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【発明の名称】 板形状矯正装置
【発明者】 【氏名】池本 裕二

【氏名】佐古 彰

【氏名】林 寛治

【氏名】山村 和人

【氏名】小川 茂

【氏名】宇都 久隆

【氏名】若月 邦彦

【要約】 【課題】フレームの一部をキャリッジとして分割形成してバックアップロール組替や単独圧下機構等の保全作業性を向上させると共に輸送機器や治具等の軽量化・低容量化が実現できる一方で、ミルヒステリシスも低減することができる板形状矯正装置を提供する。

【解決手段】軸方向に複数分割した分割上バックアップロール28によって上ワークロール12aを支持する機構を有し、各々の分割上バックアップロールに対しそれぞれ独立に荷重を検出し得る荷重検出装置31とそれぞれ独立して圧下力を付与し得る圧下装置32とを設けた板形状矯正装置において、各々の分割上バックアップロールを荷重検出装置とともに上キャリッジ21に支持させ、該上キャリッジを板幅方向に出入り可能にフレーム18に支持させると共に、フレームとキャリッジの上下方向接触面をフレーム厚さの1/4以下の距離に配置し、フレーム曲げ変形の中立軸とキャリッジの中立軸を一致させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上下いずれか一方において、軸方向に3分割以上複数分割した分割バックアップロールによってワークロールを支持する機構を有し、各々の分割バックアップロールに対しそれぞれ独立に荷重を検出し得る荷重検出装置とそれぞれ独立して圧下力を付与し得る圧下装置とを設けた板形状矯正装置において、
前記各々の分割バックアップロールを前記荷重検出装置とともにキャリッジに支持させ、該キャリッジを板幅方向に出入り可能にフレームに支持させると共に、
前記フレームとキャリッジの上下方向接触面をフレーム厚さの1/4以下の距離に配置し、フレーム曲げ変形の中立軸とキャリッジの中立軸を一致させることを特徴とする板形状矯正装置。
【請求項2】
前記キャリッジの曲げ剛性をフレームに対し小さくして、フレームとキャリッジの合体の曲げ変形特性をフレームの変形特性に近付けることを特徴とする請求項1記載の板形状矯正装置。
【請求項3】
前記キャリッジの曲げ剛性をフレームに対し小さくする手段として、板幅方向に所定間隔離間して切れ目を入れたことを特徴とする請求項2記載の板形状矯正装置。
【請求項4】
前記フレームは、ブロック状の本体部下方に前後一対の脚部を有し、これら脚部間に前記キャリッジが支持されることを特徴とする請求項1,2又は3記載の板形状矯正装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、個別に荷重検出及び圧下制御可能な分割バックアップロールを備えた所謂知能型圧延機の一種である板形状矯正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3分割以上に分割された分割バックアップロールのそれぞれについて荷重分布を検出して、広幅材〜ワークロール間の荷重分布を推定し、推定した荷重分布に基づいて板形状を制御する圧延機が注目されている(例えば、特許文献1参照)。このような圧延機では、原理的に圧延機出側で板形状を検出してフィードバックする必要はなく、したがって時間遅れなく直接的に板形状を制御することができる。また、このような圧延機によれば、良好な板品質、つまり良好な板クラウンおよび平坦度を得ることができる。そして、このような圧延機を知能型圧延機という。
【0003】
【特許文献1】特開2000−158019号公報
【特許文献2】特開2005−118822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような単独圧下機能を有する分割バックアップロールを備えた知能型圧延機おいて、例えば5mを超える広幅材を対象とする圧延機(ロール矯正機を含む)では、単独圧下機構を有するバックアップロールのフレームが大きく、重量物になることから、以下のような問題点があった。
1)点検用のクレーン等搬送機器や治具が、巨大・高容量となる。
2)バックアップロールの点検・交換作業が、煩雑となる。
3)単独圧下機構の保守・点検作業が、煩雑となる。
【0005】
そこで、例えば図5の(a)に示すように、フレーム100の一部をキャリッジ(ロールチョック)101として分割形成し、このキャリッジ101に分割バックアップロールを支持させると共にフレーム100とキャリッジ101に単独圧下機構を分担して支持させると、キャリッジ101の小型・軽量化が図れる一方で、必要に応じてフレーム100とキャリッジ101を分離させられ、バックアップロール組替や単独圧下機構等の保全作業性を向上させると共に輸送機器や治具等の軽量化・低容量化が実現できて有効であることが解る。
【0006】
