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【発明の名称】 回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構
【発明者】 【氏名】池本 裕二

【氏名】佐古 彰

【氏名】林 寛治

【氏名】四阿 佳昭

【氏名】左田野 豊

【氏名】前田 勝宏

【氏名】竹下 幸一郎

【要約】 【課題】潤滑油を外部に漏らさず、高潤滑性を実現することができる回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構を提供する。

【解決手段】偏心軸33からなる複数の単独軸上に軸着された分割バックアップロール28のそれぞれのベアリング部を前記偏心軸33の一端面に結合されたアーム35を介してオイルエア潤滑を行うと共に、一軸からなるロール支持軸51上に複数個連結された分割バックアップロール50のそれぞれのベアリング部をロータリージョイント90a,90bを介してオイルエア潤滑を行うようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割バックアップロールを回転自在に個別に支持する偏心軸をその一端面に結合されたアームの揺動により偏心回転させる偏心機構を備えたバックアップロールベアリングの潤滑機構において、外部ホース及び配管とアームと偏心軸と分割バックアップロールとに亙って潤滑経路を設けると共に、この潤滑経路を用いてオイルエア潤滑を行うようにしたことを特徴とする回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構。
【請求項2】
前記アームのオイルエア供給通路及び排出通路と偏心軸のオイルエア供給通路及び排出通路との接続部にはOリング付きの鋼製筒状のシール部材が介装され、かつ偏心軸の外周面には軸方向の所定の三カ所にOリングが嵌装されることを特徴とする請求項1記載の回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構。
【請求項3】
回転可能なロール支持軸上にそれぞれ偏心ブッシュを介して外輪回転の分割バックアップロールを回転自在に支持する偏心機構を備えたバックアップロールベアリングの潤滑機構において、外部ホース及び配管とロール支持軸と該ロール支持軸上に偏心ブッシュを回転不能に係止するキーと偏心ブッシュと分割バックアップロールとに亙って潤滑経路を設けると共に、この潤滑経路を用いてオイルエア潤滑を行うようにしたことを特徴とする回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構。
【請求項4】
前記外部ホース及び配管とロール支持軸のオイルエア供給通路及び排出通路との接続部にロータリージョイントが介装され、かつキーの給油口と排油口とにはゴム製筒状のシール部材が嵌装され、更には偏心ブッシュの外周面には軸方向の所定の三カ所にOリングが嵌装されることを特徴とする請求項3記載の回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構。
【請求項5】
前記オイルエア排出通路に通じるベアリング内部からのオイルエア出口を可及的にベアリング部の下方に設け、ベアリング内部のオイル量を最少にすることを特徴とする請求項2又は4記載の回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向のロールクラウンパターンを調整可能に複数の分割バックアップロールを備えた所謂知能型板形状矯正装置に好適な回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構に関する。
【背景技術】
【0002】
知能型板形状矯正装置として、例えば特許文献1に開示されたようなものがある。
これは、軸方向のロールクラウンパターンを調整可能とする分割バックアップロールにおいて、分解、組み立て作業を簡易化することを目的として、補強ロールフレームにロール支持軸を回転自在に支持すると共に、該ロール支持軸の複数箇所に偏心量の異なる偏心部を設け、この偏心部に分割補強ロールを軸着してなる分割バックアップロールにおいて、前記ロール支持軸が、軸方向と交差する方向に複数に分割可能に構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−118822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたような知能型板形状矯正装置にあっては、分割されたバックアップロールのベアリング潤滑において、高潤滑性が要求されることに加えて、外部への潤滑油漏れは鋼板表面の汚染のため極力すくなく、また、冷却水の混入もバックアップロールの寿命低下を起こさぬよう防止する必要がある。
