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【発明の名称】 電縫管のシーム位置検出方法及び装置
【発明者】 【氏名】関 顕人

【要約】 【課題】溶接時の熱、錆等による管表面の色変化や検出時の照明具合等(外乱)による誤検出がなく、ロバスト(安定)なシーム位置検出が可能な方法、装置を提供する。

【解決手段】CCDカメラ2で撮像された電縫管11外周面の画像の画素群に対して自己相関関数を計算し、その結果値に周期性が検出される画素列を求め、その画素列の位置をシーム位置として検出する画像演算処理回路4を設ける。自己相関関数の計算によるシーム位置の検出は、外乱に強いロバストなシーム位置の検出を可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電縫管の外周面を撮像し、得られた電縫管外周面の展開画像の画素群に対して自己相関関数を計算し、この自己相関関数の計算結果値に周期性が検出される画素列を求め、この画素列の位置をシーム位置として検出することを特徴とする電縫管のシーム位置検出方法。
【請求項2】
前記電縫管外周面の展開画像を電縫管軸回り方向に複数分割して撮像可能とし、前記自己相関関数の計算結果値に周期性が検出される画素列が求まるまで前記撮像を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の電縫管のシーム位置検出方法。
【請求項3】
電縫管の外周面を撮像する撮像手段と、この撮像手段で撮像された前記電縫管の外周面の展開画像の画素群に対して自己相関関数を計算し、この自己相関関数の計算結果値に周期性が検出される画素列を求め、この画素列の位置をシーム位置として検出する画像演算処理手段とを具備することを特徴とする電縫管のシーム位置検出装置。
【請求項4】
前記電縫管外周面の展開画像を電縫管軸回り方向に複数分割して撮像可能に、前記電縫管を軸回り方向に一定の送り角毎に回転させる回転手段を備え、前記撮像手段は、前記画像演算処理手段による前記自己相関関数の計算結果値に周期性が検出される画素列が求まるまで前記撮像を繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の電縫管のシーム位置検出装置。
【請求項5】
前記画像演算処理手段は、シーム位置の検出結果を表すシーム位置情報を外部に出力することを特徴とする請求項3又は4に記載の電縫管のシーム位置検出装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、シーム部における縞パターンを利用した電縫管のシーム位置検出方法及び装置、特に電縫管表面の色や照明の状態に影響されにくいロバストな検出が可能な電縫管のシーム位置検出方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電縫管におけるシーム部(溶接部)の位置検出は、超音波探傷による溶接品質検査時に必要とされる。また、電縫管を曲げ加工する際においても、シーム部への応力集中を回避するために予めシーム位置を検出しておく必要がある。
そこで、従来から電縫管のシーム位置の検出が行われているが、一般的には、カメラで撮像した電縫管画像のシーム部周辺の輝度値によってシーム位置を検出する方法が採用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】特公平7−89046号公報
【特許文献2】特開平5−123874号公報
【特許文献3】特開昭59−23203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜3に開示された方法は、撮像した電縫管のシーム部周辺の輝度値を2値化し(特許文献1,2)、あるいは明るい位置を求め(特許文献3)、つまり輝度差に基づいて、シーム位置を検出する方法である。このため、溶接時の熱影響に起因する電縫管表面の色変化(焼け具合)や錆等によるシーム部周辺の色具合(電縫管表面の色の状態)の影響を受けて誤検出する虞があった。また、シーム位置検出時の電縫管表面への照明具合にも敏感で、これによっても誤検出する虞があり、従来、このような外乱による誤検出の虞をなくした電縫管のシーム位置検出方法、装置の開発が課題とされていた。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたもので、溶接時の熱や錆等による電縫管表面の色変化、色具合の影響や、シーム位置検出時の電縫管表面への照明具合等(外乱)による誤検出の虞をなくし、シーム位置をロバスト(安定)に検出できる電縫管のシーム位置検出方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、電縫管のシーム位置検出方法及び装置を下記各態様の構成とすることによって解決される。
