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【発明の名称】 スラブ幅圧下プレス設備におけるスラブ先端部搬送不良検出方法および幅圧下プレス方法
【発明者】 【氏名】檀上 孝博

【氏名】陣内 達也

【氏名】亀山 剛二

【要約】 【課題】スラブの幅圧下プレス設備において、スラブ先端部の搬送不良を早期に検出することができ、それによって適切な処置を可能とするスラブ幅圧下プレス設備におけるスラブ先端部搬送不良検出方法を提供する。

【解決手段】フィードロール6の回転量と、フィードロール6の駆動出力と、上ホールドロール3の高さ位置とを組み合わせて、スラブ1の先端部の搬送不良を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延ラインに設置されたスラブ幅圧下プレス設備によりスラブを幅圧下するに際し、フィードロールの回転量と、フィードロールの駆動出力と、上ホールドロールの高さ位置または上ホールドロールと下ホールドロールの間隔とにより、スラブ先端部の搬送不良を検出することを特徴とするスラブ幅圧下プレス設備におけるスラブ先端部搬送不良検出方法。
【請求項2】
フィードロールの回転量およびフィードロールの駆動出力によりスラブ先端部の搬送不良発生を検出し、さらに上ホールドロールの高さ位置または上ホールドロールと下ホールドロールの間隔により、スラブ先端がホールドロールを通過前か通過後かを判定することを特徴とする請求項1に記載のスラブ幅圧下プレス設備におけるスラブ先端部搬送不良検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法によりスラブ先端部搬送不良を検出し、スラブ先端がホールドロールを通過前の場合には上ホールドロールを上昇させ、スラブ先端がホールドロールを通過後の場合には上ホールドロールの押圧を低下させることを特徴とするスラブ幅圧下プレス設備によるスラブ幅圧下プレス方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブに幅圧下プレスを施す幅圧下プレス設備において、スラブ先端部の搬送不良の発生を検出する方法およびそれを用いた幅圧下プレス方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱間圧延ラインでは、ライン上に幅圧下プレス設備(サイジングプレス設備ともいう)を設置し、材料(スラブ)に板幅方向の圧下(幅圧下プレス)を施して所定の板幅に成形した後、粗圧延および仕上圧延を行うようにする場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図1は、幅圧下プレス設備によってスラブに幅圧下プレスを施している状態を模式的に示す斜視図である。
【0004】
一般的に、スラブの幅圧下プレス設備は、入側上面に配されたピンチロール(以下、PRとも記載)5と、入側下面に配されて駆動能力を有するフィードロール(以下、FRとも記載)6と、スラブ1を幅圧下プレスするためのプレス金型2と、スラブ1の座屈を抑制するために、幅圧下プレス中のスラブ1を上下方向(板厚方向)から拘束する上ホールドロール(以下、上HRとも記載)3と下ホールドロール(以下、下HRとも記載)4とを有している。なお、図1中の7はテーブルロールである。
【0005】
通常、上ホールドロール3は(必要により、下ホールドロール4も)昇降可能となっており、スラブ1の板厚に応じて、その高さ位置を変更し、それによって上ホールドロール3と下ホールドロール4の間隔(ギャップ)を調整して、スラブ1を拘束するようになっている。
【0006】
これによって、スラブの幅圧下プレス設備は、ピンチロール5とフィードロール6でスラブ1を上下方向から拘束し、フィードロール6の駆動能力(搬送力)によってスラブ1を搬送しながら、ホールドロール3、4でスラブ1を拘束しつつ、プレス金型2を水平方向に往復移動させてスラブ1を板幅方向に圧下する動作を順次繰返し、スラブ1の先端1aから尾端1bまでスラブ1全長を所定の板幅に成形する。
【0007】
その際、幅圧下プレス時にスラブ1が座屈を起こしてしまうと、その後にその座屈を修正することは大変困難であるため、スラブ1を先端1aからホールドロール3、4で適切に拘束して、座屈を発生させないことが重要である。