【0005】
ところが、オイルミスト潤滑やグリース潤滑あるいは圧延油を潤滑油として使用する従来の潤滑方式では、外部への潤滑油漏れや高潤滑性を満足させる方式ではなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、潤滑油を外部に漏らさず、高潤滑性を実現することができる回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明に係る回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構は、複数の分割バックアップロールを回転自在に個別に支持する偏心軸をその一端面に結合されたアームの揺動により偏心回転させる偏心機構を備えたバックアップロールベアリングの潤滑機構において、外部ホース及び配管とアームと偏心軸と分割バックアップロールとに亙って潤滑経路を設けると共に、この潤滑経路を用いてオイルエア潤滑を行うようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、前記アームのオイルエア供給通路及び排出通路と偏心軸のオイルエア供給通路及び排出通路との接続部にはOリング付きの鋼製筒状のシール部材が介装され、かつ偏心軸の外周面には軸方向の所定の三カ所にOリングが嵌装されることを特徴とする。
【0009】
前記目的を達成するための本発明に係る回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構は、回転可能なロール支持軸上にそれぞれ偏心ブッシュを介して外輪回転の分割バックアップロールを回転自在に支持する偏心機構を備えたバックアップロールベアリングの潤滑機構において、外部ホース及び配管とロール支持軸と該ロール支持軸上に偏心ブッシュを回転不能に係止するキーと偏心ブッシュと分割バックアップロールとに亙って潤滑経路を設けると共に、この潤滑経路を用いてオイルエア潤滑を行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、前記外部ホース及び配管とロール支持軸のオイルエア供給通路及び排出通路との接続部にロータリージョイントが介装され、かつキーの給油口と排油口とにはゴム製筒状のシール部材が嵌装され、更には偏心ブッシュの外周面には軸方向の所定の三カ所にOリングが嵌装されることを特徴とする。
【0011】
また、前記オイルエア排出通路に通じるベアリング内部からのオイルエア出口を可及的にベアリング部の下方に設け、ベアリング内部のオイル量を最少にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記構成の本発明に係る回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構によれば、オイルエア潤滑を効果的に用いることにより、潤滑油を外部に漏らさず、高潤滑性を実現することができ、分割バックアップロールの長寿命化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構を実施例により図を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の一実施例を示す板形状矯正装置の側断面図、図2は同キャリッジの側断面図、図3は同キャリッジにおける圧下機構の要部側断面図、図4は単独軸上の分割バックアップロール側の圧下装置の圧延(矯正)時の作用説明図、図5は同圧下装置のキャリッジ組替時の作用説明図、図6は分割バックアップロール側のキャリッジにおける潤滑経路の説明図、図7は同キャリッジにおける圧下機構の側断面図、図8はベアリング部の拡大図、図9は図7のP−P線断面図、図10は図7のQ−Q線断面図、図11は図9のR部拡大図、図12は分割バックアップロールの軸からロールへの潤滑経路の説明図、図13は分割バックアップロールの外部から軸への潤滑経路の説明図、図14は図13のS−S線断面図、図15は図14のT部拡大図である。
【0015】
図1に示す板形状矯正装置10は、個別に荷重検出及び圧下制御可能な分割バックアップロールを備えた所謂知能型板形状矯正装置である。
