方法。
【請求項2】
急冷ロールを用いて鋳造した磁性を有する非晶質薄帯を、表面に磁性を帯びた2台以上の巻取ロールを用いて巻取る方法において、巻取ロールを切り替える際に、次の巻取ロールに前記非晶質薄帯を接触させ、巻取ロールと次の巻取ロールの間で薄帯を切断し、切断した非晶質薄帯先端を次の巻取ロールに巻き込むまでに、次の巻取ロール周方向の前記非晶質薄帯との接触位置から非晶質薄帯を巻き込むまでの位置で、次の巻取ロールに近接させて設置したガイド装置により切断した前記非晶質薄帯の先端を次の巻取ロール表面に押し付けた後に非晶質薄帯を巻き込み巻取ロールを切り替えることを特徴とする非晶質薄帯の切り替え方法。
【請求項3】
急冷ロールを用いて鋳造した磁性を有する非晶質薄帯を、表面に磁性を帯びた2台以上の巻取ロールで巻取る巻取装置であって、巻取ロールを切り替える際に、鋳造した非晶質薄帯を次の巻取ロールに接触させた後に非晶質薄帯を切断する切断機構を有し、かつ、次の巻取ロール周方向の非晶質薄帯との接触位置から非晶質薄帯を巻き込むまでの位置に、次の巻取ロールに近接し、切断した非晶質薄帯の先端を巻取ロール表面に押し付けるためのガイド装置を設けたことを特徴とする非晶質薄帯の切り替え装置。
【請求項4】
急冷ロールを用いて鋳造した磁性を有する非晶質薄帯を、表面に磁性を帯びた2台以上の巻取ロールで巻取る巻取装置であって、巻取ロールを切り替える際に、鋳造した非晶質薄帯を押さえつけ次の巻取ロールに接触させる押さえロールを非晶質薄帯の進行方向に複数有し、かつ、前記複数の押さえロールの間に前記非晶質薄帯を切断する刃を設け、次の巻取ロール周方向の非晶質薄帯との接触位置から非晶質薄帯を巻き込むまでの位置に、次の巻取ロールに近接し、切断した非晶質薄帯の先端を巻取ロール表面に押し付けるためのガイド装置を設けたことを特徴とする請求項3記載の非晶質薄帯の切り替え装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、急冷ロールを用いて鋳造された非晶質薄帯を2台以上の複数の巻取ロールからなる巻取装置を用いてオンラインで巻取る方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非晶質薄帯を製造するための急冷凝固法には単ロール法および双ロール法等があるが、最も一般的な方法は単ロール法である。この単ロール法は溶融金属を高速回転している冷却ロール表面に噴出させ、この冷却ロール上で急冷凝固させて連続的に非晶質薄帯を得る方法である。工業的規模で製造する際には、通常この急冷凝固された非晶質薄帯を巻取る等して回収することが必要となる。これまで非晶質薄帯を鋳造直後にオンラインで巻き取る巻取方法には種々の方法ならびに装置が提案されているが、一般的には巻取ロールを用いて巻取ロールの回転により巻取る方法および装置が採用されている。例えば、特許文献1には、磁性を有する非晶質薄帯を表面に磁性を帯びた巻取ロールを用いて非晶質薄帯先端捕捉時の巻取ロール表面速度の範囲を冷却ロール表面速度の90%以上100%未満とする巻取方法が提案されている。しかし、1個の巻取ロールのみを用いて巻取ることは設備上その巻取重量に制約があること、また鋳造速度、巻取速度、張力等の巻取条件をバランスさせる必要があるため、通常は複数の巻取ロールを用いて巻取が行なわれる。
また、複数の巻取ロールを用いる巻取装置としては表面に磁性を帯びた2台以上の巻取ロールからなるカローゼル方式の巻取装置等がある。
【0003】
複数の巻取ロールで連続して鋳造薄帯を巻取る場合には、巻取ロールの切り替えが必要となるが、表面に磁性を帯びた巻取ロールで瞬時に別の巻取ロールに切り替えて非晶質薄帯を安定して巻取ることは困難とされていた。そこで、特許文献2では、巻取中の薄帯パスラインに、高速回転する次の巻取ロールを下方より進入させて薄帯に巻取ロールを接触させ、2つの巻取ロール間の限定した位置で切断し、次の巻取ロールに巻き付ける方法が提案されている。この提案は、切断位置と次の巻取ロールとの距離L1と、次の巻取ロールと冷却ロールとの距離L2との関係を、L1≧L2/20、とし、更に薄帯速度と巻取ロール速度差を±2m/秒以内として切り替える方法である。
【0004】
