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【発明の名称】 厚鋼板の切断方法および切断装置
【発明者】 【氏名】弓削 佳徳

【氏名】小見山 義高

【要約】 【課題】圧延ラインと剪断ラインを連結する、搬送ライン上または別のラインで切断作業を行う、厚鋼板の切断方法及び切断装置を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延ラインと剪断ラインを有し、圧延後の厚鋼板を圧延ラインから剪断ラインに搬送する搬送ライン上に切断装置を有する厚鋼板製造ラインにおいて、所定の寸法に厚鋼板を切断する切断方法であって、前記剪断ラインの剪断機で剪断できない板厚の厚鋼板は、前記切断装置で所定の寸法に切断することを特徴とする厚鋼板の切断方法。
【請求項2】
前記切断装置は、切断機と当該切断機の上流側で、搬送ラインの左右で対向する位置に、搬送ラインを搬送中の厚鋼板までの距離を測定する非接触式距離計、搬送ラインの上方から前記厚鋼板の長さを測定する長さ計を有する計測装置を備え、
前記非接触式距離計は、搬送ラインを挟んで、対向する位置に一対として配置し、厚鋼板の全長を、少なくとも3個所で測定できるように、搬送方向に少なくとも三対が配置され、
前記少なくとも三対配置される距離計と前記長さ計は、切断機で厚鋼板を切断する前に、厚鋼板の形状と搬送ライン上での載置状態が計測可能なように配置され、
圧延ラインから搬送ラインに搬送され、搬送中の厚鋼板を切断する際は、前記少なくとも三対の非接触式距離計で得られる距離情報から幅形状と搬送ライン上における載置状態(回転、斜行)を求め、搬送を停止して、最初に、厚鋼板先端部から製品採取可能な位置においてC方向に、切断し、次に、搬送を開始して、搬送しつつ、製品寸法幅でL方向に切断し、最後に、搬送を停止して、厚鋼板後端部で製品採取可能な位置においてC方向に、切断することを特徴とする請求項1記載の厚鋼板の切断方法。
【請求項3】
圧延ラインと剪断ラインを結ぶ搬送ラインに設置される切断装置であって、以下の装置を備えていることを特徴とする厚鋼板の切断装置。
(1)搬送ライン上を搬送中の鋼板の平面形状(幅、曲がり)、斜行量、回転を測定する計測装置
(2)(1)記載の計測装置の下流側に配置される、幅方向(搬送ラインセンターに対して直角方向)および長手方向(搬送ラインセンター方向)に位置制御可能なガスプラズマまたはレーザ切断機
(3)鋼板の長さ測定装置
(4)切屑処理装置
(5)ノロ取り装置
【請求項4】
請求項1または2で、切断装置が搬送ラインとは別に設けられたラインに設置されることを特徴とする厚鋼板の切断方法。
【請求項5】
請求項3で、切断装置が搬送ラインとは別に設けられたラインに設置されることを特徴とする厚鋼板の切断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、厚鋼板の切断方法及び切断装置に関し、特に、剪断装置で切断できない厚鋼板を切断するものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、厚鋼板の製造方法に関し、オンラインの剪断機で剪断出来ない厚鋼板(剪断荷重が剪断機能力を上回る鋼板)を所定の寸法に切断する場合、一旦、搬送ライン上からオフラインへ卸し、専用の架台上へ鋼板を配置しガス切断機やレーザ切断機により切断を行うことが記載されている。
【0003】
上記、記載の方法の場合、(1)搬送ライン上からオフラインへの卸しや、専用の架台上への鋼板配置のためクレーンによるハンドリングが多くて作業能率が低く、また、ハンドリング時に鋼板にキズが発生しやすい。
【0004】
(2)所定の製品を切断し採取するため、人が直接罫書きを行ったり、ガスまたはレーザ切断に切断経路を記憶させる作業等が必要なため作業能率が低い。(3)切断完了後、再び架台上からクレーンで払出す作業が必要等の問題点が指摘されていた。
【0005】
ガス切断作業の作業能率を向上させるため、幾つかの提案がなされている。特許文献2は、鋼板のガス切断方法に関し、載置台上に載置された鋼板を切断予定線に沿ってガス切断する際、平面形状認識装置により、鋼板形状や載置台上の位置を検出し、切断予定線を決定し、ガス切断することが記載されている。