【0016】
これを詳述すると、架構体を呈するミルハウジング11内に上下一対のワークロール12a,12bがそれぞれ上下一対のワークロールチョック13a,13bを介して回転自在支持され、この上下一対のワークロール12a,12b間を適当数のサポートロール14を介して、板形状矯正装置10の入側(前側:図中左方)から板形状矯正装置10の出側(後側:図中右方)へと板材が通板可能になっている。
【0017】
下ワークロール12bを支持する下ワークロールチョック13bは下キャリッジ52に支持され、ミルハウジング11上に下キャリッジ52と一体で支持される。下キャリッジ52には前後一対の分割バックアップロール50が回転自在に支持されている。一方、上ワークロール12aを支持する上ワークロールチョック13aは、下ワークロールチョック13bに内蔵される前後一対のリフトシリンダ54で下方より支持される。
【0018】
上記ミルハウジング11には、前後一対の油圧等流体圧タイプのバランスシリンダ19によりフレーム18が上下動可能に支持される。また、フレーム18は、ミルハウジング11に下向きに支持された左右一対の油圧等流体圧タイプの圧下シリンダ20により、バランスシリンダ19の付勢力に抗して下方へ付勢され、所定の圧下力を上ワークロール12a及び下ワークロール12bに付与し得るようになっている。
【0019】
そして、フレーム18はブロック状の本体部18a下方に前後一対の脚部18bを有し、これら前,後両脚部18b間に、上キャリッジ21が圧延ラインの作業側から出入り可能に支持されると共に前後一対の油圧等流体圧タイプのリフトシリンダ22により上下動可能に支持される。
【0020】
上記上キャリッジ21は、フレーム18の前面における板幅方向中央部に設けたクランプ機構23により、当該位置でフレーム18に対し位置決め・固定されるようになっていると共に、図1中に吹き出しで示すように、フレーム18に内蔵された左右一対の押付けシリンダ56によって上キャリッジ21をフレーム18の後脚部18bにおける基準面に押し付けることでライン方向に位置決めし、ワークロールとバックアップロールの軸心を平行に保つことが可能になっている。
【0021】
上記上キャリッジ21の下面部には、板形状矯正装置入側と出側に位置して、ロールチョック27が板幅方向(軸方向)に3分割以上複数配置され、これらロールチョック27に後述する分割バックアップロール28が回転自在に支持されている。
【0022】
上記各ロールチョック27は、図2及び図3に示すように、正面視で二股状の本体部27aと該本体部27aの二股状部にそれぞれボルト等で結合される左右一対のキャップ27bとからなり、その本体部27aにおいて上キャリッジ21に対し当該本体部27aに結合されたロッド29と該ロッド29の先端部に巻装されたスプリング30により荷重方向に摺動可能に支持される(図2参照)。また、各ロールチョック27の本体部27aと上キャリッジ21との荷重方向に沿った対向面間には、リニアガイド等の低摩擦のガイド機構60が左右一対介装される。
【0023】
前記本体部27aの二股状部とキャップ27bとで形成される円孔部に、分割バックアップロール28を同芯で支持する偏心軸33の両端部がそれぞれ図示しないベアリングを介して回転自在に支持される。図中C1は偏心軸33の回転中心で、C2は分割バックアップロール28の回転中心であり、Lがその偏心距離である。
【0024】
そして、各ロールチョック27の本体部27aの上面と上キャリッジ21の下面との間に、各分割バックアップロール28に加わる荷重を検出する例えばロードセル等の荷重検出装置31が介装される。この荷重検出装置31は、板幅方向(軸方向)へ二個並べて配置される。
【0025】
また、上記フレーム18と上キャリッジ21間に、各分割バックアップロール28に対し個別に圧下力を付与する圧下装置32が設けられる(図1参照)。
【0026】
即ち、圧下装置32は、上キャリッジ21において各分割バックアップロール28を回転自在に支持する偏心軸33の一端面に、隣接する各分割バックアップロール28間の隙間を利用して、ボルト34で結合されたアーム35と、図1に示すように、フレーム18において当該フレーム18上に水平に取り付けられた油圧等流体圧タイプの圧下力調整シリンダ(アクチュエータ)36により揺動自在に支持されたレバー37と、を有すると共に、各アーム35の上端部と各レバー37の下端部とはピンレス構造で連係される。尚、偏心軸33の一端面にはキー溝61が形成され、このキー溝61にアーム35の下部側面に形成したキー62が嵌合されて組付精度が高められている。