しかしながら、上記特許文献2で開示された方法では、切断後の非晶質薄帯の先端が次の巻取ロールに捕捉されるが、切り替え直後に非晶質薄帯が破断する等、依然として巻取が継続できない場合が発生しており、確実に巻取ロールを切り替えられないでいた。
【0005】
【特許文献1】特開平8−318352号公報
【特許文献2】特開平11−28552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、表面に磁性を帯びた複数の巻取ロールを備えた巻取装置を用い、非晶質合金薄帯を巻取るに際し、簡便かつ安価で、しかも薄帯の破断なく確実に巻取ロールを切り替えることができる非晶質薄帯の巻取ロール切り替え方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その要旨は、(1)急冷ロールを用いて鋳造した非晶質薄帯を2台以上の巻取ロールを用いて巻き取る方法において、次の巻取ロールに切り替える際に、切り替え後の非晶質薄帯の先端部分をガイド装置により前記次の巻取ロール表面に押さえつけた後に巻き込み、巻取ロールを切り替えることを特徴とする非晶質薄帯の切り替え方法、(2)急冷ロールを用いて鋳造した磁性を有する非晶質薄帯を、表面に磁性を帯びた2台以上の巻取ロールを用いて巻取る方法において、巻取ロールを切り替える際に、次の巻取ロールに前記非晶質薄帯を接触させ、巻取ロールと次の巻取ロールの間で薄帯を切断し、切断した非晶質薄帯先端を次の巻取ロールに巻き込むまでに、次の巻取ロール周方向の前記非晶質薄帯との接触位置から非晶質薄帯を巻き込むまでの位置で、次の巻取ロールに近接させて設置したガイド装置により切断した前記非晶質薄帯の先端を次の巻取ロール表面に押し付けた後に非晶質薄帯を巻き込み巻取ロールを切り替えることを特徴とする非晶質薄帯の切り替え方法、(3)急冷ロールを用いて鋳造した磁性を有する非晶質薄帯を、表面に磁性を帯びた2台以上の巻取ロールで巻取る巻取装置であって、巻取ロールを切り替える際に、鋳造した非晶質薄帯を次の巻取ロールに接触させた後に非晶質薄帯を切断する切断機構を有し、かつ、次の巻取ロール周方向の非晶質薄帯との接触位置から非晶質薄帯を巻き込むまでの位置に、次の巻取ロールに近接し、切断した非晶質薄帯の先端を巻取ロール表面に押し付けるためのガイド装置を設けたことを特徴とする非晶質薄帯の切り替え装置、(4)急冷ロールを用いて鋳造した磁性を有する非晶質薄帯を、表面に磁性を帯びた2台以上の巻取ロールで巻取る巻取装置であって、巻取ロールを切り替える際に、鋳造した非晶質薄帯を押さえつけ次の巻取ロールに接触させる押さえロールを非晶質薄帯の進行方向に複数有し、かつ、前記複数の押さえロールの間に前記非晶質薄帯を切断する刃を設け、次の巻取ロール周方向の非晶質薄帯との接触位置から非晶質薄帯を巻き込むまでの位置に、次の巻取ロールに近接し、切断した非晶質薄帯の先端を巻取ロール表面に押し付けるためのガイド装置を設けたことを特徴とする(3)記載の非晶質薄帯の切り替え装置、である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、表面に磁性を帯びた2台以上の巻取ロールからなる巻取装置において、巻取ロールを切り替える際に、切断した非晶質薄帯先端を次の巻取ロールに巻き込むまでの間に、次の巻取ロール周方向の前記非晶質薄帯との接触位置から非晶質薄帯を巻き込むまでの位置で、切断した前記非晶質薄帯の先端をガイド装置により次の巻取ロール表面に押し付けた後に巻き込むことで、切り替え直後に発生していた非晶質薄帯の破断等のトラブルを防止し、確実に切り替えを可能とする非晶質薄帯の巻取ロール切り替え方法および切り替え装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を、図面を以って説明する。図1は、2台の巻取ロールを備えたカローゼル方式を採用した場合の本発明による非晶質薄帯の巻取ロール切り替え装置の概略構成例を示す模式図である。図2は巻取中の非晶質薄帯を押さえロールにより(図1〜6では2個の押さえロールを非晶質薄帯の進行方向に並べた例を示す)次の巻取ロールに接触させた状態を示す模式図、図3は非晶質薄帯を切断刃で切断した状態を示す模式図、図4は非晶質薄帯を切断した後、次の巻取ロールが非晶質薄帯先端を捕捉し、ガイド装置により非晶質薄帯先端を巻取ロール表面に押し付けた後薄帯先端部を巻き込み、巻取開始状態を示す模式図、図5は押さえロールおよびガイド装置が退避した状態を示す模式図である、図6は次の巻取ロールで巻取を開始した状態を示す模式図である。図1〜6を以って巻取ロール切り替えの工程を説明する。
