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伸線機における巻き出しトルク調整装置 - 特開2008−18466 | j-tokkyo
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【発明の名称】 伸線機における巻き出しトルク調整装置
【発明者】 【氏名】佐藤 文男

【要約】 【課題】伸線機において、伸線加工中の金属極細線の断線を防止して装置の稼動率の向上を図ること。

【構成】伸線されるべき金属極細線1を供給する巻き出しスプール2と、巻き出しスプール2から金属極細線1を巻き出す巻き出し手段7,8とを備えた伸線機において、巻き出しスプール2の回転軸に連結された出力軸を有する誘導電動機4を設け、巻き出しスプール2の回転により誘導電動機4に発生する発電制動力により、巻き出しスプール2から引き出される前記極細線1に張力をかけるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸線されるべき金属極細線を供給する巻き出しスプールと、前記巻き出しスプールから前記金属極細線を巻き出す巻き出し手段とを備えた伸線機において、前記巻き出しスプールの回転軸に連結された出力軸を有する回転電機を設け、前記巻き出しスプールの回転により前記回転電機に発生する発電制動力により、前記巻き出しスプールから引き出される前記極細線に張力をかけるようにしたことを特徴とする巻き出しトルク調整装置。
【請求項2】
前記巻き出しスプールの巻き径の変化を検出して前記回転電機の発電制動力を制御し得る検出手段を設け、前記検出手段により検出された前記巻き径の減少による張力の変化を前記発電制動力の変化で補正して、前記金属極細線の巻き出し張力を一定に保持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の巻き出しトルク調整装置。
【請求項3】
前記回転電機に回転検出発電機(タコジェネレータ)を取り付けて前記回転電機の回転速度を測定し、前記巻き出しスプールの直径の減少率を測定することを特徴とする請求項2に記載の巻き出しトルク調整装置。
【請求項4】
前記回転電機として誘導電動機又は直流電動機を使用し、前記誘導電動機又は直流電動機を直流発電機として作用させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の巻き出しトルク調整装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属極細線を伸線加工するのに用いられる伸線機における巻き出しトルク調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC用ワイヤー等の金属極細線を伸線加工する際に、ワイヤーの繰り出し部は、通常、一定のバックテンションがかかるように繰り出しモーターとワイヤー張力検出機構とによって制御されている。しかし、図5に示すような、伸線するワイヤーWを伸線用ダイスの前後でキャプスタンの抱き角によって搬送する、いわゆるスリップ式伸線方法においては、ワイヤーとキャプスタン間における滑りによってワイヤー送りに細かな間欠運動が発生する。すると、張力測定機構のアームLの先端に枢支されたプーリーPが左右に揺動を繰り返し、これが原因でワイヤーWがプーリーPから外れ、断線の原因となっていた。
【0003】
従来、この問題を解決するため、例えば特許文献1に提案されている如く、プーリーPの回転数を計測することにより、プーリーPからのワイヤーWの外れを検出し、装置を停止させることにより断線の防止をはかるようにしたものがあった。
【特許文献1】特開2004−115170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この場合でも、ワイヤー張力検出機構からワイヤーが外れると、ワイーの繰り出し制御が不能となり、結局、ワイヤーの断線を防ぐことは出来なかった。また、断線後の再スタート毎に伸線用ダイスへのワイヤーWの通し作業が必要となり、生産性が大幅に低下することなどの問題が発生していた。
【0005】
本発明は、従来装置のかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、巻き出しスプールにトルク調整可能な制動力をかけることにより、プーリーからの金属極細線の外れをなくし、断線を防止すると共に装置の稼動率の向上を図ることのできる伸線機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による巻き出しトルク調整装置は、伸線されるべき金属極細線を供給する巻き出しスプールと、前記巻き出しスプールから前記金属極細線を巻き出す巻き出し手段とを備えた伸線機において、前記巻き出しスプールの回転軸に連結された出力軸を有する回転電機を設け、前記巻き出しスプールの回転により前記回転電機に発生する発電制動力により、前記巻き出しスプールから引き出される前記極細線に張力をかけるようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明による巻き出しトルク調整装置は、前記巻き出しスプールの巻き径の変化を検出して前記回転電機の発電制動力を制御し得る検出手段を設け、前記検出手段により検出された前記巻き径の減少による張力の変化を前記発電制動力の変化で補正して、前記金属極細線の巻き出し張力を一定に保持するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明による巻き出しトルク調整装置は、前記回転電機に回転検出発電