【0008】
そこで、ホールドロール3、4でスラブ1を先端1aから拘束するために、入側に設置されたスラブ検出センサ(図示せず)からのスラブ先端検出信号に基づいてスラブ1の搬送方向位置をトラッキングし、それによってホールドロール3、4を所定の高さ位置に設置するタイミング(ホールドロール3、4によってスラブ1の拘束を開始するタイミング)を決定するようにしている。
【特許文献1】特開平6−154810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようにして、スラブ1をホールドロール3、4で拘束しながら幅圧下プレスを行っているが、その際に以下のような問題が発生することがある。
【0010】
まず、スラブ1を先端1aからホールドロール3、4で拘束するためには、スラブ先端1aを検出するスラブ検出センサの精度とトラッキングの精度が大変重要となるが、スリップ等の問題もあり、現状では、スラブ検出センサおよびトラッキングの精度が必ずしも充分でなく、その誤差により、スラブ先端1aの拘束タイミングにバラツキが発生してしまっている。このバラツキにより、ホールドロール3、4によるスラブ1の拘束開始タイミングが早すぎた場合は、図2(a)に示すように、スラブ1の先端がホールドロール3、4に突っ掛ってしまい、搬送不良が発生してしまう可能性がある。
【0011】
また、ホールドロール3、4によるスラブ1の拘束開始タイミングが適切であっても、ホールドロール3、4の拘束力(押圧力)が高すぎる場合は、図2(b)に示すように、幅圧下プレスに伴う板厚増加の影響により、スラブ1の先端は通過しても、その後のスラブ1の搬送がまったく行われなくなって、搬送不良が発生してしまう可能性がある。
【0012】
さらに、上記以外にも、スラブ1の曲がり、上反り、下反り等による設備との干渉により、搬送不良が発生する可能性がある。
【0013】
熱間圧延ラインにおいては、スラブ温度低下を防止するために、また生産性向上のために、搬送不良を早期に検出し、適切な処置をする必要がある。また、搬送不良を生じるとフィードロール6等に過大な負荷が掛かるため、装置故障の原因となる。もし装置保護機能が働き、装置が停止した場合は、生産性の低下に繋がる。
【0014】
しかし、これまで、スラブ先端部の搬送不良を早期に検出する方法については、ほとんど提案がなされていない。
【0015】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、スラブの幅圧下プレス設備において、スラブ先端部の搬送不良を早期に検出することができ、それによって適切な処置を可能とするスラブ幅圧下プレス設備におけるスラブ先端部搬送不良検出方法およびそれを用いた幅圧下プレス方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0017】
[1]熱間圧延ラインに設置されたスラブ幅圧下プレス設備によりスラブを幅圧下するに際し、フィードロールの回転量と、フィードロールの駆動出力と、上ホールドロールの高さ位置または上ホールドロールと下ホールドロールの間隔とにより、スラブ先端部の搬送不良を検出することを特徴とするスラブ幅圧下プレス設備におけるスラブ先端部搬送不良検出方法。
【0018】
[2]フィードロールの回転量およびフィードロールの駆動出力によりスラブ先端部の搬送不良発生を検出し、さらに上ホールドロールの高さ位置または上ホールドロールと下ホールドロールの間隔により、スラブ先端がホールドロールを通過前か通過後かを判定することを特徴とする前記[1]に記載のスラブ幅圧下プレス設備におけるスラブ搬送不良検出方法。
【0019】
[3]前記[2]に記載の方法によりスラブ先端部搬送不良を検出し、スラブ先端がホールドロールを通過前の場合には上ホールドロールを上昇させ、スラブ先端がホールドロールを通過後の場合には上ホールドロールの押圧を低下させることを特徴とするスラブ幅圧下プレス設備によるスラブ幅圧下プレス方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、スラブ幅圧下プレス設備におけるスラブ先端部の搬送不良を早期に検出することができ、それによって適切な処置を施すことが可能となる。その結果、処置遅れによるスラブの温度低下を防止することで、圧延材の品質を確保でき、圧延材の廃棄処理等の無駄を排除することが可能となり、生産性向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施形態を以下に述べる。
