| 【発明の名称】 |
ブラスめっき鋼線の製造方法、スチールコードおよびタイヤ |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 敏行
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| 【要約】 |
【課題】乾燥および湿熱の各環境下におけるゴムとの間の初期接着性能並びに耐久接着性能が良好で、かつ、工業的に安定して製造することが可能なブラスめっき鋼線の製造方法、ゴムとの間の接着性に優れたスチールコードおよびこれを用いたタイヤを提供する。
【構成】ブラスめっきが施された鋼線を、多段スリップ型伸線機により湿式伸線する工程を経て製造する方法である。鋼線のブラスめっきのCu含有率を55〜62%として、多段スリップ型伸線機の最終段で1個以上のダイス14a〜14cを用いて伸線を行い、1個以上のダイスのうち少なくとも最下流側のダイス114cとして焼結ダイヤモンドダイスを用い、かつ、最下流側のダイス14cの減面率を2%未満とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブラスめっきが施された鋼線を、多段スリップ型伸線機により湿式伸線する工程を経て製造する方法において、 前記鋼線のブラスめっきのCu含有率を55〜62%として、前記多段スリップ型伸線機の最終段で1個以上のダイスを用いて伸線を行い、該1個以上のダイスのうち少なくとも最下流側のダイスとして焼結ダイヤモンドダイスを用い、かつ、該最下流側のダイスの減面率を2%未満とすることを特徴とするブラスめっき鋼線の製造方法。 【請求項2】 湿式伸線工程後の前記鋼線の平均めっき厚を0.1〜0.4μmとする請求項1記載のブラスめっき鋼線の製造方法。 【請求項3】 湿式伸線工程前の前記鋼線のブラスめっきの結晶構造におけるβ相とα相とのX線回折強度比(β相/α相)を、1.5以下とする請求項1または2記載のブラスめっき鋼線の製造方法。 【請求項4】 前記1個以上のダイスのうち、最下流側を含む複数個に焼結ダイヤモンドダイスを用いる請求項1〜3のうちいずれか一項記載のブラスめっき鋼線の製造方法。 【請求項5】 前記1個以上のダイスのうち、最下流側を含む複数個の減面率を、2%未満とする請求項1〜4のうちいずれか一項記載のブラスめっき鋼線の製造方法。 【請求項6】 前記焼結ダイヤモンドダイスとして、粒径1μm以下のダイヤモンド粒子の焼結体からなるものを用いる請求項1〜5のうちいずれか一項記載のブラスめっき鋼線の製造方法。 【請求項7】 請求項1〜6のうちいずれか一項記載のブラスめっき鋼線の製造方法により製造されたブラスめっき鋼線の単線または複数本の撚り合わせからなることを特徴とするスチールコード。 【請求項8】 請求項7記載のスチールコードを補強材として用いたことを特徴とするタイヤ。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ブラスめっき鋼線の製造方法(以下、単に「製造方法」とも称する)に関し、詳しくは、タイヤの補強材として好適に用いられるスチールコード用のブラスめっき鋼線の製造方法、および、これにより得られるスチールコードおよびこれを用いたタイヤに関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、タイヤ補強用スチールコードの素線等に用いられるゴム物品補強用スチールワイヤとして、表面にブラスめっきを施した鋼線が用いられている。ブラスめっき鋼線は、通常、パテンティング等の熱処理とブラスめっき処理とを施した鋼線材を、多段スリップ型湿式伸線方法を用いて所定の線径まで伸線することにより製造される。 【0003】 ブラスめっき鋼線とゴムとの接着に関しては、例えば、タイヤ製造時の加硫工程において、ゴムとの接触下で過熱されることにより、ゴム中の硫黄やコバルト等とブラスめっき中の銅とが反応して、接着層が形成されることが知られている。また、特に、冬場の乾燥環境条件下においては、ゴムとの接着反応性が低下することが知られている。 【0004】 このゴム−鋼線間の接着層には、加硫工程において速やかに、かつ、確実に形成されること(初期接着性能)、および、形成された接着層がゴム物品の使用時に水分や熱によって劣化しないこと(接着耐久性能)が要求されるため、これらを兼ね備える接着層を得るために、これまでに種々検討がなされてきている。