ところが、上記構成によれば、フレーム100の両端部に圧下力(図中矢印参照)を付与して広幅材102を圧下する際には、変形特性の異なるフレーム100とキャリッジ101との間で変形に応じて互いの接触面で滑りが発生する(図中A1,A2参照)という虞れがある。
【0007】
即ち、接触面の滑りは、図6の(a)に示すように、弾性変形からスベリを含む変形へと急激な曲げ変形を招来し、ミル(圧延機)のヒステリシス(以下、ミルヒステリシスと称す)を大きく、不安定なものにするのである。このミルヒステリシスは、ロールギャップを制御する板厚制御や板形状制御の精度に大きく影響するため、極力ミルヒステリシスを小さくする必要がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、フレームの一部をキャリッジとして分割形成してバックアップロール組替や単独圧下機構等の保全作業性を向上させると共に輸送機器や治具等の軽量化・低容量化が実現できる一方で、ミルヒステリシスも低減することができる板形状矯正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明に係る板形状矯正装置は、少なくとも上下いずれか一方において、軸方向に3分割以上複数分割した分割バックアップロールによってワークロールを支持する機構を有し、各々の分割バックアップロールに対しそれぞれ独立に荷重を検出し得る荷重検出装置とそれぞれ独立して圧下力を付与し得る圧下装置とを設けた板形状矯正装置において、前記各々の分割バックアップロールを前記荷重検出装置とともにキャリッジに支持させ、該キャリッジを板幅方向に出入り可能にフレームに支持させると共に、前記フレームとキャリッジの上下方向接触面をフレーム厚さの1/4以下の距離に配置し、フレーム曲げ変形の中立軸とキャリッジの中立軸を一致させることを特徴とする。
【0010】
また、前記キャリッジの曲げ剛性をフレームに対し小さくして、フレームとキャリッジの合体の曲げ変形特性をフレームの変形特性に近付けることを特徴とする。
【0011】
また、前記キャリッジの曲げ剛性をフレームに対し小さくする手段として、板幅方向に所定間隔離間して切れ目を入れたことを特徴とする。
【0012】
また、前記フレームは、ブロック状の本体部下方に前後一対の脚部を有し、これら脚部間に前記キャリッジが支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
前記構成の本発明に係る板形状矯正装置によれば、点検・交換頻度の高い分割バックアップロールをキャリッジに支持させ、該キャリッジを点検・交換頻度の低いフレームに支持させるようにしたので、キャリッジの小型・軽量化が図れる一方で、必要に応じてフレームとキャリッジを分離させられ、バックアップロール組替や単独圧下機構等の保全作業性を向上させると共に輸送機器や治具等の軽量化・低容量化が実現できる。また、フレームとキャリッジの上下方向接触面をフレーム厚さの1/4以下の距離に配置し、フレーム曲げ変形の中立軸とキャリッジの中立軸を一致させたので、フレームとキャリッジの互いの接触面での曲げ変形特性を近付けることができ、フレームとキャリッジの互いの滑りを抑制してミルヒステリシスを低減することができる。
【0014】
また、前記キャリッジの曲げ剛性をフレームに対し小さくする手段として、板幅方向に所定間隔離間して切れ目を入れたので、圧下荷重に十分耐えつつ簡単な構造でキャリッジの曲げ剛性を低減し、フレームの変形に効果的に追従させられる。
【0015】
また、前記フレームは、ブロック状の本体部下方に前後一対の脚部を有し、これら脚部間に前記キャリッジが支持されるので、脚部の長さを増減することでフレームの中立軸を効果的に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る板形状矯正装置を実施例により図を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は本発明の一実施例を示す板形状矯正装置の側断面図、図2は上キャリッジの側断面図、図3は分割上バックアップロール側の圧下装置の圧延(矯正)時の作用説明図、図4は同圧下装置のキャリッジ組替時の作用説明図、図5はフレーム及び上キャリッジの圧下時におけるスベリ量の比較説明図、図6はフレーム及び上キャリッジの圧下時におけるミルヒステリシスの比較説明図である。
【0018】
図1に示す板形状矯正装置10は、個別に荷重検出及び圧下制御可能な分割バックアップロールを備えた所謂知能型圧延機の一種である。
【0019】
これを詳述すると、架構体を呈するミルハウジング11内に上下一対のワークロール12a,12bがそれぞれ上下一対のワークロールチョック13a,13bを介して回転自在支持され、この上下一対のワークロール12a,12b間を適当数のサポートロール14を介して、板形状矯正装置10の入側(前側:図中左方)から板形状矯正装置10の出側(後側:図中右方)へと板材の通板が可能になっている。
【0020】
