トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 金属線材の伸線方法
【発明者】 【氏名】大野 義昭

【要約】 【課題】金属線材やダイスの振動を効果的に抑制する。

【構成】ダイス1に金属線材3を通すと共に、JIS K6253に規定された硬度40以下の軟質材料により形成された1組の軟質材料板2a,2bをダイス1の前後に配置し、軟質材料板2a,2b間で金属線材3を挟持させながら金属線材3を伸線する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリップ伸線方式により金属線材を伸線する金属線材の伸線方法において、硬度40以下の軟質材料により形成された防振部に金属線材を接触させることにより、金属線材の振動を抑制しながら金属線材を伸線することを特徴とする金属線材の伸線方法。
【請求項2】
請求項1に記載の金属線材の伸線方法において、前記軟質材料が発泡ウレタン材料であることを特徴とする金属線材の伸線方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールコード等の高鋼線の製造工程に適用して好適な金属線材の伸線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属線材の伸線工程では、液体潤滑剤に浸漬されている複数のコーンプーリに金属線材を順次巻き付けると共に、コーンプーリ間の金属線材をダイスに通すことにより、金属線材を順次細径にするスリップ式伸線方法が用いられている。ところが、このスリップ式伸線方法は、金属伸線をスリップさせながら伸線する伸線方式であるために、金属線材を伸線する際、金属伸線の張力が変動し、金属線材やダイスが振動する。そして金属線材やダイスが振動した場合には、ダイスの寿命や金属線材の表面形状,疲労性が悪化する。このような背景から、金属線材やダイスの振動を抑制するための種々の防振方法が提案されている(特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】特開平6−226329号公報
【特許文献2】実開平6−66809号公報
【特許文献3】特開平5−23729号公報
【特許文献4】特開昭60−227915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、本願発明の発明者は、従来の防振方法について鋭意検討を進めてきた結果、防振部が硬質材料により形成されている場合には、振動が共振してしまい、防振効果が低くくなることを知見した。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、金属線材の振動を効果的に抑制可能な金属線材の伸線方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る金属線材の伸線方法の特徴は、スリップ伸線方式により金属線材を伸線する金属線材の伸線方法において、硬度40以下の軟質材料により形成された防振部に金属線材を接触させることにより、金属線材の振動を抑制しながら金属線材を伸線することにある。
【0006】
なお、上記軟質材料としては発泡ウレタン材料を例示することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る金属線材の伸線方法によれば、金属線材の振動を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本願発明の発明者は、鋭意検討を進めてきた結果、JIS K6253に規定された硬度40以下の軟質材料により防振部を形成し、この防振部に金属線材を接触させながら金属線材を伸線することにより、金属線材やダイスの振動を効果的に抑制できることを知見した。また、本願発明の発明者は、この防振部をダイスの前後に配置することにより金属線材とダイスのアライメントがずれることを抑制できることを知見した。なお、上記軟質材料としては、発泡ウレタン材料やスポンジ材料を例示することができる。また、防振部の厚さは2[mm]以上、防振部と金属線材の接触長は5[cm]以上であることが好ましい。
【0009】
以下、本発明に係る金属線材の伸線方法を実施例に基づき詳しく説明する。
【0010】
〔実施例1〕
実施例1では、図1に示すように、金属線材1をダイス2に通すと共に、JIS K6253に規定された硬度40以下の軟質材料により形成された1組の軟質材料板3a,3bをダイス2の前後に配置し、軟質材料板3a,3b間で金属線材1を挟持しながら金属線材1を伸線した。
【0011】
〔実施例2〕
実施例2では、図2に示すように、金属線材1をダイス2に通すと共に、ダイス2の前後に鉄棒4を段差配置し、段差配置された鉄棒4間で金属線材1を挟持しながら金属線材1を伸線した。
【0012】
〔比較例1〕
比較例1では、防振部を設けずに金属線材を伸線した。
【0013】
〔防振性,びびり,振動量,ダイス寿命〕
上記実施例1,2及び比較例1の伸線方法それぞれの防振性,金属線材(ワイヤー)のびびり,振動量,及びダイス寿命を評価した。なお、各伸線方法の振動量は、AE振動計を用いて比較例1の金属線材の振動RMS値を100として評価した。また、各伸線方法のダイス寿命は比較例1の金属線材の伸線性や捻回値を100として評価した。評価結果を以下の表1に示す。
【表1】


【0014】
表1から明らかなように、比較例1の伸線方法よりも実施例1の伸線方法の方が防振性,びびり,振動量,及びダイス寿命が優れていることが明らかになった。このことから、JIS K6253に規定された硬度40以下の軟質材料により防振部を形成し、この防振部に金属線材を接触させながら金属線材を伸線することにより、金属線材やダイスの振動を効果的に抑制できることが知見された。
【0015】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の伸線方法を説明するための模式図である。
【図2】実施例2の伸線方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0017】
1:ダイス
2a,2b:軟質材料板
3:金属線材
4a,4b,4c:鉄棒
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年9月6日(2006.9.6)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2008−62264(P2008−62264A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−241655(P2006−241655)