【0010】
図1では、タンディッシュ1内の溶融金属2を、ノズル3を介して高速回転している冷却ロール4の表面に噴射、急冷凝固して非晶質薄帯Cとし、冷却ロール4に近接して設けたカローゼル方式の巻取装置5で巻き取っている。このカローゼル方式の巻取装置5は対向する位置にそれぞれ設けた巻取ロール6、7で交互に巻き取る構造を有しており、一方の巻取ロール6で或る一定量巻き取った後、対向する別の巻取ロール7に巻取を切り替えて巻取作業を行うものである。これら巻取ロール6、7は、永久磁石を各ロール表面に埋め込み、この磁石の力で薄帯Cの先端を捕捉し、その後は巻取ロールの回転により巻取る機能を有している。
次の巻取ロール7には図2に示すように周方向の非晶質薄帯との接触位置Mから非晶質薄帯を巻き込むまでの位置Rに巻取ロール7に近接させてガイド装置14を設置している。このガイド装置14は巻取開始時やカローゼル式巻取装置5が巻取ロール切り替え後に回転している場合には図8に示すように設備に干渉しないように巻取ロール6、7の軸方向の退避位置Fに退避し、巻取ロールの位置で定常的に巻取を継続したところで図7に示すように巻取ロール7に近接したガイド位置Eに移動するように移動機構17を有している。本例では巻取ロール軸方の移動例を示したが、巻取ロール表面に対し垂直方向に移動するなど設備に干渉しなければ移動機構は限定しない。ガイド装置14は図3に示す非晶質薄帯先端部分Tを巻取ロール7の表面に押えるためにガイドロール15とガイドロール15通過後の非晶質薄帯先端部分Tを次の巻取ロール7の巻き込み部Rに導入するためのガイド板16で構成している(図1参照)。このガイドロール15とガイド板16は巻取ロール表面に埋め込んだ永久磁石の影響されないようにアルミ等の非磁性材料がより好ましいが、磁性材料を使用しても良い。ガイドロール15と巻取ロール7との間隙G1およびはガイド板16の間隙G2は1mm以上200mm以下、好ましくは1mm以上100mm以下とする。間隙G1を前記範囲とした理由は、間隙G1が200mm以上になると非晶質薄帯先端部分Fを巻取ロール7に押さえつける効果が少なくなり、また1mm以下では非晶質薄帯先端部分Tがガイドロール15、ガイド板16を通過することが困難となることを実験的に見出したことによる。また、ガイドロール15、ガイド板16の幅は非晶質薄帯幅以上の幅を有していれば良く、ロール径、板厚は特に限定するものではないが強度不足や設備への干渉を生じさせないようにする必要がある。本例では非晶質薄帯先端部分Tを巻取ロール7の表面に押えるためのガイド装置14としてガイドロール15とガイド板16を用いたが、非晶質薄帯先端部分Tを巻取ロール7に押さえつける形状、たとえは図9に示すようなガイドロール、半円柱、三角柱、四角柱、ガイド板等の形状を単独で設置してもよく(非晶質薄帯の入り側の間隙が広く徐々に狭まる構造が好ましい)、前記形状のものを組み合わせて複数設置してもよい。但し、予め実験等により適正な間隙を設定しておく。
【0011】
図1の巻取装置5の上方には別に設けた駆動機構(図示せず)と連結する切断装置8を配設する。この切断装置8は、アーム9の先端に非晶質薄帯の進行方向に配置した2個の押さえロール11、12と、これら押さえロール11、12のほぼ中間に位置し、かつ薄帯パスラインPに対し上方から進入する方向に、切断刃13を内蔵した切断機構10を接続してある。前記2個の押さえロール11、12は巻取ロール6、7の回転軸と平行な回転軸を有し、巻取ロール6、7と同一の幅を有している。この押さえロール11、12の幅は非晶質薄帯Cを安定的に押さえるために薄帯幅以上の幅を有していれば良く、押さえロールの径は切断刃13のストローク以下とすれば良い。また、前記切断装置8は、薄帯Cを切断する時点で巻取ロール6に近接するように円弧状に回動するように構成している。本例では切断装置8は円弧状に回動させているが、その他上下方向に駆動させて巻取ロール6に近接するような装置としても良い。
【0012】