機(タコジェネレータ)を取り付けて前記回転電機の回転速度を測定し、前記巻き出しスプールの直径の減少率を測定するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明による巻き出しトルク調整装置は、前記回転電機として誘導電動機又は直流電動機を使用し、前記誘導電動機又は直流電動機を直流発電機として作用させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ワイヤーの繰り出し張力に所定の制動力を作用させるようにしたから、プーリーからのワイヤー外れを確実に防止することができ、その結果ワイヤー外れによる断線を防止できて、製品の収率向上と共に生産性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図示した実施例に基づき説明する。
図1は本発明にかかる巻き出しトルク調整装置を備えた伸線機の基本構成を示す概略斜視図、図2は単相電動機をワイヤー張力制御手段として用いる場合の結線例を示す説明図、図3は直流電動機をワイヤー張力制御手段として用いる場合の結線例を示す説明図、図4は図2及び3に示す電動機に用いる直流電源の機能説明図である。
【0012】
図1において、1は巻き出しスプール2に予め所定量巻き付けられた伸線されるべき金属極細線、3は装置本体に回転可能に支持されていて巻き出しスプール2を着脱可能に保持するスプールホルダー、4は本体ケースが装置本体に取り付けられていて主軸がスプールホルダー3と回転検出発電機としてのタコジェネレター4aに連結された回転電機としての誘導電動機、5は誘導電動機4の固定子コイルから引き出されたリード線、6は出力端がリード線5を介して単相の誘導電動機4の固定子コイルとタコジェネレター4aに接続された直流電源、7は装置本体に取り付けられたワイヤー巻き取りモーター、8はワイヤー巻き取りモーター7の主軸に取り付けられたスプールホルダーに着脱可能に保持された巻き取りスプール、9は装置本体に回転可能に対向して横架されたキャプスタン、10は一対のキャプスタン9,9間に該キャプスタンと平行な列をなすように配置された多数の伸線用ダイス、11は一対のキャプスタン軸に取付けられたプーリー、12は一対のプーリー11,11間に張架されたベルト、13は装置本体に取り付けられていて主軸が一方のキャプスタン軸に連結されたキャプスタンモーターである。
【0013】
一対のキャプスタン9,9と多数のダイス10は伸線加工部を構成する。伸線加工に先立ち、巻き出しスプール2から引き出された未加工の金属極細線1は、ガイドプーリーを介して伸線加工部に導かれ、第1のダイス10に通され一対のキャプスタン9,9間に掛けられ、第2のダイス10に通され一対のキャプスタン9,9間に掛けられ、これを何回か繰り返して所定の線径に細められるようにした後、ガイドプーリーを介して巻き取りスプール8に巻き付け、運転準備を完了する。
【0014】
上記準備を完了した後、ワイヤー巻き取りモーター7を起動させると、巻き取りスプール8が回転して、金属極細線1は図1の矢印方向へ走行し、巻き出しスプール2に巻かれた金属極細線1が繰り出される。キャプスタン9,9をスリップ式キャプスタンとして用いる伸線方式では、金属極細線1を送り出すためには、引き出し方向に対し、所定のバックテンションが必要となる。そのため、誘導電動機4の固定子コイルに直流電源6からリード線5を介して一定の直流電流を流し、これにより誘導電動機4の回転子に制動力を働かせて、スプールホルダー3を介し、巻き出しスプール2に制動力が作用するようにする。また、金属極細線1の線径に応じて制動力を調整する必要があるが、それは直流電源6において供給電流の大きさを設定することにより行なわれる。
【0015】
次に、巻き出しスプール2に制動力が作用するようにさせる具体的手段について説明する。図2は上記の単相誘導電動機4を用いる場合の接続例を示す。この場合は、図2に示すように、電気的に直交する二つの固定子コイル4b,4cにリード線5を並列に接続して直流電流I0を流し、固定子と回転子間の空隙に固定磁界を生成させる。この固定磁界に鎖交する回転子巻き線には、巻き出しスプール2の回転速度に比例した大きさの起電力が誘起され、この起電力に基づく電流による磁界と上記固定磁界との間で発生する電磁力が回転子に制動力を与え、巻き出される金属極細線1に張力を加える結果となる。即ち、誘導電動機を直流発電機として作用させることによって、巻き出しプーリー2に制動をかけ、巻き出される金属極細線1に張力をかけることができる。
【0016】
以上は誘導電動機を直流発電機として作用させる例について説明したが、誘導電動機の代わりに直流電動機を利用することもできる。図3はその場合の接続例を示している。即ち、界磁コイル4dに直流電流I0を流して、前記と同様に固定子と回転子間の空隙に固定磁界を発生させると、巻き出しスプール2の回転によって上記と同様に、固定磁界に鎖交する回転子巻き線には、巻き出しスプール2の回転速度に比例した大きさの起電力が誘起され、この起電力に基づく電流による磁界と上記固定磁界との間で発生する電磁力が回転子に制動力を与え、巻き出される金属極細線1に張力を加える結果となる。図3に示された可変抵抗VRは、回転子巻き線に流れる電流を調整するもので、通常は界磁コイル4dに流す直流電流I0の大きさを調整して巻き出しスプール2に加えられる制動力を制御するが、直流電流I0の大きさを固定して可変抵抗VRの抵抗値を変えることによっても、制動力を制御することができる。
【0017】
次に、金属極細線1の巻き出しによって減少する巻き直径の変化による張力変化を自動的に補正して、常に一定の張力が巻き出される金属極細線1に加えられるようにする方法を説明する。
