トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 鋼帯連続処理ラインの入側の鋼帯巻出し案内装置
【発明者】 【氏名】京極 武

【氏名】品川 敏文

【要約】 【課題】鋼帯コイルからピンチロールへ鋼帯を導くマグネット式ベルトコンベアを備えた鋼帯案内装置のベルト損傷鋼帯の先端部及び尾端部がベルトに衝突・打撃して発生を防止し鋼帯案内機能を安定に維持し得る鋼帯巻出し案内装置の提供。

【構成】ベルトコンベア3は支軸91を支点に回動可能である。コンベア3は、傾斜面後端はベルト面の上に突出のエプロン5を前部に有し、左右両側にサイドガイド部材7,7を備えている。コンベア3が待機位置P2に回動された状態におけるサイドガイド部材7,7はベルト面より高い位置に上昇し、鋼帯先端案内位置P1に回動された状態ではベルト面より低くなる昇降構造を備えている。コイルSCから捲き出される鋼帯先端部のベルト31に対する衝突はエプロン5により回避され、鋼帯尾端部は、サイドガイド部材7,7ベルト面より上に位置しているに担持されるので、尾端部のベルト31に対する打撃も防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペイオフリールに装架された鋼帯コイルと鋼帯連続処理ラインの入側のピンチロールとの間に配置され、前記鋼帯コイルから上解きに捲き出される鋼帯を前記ピンチロールへ移行させるマグネット式ベルトコンベアを備えた鋼帯巻出し案内装置であって、
マグネット式ベルトコンベア(3)は、ピンチロール側を支点として、鋼帯巻出し開始時の鋼帯先端案内位置(P1)と、鋼帯先端部がピンチロールに挟まれた後の待機位置(P2)との間を上下方向に回動可能なように設置されており、
前記ベルトコンベア(3)の前部にベルト面より上に突出した後端を有し前端側に向かって斜降した傾斜面をなすエプロン(5)が設けられている一方、ベルトコンベア(3)の左右両側に、サイドガイド部材(7,7)が対向配置されていると共に、該サイドガイド部材(7,7)は、ベルトコンベア(3)が下方の待機位置(P2)に回動された状態ではベルト面より高い位置に上昇し、鋼帯先端案内位置(P1)に回動された状態ではベルト面より低い位置に下降する昇降変位構造を備えており、
鋼帯コイルから捲き出される鋼帯先端部は、鋼帯先端案内位置(P1)に位置するベルトコンベア(3)のエプロン(5)の傾斜面に沿って、ベルトコンベア(3)のベルトに直接衝突することなくベルトの表面に吸着保持されてピンチロールへ移行し、鋼帯尾端部は、その両側縁が待機位置(P2)に位置するベルトコンベア(3)のサイドガイド部材(7,7)に担持されてピンチロールに向かって移行するようにしたことを特徴とする鋼帯連続処理ラインの入側の鋼帯巻出し案内装置。
【請求項2】
サイドガイド部材(7,7)は、ベルトコンベア(3)の前端側から後端側に亘る長さを有する板状体からなり、それぞれの片側縁に取り付けられたベルトコンベアに平行な向きの支軸(71,71)を支点として回動自在なようにベルトコンベア(3)の左右両側に配置されていると共に、サイドガイド部材(7,7)を回動させるプッシャー(8,8)が各サイドガイド部材の下方に設置されており、ベルトコンベア(3)が待機位置(P2)に回動されると、前記プッシャー(8,8)に押し上げられてベルト面より高い位置に上昇し、鋼帯先端案内位置(P1)に回動された状態においては、プッシャー(8,8)から離れてベルトコンベア(3)のベルト面より低い位置に下降するように構成されている請求項1に記載の鋼帯巻出し案内装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ペイオフリールに装架された鋼帯コイルと鋼帯連続処理ライン入側のピンチロールとの間において、鋼帯コイルから捲き出される鋼帯をピンチロールに向かって案内する鋼帯巻出し案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペイオフリールの鋼帯コイルから巻き出される鋼帯を、鋼帯連続処理ライン(例えば、連続熱処理ライン)の入側のピンチロールに向かって案内する代表的な鋼帯巻出し案内装置として、マグネット式ベルトコンベアを使用した装置が知られている。