【0006】
特許文献3は、複数本のトーチを備えた自動ガス切断機を用いて、厚鋼板から所定寸法の成品を能率的に採取する方法に関し、複数本を3本以上として、同時に複数の切断を行うことで、作業能率を向上させ、熱変形による品質低下を防止することが記載されている。
【特許文献1】特開昭64−5619号公報
【特許文献2】特開平1−95872号公報
【特許文献3】特開平4−231175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように、厚鋼板を搬送ライン上からオフラインし、ガス切断を行うことは種々の問題を生じ、また、特許文献2,3記載のガス切断方法によっても、これらは、厚鋼板は停止状態とし、ガス切断トーチを移動させて切断作業を行うため、オフラインによる次工程への搬入遅れを挽回するものではない。
【0008】
そこで、本発明は、剪断荷重がオンラインに配置した剪断機能力を上回り、オンラインで切断できなかった鋼板を搬送ライン上で切断することにより、厚鋼板の切断作業能率を向上させる厚鋼板の切断方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は以下の手段で達成可能である。
1.圧延ラインと剪断ラインを有し、圧延後の厚鋼板を圧延ラインから剪断ラインに搬送する搬送ライン上に切断装置を有する厚鋼板製造ラインにおいて、所定の寸法に厚鋼板を切断する切断方法であって、前記剪断ラインの剪断機で剪断できない板厚の厚鋼板は、前記切断装置で所定の寸法に切断することを特徴とする厚鋼板の切断方法。
2.前記切断装置は、切断機と当該切断機の上流側で、搬送ラインの左右で対向する位置に、搬送ラインを搬送中の厚鋼板までの距離を測定する非接触式距離計、搬送ラインの上方から前記厚鋼板の長さを測定する長さ計を有する計測装置を備え、
前記非接触式距離計は、搬送ラインを挟んで、対向する位置に一対として配置し、厚鋼板の全長を、少なくとも3個所で測定できるように、搬送方向に少なくとも三対が配置され、
前記少なくとも三対配置される距離計と前記長さ計は、切断機で厚鋼板を切断する前に、厚鋼板の形状と搬送ライン上での載置状態が計測可能なように配置され、
圧延ラインから搬送ラインに搬送され、搬送中の厚鋼板を切断する際は、前記少なくとも三対の非接触式距離計で得られる距離情報から幅形状と搬送ライン上における載置状態(回転、斜行)を求め、搬送を停止して、最初に、厚鋼板先端部から製品採取可能な位置においてC方向に、切断し、次に、搬送を開始して、搬送しつつ、製品寸法幅でL方向に切断し、最後に、搬送を停止して、厚鋼板後端部で製品採取可能な位置においてC方向に、切断することを特徴とする1記載の厚鋼板の切断方法。
3.圧延ラインと剪断ラインを結ぶ搬送ラインに設置される切断装置であって、以下の装置を備えていることを特徴とする厚鋼板の切断装置。
【0010】
(1)搬送ライン上を搬送中の鋼板の平面形状(幅、曲がり)、斜行量、回転を測定する計測装置
(2)(1)記載の計測装置の下流側に配置される、幅方向(搬送ラインセンターに対して直角方向)および長手方向(搬送ラインセンター方向)に位置制御可能なガスプラズマまたはレーザ切断機
(3)鋼板の長さ測定装置
(4)切屑処理装置
(5)ノロ除去装置
4.1または2で、切断装置が搬送ラインとは別に設けられたラインに設置されることを特徴とする厚鋼板の切断方法。
5.3で、切断装置が搬送ラインとは別に設けられたラインに設置されることを特徴とする厚鋼板の切断装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鋼板搬送ライン上に平面形状測定装置、幅方向に位置制御が可能なガスプラズマまたはレーザ切断機、切断屑を処理する装置を配置し、オンラインで切断できなかった鋼板(剪断荷重が剪断機能力を上回る鋼板)を搬送ライン上で切断できるようにしたので切断作業能率が向上する。また、以下の作用効果が得られる。
【0012】
(1)クレーンによるハンドリングが削減でき、ハンドリングキズの発生が防止される。
【0013】
(2)切断中の鋼板の斜行、回転を複数の幅計測定結果よりリアルタイムに把握し、切断トーチの位置をコントロールするようにしているので精度よく切断することが出来る。
【0014】