【0027】
図示例では、上記ピンレス構造として、各アーム35の上端部にピン38で支持されたコロ39が各レバー37の下端部に形成されたU字状の受け口(ワニ口)40(図1参照)に微小隙間を有して挿入されている。また、各レバー37の中間部はフレーム18の本体部18aに付設された左右一対のブラケット間にピン42で結合されると共に、その上端部に上述した圧下力調整シリンダ36のピストンロッド先端がピン43で結合されている。
【0028】
なお、圧下装置32は、板形状矯正装置10の入側の分割バックアップロール28用と板形状矯正装置10の出側の分割バックアップロール28用とが、フレーム18及び上キャリッジ21において前後方向に互いに反転した状態で、かつ左右方向に交互に配設されている。
【0029】
尚、後述する作用説明に用いる図4及び図5中44は、各圧下力調整シリンダ36の原点位置を検出するためにその伸限位置を規制するストッパで、図5中45は、コロ39と受け口40との間に隙間を設けるために無負荷時(キャリッジ組替時)に各アーム35が重心によるモーメントによって倒れる位置を規制するストッパである。
【0030】
そして、圧下装置32は、図4に示すように、圧延(矯正)時には、圧下力調整シリンダ36が伸縮することで、レバー37がピン42を中心に例えば図4の(b)の状態から時計方向(図4の(c)参照)或いは反時計方向(図4の(a)参照)に揺動し、これによりアーム35を介して偏心軸33(図4中には図示せず)が分割バックアップロール28と共に反時計方向(図4の(c)参照)或いは時計方向(図4の(a)参照)に偏心回転することにより、上ワークロール12aに対する圧下力が調整(増減)されるようになっている。この際、コロ39は受け口40内を上下方向に転動し、偏心軸33及び分割バックアップロール28を円滑に偏心回転させる。
【0031】
一方、上キャリッジ組替時は、図5に示すように、圧下力調整シリンダ36を例えば図4の(a)の状態から所定ストロークだけ収縮させてアーム35を偏心軸33の回転中心C1を中心に時計方向に揺動させた後(図5の(a)参照)、リフトシリンダ22を収縮して上キャリッジ21をフレーム18に対し下降させれば(図5の(b)参照)、コロ39が受け口40から下方へ抜け出し、フレーム18に対し上キャリッジ21が分離されるようになっている。コロ39の抜出し後、アーム35は自重で時計方向に倒れるが、やがてストッパ45で倒れ位置が規制されるので、その後上キャリッジ21が圧延ラインの作業側へ搬出されるときの動作に支障をきたすことがない。
【0032】
また、下ワークロール12bに圧下力を付与する後述の分割バックアップロール50は、分割バックアップロール28と同様に、板形状矯正装置10の入側と出側に位置して、板幅方向に複数配置されるが、これらは板形状矯正装置10の入側と出側とでそれぞれ1本のロール支持軸51上に所定の偏心量を有した後述する偏心ブッシュを介して回転自在に支持される点で、個別に圧下力を調整することができる上述した分割バックアップロール28とは構造が異なる。なお、このような分割バックアップロール50は、特許文献1等で既に公知である。
【0033】
そして、上記ロール支持軸51の両端部は下キャリッジ52に回転自在に支持され、圧延ラインの駆動側において、図示しない駆動源によりスピンドル等を介して所要の角度宛回転されるようになっている。
【0034】
上記下キャリッジ52は、ミルハウジング11に対し圧延ラインの作業側から出入り可能に支持されると共に、板幅方向の所定位置で、上述したクランプ機構23と同様のクランプ機構53により、ミルハウジング11に対し位置決め・固定されるようになっている。また、下キャリッジ52の下方に位置したミルハウジング11には、下キャリッジ52の組立時に当該下キャリッジ52を持ち上げるための前後一対のリフトシリンダ55が内蔵される。
【0035】
そして、本実施例においては、前述した偏心軸33からなる複数本の単独軸上に軸着された外輪回転の分割バックアップロール28と一軸からなるロール支持軸51上に所定間隔離間して複数個軸着された分割バックアップロール50とは、後述する潤滑機構によりオイルエア潤滑される。
【0036】