ブラスめっき鋼線とゴムとの間の接着性能の改良に係る技術としては、例えば、特許文献1に、連続湿式伸線工程において、最終段の引抜きを、3枚以上のダイス重ねダイスでかつ、このダイスの頭の1枚のダイスを除く上り側の2枚以上のダイスでそれぞれ1.2〜3.9%の減面率のスキンパスを行うスチールワイヤの製造方法が開示されている。 【0005】 また、特許文献2には、ブラスメッキしたスチールワイヤを湿式伸線方法により引き抜き加工する際に、最終引き抜きダイスを潤滑剤液中に浸漬して伸線するとともに、最終引き抜きダイス、または、最終引き抜きダイスとこれより上流側の数段のダイスにダイヤモンドダイスを使用するスチールワイヤの製造方法が開示されている。 【0006】 しかし、焼結ダイヤモンドダイスは高価であり、最終ダイスを含む数個のダイスとして、かかる焼結ダイヤモンドダイスを用いた場合にはコスト高となるため、低コストで、かつ、安定性の高いブラスめっき鋼線の伸線方法が確立されることが望ましい。これに対し、タングステンカーバイト(WC)ダイスを複数個用いて、ベアリング長さを規定する技術も知られているが、WCダイスはダイヤモンドダイスに比べて耐摩耗性に劣るため品質安定性に難があることが分かっている。 【0007】 また、特許文献3には、湿熱耐久接着性能の改善を目的として、ブラスめっき鋼線の平均Cu含有率を60〜66%とし、かつ、Cu含有率を深さ方向に増大させて表面より0.02〜0.04μmのところでCu含有率50%とする技術が開示されているが、その手段の詳細については開示されておらず、工業的に安定して製造し得るか否かについては大いに疑問である。さらにまた、特許文献4には、ブラスめっき鋼線のCu含有率を50〜60重量%とし、ブラスメッキ結晶構造(β相/α相)のX線回折強度比を0.2〜2.0とすることで、多湿環境下での接着性能が向上することが開示されており、Cu含有率50%以下では硬く脆いβ相の影響で伸線困難であるため好適には55重量%以上で、多湿条件下での初期および耐久接着性が改善されるとしているが、特に、冬場の乾燥環境下での接着性能の確保および伸線性の改善に関しての具体的方策については明示されていない。 【特許文献1】特開平11−33617号公報(特許請求の範囲等) 【特許文献2】特開2004−66271号公報(特許請求の範囲等) 【特許文献3】特開平11−93086号公報(特許請求の範囲等) 【特許文献4】特公昭60−30543号公報(特許請求の範囲等) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 上記のように、ブラスめっき鋼線におけるゴムとの間の接着性の改良に関しては、これまでに種々検討がなされてきているが、いずれも十分なものではなく、上述の各種要求をより良好に満足しうる技術を実現することが求められていた。 【0009】 そこで本発明の目的は、乾燥および多湿の各環境下におけるゴムとの間の初期接着性能並びに耐久接着性能が良好で、かつ、工業的に安定して製造することが可能なブラスめっき鋼線の製造方法、ゴムとの間の接着性に優れたスチールコードおよびこれを用いたタイヤを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者は鋭意検討した結果、湿式伸線工程における最終段の最下流側の伸線パスを、焼結ダイヤモンドダイスを用いたスキンパス伸線とするとともに、ブラスめっきのCu含有率を所定に規定することにより、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。 【0011】 即ち、本発明のブラスめっき鋼線の製造方法は、ブラスめっきが施された鋼線を、多段スリップ型伸線機により湿式伸線する工程を経て製造する方法において、 前記鋼線のブラスめっきのCu含有率を55〜62%として、前記多段スリップ型伸線機の最終段で1個以上のダイスを用いて伸線を行い、該1個以上のダイスのうち少なくとも最下流側のダイスとして焼結ダイヤモンドダイスを用い、かつ、該最下流側のダイスの減面率を2%未満とすることを特徴とするものである。 【0012】 本発明においては、湿式伸線工程後の前記鋼線の平均めっき厚を0.1〜0.4μmとすることが好ましく、また、湿式伸線工程前の前記鋼線のブラスめっきの結晶構造におけるβ相とα相とのX線回折強度比(β相/α相)を1.5以下とすることも好ましい。