巻き出しスプール2に予め巻き付けられた金属極細線1の巻き直径は、金属極細線1の巻き出しによって、次第に減少する。金属極細線1の巻き出しは、一定速度で行なわれるので、巻き出し速度をv、初期回転速度をNo、その時の巻き直径をDo、運転中の任意時点における回転速度をNn、その時の巻き直径をDnとすると、下記の(1)式が成り立つ。
v = πDoNo = πDnNn …(1)
【0018】
(1)式の関係が成立するため、巻き出しによって巻き直径が減少すると、次第に巻き出し速度vは上昇するが、(1)式から下記の(2)式が得られる。
Dn/Do = No/Nn
Nn = No・(Do/Dn) …(2)
【0019】
また、一定の張力Fの下で金属極細線1を引き出すための初期及び運転中の任意の時点における必要な制動トルクをそれぞれTo、Tnとすると、
Tn = F・(Dn/2) …(3)
To = F・(Do/2) …(4)
で、(3)式および(4)式から運転中の制動トルクは、
Tn =To・(Dn/Do) …(5)
=To・(No/Nn) …(6)
と表される。
【0020】
一方、前述のように回転子コイルに誘起する起電力即ち回転子電流は、前記固定磁界の強さと回転子の回転速度に比例し、制動力は回転子電流と前記固定磁界の強さとに比例するため、回転子に発生する初期制動トルクをTo、前記固定磁界の強さをΦo、回転子電流の大きさをI2、回転子の回転速度をNoとすると、下記の(7)式のように表される。
To = K1Φo・I2
= K1Φo(K2Φo・No)
= K3Φo2・No …(7)
但し、K3 = K1・K2
【0021】
初期の励磁電流(直流電流)をI0とすると、固定磁界の強さΦoはI0に比例するので、上記(7)式は、
To = Ko・I02・No …(8)
と表すことができる。このとき、Ko = K3・K42(但し、K4はI0の係数である)。
【0022】
同様に、回転速度がNのときは、
Tn = Ko・In2・Nn …(9)
と表すことができる。
【0023】
上記の(8)式および(9)式より、
Tn = To・(In2/I02)・(Nn/No) …(10)
となる。
【0024】
次に電動機の励磁電流を、
In = Io・(No/Nn) …(11)
とすることができると、上記(10)式は、
Tn = To・(No/Nn)
となって、上記(6)式となり、運転中の張力を常に一定とすることができることが分る。
【0025】
次に、図4を用いて金属極細線1の張力を一定にする方法を説明する。
図中、Hを信号保持器、Dを徐算器、Mを掛算器、AをゲインGの増幅器、Isを設定電流、Ioを界磁コイルに与える出力電流、Eを回転子の回転速度を測定するタコジェネレーター4aの出力電圧、Holdを電圧保持信号、a, b, cおよびdを信号保持器Hからの出力信号,徐算器Dからの出力信号,掛算器Mからの出力信号および増幅器Aからの出力信号とすると、aは運転開始時のHold信号によって保持されたタコジェネレーター4aの初期電圧Eo、bは徐算器DでEoをEnで除算したEo/En、cは徐算器Dの出力と設定電流Isを乗算する掛算器Mの出力Is・(Eo/En)、dは増幅器Aの出力Io=G・Is・(Eo/En)となって、電動機の界磁電流となる。即ち、運転初期に界磁電流G・Isによって発生する制動力Toは、運転中に補正しない場合(10)式から(Nn/No)倍となるが、タコジェネレーター4aで電圧を測定して(Eo/En)倍、即ち、(No/Nn)倍すれば、(6)式となって、常に線引き張力を一定にすることができる。
【0026】
上記の場合、徐算器Dおよび掛算器M等はアナログ演算器で構成したが、これらは、コンピューターで演算を行なうように構成しても良いし、汎用シーケンサーを使用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる巻き出しトルク調整装置を備えた伸線機の基本構成を示す概略斜視図である。
【図2】単相電動機をワイヤー張力制動手段として用いる場合の結線例を示す説明図である。
【図3】直流電動機をワイヤー張力制動手段として用いる場合の結線例を示す説明図である。
【図4】図2及び3に示す電動機に用いる直流電源の機能説明図である。
【図5】従来のワイヤー張力検出装置を備えた伸線機の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 金属極細線
2 巻き出しスプール
3 スプールホルダー
4 誘導電動機
4a 回転検出発電機(タコジェネレーター)
4b、4c 固定子コイル
4d 界磁コイル
5 リード線
6 直流電源
7 ワイヤー巻き取りモーター
8 巻き取りスプール
9 キャプスタン
10 伸線用ダイス
11、P プーリー
12 ベルト
13 キャプスタンモーター
VR 可変抵抗器
H 信号保持器
D 除算器
M 掛算器
A 増幅器
W ワイヤー
L 張力測定機構のアーム
a、b、c、d 出力信号
【出願人】 【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
【出願日】 平成18年7月14日(2006.7.14)
【代理人】 【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司

【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之


【公開番号】 特開2008−18466(P2008−18466A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−194330(P2006−194330)