先ず、偏心軸33上の分割バックアップロール28にあっては、図3及び図6に示すように、上キャリッジ21上に4系統(図6中では2系統を省略している)のオイルエア供給用配管70A及びオイルエア排出用配管70Bが配設され、各オイルエア供給用配管70Aより図外のオイルエア供給源から供給されたオイルエアをホース71aを介して各アーム35に分配し、ここから各アーム35に対応した各分割バックアップロール28に供給してその内部(ベアリング部)を潤滑した後、各アーム35に回収し、ここからホース71bを介してオイルエア排出用配管70Bより外部に排出(排気)するようになっている。
【0037】
図7乃至図10に示すように、アーム35の供給通路72aに供給されたオイルエアは、偏心軸33の供給通路73aを介して分割バックアップロール28の内部(ベアリング部)に供給されると共に、潤滑後のオイルエアは、偏心軸33の排出通路73bを介してアーム35の排出通路72bに排出されるようになっている。尚、偏心軸33の排出通路73bの出口は最下部に設け、分割バックアップロール28内のオイル量を最少にして、攪拌による内圧上昇を抑え、かつ自重による外力を抑えることによってシール性を向上させると好適である。
【0038】
アーム35の供給通路72a及び排出通路72bと偏心軸33の供給通路73a及び排出通路73bとの連通部には、図11に示すように、鋼製筒状のシール部材74が介装される。このシール部材74は、アーム35と偏心軸33の対向面間において両部材に跨がって嵌合され、それぞれの部材に対応する外周面にOリング75a,75bが嵌装される。
【0039】
また、偏心軸33の分割バックアップロール28が嵌合する偏心軸部の外周面には、軸方向の所定の三カ所(図示例では、分割バックアップロール28の両端部に対応する位置と分割バックアップロール28に内蔵されたコロと対応しない位置の三カ所)にOリング76a〜76cが嵌装される。
【0040】
次に、ロール支持軸51上の分割バックアップロール50にあっては、図12乃至図15に示すように、複数ブロック毎に分割されたロール支持軸51の内部にオイルエアの供給通路80aと排出通路80bが形成され、供給通路80aに形成されたオイルエアは分配弁81a〜81eを介して、ロール支持軸51上に偏心ブッシュ82を介して嵌合された複数個(図示例では4個)の分割バックアップロール50に供給され、その内部(ベアリング部)を潤滑した後、再びロール支持軸51の排出通路80bを通って外部に排出(排気)されるようになっている。図14中83は分割バックアップロール50を軸方向に規制するサポートである。
【0041】
ロール支持軸51と偏心ブッシュ82との間にはキー84が介在され、ロール支持軸51と偏心ブッシュ82とが一体回転するようになっている。キー84には、所定間隔離間して給油口85aと排油口85bとが形成され、給油口85aによりロール支持軸51の供給通路80aと偏心ブッシュ82の供給通路87a(分割バックアップロール50の内部(ベアリング部)に通じる)とが連通されると共に、排油口85bによりロール支持軸51の供給通路80bと偏心ブッシュ82の排出通路87b(分割バックアップロール50の内部(ベアリング部)に通じる)とが連通される。
【0042】
前記給油口85aと排油口85bとには、ゴム製筒状のシール部材88a,88bがそれぞれ嵌装され、オイルエアの供給と排出のルートが確保されている。
【0043】
また、偏心ブッシュ82の分割バックアップロール50が嵌合する偏心部の外周には、軸方向の所定の三カ所(図示例では、分割バックアップロール50の両端部に対応する位置と分割バックアップロール50に内蔵されたコロと対応しない位置の三カ所)にOリング89a〜89cが嵌装される。
【0044】
一方、ロール支持軸51上には、給油側のロータリージョイント90aと排油側のロータリージョイント90bとが嵌装され、給油側のロータリージョイント90aにより外部の図示しないオイルエア供給源からのオイルエアがロール支持軸51の供給通路80aに供給されると共に、排油側のロータリージョイント90bによりロール支持軸51の排出通路80aに戻された潤滑後のオイルエアが外部ホース及び配管91(図13参照)を通して外部に排出(排気)されるようになっている。
【0045】
給油側及び排油側のロータリージョイント90a,90bは、図13乃至図15に示すように、下キャリッジ52上に固定された固定フレーム92と、この固定フレーム92に回動自在に内嵌される一方ロール支持軸51にキー93により回動不能に外嵌されたリング状のカートリッジ94と、このカートリッジ94に小径ねじ部95の螺回転により径方向に移動可能に組み込まれた段付き筒状のホルダ96と、このホルダ96に収装されたゴム製筒状のシール部材97と、このシール部材97の外端部が気密及び液密に着座するフラット面を有してロール支持軸51の供給通路80a又は排出通路80bの開口端部に螺着されたプラグ98と、を有する。