また、前記1個以上のダイスのうち、最下流側を含む複数個に焼結ダイヤモンドダイスを用いることが好ましく、前記1個以上のダイスのうち、最下流側を含む複数個の減面率を2%未満とすることも好ましい。さらに、前記焼結ダイヤモンドダイスとしては、好適には、粒径1μm以下のダイヤモンド粒子の焼結体からなるものを用いる。 【0013】 また、本発明のスチールコードは、上記本発明のブラスめっき鋼線の製造方法により製造されたスチールワイヤの単線または複数本の撚り合わせからなることを特徴とするものである。 【0014】 さらに、本発明のタイヤは、上記本発明のスチールコードを補強材として用いたことを特徴とするものである。 【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、上記構成としたことにより、乾燥および多湿の各環境下におけるゴムとの間の初期接着性能並びに耐久接着性能が良好で、かつ、工業的に安定して製造可能なブラスめっき鋼線の製造方法を実現することができ、これにより、初期および耐久時の接着性能に優れたスチールコードおよびこれを用いたタイヤを実現することが可能となった。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。 本発明は、ブラスめっきが施された鋼線を、多段スリップ型伸線機により湿式伸線する工程を経て製造する方法の改良に係る技術である 【0017】 図1に、多段スリップ型伸線機の概略図を示す。図示する伸線機10は、潤滑剤が満たされた潤滑剤槽11と、潤滑槽内に設置された多段の駆動キャプスタン12a〜12dおよび複数のダイス13と、ダイス14a〜14cとを備える。かかる伸線機10においては、互いに対向して配置された一対の駆動キャプスタン12a,12bおよび12c,12d間においてそれぞれ、各段に交互にブラスめっき鋼線1を掛け渡す過程で、各段ごとにダイス13による伸線を行い、最終段のダイス14a〜14cを経て、所定の径までの伸線処理を施すものである。 【0018】 本発明においては、かかる多段スリップ型伸線機の最終段で、1個以上のダイス(図示する例では3個のダイス14a〜14c)を用いて伸線を行い、その1個以上のダイスのうち少なくとも最下流側のダイス(図示する例ではダイス14c)として焼結ダイヤモンドダイスを用いるとともに、かかる最下流側のダイスの減面率を2%未満とする点が重要である。湿式伸線工程の、少なくとも最終段における最下流側のダイスとして、入ってくる鋼線の線径とほとんど変わらない穴径を有する焼結ダイヤモンドダイスを用いて、この最終段の最下流側の伸線パスを減面率2%未満のスキンパス伸線としたことにより、ブラスめっき鋼線の表層部を集中的にかつ安定的に加工することができるとともに、焼結ダイヤモンドダイスが優れた自己潤滑性(低摩擦抵抗)および耐摩耗性を有する材質からなるために、伸線時の発熱を抑制することができ、結果としてブラスめっき鋼線の初期接着性を大幅に向上させることが可能となった。 【0019】 本発明において、上記最下流側のダイスの減面率は2%未満とすることが必要であり、ダイス仕上げ公差を考慮すると、2%に近い減面率での伸線でも効果は十分に得られるが、好適には1%以下とする。なお、ダイスの穴径が入線する鋼線の直径以上の場合には、ダイスによる減面率は実質0%となるが、実際の工程時(操業時)においては微妙な心ずれや鋼線の振動を伴うので、ダイスの穴径を最大でも入線する鋼線材の直径とすることにより、鋼線の表面とダイス壁面とが接触して、ブラスめっき表面はダイスによる加工を受けることになる。減面率が実質0%であると下地の鋼材への影響が少ないため、却って好ましい場合もある。 【0020】 上記焼結ダイヤモンドダイス1個(ベアリング長さ20〜30%)を用いたスキンパス伸線により、ブラスめっき鋼線の初期接着性能に関しては良好に確保することができ、その効果の持続性についても確認されているが、前述したように、耐久接着性に関しては、量的伸線のごく初期の段階では良好な性能を示すものの、伸線量(生産量)の増加とともに耐久接着性能は不安定となり、効果が不十分となる。そこで本発明においては、初期と耐久時とにおける接着性能を両立して、これら性能を長期にわたり安定的に確保するために、上記焼結ダイヤモンドダイスを用いたスキンパス伸線工程を用いるとともに、鋼線のブラスめっきのCu含有率を55〜62%に規定している。ブラスめっきのCu含有率を従来一般的な割合よりも低い上記範囲内とすることで、加硫反応で生成した接着層の厚さを薄く均一に、かつ強固にすることができ、耐久接着性能を向上させることができる。 