図1の巻取工程において、定常な状態では巻取ロール6は対向する次の巻取ロール7が、冷却ロール4の表面と巻取ロール6で作るパスラインP中の非晶質薄帯Cの表面と接する手前で待機した状態で非晶質薄帯Cを巻き取っている。ここで巻取ロール7はパスラインP(非晶質薄帯C)の移動速度のほぼ等しい表面速度でパスラインPの移動方向に回転している。次の巻取ロール7には周方向の非晶質薄帯との接触位置から非晶質薄帯を巻き込むまでの位置に巻取ロール7に近接してガイド装置14が待機している。このガイド装置14は定常な状態では図8に示す退避位置Fから、図7に示すガイド位置Eに移動する。
【0013】
次いで、図2に示すように、巻取ロール6が或る一定量の非晶質薄帯Cを巻き取った時点で、巻取ロール6と次の巻取ロール7間の上方から切断装置8をAの位置からBの位置に円弧状に回動させ、切断機構10に内蔵された2個の押さえロール11、12で非晶質薄帯Cを押さえ、次の巻取ロール7に非晶質薄帯Cを巻取りロール周長の1/2以下、好ましくは少なくとも50mm以上接触させる。この時、押さえロールを複数個配置(本例では押さえロール11、12の2個)することにより、巻取ロール6の巻取量に関わらず、更には、冷却ロール4の大きさに関わらず(通常使用において、研削、研磨を実施するため冷却ロール4の径は減少する)、押さえロール11、12で作る非晶質薄帯切断部のパスラインP‘は常に一定の位置関係となる。
【0014】
更に、図3に示すように、非晶質薄帯Cに接触させた押さえロール11、12間に設けた切断刃13を別に設けた切断刃上昇、下降機構(図示せず)を作動させて、切断刃を下降させて非晶質薄帯Cに接触させ切断するが、非晶質薄帯のパスラインP‘が常に一定の位置関係のため、非晶質薄帯と切断刃13との関係も一定となり非晶質薄帯の切断が安定する。
【0015】
切断した非晶質薄帯Cは、図3に示すように、次の巻取ロール7表面に磁力によって先端を捕捉する。
ここで非晶質薄帯Cを巻取ロール周長の1/2以下接触させた理由は、冷却ロール周長の1/2より多く接触させるためには、アーム9の下降だけでなく伸縮機構も必要とるなど設備が複雑化し、設備が高価となるためである。また、好ましい長さとして50mm以上接触させることとした理由は、表面に磁力を帯びた巻取ロール(表面での磁力が1000G以上)では50mm以上非晶質薄帯を接触させれば100%非晶質薄帯の先端部の捕捉が可能であることを実験的に見出したからである。
【0016】
このとき捕捉した非晶質薄帯の先端部分Tは図3に示すように空気抵抗により折り返される。この先端部分Tを図4に示すようにガイド装置14により、巻取ロール7にガイドロール15にて押し付け、さらにガイド板16により巻取ロール7に押し付けた非晶質薄帯を巻き込み部Rに導き非晶質薄帯先端を巻き込む。
本発明者らは非晶質帯切断および先端捕捉を安定して実現したにも拘らず、鋳造速度や板厚等を変更した場合に非晶質薄帯が破断し、巻き替えを失敗する原因を探求していたが、高速ビデオを設置して切り替え時の状態を解析した結果、この非晶質薄帯先端部分Tの折り返しの形状が起因することを見出した。すなわち、この折り返された先端部Tの形状が大きく膨らむ場合に、非晶質薄帯の巻き込み部Rにて非晶質薄帯の破断が生じることを見出した。そのためこの先端部をガイドロール15により巻取ロール7に押し付けることで非晶質薄帯先端部分Tの折り返し部が膨らむことを防止し、さらにガイド板16により巻取ロール7に押し付けた非晶質薄帯を巻き込み部Rに導くことにより、いかなる条件においても薄帯破断を生じることなく切り替えられることが判明した。
【0017】
次の巻取ロール7に非晶質薄帯先端が巻き込まれた後、図5に示すように切断装置8は退避して元の位置に戻り、ガイド装置14も図8に示すように設備に干渉しないように退避位置Fに退避する。図6に示すように巻取ロール7で巻取を開始すると、非晶質薄帯を巻取った巻取ロール6は巻取ロール交換装置(図示せず)によって抜き取り、新たな巻取ロールを装着する。非晶質薄帯を巻取った巻取ロール6は搬送装置(図示せず)により搬送し次の工程に送る。新たな巻取ロール装着後、この巻取ロール7の位置は回転して巻取ロール6の位置で定常的に巻き取るように構成しており、これら一連の工程を繰り返して巻取を続行することとなる。