各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴及びそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0007】
以下の各項のうち、(1)項が請求項1に、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(5)項が請求項5に、各々対応する。
【0008】
(1)電縫管の外周面を撮像し、得られた電縫管外周面の展開画像の画素群に対して自己相関関数を計算し、この自己相関関数の計算結果値に周期性が検出される画素列を求め、この画素列の位置をシーム位置として検出することを特徴とする電縫管のシーム位置検出方法。
(2)前記電縫管外周面の展開画像を電縫管軸回り方向に複数分割して撮像可能とし、前記自己相関関数の計算結果値に周期性が検出される画素列が求まるまで前記撮像を繰り返すことを特徴とする(1)項に記載の電縫管のシーム位置検出方法。
【0009】
(3)電縫管の外周面を撮像する撮像手段と、この撮像手段で撮像された前記電縫管の外周面の展開画像の画素群に対して自己相関関数を計算し、この自己相関関数の計算結果値に周期性が検出される画素列を求め、この画素列の位置をシーム位置として検出する画像演算処理手段とを具備することを特徴とする電縫管のシーム位置検出装置。
撮像手段には、一次元センサを用いてもよいが、通常は二次元イメージセンサが用いられる。画像演算処理手段としては、例えばパーソナルコンピュータ及び画像処理プログラム等が用いられる。これらは、以下の発明においても同様である。
(4)前記電縫管外周面の展開画像を電縫管軸回り方向に複数分割して撮像可能に、前記電縫管を軸回り方向に一定の送り角毎に回転させる回転手段を備え、前記撮像手段は、前記画像演算処理手段による前記自己相関関数の計算結果値に周期性が検出される画素列が求まるまで前記撮像を繰り返すことを特徴とする(3)項に記載の電縫管のシーム位置検出装置。
【0010】
(5)前記画像演算処理手段は、シーム位置の検出結果を表すシーム位置情報を外部に出力することを特徴とする(3)項又は(4)項に記載の電縫管のシーム位置検出装置。
(6)前記回転手段は、前記画像演算処理手段により検出されたシーム位置を、電縫管軸回り方向の予め定めた基準位置に送り回転することを特徴とする(3)項、(4)項又は(5)項に記載の電縫管のシーム位置検出装置。
【発明の効果】
【0011】
(1)項に記載の電縫管のシーム位置検出方法によれば、電縫管のシーム位置を、溶接時の熱影響や錆等による電縫管表面の色変化、色具合の影響や、シーム位置検出時の電縫管表面への照明具合等(外乱)による誤検出の虞なく、ロバスト(安定)に検出できる。
(2)項に記載の電縫管のシーム位置検出方法によれば、初回の撮像においてシーム位置が検出できなくても(自己相関関数の計算結果値に周期性が検出される画素列が求まらなくても)、何回かの撮像を経て必ずシーム位置が検出できる。つまり、電縫管の軸回り方向の位置を特に決めずに撮像を開始しても(撮像時において電縫管の軸回り方向の位置がどの位置にあるか注意を払わなくても)、必ずシーム位置検出が可能となる。
【0012】
(3)項に記載の電縫管のシーム位置検出装置によれば、(1)項に記載の電縫管のシーム位置検出方法を装置として具現化したもので、この電縫管のシーム位置検出装置によれば、電縫管のシーム位置を、溶接時の熱影響や錆等による電縫管表面の色変化、色具合の影響や、シーム位置検出時の電縫管表面への照明具合等(外乱)による誤検出の虞なく、ロバストに検出できる。
(4)項に記載の電縫管のシーム位置検出装置によれば、初回の撮像(撮像手段の視野内)においてシーム位置が検出できなくても、何回かの撮像を経て必ずシーム位置が検出できる。つまり、電縫管の軸回り方向の位置を特に決めずに撮像を開始しても、必ずシーム位置検出が可能となる。