図7において、3はマグネット式ベルトコンベアであり、該コンベア(3)のベルト(31)は電動モーター(図示省略)による回転運動を行い、ベルト(31)の下側空間にはマグネット(32)が配置されている。鋼帯コイル(SC)から巻き出された鋼帯先端部(SH)は、マグネット(32)でベルト(31)に吸着保持されてピンチロール(2)に導びかれる。
【0003】
ベルトコンベア(3)は、保持枠体(4)に保持されて回動基盤(9)に担持固定され、回動基盤(9)は水平支軸(91)に支承されていると共に、下端側に油圧シリンダー等の回動駆動装置(92)が軸(93)を介して連結されている。ベルトコンベア(3)は、油圧シリンダー(92)により、回動基盤(9)と共に水平支軸(91)を支点とする回動(スウィング動作)を行い、後記のように鋼帯先端案内位置(P1)と、下方の待機位置(P2)との間を昇降移動する。なお、図示の例におけるベルトコンベア(3)には、補助手段としてコイル(SC)から鋼帯先端部(SH)をすくい取る口出し装置(10)が配置されている。口出し装置(10)は回動基盤(9)に設置された油圧シリンダー等の進退駆動装置(12)により、鋼帯先端案内位置(P1)と、下方の待機位置(P3)との間を進退移動する。
【0004】
鋼帯の巻き出しを開始するに際して、ベルトコンベア(3)を、鋼帯コイル(SC)の外径の大きさに合った鋼帯巻き出し開始位置(P1)に回動させると共に、口出し装置(10)をベルトコンベア(3)の前部に進出させる。ついでペイオフリール(1)の回転駆動を開始すると、鋼帯先端部(SH)は口出し装置(10)を介してコンベア前部のエプロン(5)からベルト(31)へ移行し、ベルト(31)面に吸着保持(磁気吸着)された状態で前進しコンベア後部のガイドテーブル(6)を通ってピンチロール(2)に挟み込まれる。鋼帯先端部(SH)がピンチロール(2)に挟み込まれると、鋼帯(S)は張力状態(鎖線表示)となるので、ベルトコンベア(3)及び口出し装置(10)は役割を終え、それぞれの待機位置(P2)(P3)に退去する。
【0005】
鋼帯コイルから鋼帯を巻き出す方式には、上解き巻き出し(オーバーパス)と下解き巻き出し(アンダーパス)とがあり、前記図7は上解きによる巻き出しである。鋼帯巻き出し案内装置に関しては、 (a)マグネット式ベルトコンベアを、ピンチロール側を支点に回動可能に設けると共に、ベルトコンベアの下側にそれと平行なガイドテーブルを回動可能に配置し、鋼帯コイルから上解き捲き出しされる鋼帯を、ベルトコンベアとガイドテーブルとの間に挟持してピンチロールに導くようにした装置(特許文献1)、 (b)鋼帯コイルからピンチロールに向かう鋼帯通路を挟んで上下2つのレール(上レール及び下レール)を、ピンチロール側を支点として回動可能に設け、鋼帯コイルから上解き捲き出しされる鋼帯の先端部を、上ロールに設けた押え具と下ロールに設けた下台車との間に挟みつけて誘導するようにした装置(特許文献2)、 (c)鋼帯コイルから捲き出される鋼帯の上下に一対のマグネット式ベルトコンベアと通板ガイドを、ピンチロール側を支点に回動可能に配置し、ベルトコンベアと通板ガイドとで鋼帯を案内することにより、上解き及び下解きの両方の鋼帯巻出しに対処し得るようにした装置(特許文献3) 等が提案されている。
【特許文献1】実開平05−033906号公報
【特許文献2】実開平05−049117号公報
【特許文献3】特開2005−279724公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記図7の鋼帯巻き出し装置において、ベルトコンベア(3)のベルト(31)に損傷(裂損,破断等)が生じ易いという問題がある。このベルト損傷は、図8に示すように、鋼帯巻き出し開始時にベルト(31)に鋼帯先端部(SH)が衝突し、また鋼帯巻き出し終了時には、図9のように、鋼帯尾端部(ST)がベルト(31)を打撃しながら通過することに起因している。コイル(SC)から捲き出される鋼帯(S)は反り(コイルの巻きぐせによる)を有し、上解き(オーバーパス)で巻き出される鋼帯の先端部(SH)および尾端部(ST)は、ベルト面に向かって湾曲した反り形状を呈するため、ベルト(31)に対する衝突・打撃の影響は大きい。