【0046】
カートリッジ94は、本体部材94aと端部材94bとに分割形成され、端部材94bを外した状態で本体部材94aが固定フレーム92に内嵌され、その後端部材94bを結合することで、固定フレーム92に対し軸方向へ抜け止めされるようになっている。また、本体部材94aの外周面には、ホルダ96を挾んで一対のOリング99a,99bが嵌装される。
【0047】
固定フレーム92の外部ホース及び配管91が接続される供給通路92a又は排出通路92bは、固定フレーム92の内周面に形成した環状通路92cに連通し、この環状通路92cが常時ホルダ96の内部通路96aに通じている。そして、この内部通路96aがシール部材97及びプラグ98を介して気密及び液密にロール支持軸51の供給通路80a又は排出通路80bに連通している。図15中100は、ホルダ96の大径部外周面に嵌装されたOリングである。
【0048】
このように構成されるため、圧延(矯正)時には、フレーム18がバランスシリンダ19の収縮で図1の状態から下降された状態となり、この状態下で板材が上,下両ワークロール12a,12b間を通板される。
【0049】
この際、上,下両ワークロール12a,12bには、左右一対の圧下シリンダ20によりフレーム18がミルハウジング11に対し下方に付勢されることで所定の圧下力が付与される。また、圧延機10の入側及び出側に配置した分割バックアップロール28と分割バックアップロール50によって、板幅方向の圧下力が調整される。
【0050】
分割バックアップロール28にあっては、荷重検出装置31により個々に荷重が検出される。そして、図示しない制御装置により、分割バックアップロール28の個々の荷重が目標荷重になるように、圧下装置32を介して分割バックアップロール28の個々の圧下力が調整される。
【0051】
分割バックアップロール50にあっては、図示しない制御装置により、ロール支持軸51が図示しない駆動源によりスピンドル等を介して所要の角度宛回転され、この時の各偏心ブッシュの偏心量に見合った圧下力に個々に調整される。
【0052】
従って、特に、分割バックアップロール28にあっては、圧延機10の出側で板形状を検出してフィードバックする必要はなく、時間遅れなく直接的に板形状を制御することができる。また、複数分割された分割バックアップロール28及び分割バックアップロール50によって板幅方向に細かい調整が可能となり、良好な板品質、つまり良好な板クラウンおよび平坦度を得ることができる。
【0053】
そして、本実施例では、圧延(矯正)時には、上下の各々の分割バックアップロール28及び分割バックアップロール50の内部(ベアリング部)がオイルエア潤滑されるので、上下の各々の分割バックアップロール28及び分割バックアップロール50からの潤滑油漏れを無くし、高粘度の潤滑油を給排油することが可能となり、上下の各々の分割バックアップロール28及び分割バックアップロール50の長寿命化が達成される。また、オイルミスト潤滑等と比べ、各分割バックアップロール50を支持するロール支持軸51内の供給通路80a及び排出通路80bは小径で良いので、ロール支持軸51の強度・剛性低下が小さくて済む。
【0054】
具体的には、オイルエア供給源からのオイルエアは、偏心軸33上の各分割バックアップロール28の潤滑経路にあっては、キャリッジ21上のオイルエア供給用配管70A→ホース71a→アーム35の供給通路72a→偏心軸33の供給通路73aと流れて各分割バックアップロール28へ供給され、その内部(ベアリング部)を潤滑した後、偏心軸33の排出通路73b→アーム35の排出通路72b→ホース71b→キャリッジ21上のオイルエア排出用配管70Bと戻り、外部に排出(排気)される。
【0055】
この際、オイルエアの排気効率を高めるなどして各分割バックアップロール28の内部(ベアリング部)が負圧下に制御されると共に、アーム35の供給通路72a及び排出通路72bと偏心軸33の供給通路73a及び排出通路73bとの接続部にはOリング75a,75b付きの鋼製筒状のシール部材74が介装され、かつ偏心軸33の外周面には軸方向の所定の三カ所にOリング76a〜76cが嵌装されるなどして、オイルエアが外部に漏れるのを確実に防止している。
【0056】