【0013】
(5)項に記載の電縫管のシーム位置検出装置によれば、検出されたシーム位置を本シーム位置検出装置内部で利用する、例えば本シーム位置検出装置内にディスプレイ装置を設け、このディスプレイ装置にシーム位置を表示するだけでなく、外部に設けた種々の回路や装置においてシーム位置情報を利用することができる。例えば、超音波探傷による溶接品質検査装置等において、上記シーム位置情報を利用して効率よく溶接品質検査をすることが可能となる。
(6)項に記載の電縫管のシーム位置検出装置によれば、次工程、例えば超音波探傷による溶接品質検査工程等において、電縫管のシーム位置が軸回り方向の常に定まった位置に向けられていることになり、効率よく溶接品質検査をすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
電縫管製造過程においては、造管溶接後にフライス加工によるビードの切削が行われるが、この結果、電縫管のシーム部にフライス加工跡として縞パターンが残る。本発明は、このような電縫管外周の軸方向に残る縞パターンに基づき、電縫管のシーム位置を、溶接時の熱や錆等による電縫管表面色の状態やシーム位置検出時の電縫管表面への照明具合等(外乱)に影響されず、ロバスト(安定)に検出できる方法を提案するものであり、以下、これについて詳述する。
【0015】
図1は、本発明方法が適用された装置(本発明による電縫管のシーム位置検出装置)の一実施形態の全体構成図である。
図示するように本発明装置は、回転機構1、CCDカメラ2、投光器3、画像演算処理回路4及びコントローラ5を備えてなる。
【0016】
上記回転機構1は、シーム位置検出対象である電縫管11を軸回り方向に、ここでは電縫管11の図中右端側から見たときに時計回り(矢印イ方向)に回転させる回転手段を構成する。
CCDカメラ2は、回転機構1により回転される電縫管11の外周面を撮像する(電縫管外周面の展開画像を取り込む)撮像手段を構成する。撮像手段としては、CCDカメラ2以外の二次元イメージセンサを用いてもいい。2aは、CCDカメラ2に内蔵又は外付けされた集光レンズである。CCDカメラ2の受光側に光学フィルタを配置して撮影に不必要な波長域の光を遮断するようにしてもよい。
投光器3は、CCDカメラ2により撮像される電縫管11の外周面領域を照明するレフランプ等の光源である。
画像演算処理回路4は、CCDカメラ2が取り込んだ電縫管外周面の展開画像(2次元画像)の画素群に対して自己相関関数を計算し、その計算の結果値に周期性が検出される画素列を求め、この画素列の位置をシーム位置として検出する画像演算処理手段を構成する。この画像演算処理回路4は、検出結果であるシーム位置情報を出力する。
コントローラ5は、上記回転機構1、CCDカメラ2、投光器3及び画像演算処理回路4等、装置各部を制御する制御手段を構成する。
なお、電縫管11を静止状態とし、CCDカメラ2及び投光器3を電縫管11の外周、軸回り方向に回転させるように回転機構1を構成してもよいが、この構成では機構規模が大きくなること、CCDカメラ2からの画像の位置精度が低くなること等から、通常は上記のように電縫管11を軸回り方向に回転させる構成を採る。
【0017】
次に、上述実施形態の動作について、図2のフローチャートを併用して説明する。
図1に示す装置の主電源が投入されると、コントローラ5は回転機構1、CCDカメラ2、投光器3及び画像演算処理回路4等、装置各部の電源をONして動作を開始させる。
すると、CCDカメラ2は、投光器3で照明された電縫管11の外周面(表面)を撮像し、その画像を取り込む(ステップ201)。
取り込まれた画像は、M×N画素の2次元画像fi,j(電縫管外周面の展開画像)であり、画像演算処理回路4に送られる。
図3は、上記2次元画像fi,jの一例を模式的に示しており、同図中の縦、つまりi方向(行方向)は電縫管軸方向であり、横、つまりj方向(列方向)は電縫管軸回り方向である。図3中の最小のマス目は1個の画素を表している。
【0018】
ステップ202では、画像演算処理回路4はCCDカメラ2からの2次元画像fi,j中の各列j(第1列〜第N列)に対して、その列jの画素i(i=1〜M)の輝度値を順次読み込み、
【数1】