(3)切断トーチは、長手方向にも位置制御可能に構成されているので、搬送ライン上に進行方向から斜目に載置された鋼板の長手切断も精度良く行うことが可能で、製品の直角度も確保出来る。
【0015】
(4)計測装置を鋼板の両サイドから板厚方向にスキャンして測定する方式とした場合、断面プロフィールも把握可能である。
【0016】
(5)そのため、鋼板の上下面または、厚さ中央部で圧延による伸び差によるずれが発生し、断面が斜め、凹型または凸型になっている場合でも、良品部より製品を採取することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、搬送ライン上または搬送ラインとは別に設けたライン上を搬送中の厚鋼板の形状とこれらいずれかのライン上における回転、斜行などの載置状況を求め、これらいずれかのライン上に配置した切断装置により所定の寸法に切断することを特徴とする。以下、切断装置を配置するラインを搬送ラインとして説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る切断方法において搬送ラインに設置する切断装置の構成の一例を説明する図で、図において1は切断装置、2は架台、3は計測装置、4は搬送ローラ、5は厚鋼板(点線で図示)、7はノロ除去装置、8は切屑処理装置、9は切屑用ボックス、10は切屑、21は切断トーチ、31、32、33は距離計、34は長さ計を示す。
【0019】
切断装置1の切断手段は、切断トーチ21と切断トーチ21が取り付けられる架台2から構成され、切断トーチ21は厚鋼板を製品幅の左右の切断線で同時に切断可能なように2本とする。
【0020】
夫々の切断トーチ21は、搬送ラインのラインセンターの方向(L方向)と当該ラインセンターに直交する方向(C方向)に移動可能に架台2に取り付ける。切断方法はガスプラズマ切断またはレーザ切断が望ましい。
【0021】
切断トーチ21の上流側は、搬送ラインの左右で対向する位置に、距離計31,32,33と長さ計34を有する計測装置3を配置する。
【0022】
距離計31,32,33は各設置位置から厚鋼板5までの距離を測定するもので、搬送ラインを挟んで、対向する位置に一対として配置し、厚鋼板5の全長を、少なくとも3個所で測定できるように、搬送方向に少なくとも三対を配置する。
【0023】
このような配置とすることにより、距離計31,32,33の距離情報から、厚鋼板5の、形状と搬送ローラ4上における載置状態(回転、斜行)を求めることが可能となる。
【0024】
距離計31,32,33を厚鋼板5の両サイドから板厚方向にスキャンして測定する方式とした場合、断面プロフィールも把握可能で、厚鋼板の上下面または、厚さ中央部で圧延による伸び差によるずれが発生し、断面が斜め、凹型または凸型になっている場合でも、良品部より製品を採取することが出来る。
【0025】
本発明では、距離計31,32,33は、搬送ローラ4上を、厚鋼板5が搬送中にその形状が測定可能なように非接触式距離計とする。
【0026】
搬送ローラ4の上方には、厚鋼板5の長さを測定する長さ計34を設置する。長さ計34は接触式、非接触式のいずれでも良い。
【0027】
距離計31、32、33と長さ計34は、切断トーチ21で厚鋼板5を切断する前に、厚鋼板5の形状と搬送ローラ4上での載置状態が計測可能に切断トーチ21の上流側に配置されれば良く、本発明では具体的に規定しない。図2に上述した切断装置1の模式的な斜視外観図を示す。
【0028】
搬送ラインで、切断装置1の上流側には、ノロ除去装置7が配置され、切断前にノロを除去する。切断トーチ21による切屑10は切屑処理装置8で切屑用ボックス9に投入される。
【0029】
尚、切断トーチ21で厚鋼板を切断する場合は、厚鋼板を移動させると斜行等が生じ、計測結果を反映することができない場合があるので、切断トーチ21を移動させる。そのため、前述したように切断トーチ21は架台2に移動可能に取り付けられる。
【0030】
また、切断は、最後に配置された一対の距離計で、鋼板尾端が検知されたら開始するようにすると、切断精度が向上して望ましい。切断装置を搬送ラインに設けた場合、生産性が低下すると判断される場合は、搬送ラインとは別に設けたライン上に切断装置を設置する。
【0031】