一方、ロール支持軸51上の各分割バックアップロール50の潤滑経路にあっては、外部ホース及び配管91→固定フレーム92の供給通路92a及び環状通路92c→ホルダ96の内部通路96a→ゴム製筒状のシール部材97→プラグ98→ロール支持軸51の供給通路80a及び分配弁81a〜81e→キー84の給油口85a→偏心ブッシュ82の供給通路87aと流れて各分割バックアップロール50へ供給され、その内部(ベアリング部)を潤滑した後、偏心ブッシュ82の排出通路87b→キー84の排油口85b→ロール支持軸51の排出通路80b及び分配弁81a〜81e→プラグ98→ゴム製筒状のシール部材97→ホルダ96の内部通路96a→固定フレーム92の環状通路92c及び排出通路92b→外部ホース及び配管91と戻り、外部に排出(排気)される。
【0057】
この際、オイルエアの排気効率を高めるなどして各分割バックアップロール50の内部(ベアリング部)が負圧下に制御されると共に、Oリング99a,99b、ゴム製筒状のシール部材97及びプラグ98を備えたロータリージョイント90a,90bが外部ホース及び配管91とロール支持軸51の供給通路80a及び排出通路80bとの接続部に介装され、かつキー84の給油口85aと排油口85bとにはゴム製筒状のシール部材88a,88bが嵌装され、更には偏心ブッシュ82の外周面には軸方向の所定の三カ所にOリング89a〜89cが嵌装されるなどして、オイルエアが外部に漏れるのを確実に防止している。
【0058】
尚、ロータリージョイント90a,90bにおいては、オイルエアの必要通過断面を確保するため、八角穴付(貫通)ナットを使用しており、八角スパナ等でホルダ96をカートリッジ94内に引き込むことで、ゴム製筒状のシール部材97もホルダ96と一体動してプラグ98から離間し、この状態でロータリージョイント90a,90bのロール支持軸51からの抜け出しが可能になる。逆に、上記状態でロータリージョイント90a,90bをロール支持軸51に挿入した後、八角スパナ等でホルダ96をカートリッジ94内から押し出すことで、ゴム製筒状のシール部材97もホルダ96と一体動してプラグ98に気密及び液密に着座して図17に示す状態になる。
【0059】
また、上下の各々の分割バックアップロール28及び分割バックアップロール50を液体で表面冷却する際は、オイルエアの排気効率を低めるなどして各分割バックアップロール28と各分割バックアップロール50の内部(ベアリング部)を正圧下に制御して、内部侵入を防止すれば良い。
【0060】
また、本実施例では、点検・交換頻度の高い分割バックアップロール28を上キャリッジ21に支持させ、該上キャリッジ21を点検・交換頻度の低いフレーム18に支持させると共に、圧下装置32をフレーム18と上キャリッジ21とに分担して支持させている。
【0061】
これにより、フレーム18及び上キャリッジ21の軽量化が図れると共に上キャリッジ21を可及的に小型化できる一方で、必要に応じてフレーム18と上キャリッジ21とを分離して取り扱うことができる。
【0062】
この結果、分割バックアップロール28の分割数が多くなってフレーム18や上キャリッジ21等の構造物が大きく、重量物となっても、分割バックアップロール28の組替や圧下装置32(単独圧下機構)等の保全作業性を向上させると共にクレーン等の輸送機器や治具等の軽量化・低容量化が実現できる。
【0063】
また、圧下装置32において、アーム35とレバー37とがピンレス構造で連係されることで、フレーム18と上キャリッジ21を容易に分離させられる。つまり、分割バックアップロール28の組替時等に上キャリッジ21のみをフレーム18から容易に機外へ抜き出すことができるのである。
【0064】
また、クランプ機構23により、上キャリッジ21をフレーム18に対し板幅方向中央部で位置決めさせることで、圧延機10が曲げ変形してもフレーム18と上キャリッジ21の位置関係を一定に保つことができると共に、フレーム18に内蔵した左右一対の押付けシリンダ56で上キャリッジ21をフレーム18の後脚部18bにおける基準面に押し付けることによって、ライン方向の位置関係を一定に保つことができる。
【0065】
さらに、本実施例によれば、各々の分割バックアップロール28を回転自在に支持する偏心軸33を分割バックアップロール毎に分割したので、隣接する分割バックアップロール28の位置に拘束されることはなく、高精度な位置制御を応答性良く行うことができる。また、各々の分割バックアップロール28は偏心軸33に回転自在に支持されるので、偏心機構の簡素化によりメンテナンス性の向上が図れる。