下ワークロール12bを支持する下ワークロールチョック13bは下キャリッジ52に支持され、ミルハウジング11上に下キャリッジ52と一体で支持される。下キャリッジ52には前後一対の分割下バックアップロール50が回転自在に支持されている。一方、上ワークロール12aを支持する上ワークロールチョック13aは、下ワークロールチョック13bに内蔵される前後一対のリフトシリンダ54で下方より支持される。
【0021】
上記ミルハウジング11には、前後一対の油圧等流体圧タイプのバランスシリンダ19によりフレーム18が上下動可能に支持される。また、フレーム18は、ミルハウジング11に下向きに支持された左右一対の油圧等流体圧タイプの圧下シリンダ20により、バランスシリンダ19の付勢力に抗して下方へ付勢され、所定の圧下力を上ワークロール12a及び下ワークロール12bに付与し得るようになっている。
【0022】
そして、フレーム18はブロック状の本体部18a下方に前後一対の脚部18bを有し、これら前,後両脚部18b間に、上キャリッジ21が圧延ラインの作業側から出入り可能に支持されると共に前後一対の油圧等流体圧タイプのリフトシリンダ22により上下動可能に支持される。
【0023】
上記上キャリッジ21は、フレーム18の前面における板幅方向中央部に設けたクランプ機構23により、当該位置でフレーム18に対し位置決め・固定されるようになっていると共に、図1中に吹き出しで示すように、フレーム18に内蔵された左右一対の押付けシリンダ56によって上キャリッジ21をフレーム18の後脚部18bにおける基準面に押し付けることでライン方向の位置決めも可能になっている。
【0024】
上記上キャリッジ21の下面部には、板形状矯正装置10の入側と出側に位置して、ロールチョック27が板幅方向(軸方向)に3個以上複数配置され、これらロールチョック27に分割上バックアップロール28が回転自在に支持されている。
【0025】
上記各ロールチョック27は、図2に示すように、正面視で二股状の本体部27aと該本体部27aの二股状部にそれぞれボルト等で結合される左右一対のキャップ27bとからなり、その本体部27aにおいて上キャリッジ21に対し当該本体部27aに結合されたロッド29と該ロッド29の先端部に巻装されたスプリング30により荷重方向に摺動可能に支持される。また、各ロールチョック27の本体部27aと上キャリッジ21との荷重方向に沿った対向面間には、リニアガイド等の低摩擦のガイド機構60が左右一対介装される。
【0026】
前記本体部27aの二股状部とキャップ27bとで形成される円孔部に、分割上バックアップロール28を同芯で支持する偏心軸33の両端部がそれぞれ図示しないベアリングを介して回転自在に支持される。図中C1は偏心軸33の回転中心で、C2は分割上バックアップロール28の回転中心であり、Lがその偏心距離である。
【0027】
そして、各ロールチョック27の本体部27aの上面と上キャリッジ21の下面との間に、各分割上バックアップロール28に加わる荷重を検出する例えばロードセル等の荷重検出装置31が介装される。この荷重検出装置31は、板幅方向(軸方向)へ複数個並べて配置される。
【0028】
また、上記フレーム18と上キャリッジ21間に、各分割上バックアップロール28に対し個別に圧下力を付与する圧下装置32が設けられる(図1参照)。
【0029】
即ち、圧下装置32は、上キャリッジ21において各分割上バックアップロール28を回転自在に支持する偏心軸33の一端面に、隣接する各分割上バックアップロール28間の隙間を利用して、ボルトで結合されたアーム35と、図1に示すように、フレーム18において当該フレーム18上に水平に取り付けられた油圧等流体圧タイプの圧下力調整シリンダ(アクチュエータ)36により揺動自在に支持されたレバー37と、を有すると共に、各アーム35の上端部と各レバー37の下端部とはピンレス構造で連係される。
【0030】
図示例では、上記ピンレス構造として、各アーム35の上端部にピン38で支持されたコロ39が各レバー37の下端部に形成されたU字状の受け口(ワニ口)40に微小隙間を有して挿入されている。また、各レバー37の中間部はフレーム18の本体部18aに付設された左右一対のブラケット間にピン42で結合されると共に、その上端部に上述した圧下力調整シリンダ36のピストンロッド先端がピン43で結合されている。
【0031】
なお、圧下装置32は、板形状矯正装置10の入側の分割上バックアップロール28用と板形状矯正装置10の出側の分割上バックアップロール28用とが、フレーム18及び上キャリッジ21において前後方向に互いに反転した状態で、かつ左右方向に交互に配設されている。尚、後述する作用説明に用いる図3及び図4中44は、各圧下力調整シリンダ36の原点位置を検出するためにその伸限位置を規制するストッパで、図4中45は、各アーム35の無負荷時(キャリッジ組替時)における倒れ位置を規制するストッパである。
【0032】