【0021】 ブラスめっきのCu含有率は、好適には58〜62%、より好適には60%程度である。Cu含有率が58%未満であると、ブラスめっきの結晶相において硬くて脆いβ相が多くなって伸線性の問題が生じ、一方、62%を超えると、接着層が厚く脆くなるという問題が伴うので、好ましくない場合がある。Cu含有率を低くすると、β相が多くなることで伸線性には悪い方向とはなるが、Zn含有量が多いため潤滑剤の極圧皮膜であるリン酸亜鉛皮膜が厚く生成されることで、かえって好ましい場合もあり、β相の割合を最小限に抑えるには、めっき工程での熱拡散強度の最適化により調整可能である。 【0022】 本発明の製造方法においては、焼結ダイヤモンドダイスを用いたスキンパス伸線と、ブラスめっきのCu含有率との組み合わせ条件を適用したことにより、ゴム側が乾燥または多湿のいずれの環境条件下にある場合においても初期接着性能を確保するとともに、各種耐久接着性能にも優れたブラスめっき鋼線を安定して工業的に製造することが可能となった。 【0023】 本発明において、上記スキンパス伸線は、最終段に用いる1個以上のダイスのうち少なくとも最下流側のダイスにおいて行うことが必要であるが、最終段で、最下流側を含む複数個のダイスに焼結ダイヤモンドダイスを用い、これら最下流側を含む複数個のダイスの減面率を全て2%未満として、最終段において複数個のダイスでスキンパス伸線を行うことも有効である。すなわち、本発明においては、スキンパス伸線によりブラスめっき鋼線表面のめっきの極表層を加工することで表層部が活性化され、ゴムとの接着反応性が向上することで初期接着性能が改善できるが、スキンパス伸線を複数個のダイスで行うことにより、その効果を持続、維持することができる。なお、耐久接着性には、そのめっき極表層部下のバルクめっきのCu含有率が影響を及ぼしており、加硫反応でCuが消費されて残っためっき部(Znリッチ部増加)が、その後の水や酸素等の劣化因子に対してバリア的な作用をすることで良好な接着状態を維持するものと考えられ、Cu含有率を低くするほど、その効果が大きく反映されることになる。 【0024】 本発明において使用する焼結ダイヤモンドダイスとしては、粒径1μm以下、特には0.1〜0.5μm程度のダイヤモンド粒子の焼結体からなるものが好適である。これにより、伸線時の発熱抑制効果をより長期にわたり持続させることができ、延性値を向上できることはもとより、安定して高接着性を維持させることができる。即ち、ダイスの寿命が延びて品質安定化に寄与できる。 【0025】 また、本発明においては、湿式伸線後のブラスめっき鋼線の平均めっき厚が、0.1〜0.4μmとなるよう、めっき条件を設定することが好ましい。伸線後の平均めっき厚が0.1μm未満であると、下地が露出する部分が増加して初期接着性が阻害され、一方、0.4μmを超えると、ゴム物品使用中の熱によって過剰に接着反応が進行して、脆弱な接着しか得られなくなる。さらに、湿式伸線前、すなわち、ブラスめっき直後における、鋼線のブラスめっきの結晶構造におけるβ相とα相とのX線回折強度比(β相/α相)は、好適には1.5以下、より好適には1.0以下とする。この強度比を低くし、すなわち、硬くて脆いβ相を極力少なく抑えることで、その後の伸線工程への悪影響を防止することができる。 【0026】 本発明の製造方法においては、上記スキンパス伸線およびブラスめっきに係る条件以外の伸線条件や、多段湿式伸線以外の工程、例えば、最初の乾式伸線、パテンティング処理、ブラスめっき処理等については、常法に従い適宜実施することができ、特に制限されるものではない。本発明の製造方法は、直径0.08〜0.4mm程度のブラスめっき鋼線を製造する際に好適に適用される。 【0027】 また、本発明のスチールコードは、上記本発明のブラスめっき鋼線の製造方法により製造されたブラスめっき鋼線の単線、または、複数本の撚り合わせ(撚線機により撚り合わせてなる撚り合わせコード)からなるものであり、ゴムに対する優れた接着性能を備えることから、タイヤや工業用ベルト等のゴム物品の補強材として好適に使用できる。なお、本発明のスチールコードを撚りコードとする場合の撚り構造については、用途に応じ適宜決定することができ、特に制限されるものではない。 【0028】 さらに、本発明のタイヤは、上記スチールコードをベルトまたはカーカスプライの補強材として用いたものであり、それ以外のタイヤ構造や材質等については、特に制限されるものではない。