ベルト(31)が破断すると、ピンチロール(2)への鋼帯移送が不可能となり、突発的な取替え作業を余儀なくされる。またベルト(31)の損傷が部分的なものであっても、ベルトコンベア(3)の案内機能の低下をきたすことがあり、例えば部分的な破損のためベルト上の鋼帯に対するマグネット(32)の吸着力に偏りが生じると、鋼帯の直進性が悪くなり、鋼帯の蛇行とそれに起因するピンチロール(2)での絞り込み等の事故が生じる原因ともなる。
【0007】
上記ベルト(31)の損傷防止策として、ベルト(一般に厚手のナイロン布製)の材質・形状の設計変更等が考えられるが、鋼帯の先端部及び尾端部の衝突・打撃が繰り返される実操業条件に対して十分な対策とはなり難い。別法として、ベルトコンベア(3)に代え、丸棒を一定間隔で桟状に架け渡した丸棒ガイド板、あるいは多数のフリーボールベアリングを基板に分散配置したガイド板(ベアリングガイド板)を使用することも考えられる。しかし前者(丸棒ガイド板)は滑りが悪いため鋼帯表面に疵がつき易く、後者(ベアリングガイド板)では、鋼帯が蛇行し易い(鋼帯の直進性が悪い)ため、ピンチロールへの挟み込みの際に絞り等のトラブルが発生し易く、いずれも有効な対策とはなり難い。
【0008】
なお、前記特許文献1に記載された鋼帯案内装置は、ベルトコンベアをコイルの上側に配置し、コイルから上解きに巻き出される鋼帯先端部(SH)をその上面側(コイルの巻きぐせによる湾曲の背側)からベルトに吸着保持してピンチロールに導くように構成されたものであって本発明の対象とする案内装置とは構造が異なり、本発明の上記課題の解決策を示唆するものではない。特許文献2の案内装置はベルトコンベアを使用せず本発明とは構成を異にしている。また特許文献3の案内装置は、上解き鋼帯に対してはその上面側から、下解き鋼帯に対してはその下面側からベルトコンベアを鋼帯コイルに臨ませて鋼帯を案内する構造(従って上解き及び下解きのどちらの場合もコイルの巻きぐせによる鋼帯の反りはベルト面に背く向きの湾曲を呈する)であるから、特許文献1の装置と同様に、本発明の対象とする案内装置とは構造を異にし、本発明の解決策を示唆するものではない。
本発明は、コンベアベルトに対する鋼帯先端部及び尾端部の衝撃とそれによるベルトの損傷を効果的に回避し、長期に亘って案内機能を安定に維持し得るようにした鋼帯巻出し案内装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ペイオフリールに装架された鋼帯コイルと鋼帯連続処理ラインの入側のピンチロールとの間に配置され、前記鋼帯コイルから上解きに捲き出される鋼帯を前記ピンチロールへ移行させるマグネット式ベルトコンベアを備えた鋼帯巻出し案内装置であって、
マグネット式ベルトコンベア(3)は、ピンチロール側を支点として、鋼帯巻出し開始時の鋼帯先端案内位置(P1)と、鋼帯先端部がピンチロールに挟まれた後の待機位置(P2)との間を上下方向に回動可能なように設置されており、
前記ベルトコンベア(3)の前部にベルト面より上に突出した後端を有し前端側に向かって斜降した傾斜面をなすエプロン(5)が設けられている一方、ベルトコンベア(3)の左右両側に、サイドガイド部材(7,7)が対向配置されていると共に、該サイドガイド部材(7,7)は、ベルトコンベア(3)が下方の待機位置(P2)に回動された状態ではベルト面より高い位置に上昇し、鋼帯先端案内位置(P1)に回動された状態ではベルト面より低い位置に下降する昇降変位構造を備えており、
鋼帯コイルから捲き出される鋼帯先端部は、鋼帯先端案内位置(P1)に位置するベルトコンベア(3)のエプロン(5)の傾斜面に沿って、ベルトコンベア(3)のベルトに直接衝突することなくベルトの表面に吸着保持されてピンチロールへ移行し、鋼帯尾端部は、その両側縁が待機位置(P2)に位置するベルトコンベア(3)のサイドガイド部材(7,7)に担持されてピンチロールに向かって移行するようにしたことを特徴としている。
【0010】