次に、本発明に係る切断方法の切断手順を、厚鋼板5から製品6を切り出す場合について図4(a),(b),(c),(d)を用いて説明する。尚、図4において矢印は厚鋼板の搬送方向(L方向)を示す。
(1)厚鋼板5を搬送しながら長手方向の3箇所で距離計31,32,33により幅を測定する。厚鋼板5の先端部から製品採取可能な位置である、先端の切断線aを決定する(図4(a))。
(2)先端の切断線aを切断トーチ21の位置に合せて厚鋼板5の搬送を停止し、切断トーチ21をC方向に移動させて切断線aを切断する(図4(b))。
(3)次に、製品6の幅となる切断線bを決定する。切断トーチ21を切断線bの位置に移動させ、切断トーチ21を移動させながら幅切断を実施する。この際、厚鋼板5の長手方向3箇所で距離計31,32,33により測定された幅測定位置情報により厚鋼板5の搬送ライン上の載置状況である、回転、斜行を把握し、切断位置を適時補正する(図4(c))。
(4)最後に、厚鋼板5の後端部における製品6が採取可能な切断線cを切断トーチ21の位置に合せて厚鋼板5を停止させ、切断線cで切断することで製品6を得る(図4(d))。
図3に、上述した切断手順をフローチャート図を示す。
【実施例】
【0032】
本発明により、製品厚70mm、製品幅3000mm、製品長さ7000mmの製品6を、図5に示す圧延後の厚鋼板5から切断採取した例を示す。
1)鋼板5を切断装置まで搬送する途中で、搬送ラインに設置した複数の距離計31,32,33により幅形状を測定し、鋼板5の先端からl:154mmで製品6が採取可能と判定。
2)1)で決定した製品6の採取位置が切断機下になるように搬送し鋼板5を停止する。
3)鋼板5が停止した時点で、採取予定の製品6のセンタCと搬送ラインセンタCの角度差θを、複数の幅計31,32,33の測定結果より計算し、傾き2°と判定した。
4)2本の切断トーチ(図5では省略)でそれぞれ鋼板5の両サイドから幅方向に切断を開始。傾き補正のため長手位置34.9mm/幅1mの位置補正をしながら切断実施。幅切断時間7min。
5)先端切断屑処理。所要時間1min
6)2本の切断トーチを間隔W:3010mm(=切断幅)で切断開始位置に設定。
7)鋼板5の搬送開始。搬送速度240mm/min。
8)傾き補正のため幅方向位置34.9mm/長さ搬送1mの位置補正をしながら切断実施。今回鋼板の回転は無し。切断時間30min。
9)長さ搬送距離l:7015mm到達で搬送停止。
10)切断屑処理。所要時間1min。
11)幅方向に切断開始。傾き補正のため長手位置34.9mm/幅1mの位置補正をしながら切断実施。幅切断時間7min。
12)製品払出し。払出し後切断クズ処理。
以上の手順で、切断したところ、先端切断開始〜製品払出しまでの所要時間46minであった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る切断方法において搬送ラインに設置する切断装置の構成の一例を説明する図。
【図2】図1に示した切断装置の模式的な斜視外観図。
【図3】本発明に係る切断方法の切断手順を示す図。
【図4】本発明に係る切断方法の切断手順を説明する図で、(a)は幅長さの計測状況(b)は先端部幅方向の切断状況(c)は長手方向の切断状況(d)は後端部幅方向の切断状況を説明する図。
【図5】実施例
【符号の説明】
【0034】
1 切断装置
2 架台
3 計測装置
4 搬送ローラ
5 厚鋼板(点線で図示)
6 製品
7 ノロ除去装置
8 切屑処理装置
9 切屑用ボックス
10 切屑
21 切断トーチ
31、32、33 距離計
34 長さ計
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【出願日】 平成18年10月27日(2006.10.27)
【代理人】 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎

【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘


【公開番号】 特開2008−105071(P2008−105071A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−291944(P2006−291944)