【0022】
本発明の一実施形態におけるスラブの幅圧下プレス設備は、図1に示したように、入側上面に配されたピンチロール(以下、PRとも記載)5と、入側下面に配されて駆動能力を有するフィードロール(以下、FRとも記載)6と、スラブ1を幅圧下プレスするためのプレス金型2と、スラブ1の座屈を抑制するために、幅圧下プレス中のスラブ1を上下方向(板厚方向)から拘束する上ホールドロール(以下、上HRとも記載)3と下ホールドロール(以下、下HRとも記載)4とを有している。なお、図1中の7はテーブルロールである。
【0023】
ここで、上ホールドロール3は昇降可能となっており、スラブ1の板厚に応じて、その高さ位置を変更し、それによって上ホールドロール3と下ホールドロール4の間隔を調整して、幅圧下プレス中のスラブ1を拘束するようになっている。
【0024】
これによって、このスラブ幅圧下プレス設備は、ピンチロール5とフィードロール6でスラブ1を上下方向から拘束し、フィードロール6の駆動能力(搬送力)によってスラブ1を搬送しながら、ホールドロール3、4でスラブ1を拘束しつつ、プレス金型2を水平方法に往復移動させてスラブ1を板幅方向に圧下する動作を順次繰返し、スラブ1の先端1aから尾端1bまでスラブ1全長を所定の板幅に成形する。
【0025】
ここで、ホールドロール3、4によるスラブ1の拘束は、スラブ1の先端1aがホールドロール位置を通過直後から開始される。しかし、スラブ先端部の搬送方向位置のトラッキング誤差等により、上ホールドロール3がスラブ先端1aの通過前に下降してしまった場合には、スラブ先端1aがホールドロールに衝突し、スラブの搬送不良が発生してしまう。
【0026】
そこで、この実施形態においては、以下のような考え方に基づいて、幅圧下プレス設備におけるスラブの搬送不良を検出するようにしている。
【0027】
一般的に、スラブの搬送不良を検出する方法として、スラブ1の厚さに対する、上ホールドロール3の現在位置(もしくは、上ホールドロール3と下ホールドロール4とのギャップ)により、ホールドロール3、4がスラブ1を挟んでいることを検出することができる。しかし、この際のスラブ1の厚さは、幅圧下プレスによる厚さ増加を考慮する必要があるが、幅圧下プレスによるスラブ厚増加量を正確に予測するのは難しく、ホールドロール3、4がスラブ1を挟んでいるか否かの閾値には、スラブ厚増加量予測モデルの誤差が含まれる。このため、上ホールドロール3の動作位置(高さ位置)だけで搬送不良を検出する場合は、モデル誤差分が検出遅れとなったり、誤検出となったりする。
【0028】
また、スラブの搬送不良を検出する他の方法として、フィードロール6の回転量(回転速度)の変化から搬送不良を検出する方法が考えられる。しかし、フィードロール6の駆動能力が大きい場合、フィードロール6とスラブ1とがスリップしてしまうと、図3(a)に示すように、フィードロール6の回転量が変化しないので、スラブの搬送不良の検出が不可能となる。
【0029】
これに対して、この実施形態においては、フィードロール6の回転量(回転速度)と、フィードロール6の駆動出力と、上ホールドロール3の高さ位置(または、上ホールドロール3と下ホールドロール4のギャップ)とを組み合わせて、スラブの搬送不良を検出するようにしている。
【0030】
すなわち、スラブの搬送不良が発生した場合は、図3(a)に示したように、フィードロール6とスラブ1間のスリップによりフィードロール6の回転量が変化しない時でも、図3(b)に示すように、フィードロール6の負荷が増大して、フィードロール6の駆動力が通常の搬送力(搬送必要力)に対して相対的に大きな出力となるので、このフィードロール6の駆動力増加により搬送不良を検出することができる。
【0031】
そして、その際に、図3(c)に示すように、上ホールドロール3の高さ位置(下ホールドロール4からの高さ位置)がスラブ厚未満の場合は、スラブ先端がホールドロール3、4に衝突して、ホールドロール3、4を通過する前に搬送不良が発生したと判断され、上ホールドロール3の高さ位置(下ホールドロール4からの高さ位置)がほぼスラブ厚の場合は、スラブ先端がホールドロール3、4を通過した後に搬送不良が発生したと判断される。