サイドガイド部材(7,7)は、例えば、ベルトコンベア(3)の前端側から後端側に亘る長さを有する板状体からなり、それぞれの片側縁に取り付けられたベルトコンベアに平行な向きの支軸(71,71)を支点として回動自在なようにベルトコンベア(3)の左右両側に配置されると共に、サイドガイド部材(7,7)を回動させるプッシャー(8,8)が各サイドガイド部材の下方に設置され、ベルトコンベア(3)が待機位置(P2)に回動されると、前記プッシャー(8,8)に押し上げられてベルト面より高い位置に上昇し、鋼帯先端案内位置(P1)に回動された状態においては、プッシャー(8,8)から離れてベルトコンベア(3)のベルト面より低い位置に下降するように構成される。
【発明の効果】
【0011】
ベルトコンベア(3)を鋼帯先端案内位置(P1)に回動して鋼帯の巻出しを開始すると、コイル(SC)から捲き出される鋼帯の先端部(SH)は、ベルトコンベア前部のエプロン(5)の傾斜面(5f)(傾斜面の後端はベルト面より高く突出している)に沿って前進するので、ベルト(31)に直接衝突することなくベルト(31)の上に移行する(図5)。このときのサイドガイド部材(7,7)はベルト面より低い位置に下降しているので、鋼帯先端部(SH)の移行を妨げず、鋼帯はマグネットの磁気吸着力でベルト面に吸着保持されてピンチロール(2)へ真っすぐに導かれる。他方、鋼帯先端部(SH)がピンチロール(2)に挟み込まれた後のベルトコンベア(3)は、既に所定の待機位置(P2)に退去しており、サイドガイド部材(7,7)がベルト面より高く突出した状態になっている。このためコイル(SC)から捲き出される鋼帯尾端部(ST)は、その左右の両端縁部がサイドガイド部材(7,7)に担持され、ベルト(32)を打撃することなくピンチロール(2)へ導かれる(図6)。
【0012】
このように鋼帯の先端部(SH)および鋼帯尾端部(ST)のベルトに対する衝突(図8)および打撃(図9)が回避されることにより、ベルト(31)の損傷が防止され長期に亘りベルトコンベア(3)の案内機能が保持される。
しかも鋼帯尾端部(ST)のベルト(31)に対する打撃を防止するサイドガイド部材(7,7)の昇降動作(ベルト面より高い位置と低い位置への上下動変位)は、ベルトコンベア(32)の回動動作を利用して行わせることができるので、アクチュエーター機器類を必要とせず、構造がシンプルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の鋼帯巻き出し案内装置の実施例を示している。前記図7における構成部材と同じ部材には同一の符号を付している。
ベルトコンベア(3)は、前記図7におけるそれと異なって前部に設けられたエプロン(5)が後端から前端に向かって斜降する傾斜面(5f)を有し、更にベルトコンベア(3)の側面にサイドガイド部材(7,7)が設けられていると共に、ベルトコンベア(3)の下方に、サイドガイド部材(7,7)の昇降動作を行わせるプッシャー(8,8)が設置されている。
なお、ベルトコンベア(3)が保持枠体(4)に保持されて回動基盤(9)に担持固定され、ペイオフリール(2)側の水平支軸(91)を支点として回動基盤(9)と共に、鋼帯先端案内位置(P1)とその下方の待機位置(P2)との間を、回動(スウィング動作)するように構成されている点、および鋼帯先端部(SH)をコイル(SC)からすくい取る口出し装置(10)が、鋼帯先端案内位置(P1)とその下方の待機位置(P3)との間を進退移動するように構成されている点は、前記図7のそれと同じである。
【0014】
図2および図3は、ベルトコンベア(3)の構成を示している(図2:正面図、図3:平面図)。ベルトコンベア(3)の前部のエプロン(5)に傾斜面(5f)を形成しているのは、コイル(SC)から捲き出される鋼帯先端部(SH)がベルト(31)に直接衝突するのを回避しつつ、鋼帯先端部(SH)をエプロン(5)からベルト(31)へスムーズに移行させるためである。その衝突防止効果を得るために、傾斜面(5f)の後端はベルト(31)面より高い突出高さ(5h)(例えば10〜30mm)が与えられている。また傾斜面(5f)は、鋼帯先端部(SH)の衝突の繰り返しに耐え得るように、強靭性・耐摩耗性材料(例えばMCナイロン板等)で形成される。なお、本例では、図3に示すように2つのエプロン(5)(5)を鋼帯パスラインの左右両側に取り付けているが、それに限定されず、鋼帯パスラインの幅方向全体に亘る長尺サイズの一体型であってもよい。
【0015】
