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【発明の名称】 金属板の形状測定方法、製造方法及び金属板の形状測定装置
【発明者】 【氏名】鎌田 弥

【要約】 【課題】テーブルロール間で金属板が自重により垂れてしまって、形状を正しく測定できないという問題を、簡単で安価な仕組により解決できる、金属板の形状測定方法、製造方法及び金属板の形状測定装置を提供する。

【解決手段】金属板(鋼板1)をテーブルロール7にて搬送するラインにて、該金属板(1)の形状を測定する際に、テーブルロール7間のエプロン8をパスラインまで上昇させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板をテーブルロールにて搬送するラインにて、該金属板の形状を測定する際に、
テーブルロール間のエプロンをパスラインまで上昇させることを特徴とする金属板の形状測定方法。
【請求項2】
金属板の製造に際して、金属板をテーブルロールにて搬送するラインで、該金属板の形状を測定する際に、
テーブルロール間のエプロンをパスラインまで上昇させることを特徴とする金属板の製造方法。
【請求項3】
金属板をテーブルロールにて搬送するラインにて、該金属板の形状を測定する際に、
テーブルロール間のエプロンをパスラインまで上昇させる手段を備えたことを特徴とする金属板の形状測定装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は帯鋼の精製ラインを主とする、テーブルロールにて金属板を搬送するラインにて、該金属板の形状を測定する方法、金属板の製造方法及び金属板の形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、図4に示す帯鋼のリコイリングラインの場合を例にとって、帯鋼の精製ラインを説明する。リコイリングラインとは、特許文献1に記載されている鋼板コイルの巻き戻し装置を設置したラインと同様のものであり、熱間圧延ラインにて圧延されたコイル状の鋼板1を巻出機2にて巻き戻し、検査員や表面検査装置による鋼板1の表面検査のほか、レベラー4による形状矯正や、トリマー5による鋼板端部の切断、あるいは、切断機6によるコイル長の変更、テーブルロール7上で形状の測定等を行い、巻取機3にてコイル状に巻き直すラインである。この他、図4に示すリコイリングラインに加え、更に溶接機を設置した、コイルビルドアップラインと呼ばれるラインのように、リコイリングラインに加え、2つのコイルを一つにつなげることのできるライン等もある。
【0003】
一般的に、鋼板1は、表面に疵を発生させないようにテーブルロール7にて搬送されるが、建設コストを低減するため、図5に示すように、テーブルロール7を500乃至1200mmの間隔で配置し、間にはエプロン8を設置する。エプロン8は搬送途中に鋼板を疵つけないように、鋼板1のパスラインよりも20乃至60mm低い高さに設置する。そのため、テーブルロール7上で鋼板1の形状を測定する場合には、図6に示すような鋼板1の自重による垂れの影響を受け、形状を正しく測定できないという問題があった。
【0004】
ちなみに、鋼板1の形状とは、図7(a)に示す平坦なもののほか、図7(b)に示す鋼板1の幅端部が局部的に伸びている耳伸びと称されるものや、図7(c)に示す鋼板1の幅中央部が局部的に伸びている腹伸びと称される種類のものがある。
【0005】
特許文献2には、熱間圧延ラインのような、鋼板が300乃至1600mpmもの高速で搬送されるラインにて、テーブルロール間に設置されたエプロンを上昇させて鋼板の先端通板性を向上させるとともに、同先端が通過するとき以外はエプロンを下降させることで、熱によるエプロンの耐久性も確保することが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3650790号公報
【特許文献2】特開2004−351483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載のような技術では、鋼板の先端が通過した後は、エプロンが下降してしまうため、テーブルロール7間で鋼板1が図6に示したように自重により垂れてしまう結果、鋼板1の形状を正しく測定できないという問題を依然として解決できないままであった。
【0008】
このほか、特許文献1に記載の先述の鋼板コイルの巻き戻し装置を設置したようなラインや、図4に示したリコイリングラインのようなライン等では、エプロンを昇降させる発想はなかった。
【0009】
本発明は、従来技術のかかる問題を解決するためになされたものであり、テーブルロール間で金属板が自重により垂れてしまって、形状を正しく測定できないという問題を、簡単で安価な仕組により解決できる、金属板の形状測定方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
斯かる目的を達成するための本発明は、以下の通りである。
【0011】
(1)金属板をテーブルロールにて搬送するラインにて、該金属板の形状を測定する際に、テーブルロール間のエプロンをパスラインまで上昇させることを特徴とする金属板の形状測定方法。
【0012】
(2)金属板の製造に際して、金属板をテーブルロールにて搬送するラインで、該金属板の形状を測定する際に、テーブルロール間のエプロンをパスラインまで上昇させることを特徴とする金属板の製造方法。
【0013】