【0066】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、圧下装置32(単独圧下機構)を一軸からなるロール支持軸51に軸着された分割バックアップロール50に適用したり、圧下装置32の構造を変更する等各種変更が可能であることはいうまでもない。また、フレーム18と上キャリッジ21とを一体に形成し、アーム35を圧下力調整シリンダ36で直接揺動させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施例を示す板形状矯正装置の側断面図である。
【図2】同キャリッジの側断面図である。
【図3】同キャリッジにおける圧下機構の要部側断面図である。
【図4】単独軸上の分割バックアップロール側の圧下装置の圧延(矯正)時の作用説明図である。
【図5】同圧下装置のキャリッジ組替時の作用説明図である。
【図6】分割バックアップロール側のキャリッジにおける潤滑経路の説明図である。
【図7】同キャリッジにおける圧下機構の側断面図である。
【図8】ベアリング部の拡大図である。
【図9】図7のP−P線断面図である。
【図10】図7のQ−Q線断面図である。
【図11】図9のR部拡大図である。
【図12】分割バックアップロールの軸からロールへの潤滑経路の説明図である。
【図13】分割バックアップロールの外部から軸への潤滑経路の説明図である。
【図14】図13のS−S線断面図である。
【図15】図14のT部拡大図である。
【符号の説明】
【0068】
10 板形状矯正装置、11 ミルハウジング、12a 上ワークロール、12b 下ワークロール、13a 上ワークロールチョック、13b 下ワークロールチョック、14 サポートロール、18 フレーム、18a 脚部、18b 本体部、19 バランスシリンダ、20 圧下シリンダ、21 上キャリッジ、22 リフトシリンダ、23 クランプ機構、27 ロールチョック、27a 本体部、27b キャップ、28 単独軸上の分割バックアップロール、29 ロッド、30 スプリング、31 荷重検出装置、32 圧下装置、33 偏心軸、35 アーム、36 圧下力調整シリンダ、37 レバー、38 ピン、39 コロ、40 受け口、42 ピン、43 ピン、44 ストッパ、45 ストッパ、50 一軸上の分割バックアップロール、51 ロール支持軸、52 下キャリッジ、53 クランプ機構、54 リフトシリンダ、55 リフトシリンダ、56 押付けシリンダ、60 リニアガイド、61 キー溝、62 キー、70A オイルエア供給用配管、70B オイルエア排出用配管、71a ホース、71b ホース、72a 供給通路、72b 排出通路、73a 供給通路、73b 排出通路、74 鋼製筒状のシール部材、75a,75b Oリング、76a〜76c Oリング、80a 供給通路、80b 排出通路、81a〜81e 分配弁、82 偏心ブッシュ、83 サポート、84 キー、85a 給油口、85b 排油口、87a 供給通路、87b 排出通路、88a,88b ゴム製筒状のシール部材、89a〜89c Oリング、90a,90b ロータリージョイント、91 外部ホース及び配管、92 固定フレーム、92a 供給通路、92b 排出通路、92c 環状通路、93 キー、94 カートリッジ、95 小径ねじ部、96 ホルダ、96a 内部通路、97 ゴム製筒状のシール部材、98 プラグ、99a,99b Oリング、100 Oリング。
【出願人】 【識別番号】502251784
【氏名又は名称】三菱日立製鉄機械株式会社
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成18年10月27日(2006.10.27)
【代理人】 【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎

【識別番号】100074480
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 忠敬

【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸

【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋


【公開番号】 特開2008−105080(P2008−105080A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−292208(P2006−292208)