本発明によれば、上記スチールコードを補強材として用いたことにより、耐久性に優れたタイヤを得ることができる。 【実施例】 【0029】 以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。 図1に示す多段スリップ型伸線機を用いて、線径0.30mm,抗張力約3200MPs級のブラスめっき鋼線の湿式伸線を行った。伸線機の最終段におけるダイスの個数、ダイス材質および最終段への入線径は下記表1中に示すとおりである。また、従来例1ではすべてのパスに超硬合金ダイスを使用しており、従来例2では最終パスを含む3パスに粒径1μm焼結ダイヤダイスを使用している(したがってダイスコストは非常に高い)。さらに、実施例1〜3の最終パス以外のパスについては、全て粒径1μmの焼結ダイヤダイスを使用している。 【0030】 また、用いた鋼線のブラスめっきのCu含有率は下記表1中に示すとおりであり、ブラスめっきの平均めっき厚は0.25μm、その結晶構造におけるβ相とα相とのX線回折強度比(β相/α相)は、Cu含有率60%のめっきで0.57、Cu含有率63%のめっきで0.03であった。 【0031】 (初期接着性) 上記湿式伸線後のブラスめっき鋼線をゴムで被覆し、これを160℃×7分間〜15分間の条件で加硫して得られたゴム−スチールコード複合体について、ゴムからスチールコードを剥離して、その後のゴム付着率を目視判定し、ゴム付レベルを0〜100%で評価した。その結果を、従来例1を100として、指数値で表示した。数値が大きいほど初期接着性に優れていることを示す。なお、評価に際しては、使用するゴムを調湿によりそれぞれ乾燥(ゴム中水分率0.3%)および多湿(ゴム中水分率1.2%)環境状態にして、各環境条件で試験を実施した。 【0032】 (耐久接着性) 上記湿式伸線後のブラスめっき鋼線をゴムで被覆し、これを160℃×15分間の条件で加硫して得られたゴム−スチールコード複合体を、湿度95%温度75℃の大気圧雰囲気中に7日〜14日間放置し、その後ゴムからスチールコードを剥離して、ゴム付着率を目視判定し、ゴム付レベルを0〜100%で評価した。その結果を、従来例1を100として、指数値で表示した。数値が大きい程耐久接着性に優れていることを示す。 【0033】 【表1】
*1)下流側から順に第1、第2、第3ダイス(14c,14b,14a)とする。 *2)ベアリング長さxのダイス14の穴径dに対する割合を百分率で示したものである(図2参照)。 【0034】 上記表1の結果からわかるように、本発明に係る焼結ダイヤモンドダイスによるスキンパス伸線とブラスめっきのCu含有率%の限定との組み合わせ条件を適用することにより、ゴム側の乾燥および多湿の両環境条件下における初期接着性能、並びに、耐久接着性能のいずれの接着性能にも優れたブラスめっき鋼線を得られることが確認できた。 【図面の簡単な説明】 【0035】 【図1】本発明に係る多段スリップ型伸線機を示す概略図である。 【図2】ダイスのベアリング長さを示す説明図である。 【符号の説明】 【0036】 1 ブラスめっき鋼線 10 多段スリップ型伸線機 11 潤滑剤槽 12a〜12d 多段駆動キャプスタン 13,14,14a〜14c ダイス
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005278 【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
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| 【出願日】 |
平成18年8月8日(2006.8.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096714 【弁理士】 【氏名又は名称】本多 一郎
【識別番号】100124121 【弁理士】 【氏名又は名称】杉本 由美子
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| 【公開番号】 |
特開2008−36678(P2008−36678A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−215171(P2006−215171) |
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