を計算する。
具体的には、まず列j=1(第1列)に対して、この第1列のi=1〜MまでのM個の輝度値を順次読み込み、自己相関関数gj,kを計算する。次に、列j=2(第2列)に対して、この第2列のi=1〜MまでのM個の輝度値を順次読み込み、自己相関関数gj,kを計算する。以下、同様に列j=N(第N列)までの各列に対して、その列のi=1〜MまでのM個の輝度値を順次読み込み、自己相関関数gj,kを計算する。
【0019】
ステップ203では、画像演算処理回路4は自己相関関数の計算結果値に周期性が検出、具体的には同一周期のピークが検出される列j=j1〜jp(列31、図3参照)が存在するか否かを判定する。すなわち、画像演算処理回路4は、j=1〜N(第1列〜第N列)の各列について自己相関関数gj,kを計算し、その結果値に周期性が検出され、2次元画像fi,j上の他の列jにおける計算結果とは一線を画す列j1〜jpが存在するか否かを判定する。
上述したように電縫管製造過程におけるビード切削の結果、電縫管11のシーム部には縞パターン11aが残るが、上記列j1〜jp(列31)はこのような縞パターン11aの存在に起因するものである。したがって画像演算処理回路4は、上記のような自己相関関数の計算結果において、この列j1〜jpの存在が確認できればその処理をステップ204に移す。
ステップ204では、列j1〜jpの位置をシーム位置として検出し、その位置(検出結果)を表すシーム位置情報を出力する。具体的には、列j1〜jpのj方向の例えば中心位置〔J=(j1+jp)/2〕(j1,jpはj方向の位置を表す。)に基づいて電縫管11のシーム位置(列j1〜jpの中心位置)までの回転角を算出し、これをシーム位置情報として出力する。シーム位置情報は、例えば装置内部のディスプレイ装置(図示せず)に出力され、同ディスプレイ装置に表示される。シーム位置情報は、装置外部に設けた種々の回路や装置、例えば、超音波探傷による溶接品質検査装置等に出力してもよく、これによれば、溶接品質検査の高効率化に役立つ。
【0020】
ステップ203において、画像演算処理回路4が列j1〜jpの存在が否定されれば、コントローラ5は処理をステップ205に移行させる。ステップ205では、一定の送り角(CCDカメラ2の視野の縦方向寸法=2次元画像fi,jのN画素分に相当する角度)だけ電縫管11を軸方向に回転させて、処理をステップ201に戻す。これにより、最初のM×N画素の2次元画像fi,jに隣接する次のM×N画素の2次元画像fi,jについて、ステップ201〜205の処理の繰返しが可能となるが、その処理途中においてステップ203における判定がYESとなれば、上述したステップ204を実行して処理動作を終了する。
【0021】
電縫管11を一定の送り角、回転させる毎に画像を取り込み、上記の処理を行って行けば、最大、360°÷送り角で求まる回数から1回分を差し引いた回数(初回はステップ205を実行していないので1回分を差し引いた回数)のステップ205の実行により、列j1〜jp(列31)ありの判定、つまり電縫管11のシーム位置の検出を行うことができる。上記360°÷送り角の計算結果が整数とならない(割り切れない)場合は、端数分の撮像が1回加えられる。隣接する画像間の境界は一定画素数分だけ重複して撮像するようにしてもよい。
【0022】
なお、ステップ204の実行と共に、あるいは実行後に、画像演算処理回路4により検出されたシーム位置を電縫管軸回り方向の予め定めた基準位置(基準回転角)、例えばCCDカメラ2の視野の電縫管軸回り方向の中心位置に送り回転するよう、コントローラ5及び回転機構1を構成してもよい。これによれば、シーム位置検出の次工程、例えば超音波探傷による溶接品質検査工程において、電縫管11のシーム位置が、軸回り方向の常に定まった位置に向けられていることになり、効率よく溶接品質検査をすることが可能となる。
また、CCDカメラ2の視野内に電縫管11の全長が収まらないが、電縫管11のシーム位置を電縫管全長に亘って検出したい場合には、電縫管11を一定の長さ(CCDカメラ2の視野の横方向寸法=2次元画像fi,jのM画素分に相当する長さ以下の長さ)だけ軸方向に送りながら、上記ステップ201〜205を実行すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明方法が適用された装置(本発明装置)の一実施形態の全体構成図である。
【図2】同上装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】同上装置のCCDカメラで取り込まれた2次元画像の説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1:回転機構(回転手段)、2:CCDカメラ(撮像手段)、4:画像演算処理回路(画像演算処理手段)、11:電縫管、11a:縞パターン。

【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年9月27日(2006.9.27)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫

【識別番号】100093193
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 壽夫

【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫

【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫

【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫

【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏


【公開番号】 特開2008−80358(P2008−80358A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−262508(P2006−262508)