そして、圧下装置32は、図3に示すように、圧延(矯正)時には、圧下力調整シリンダ36が伸縮することで、レバー37がピン42を中心に例えば図3の(b)の状態から時計方向(図3の(c)参照)或いは反時計方向(図3の(a)参照)に揺動し、これによりアーム35を介して偏心軸33(図3中には図示せず)が分割上バックアップロール28と共に反時計方向(図3の(c)参照)或いは時計方向(図3の(a)参照)に偏心回転することにより、上ワークロール12aに対する圧下力が調整(増減)されるようになっている。この際、コロ39は受け口40内を上下方向に転動し、偏心軸33及び分割上バックアップロール28を円滑に偏心回転させる。
【0033】
一方、上キャリッジ組替時は、図4に示すように、圧下力調整シリンダ36を例えば図3の(a)の状態から所定ストロークだけ収縮させてアーム35を偏心軸33の回転中心C1を中心に時計方向に揺動させた後(図4の(a)参照)、リフトシリンダ22を収縮して上キャリッジ21をフレーム18に対し下降させれば(図4の(b)参照)、コロ39が受け口40から下方へ抜け出し、フレーム18に対し上キャリッジ21が分離されるようになっている。コロ39の抜出し後、アーム35は自重で時計方向に倒れるが、やがてストッパ45で倒れ位置が規制されるので、その後上キャリッジ21が圧延ラインの作業側へ搬出されるときの動作に支障をきたすことがない。
【0034】
また、下ワークロール12bに圧下力を付与する分割下バックアップロール50は、分割上バックアップロール28と同様に、板形状矯正装置10の入側と出側に位置して、板幅方向に複数配置されるが、これらは板形状矯正装置10の入側と出側とでそれぞれ1本のロール支持軸51上に所定の偏心量を有した後述する偏心ブッシュを介して回転自在に支持される点で、個別に圧下力を調整することができる上述した分割上バックアップロール28とは構造が異なる。なお、このような分割下バックアップロール50は、特許文献1等で既に公知である。
【0035】
そして、上記ロール支持軸51の両端部は下キャリッジ52に回転自在に支持され、圧延ラインの駆動側において、図示しない駆動源によりスピンドル等を介して所要の角度宛回転されるようになっている。
【0036】
上記下キャリッジ52は、ミルハウジング11に対し圧延ラインの作業側から出入り可能に支持されると共に、板幅方向の所定位置で、上述したクランプ機構23と同様のクランプ機構53により、ミルハウジング11に対し位置決め・固定されるようになっている。また、下キャリッジ52の下方に位置したミルハウジング11には、下キャリッジ52の組立時に当該下キャリッジ52を持ち上げるための前後一対のリフトシリンダ55が内蔵される。
【0037】
このように構成されるため、圧延(矯正)時には、フレーム18がバランスシリンダ19の収縮で図1の状態から下降された状態となり、この状態下で板材が上,下両ワークロール12a,12b間を通板される。
【0038】
この際、上,下両ワークロール12a,12bには、左右一対の圧下シリンダ20によりフレーム18がミルハウジング11に対し下方に付勢されることで所定の圧下力が付与される。また、板形状矯正装置10の入側及び出側に配置した分割上バックアップロール28と分割下バックアップロール50によって、板幅方向の圧下力が調整される。
【0039】
分割上バックアップロール28にあっては、荷重検出装置31により個々に荷重が検出される。そして、図示しない制御装置により、分割上バックアップロール28の個々の荷重が目標荷重になるように、圧下装置32を介して分割上バックアップロール28の個々の圧下力が調整される。
【0040】
分割下バックアップロール50にあっては、図示しない制御装置により、ロール支持軸51が図示しない駆動源によりスピンドル等を介して所要の角度宛回転され、この時の各偏心ブッシュの偏心量に見合った圧下力に個々に調整される。
【0041】
従って、特に、分割上バックアップロール28にあっては、板形状矯正装置10の出側で板形状を検出してフィードバックする必要はなく、時間遅れなく直接的に板形状を制御することができる。また、複数分割された分割上バックアップロール28及び分割下バックアップロール50によって板幅方向に細かい調整が可能となり、良好な板品質、つまり良好な板クラウンおよび平坦度を得ることができる。
【0042】
そして、本実施例では、点検・交換頻度の高い分割上バックアップロール28を上キャリッジ21に支持させ、該上キャリッジ21を点検・交換頻度の低いフレーム18に支持させると共に、圧下装置32をフレーム18と上キャリッジ21とに分割して支持させている。
【0043】
これにより、フレーム18及び上キャリッジ21の軽量化が図れると共に上キャリッジ21を可及的に小型化できる一方で、必要に応じてフレーム18と上キャリッジ21とを分離して取り扱うことができる。
【0044】
この結果、分割上バックアップロール28の分割数が多くなってフレーム18や上キャリッジ21等の構造物が大きく、重量物となっても、分割上バックアップロール28の組替や圧下装置32(単独圧下機構)等の保全作業性を向上させると共にクレーン等の輸送機器や治具等の軽量化・低容量化が実現できる。