【実施例】
【0018】
本発明の実施例として原子%でFe:80.5%、B:15.0%、Si:3.0%、C1.0%、残部が不可避的不純物からなる非晶質薄帯を鋳造し、図1に示す装置にて鋳造速度および板厚を変更して巻取ロールの切り替えを行なった。鋳造に用いたノズルの開口形状は170mm×0.85mmとし、銅合金からなる内部水冷方式の冷却ロールの表面に噴出させて非晶質薄帯とした。なお、冷却ロールは直径φ1198mm、幅250mm、肉厚19mmとした。また、巻取ロールは直径φ600mm、幅375mm、表面から5mmでの磁力が350G以上で、接触長さは30cmとした。ガイド装置は図7に示すようにガイドロールとガイド板を組み合わせた構造とし、ガイドロールはアルミ製で幅200mm、ロール径φ60mm、巻取ロールとの間隙を15mmとした。ガイド板は200mm、長さ300mmのアルミ製で、ガイド板出口のガイド板と巻取ロールとの間隙を5mmとした。
比較例として、特許文献2に示される方法でL1=30cm、L2=5mとし、その他を本発明例と同じ鋳造条件にて前記非晶質薄帯を製造し、巻取および巻取ロールの切り替えを試みた。
本発明例および比較例とも巻取ロールへの巻取厚みは約200mmとし、鋳造速度および板厚を変化させて切り替えを行なった。結果を表1に示す。
【表1】


本発明例のNo.1〜10においては鋳造速度および板厚が変動しても巻取ロールの切り替えは問題なく可能であるが、比較例のNo.11〜20では鋳造速度が遅い場合には板厚にかかわらず切り替えは可能であるが、鋳造速度が速くなり、また板厚が厚くなると非晶質薄帯の切断及び先端補足は良好であるが、非晶質薄帯巻き込み時に破断が発生し巻取ロールの切り替えが不可となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による非晶質薄帯の巻取ロール切り替え装置を示す模式図(側面図)。
【図2】本発明による巻取ロール切り替え状態を示す模式図(側面図)。
【図3】本発明による巻取ロール切り替え時における非晶質薄帯の切断状態を示す模式図(側面図)。
【図4】本発明による切り替えられた巻取ロールによる非晶質薄帯の巻取直後の巻取状態を示す模式図(側面図)。
【図5】本発明による切り替えられた巻取ロールによる巻取状態を示す模式図(側面図)。
【図6】本発明による切り替えられた巻取ロールによる巻取続行の状態を示す模式図(側面図)。
【図7】本発明によるガイド装置のガイド位置を示す模式図。
【図8】本発明によるガイド装置の退避位置を示す模式図。
【図9】本発明によるガイド装置の別の形態例を示す模式図。
【符号の説明】
【0020】
1 タンディッシュ
2 溶融金属
3 ノズル
4 冷却ロール
5 カローセル式巻取装置
6 巻取ロール
7 巻取ロール
8 切断装置
9 アーム
10 切断機構
11 押さえロール
12 押さえロール
13 切断刃
14 ガイド装置
15 ガイドロール
16 ガイド板
17 ガイド位置の移動機構
C 非晶質薄帯
P パスライン
P‘ パスライン
A 切断装置の待機位置
B 切断装置の稼働位置
E ガイド装置のガイド位置
F ガイド装置の退避位置
G1 ガイドロールと巻取ロールとの間隙
G2 ガイド板と巻取ロールとの間隙
M 巻取ロール7と非晶質薄帯との接触位置
R 非晶質薄帯巻き込み部
T 切断後の非晶質薄帯先端部分
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成18年10月10日(2006.10.10)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬

【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次

【識別番号】100113918
【弁理士】
【氏名又は名称】亀松 宏

【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康


【公開番号】 特開2008−93679(P2008−93679A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−276619(P2006−276619)