【0032】
上記の考え方に基づいてスラブの搬送不良を検出する際の手順を図4に示す。
【0033】
(S1)トラッキングによりスラブ1の先端がホールドロール3、4の位置に到着したか否かを判断する。到着していれば(S2)に進み、到着していなければ(S1)を繰り返す。
【0034】
(S2)一定時間内のフィードロール6の回転量(回転速度)は所定の回転量(回転速度)の範囲内か否かを調べる。所定の回転量の範囲内であれば(S3)に進み、所定の回転量の範囲外であれば(S5)に進む。
【0035】
(S3)フィードロール6の駆動力は通常の搬送必要力から定められる閾値以上か否かを調べる。駆動力が閾値以上であれば(S5)に進み、駆動力が閾値未満であれば(S4)に進む。
【0036】
(S4)スラブの搬送は正常(正常搬送)と判断する。
【0037】
(S5)スラブの搬送は不良(搬送不良)と判断し、(S6)に進む。
【0038】
(S6)上ホールドロール3の高さ位置(または、上ホールドロール3と下ホールドロール4のギャップ)はスラブ厚相当未満か否かを調べる。スラブ厚相当未満であれば、(S7)に進み、スラブ厚相当以上であれば、(S8)に進む。
【0039】
(S7)この搬送不良は、スラブ先端がホールドロール3、4を通過前の搬送不良と判定する。
【0040】
(S8)この搬送不良は、スラブ先端がホールドロール3、4を通過後の搬送不良と判定する。
【0041】
上記のようにして、スラブの搬送不良発生とその発生時期を検出することができる。
【0042】
そして、スラブ先端がホールドロール3、4を通過前の搬送不良と判定された場合には、上ホールドロール3を上昇させて、スラブ先端がホールドロール3、4を通過できるようにする。
【0043】
一方、スラブ先端がホールドロール3、4を通過後の搬送不良と判定された場合には、上ホールドロール3の押圧(押し圧力)を低下させて、スラブの搬送を再開できるようにする。この場合、上ホールドロール3の高さ位置を上げることで、スラブの搬送を再開することもできるが、上ホールドロール3の高さ位置を上げると座屈の懸念があるため、上ホールドロール3の押圧を低下させることで、スラブの搬送を再開することが望ましい。
【0044】
このようにして、この実施形態においては、スラブ幅圧下プレス設備におけるスラブ先端部の搬送不良を早期に検出することができ、それによって適切な処置を施すことが可能となる。その結果、処置遅れによるスラブの温度低下を防止することで、圧延材の品質を確保でき、圧延材の廃棄処理等の無駄を排除することが可能となり、生産性向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】幅圧下プレス設備によってスラブに幅圧下プレスを施している状態を模式的に示す斜視図である。
【図2】スラブ先端部の搬送不良発生の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態における搬送不良検出の考え方を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における搬送不良検出の手順を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 スラブ
1a スラブの先端
1b スラブの尾端
2 プレス金型
3 上ホールドロール
4 下ホールドロール
5 ピンチロール
6 フィードロール
7 テーブルロール
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【出願日】 平成18年10月30日(2006.10.30)
【代理人】 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎

【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘


【公開番号】 特開2008−110355(P2008−110355A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2006−293597(P2006−293597)