(3)金属板をテーブルロールにて搬送するラインにて、該金属板の形状を測定する際に、テーブルロール間のエプロンをパスラインまで上昇させる手段を備えたことを特徴とする金属板の形状測定装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、テーブルロール間で金属板が自重により垂れてしまって、形状を正しく測定できないという問題を、簡単で安価な仕組により解決できた。そして、本発明により、金属板の形状を測定することにより、測定時の誤差を大幅に低減できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の一例を、図を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態の一例に係る、金属板の形状測定装置の概略図である。
【0017】
本発明の金属板の形状測定装置100は、図1(a)に示すごとく、テーブルロール7、エプロン8の従来の配置を踏襲しつつ、エプロン8を昇降させるためのシリンダ9を配置したものである。
【0018】
また、テーブルロール7間上方には、レーザー測距などの原理による形状測定装置10が設置されている。これにより、鋼板1の形状を測定することができる。
【0019】
鋼板1の形状は、図2に示すごとく、鋼板1を側面図的に見た場合に波打って見える波の高さhを波長Dで割った値に100を乗じた値λすなわち、
λ=(h/D)×100 (%) …(1)
にて表される。
【0020】
このような測定原理からしてわかる通り、レーザー測距などの原理による形状測定装置10が固定して設置されている場合は、図1中の搬送方向に搬送中の鋼板1を測定対象とすることができ、もしも形状測定装置10の方を図1中の搬送方向あるいはその逆の方向に移動式とした場合は、搬送停止中の鋼板1も測定対象とすることができる。
【0021】
図1の例では、鋼板1を対象とするが、鋼板に限らず、あらゆる材質の金属板を対象とすることができる。
【0022】
エプロン8を昇降させるための機構は、例えば、シリンダ9を例に取れば、油圧でも空気圧でもよいし、あるいは、シリンダ9に代えて、電動式のスクリュージャッキ等を用いてもよい。
【0023】
また、形状測定装置10は、レーザー測距式の原理によるものでなく、その他の形式や原理によるものであってもよいし、設置位置も、必ずしもテーブルロール7間上方でなくても、テーブルロール7の直上であってもよい。
【0024】
以上のように、図1の例は、あくまで本発明の実施の形態の一例であって、本発明は、この実施の形態に限るものではない。
【0025】
本発明の作用と考え方を、以下に述べる。
【0026】
図1(a)に鋼板1の搬送時の配置を示す。鋼板1とテーブルロール7、エプロン8の位置関係は従来と変わらないため、鋼板1を疵つけることなく搬送可能である。次に、図1(b)に形状測定時の配置を示す。シリンダ9にてエプロン8をテーブルロール7の頂点、すなわち、パスラインと同じ高さまで上昇させ、鋼板の形状を測定する。仮に、テーブルロール7の頂点とエプロン8の間の距離を、テーブルロール7の頂点間の距離の10分の1にしたとすると、鋼板1の自重による垂れ量yは次式で示されるため、10000分の1に大幅に低減できる。
【0027】
y=5ρL4/(32×104Et2) …(2)
【0028】
ここで、ρは鋼板1の密度、Lは支持間距離、Eは鋼板1のヤング率、tは鋼板1の板厚である。
【0029】
鋼板の場合、ρ=7850kg/m3、E=205800MPaであるから、板厚t=1.0mmとすると、本発明を適用した場合は支持間距離L=50mmのときに垂れ量y=0.00036mmとなる。形状測定時に必要な精度は±0.5mm程度であるから、自重の垂れによる影響なく形状を測定できることが分かる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を説明する。図3は、本発明を適用した場合(実施例)とそうでない場合(比較例)に、鋼板1の形状を図1に示したリコイリングライン内で測定した値を定盤上で測定した値と比較した図である。
【0031】
定盤上で測定した値を正とすると、比較例は、定盤上で測定した場合の値と比べ、乖離が大きいのに対し、実施例では、乖離が小さく、測定精度が大幅に改善できているのが分かる。
【0032】
なお、前記説明では、帯鋼のリコイリングラインを例にとって、本発明を説明したが、本発明の適用対象は、これに限定されず、形状測定が必要な金属板のライン一般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す正面図
【図2】金属板の形状の測定の仕方について説明するための拡大正面図
【図3】本発明の効果を示す線図
【図4】本発明の適用対象の一例であるリコイリングラインの概要について説明するための正面図
【図5】従来技術について説明するための拡大正面図
【図6】従来技術の問題について説明するための拡大正面図
【図7】金属板の形状について説明するための斜視図
【符号の説明】
【0034】
1…鋼板
2…巻出機
3…巻取機
4…レベラー
5…トリマー
6…切断機
7…テーブルロール
8…エプロン
9…シリンダ
10…レーザー測距形状測定装置
100…形状測定装置
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【出願日】 平成18年9月25日(2006.9.25)
【代理人】 【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭

【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑

【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博


【公開番号】 特開2008−73751(P2008−73751A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−258625(P2006−258625)