【0045】
加えて、図5の(b)に示すように、フレーム18の本体部18a下面と上キャリッジ21の上面との接触面をフレーム曲げ変形の中立軸C付近に配置し、かつ上キャリッジ21の曲げ剛性をフレーム18に対し小さくし接触面側に近付けた曲げ変形の中立軸C1をフレーム曲げ変形の中立軸Cに近付けたので、フレーム18と上キャリッジ21の互いの接触面での曲げ変形特性を近付けることができ、フレーム18と上キャリッジ21の互いの滑りを抑制して(図中B1,B2参照)ミルヒステリシスを低減することができる(図6の(b)参照)。尚、フレーム曲げ変形の中立軸Cは断面形状により異なるので、接触面は、許容ヒステリシス量から上キャリッジ21とフレーム18の相対スベリ量を導びき、その量以内のスベリとなることを目的に、中立軸Cを中心にフレーム18の厚み(T)1/4長さの範囲に配置した。
【0046】
また、上キャリッジ21の曲げ剛性をフレーム18に対し小さくする手段として、板幅方向に所定間隔離間して切れ目48を入れたので、圧下荷重に十分耐えつつ簡単な構造でキャリッジ21の曲げ剛性を低減し、その中立軸C1を接触面方向へ移動させ、フレーム18の変形に効果的に追従させられる。また、フレーム18と上キャリッジ21の合体の変形特性の主体がフレーム18の変形特性となることから、上キャリッジ21が交換されても変形特性が変化しにくい。
【0047】
また、上キャリッジ21は、フレーム18に内蔵したクランプ機構23により板幅方向中央部で位置決めされ、中央部固定両端自由の曲げ変形となるので、フレーム18と上キャリッジ21の両端部の変形差を均等かつ小さくできる。
【0048】
また、フレーム18は、ブロック状の本体部18a下方に前後一対の脚部18bを有し、これら脚部18b間にキャリッジ21が支持されるので、脚部18bの長さを増減することでフレーム18の中立軸Cを効果的に調整することができる。
【0049】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、圧下装置32(単独圧下機構)を分割下バックアップロールに適用したり、キャリッジ21の曲げ剛性を低減する手段として、切れ目48に代えて他の肉抜き構造等を採用する等各種変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例を示す板形状矯正装置の側断面図である。
【図2】上キャリッジの側断面図である。
【図3】分割上バックアップロール側の圧下装置の圧延(矯正)時の作用説明図である。
【図4】同圧下装置のキャリッジ組替時の作用説明図である。
【図5】フレーム及び上キャリッジの圧下時におけるスベリ量の比較説明図である。
【図6】フレーム及び上キャリッジの圧下時におけるミルヒステリシスの比較説明図である。
【符号の説明】
【0051】
10 厚板矯正機、11 ミルハウジング、12a 上ワークロール、12b 下ワークロール、13a 上ワークロールチョック、13b 下ワークロールチョック、14 サポートロール、16 スクリュージャッキ、17 昇降テーブル、18 フレーム、18a 脚部、18b 本体部、19 バランスシリンダ、20 圧下シリンダ、21 上キャリッジ、22 リフトシリンダ、23 クランプ機構、27 ロールチョック、27a 本体部、27b キャップ、28 分割上バックアップロール、29 ロッド、30 スプリング、31 荷重検出装置、32 圧下装置、33 偏心軸、35 アーム、36 圧下力調整シリンダ、37 レバー、38 ピン、39 コロ、40 受け口、42 ピン、43 ピン、44 ストッパ、45 ストッパ、48 切れ目、50 分割下バックアップロール、51 ロール支持軸、52 下キャリッジ、53 クランプ機構、54 リフトシリンダ、55 リフトシリンダ、56 押付けシリンダ、60 ガイド機構。
【出願人】 【識別番号】502251784
【氏名又は名称】三菱日立製鉄機械株式会社
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成18年10月27日(2006.10.27)
【代理人】 【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎

【識別番号】100074480
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 忠敬

【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸

【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋


【公開番号】 特開2008−105077(P2008−105077A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−292205(P2006−292205)