ベルトコンベア(3)の左右両側のサイドガイド部材(7,7)は、図3及び図4に示すように板状材からなり、それぞれの外側端縁は、コンベアと平行な向きの軸(71,71)を介して、コンベア保持枠体(4)の側部材(41)(41)のそれぞれに係着されている。各サイドガイド部材(7,7)は軸(71,71)を支点として昇降(回動)可能である。また、側部材(41)(41)のそれぞれには貫通孔(42)(42)が形成されている。該貫通孔(42)(42)はプッシャー(8)(8)(図1,図4参照)を送通させる孔である。
【0016】
上記サイドガイド部材(7,7)の昇降(回動)動作について、図4を参照して説明すると、鎖線表示のベルトコンベア(3)は、鋼帯先端案内位置(P1)に位置しているときの状態を示し、実線のベルトコンベア(3)は待機位置(P2)に退去しているときの状態を示している。図示のように、ベルトコンベア(3)が鋼帯先端案内位置(P1)に位置した状態(鎖線表示)では、サイドガイド部材(7,7)は、保持枠体(4)の側部材(42)(42)に平行な水平姿勢をとり、ベルトコンベア(3)のベルト(31)より低い位置にある。他方、ベルトコンベア(3)が、待機位置(P2)に退去しているとき(同図中、実線表示)のサイドガイド部材(7,7)は、プッシャー(8,8)に押し上げられ、それぞれの軸(71,71)を支点として回動(上昇)し、ベルト(31)より高く突出した姿勢となる。ベルトコンベア(3)をこの待機位置(P2)から、再び鋼帯先端案内位置(P1)に回動(上昇)させれば、サイドガイド部材(7,7)は、プッシャー(8,8)から離れると共にその自重で回動(下降)し、ベルト(31)より低い水平姿勢(鎖線表示)に戻る。このようにサイドガイド部材(7,7)の昇降変位は、アクチュエーター機器を必要とせず、ベルトコンベア(3)の回動動作に伴って自動的にベルト面より高い位置と低い位置とに昇降変位する。
【0017】
上記装置において、鋼帯の巻き出しを開始するに際して、ベルトコンベア(3)を、コイル(SC)の巻径の大きさに合わせた鋼帯先端案内位置(P1)に回動させ、口出し装置(10)をベルトコンベア(3)の前側に進出させたうえ、ペイオフリール(1)の回転駆動を開始する。ペイオフリール(1)の回転に伴って口出し装置(10)のナイフエッジ(11)にすくい取られる鋼帯先端部(SH)は、ベルトコンベア(3)のエプロン(5)の傾斜面に沿って前進する。エプロン(5)の傾斜面(5f)は後端がベルト(31)より高く突出しているので、図5に示すように、鋼帯先端部(SH)は、ベルト(31)に直接衝突することなくベルト(31)の上に移行する。また、このときのサイドガイド部材(7,7)は、ベルト面より低い位置に下降している(図4、鎖線表示)ので、鋼帯先端部(SH)の前進移動の妨げとならず、かつマグネット(32)の鋼帯に対する磁気吸着力の作用が弱められることもない。これにより、鋼帯(S)はベルト(31)の表面に密着し、安定に吸着保持された状態でピンチロール(2)に向かって直進移送される。
【0018】
なお、エプロン(5)が、仮に前記図7,図8等におけるエプロンのように傾斜面のない平坦な形状である場合は、サイドガイド部材(7)と(7)の左右の離隔幅より狭い板幅の鋼帯(S)を移送するとき、鋼帯先端部(SH)がサイドガイド部材(7)と(7)との間に入り込み、鋼帯の側縁が引っ掛かって通板が妨害されることがある。本発明におけるエプロン(5)に形成した傾斜面(5f)は、このようなサイドガイド部材間への鋼帯の入り込みとそれによる通板のトラブルを回避する効果も併せ有している。
【0019】
鋼帯先端部(SH)が口出しされた後、口出し装置(10)は下方の待機位置(P3)へ退去する。ベルトコンベア(3)は、鋼帯先端部(SH)がピンチロール(2)に挟み込まれるとその役目を終えて待機位置(P2)に移動(回動下降)する。待機位置(P2)に移動したベルトコンベア(3)は、左右両側のサイドガイド部材(7,7)がプッシャー(8,8)で押し上げられてベルト(31)より高く突出した姿勢となっている(図4,実線表示)。従って、鋼帯コイル(SC)から巻き出されるされる鋼帯尾端部(ST)は、図6(及び図4実線表示)のように、サイドガイド部材(7,7)の上に乗った状態でピンチロール(2)に導かれるので、ベルト(31)を打撃することがない。
【0020】
前記図示の実施例では、ベルトコンベア(3)を回動基盤(9)に固定し、回動基盤(9)に連結した回動駆動装置(油圧シリンダー)(92)で、回動基盤(9)と共にベルトコンベア(3)を回動するようにしているが、回動駆動構造はこれに限定されない。例えば、ベルトコンベア保持枠体(4)を水平軸で回動可能に支承すると共に、保持枠体(4)に回動駆動手段(油圧シリンダー等)を連結して回動動作を行わせるようにすることもできる。
また、鋼帯先端の口出し装置(10)は必ずしも必要とせず、例えばベルトコンベア(3)の前部のエプロン(5)の先端に適宜形状のナイフエッジを形設して口出し機能をもたせることにより、口出し装置(10)の設置を省略することができる。
サイドガイド部材(7,7)の形状とその昇降機構についても、ベルトコンベア(3)の回動動作(鋼帯先端案内位置P1と待機位置P2との間のスウィング動作)とプッシャー(8,8)の組み合わせにより、アクチュエーター機器を使用することなく、サイドガイド部材(7,7)を昇降(ベルト31より高い位置と低い位置に変位)させる得る種々の形態を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によれば、ベルトコンベアに対する鋼帯先端部および尾端部の衝撃とそれによるベルト損傷(破断、裂損等)を確実に防止し、ベルトコンベアの鋼帯案内機能を安定に保持することができる。これによりベルトコンベアの耐用寿命およびメンテナンスの大幅な改善効果が得られると共に、鋼帯連続処理ラインへの鋼帯の安定供給および連続処理ラインにおける安定した連続操業が確保される。
また本発明によれば、アクチュエーター機器類を用いることなく、ベルトの損傷防止機能を奏することができ、構造がシンプルで、既設の装置への適用も容易であり、大なる実用価値を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例を示す正面説明図である。
【図2】本発明におけるベルトコンベアの例を示す正面図である。
【図3】図2のベルトコンベアの平面図である。
【図4】ベルトコンベアのサイドガイド部材の昇降動作を示す説明図である。
【図5】本発明における鋼帯先端部の移送状態を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明における鋼帯尾端部の移送状態を模式的に示す説明図である。
【図7】従来の鋼帯巻き出し案内装置を示す正面図である。
【図8】図7の装置における鋼帯先端部の移送状態を模式的に示す説明図である。
【図9】図7の装置における鋼帯尾端部の移送状態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1:ペイオフリール
2:ピンチロール
3:ベルトコンベア
31:ベルト
32:マグネット
4:ベルトコンベア保持枠体
41:枠体の側板
42:プッシャー用貫通孔
5:エプロン
5f:エプロンの傾斜面
6:ガイドテーブル
【0024】
7:サイドガイド部材
71:サイドガイド部材の蝶番軸
8:サイドガイドのプッシャー
9:ベルトコンベア回動基盤
91:回動基盤の水平支軸
92:回動駆動装置(油圧シリンダー)
10:鋼帯口出し装置
11:ナイフエッジ
12:口出し装置の進退駆動装置(油圧シリンダー)
13:コイル押さえロール
CS:鋼帯コイル
S:鋼帯
P1:鋼帯先端案内位置
P2:ベルトコンベアの待機位置
P3:口出し装置の待機位置
【出願人】 【識別番号】000004581
【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
【識別番号】591223149
【氏名又は名称】日新工機株式会社
【出願日】 平成18年8月9日(2006.8.9)
【代理人】 【識別番号】100084238
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 新八郎


【公開番号】 特開2008−36689(P2008−36689A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−216309(P2006−216309)